説明

苗植機

【課題】
圃場の土壌面は、場所によって肥料分の濃度が異なり、植付けた苗の生育度を大きく異にすることが多く、甚だしきは、苗の生育障害や、病虫害を招き易い部分を生じて、局部的な育生被害を受けることが多い。
【解決手段】
車体1の後部に施肥装置2を設け、昇降リンク3を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロート4を有した苗植装置5を連結する苗植機において、フロート4の底部にフロート4の滑走する土壌面に介入して肥料濃度を検出する肥料センサ6を設け、肥料センサ6の検出結果に対応させて施肥装置2の施肥量を調節可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場の苗植土壌面の肥料分濃度を検出して施肥装置からの施肥量を変更調節しながら苗植作業を行う苗植機に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌面を滑走均平するフロートと、マット苗を受けて繰出す苗タンクと、この苗タンクの苗を分離保持して前記フロートによる均平土壌面跡に植付ける苗植付具と等からなる苗植装置を、走行車体の後部に昇降リンクを介して連結し、この車体の後部に施肥装置を搭載して、前記苗植土壌面に施肥しながら苗を植付ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009ー82039号公報(第3頁、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の土壌面は、場所によって肥料分の濃度が異なり、植付けた苗の生育度を大きく異にすることが多く、甚だしきは、苗の生育障害や、病虫害を招き易い部分を生じて、局部的な育生被害を受けることが多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、車体(1)の後部に施肥装置(2)を設け、昇降リンク(3)を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロート(4)を有した苗植装置(5)を連結する苗植機において、該フロート(4)の底部にフロート(4)の滑走する土壌面に介入して肥料濃度を検出する肥料センサ(6)を設け、該肥料センサ(6)の検出結果に対応させて前記施肥装置(2)の施肥量を調節可能に構成したことを特徴とする苗植機とする。
【0006】
車体1の走行によって苗植装置2が堆進されて、この底部のフロート4によって均平された土壌面に、施肥装置2による施肥作用が行われ、苗植装置5による苗植付作用が行われる。このとき、このフロート4の底部には土壌面に介入して堆進する肥料センサ6が、このフロート4によって均平する土壌の肥料濃度を検出して、この肥料濃度が所定値域よりも高いときは、前記施肥装置2の施肥量を減少し、肥料濃度が所定値域よりも低いときは、施肥量を増すように調節制御することにより、苗植土壌面の肥料濃度が圃場全面にわたって略均一状態になるように施肥量制御しながら苗植作用を行う。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記肥料センサ(6)を苗植装置(5)の左右両側部のサイドフロート(4S)間に設け、該サイドフロート(4S)を上下揺動可能に構成とし、該苗植装置(5)自体を昇降して苗植付深さを一定に維持するように連動するセンタフロート(4C)の底部に設けることを特徴とする請求項1記載の苗植機とする。
【0008】
苗植作業時にセンタフロート4Cの土壌面を滑走して上下揺動することによって、この土壌面の深さを検出することができ、このセンタフロート4Cの上動によって苗植装置5の支持を高くし、下動によって苗植装置5の支持を低くするように、苗植装置5を昇降制御して、この苗植装置5による苗植付深さを一定に維持する。このようなセンタフロート4Cは、苗植装置5の苗植付幅の略中央部に位置して構成されるため、苗植装置5が前後方向に大きく傾斜したり、左右方向に大きく傾斜したりしても、常時土壌面に接地した状態となるので、この底部に設ける肥料センサ6をセンタフロート4Cの滑走する土壌面に一定深さ位置を潜行摺接させて、正確な肥料濃度の検出を行わせる。
請求項3に記載の発明は、前記苗植装置(5)の左右両側部の各サイドフロート(4S)及びセンタフロート(4C)の底部にそれぞれ肥料センサ(6)を設け、該複数の肥料センサ(6)の検出値の平均値に基づき施肥量を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗植機とした。
苗植作業時に、前記のように土壌面の深さ変化に応じて上下動ずるセンタフロート4Cと、この左右両側部のサイドフロート4Sとの接地滑走によって土壌面を均平にしながら、各センタフロート4Cと、サイドフロート4Sの均平跡土壌面に施肥及び苗植付を行う。このとき、これら各フロート4C、4Sの底部の肥料センサ6によって各均平跡部の土壌面下を潜行して各々肥料濃度を検出し、これら各部の肥料センサ6による検出値を平均処理して制御出力値とし、この出力値によって施肥装置2による施肥量を調節制御する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、肥料センサ6をフロート4の底部に一体として取付ける構成であるから、簡潔であり、苗植走行に伴って、略圃場全面域にわたって均等密度に土壌面下を潜行摺接して、苗植付位置の土壌面の肥料濃度を検出するものであるから、施肥量の加、減調節を苗植付位置毎に行わせながら、かつ、圃場全域にわたって均等に行わせることができ、苗の生育を揃えることができる。しかも、施肥量の加、減調節は、肥料センサ6の検出によって自動的に行われるものであるから、苗植機の苗植操作を簡単、容易に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、センタフロート4Cは、苗植装置5の苗植幅の略中央部に位置して土壌面を滑走しながら均平するものであるから、車体1や、この苗植装置5が左右に傾斜したり、ローリングしても、このセンタフロート4Cは常に苗植土壌面に略一定位置に維持させて、しかも、このセンタフロート4Cの底部に一体の肥料センサ6を、このセンタフロート4Cによる均平面に対して一定深さ位置に維持させて肥料濃度を検出させることができ、肥料センサ6による肥料濃度の検出を正確に、安定した状態に行わせることができる。
請求項3に記載の発明は、苗植装置5のセンタフロート4Cと、この左右両側部の各サイドフロート4Sとの各肥料センサ6の検出によって、この各検出値の平均値に基づいて、施肥装置2の施肥量を加減調節するように制御するものであるから、各センタフロート4C、及びサイドフロート4S毎に植付土壌面の肥料濃度を検出することができて、正確で、安定した施肥量制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】苗植機の側面図
【図2】メータパネル部の平面図
【図3】施肥量調節制御のブロック図
【図4】別実施例の苗植機の側面図
【図5】別実施例の昇降制御のブロック図
【図6】(a)ステアリングハンドルの平面図、(b)ステアリングハンドルの側面図
【図7】(a)苗タンクの部分背面図、(b)苗タンクの部分側面図
【図8】センタマスコット部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に基づいて、車体1は、ステアリングポスト14上のステアリングハンドル15によって操向する前輪16と、リヤハウジング17のリヤアクスル18に軸装の後輪19を有して、運転席20下のシートカバー21内に搭載のエンジン22の駆動によって、HST(油圧無段変速装置)23、及びミッションケース24等の伝動機構を介して伝動して走行駆動する乗用前後四輪駆動走行形態の構成としている。この車体1の後部には、平行リンク形態の昇降リンク3をリフトシリンダ26の油圧力による伸縮によって上下回動可能に設け、このリフトシリンダ26の後端にヒッチリンク25を構成して、苗植装置5を着脱可能とする。又、車体1の後部には、施肥装置2を装着して、苗植装置5によって植付けられる苗植土壌面に肥料を施用することができる。又、車体1の後部には、PTO軸9を昇降リンク3の後端側へ向けて設け、前記ミッションケース24内の伝動機構からPTOクラッチ等を介して伝動駆動する。前記ヒッチリンク25にはローリング軸32を有して、このローリング軸32周りに苗植装置5の主体である苗植フレーム27幅の中央部がローリング自在に連結される。
【0012】
この苗植装置5は、苗植フレーム27の下側に、左右幅方向の中央部に位置するセンタフロート4Cと、このセンタフロート4Cの外側に位置するサイドフロート4Sからなるフロート4を、後部のフロート軸28の周りに上下揺動自在に支持して土壌面を滑走しながら、苗植土壌面を均平に成形する。この各フロート4によって滑走支持される苗植フレーム27には、前記PTO軸9から伝動される苗植伝動機構が内装されて、後端部に配置の苗植具29を伝動駆動する。各苗植具29は、ダブルクランク形態に駆動されて、先端部を、側面視楕円形状の苗植軌跡Dを描きながら、上支点部では苗タンク30の苗取出口31から苗植本、数の苗を分離保持して下動し、この下支点部では前記フロート4によって均平に形成される土壌面に挿込んで植付ける。前記各センタフロート4C、及びサイドフロート4Sは、左右両側部に均平部33を形成して、この均平部33の直後側部に苗植具29を植付作動させる。又、この均平部33には作溝器34形成して、苗植具29による苗植位置の側部に沿って作溝を形成し、この作溝部の上側に施肥装置2から繰出される肥料を施用させることができる。
【0013】
苗タンク30は、各苗植具29の作用する苗取出口31にマット状に育苗されたマット苗を繰出供給するもので、多条植形態として、各苗タンク30の底部にマット苗の底面を受けて繰出す繰出ベルトを配置している。
【0014】
前記フロート4のうちセンタフロート4Cは、サイドフロート4Sよりも前側へ長く突出する形態に設けられて、このセンタフロート4Cがフロート軸28の周りに所定以上に大きく上下回動されることにより、リフトシリンダ26の制御弁を切替えて、この苗植装置5を車体1に対して昇降制御し、土壌面に対する苗植具29による苗植付深さを、土壌面の深さの変化や、土壌耕盤の変化等に拘らず略一定に維持するように作動制御する。
【0015】
苗植装置5は、前記のようにセンタフロート4Cの上下揺動によって自動的に昇降制御されるが、圃場の畦際で折返操向するときも、操向操作に伴って操向センサ13の検出により自動的に苗植装置5を土壌面から浮上させて操向の邪魔にならない姿勢としたり、折返後再度苗植作用行程に移るときは、苗植姿勢に自動的に下降させる形態としている。又、このほか、操作レバー37等の操作によって、リフトシリンダ26の油圧回路に切替弁38を操作して昇降することもできる。
【0016】
前記施肥装置2は、粉粒剤からなる肥料を収容する肥料ホッパ10、繰出ロールの回転によって肥料ホッパ10の肥料を繰出す繰出装置11、この繰出された肥料を受けてブロワーからの送風力によって前記各フロート4の作溝器34部側へ搬送案内する搬送筒12等から構成し、運転席20後側のリヤフレーム35上に装着する。又、この繰出装置11には、繰出ロールを可変モータMで駆動する構成として、肥料センサ6の検出によって苗植土壌面の肥料濃度が検出されると、コントローラ36からの出力によてこのモータMの駆動回転数を変更調節し、肥料の繰出量を調節することができる。
【0017】
前記ステアリングポスト14の上部には、メータパネル40を設け、ステアリング軸41の右側には、前記HST23を主変速操作するHSTレバーのレバーガイド42や、リフトシリンダ26の油圧回路における油圧感度を調節する感度調節ダイヤル43等を設け、この左側には、リフトシリンダ26による苗植装置5の自動昇降制御の制御回路を働かせるためのスイッチ44や、この自動昇降制御のタイミングを調節するダイヤル45、苗植条位置を指示する電動マーカを操作するマーカスイッチ46等を設ける。又、このステアリング軸41の前側には、ウォータゲージや、燃料ゲージ、ウインカーマーク等を表示するゲージ窓47を設け、施肥装置2における肥料切れや、畦クラッチ、肥料詰り、苗植付状態等を示す表示窓48を設け、更には、苗植付速や、PTOの入、切、苗植機の移動等を表示する表示窓49等を配置する。
【0018】
又、前記メータパネル40の前端部にディスクプレイ50を設けて、施肥量を設定し表示することができる。メータパネル40の後端部(手前側)には、この施肥量を設定、変更するための設定スイッチ51、可変スイッチ52、増、減スイッチ53、及び前記ディスクプレイ50の表示を切替える表示切替スイッチ54等を配置する可変パネル56を設ける。この可変パネル56は、ステアリングポスト14のステアリング軸41部と一体的に、前後に回動して傾斜角度を変更可能にするチルトハンドル形態とするもので、視認性を向上する。このステアリングポスト14部にはチルト操作するチルトレバー57を設けている。
【0019】
前記施肥装置2の横端部に、肥料を収容するカップ58の重量を測定する重量計59、乃至比重計を設け、この重量計59の計測によって使用する肥料の比重値を前記ディスプレイ50に自動的に表示する形態としている。この比重値によって使用肥料の施用量、繰出量等を異にするものであり、自動的に施肥量を変更調節制御する形態とする。
【0020】
ここにおいて、車体1の後部に施肥装置2を搭載すると共に、昇降リンク3を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロート4を有した苗植装置5を連結する苗植機において、前記フロート4の底部に、このフロート4の滑走する土壌面に介入して肥料濃度を検出する肥料センサ6を設けて、この肥料センサ6の検出によって、前記施肥装置2の苗植土壌面に対する施肥量を調節することを特徴とする施肥装置の構成とする。
【0021】
車体1の走行によって苗植装置2が堆進されて、この底部のフロート4によって均平された土壌面に、施肥装置2による施肥作用が行われ、苗植装置5による苗植付作用が行われる。このとき、このフロート4の底部には土壌面に介入して堆進する肥料センサ6が、このフロート4によって均平する土壌の肥料濃度を検出して、この肥料濃度が所定値域よりも高いときは前記施肥装置2の施肥量を減少し、肥料濃度が所定値域よりも低いときは施肥量を増すように調節制御することにより、苗植土壌面の肥料濃度が圃場全面にわたって略均一状態になるように施肥しながら苗植作用を行う。
【0022】
又、前記肥料センサ6は、苗植装置5の左右両側部のサイドフロート4S間に位置して滑走しながら上下揺動することにより、この苗植装置5自体を昇降して苗植付深さを一定に維持するように連動するセンタフロート4Cの底部に設ける。
【0023】
苗植作業時にセンタフロート4Cの土壌面を滑走して上下揺動することによって、この土壌面の深さを検出することができ、このセンタフロート4Cの上動によって苗植装置5の支持を高くし、下動によって苗植装置5の支持を低くするように、苗植装置5を昇降制御して、この苗植装置5による苗植付深さを一定に維持する。このようなセンタフロート4Cは、苗植装置5の苗植付幅の略中央部に位置して構成されるため、苗植装置5が大きく傾斜したり、ローリングしても、常時土壌面に接地した状態にあって、この底部に設ける肥料センサ6を、このセンタフロート4Cの滑走する土壌面に一定深さ位置を潜行摺接させて、正確な肥料濃度の検出を行わせる。
【0024】
更には、前記肥料センサ6は、苗植装置5の左右両側部の各サイドフロート4S、及びセンタフロート4Cの底部に設けて、これら各肥料センサ6の検出値を平均処理して施肥量調節する。
【0025】
苗植作業時に、前記のように土壌面の深さ変化に応ずるセンタフロート4Cと、この左右両側部のサイドフロート4Sとの接地滑走によって土壌面を均平にしながら、各フロート4C、4Sの均平跡に施肥、及び苗植付を行う。このとき、各フロート4C、4Sの底部の肥料センサ6によって各均平跡部の土壌面下を潜行して各々肥料濃度を検出し、これら各部の肥料センサ6による検出値を平均処理して制御出力値とし、この出力値によって施肥装置2による施肥量を調節制御する。
【0026】
前記肥料センサ6としては、土壌中の電気電磁導率を測定するECメータ(特に硝酸態チッソの含有率を検出することができる)を使用して、圃場各所の土壌のチッソ量を測定して、チッソ過剰による米食味の低下や、稲作病気抵抗力の低下等を防止し、又、チッソ不足による生育不良を防止する。この肥料センサ6をフロート4の底面土壌均平部に下方に向けて適宜深さ位置に突出させて設け、この肥料センサ6土壌面下適宜深さ位置を潜行させながら、連続的、又は間歇的に通電することによって、常時潜行位置土壌の電気電導率を測定する。この肥料センサ6よる検出値が大きくなると、前記繰出モータMの回転を低くして、繰出装置11の繰出ロールの回転数を低減し、肥料の繰出量を減少し、又は繰出を停止する。又、この検出値が小さくなると、モータMによる繰出ロールの回転数を増して、肥料の繰出量を増す。
【0027】
次に、主として図4に基づいて、車体1の腹部に、前記肥料センサ6を有したフロントフロート8を、フロートリンク7を介して昇降可能に装着する。そして、このフロントフロート8は、前輪16と後輪19との間の車体幅方向の略中央部に位置して、走行土壌面を滑走均平する。この昇降自在のフロートリンク7には、車体1との間にリフトシリンダ55を設け、このリフトシリンダ55の伸縮によってフロントフロート8を非滑走位置と、滑走位置とに昇降される。このフロントフロート8の昇降は、自動操作で行わせる場合は前記のように自動スイッチ44をONしておくことによって、操向センサ13がステアリングハンドル15による一定以上の操向角を検出することによって、前記切替弁38、及び切替弁39を上昇位置へ切替えて、リフトシリンダ26、55を作動して、苗植装置5、及びフロントフロート8を非作用位置へ上昇する。又、これらリフトシリンダ26、55の昇降作動は、操作レバー37によるスイッチ操作によって、手動的に行わせることもできる形態としている。
【0028】
ここにおいて、車体1の後部に施肥装置2を搭載すると共に、昇降リンク3を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロート4を有した苗植装置5を連結し、この苗植装置5の前方に位置する車体1の腹部に、フロートリンク7を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロントフロート8を設けた苗植機において、前記フロントフロート8の底部に、このフロントフロート8の滑走する土壌面に介入して肥料濃度を検出する肥料センサ6を設けて、前記施肥センサ6の検出によって、前記施肥装置2の苗植土壌面に対する施肥量を調節する。
【0029】
苗植作業時に、車体1の走行によりこの腹部に装着のフロントフロート8が土壌面を滑走して均平しながら、この底部の肥料センサ6がこの均平土壌面を潜行しながら肥料濃度を検出する。このフロントフロート8が通過後の土壌面に、車体1後部の苗植装置5が通って苗植付作用を行うと共に、施肥装置2による施肥作用が行われる。又、この施肥装置2による施肥量の調節が、前記肥料センサ6の検出に基いて加、減制御される。これら肥料センサ6による肥料濃度の検出と、施肥装置2による苗植付土壌面位置への施肥とのタイミングが前後にずれているため、車体1の苗植走行速によって、できるだけ同位置となるように接近させることができ易くなる。
【0030】
又、前記肥料センサ6を有したフロントフロート8を、苗植装置5の昇降と連動して昇降する。
【0031】
前記のように苗植装置5は昇降リンク3によって昇降されて、非苗植位置に上昇されたり、苗植位置に下降されるが、フロントフロート8もこれと同様に昇降する。そして、これらフロントフロート8のフロートリンク7による昇降と、苗植装置5の昇降リンク3による昇降とを連動して行うことによって、これらの昇降操作を簡易、迅速化することができる。
【0032】
次に、図6に基づいて、前記ステアリングハンドル15に、苗植装置5を昇降するための昇降スイッチ60を設けたものである。このハンドル15の上面に沿ってハンドル溝61を形成して、このハンドル溝61内に昇降スイッチ60を設ける。昇降スイッチ60はハンドル溝61に沿って適宜回動移動可能に構成し、このハンドル溝61上面を開閉するカバー62を設けている。操向操作しながら昇降スイッチ60をハンドル把持した手で操作するため、迅速、的確な操作を行うことができる。
【0033】
次に、図7に基づいて、前記苗タンク30の上端部に設けられる延長苗タンク65上面に、苗タンク幅方向に並んで突出形成されるクシ状の泥掻突起66を設けたものである。この苗タンク30に供給するマット苗の底面をこの泥掻突起66に当てることによって、このマット苗底面に付着する泥土や、根屑等を取除き易くする。
【0034】
次に、図8に基づいて、前記苗植機の車体1の前端部には、走行目標のためのセンタマスコット67を設けるが、このセンタマスコット67の上端部には、複数段のパイロットランプ68、69、70、71を配置して、コントローラを介して連動して、特定の作動状態を表示して点灯するように構成している。例えば、最上段のパイロットランプ68は苗タンク30の苗切れ状態を表示し、パイロットランプ69はこの苗の繰出状態を表示し、パイロットランプ70は畦クラッチの入り、切りの状態を表示し、最下段のパイロットランプ71は施肥装置2の肥料切れを表示するものとして連動して点灯するように設定している。
【符号の説明】
【0035】
1 車体
2 施肥装置
3 昇降リンク
4 フロート
4C センタフロート
4S サイドフロート
5 苗植装置
6 肥料センサ
7 フロートリンク
11 繰出装置
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)の後部に施肥装置(2)を設け、昇降リンク(3)を介して昇降しながら土壌面を滑走均平するフロート(4)を有した苗植装置(5)を連結する苗植機において、該フロート(4)の底部にフロート(4)の滑走する土壌面に介入して肥料濃度を検出する肥料センサ(6)を設け、該肥料センサ(6)の検出結果に対応させて前記施肥装置(2)の施肥量を調節可能に構成したことを特徴とする苗植機。
【請求項2】
前記肥料センサ(6)を苗植装置(5)の左右両側部のサイドフロート(4S)間に設け、該サイドフロート(4S)を上下揺動可能に構成とし、該苗植装置(5)自体を昇降して苗植付深さを一定に維持するように連動するセンタフロート(4C)の底部に設けることを特徴とする請求項1記載の苗植機。
【請求項3】
前記苗植装置(5)の左右両側部の各サイドフロート(4S)及びセンタフロート(4C)の底部にそれぞれ肥料センサ(6)を設け、該複数の肥料センサ(6)の検出値の平均値に基づき施肥量を調節可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177051(P2011−177051A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42174(P2010−42174)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】