説明

芳香族化合物、有機電子素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】発光効率が高く、長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを実現する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供する。
【解決手段】
炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で架橋したπ共役ヘテロアセン骨格を有する特定構造の芳香族化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、並びに、陰極と陽極間に、発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有し、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な芳香族化合物、有機電子素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に、発光効率が高く、長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを実現する芳香族化合物及び有機電子素子用材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略記することがある)、有機太陽電池、有機半導体レーザー、有機物を用いるセンサー、有機薄膜トランジスタ、発光トランジスタ等の有機電子素子は、低電圧駆動や軽量性を利点とする素子として、開発が進められている。特に、有機EL素子は、実用化段階を迎え、携帯電話のディスプレイやテレビに組み込まれる形で販売されている。
有機EL素子は、電界を印加することより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質やりん光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。低電圧駆動の積層型有機EL素子が報告されて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。J.Appl.Phys.,65,p3610(1989)に記載の積層型素子では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0003】
有機EL素子の発光材料としてはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらからは青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子に採用されている。
また、近年、有機EL素子の発光層に上記のような蛍光材料の他に、りん光発光材料を利用することも提案されている。このように有機EL素子の発光層において有機りん光発光材料の励起状態の一重項状態と三重項状態とを利用し、高い発光効率が達成されている。有機EL素子内で電子と正孔が再結合する際にはスピン多重度の違いから一重項励起子と三重項励起子とが1:3の割合で生成すると考えられているので、りん光発光性の発光材料を用いれば蛍光のみを使った素子に比べて3〜4倍の発光効率の達成が考えられる。
【0004】
これらりん光発光性材料に適合するホスト材料としては特許文献1、2に記載されるカルバゾール誘導体が知られていおり、発光効率や色純度の高い有機EL素子を実現している。しかしながら、発光効率や発光寿命については更なる改良が期待されている。
また、特許文献3や非特許文献1には本発明の芳香族化合物に類似する構造のベンゾピラノジベンゾピラン誘導体が記載されている。具体的には、特許文献3には、フッ化水素を利用してトリフルオロメチル基を導入したベンゾピラノジベンゾピラン誘導体が開示されており、低誘電率と低吸水性を特徴とするポリマーの原料として使用されている。また、非特許文献1には、ジベンゾピランを構成するピラン環のメチレン基における水素がジメチルアミノフェニル基で置換されたベンゾピラノジベンゾピラン誘導体が開示されている。しかし、ジメチルアミノ基を有するピラン誘導体は、寿命の点で有機電子素子用材料として好ましいものではない。すなわち、特許文献3及び非特許文献1のいずれも、本発明の芳香族化合物についての記載や示唆はなく、また、ベンゾピラノジベンゾピラン誘導体を有機電子素子用材料として用いることについても、何ら記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO03/80760号
【特許文献2】国際公開WO04/74399号
【特許文献3】特開平4−338391号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of the Chemical Society(1935,p1403−1404)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、有機電子素子用材料として、特に、発光効率が高く、長寿命である有機EL素子を実現する有機EL素子用材料として好適に用いられる芳香族化合物及びこれを用いてなる有機EL素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素原子、酸素原子または硫黄原子で架橋したヘテロアセン骨格を有する特定構造の芳香族化合物を有機EL素子などの有機電子素子用材料として用いることにより、前記の目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
1.下記一般式(1)または(2)で表される芳香族化合物、
【化1】

[一般式(1)および(2)において、Cは炭素原子を表し、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造、または環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造を表し、Y1〜Y3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜50の−N(R2)(R3)基(R2及びR3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、q1〜q3は、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、sは、1、2または3を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、p1及びp2は、それぞれ独立に、0または1を表し、前記p1及びp2が0を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基(但し、パーフルオロアルキル基であることはない。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、また、前記p1及びp2が1を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
一般式(2)において、nは2、3または4を表し、L3は単結合または2〜4価の連結基を表し、Ar1〜Ar3のいずれかに、それぞれ独立に結合し、nが2を表す場合、L3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、nが3を表す場合、L3は、ホウ素原子、窒素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカントリイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の3価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の3価の芳香族複素環基を表し、nが4を表す場合、L3は、ケイ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の4価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の4価の芳香族複素環基を表す。
但し、一般式(1)において、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合、A3及びA5が無置換のフェニル基であり、A4及びA6がジメチルアミノフェニル基である場合はない。]
2.前記Ar1〜Ar3がいずれもベンゼン環構造である上記1記載の芳香族化合物、
3.前記p1及びp2がいずれも1を表す上記2記載の芳香族化合物、
4.前記A1及びA2が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、L1及びL2が、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す上記2記載の芳香族化合物。
5.下記一般式(1−a)または(2−a)で表される上記2記載の芳香族化合物、
【化2】

6.下記一般式(1−b)または(2−b)で表される上記2記載の芳香族化合物、
【化3】

7.下記一般式(1−c)または(2−c)で表される上記2記載の芳香族化合物、
【化4】

8.下記一般式(1)または(2)で表される有機電子素子用材料、
【化5】

[一般式(1)および(2)において、Cは炭素原子を表し、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造、または環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造を表し、Y1〜Y3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜50の−N(R2)(R3)基(R2及びR3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、q1〜q3は、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、sは、1、2または3を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、p1及びp2は、それぞれ独立に、0または1を表し、前記p1及びp2が0を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、また、前記p1及びp2が1を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
一般式(2)において、nは2、3または4を表し、L3は単結合または2〜4価の連結基を表し、Ar1〜Ar3のいずれかに、それぞれ独立に結合し、nが2を表す場合、L3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、nが3を表す場合、L3は、ホウ素原子、窒素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカントリイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の3価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の3価の芳香族複素環基を表し、nが4を表す場合、L3は、ケイ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の4価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の4価の芳香族複素環基を表す。]
9.前記一般式(1)において、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合、A3及びA5は無置換のフェニル基ではなく、A4及びA6はジメチルアミノフェニル基ではない上記8記載の有機電子素子用材料、
10.有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である上記8記載の有機電子素子用材料、
11.下記一般式(1−a)または(2−a)で表される上記10記載の有機電子素子用材料、
【化6】

12.下記一般式(1−b)または(2−b)で表される上記10記載の有機電子素子用材料、
【化7】

13.下記一般式(1−c)または(2−c)で表される上記10記載の有機電子素子用材料、
【化8】

14.陰極と陽極間に、発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有し、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、上記10記載の有機電子素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子、
15.前記発光層が、前記有機電子素子用材料をホスト材料として含有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
16.前記発光層が、さらにりん光発光性材料を含有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
17.前記発光層がホスト材料とりん光性発光性材料とを含有し、該りん光発光性材料がイリジウム(Ir),オスミウム(Os)又は白金(Pt)金属のオルトメタル化錯体である上記16記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
18.前記発光層と陰極との間に電子注入層を有し、該電子注入層が含窒素環誘導体を含有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
19.前記発光層と陰極との間に電子輸送層を有し、該電子輸送層が前記有機電子素子用材料を含有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
20.前記発光層と陰極との間に電子輸送層を有し、該電子輸送層及び前記発光層が前記有機電子素子用材料を含有する上記19記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
21.前記発光層が、上記11〜13のいずれかに記載の有機電子素子用材料をホスト材料として含有する上記12記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
22.前記発光層と陽極との間に正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が前記有機電子素子用材料を含有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び
23.前記陰極と有機薄膜層との界面領域に還元性ドーパントを有する上記14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機電子素子用材料として、特に、発光効率が高く、長寿命である有機EL素子を実現する有機EL素子用材料として好適な芳香族化合物及びこれを用いてなる有機EL素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の芳香族化合物は、下記一般式(1)または(2)で表される。
【化9】

【0012】
一般式(1)及び(2)において、Cは炭素原子を表す。
一般式(1)及び(2)において、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造、または環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造を表す。
一般式(1)及び(2)において、Y1〜Y3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜50の−N(R2)(R3)基(R2及びR3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。
一般式(1)及び(2)において、q1〜q3は、それぞれ独立に、0または1以上の整数である。q1〜q3が2以上である場合、複数のY1〜Y3は、それぞれにおいて互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)及び(2)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式(1)及び(2)において、sは1、2または3を表し、蒸着法を採用して素子を製造する場合における、生産性向上や化合物の劣化防止の観点からは、好ましくは1である。sが2または3を表す場合、[]内の複数の繰り返し単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0013】
一般式(1)及び(2)において、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
一般式(1)及び(2)において、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。
一般式(1)及び(2)において、Z1は、A3及びA4と結合して、Cと共に環を形成する2価の連結基であり、Z2は、A5及びA6と結合して、Cと共に環を形成する2価の連結基である。Z1及びZ2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
【0014】
一般式一般式(1)及び(2)において、p1及びp2は、それぞれ独立に、0または1を表す。
一般式一般式(1)及び(2)において、p1及びp2が0を表す場合、対応するA3〜A6は1価の基であり、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基(但し、パーフルオロアルキル基であることはない。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、また、前記p1及びp2が1を表す場合、対応するA3〜A6は2価の基であり、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
【0015】
一般式(2)において、nは2、3または4を表し、[]内の構造は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(2)において、L3は単結合または2〜4価の連結基を表し、Ar1〜Ar3のいずれかに、それぞれ独立に結合する。L3の結合位置は、Ar1〜Ar3に置換する位置であればどこでも良い。
一般式(2)において、nが2を表す場合、L3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、nが3を表す場合、L3は、ホウ素原子、窒素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカントリイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の3価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の3価の芳香族複素環基を表し、nが4を表す場合、L3は、ケイ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の4価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の4価の芳香族複素環基を表す。
但し、一般式(1)において、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合、A3及びA5が無置換のフェニル基であり、A4及びA6がジメチルアミノフェニル基である場合はない。
【0016】
上記一般式(1)で表される本発明の芳香族化合物は、下記一般式(1−a)、(1−b)及び(1−c)のいずれかで表されるものであると、有機電子素子用材料、特に有機EL素子用材料として好ましい。また、上記一般式(2)で表される芳香族化合物は、下記一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)のいずれかで表されると、有機電子素子用材料、特に有機EL素子用材料として好ましい。その理由として、目的とする化合物が製造し易いことや、中心骨格に起因する物性の安定性が挙げられる。
【0017】
【化10】

【0018】
一般式(1−a)、(1−b)、(1−c)、(2−a)、(2−b)及び(2−c)において、Y1〜Y3、q1〜q3、X1、X2、L1、L2、A1、A2、Z1、Z2、p1,p2,A3〜A6及びL3は、それぞれ前記一般式(1)及び(2)に記載のものと同様である。
一般式(1−a)、(1−b)、(1−c)、(2−a)、(2−b)及び(2−c)で表される芳香族化合物は、上記一般式(1)及び(2)において、Ar1、Ar2及びAr3が置換もしくは無置換の環形成炭素数6の芳香族炭化水素環構造、即ちベンゼン環構造である化合物である。
【0019】
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3、R1〜R3、A1〜A6、L1〜L3、Z1及びZ2で示される炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基等や、これらを2〜4価とした基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基や、これらを2〜4価とした基が好ましい。更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基や、これらを2〜4価とした基である。
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3、R1〜R3、A1〜A6、L1〜L3、Z1及びZ2で示される置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、シクロアルキレン基、シクロアルカントリイル基、シクロアルカンテトライル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等や、これらを2〜4価とした基が挙げられ、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基や、これらを2〜4価とした基が好ましい。
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3及びR1〜R3で示される炭素数7〜24のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3、R1〜R3、A1、A2、L1〜L3、Z1及びZ2で示される炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、トリオクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロイルシリル基、ジメチルプロピルシリル基、ジメチルブチルシリル基、ジメチルターシャリーブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジフェニルターシャリーブチル基、トリフェニルシリル基や、これらの基のケイ素原子から置換基を除き2〜3価とした基が挙げられ、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基や、これらの基のケイ素原子から置換基を除き2〜3価とした基が好ましい。L1〜L3がオルガノシリル基の場合、該基を構成するケイ素原子を通して、本発明の芳香族化合物を形成する他の構造、例えば、一般式(1)及び(2)におけるA1,A2、Ar1、Ar3と結合する。
【0020】
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3、R1〜R3、A1〜A6、L1〜L3、Z1及びZ2で示される置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価〜4価の芳香族炭化水素基、並びにAr1〜Ar3で示される環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ペリレン、クリセン、フルオランテン、ベンゾフルオレン、ベンゾトリフェニレン、ベンゾクリセン、アントラセン等の対応する価数の残基が挙げられ、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン、フェナントレンの対応する価数の残基が好ましい。
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3、R1〜R3、A1〜A6、L1〜L3、Z1及びZ2で示される置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価〜4価の芳香族複素環基、並びにAr1〜Ar3で示される環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,3,5−トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、1,3,5−トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アゼピン、フェノキサジン、フェノチアジン、ジヒドロアクリジン等の対応する価数の残基が挙げられ、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、ジヒドロアクリジン等の対応する価数の残基が好ましい。
ただし、上記A3〜A6及びR1〜R3で示される芳香族複素環基は、その環形成炭素原子を通して、本発明の芳香族化合物を形成する他の構造、例えば、一般式(1)及び(2)における,C,Z1、Z2と結合する。
【0021】
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3で示される炭素数1〜20のアルコキシ基のアルキル基部分、並びにY1〜Y3、R1〜R3、A1、A2、L1〜L3、Z1及びZ2で示される炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基のアルキル基部分としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、Y1〜Y3で示される炭素数6〜24のアリールオキシ基のアリール基部分としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ペリレン、クリセン、フルオランテン、ベンゾフルオレン、ベンゾトリフェニレン、ベンゾクリセン、アントラセン等を1価の基としたものが挙げられ、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン又はフェナントレンを1価の基としたものが好ましい。
【0022】
上記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)において、前記各基に置換してもよい置換基としては、例えば、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等)、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜40のシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基等)、環形成炭素数3〜10のシクロアルコキシ基(シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、環形成炭素数6〜40の芳香族炭化水素基、環形成原子数3〜40の芳香族複素環基、環形成炭素数6〜40の芳香族炭化水素基で置換されたアミノ基、環形成炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基が有機EL素子用材料として好ましい。また、置換基の数は1又は2が好ましい。
【0023】
上記一般式(2),(2−a),(2−b),(2−c)で表される芳香族化合物を有機電子素子用材料、特に有機EL素子用材料に使用する場合、nが2であると、蒸着法を採用して素子を製造する場合に、生産性向上や化合物の劣化防止の点で好ましい。
また、上記一般式(1),(1−a),(1−b),(1−c)で表される芳香族化合物においては、q1〜q3の合計数が3以下、一般式(2),(2−a),(2−b)及び/又は(2−c)で表される芳香族化合物においては、[]n内構造1つにおけるq1〜q3の合計数が3以下であると、蒸着法を採用して素子を製造する場合における、生産性向上や化合物の劣化防止の点で好ましい。
上記一般式(1),(2),(1−a),(1−b),(1−c),(2−a),(2−b)及び(2−c)において、X1及びX2が全て酸素原子であると、有機EL素子の寿命の点で好ましい。
【0024】
本発明の一般式(1)及び(2)で表される芳香族化合物の具体例を以下に示すが、本発明は、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0025】
【化11】

【0026】
【化12】

【0027】
【化13】

【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

【0030】
【化16】

【0031】
【化17】

【0032】
【化18】

【0033】
【化19】

【0034】
【化20】

【0035】
【化21】

【0036】
【化22】

【0037】
【化23】

【0038】
【化24】

【0039】
【化25】

【0040】
【化26】

【0041】
【化27】

【0042】
【化28】

【0043】
本発明はまた、下記一般式(1)または(2)で表わされる有機電子素子用材料をも提供する。
【化29】

【0044】
上記一般式(1)および(2)において、各基は前述の芳香族化合物についての説明における基と同様のものを表すが、一般式(1)において、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合であっても、A3及びA5が無置換のフェニル基であり、A4及びA6がジメチルアミノフェニル基であってもよい。また、p1及びp2が0を表す場合であっても、A3〜A6が、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基であってもよい。
また、有機電子素子用材料として、前述の芳香族化合物の説明において記載した、一般式(1−a),(1−b),(1−c)、(2−a),(2−b),(2−c)で示されるものが、好ましく使用できる。この場合において、各基は前述の芳香族化合物についての説明における基と同様のものを表すが、一般式(1−a),(1−b),(1−c)においても、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合であっても、A3及びA5が無置換のフェニル基であり、A4及びA6がジメチルアミノフェニル基であってもよい。また、p1及びp2が0を表す場合であっても、A3〜A6が、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基であってもよい。
【0045】
本発明の有機電子素子用材料は、有機太陽電池用、有機半導体レーザー用、有機物を用いるセンサー用、有機薄膜トランジスタ用、発光トランジスタ用、有機EL素子用等として用いることができるが、特に有機EL素子用材料として用いると、得られる有機EL素子は高効率、特に外部量子効率が高効率となり、また長寿命となるため好適である。
【0046】
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に、発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有し、この有機薄膜層の少なくとも一層が、前記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)で表される有機電子素子用材料のいずれかを含有する。
【0047】
本発明の有機EL素子は、前記発光層と陰極との間に電子輸送層を有してもよく、該電子輸送層が前記有機電子素子用材料を含有しても良い。さらに、前記発光層と前記電子輸送層とが共に前記有機電子素子用材料を含有すると、素子を構成する材料の種類を少なくする点で好ましい。
また、本発明の有機EL素子は、前記発光層と陽極との間に正孔輸送層を有してもよく、該正孔輸送層が前記有機電子素子用材料を含有しても良い。これは、本発明の芳香族化合物が、正孔輸送能と電子輸送能の両方を有する、バイポーラ性を有するためである。
さらに、本発明の有機電子素子用材料は、少なくとも発光層に含有されていると好ましく、発光層に用いた場合は発光効率特に外部量子効率及び長寿命化が可能である。
特に、電子輸送層または電子注入層に加え、前記発光層が、本発明の有機電子素子用材料をホスト材料として含有すると、発光効率特に外部量子効率及び長寿命化の点で好ましく、前記一般式(1−a)、(1−b)、(1−c)、(2−a)、(2−b)または(2−c)で表される有機電子素子用材料をホスト材料として含有するとより好ましい。ホスト材料として含有する場合は、りん光発光材料あるいは蛍光発光材料と組合せて発光層に含有される。
【0048】
積層型の有機EL素子の構造としては、例えば、陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層(電子注入層)/陰極、陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/電子輸送層(電子注入層)/陰極、陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔障壁層/電子輸送層(電子注入層)/陰極、等の層構成で積層したものが挙げられる。
【0049】
本発明の有機EL素子において、前記発光層が、前記有機電子素子用材料をホスト材料として含有すると好ましい。また、前記発光層が、ホスト材料とりん光発光性材料を含有し、該ホスト材料が前記有機電子素子用材料であると発光効率特に外部量子効率及び長寿命化の点で好ましい。
また、前記有機電子素子用材料は、りん光発光性材料と共に用いるホスト材料またはりん光発光性材料と共に用いる電子輸送材料であっても良く、3重項のエネルギーギャップが2.2eV以上であると種々の発光色のりん光発光性材料を選択できる点で好ましく、2.5eV以上であるとより好ましい。3重項のエネルギーギャップの上限値は特に限定されないが、3.5eV程度である。ここでいう三重項エネルギーギャップはりん光スペクトル測定から求められる値であり、日本化学会編 第4版実験化学講座7 分光II p384〜404(1992年版 丸善)に記載の方法により測定できる。また、後述の実施例1、3、7及び8と同様の方法でも三重項エネルギーギャップを測定できる。
りん光発光性材料としては、りん光量子収率が高く、発光素子の外部量子効率をより向上させることができるという点で、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)又は白金(Pt)を含有する化合物であると好ましく、イリジウム錯体、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、白金錯体等の金属錯体であるとさらに好ましく、中でもイリジウム錯体及び白金錯体がより好ましく、オルトメタル化イリジウム錯体が最も好ましい。イリジウム錯体、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、白金錯体等の金属錯体の具体例を以下に示す。
【0050】
【化30】

【0051】
【化31】

【0052】
【化32】

【0053】
【化33】

【0054】
また、本発明の有機EL素子は、前記発光層が、ホスト材料とりん光発光性材料を含有する場合、発光波長の極大値が500nm以下であるりん光発光性材料を含有すると好ましい。それは、後述する実施例が示すように、発光波長の極大値が500nm以下である有機EL素子、即ち青色発光素子において半減時間が著しく向上するからである。さらに、本発明の有機EL素子用材料は、青色、緑色、赤色蛍光発光性材料(ドーパント)などの蛍光発光性ドーパントと共に用いることもできる。この場合、青色または緑色蛍光発光性ドーパントと共に用いることが好ましい。前記蛍光発光性ドーパントとしては高い発光量子収率を備えた化合物であれば特に制限はなく、例えばナフタレン、アントラセン、ナフタセン、フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ピレン、クリセン、スチルベン、フルオレン、ペリレン等の芳香族炭化水素基を有する化合物、またはピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等の芳香族複素環基を有する化合物が挙げられる。上記有機電子素子用材料は、蛍光有機EL素子の電子輸送材料としても好ましく用いることができる。
【0055】
本発明の有機EL素子は、電子注入を促進させるため、陰極と有機薄膜層(例えば電子注入層や発光層など。)との界面領域に還元性ドーパントを有することが好ましい。還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ金属錯体、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属錯体、アルカリ土類金属化合物、希土類金属、希土類金属錯体、及び希土類金属化合物等から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0056】
アルカリ金属としては、仕事関数が2.9eV以下である、Na(仕事関数:2.36eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16eV)、Cs(仕事関数:1.95eV)等が好ましく挙げられる。これらのうち、より好ましくはK、Rb、Csであり、さらに好ましくはRb又はCsであり、最も好ましくはCsである。
アルカリ土類金属としては、仕事関数が2.9eV以下である、Ca(仕事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0〜2.5eV)、Ba(仕事関数:2.52eV)等が好ましく挙げられる。
希土類金属としては、仕事関数が2.9eV以下である、Sc、Y、Ce、Tb、Yb等が好ましく挙げられる。
以上の金属のうち好ましい金属は、特に還元能力が高く、電子注入域への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が可能である。
【0057】
アルカリ金属化合物としては、Li2O、Cs2O、K2O等のアルカリ酸化物、LiF、NaF、CsF、KF等のアルカリハロゲン化物等が挙げられ、これらの中でも、LiF、Li2O、NaFが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、BaO、SrO、CaO及びこれらを混合したBamSr1-mO(0<m<1)、BamCa1-mO(0<m<1)等が挙げられ、これらの中でも、BaO、SrO、CaOが好ましい。
希土類金属化合物としては、YbF3、ScF3、ScO3、Y23、Ce23、GdF3、TbF3等が挙げられ、これらの中でも、YbF3、ScF3、TbF3が好ましい。
【0058】
アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体としては、それぞれ金属イオンとしてアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つ含有するものであれば特に限定はない。また、配位子にはキノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、及びそれらの誘導体などが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0059】
還元性ドーパントの添加形態としては、界面領域に層状又は島状に形成すると好ましい。形成方法としては、抵抗加熱蒸着法により還元性ドーパントを蒸着しながら、界面領域を形成する発光材料や電子注入材料である有機物を同時に蒸着させ、有機物中に還元性ドーパントを分散する方法が好ましい。分散濃度は、モル比で、有機物:還元性ドーパント=100:1〜1:100が好ましく、5:1〜1:5がより好ましい。
還元性ドーパントを層状に形成する場合は、界面の有機層である発光材料や電子注入材料を層状に形成した後に、還元ドーパントを単独で抵抗加熱蒸着法により蒸着し、好ましくは層の厚み0.1〜15nmで形成する。
還元性ドーパントを島状に形成する場合は、界面の有機層である発光材料や電子注入材料を島状に形成した後に、還元ドーパントを単独で抵抗加熱蒸着法により蒸着し、好ましくは島の厚み0.05〜1nmで形成する。
【0060】
本発明の有機EL素子は、発光層と陰極との間に電子注入層を有する場合、該電子注入層に用いる電子輸送性材料としては、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物が好ましく、特に含窒素環誘導体が好ましい。例えば、後述の実施例で使用しているトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)が挙げられる。
【0061】
他の含窒素環誘導体としては、例えば、下記一般式(A)で表される含窒素環金属キレート錯体が好ましい。
【0062】
【化34】

【0063】
2〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜40の炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、又は複素環基を表し、これらは置換されていてもよい。
【0064】
2〜R7が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
2〜R7が表す置換されていてもよいアミノ基としては、例えばアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等が挙げられる。該アルキルアミノ基のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、1,2−ジニトロエチル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等の炭素数1〜40のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
アリールアミノ基のアリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等などの環形成炭素数6〜40のアリール基が挙げられ、環形成炭素数6〜20のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
アラルキルアミノ基のアラルキル基としては、例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、 p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等の炭素数7〜40のアラルキル基が挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましい。
【0065】
2〜R7が表す炭素数1〜40の炭化水素基としては、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、前述のアルキルアミノ基のアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基、1−メチルアリール基、1,1−ジメチルアリール基、2−メチルアリル基、1−フェニルアリル基、2−フェニルアリル基、3−フェニルアリル基、3,3−ジフェニルアリル基、1,2−ジメチルアリル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基等の炭素数2〜40のアルケニル基が挙げられ、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等の環形成炭素数3〜40のシクロアルキル基が挙げられ、環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。
アリール基としては、前述のアリールアミノ基のアリール基と同様のものが挙げられ、環形成炭素数6〜20のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
アラルキル基としては、前述のアラルキルアミノ基のアラルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましい。
【0066】
2〜R7が表す置換されていてもよいアルコキシ基としては、アルキル基部位として前述のアルキルアミノ基のアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基がより好ましい。
2〜R7が表す置換されていてもよいアリールオキシ基としては、アリール基部位が前述のアリールアミノ基のアリール基と同様のものが挙げられ、環形成炭素数6〜20のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
2〜R7が表す置換されていてもよいアルコキシカルボニル基としては、アルキル基部位として前述のアルキルアミノ基のアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
2〜R7が表す置換されていてもよい複素環基は、単環又は縮合環であり、好ましくは環形成炭素数1〜20、より好ましくは環形成炭素数1〜12、さらに好ましくは環形成炭素数2〜10の複素環基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも一つのヘテロ原子を含む芳香族複素環基である。かかる複素環基としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、アゼピン等から誘導される基が挙げられ、好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリンであり、より好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン及びキノリンから誘導される基であり、さらに好ましくはキノリニル基である。
【0067】
Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)であり、インジウムであることが好ましい。
式(A)のL4は、下記式(A’)又は(A’’)で表される基である。
【0068】
【化35】

【0069】
(式中、R8〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40の炭化水素基を示し、互いに隣接する基が環状構造を形成していてもよい。また、R13〜R27は、それぞれ独立して、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40の炭化水素基を示し、互いに隣接する基が環状構造を形成していてもよい。)
【0070】
式(A’)中のR8〜R12及び式(A’’)中のR13〜R27が示す炭素数1〜40の炭化水素基としては、いずれもR2〜R7の具体例と同様のものが挙げられる。
また、R8〜R12、R13〜R27における、互いに隣接する基が環状構造を形成した場合の2価の基としては、例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
【0071】
式(A)で表される含窒素環の金属キレート錯体の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0072】
【化36】

【0073】
【化37】

【0074】
【化38】

【0075】
含窒素複素環誘導体としては、以下の一般式を有する有機化合物からなる含窒素複素環誘導体であって、金属錯体でない含窒素化合物も電子注入層あるいは電子輸送層用の材料として挙げられる。例えば、(a)に示す骨格を含有する5員環もしくは6員環や、式(b)に示す構造のものが挙げられる。
【0076】
【化39】

【0077】
(式(b)中、Xは炭素原子もしくは窒素原子を表す。Z1ならびにZ2は、それぞれ独立に含窒素ヘテロ環を形成可能な原子群を表す。)
【0078】
【化40】

【0079】
このような構造の化合物としては、好ましくは、5員環もしくは6員環からなる含窒素芳香多環族を有する有機化合物が挙げられる。さらには、このような複数窒素原子を有する含窒素芳香多環族の場合は、上記(a)と(b)もしくは(a)と(c)を組み合わせた骨格を有する含窒素芳香多環有機化合物が挙げられる。
【0080】
含窒素有機化合物の含窒素基は、例えば、以下の一般式で表される含窒素複素環基から選択される。
【0081】
【化41】

【0082】
(各式中、R28は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R28が複数存在する場合、それらは互いに同一又は異なっていてもよい。)
【0083】
さらに、好ましい具体的な化合物として、下記式で表される含窒素複素環誘導体が挙げられる。
【0084】
【化42】

【0085】
(式中、HAraは、置換基を有していてもよい炭素数3〜40の含窒素複素環であり、L6は単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリーレン基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリーレン基であり、Arbは置換基を有していてもよい炭素数6〜40の2価の芳香族炭化水素基であり、Arcは置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基である。)
【0086】
HAraは、例えば、下記の群から選択される。
【0087】
【化43】

【0088】
6は、例えば、下記の群やメタフェニレンから選択される。
【0089】
【化44】

【0090】
Arcは、例えば、下記の群やカルバゾリル基から選択される。
【0091】
【化45】

【0092】
Arbは、例えば、フェニレン基や下記のアリールアントラニル基から選択される。
【0093】
【化46】

【0094】
(式中、R29〜R42は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は炭素数3〜40のヘテロアリール基であり、Ardは、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は炭素数3〜40のヘテロアリール基である。)
また、上記式で表されるArbにおいて、R29〜R36は、いずれも水素原子である含窒素複素環誘導体が好ましい。
【0095】
この他、下記の化合物(特開平9−3448号公報参照)も好適に用いられる。
【0096】
【化47】

【0097】
(式中、R43〜R46は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族基、置換もしくは未置換の脂肪族式環基、置換もしくは未置換の炭素環式芳香族環基、置換もしくは未置換の複素環基を表し、X1、X2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子もしくはジシアノメチレン基を表す。)
【0098】
また、下記の化合物(特開2000−173774号公報参照)も好適に用いられる。
【0099】
【化48】

【0100】
式中、R47、R48、R49及びR50は互いに同一の又は異なる基であって、下記式で表わされるアリール基である。
【0101】
【化49】

【0102】
(式中、R51、R52、R53、R54及びR55は互いに同一の又は異なる基であって、水素原子、或いはそれらの少なくとも1つが飽和または不飽和アルコキシル基、アルキル基、アミノ基又はアルキルアミノ基である。)
【0103】
さらに、該含窒素複素環基もしくは含窒素複素環誘導体を含む高分子化合物であってもよい。
【0104】
また、電子輸送層は、下記一般式(201)〜(203)で表される含窒素複素環誘導体の少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。
【0105】
【化50】

【0106】
式(201)〜(203)中、R56は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基で、nは0〜4の整数であり、R57は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R58及びR59は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基であり、L7は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、置換基を有していてもよいキノリニレン基又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基であり、Areは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基又は置換基を有していてもよいキノリニレン基であり、Arfは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基である。
Argは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、又は−Are−Arfで表される基(Are及びArfは、それぞれ前記と同じ)である。
【0107】
なお、前記式(201)〜(203)において、R56は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基である。
【0108】
前記炭素数6〜60のアリール基としては、炭素数6〜40のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がさらに好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、クリセニル基、ピレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、トリル基、t−ブチルフェニル基、(2−フェニルプロピル)フェニル基、フルオランテニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレンからなる1価の基、パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロアントリル基、パーフルオロビフェニル基、9 − フェニルアントラセンからなる1価の基、9− (1’−ナフチル) アントラセンからなる1価の基、9−(2’−ナフチル)アントラセンからなる1価の基、6−フェニルクリセンからなる1価の基、9−[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]アントラセンからなる1価の基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、9−(10−フェニル)アントリル基、9−[10−(1’−ナフチル)]アントリル基、9−[10−(2’−ナフチル)]アントリル基等が好ましい。
【0109】
炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の他、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基が挙げられ、炭素数が3 以上のものは直鎖状、環状又は分岐を有するものでもよい。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖状、環状又は分岐を有するものでもよい。
【0110】
56の示す各基の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリール基としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0111】
炭素数6〜40のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、例えば、ピローリル基、フリル基、チエニル基、シローリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフリル基、イミダゾリル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、セレノフェニル基、オキサジアゾリル基、トリアゾーリル基等が挙げられる。
nは0〜4の整数であり、0〜2であると好ましい。
【0112】
前記式(201)において、R57は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基である。
【0113】
前記式(202)及び(203)において、R58及びR59は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基である。
これら各基の具体例、好ましい炭素数及び置換基としては、前記R56について説明したものと同様である。
【0114】
前記式(201)〜(203)において、L7は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、置換基を有していてもよいキノリニレン基又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基である。
炭素数6〜60のアリーレン基としては、炭素数6〜40のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜20のアリーレン基がさらに好ましく、具体的には、前記Rについて説明したアリール基から水素原子1個を除去して形成される2価の基が挙げられる。L7の示す各基の置換基としては、前記R56について説明したものと同様である。
【0115】
また、L7は、
【0116】
【化51】

【0117】
からなる群から選択される基であると好ましい。
前記式(201)において、Areは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基又は置換基を有していてもよいキノリニレン基である。Are及びArgの示す各基の置換基としては、それぞれ前記R56について説明したものと同様である。
また、Areは、下記式(101)〜(110)で表される縮合環基から選択されるいずれかの基であると好ましい。
【0118】
【化52】

【0119】
前記式(101)〜(110)中、それぞれの縮合環は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20 のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基からなる結合基が結合していてもよく、該結合基が複数ある場合は、該結合基は互いに同一でも異なっていてもよい。これら各基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
前記式(110)において、L’は、単結合、又は
【0120】
【化53】

【0121】
からなる群から選択される基である。
Areの示す前記式(103)が、下記式(111)〜(125)で表される縮合環基であると好ましい。
【0122】
【化54】

【0123】
前記式(111)〜(125)中、それぞれの縮合環は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基からなる結合基が結合していてもよく、該結合基が複数ある場合は、該結合基は互いに同一でも異なっていてもよい。これら各基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0124】
前記式(201)において、Arfは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基である。
これら各基の具体例、好ましい炭素数及び置換基としては、前記R56について説明したものと同様である。
【0125】
前記式(202)及び(203)において、Argは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、又は−Are−Arfで表される基(Are及びArfは、それぞれ前記と同じ)である。
これら各基の具体例、好ましい炭素数及び置換基としては、前記R56について説明したものと同様である。
また、Argは、下記式(126)〜(135)で表される縮合環基から選択されるいずれかの基であると好ましい。
【0126】
【化55】

【0127】
前記式(126)〜(135)中、それぞれの縮合環は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基からなる結合基が結合していてもよく、該結合基が複数ある場合は、該結合基は互いに同一でも異なっていてもよい。これら各基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
前記式(135)において、L’は、前記と同じである。
前記式(126)〜(135)において、R’は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基である。これら各基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
Argの示す一般式(128)が、下記式(136)〜(158)で表される縮合環基であると好ましい。
【0128】
【化56】

【0129】
前記式(136)〜(158)中、それぞれの縮合環は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜40のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基からなる結合基が結合していてもよく、該結合基が複数ある場合は、該結合基は互いに同一でも異なっていてもよい。これら各基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。R’は、前記と同じである。
また、Arf及びArgは、それぞれ独立に、
【0130】
【化57】

【0131】
からなる群から選択される基であると好ましい。
本発明の前記式(201)〜(203)で示される含窒素複素環誘導体の具体例を下記に示すが、本発明はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
なお、下記表において、HArは、前記式(201)〜(203)における、
【0132】
【化58】

【0133】
を示す。
【0134】
【化59】

【0135】
【化60】

【0136】
【化61】

【0137】
【化62】

【0138】
【化63】

【0139】
【化64】

【0140】
【化65】

【0141】
【化66】

【0142】
【化67】

【0143】
【化68】

【0144】
【化69】

【0145】
【化70】

【0146】
【化71】

【0147】
【化72】

【0148】
【化73】

【0149】
【化74】

【0150】
【化75】

【0151】
以上の具体例のうちでは、特に、(1−1)、(1−5)、(1−7)、(2−1)、(3−1)、(4−2)、(4−6)、(7−2)、(7−7)、(7−8)、(7−9)、(9−1)、(9−7)が好ましい。
【0152】
また、含窒素環誘導体としては、含窒素5員環誘導体も好ましく挙げられる。該含窒素5員環としては、例えばイミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、オキサトリアゾール環、チアトリアゾール環等が挙げられ、含窒素5員環誘導体としては、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ピリジノイミダゾール環、ピリミジノイミダゾール環、ピリダジノイミダゾール環であり、特に好ましくは、下記一般式(B)で表されるものである。
【0153】
【化76】

【0154】
一般式(B)中、LBは二価以上の連結基を表し、例えば、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、金属原子(例えば、バリウム原子、ベリリウム原子)、芳香族炭化水素環、芳香族複素環等が挙げられ、これらのうち炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、芳香族炭化水素環、芳香族複素環基が好ましく、炭素原子、ケイ素原子、芳香族炭化水素環、芳香族複素環基がさらに好ましい。
Bの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基である。
【0155】
Bの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0156】
【化77】

【0157】
一般式(B)におけるXB2は、−O−、−S−又は−N(RB2)−を表す。RB2は、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基を表す。
B2の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。)、シクロアルキル基(好ましくは環形成炭素数3〜10であり、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基等が挙げられる。)であり、アルキル基が好ましい。
【0158】
B2のアリール基は単環又は縮合環であり、好ましくは環形成炭素数6〜30、より好ましくは環形成炭素数6〜20、さらに好ましくは環形成炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、2−メチルフェニル基が好ましい。
【0159】
B2の複素環基は、単環又は縮合環であり、好ましくは環形成炭素数1〜20、より好ましくは環形成炭素数1〜12、さらに好ましくは環形成炭素数2〜10の複素環基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも一つのヘテロ原子を含む芳香族複素環基である。この複素環基の例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、アゼピン等から誘導される基が挙げられ、好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリンであり、より好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン及びキノリンから誘導される基であり、さらに好ましくはキノリニル基である。
【0160】
B2で表される脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基である。
B2としては、好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基であり、より好ましくは脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のもの)又はアリール基であり、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数2〜10のもの)である。
B2としては、好ましくは−O−又はN(RB2)−であり、より好ましくは−N(RB2)−である。
【0161】
B2は、芳香族環を形成するために必要な原子群を表す。ZB2で形成される芳香族環は芳香族炭化水素環、芳香族複素環のいずれでもよく、具体例としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、テルロフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、テルラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ピリジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0162】
B2で形成される芳香族環は、さらに他の環と縮合環を形成してもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては前記LBで表される基の置換基として挙げたものと同様であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基である。
B2は、1〜4の整数であり、2〜3であると好ましい。
【0163】
前記一般式(B)で表される含窒素5員環誘導体のうち、さらに好ましくは下記一般式(B’)で表されるものが好ましい。
【0164】
【化78】

【0165】
一般式(B’)中、RB71、RB72及びRB73は、それぞれ一般式(B)におけるRB2と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
B71、ZB72及びZB73は、それぞれ一般式(B)におけるZB2と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
B71、LB72及びLB73は、それぞれ連結基を表し、一般式(B)におけるLBの例を二価としたものが挙げられ、好ましくは、単結合、二価の芳香族炭化水素環基、二価の芳香族複素環基、及びこれらの組み合わせからなる連結基であり、より好ましくは単結合である。LB71、LB72及びLB73は置換基を有していてもよく、置換基としては前記一般式(B)におけるLBで表される基の置換基として挙げたものと同様であり、また好ましい置換基も同様である。
Bは、窒素原子、1,3,5−ベンゼントリイル基又は2,4,6−トリアジントリイル基を表す。1,3,5−ベンゼントリイル基は2,4,6−位に置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばアルキル基、芳香族炭化水素環基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0166】
一般式(B)又は一般式(B’)で表される含窒素5員環誘導体の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0167】
【化79】

【0168】
【化80】

【0169】
電子注入層及び電子輸送層を構成する化合物としては、本発明の有機電子素子用材料の他、電子欠乏性含窒素5員環又は電子欠乏性含窒素6員環骨格と、置換又は無置換のインドール骨格、置換又は無置換のカルバゾール骨格、置換又は無置換のアザカルバゾール骨格を組み合わせた構造を有する化合物等も挙げられる。また、好適な電子欠乏性含窒素5員環又は電子欠乏性含窒素6員環骨格としては、例えばピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、トリアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、キノキサリン、ピロール骨格及び、それらがお互いに縮合したベンズイミダゾール、イミダゾピリジン等の分子骨格が挙げられる。これらの組み合わせの中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン骨格と、カルバゾール、インドール、アザカルバゾール、キノキサリン骨格が好ましく挙げられる。前述の骨格は置換されていてもよいし、無置換でもよい。
電子輸送性化合物の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されない。
【0170】
【化81】

【0171】
【化82】

【0172】
電子注入層及び電子輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。これらの層の材料、特に電子輸送層の材料としては、π電子欠乏性含窒素ヘテロ環基を有していることが好ましく、具体的には、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。
【0173】
また、電子注入層の構成成分として、含窒素環誘導体の他に無機化合物として、絶縁体又は半導体を使用することが好ましい。電子注入層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲニド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲニドとしては、例えばLi2O、K2O、Na2S、Na2Se及びNa2Oが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲニドとしては、例えばCaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えばLiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えばCaF2、BaF2、SrF2、MgF2及びBeF2等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
また、半導体としては、例えばBa、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等が挙げられ、これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、電子注入層を構成する無機化合物が、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。なお、このような無機化合物としては、例えばアルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。
また、本発明における電子注入層には、前述の還元性ドーパントを好ましく含有させることができる。
なお、電子注入層又は電子輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは、1〜100nmである。
【0174】
正孔注入層又は正孔輸送層(正孔注入輸送層も含む)には芳香族アミン化合物、例えば、一般式(I)で表わされる芳香族アミン誘導体が好適に用いられる。
【化83】

【0175】
一般式(I)において、Ar1〜Ar4は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基を表す。
【0176】
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、フルオランテニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0177】
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0178】
Lは連結基である。具体的には置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリーレン基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリーレン基、または、2個以上のアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基を単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、アミノ基で結合して得られる2価の基である。環形成炭素数6〜50のアリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、9,10−アントラニレン基、9,10−フェナントレニレン基、3,6−フェナントレニレン基、1,6−ピレニレン基、2,7−ピレニレン基、6,12−クリセニレン基、4,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,7−フルオレニレン基等が挙げられる。環形成原子数5〜50のアリーレン基としては、例えば、2,5−チオフェニレン基、2,5−シローリレン基、2,5−オキサジアゾーリレン基等が挙げられる。好ましくは1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、9,10−アントラニレン基、6,12−クリセニレン基、4,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,7−フルオレニレン基である。
【0179】
Lが2個以上のアリーレン基またはヘテロアリーレン基からなる連結基である場合、隣り合うアリーレン基またはヘテロアリーレン基は2価の基を介して互いに結合して新たな環を形成してもよい。環を形成する2価基の例としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
【0180】
Ar1〜Ar4およびLの置換基としては、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基で置換されたアミノ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基等である。
【0181】
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基の例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、フルオランテニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0182】
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基の例としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
【0183】
置換又は無置換の炭素数1〜50のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0184】
置換もしくは無置換の炭素数3〜50のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
【0185】
置換又は無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基は、−OYで表される基である。Yの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0186】
置換又は無置換の炭素数7〜50のアラルキル基の例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、 p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられる。
【0187】
置換又は無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基は、−OY’と表され、Y’の例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。
【0188】
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリールオキシ基は、−OZ’と表され、Z’の例としては2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
【0189】
置換又は無置換の環形成炭素数6〜50のアリールチオ基は、−SY”と表され、Y”の例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。
【0190】
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリールチオ基は、−SZ”と表され、Z”の例としては2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
【0191】
置換又は無置換の炭素数2〜50のアルコキシカルボニル基は−COOZと表され、Zの例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0192】
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基で置換されたアミノ基は−NPQと表わされ、P、Qの例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
【0193】
一般式(I)の化合物の具体例を以下に記すが、これらに限定されるものではない。
【化84】

【0194】
また、下記一般式(II)の芳香族アミンも正孔注入層または正孔輸送層の形成に好適に用いられる。
【化85】

【0195】
一般式(II)において、Ar1〜Ar3の定義は前記一般式(I)のAr1〜Ar4の定義と同様である。以下に一般式(II)の化合物の具体例を記すがこれらに限定されるものではない。
【化86】

本発明の化合物は、正孔および電子を輸送する化合物であるため、正孔注入層または輸送層、電子注入層または輸送層にも用いることができる。
【0196】
本発明において、有機EL素子の陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が適用できる。また陰極としては、電子注入層又は発光層に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等が使用できる。
【0197】
本発明の有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。本発明の有機EL素子に用いる、前記一般式(1)、(2)、(1−a)〜(1−c)及び(2−a)〜(2−c)で表される化合物を含有する有機薄膜層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
本発明の有機EL素子の各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【実施例】
【0198】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0199】
合成例1(化合物1の合成)
【化87】

【0200】
アルゴン雰囲気下、ディーン・スターク管を取り付けた三口フラスコにカテコール(27.5g,250mmol)、K2CO3(38.0g,275mmol)、トルエン(150ミリリットル)、ジメチルアセトアミド(250ミリリットル)を入れて5時間還流し脱水を行った。室温まで冷却した後、エバポレータにてトルエンを除去し、その後5−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(100.0g,500mmol)を加え、アルゴン雰囲気下4時間還流した。反応終了後、トルエンを1リットル加えて分液ロートに移し、500ミリリットルの水で3回水洗した。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルショートカラムを通し、濃縮した。析出した試料をメタノールで分散洗浄し、ろ取した。
これを50℃で4時間真空乾燥して化合物1を得た(収量:99.7g、収率:85%)。
FD−MS分析 C2010Br222:理論値468、観測値468
【0201】
合成例2(化合物2の合成)
【化88】

【0202】
三口フラスコに化合物1(99.7g,212mmol)、KOH 水溶液(2モル/リットル、636ミリリットル)、メタノール(318ミリリットル)、1,4−ジオキサン(318ミリリットル)を入れアルゴン雰囲気下36時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、その後氷水で冷却しながら塩酸でpH1に調整し、析出した試料をろ取、水洗した。これを60℃で8時間真空乾燥し、化合物2を得た(収量:90.5g、収率:84%)
FD−MS分析 C2012Br26:理論値506、観測値506
【0203】
合成例3(化合物3の合成)
【化89】

【0204】
三口フラスコに化合物2(90.5g,178mmol)、メタノール(890ミリリットル)、硫酸(17.5g)を加え、アルゴン雰囲気下12時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却しエバポレータで溶液を濃縮した。ジクロロメタンを加えて試料を溶解させ、炭酸水素ナトリウムで中和した。分液ロートに移し有機相を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ジクロロメタン)にて精製した。これをメタノールから再結晶した後、60℃で4時間真空乾燥し、化合物3を得た(収量:81.8g、収率:85%)
FD−MS分析 C2216Br26:理論値534、観測値534
【0205】
合成例4(化合物4の合成)
【化90】

三口フラスコに化合物3(53.6g,100mmol)、脱水テトラヒドロフラン(400ミリリットル)を入れて化合物3を溶解させ、0℃に冷却し、そこへメチルマグネシウムブロマイド/テトラヒドロフラン溶液 (1.06モル/リットル、415ミリリットル,440mmol)を30分かけて滴下した。その後室温で24時間撹拌した。
反応終了後、氷水で冷却して水を加えて失活し、エバポレータでテトラヒドロフランをおおかた除去したのち塩化アンモニウムで中和した。これを分液ロートに移し、ジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ジクロロメタン)にて精製し化合物4を得た(収量:44.54g、収率:83%)
FD−MS分析 C2424Br24:理論値534、観測値534
【0206】
合成例5(化合物5の合成)
【化91】

【0207】
三口フラスコに化合物4(18.6g,34.7mmol)、クロロホルム(150ミリリットル)を入れて溶解させておき、そこへAlCl3(9.25g,69.4mmol)を加え、0℃で2時間撹拌した。反応終了後、水を加えて失活し、これを分液ロートに移し、ジクロロメタンで抽出した。これを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:ジクロロメタン=8:2)にて精製し化合物5を得た(収量:6.65g、収率:38%)
FD−MS分析 C2420Br22:理論値498、観測値498
【0208】
合成実施例1(化合物(1−2)の合成)
【化92】

【0209】
三口フラスコに化合物5(2.50g,5mmol)、3−ビフェニリルボロン酸(2.28g,11.5mmol)、Na2CO3 水溶液(2モル/リットル、10ミリリットル)、1,2−ジメトキシエタン (5ミリリットル)、トルエン (5ミリリットル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.29g,0.25mmol)を入れアルゴン雰囲気下10時間還流した。
反応終了後、溶液を分液ロートに移し、トルエンにて抽出した。これを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)にて生成し化合物(1−2)を得た(収量:1.70g、収率:53%)。
FD−MS分析 C48382:理論値646、観測値646
【0210】
合成実施例2(化合物(1−13)の合成)
【化93】

【0211】
三口フラスコに化合物5(4.0g,8mmol)、カルバゾール (3.21g,19.2mmol)、ヨウ化銅(1.52g,8mmol)、K3PO4(10.19g,48mmol)、脱水1,4−ジオキサン(16ミリリットル)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(2.74g,24mmol)を入れアルゴン雰囲気下30時間還流した。
反応終了後、溶液にトルエン500ミリリットルを加え不溶物をろ過で除去し、ろ液を濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)にて生成し化合物7を得た(収量:3.10g、収率:58%)。
FD−MS分析 C483622:理論値672、観測値672
【0212】
合成例6(化合物6〜11の合成)
【化94】

化合物6〜11の合成は、合成例1〜5において、原料として5−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリルを4−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリルに変更する以外は合成例1〜5と同様にして行った。
【0213】
合成実施例3(化合物(1−6)の合成)
【化95】

【0214】
化合物(1−6)の合成は、合成実施例1において、原料として化合物5を化合物11に変更する以外は合成実施例1と同様の方法で行った。
【0215】
合成実施例4(化合物(1−16)の合成)
【化96】

化合物(1−16)の合成は、原料として化合物5を化合物11に変更する以外は合成実施例2と同様の方法で行った。
【0216】
合成例7(化合物12〜14の合成)
【化97】

化合物12〜14の合成は、原料として5−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリルを2−フルオロベンゾニトリルに変更する以外は合成例1〜3と同様の方法で行った。
【0217】
合成例8(化合物15の合成)
【化98】

【0218】
三口フラスコに化合物14(9.0g,23.8mmol)、脱水テトラヒドロフラン(95ミリリットル)を入れて化合物14を溶解させ、0℃に冷却し、そこへ2−ビフェニリルマグネシウムブロミド(0.5モル/リットル、ジエチルエーテル溶液、100ミリリットル,50mmol)を加えた。その後、室温で24時間撹拌した。
反応終了後、氷水で冷却して水を加えて失活し、エバポレータでテトラヒドロフランをおおかた除去したのち塩化アンモニウムで中和した。これを分液ロートに移し、ジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ジクロロメタン:ヘキサン=5:5)にて精製し化合物15を得た(収量:2.22g、収率:15%)
FD−MS分析 C44304:理論値622、観測値622
【0219】
合成実施例5(化合物(1−45)の合成)
【化99】

【0220】
三口フラスコに化合物15(2.2g,3.5mmol)、クロロホルム(35ミリリットル)、メタンスルホン酸(3.4g,35mmol)を加え、6時間還流させた。
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、分液ロートにてジクロロメタンで抽出した。これを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これを酢酸エチルで分散洗浄し化合物(1−45)を得た(収量:1.3g、収率:62%)。
FD−MS分析 C44262:理論値586、観測値586
【0221】
合成例9(化合物16の合成)
【化100】

【0222】
ナスフラスコにジフェニルエーテル(15.3g,96mmol)を入れアルゴン置換した。そこへ脱水テトラヒドロフラン(100ミリリットル)を加え、−78℃に冷却した。そこへtert−ブチルリチウム(1.58モル/リットル、ペンタン溶液、55.7ミリリットル,88mmol)を加え、その後0℃で2時間放置し、2−リチオジフェニルエーテル/テトラヒドロフラン溶液を調製した。
三口フラスコに化合物14(15.2g,40mmol)、脱水テトラヒドロフラン(80ミリリットル)を入れて化合物14を溶解させ、0℃に冷却し、そこへ調製しておいた2−リチオジフェニルエーテル/テトラヒドロフラン溶液を滴下した。その後室温で24時間撹拌した。
反応終了後、氷水で冷却して水を加えて失活し、エバポレータでテトラヒドロフランをおおかた除去した。これを分液ロートに移し、ジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ジクロロメタン:ヘキサン=5:5)にて精製し化合物16を得た(収量:2.9g、収率:11%)。
FD−MS分析 C44306:理論値654、観測値654
【0223】
合成実施例6(化合物(1−47)の合成)
【化101】

【0224】
三口フラスコに化合物16(2.8g,4.4mmol)、クロロホルム(44ミリリットル)、メタンスルホン酸(4.2g,44mmol)を加え、6時間還流させた。
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、分液ロートにてジクロロメタンで抽出した。これを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。これを酢酸エチルで分散洗浄し化合物(1−47)を得た。
収量2.1g 収率76%
FD−MS分析 C44264:理論値618、観測値618
【0225】
合成例10(化合物17〜21の合成)
【化102】

【0226】
化合物17〜21の合成は、合成例1〜5において、原料としてカテコールをレゾルシノールに変更する以外は合成例1〜5と同様にして行った。
【0227】
合成実施例7(化合物(2−2)の合成)
【化103】

【0228】
化合物(2−2)の合成は、合成実施例1において、原料として化合物5を化合物21に変更する以外は合成実施例1と同様の方法で行った。
【0229】
合成実施例8(化合物(2−10)の合成)
【化104】

【0230】
化合物(2−10)の合成は、合成実施例3において、原料として化合物5を化合物21に変更する以外は合成実施例1と同様の方法で行った。
【0231】
合成例11(化合物21〜26の合成)
【化105】

【0232】
化合物21〜26の合成は、合成例1〜5において、原料としてカテコールをヒドロキノンに変更する以外は合成例1〜5と同様にして行った。
【0233】
合成実施例9(化合物(3−2)の合成)
【化106】

【0234】
化合物(3−2)の合成は、合成実施例1において、原料として化合物5を化合物26に変更する以外は合成実施例1と同様の方法で行った。
【0235】
合成実施例10(化合物(3−10)の合成)
【化107】

【0236】
化合物(3−10)の合成は、合成実施例3において、原料として化合物5を化合物26に変更する以外は合成実施例3と同様の方法で行った。
【0237】
合成例12(化合物27〜29の合成)
【化108】

【0238】
化合物27〜29の合成は、合成例1〜3において、原料としてカテコールをヒドロキノン、5−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリルを2−フルオロベンゾニトリルに変更する以外は化合物1〜3の合成と同様の方法で行った。
【0239】
合成実施例11(化合物(3−37)の合成)
【化109】

【0240】
化合物(3−37)の合成は、合成実施例5において、原料として化合物14を化合物30に変更する以外は合成実施例5と同様の方法で行った。
【0241】
実施例1(有機EL素子の作成)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極ライン付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間、超音波洗浄した後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。このガラス基板におけるITO層の厚みは130nmである。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして厚さ60nmの化合物(HT)を抵抗加熱蒸着により成膜した。製膜レートは1Å/sとした。このHT膜は正孔注入・輸送層として機能する。
次に、HT膜上に、下記式(1−2)であらわされる化合物を抵抗加熱蒸着により厚さ30nmで成膜した。同時に燐光ドーパントとして、化合物(BD)で表される化合物を、化合物(1−2)に対し質量比で10%になるように蒸着した。製膜レートはそれぞれ1Å/s、0.11Å/sとした。この膜は、燐光発光層として機能する。
次に、この燐光発光層上に、下記式(ET)で表される化合物を、抵抗加熱蒸着により製膜レートは1Å/sにて厚さ10nmになるように成膜した。この化合物(ET)の膜は電子輸送層として機能する。
この膜上に製膜レート1Å/sにて膜厚30nmのトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)錯体を成膜した。これは、電子注入層として機能する。
その後、LiFを膜厚0.5nm、製膜レート0.1Å/sで成膜した。このLiF膜上に金属Alを製膜レート1Å/sにて100nm蒸着させ金属陰極を形成し有機EL発光素子を作製した。
このようにして得られた有機EL素子について、輝度計CS−1000(コニカミノルタ製)を用いて発光素子の正面輝度が1000[cd/m2]になるように直流電圧を印加し、発光放射分布をランバーシアン分布と仮定して、その時の電流値から外部量子効率を算出し、また、初期輝度1000[cd/m2]における半減寿命を測定した。測定結果を表1に示す。
また、以下の方法で三重項エネルギーギャップを求めた。各材料をEPA溶媒(容積比でジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2)に10μmol/リットルの濃度となるように溶解し、燐光測定用試料溶液とした。この溶液を石英セルに入れ、77Kに冷却し、励起光を照射して、試料溶液から放射される燐光スペクトルを測定する。このスペクトルの短波長の立ち上がりに対して接線を引き該当波長値をエネルギーに換算した値を三重項エネルギーギャップとした。なお測定には市販の測定装置F−4500(日立社製)を用いた。
【0242】
【化110】

【0243】
【化111】

【0244】
実施例2〜11(有機EL素子の作成)
実施例1において、発光層ホスト材料化合物(1−2)を、表1に示す化合物に変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作成し、外部量子効率及び半減寿命を測定した。測定結果を表1に示す。
【0245】
比較例1
実施例1において、発光層ホスト材料化合物(1−2)を、上記式(H−1)で表されるホスト化合物に変えた以外は、実施例1と同様にして素子を作成し、外部量子効率及び半減寿命を測定した。測定結果を表1に示す。
【0246】
【表1】

【0247】
表1より、実施例1〜11で得られた有機EL素子は、比較例1で得られたものと比較して、高効率、長寿命であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0248】
以上詳細に説明したように、本発明の有機EL素子用材料を利用すると、発光効率が高く、かつ寿命の長い有機EL素子が得られる。このため、本発明の有機EL素子は、各種電子機器の光源等として極めて有用である。また、本材料は有機電子素子用材料としても有効に活用でき、有機太陽電池、有機半導体レーザー、有機物を用いるセンサー、有機TFTにおいても極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または(2)で表される芳香族化合物。
【化1】

[一般式(1)および(2)において、Cは炭素原子を表し、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造、または環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造を表し、Y1〜Y3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜50の−N(R2)(R3)基(R2及びR3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、q1〜q3は、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、sは、1、2または3を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、p1及びp2は、それぞれ独立に、0または1を表し、前記p1及びp2が0を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基(但し、パーフルオロアルキル基であることはない。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、また、前記p1及びp2が1を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
一般式(2)において、nは2、3または4を表し、L3は単結合または2〜4価の連結基を表し、Ar1〜Ar3のいずれかに、それぞれ独立に結合し、nが2を表す場合、L3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、nが3を表す場合、L3は、ホウ素原子、窒素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカントリイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の3価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の3価の芳香族複素環基を表し、nが4を表す場合、L3は、ケイ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の4価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の4価の芳香族複素環基を表す。
但し、一般式(1)において、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合、A3及びA5が無置換のフェニル基であり、A4及びA6がジメチルアミノフェニル基である場合はない。]
【請求項2】
前記Ar1〜Ar3がいずれもベンゼン環構造である請求項1記載の芳香族化合物。
【請求項3】
前記p1及びp2がいずれも1を表す請求項2記載の芳香族化合物。
【請求項4】
前記A1及びA2が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、L1及びL2が、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す請求項2記載の芳香族化合物。
【請求項5】
下記一般式(1−a)または(2−a)で表される請求項2記載の芳香族化合物。
【化2】

【請求項6】
下記一般式(1−b)または(2−b)で表される請求項2記載の芳香族化合物。
【化3】

【請求項7】
下記一般式(1−c)または(2−c)で表される請求項2記載の芳香族化合物。
【化4】

【請求項8】
下記一般式(1)または(2)で表される有機電子素子用材料。
【化5】

[一般式(1)および(2)において、Cは炭素原子を表し、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素環構造、または環形成原子数3〜24の芳香族複素環構造を表し、Y1〜Y3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、炭素数2〜50の−N(R2)(R3)基(R2及びR3は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、q1〜q3は、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、sは、1、2または3を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、p1及びp2は、それぞれ独立に、0または1を表し、前記p1及びp2が0を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表し、また、前記p1及びp2が1を表す場合、A3〜A6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でCと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表す。
一般式(2)において、nは2、3または4を表し、L3は単結合または2〜4価の連結基を表し、Ar1〜Ar3のいずれかに、それぞれ独立に結合し、nが2を表す場合、L3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−基(R1は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜24のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の1価の芳香族炭化水素基、または炭素原子でNと結合する置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の1価の芳香族複素環基を表す。)、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキレン基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数2〜20の2価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の芳香族複素環基を表し、nが3を表す場合、L3は、ホウ素原子、窒素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカントリイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、ケイ素原子で結合する置換もしくは無置換の炭素数1〜20の3価のオルガノシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の3価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の3価の芳香族複素環基を表し、nが4を表す場合、L3は、ケイ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24の4価の芳香族炭化水素基、または環形成原子数3〜24の置換もしくは無置換の4価の芳香族複素環基を表す。]
【請求項9】
前記一般式(1)において、sが1であり、L1及びL2が単結合であり、A1及びA2が水素原子であり、かつ、p1、p2及びq1〜q3が0である場合、A3及びA5は無置換のフェニル基ではなく、A4及びA6はジメチルアミノフェニル基ではない請求項8記載の有機電子素子用材料。
【請求項10】
有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である請求項8記載の有機電子素子用材料。
【請求項11】
下記一般式(1−a)または(2−a)で表される請求項10記載の有機電子素子用材料。
【化6】

【請求項12】
下記一般式(1−b)または(2−b)で表される請求項10記載の有機電子素子用材料。
【化7】

【請求項13】
下記一般式(1−c)または(2−c)で表される請求項10記載の有機電子素子用材料。
【化8】

【請求項14】
陰極と陽極間に、発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有し、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、請求項10記載の有機電子素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
前記発光層が、前記有機電子素子用材料をホスト材料として含有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
前記発光層が、さらにりん光発光性材料を含有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
前記発光層がホスト材料とりん光性発光性材料とを含有し、該りん光発光性材料がイリジウム(Ir),オスミウム(Os)又は白金(Pt)金属のオルトメタル化錯体である請求項16記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
前記発光層と陰極との間に電子注入層を有し、該電子注入層が含窒素環誘導体を含有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
前記発光層と陰極との間に電子輸送層を有し、該電子輸送層が前記有機電子素子用材料を含有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記発光層と陰極との間に電子輸送層を有し、該電子輸送層及び前記発光層が前記有機電子素子用材料を含有する請求項19記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
前記発光層が、請求項11〜13のいずれかに記載の有機電子素子用材料をホスト材料として含有する請求項12記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記発光層と陽極との間に正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が前記有機電子素子用材料を含有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
前記陰極と有機薄膜層との界面領域に還元性ドーパントを有する請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2010−202599(P2010−202599A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51169(P2009−51169)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】