説明

芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法および芳香族ビニル化合物重合体の製造方法

【課題】芳香族ビニル化合物の重合用触媒であって、高い重合活性を示し、その調製後から重合反応に供するまでの間、その重合活性が低下しにくい触媒の調製方法、および当該方法によって調製された触媒を用いる芳香族ビニル化合物重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】ハーフメタロセン錯体、有機アルミニウム化合物、イオン性化合物および芳香族ビニル化合物を使用し、特定の工程を含む芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチレン等の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法および芳香族ビニル化合物重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オレフィン系重合体は成形材料等として重要であり、当該重合体やその製造方法に関して多くの技術開発が行われてきた。例えば、製造方法に関しては、チーグラーナッタ触媒等の固体触媒や金属錯体を利用する触媒について技術開発が行われ、その成果が報告されてきた。特に、金属錯体を利用する触媒は、生成物の均質性が高いという特性や、金属錯体の中心金属や配位子等を変えることでその反応性が変わるという特性が見出され、現在も開発が続けられている。
【0003】
前記金属錯体としては、例えばメタロセン錯体が挙げられ、これまでに、シクロペンタジエニル基やインデニル基等の環状配位子を2つ有する金属錯体、環状配位子を結合する架橋基を含む金属錯体(架橋型メタロセン錯体)、環状配位子を1つ有する金属錯体(ハーフメタロセン錯体)等が報告されている(以下、メタロセン錯体を利用する触媒をメタロセン触媒と省略することがある。)。
メタロセン触媒においては、環状配位子の選択や置換基の導入等により、重合時におけるモノマーと伸長中の重合鎖との位置関係を制御することができ、当該触媒を用いることで特定の立体規則性(アイソタクチック性やシンジオタクチック性等)を有する重合体を製造することができる。
また、メタロセン錯体中の中心金属に関しては、従来はチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の4族遷移金属がよく用いられていたが、近年、スカンジウム、イットリウム、ランタン等の3族遷移金属やランタノイド金属を用いるメタロセン錯体を用いた重合反応が報告されている。
例えば、特許文献1は、スカンジウム、イットリウム、ランタン又はランダニド金属を利用するハーフメタロセン錯体や、当該錯体を用いて極性若しくは非極性オレフィン性不飽和モノマー又はラクトンを(共)重合させて(共)重合体を製造する方法を開示する。
【0004】
ところで、シンジオタクチック構造を有する、芳香族ビニル化合物の重合体(以下、シンジオタクチックポリマーと省略することがある。)は、機械的強度、耐熱性、外観、耐溶剤性等に優れるという特徴があり、種々の用途において使用されている。
シンジオタクチックポリマーを製造する際の触媒に関しても、4族遷移金属以外の金属を利用するメタロセン触媒についての報告があり、例えば、特許文献2は、第3族金属原子またはランタノイド金属原子を含むハーフメタロセン錯体を含む重合触媒組成物およびそれを用いて得られるシンジオタクチシティーが高い重合体を開示する。
【0005】
このように、各種のメタロセン触媒や当該触媒を用いて得られたシンジオタクチックポリマーが報告されているが、以下に説明するようにさらなる技術開発が必要な状況にある。
例えば、特許文献1の課題として、種々のモノマーを配位重合して均質で高純度の生成物を工業的規模で得ることができる安定な金属錯体を見出すことが挙げられているが、特許文献1には工業的規模で行う際の特有の問題について記載がなく、また実施例で開示する態様は実験室規模で実施したものである。したがって、工業的規模で実施した際に初めて生じる問題に対しては、特許文献1に記載の技術は十分ではない。
また、特許文献2には、重合活性やオレフィンやジエンとの共重合性に優れる触媒や、当該触媒により得られる分子量分布が狭く、高いシンジオタクチシティーを有する重合体が記載されているが、特許文献2が実施例で開示する態様も実験室規模で実施したものであり、工業的規模で実施する場合においても同様の結果を得るためにはさらなる技術開発が必要である。
【0006】
一般に、工業的規模でシンジオタクチックポリマーを製造する際には高い生産性が求められるため、高い重合活性を有する触媒が好ましく利用される。しかしながら、高い重合活性を有する触媒は失活しやすいため、その調製方法や保存条件によってはその特性が十分には発現されない。したがって、例えば、触媒調製後すぐに反応に供することが困難な場合や十分な保存設備を利用できない場合等においては、触媒調製後から重合反応に供するまでの間、高い重合活性を維持することが重要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−178293号公報
【特許文献2】国際公開第2006/004068号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、芳香族ビニル化合物の重合用触媒であって、高い重合活性を有し、かつその重合活性が低下しにくい触媒の調製方法、および当該方法によって調製された触媒を用いる芳香族ビニル化合物重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の条件下で芳香族ビニル化合物の重合用触媒を調製することで、目的の特性を有する触媒が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
1.以下の工程Aおよび工程Bを含む、芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
工程A:周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を含むハーフメタロセン錯体、前記ハーフメタロセン錯体に対するモル比が20〜500となる量の有機アルミニウム化合物、および非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を用いてイオン性錯体を形成する工程
工程B:前記工程Aで形成されたイオン性錯体と芳香族ビニル化合物を接触させる工程
2. 不活性溶媒の存在下で、前記工程Aおよび工程Bを行う前記1に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
3. 不活性溶媒に、前記ハーフメタロセン錯体、前記有機アルミニウム化合物、および前記イオン性化合物を添加して前記工程Aおよび工程Bを行う前記2に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
4. 不活性溶媒に、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行う前記2または3に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
5. 前記不活性溶媒が、芳香族炭化水素溶媒または脂肪族炭化水素溶媒である前記2〜4のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
6. 前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物の添加が、前記工程Aの途中及び/または終了後である前記2〜5のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
7. 前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物の存在下で、前記工程Aおよび工程Bを行う前記1に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
8. 前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物に、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体および前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行う前記7に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
9. 前記ハーフメタロセン錯体が、以下の式(I)で表される錯体である前記1〜8のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
RMXa-1b (I)
[式(I)中、Rは少なくとも一つが飽和環である縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子を示し、Mは周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を示し、Xはσ配位子を示し、Yはルイス塩基を示す。aはMの価数、bは0、1または2を示す。]
10. 前記有機アルミニウム化合物が、以下の式(VI)で表される前記1〜9のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
R’R’’R’’’Al (VI)
[式(VI)中、R’、R’’およびR’’’はそれぞれ独立に炭素数3〜5のアルキル基を示す。]
11. 前記イオン性化合物が、置換又は無置換のトリアリールカルベニウムまたは置換又は無置換のアニリニウムから選ばれるカチオンと以下の式(VII)で表される非配位性アニオンからなるイオン性化合物である前記1〜10のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法、
(BZ1234- (VII)
[式(VII)中、Z1〜Z4は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(ハロゲン置換アリール基を含む)、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基及び有機メタロイド基又はハロゲン原子を示す。]
12. 前記1〜11のいずれかに記載の方法で調製された芳香族ビニル化合物の重合用触媒を用いて、芳香族ビニル化合物を重合して、芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上である芳香族ビニル化合物重合体を製造する方法、
13. 前記1〜11のいずれかに記載の方法で調製された芳香族ビニル化合物の重合用触媒を用いて、芳香族ビニル化合物およびオレフィン系モノマーを重合して、芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上である芳香族ビニル化合物重合体を製造する方法
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、芳香族ビニル化合物の重合用触媒であって、高い重合活性を有し、その調製後から重合反応に供するまでの間、その重合活性が低下しにくい触媒の調製方法が提供される。当該調製方法を利用することで、工業的規模で重合反応を行う場合等、最適な保存条件を利用できない場合であっても、芳香族ビニル化合物重合体を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法は以下の工程Aおよび工程Bを含むものである。なお、本明細書において、前記芳香族ビニル化合物の重合用触媒を触媒と省略することがある。
工程A:周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を含むハーフメタロセン錯体、前記ハーフメタロセン錯体に対するモル比が20〜500となる量の有機アルミニウム化合物、および非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を用いてイオン性錯体を形成する工程
工程B:前記工程Aで形成されたイオン性錯体と芳香族ビニル化合物を接触させる工程
【0012】
前記工程Aにおいては、周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を含むハーフメタロセン錯体、有機アルミニウム化合物、および非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を用いてイオン性錯体を形成する。
本発明においては、前記ハーフメタロセン錯体に対するモル比が20〜500となる量の前記有機アルミニウム化合物が用いられる。当該モル比が20未満のときは、触媒を保存した後の重合反応において重合活性が低下しやすくなる。また、経済的な理由で当該モル比は500以下が好ましい。当該観点から、当該モル比は好ましくは50〜400であり、より好ましくは100〜300である。
本発明においては、好ましくは、前記ハーフメタロセン錯体に対するモル比が0.5〜3.0となる量の前記イオン性化合物が用いられる。当該モル比が0.5以上のときは、高い重合活性が得られる。また、経済的な理由で当該モル比は3.0以下が好ましい。当該観点から、当該モル比は好ましくは0.5〜2.5であり、より好ましくは0.5〜2.0である。
【0013】
前記工程Bにおいては、前記工程Aで形成されたイオン性錯体と芳香族ビニル化合物を接触させる。
本発明においては、好ましくは、工程Aで用いられたハーフメタロセン錯体に対するモル比が0.5〜500となる量の前記芳香族ビニル化合物が用いられる。当該モル比が0.5以上のときは、触媒を保存した後の重合反応においても十分に高い重合活性が得られる。また、過剰量の芳香族ビニル化合物を使用すると触媒保存中に重合反応が進行して生成物が析出する場合があるが、当該モル比が500以下であることでこの析出を抑えることができ、悪影響を与えることなく反応器に触媒を投入することができる。当該観点から、当該モル比は好ましくは1〜200であり、より好ましくは1〜50である。
【0014】
本発明における工程Aおよび工程Bは、溶媒の存在下で行ってもよい。好ましい溶媒としては不活性溶媒が挙げられる。不活性溶媒の存在下で工程Aおよび工程Bを行う場合、不活性溶媒に、前記ハーフメタロセン錯体、前記有機アルミニウム化合物、および前記イオン性化合物を添加して、芳香族ビニル化合物の重合用触媒を調製するという態様が挙げられる。これらの添加順序は特に制限されないが、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行う場合は、有機アルミニウム化合物の添加によって不活性溶媒に含まれる不純物の影響を抑えることができるため好ましい。
【0015】
前記不活性溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素溶媒や脂肪族炭化水素溶媒が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
【0016】
本発明の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法は、工程Aと工程Bの反応が同時に進む態様であってもよく、工程Aと工程Bが明確に分けられた態様であってもよい。目的の態様で本発明を実施するためには、工程Bの開始時を制御すればよく、例えば芳香族ビニル化合物の添加時期で工程Bの開始時を制御することができる。
芳香族ビニル化合物の添加が工程Aの途中である場合(すなわち、芳香族ビニル化合物の添加時期が、前記ハーフメタロセン錯体、前記有機アルミニウム化合物、および前記イオン性化合物を添加し、工程Aの反応が完了するまでの間である場合)は、工程Aの反応が進行する一方で、すでに形成したイオン性錯体と芳香族ビニル化合物が接触して工程Bが進行する。したがって、この場合は工程Aと工程Bの反応が同時に進む態様に該当する。
また、芳香族ビニル化合物の添加が工程Aの終了後である場合は、工程Aの反応と工程Bの反応が同時に起こることがないため、工程Aと工程Bが明確に分けられた態様に該当する。
したがって、芳香族ビニル化合物を含めた添加方法としては、例えば、前記有機アルミニウム化合物、前記芳香族ビニル化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記イオン性化合物の順に添加する方法や、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記イオン性化合物、前記芳香族ビニル化合物の順に添加する方法や、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記芳香族ビニル化合物、前記イオン性化合物の順に添加する方法等が挙げられる。
さらに、本発明の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法においては、芳香族ビニル化合物の添加を工程Aの途中と終了後の両方で行ってもよい。
【0017】
前記のように、本発明においては工程Bで用いる芳香族ビニル化合物の添加時は特に制限されないため、芳香族ビニル化合物の存在下で工程Aおよび工程Bを行うことができる。この実施態様は、前記溶媒を使用しないで触媒を調製する場合に好ましく用いられる。すなわち、本発明においては芳香族ビニル化合物を前記溶媒の代わりに用いて工程Aおよび工程Bを行うことができ、具体的には、芳香族ビニル化合物に、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体および前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行うという態様が挙げられる。
【0018】
本発明において、重合用触媒を調製する際は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、接触操作を行うことが望ましい。当該触媒は、予め、触媒調製槽において調製してよいし、芳香族ビニル化合物の重合を行う重合反応器内において調製してもよい。触媒を調製する際の温度に関しては特に制限はない。例えば−40〜60℃が挙げられ、−20〜30℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
【0019】
前記方法で調製された触媒は、調製後すぐに反応に供してもよく、保存後に反応に供してもよい。保存する場合は不活性溶媒中に保存することが好ましく、触媒調製時に不活性溶媒を使用する場合はそのまま保存することができる。不活性溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素溶媒や脂肪族炭化水素溶媒が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
触媒を保存する際の温度に関しては特に制限はない。例えば−40〜60℃が挙げられ、−20〜30℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
触媒を保存する際は、窒素ガス等の不活性ガスの存在下で保存することが好ましい。
【0020】
前記方法で調製された触媒を保存する際において保存時間に特に制限はない。また、触媒の安定性は温度によって変わるため、目標時間に合わせて保存温度を適宜調節することが好ましい。例えば、本発明の方法で調製された触媒は1000時間以下の範囲で選ばれる任意の時間、重合活性が維持される。また、600時間以下の範囲で選ばれる任意の時間であれば、保存温度に関する選択の幅が広がるためより好ましい。なお、本発明において「保存」とは、触媒と不活性溶媒を同一系内に存在させ、一定期間その状態に置くことをいい、必ずしも長期にわたってその状態に置くことに限定されるものではない。したがって、保存時間をt(時間)で表すと、本発明の方法で調製された触媒の保存時間は、好ましくは、0<t≦1000、より好ましくは0<t≦600である。
【0021】
本発明の方法で調製された触媒は、高い重合活性を有する触媒であって、かつ調製後から重合反応に供するまでの間、その重合活性の低下が抑制される。さらに、保存中に重合体が生成し、これが析出することが抑えられる。したがって、本発明の触媒の調製方法は、触媒調製後すぐに反応に供することが困難な場合や触媒調製系と重合系が異なる場合等において好ましく用いられる。
【0022】
以下において、本発明で用いられる触媒の一例を示す。
前記ハーフメタロセン錯体としては、例えば、以下の式(I)で表される遷移金属化合物が挙げられる。
RMXa-1b (I)
式(I)において、Rは少なくとも一つが飽和環である縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子を示し、Mは周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を示す。Xはσ配位子を示し、Xが複数ある場合には複数のXは同じでも異なっていてもよく、また、互いに任意の基を介して結合していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Xと架橋していてもよい。aはMの価数、bは0、1または2を示す。
【0023】
前記Xで表されるσ配位子としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアミド基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数1〜20のホスフィド基、炭素数1〜20のスルフィド基、炭素数1〜20のアシル基等が挙げられる。Yで表されるルイス塩基としては、例えば、アミン類、エーテル類、ホスフィン類、チオエーテル類等が挙げられる。
【0024】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基等のアルキル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、N,N−ジメチルアミノベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。炭素数1〜20のアミド基としては、例えば、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基等が挙げられる。炭素数1〜20のシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等が挙げられる。炭素数1〜20のホスフィド基としては、例えば、ジフェニルホスフィド基等が挙げられる。炭素数1〜20のスルフィド基としては、例えば、フェニルスルフィド基等が挙げられる。炭素数1〜20のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
【0026】
Mは好ましくは周期律表第3族の金属であり、より好ましくはスカンジウムである。
式(I)中のRは、以下の式(II)、(III)および(IV)で表されるいずれかの縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子であることが好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
式(II)〜(IV)中、R1〜R33は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数6〜20のチオアリーロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基又はアルキルシリル基を示し、R1〜R33は互いに同一でも異なっていてもよく、c、d、e及びfは1以上の整数を示し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2である。
【0031】
式(II)〜(IV)において、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、トリ−t−ブチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントニル基等が挙げられる。炭素数1〜20のチオアルコキシ基としては、例えば、チオメトキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のチオアリーロキシ基としては、例えば、チオフェノキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、アルキルシリル基の具体例については、式(I)に挙げたものと同一のものが挙げられる。
【0032】
式(II)の縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子の具体例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,2−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,3−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,2,3−トリメチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2―メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−エチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−エチル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−エチル−3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−エチル−2,3−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,2−ジエチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,2−ジエチル−3−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,3−ジエチル−4、5、6、7−テトラヒドロインデニル基、1,3−ジエチル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,2,3−トリエチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2−エチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1−メチル−2―エチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、1,3−ジメチル−2―エチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、テトラヒドロペンタレニル基、1−メチルテトラヒドロペンタレニル基、2−メチルテトラヒドロペンタレニル基、1,2−ジメチルテトラヒドロペンタレニル基、1,3−ジメチルテトラヒドロペンタレニル基、1,2,3−トリメチルテトラヒドロペンタレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基、1−メチルヘキサヒドロアズレニル基、2−メチルヘキサヒドロアズレニル基、1,2−ジメチルヘキサヒドロアズレニル基、1,3−ジメチルヘキサヒドロアズレニル基、1,2,3−トリメチルヘキサヒドロアズレニル基等が挙げられる。
【0033】
式(III)の縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子の具体例としては、トリシクロ[6,4,0,0]ドデカジエニル基、2−メチルトリシクロ[6,4,0,0]ドデカジエニル基等が挙げられる。
【0034】
式(IV)の縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子の具体例としては、1,2,3,4−テトラヒドロフルオレニル基、9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル基、9−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル基、9−nプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル基、1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、8−メチル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、8−エチル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、8−n−プロピル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、8−フェニル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、8−トリメチルシリル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデン、4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基、10−メチル−4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基、10−エチル−4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基、10−n−プロピル−4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基、10−フェニル−4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基、10−トリメチルシリル−4a,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル基等が挙げられる。
【0035】
前記縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子の中で、式(IV)で表される配位子が特に好ましく、脂環式6員環構造を有する配位子、すなわち以下の式(V)で表される配位子が、重合活性、錯体の安定性、製造コストの点で最も好ましい。
【0036】
【化4】

【0037】
なお、式(V)中、R34〜R46は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数6〜20のチオアリーロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基又はアルキルシリル基を示す。これらの置換基の具体例としては、式(II)〜(IV)に関して例示したものが挙げられる。
【0038】
式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,3−ジメチルテトラヒドロペンタレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(トリシクロ[6,4,0,0]ドデカジエニルビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(8−メチル−1,2,3,8−テトラヒドロシクロペンタ[α]インデニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(9−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(9−n−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(9−トリメチルシリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(4a、5,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[α]アズレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム、(9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(トリメチルシリルメチル)スカンジウム、(9−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(トリメチルシリルメチル)スカンジウム、(9−n−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(トリメチルシリルメチル)スカンジウム、(9−トリメチルシリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(トリメチルシリルメチル)スカンジウム、(9−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(アリル)スカンジウム、(9−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(アリル)スカンジウム、(9−n−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(アリル)スカンジウム、(9−トリメチルシリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(アリル)スカンジウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0039】
前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、以下の式(VI)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
R’R’’R’’’Al (VI)
式(VI)中、R’、R’’およびR’’’はそれぞれ独立に炭素数3〜5のアルキル基を示す。アルキル基の炭素数が3〜5の範囲であれば十分な重合活性が得られるため好ましい。炭素数3〜5のアルキル基としては、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。
【0040】
前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウムが挙げられる。これらの中で、高い重合活性が得られることから炭素数4の置換基のみを有する有機アルミニウム化合物が好ましく、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましい。
本発明においては、前記有機アルミニウム化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0041】
前記非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物としては、例えば、非配位性アニオンと置換又は無置換のトリアリールカルベニウムとからなるイオン性化合物や、非配位性アニオンと置換又は無置換のアニリニウムからなるイオン性化合物が挙げられる。
【0042】
前記非配位性アニオンとしては、例えば、以下の式(VII)で表される非配位性アニオンを挙げることができる。
(BZ1234- (VII)
式(VII)中、Z1〜Z4は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(ハロゲン置換アリール基を含む)、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基及び有機メタロイド基又はハロゲン原子を示す。
【0043】
式(VII)で表される非配位性アニオンの具体例としては、テトラキス(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トルイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、〔トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル〕ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等を挙げることができる。
【0044】
前記置換又は無置換のトリアリールカルベニウムとしては、例えば、以下の式(VIII)で表わされるトリアリールカルベニウムを挙げることができる。
〔CR474849+ (VIII)
式(VIII)中、R47、R48及びR49は、それぞれフェニル基,置換フェニル基,ナフチル基及びアントラセニル基等のアリール基であって、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0045】
前記置換フェニル基は、例えば、以下の式(IX)で表わすことができる。
65-k50k (IX)
式(IX)中、R50は、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリーロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基及びハロゲン原子を示し、kは1〜5の整数である。kが2以上の場合、複数のR50は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
式(VIII)で表される置換又は無置換のトリアリールカルベニウムの具体例としては、トリ(フェニル)カルベニウム、トリ(トルイル)カルベニウム、トリ(メトキシフェニル)カルベニウム、トリ(クロロフェニル)カルベニウム、トリ(フルオロフェニル)カルベニウム、トリ(キシリル)カルベニウム、〔ジ(トルイル),フェニル〕カルベニウム、〔ジ(メトキシフェニル),フェニル〕カルベニウム、〔ジ(クロロフェニル),フェニル〕カルベニウム、〔トルイル,ジ(フェニル)〕カルベニウム、〔メトキシフェニル,ジ(フェニル)〕カルベニウム、〔クロロフェニル,ジ(フェニル)〕カルベニウム等が挙げられる。
また、置換又は無置換のアニリニウムの具体例としては例えば、N,N−ジメチルアニリニウムが挙げられる。
【0047】
前記非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物の具体例としては、トリ(フェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(4−メトキシフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
本発明において、前記イオン性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0048】
前記工程Bで用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン;p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−n−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−n−プロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−n−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、4−ブテニルスチレン等のアルキルスチレン;p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン;p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;ビニル安息香酸エステル等を挙げることができる。前記芳香族ビニル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
〔芳香族ビニル化合物重合体の製造方法〕
本発明の芳香族ビニル化合物重合体の製造方法においては、前記方法で製造された触媒を用いて重合反応を行い、芳香族ビニル化合物重合体を製造する。なお、本明細書において「芳香族ビニル化合物重合体」とは、芳香族ビニル化合物単量体単位が1モル%以上である重合体をいい、具体的には、1種の芳香族ビニル化合物からなる単独重合体、2種以上の芳香族ビニル化合物からなる共重合体、芳香族ビニル化合物とその他の単量体(オレフィン系モノマー)からなる共重合体を含むものである。
【0050】
重合時の単量体として用いられる芳香族ビニル化合物としては、各種のものがあるが、以下の式(X)で表されるものが好ましい。
【0051】
【化5】

【0052】
式(X)中、Rは水素原子、ハロゲン原子あるいは炭素数20個以下の炭化水素基を示し、mは1〜3の整数を示す。なお、mが複数のときは、各Rは同じでも異なってもよい。
【0053】
芳香族ビニル化合物の具体例としては、例えば、スチレン;p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−n−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−n−プロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−n−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、4−ブテニルスチレン等のアルキルスチレン;p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン;p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;ビニル安息香酸エステル等を挙げることができる。前記芳香族ビニル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、前記のように触媒の調製工程(工程B)において、芳香族ビニル化合物を用いるが、重合時の単量体として用いる芳香族ビニル化合物は、当該工程で用いたものと同じ種類の化合物であってもよく、異なる種類の化合物であってもよい。
【0054】
本発明の芳香族ビニル化合物重合体の製造方法においては、原料として芳香族ビニル化合物のみを用いることが好ましいが、芳香族ビニル化合物とオレフィン系モノマーを組み合わせて共重合をしてもよい。
本発明の芳香族ビニル化合物重合体の製造方法においては、前記芳香族ビニル化合物とオレフィン系モノマーを組み合わせて共重合をしてもよい。
前記オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、ジエン、環状オレフィン、環状ジエン等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6−フェニル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジエンとしては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、イソプレン等が挙げられる。
環状オレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン等が挙げられる。環状ジエンとしては、シクロペンタジエン等が挙げられる。
また、前記以外のオレフィン系モノマーとしては、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、アセチレン等が挙げられる。
前記の中で、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0055】
芳香族ビニル化合物およびオレフィン系モノマーを原料として共重合を行う方法において、得られる共重合体中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は、1モル%以上であり、好ましくは5〜99モル%であり、より好ましくは40〜95モル%である。すなわち、オレフィン系モノマー単位の含有量は99モル%以下であり、好ましくは1〜95モル%であり、より好ましくは5〜60モル%である。オレフィン系モノマー単位の含有量が、前記範囲内であることで、芳香族ビニル化合物重合体の物性が向上する。
【0056】
本発明の芳香族ビニル化合物重合体の製造方法において用いられる重合方式としては特に制限がないが、塊状重合や溶液重合等を好適に採用することができる。塊状重合法による場合は無溶媒であり、溶液重合法による場合に用いる溶媒としては、不活性溶媒が好適である。不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃の範囲である。また、重合時の圧力は、通常、0.01〜30MPa、好ましくは0.01〜3MPaの範囲である。
【0057】
本発明で得られる芳香族ビニル化合物重合体は、シンジオタクチック構造を有することを特徴としている。すなわち、該重合体に含まれる芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位が連続している場合に、その繰り返し単位の芳香環が、高分子主鎖がつくる平面に対して、交互に配置している割合(シンジオタクチシティー)が高いことを特徴とする。そして、シンジオタクチシティーは、芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性〔rrrr〕で表すことができる。本発明で得られる重合体において、立体規則性〔rrrr〕は、通常80モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上である。80モル%未満であると、シンジオタクチック構造の特徴である耐熱性が低下する。
立体規則性〔rrrr〕とは、芳香族ビニル化合物重合体中のペンタッド(五連鎖)単位でのラセミ分率(モル%)であり、立体規則性分布を表す指標である。この立体規則性〔rrrr〕は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルの測定によって算出することができる。具体的には、共重合体中のスチレン連鎖のフェニルC1炭素領域(146.3ppm〜144.5ppm)のうち、ノイズ(サテライトピークやスピニングサイドバンド)を除いたピークの分率で表される。
【0058】
本発明の芳香族ビニル化合物重合体は、GPC法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.7以上、好ましくは2.0〜5.0、より好ましくは2.0〜3.5である。
分子量分布は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)から与えられる。GPCの測定は、例えば、GPCカラムShodex UT806L(GLサイエンス社製)を用いて、温度145℃、溶媒1,2,4−トリクロロベンゼン、流速1.0ml/min.の条件で行うことができる。
また、本発明の芳香族ビニル化合物重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、耐衝撃性の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、10,000〜3,000,000、好ましくは50,000〜900,000の範囲である。
また、重量平均分子量は、分子量の指標である極限粘度[η]を測定することにより求めることができる。実施例において、極限粘度[η]は、(株)離合社製粘度計(VMR−053U−PC・F01)、ウベローデ型粘度管(測時球容積:2〜3ml、毛細管直径:0.44〜0.48mm)、溶媒として1,2,4−トリクロルベンゼンを用いて、0.02〜0.16g/dLの溶液を145℃にて測定した。本発明の芳香族ビニル化合物重合体を極限粘度[η]で表すと、通常、0.1〜16dl/g(重量平均分子量で10,000〜3,000,000)、好ましくは0.2〜5.0dl/g(重量平均分子量で50,000〜900,000)の範囲である。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0060】
製造例1 ジメチルアミノベンジルリチウムの合成
N,N−ジメチル‐o‐トルイジン(18ml、0.12mmol)のヘキサン(50ml)−ジエチルエーテル(16ml)溶液にn−BuLiのヘキサン溶液(2.6mol/L,50ml)を25分かけて滴下した。45時間撹拌した後、ろ過により沈殿をろ別した。得られた固体をヘキサンにより洗浄(40ml×3回)した後に、減圧乾燥してジメチルアミノベンジルリチウムを13g(収率77%)得た。
【0061】
製造例2 トリス(ジメチルアミノベンジル)スカンジウムの合成
無水ScCl3(1.0g,6.6mmol)のテトラヒドロフラン(THF)懸濁液(10ml)を室温で1時間撹拌し、ここへ製造例1で合成したジメチルアミノベンジルリチウム(2.8g,20mmol)のTHF溶液を滴下し、12時間撹拌した。溶媒を留去した後にトルエンで抽出し、さらに再結晶により精製し、トリス(ジメチルアミノベンジル)スカンジウムを淡黄色の結晶として得た。収率は80%であった。
【0062】
製造例3 1,2,3,4−テトラヒドロフルオレンの合成
フルオレン(30g,0.18mol)をエチレンジアミン175ml−THF175mlの混合溶液に溶解させた。この溶液に、0℃で金属リチウム(5.6g,0.812mol)を50分間かけて投入した。反応終了後、水を添加し、ジエチルエーテルにより抽出後、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。ジエチルエーテル層に硫酸マグネシウムを入れ、冷蔵庫にて一晩乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別し、ジエチルエーテル留去することによって、オレンジ色の目的物(1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン)を得た。収率は90%であった。
【0063】
製造例4 (1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムの合成
製造例2で得られた(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム(2.0g,4.5mmol)のTHF溶液10mlに、製造例3で得られた1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン(0.92g,5.4mmol)のTHF溶液10mlをいれ、70℃で12時間攪拌した。反応終了後、溶媒を除去し、ヘキサン50mlで3回洗浄後、トルエンで抽出し、さらに再結晶により精製し、(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フルオレニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムを淡黄色の結晶として得た。収率は22%であった。
【0064】
実施例1
〔触媒の調製工程および保存工程〕
パイロット装置のジャケット付き触媒調合槽(50L)の温度を25℃に設定し、この触媒調合槽にエチルベンゼン12.7Lを入れた。その後、トリノルマルブチルアルミニウムを5.2mol、スチレンモノマーを0.13mol、製造例4で得られたスカンジウム錯体を0.026mol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを0.031molをこの順に加えた。
その後、20℃で20時間そのまま保存した。
〔重合活性の評価〕
加熱乾燥した30mLのワインボトル型バイアル瓶に、窒素雰囲気下、室温でスチレン5mL、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)0.79μmolを加え、インナーキャップ及びアルミシールにより封印した。このワインボトル型バイアル瓶を60℃のウオーターバスに入れた。このバイアル瓶に前記方法で保存した触媒を加え、重合反応を行った。60分後に反応系にメタノールを加え、攪拌後にろ別し、得られたポリマーを200℃、3時間で乾燥した。重合活性は、実施例9の重合結果を基準とする相対活性として表した。
【0065】
実施例2〜9、比較例1〜5
触媒調製工程に関して、第1表−1、第1表−2に記載の条件に変えた他は実施例1に記載の方法で、触媒2〜14を調製した。さらに、第2表−1、第2表−2に記載の保存条件に変えた他は実施例1と同様にして触媒を保存し、その重合活性の評価を行った。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
前記実施例および比較例においては工業的規模における発明の実施を想定して、パイロット装置のジャケット付き触媒調合槽(50L)を用いて触媒を調製、保存し、保存後の重合活性を評価した。
実施例においてはいずれも高い重合活性を示しているが、芳香族ビニル化合物を触媒調製時に用いない比較例1〜4や有機アルミニウム化合物の量が少ない比較例5においては重合活性が大きく劣っており、保存中に失活していることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、芳香族ビニル化合物の重合用触媒であって、高い重合活性を示し、その調製後から重合反応に供するまでの間、その重合活性が低下しにくい触媒の調製方法が提供される。当該調製方法を利用することで、工業的規模で重合反応を行う場合であっても、芳香族ビニル化合物重合体を効率よく生産することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程Aおよび工程Bを含む、芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
工程A:周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を含むハーフメタロセン錯体、前記ハーフメタロセン錯体に対するモル比が20〜500となる量の有機アルミニウム化合物、および非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を用いてイオン性錯体を形成する工程
工程B:前記工程Aで形成されたイオン性錯体と芳香族ビニル化合物を接触させる工程
【請求項2】
不活性溶媒の存在下で、前記工程Aおよび工程Bを行う請求項1に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項3】
不活性溶媒に、前記ハーフメタロセン錯体、前記有機アルミニウム化合物、および前記イオン性化合物を添加して前記工程Aおよび工程Bを行う請求項2に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項4】
不活性溶媒に、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体、前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行う請求項2または3に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項5】
前記不活性溶媒が、芳香族炭化水素溶媒または脂肪族炭化水素溶媒である請求項2〜4のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項6】
前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物の添加が、前記工程Aの途中及び/または終了後である請求項2〜5のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項7】
前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物の存在下で、前記工程Aおよび工程Bを行う請求項1に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項8】
前記工程Bで用いる芳香族ビニル化合物に、前記有機アルミニウム化合物、前記ハーフメタロセン錯体および前記イオン性化合物をこの順で添加して前記工程Aおよび工程Bを行う請求項7に記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
【請求項9】
前記ハーフメタロセン錯体が、以下の式(I)で表される錯体である請求項1〜8のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
RMXa-1b (I)
[式(I)中、Rは少なくとも一つが飽和環である縮合多環式シクロペンタジエニルπ配位子を示し、Mは周期律表第3族またはランタノイド系列の遷移金属を示し、Xはσ配位子を示し、Yはルイス塩基を示す。aはMの価数、bは0、1または2を示す。]
【請求項10】
前記有機アルミニウム化合物が、以下の式(VI)で表される請求項1〜9のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
R’R’’R’’’Al (VI)
[式(VI)中、R’、R’’およびR’’’はそれぞれ独立に炭素数3〜5のアルキル基を示す。]
【請求項11】
前記イオン性化合物が、置換又は無置換のトリアリールカルベニウムまたは置換又は無置換のアニリニウムから選ばれるカチオンと以下の式(VII)で表される非配位性アニオンからなるイオン性化合物である請求項1〜10のいずれかに記載の芳香族ビニル化合物の重合用触媒の調製方法。
(BZ1234- (VII)
[式(VII)中、Z1〜Z4は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(ハロゲン置換アリール基を含む)、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基及び有機メタロイド基又はハロゲン原子を示す。]
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法で調製された芳香族ビニル化合物の重合用触媒を用いて、芳香族ビニル化合物を重合して、芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上である芳香族ビニル化合物重合体を製造する方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法で調製された芳香族ビニル化合物の重合用触媒を用いて、芳香族ビニル化合物およびオレフィン系モノマーを重合して、芳香族ビニル化合物から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上である芳香族ビニル化合物重合体を製造する方法。

【公開番号】特開2012−57015(P2012−57015A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200369(P2010−200369)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】