苗植機の代掻ロータ伝動装置
【課題】 苗植装置のフロートの前側に設ける代掻ロータを、走行車体の後輪伝動ケース側の出力軸から伸縮連動軸を介して伸縮連駆動する形態にあっては、泥土、水等の飛散を受け易く、円滑な伝動駆動状態を維持し難い。
【解決手段】 走行車体の後車軸を軸装する後輪伝動ケースの出力軸7から、この代掻ロータ4のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔ブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設ける。
【解決手段】 走行車体の後車軸を軸装する後輪伝動ケースの出力軸7から、この代掻ロータ4のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔ブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
苗植機のフロートの前側に配置する代掻ロータを円滑に伝動駆動する代掻ロータ伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪伝動ケースの出力軸と、ロータ伝動ケースの入力軸との間を、六角断面の伸縮連動軸で連結して、代掻ロータを伝動駆動する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007ー300873号公報(第6頁、図5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
苗植装置のフロートの前側に設ける代掻ロータを、走行車体の後輪伝動ケース側の出力軸から伸縮連動軸を介して伸縮連駆動する形態にあっては、この伸縮連動軸が土壌面に接近して、しかも、車体の後輪回転域や、この代掻ロータの回転域等に接近する位置にあって、泥土、水等の飛散を受け易く、円滑な伝動駆動状態を維持し難く、又、これら防水、防泥を行うためには煩雑な構成となり易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、走行車体1の後方に連結する苗植装置2を支持して土壌面を滑走するフロート3の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ4を設け、この走行車体1の後車軸5を軸装する後輪伝動ケース6の出力軸7から、この代掻ロータ3のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔ブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置の構成とする。
【0006】
苗植作業時に、走行車体1の後輪伝動ケース5の出力軸7から、スプライン軸10とスプライン筒軸11とによるスプライン連動軸12を介して、ロータ伝動ケース8の入力軸9を伝動して、代掻ロータ4を回転駆動して、苗植装置2のフロート3の滑走前部を代掻きして均平化する。このような代掻ロータ4の伝動駆動時に、この代掻ロータ4が上下揺動すると、スプライン軸10とスプライン筒軸11とのスプライン嵌挿部が前後に摺動伸縮して伝動状態を維持する。このとき、これらスプライン軸10の摺動するスプライン筒軸11内のポンプ作用によって、内部の空気がエアブリーザ孔13を通してこの外周のブーツ室13に吸排される。このときブーツ室14は適宜の間隔容量に形成されているため、スプライン筒軸11内の空気がエアフリーザ孔13から吸排されても、その吸排抵抗を少くして、スプライン軸10の伸縮摺動を円滑に行わせると共に、ブーツ室14を覆う連動軸ブーツ15の圧力伸縮を少くして、この連動軸ブーツ15による気密性を長期間にわたって維持する。このようにエアブリーザ孔13の外周部は、適宜間隔のブーツ室14を形成して連動軸ブーツ15で覆うため、泥土や、泥水等のエアブリーザ孔13への吸入や、吸着等を阻止して、円滑な代掻ロータ4の伝動駆動、及びスプライン連動軸12の伸縮を行わせる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記スプライン連動軸12のスプライン筒軸11の外周を覆う連動軸ブーツ15と、スプライン軸10の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室17を形成する伸縮ブーツ16とを連通して一体的に連結する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、このスプライン軸10の外周を覆う伸縮ブーツ16が、このスプライン連動軸12の伸縮によって同調伸縮して、この伸縮ブーツ16内のブーツ室17容積を拡縮する。このため、前記エアブリーザ孔13から、これら連動軸ブーツ15のブーツ室14内や、伸縮ブーツ16のブーツ室17内に吸排される空気は、この拡縮される一連のブーツ室14、17内に吸収されて、吸排気の抵抗を軽減し、連動軸ブーツ15外や伸縮ブーツ16外周から外気の吸排を防止して、スプライン連動軸12の伸縮作用、及び代掻ロータ3の伝動回転を円滑に行わせる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記スプライン軸10を後輪伝動軸ケース6の出力軸7に連結し、スプライン筒軸11をロータ伝動ケース8の入力軸9に連結して、このスプライン軸10の上端部にエアブリーザ孔18を形成する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、スプライン筒軸11内に給油した状態で伝動することができるが、この場合は、スプライン連動軸12の伸縮によってこのスプライン筒軸11内部の空気がスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18から外側のブーツ室17に吸排されて、このエアブリーザ孔18から噴出される油霧がこのスプライン軸10外周のスプライン嵌合摺動部に噴霧させて潤滑させる。このときスプライン連動軸12の外周は前記伸縮ブーツ16で被覆するため、外部への油漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、前記スプライン連動軸12の外周にブーツ室14を形成して連動軸ブーツ15を設けることにより、この連動軸12の外周の回転径が若干大きくなるが、構成を簡単にして、泥土や、泥水等のエアブリーザ孔13からの吸込を防止して、円滑な伝動状態を長期維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、スプライン筒軸11周りの連動軸ブーツ15と、スプライン軸10周りの伸縮ブーツ16とを一体的に連結して、これら各ブーツ室14、17を連通するため、外周構成を簡潔にして、気密性を高くして、これらブーツ室14、17内の容積を拡大して、エアフリーザ孔13からの吸排気の抵抗を小さくして、ブーツ室14、17外周部への吸排気の阻止効果を高めることができ、円滑な代掻ロータ4の伝動駆動を維持することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、エアブリーザ孔18をスプライン連動軸12の上端部に形成するため、泥土や、泥水の飛散を少くして、何らかの原因によってこれら連動軸ブーツ15、又は伸縮ブーツ16等が破損する等によってエアブリーザ孔18への外気が吸入され易い状態となったとしても、これら泥土や、泥水のエアブリーザ孔18への直接の飛散吸入を行われ難くすることができる。又、前記スプライン筒軸11内に給油して伝動する場合は、このスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18からの噴出空気によって油霧を噴出させて、各ブーツ15、16の外周面を油汚しないで、この外周のスプライン嵌合挿摺動部を潤滑して、スプライン連動軸12の伸縮、及び伝動を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】代掻ロータを駆動する伝動装置部の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】スプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図4】苗植機の側面図。
【図5】その平面図。
【図6】一部別例を示すスプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図7】一部別例を示す代掻ロータを駆動する伝動装置部の平面図。
【図8】そのスプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図9】油圧無段変速装置のトラニオンアーム部の側面図と、一部の斜視図。
【図10】その別例を示す変速レバー部の側面図と、レバーガイド部の平面図。
【図11】フロントグリップ部の作動状態を示す側面図。
【図12】その正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づいて、苗植装置2は、ステアリングハンドル20で操向可能で、運転席21下に搭載のエンジン22によって伝動駆動する前輪23、後輪24を有する四輪走行形態の走行車体1の後側に、平行リンク形態のリフトリンク25を介して昇降可能に連結する。この苗植装置2は、車体1側のPTO軸から連動される入力軸26を有して、内部にはこの入力軸26によって連動されて苗タンク27や、この苗繰出ベルト28、及び苗植付爪29等を連動する伝動機構を内装した苗植伝動ケース30を構成し、この苗植伝動ケース30を主体として、この下側にセンタフロートとこの左右両側のサイドフロートとからなるフロート3を向い角を揺動自在にして配置し、上側には、マット状に育苗された苗をのせて後側下部へ繰出する多条植形態の苗タンク27を左、右方向へ往復移動可能に支持し、後側には楕円形状の植付軌跡線Dに昇降回転して、苗タンク27の繰出口部31から分離保持する苗を、フロート3で均平された土壌面に多条形態に植付ける苗植付爪29を設ける。
【0014】
この苗植装置2は、リフトリンク25を車体1のリフトシリンダ32の伸縮によって昇降制御して、苗植付爪29による土壌面に対する苗植付深さを一定に維持するように制御する。この昇降制御は、フロート3のうちセンタフロート部の上下揺動角を検出して、リフトシリンダ32伸縮のための油圧回路の昇降制御弁を切替えることによって制御させる。又、この苗植装置2は、リフトリンク25に対する装着のローリング軸の周りに左右傾斜回動可能に設けて、ローリング制御可能に設けている。このような苗植装置2の前側に代掻ロータ4を配置して、フロート3が滑走する土壌面の前行程部を掻き均す。この代掻ロータ3は、各センタフロート部、及びサイドフロート部毎に、前側にセンタロータ部、及びこの左右両側部のサイドロータ部として各別に配置されて、センタロータ部は、センタフロート部の前方突出長さを長く設定している形態に伴ってサイドロータ部よりも前側に位置させて配置している。この代掻ロータ3を回転可能にロータ軸33で軸装したロータフレーム34が、苗植装置2の苗植伝動ケース30に設けられた苗植フレーム35に対して上下調節可能に設けられて、代掻ロータ4位置を上下調節、乃至上下制御可能に構成する。
【0015】
前記走行車体1は、フロア36の前端部の左右外側部に補助苗受枠37を設けて、予め搭載の苗箱から苗を取出しながら後方苗植装置2の苗タンク27へ苗補給することができる。又、運転席21の後側には施肥装置38を設けて、肥料を施肥ホース39を介して、前記フロート3の土壌均平位置、及び施肥溝切器40位置に繰出流下させて、苗植付位置に施肥することができる。
【0016】
前記エンジン22の前側には、油圧無段変速装置41、及びミッションケース42を設け、このミッションケース42の伝動機構から、前輪23を伝動すると共に、差動ギヤ機構を介して左右両側の後輪伝動ケース6にわたって連結する連動軸43を伝動し、又、前記苗植装置2の入力軸26や、施肥装置38における入力軸に連動のPTO軸44等を伝動する。
【0017】
前記フロート3と代掻ロータ4のセンタフロート部とセンタロータ部は、車体1の左右後輪24間の中央部にのぞませるように配置し、サイドフロート部とサイドロータ部は、左右後輪24の踏跡後側部に配置して、この後輪24で踏荒した土壌面を掻き均す形態としている。代掻ロータ4は、ロータ軸33をチエンケース45の前端内(右)側と、後端外(左)側とに向けて張出するように配置して、このロータ軸33周りに回転させることによって、土壌面を掻き均す。チエンケース45の後端外側部にロータ伝動ケース8を設けて、前側に自在継手を有する入力軸9を軸装し、この入力軸9からベベルギヤ46を介してサイドロータ部のロータ軸33を伝動駆動する。又、このチエンケース45の前端内側部に軸装したセンタロータ部のロータ軸33を、このサイドロータ部のロータ軸33からチエン47掛け伝動して回転する。
【0018】
前記後輪24を軸装する左側部の後輪伝動ケース6から、後側下方へ向けて出力軸7を突出させて、この後側の出力軸7からスプライン連動軸12を介して前記ロータ伝動ケース8の入力軸9へ連動するように連結する。このためセンタロータ部の右側に配置されるチエンケース45内のチエン47を介してこの右側のサイドロータ軸部を伝動する構成としている。
【0019】
又、このセンタロータ部を、センタロータ軸部のセンタラインLの左右両側部で独立回転するように構成して、この外側に各別に設けるチエンケース45のチエン47、及び前記左右の後輪伝動ケース6からスプライン連動軸12を介して各別に伝動回転するように、センタラインLに対して左右対象状に構成する。
【0020】
このように、左右両側のチエンケース45の内外側部に軸装した代掻ロータ4の上側面にはロータカバー48を設け、前記ロータフレーム34、乃至スプリング49等を介して吊持させている。
【0021】
ここにおいて、走行車体1の後方に連結する苗植装置2を支持して土壌面を滑走するフロート3の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ4を設け、この走行車体1の後車軸5を軸装する後輪伝動ケース6の出力軸7から、この代掻ロータ3のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔のブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置の構成とする。
【0022】
前記スプライン連動軸12は、車体1の左側後輪24の内側に位置する後輪伝動ケース6と、この後方のロータ伝動ケース8との間にわたって後端下がりに傾斜させて連結している。このスプライン連動軸12後端のスプライン筒軸11部は、前記チエンケース45の外側に沿って接近させている。このスプライン筒軸11の前端側に嵌挿摺動して伸縮するスプライン軸10は、このスプライン筒軸11よりも上位に位置して土壌面から高く離間した位置にあって、泥水等の飛散を受け難い形態にある。このスプライン連動軸12の出力軸7、及び入力軸9は、自在継手を形成して、代掻ロータ4の土壌面高さ変化に対応しての上下揺動に伴って、屈接連動して回転伝動する。
【0023】
スプライン軸10をスプライン筒軸11内にスプライン嵌挿して、この軸方向へ摺動させて伸縮自在とする。これらスプライン筒軸11の外周部を覆う連動軸ブーツ15は、ゴム材等から筒状に形成されて、このスプライン筒軸11外周面との間に適宜間隔のブーツ室14を形成する。このブーツ室14の容積は、スプライン軸10が伸び出したときのスプライン筒軸11の内部容積と略同量に形成して、このスプライン筒軸11に形成のエアブリーザ孔13を介して連通させている。この連動軸ブーツ15の上、下端部の絞り口部50、51を、円筒状のスプライン筒軸11外周面に気密的に嵌合させている。又、スプライン軸10部の外周面に被覆して設ける伸縮ブーツ16は、ゴム材により蛇腹形態にして伸縮可能の構成で、上下端部には絞り口部52、53を有して、スプライン軸10の上端外周部54、又はスプライン筒軸11の上端部に嵌合のメタル55の外周部に気密的に嵌合させている。前記エアブリーザ孔13をスプライン筒軸11の下端側に形成して、このスプライン筒軸11内と外周のブーツ室14との間を連通して、スプライン軸10の押込みによる圧縮空気をこの筒軸11内からブーツ室14側へ流下したり、スプライン軸10の上方へに引出しによるブーツ室14内の空気をこの筒軸11内へ吸入する。又、このエアブリーザ孔13は、スプライン筒軸11の上端部側にも形成することができる。
【0024】
前記連動軸ブーツ15は、上、下端の締り口部50、51を、スプライン筒軸11の外周面に固定するもよく、又、図6のように上下方向C、Dへ適宜間隔摺動可能に構成することによって、このスプライン筒軸11の下端部位置に形成するエアブリーザ孔13の外周をブーツ室14内に位置させたり、スプライン筒軸11の上端部位置に形成するエアブリーザ孔13の外周をブーツ室14内に位置させる形態とすることができる。
【0025】
次に、主として図7に基づいて、前記スプライン連動軸12のスプライン筒軸11の外周を覆う連動軸ブーツ15と、スプライン軸10の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室17を形成する伸縮ブーツ16とを連通して一体的に連結する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、このスプライン軸10の外周を覆う伸縮ブーツ16が、このスプライン連動軸12の伸縮によって同調伸縮して、この伸縮ブーツ内のブーツ室17容積を拡縮する。このため、前記エアブリーザ孔13から、これら連動軸ブーツ15のブーツ室14内や、伸縮ブーツ16のブーツ室17内に吸排される空気は、この拡縮される一連のブーツ室14、17内に吸収されて、吸排気の抵抗を軽減し、連動軸ブーツ15外や伸縮ブーツ16外周から外気の吸排を防止して、スプライン連動軸12の伸縮作用、及び代掻ロータ3の伝動回転を円滑に行わせる。前記連動軸ブーツ15の上端と伸縮ブーツ16の下端との連結部56は、前記のような絞り口部50、53等を形成しないで、この連結部56と内側のメタル55周面との間に適宜の間隙部を形成して、両ブーツ室14、17の間を連通することにより、両ブーツ室14、17内の空気の流通自在の状態としている。
【0026】
次に、主として図8に基づいて、前記スプライン軸10を後輪伝動軸ケース6の出力軸7に連結し、スプライン筒軸11をロータ伝動ケース8の入力軸9に連結して、このスプライン軸10の上端部にエアブリーザ18を形成する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、スプライン筒軸11内に給油した状態で伝動することができるが、この場合は、スプライン連動軸12の伸縮によって、このスプライン筒軸11内部の空気がスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18から外側のブーツ室に吸排されて、このエアブリーザ孔18から噴出される油霧がこのスプライン軸10外周のスプライン嵌合摺動部に噴霧させて潤滑させる。このときスプライン連動軸12の外周は前記伸縮ブーツ16で被覆するため、外部への油漏れを防止することができる。
【0027】
前記スプライン軸10の中心部に沿って孔道57を形成して、この孔道57の軸下端部をスプライン筒軸11の筒室58に開口連通する。このスプライン軸10の外周部は伸縮ブーツ16で覆われているため、このスプライン軸10がスプライン筒軸11上端のメタル55部から上方へ抜き出しているときは、このスプライン軸10のエアブリーザ孔18がブーツ室17内に開孔連通していて、このブーツ室17が、これらエアブリーザ孔18や、孔道57、筒室58、及びエアブリード孔13等を介して、連動軸ブーツ15のブーツ室14と連通することができる。前記スプライン筒軸11のエアブリーザ孔13は、この筒室58に給油を貯留するため、できるだけ高位置に設定することができる。この筒室58内への給油は、伸縮ブーツ16の上端部をめくって、スプライン軸10のエアブリーザ孔18を露出させて、このエアブリーザ孔18から注油することができる。又、連動軸ブーツ15を上下に移動させて、エアブリーザ孔13を露出させて、このエアブリーザ孔13から注油することもできる。
【0028】
このような形態においては、スプライン筒軸11のエアブリーザ孔13や、連動軸ブーツ15を設けない構成とすることも可能である。
次に、主として図9に基づいて、前記エンジン22から駆動の油圧無段変速装置41において、この無段変速操作するためのトラニオン軸60に一体的に取付けるトラニオンアーム61の先端部に、クリップピン62の摺動する摺接面63と、この摺接面63の中央部にクリップ穴64とを形成する。クリップピン62は、機体に固定のステー65からこのクリップ穴64へ向けて突出されて、スプリング66を介して押出弾発される。このクリップピン62の頭部先端面は、球面状に形成して、前記トラニオンアーム61のクリップ穴64に合致すると、このクリップ穴64に若干嵌合して、「カチッ」と係合音を発する。このようにトラニオンアーム61が前進位置、及び後進位置に操作されるときは、クリップピン62の頭部を摺接面63に摺接させるが、このトラニオンアーム61が中立位置に回動されると、クリップピン62をクリップ穴64に係合させる。このように、トラニオンアーム61を中立位置に操作すると、クリップ穴64にクリップピン62を係合させて、係合音を発して、操作フィーリングを向上し、操作性を高める。又、トラニオンアーム61を前進位置、又は後進位置へ操作すると、クリップピン62に対するクリップ穴64の位置が外れて、摺接面63との摺接案内によって、円滑な変速案内を行わせる。
【0029】
次に、主として図10に基づいて、前記トラニオン軸60を操作する変速レバー67を中立位置Nで揺動自在にブラケット68に支持し、このブラケット68を軸筒69の周りに回動自在に設けて、変速レバー67を前後方向へ操作して、前記トラニオン軸60を中立位置Nから前進(高速)位置F、又は後進(高速)位置Rへ操作できる。軸筒69は、アームプレート70に有して、機体に固定される。前記軸筒69の上側にはクリップ穴64を形成して、ブラケット68からスプリング66を介して押出弾発されるクリップピン62の頭部を、これら軸筒69の外周摺接面63や、クリップ穴64に摺動させる。この変速レバー67をレバーガイド71の前進位置Fや後進位置Rに操作したときは、このクリップピン62が摺接面63に摺動して、この変速レバー67の操作を円滑に行わせる。又、この変速レバー67を中立位置Nへ操作したときは、クリップピン62がクリップ穴64に係合して係合音を発する。
【0030】
又、前記クリップピン62の係合作動するブラケット68部には、ストッパプレート72を設け、変速レバー67を中立位置N以外の位置に操作したときは、このストッパプレート72によりクリップピン62が干渉されて、前進位置Fにある変速レバー67が後進位置Rへ回動されるのを防止する。又、このとき、クリップピン62がクリップ穴64に係合すると、このストッパプレート72との干渉から外れて、変速レバー67を中立位置Nから後進位置Rへの操作を許す。
【0031】
次に、主として、図11、図12に基づいて、前記走行車体1の前端部にフロントグリップ75の折畳収納可能な構成に関する。このフロントグリップ75は、畦越走行時等において、車体1の前部を持上げて浮上させて畦越えを容易に行わせる。走行車体1の前端部のフロントブラケット76正面視で門形状のグリップステー77を、ステー軸78周りに前後起伏回動可能に設け、このグリップステー77の上部には左右両側部にわたって張出するグリップバー79を形成する。又、このグリップステー77は、フロア36前端のステアリングポスト80の前照灯81と略同高さ位置に設定されて、この上端部には、U字形態に形成したフロントグリップ75の左右両端部を、グリップ軸82周りに後方周りに起伏回動可能に支持し、ストッパー83を有して、フロントグリップ75をグリップステー77に対して直上方向へ起立回動Aさせたり、左右のスリップステー77間に位置させて収納回動Bさせることができる。
【0032】
フロントグリップ75を使用する場合は起立回動Aし、フロントグリップ75不要の場合は収納回動Bさせる。又、これらの前後傾斜角度を変更するときは、ステー軸78周りに前後回動する。グリップバー79部が前照灯81の邪魔になる場合は、この収納回動B姿勢のグリップステー77を前側へ適宜角度回動させて、前照灯81の照射域から下側へ退避させる。
【0033】
又、前記フロントグリップ75や、グリップバー79等を使用して、畦越え操作する場合に、オートアクセルの油圧無段変速装置41のトラニオン軸60を少く戻し、エンジン22のスロットルによる回転を上げるように連動操作して、出力不足を補うように構成できる。又、前記フロントグリップ75等の起立回動Aによって、ミッションケース42のデフロックを切ると同時に、アイドリングを上昇させて、エンジン22の回転低下を防止するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 走行車体
2 苗植装置
3 フロート
4 代掻ロータ
5 後車軸
6 後輪伝動ケース
7 出力軸
8 ロータ伝動ケース
9 入力軸
10 スプライン軸
11 スプライン筒軸
12 スプライン連動軸
13 エアブリーザ孔
14 ブーツ室
15 連動軸ブーツ
16 伸縮ブーツ
17 ブーツ室
18 エアブリーザ孔
【技術分野】
【0001】
苗植機のフロートの前側に配置する代掻ロータを円滑に伝動駆動する代掻ロータ伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪伝動ケースの出力軸と、ロータ伝動ケースの入力軸との間を、六角断面の伸縮連動軸で連結して、代掻ロータを伝動駆動する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007ー300873号公報(第6頁、図5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
苗植装置のフロートの前側に設ける代掻ロータを、走行車体の後輪伝動ケース側の出力軸から伸縮連動軸を介して伸縮連駆動する形態にあっては、この伸縮連動軸が土壌面に接近して、しかも、車体の後輪回転域や、この代掻ロータの回転域等に接近する位置にあって、泥土、水等の飛散を受け易く、円滑な伝動駆動状態を維持し難く、又、これら防水、防泥を行うためには煩雑な構成となり易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、走行車体1の後方に連結する苗植装置2を支持して土壌面を滑走するフロート3の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ4を設け、この走行車体1の後車軸5を軸装する後輪伝動ケース6の出力軸7から、この代掻ロータ3のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔ブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置の構成とする。
【0006】
苗植作業時に、走行車体1の後輪伝動ケース5の出力軸7から、スプライン軸10とスプライン筒軸11とによるスプライン連動軸12を介して、ロータ伝動ケース8の入力軸9を伝動して、代掻ロータ4を回転駆動して、苗植装置2のフロート3の滑走前部を代掻きして均平化する。このような代掻ロータ4の伝動駆動時に、この代掻ロータ4が上下揺動すると、スプライン軸10とスプライン筒軸11とのスプライン嵌挿部が前後に摺動伸縮して伝動状態を維持する。このとき、これらスプライン軸10の摺動するスプライン筒軸11内のポンプ作用によって、内部の空気がエアブリーザ孔13を通してこの外周のブーツ室13に吸排される。このときブーツ室14は適宜の間隔容量に形成されているため、スプライン筒軸11内の空気がエアフリーザ孔13から吸排されても、その吸排抵抗を少くして、スプライン軸10の伸縮摺動を円滑に行わせると共に、ブーツ室14を覆う連動軸ブーツ15の圧力伸縮を少くして、この連動軸ブーツ15による気密性を長期間にわたって維持する。このようにエアブリーザ孔13の外周部は、適宜間隔のブーツ室14を形成して連動軸ブーツ15で覆うため、泥土や、泥水等のエアブリーザ孔13への吸入や、吸着等を阻止して、円滑な代掻ロータ4の伝動駆動、及びスプライン連動軸12の伸縮を行わせる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記スプライン連動軸12のスプライン筒軸11の外周を覆う連動軸ブーツ15と、スプライン軸10の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室17を形成する伸縮ブーツ16とを連通して一体的に連結する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、このスプライン軸10の外周を覆う伸縮ブーツ16が、このスプライン連動軸12の伸縮によって同調伸縮して、この伸縮ブーツ16内のブーツ室17容積を拡縮する。このため、前記エアブリーザ孔13から、これら連動軸ブーツ15のブーツ室14内や、伸縮ブーツ16のブーツ室17内に吸排される空気は、この拡縮される一連のブーツ室14、17内に吸収されて、吸排気の抵抗を軽減し、連動軸ブーツ15外や伸縮ブーツ16外周から外気の吸排を防止して、スプライン連動軸12の伸縮作用、及び代掻ロータ3の伝動回転を円滑に行わせる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記スプライン軸10を後輪伝動軸ケース6の出力軸7に連結し、スプライン筒軸11をロータ伝動ケース8の入力軸9に連結して、このスプライン軸10の上端部にエアブリーザ孔18を形成する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、スプライン筒軸11内に給油した状態で伝動することができるが、この場合は、スプライン連動軸12の伸縮によってこのスプライン筒軸11内部の空気がスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18から外側のブーツ室17に吸排されて、このエアブリーザ孔18から噴出される油霧がこのスプライン軸10外周のスプライン嵌合摺動部に噴霧させて潤滑させる。このときスプライン連動軸12の外周は前記伸縮ブーツ16で被覆するため、外部への油漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、前記スプライン連動軸12の外周にブーツ室14を形成して連動軸ブーツ15を設けることにより、この連動軸12の外周の回転径が若干大きくなるが、構成を簡単にして、泥土や、泥水等のエアブリーザ孔13からの吸込を防止して、円滑な伝動状態を長期維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、スプライン筒軸11周りの連動軸ブーツ15と、スプライン軸10周りの伸縮ブーツ16とを一体的に連結して、これら各ブーツ室14、17を連通するため、外周構成を簡潔にして、気密性を高くして、これらブーツ室14、17内の容積を拡大して、エアフリーザ孔13からの吸排気の抵抗を小さくして、ブーツ室14、17外周部への吸排気の阻止効果を高めることができ、円滑な代掻ロータ4の伝動駆動を維持することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、エアブリーザ孔18をスプライン連動軸12の上端部に形成するため、泥土や、泥水の飛散を少くして、何らかの原因によってこれら連動軸ブーツ15、又は伸縮ブーツ16等が破損する等によってエアブリーザ孔18への外気が吸入され易い状態となったとしても、これら泥土や、泥水のエアブリーザ孔18への直接の飛散吸入を行われ難くすることができる。又、前記スプライン筒軸11内に給油して伝動する場合は、このスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18からの噴出空気によって油霧を噴出させて、各ブーツ15、16の外周面を油汚しないで、この外周のスプライン嵌合挿摺動部を潤滑して、スプライン連動軸12の伸縮、及び伝動を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】代掻ロータを駆動する伝動装置部の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】スプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図4】苗植機の側面図。
【図5】その平面図。
【図6】一部別例を示すスプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図7】一部別例を示す代掻ロータを駆動する伝動装置部の平面図。
【図8】そのスプライン連動軸部の伸縮作動を示す平断面図。
【図9】油圧無段変速装置のトラニオンアーム部の側面図と、一部の斜視図。
【図10】その別例を示す変速レバー部の側面図と、レバーガイド部の平面図。
【図11】フロントグリップ部の作動状態を示す側面図。
【図12】その正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づいて、苗植装置2は、ステアリングハンドル20で操向可能で、運転席21下に搭載のエンジン22によって伝動駆動する前輪23、後輪24を有する四輪走行形態の走行車体1の後側に、平行リンク形態のリフトリンク25を介して昇降可能に連結する。この苗植装置2は、車体1側のPTO軸から連動される入力軸26を有して、内部にはこの入力軸26によって連動されて苗タンク27や、この苗繰出ベルト28、及び苗植付爪29等を連動する伝動機構を内装した苗植伝動ケース30を構成し、この苗植伝動ケース30を主体として、この下側にセンタフロートとこの左右両側のサイドフロートとからなるフロート3を向い角を揺動自在にして配置し、上側には、マット状に育苗された苗をのせて後側下部へ繰出する多条植形態の苗タンク27を左、右方向へ往復移動可能に支持し、後側には楕円形状の植付軌跡線Dに昇降回転して、苗タンク27の繰出口部31から分離保持する苗を、フロート3で均平された土壌面に多条形態に植付ける苗植付爪29を設ける。
【0014】
この苗植装置2は、リフトリンク25を車体1のリフトシリンダ32の伸縮によって昇降制御して、苗植付爪29による土壌面に対する苗植付深さを一定に維持するように制御する。この昇降制御は、フロート3のうちセンタフロート部の上下揺動角を検出して、リフトシリンダ32伸縮のための油圧回路の昇降制御弁を切替えることによって制御させる。又、この苗植装置2は、リフトリンク25に対する装着のローリング軸の周りに左右傾斜回動可能に設けて、ローリング制御可能に設けている。このような苗植装置2の前側に代掻ロータ4を配置して、フロート3が滑走する土壌面の前行程部を掻き均す。この代掻ロータ3は、各センタフロート部、及びサイドフロート部毎に、前側にセンタロータ部、及びこの左右両側部のサイドロータ部として各別に配置されて、センタロータ部は、センタフロート部の前方突出長さを長く設定している形態に伴ってサイドロータ部よりも前側に位置させて配置している。この代掻ロータ3を回転可能にロータ軸33で軸装したロータフレーム34が、苗植装置2の苗植伝動ケース30に設けられた苗植フレーム35に対して上下調節可能に設けられて、代掻ロータ4位置を上下調節、乃至上下制御可能に構成する。
【0015】
前記走行車体1は、フロア36の前端部の左右外側部に補助苗受枠37を設けて、予め搭載の苗箱から苗を取出しながら後方苗植装置2の苗タンク27へ苗補給することができる。又、運転席21の後側には施肥装置38を設けて、肥料を施肥ホース39を介して、前記フロート3の土壌均平位置、及び施肥溝切器40位置に繰出流下させて、苗植付位置に施肥することができる。
【0016】
前記エンジン22の前側には、油圧無段変速装置41、及びミッションケース42を設け、このミッションケース42の伝動機構から、前輪23を伝動すると共に、差動ギヤ機構を介して左右両側の後輪伝動ケース6にわたって連結する連動軸43を伝動し、又、前記苗植装置2の入力軸26や、施肥装置38における入力軸に連動のPTO軸44等を伝動する。
【0017】
前記フロート3と代掻ロータ4のセンタフロート部とセンタロータ部は、車体1の左右後輪24間の中央部にのぞませるように配置し、サイドフロート部とサイドロータ部は、左右後輪24の踏跡後側部に配置して、この後輪24で踏荒した土壌面を掻き均す形態としている。代掻ロータ4は、ロータ軸33をチエンケース45の前端内(右)側と、後端外(左)側とに向けて張出するように配置して、このロータ軸33周りに回転させることによって、土壌面を掻き均す。チエンケース45の後端外側部にロータ伝動ケース8を設けて、前側に自在継手を有する入力軸9を軸装し、この入力軸9からベベルギヤ46を介してサイドロータ部のロータ軸33を伝動駆動する。又、このチエンケース45の前端内側部に軸装したセンタロータ部のロータ軸33を、このサイドロータ部のロータ軸33からチエン47掛け伝動して回転する。
【0018】
前記後輪24を軸装する左側部の後輪伝動ケース6から、後側下方へ向けて出力軸7を突出させて、この後側の出力軸7からスプライン連動軸12を介して前記ロータ伝動ケース8の入力軸9へ連動するように連結する。このためセンタロータ部の右側に配置されるチエンケース45内のチエン47を介してこの右側のサイドロータ軸部を伝動する構成としている。
【0019】
又、このセンタロータ部を、センタロータ軸部のセンタラインLの左右両側部で独立回転するように構成して、この外側に各別に設けるチエンケース45のチエン47、及び前記左右の後輪伝動ケース6からスプライン連動軸12を介して各別に伝動回転するように、センタラインLに対して左右対象状に構成する。
【0020】
このように、左右両側のチエンケース45の内外側部に軸装した代掻ロータ4の上側面にはロータカバー48を設け、前記ロータフレーム34、乃至スプリング49等を介して吊持させている。
【0021】
ここにおいて、走行車体1の後方に連結する苗植装置2を支持して土壌面を滑走するフロート3の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ4を設け、この走行車体1の後車軸5を軸装する後輪伝動ケース6の出力軸7から、この代掻ロータ3のロータ伝動ケース8の入力軸9に連動するための、伸縮自在のスプライン軸10と、このスプライン軸10を嵌挿するスプライン筒軸11とからなるスプライン連動軸12を設け、このスプライン筒軸11のエアブリーザ孔13の外周面に適宜間隔のブーツ室14を形成して覆う連動軸ブーツ15を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置の構成とする。
【0022】
前記スプライン連動軸12は、車体1の左側後輪24の内側に位置する後輪伝動ケース6と、この後方のロータ伝動ケース8との間にわたって後端下がりに傾斜させて連結している。このスプライン連動軸12後端のスプライン筒軸11部は、前記チエンケース45の外側に沿って接近させている。このスプライン筒軸11の前端側に嵌挿摺動して伸縮するスプライン軸10は、このスプライン筒軸11よりも上位に位置して土壌面から高く離間した位置にあって、泥水等の飛散を受け難い形態にある。このスプライン連動軸12の出力軸7、及び入力軸9は、自在継手を形成して、代掻ロータ4の土壌面高さ変化に対応しての上下揺動に伴って、屈接連動して回転伝動する。
【0023】
スプライン軸10をスプライン筒軸11内にスプライン嵌挿して、この軸方向へ摺動させて伸縮自在とする。これらスプライン筒軸11の外周部を覆う連動軸ブーツ15は、ゴム材等から筒状に形成されて、このスプライン筒軸11外周面との間に適宜間隔のブーツ室14を形成する。このブーツ室14の容積は、スプライン軸10が伸び出したときのスプライン筒軸11の内部容積と略同量に形成して、このスプライン筒軸11に形成のエアブリーザ孔13を介して連通させている。この連動軸ブーツ15の上、下端部の絞り口部50、51を、円筒状のスプライン筒軸11外周面に気密的に嵌合させている。又、スプライン軸10部の外周面に被覆して設ける伸縮ブーツ16は、ゴム材により蛇腹形態にして伸縮可能の構成で、上下端部には絞り口部52、53を有して、スプライン軸10の上端外周部54、又はスプライン筒軸11の上端部に嵌合のメタル55の外周部に気密的に嵌合させている。前記エアブリーザ孔13をスプライン筒軸11の下端側に形成して、このスプライン筒軸11内と外周のブーツ室14との間を連通して、スプライン軸10の押込みによる圧縮空気をこの筒軸11内からブーツ室14側へ流下したり、スプライン軸10の上方へに引出しによるブーツ室14内の空気をこの筒軸11内へ吸入する。又、このエアブリーザ孔13は、スプライン筒軸11の上端部側にも形成することができる。
【0024】
前記連動軸ブーツ15は、上、下端の締り口部50、51を、スプライン筒軸11の外周面に固定するもよく、又、図6のように上下方向C、Dへ適宜間隔摺動可能に構成することによって、このスプライン筒軸11の下端部位置に形成するエアブリーザ孔13の外周をブーツ室14内に位置させたり、スプライン筒軸11の上端部位置に形成するエアブリーザ孔13の外周をブーツ室14内に位置させる形態とすることができる。
【0025】
次に、主として図7に基づいて、前記スプライン連動軸12のスプライン筒軸11の外周を覆う連動軸ブーツ15と、スプライン軸10の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室17を形成する伸縮ブーツ16とを連通して一体的に連結する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、このスプライン軸10の外周を覆う伸縮ブーツ16が、このスプライン連動軸12の伸縮によって同調伸縮して、この伸縮ブーツ内のブーツ室17容積を拡縮する。このため、前記エアブリーザ孔13から、これら連動軸ブーツ15のブーツ室14内や、伸縮ブーツ16のブーツ室17内に吸排される空気は、この拡縮される一連のブーツ室14、17内に吸収されて、吸排気の抵抗を軽減し、連動軸ブーツ15外や伸縮ブーツ16外周から外気の吸排を防止して、スプライン連動軸12の伸縮作用、及び代掻ロータ3の伝動回転を円滑に行わせる。前記連動軸ブーツ15の上端と伸縮ブーツ16の下端との連結部56は、前記のような絞り口部50、53等を形成しないで、この連結部56と内側のメタル55周面との間に適宜の間隙部を形成して、両ブーツ室14、17の間を連通することにより、両ブーツ室14、17内の空気の流通自在の状態としている。
【0026】
次に、主として図8に基づいて、前記スプライン軸10を後輪伝動軸ケース6の出力軸7に連結し、スプライン筒軸11をロータ伝動ケース8の入力軸9に連結して、このスプライン軸10の上端部にエアブリーザ18を形成する。前記スプライン連動軸12による代掻ロータ4の伝動駆動において、スプライン筒軸11内に給油した状態で伝動することができるが、この場合は、スプライン連動軸12の伸縮によって、このスプライン筒軸11内部の空気がスプライン軸10上端部のエアブリーザ孔18から外側のブーツ室に吸排されて、このエアブリーザ孔18から噴出される油霧がこのスプライン軸10外周のスプライン嵌合摺動部に噴霧させて潤滑させる。このときスプライン連動軸12の外周は前記伸縮ブーツ16で被覆するため、外部への油漏れを防止することができる。
【0027】
前記スプライン軸10の中心部に沿って孔道57を形成して、この孔道57の軸下端部をスプライン筒軸11の筒室58に開口連通する。このスプライン軸10の外周部は伸縮ブーツ16で覆われているため、このスプライン軸10がスプライン筒軸11上端のメタル55部から上方へ抜き出しているときは、このスプライン軸10のエアブリーザ孔18がブーツ室17内に開孔連通していて、このブーツ室17が、これらエアブリーザ孔18や、孔道57、筒室58、及びエアブリード孔13等を介して、連動軸ブーツ15のブーツ室14と連通することができる。前記スプライン筒軸11のエアブリーザ孔13は、この筒室58に給油を貯留するため、できるだけ高位置に設定することができる。この筒室58内への給油は、伸縮ブーツ16の上端部をめくって、スプライン軸10のエアブリーザ孔18を露出させて、このエアブリーザ孔18から注油することができる。又、連動軸ブーツ15を上下に移動させて、エアブリーザ孔13を露出させて、このエアブリーザ孔13から注油することもできる。
【0028】
このような形態においては、スプライン筒軸11のエアブリーザ孔13や、連動軸ブーツ15を設けない構成とすることも可能である。
次に、主として図9に基づいて、前記エンジン22から駆動の油圧無段変速装置41において、この無段変速操作するためのトラニオン軸60に一体的に取付けるトラニオンアーム61の先端部に、クリップピン62の摺動する摺接面63と、この摺接面63の中央部にクリップ穴64とを形成する。クリップピン62は、機体に固定のステー65からこのクリップ穴64へ向けて突出されて、スプリング66を介して押出弾発される。このクリップピン62の頭部先端面は、球面状に形成して、前記トラニオンアーム61のクリップ穴64に合致すると、このクリップ穴64に若干嵌合して、「カチッ」と係合音を発する。このようにトラニオンアーム61が前進位置、及び後進位置に操作されるときは、クリップピン62の頭部を摺接面63に摺接させるが、このトラニオンアーム61が中立位置に回動されると、クリップピン62をクリップ穴64に係合させる。このように、トラニオンアーム61を中立位置に操作すると、クリップ穴64にクリップピン62を係合させて、係合音を発して、操作フィーリングを向上し、操作性を高める。又、トラニオンアーム61を前進位置、又は後進位置へ操作すると、クリップピン62に対するクリップ穴64の位置が外れて、摺接面63との摺接案内によって、円滑な変速案内を行わせる。
【0029】
次に、主として図10に基づいて、前記トラニオン軸60を操作する変速レバー67を中立位置Nで揺動自在にブラケット68に支持し、このブラケット68を軸筒69の周りに回動自在に設けて、変速レバー67を前後方向へ操作して、前記トラニオン軸60を中立位置Nから前進(高速)位置F、又は後進(高速)位置Rへ操作できる。軸筒69は、アームプレート70に有して、機体に固定される。前記軸筒69の上側にはクリップ穴64を形成して、ブラケット68からスプリング66を介して押出弾発されるクリップピン62の頭部を、これら軸筒69の外周摺接面63や、クリップ穴64に摺動させる。この変速レバー67をレバーガイド71の前進位置Fや後進位置Rに操作したときは、このクリップピン62が摺接面63に摺動して、この変速レバー67の操作を円滑に行わせる。又、この変速レバー67を中立位置Nへ操作したときは、クリップピン62がクリップ穴64に係合して係合音を発する。
【0030】
又、前記クリップピン62の係合作動するブラケット68部には、ストッパプレート72を設け、変速レバー67を中立位置N以外の位置に操作したときは、このストッパプレート72によりクリップピン62が干渉されて、前進位置Fにある変速レバー67が後進位置Rへ回動されるのを防止する。又、このとき、クリップピン62がクリップ穴64に係合すると、このストッパプレート72との干渉から外れて、変速レバー67を中立位置Nから後進位置Rへの操作を許す。
【0031】
次に、主として、図11、図12に基づいて、前記走行車体1の前端部にフロントグリップ75の折畳収納可能な構成に関する。このフロントグリップ75は、畦越走行時等において、車体1の前部を持上げて浮上させて畦越えを容易に行わせる。走行車体1の前端部のフロントブラケット76正面視で門形状のグリップステー77を、ステー軸78周りに前後起伏回動可能に設け、このグリップステー77の上部には左右両側部にわたって張出するグリップバー79を形成する。又、このグリップステー77は、フロア36前端のステアリングポスト80の前照灯81と略同高さ位置に設定されて、この上端部には、U字形態に形成したフロントグリップ75の左右両端部を、グリップ軸82周りに後方周りに起伏回動可能に支持し、ストッパー83を有して、フロントグリップ75をグリップステー77に対して直上方向へ起立回動Aさせたり、左右のスリップステー77間に位置させて収納回動Bさせることができる。
【0032】
フロントグリップ75を使用する場合は起立回動Aし、フロントグリップ75不要の場合は収納回動Bさせる。又、これらの前後傾斜角度を変更するときは、ステー軸78周りに前後回動する。グリップバー79部が前照灯81の邪魔になる場合は、この収納回動B姿勢のグリップステー77を前側へ適宜角度回動させて、前照灯81の照射域から下側へ退避させる。
【0033】
又、前記フロントグリップ75や、グリップバー79等を使用して、畦越え操作する場合に、オートアクセルの油圧無段変速装置41のトラニオン軸60を少く戻し、エンジン22のスロットルによる回転を上げるように連動操作して、出力不足を補うように構成できる。又、前記フロントグリップ75等の起立回動Aによって、ミッションケース42のデフロックを切ると同時に、アイドリングを上昇させて、エンジン22の回転低下を防止するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 走行車体
2 苗植装置
3 フロート
4 代掻ロータ
5 後車軸
6 後輪伝動ケース
7 出力軸
8 ロータ伝動ケース
9 入力軸
10 スプライン軸
11 スプライン筒軸
12 スプライン連動軸
13 エアブリーザ孔
14 ブーツ室
15 連動軸ブーツ
16 伸縮ブーツ
17 ブーツ室
18 エアブリーザ孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後方に連結する苗植装置(2)を支持して土壌面を滑走するフロート(3)の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ(4)を設け、この走行車体(1)の後車軸(5)を軸装する後輪伝動ケース(6)の出力軸(7)から、この代掻ロータ(3)のロータ伝動ケース(8)の入力軸(9)に連動するための、伸縮自在のスプライン軸(10)と、このスプライン軸(10)を嵌挿するスプライン筒軸(11)とからなるスプライン連動軸(12)を設け、このスプライン筒軸(11)のエアブリーザ孔(13)の外周面に適宜間隔ブーツ室(14)を形成して覆う連動軸ブーツ(15)を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【請求項2】
前記スプライン連動軸(12)のスプライン筒軸(11)の外周を覆う連動軸ブーツ(15)と、スプライン軸(10)の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室(17)を形成する伸縮ブーツ(16)とを連通して一体的に連結したことを特徴とする請求項1に記載の苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【請求項3】
前記スプライン軸(10)を後輪伝動軸ケース(6)の出力軸(7)に連結し、スプライン筒軸(11)をロータ伝動ケース(8)の入力軸(9)に連結して、このスプライン軸(10)の上端部にエアブリーザ(18)を形成したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【請求項1】
走行車体(1)の後方に連結する苗植装置(2)を支持して土壌面を滑走するフロート(3)の前側に、この土壌面を代掻する代掻ロータ(4)を設け、この走行車体(1)の後車軸(5)を軸装する後輪伝動ケース(6)の出力軸(7)から、この代掻ロータ(3)のロータ伝動ケース(8)の入力軸(9)に連動するための、伸縮自在のスプライン軸(10)と、このスプライン軸(10)を嵌挿するスプライン筒軸(11)とからなるスプライン連動軸(12)を設け、このスプライン筒軸(11)のエアブリーザ孔(13)の外周面に適宜間隔ブーツ室(14)を形成して覆う連動軸ブーツ(15)を設けたことを特徴とする苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【請求項2】
前記スプライン連動軸(12)のスプライン筒軸(11)の外周を覆う連動軸ブーツ(15)と、スプライン軸(10)の外周部を覆って伸縮自在のブーツ室(17)を形成する伸縮ブーツ(16)とを連通して一体的に連結したことを特徴とする請求項1に記載の苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【請求項3】
前記スプライン軸(10)を後輪伝動軸ケース(6)の出力軸(7)に連結し、スプライン筒軸(11)をロータ伝動ケース(8)の入力軸(9)に連結して、このスプライン軸(10)の上端部にエアブリーザ(18)を形成したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の苗植機の代掻ロータ伝動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−172234(P2010−172234A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16921(P2009−16921)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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