説明

苦渋味抑制剤

【課題】不快な苦渋味を有効に抑制し得る苦渋味抑制剤を有効量添加することによる、苦渋味成分含有組成物の苦渋味抑制方法を提供する。
【解決手段】グレープフルーツの果皮から機械的方法により30℃以下で搾油して得られるオイルからなるグレープフルーツコールドプレスオイルを有効成分とする、苦渋味抑制剤であって、苦渋味成分であるポリフェノール類を含有する緑茶、烏龍茶、紅茶、コーヒー等の飲料苦渋味を抑制して嗜好性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦渋味抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
苦渋味成分を含有する飲料として、例えば、緑茶、烏龍茶、紅茶、コーヒー等の飲料が知られている。これら飲料には、苦渋味成分として、例えば、非重合体カテキン類、タンニン、クロロゲン酸等のポリフェノール類やカフェインが含まれている。
【0003】
ところで、苦渋味は飲食品の嗜好性を高める上で必要な味覚の一つであるが、過度の苦渋味は不快感ないし嫌悪感を伴うようになる。
このような不快な苦渋味を抑制する手段として、例えば、プロタミン及び/又はその塩を添加する方法(特許文献1)、糖アルコール類を一定量添加する方法(特許文献2及び4)、サイクロデキストリンを一定量含有せしめる方法(特許文献3)、甘蔗由来の抽出物を含有せしめる方法(特許文献5)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−153875号公報
【特許文献2】特開平7−274829号公報
【特許文献3】特開平10−4919号公報
【特許文献4】特開平11−253102号公報
【特許文献5】特開2002−34471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、消費者の嗜好の多様化や健康志向の高揚により、天然由来の成分であって、不快な苦渋味を有効に抑制し得る苦渋味抑制剤の開発が望まれている。
【0006】
したがって、本発明の課題は、不快な苦渋味を有効に抑制し得る苦渋味抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、不快な苦渋味を有効に抑制し得る物質について検討したところ、グレープフルーツの果皮由来の特定の画分が不快な苦渋味の抑制に有効であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、グレープフルーツコールドプレスオイルを有効成分とする、苦渋味抑制剤を提供するものである。
【0009】
本発明はまた、次の成分(A)及び(B);
(A)上記苦渋味抑制剤、及び
(B)苦渋味成分:0.03〜0.6質量%
を含有する容器詰飲料を提供するものである。
【0010】
本発明は更に、上記苦渋味抑制剤を有効量添加する、苦渋味成分を含有する組成物の苦渋味抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不快な苦渋味を有効に抑制することができる。また、本発明の苦渋味抑制剤は、天然由来の成分であって安全性が高いため、飲食品、医薬品、医薬部外品の分野で使用することが可能である。更に、本発明の苦渋味抑制剤は、柑橘系の香りを付与して嗜好性を高めることが可能であるから、飲食品の分野で特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の苦渋味抑制剤は、グレープフルーツコールドプレスオイルを有効成分とするものである。これにより、口に含んだときに感じる不快な苦渋味を抑制し、嗜好性を高めることができる。
ここで、本明細書において、「グレープフルーツコールドプレスオイル」とは、グレープフルーツの果皮由来のオイルをいい、具体的には、グレープフルーツの果皮から機械的方法により30℃以下で搾油して得られるオイルをいう。なお、機械的方法としては、果皮を折り曲げるスフマトリーチェ法、果皮表皮を削り取るラスピング法、果皮を圧搾・切断するプレス法などが例示される。
【0013】
本発明の苦渋味抑制剤の形態は、使用条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、グレープフルーツコールドプレスオイルを公知の調製法に従い、粉末状、顆粒状又は粒子状の固形物とすることができる。また、本発明の苦渋味抑制剤には、酸化を防止して保存安定性を高めるための抗酸化剤を添加してもよい。
【0014】
本発明の苦渋味抑制剤は、苦渋味成分を含有するものであれば、医薬品、医薬部外品又は飲食品等に特に限定なく使用することが可能である。
医薬品中の苦渋味成分としては、例えば、ストリキニーネ、キニーネ、パパベリン、ベルベリン、ブロメタジン、ブルシン、プロプラノロール、クロルプロマジン等が例示される。薬物は酸付加塩であってもよく、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩及び有機酸塩が例示される。
医薬部外品中の苦渋味成分としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム、モノアルキルリン酸ナトリウム等の界面活性剤、メントール、リナロール、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール等の香料、メチルパラベン、プロピルパラベン等の殺菌剤等が例示される。なお、医薬部外品としては、例えば、歯磨き、マウスウオッシュ、マウスリンス等が例示される。
医薬品及び医薬部外品の剤型は特に限定されず、公知の剤型を採用することができる。
【0015】
飲食品中の苦渋味成分としては、例えば、アミノ酸、ポリフェノール類、カフェイン、ペプチド、サポニン、リモニン、ナリンギン、オリゴ糖等が例示される。
アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン等が例示される。
ポリフェノール類としては、その代表例としてフラボノイド、クロロゲン酸類等が例示され、フラボノイドには非重合体カテキン類、タンニンが包含される。
なお、ポリフェノール類の濃度は、酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めることができる。
また、「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を合わせての総称である。非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義され、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。「非重合体カテキン類のガレート体」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等を併せての総称であり、「非重合体カテキン類中のガレート体率」は、非重合体カテキン類の総量に対する上記ガレート体の質量比率である。
更に、「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。クロロゲン酸類の濃度は、上記9種の合計量に基づいて定義され、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりUV−VIS検出器を用いて測定することができる。
【0016】
このような苦渋味成分を含有する飲食品としては、次のものが例示される。
グレープフルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘果実又はこれら果実から得られる果汁;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス等の野菜又はこれら野菜から得られる野菜汁、若しくは野菜ジュース;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、ワイン、ビール等の飲料;ソース、醤油、味噌、唐辛子、うま味調味料等の調味料;豆乳等の大豆食品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン等の乳化食品;魚肉、すり身、魚卵等の水産加工食品;ピーナツ等のナッツ;納豆等の発酵食品;食肉又はその加工食品;漬物;めん;粉末スープを含むスープ;チーズ、牛乳等の乳製品;パン・ケーキ;スナック、ビスケット、米菓、チューインガム、チョコレート、キャンディー等の菓子。
【0017】
本発明の苦渋味抑制剤の添加量は苦渋味成分の種類により適宜選択することが可能であるが、例えば、硫酸キニーネの標準溶液を基準とする苦味強度が3〜7、特に4〜7である、苦渋味成分を含有する組成物中に0.001〜0.05質量%、更に0.002〜0.009質量%、特に0.003〜0.008質量%添加することが好ましい。このような有効量の苦渋味抑制剤を添加することで、苦渋味成分を含有する組成物の苦渋味を抑制することが可能になるが、とりわけ容器詰飲料の苦渋味抑制に有効である。
ここで、「硫酸キニーネの標準溶液を基準とする苦味強度」とは、硫酸キニーネを用いて苦味の強さを等間隔で10段階に予め調整した標準溶液(Indow, T, Perception & Psychophysics, Vol.5(1969),pp.347-351)を基準とする官能試験において、被験者により硫酸キニーネの標準溶液の中から被験物質と同等の苦味の強さと認識された標準溶液の苦味強度をいう。なお、試験方法は、後掲の実施例に記載の方法に従うものとするが、苦味強度が3〜7である苦渋味成分を含有する組成物としては、例えば、ポリフェノール類、とりわけ非重合体カテキン類を0.03〜0.6質量%含有する飲料が例示される。
【0018】
本発明の容器詰飲料は、(B)苦渋味成分を0.03〜0.6質量%含有するが、より一層の苦渋味抑制の観点から、0.05〜0.3質量%、特に0.1〜0.2質量%含有することが好ましい。
(B)苦渋味成分としては、クロロゲン酸類、タンニン、非重合体カテキン類等のポリフェノール類が例示され、特に非重合体カテキン類が好適である。
【0019】
また、(A)苦渋味抑制剤と、(B)苦渋味成分との含有質量比[(A)/(B)]は、苦渋味抑制の観点から、下限が0.001、更に0.005、更に0.01、特に0.02であることが好ましく、他方上限が0.1、更に0.07、更に0.06、特に0.04であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の容器詰飲料は、(C)食塩を更に含有することができる。これにより、苦渋味を更に抑制することができる。
本発明の容器詰飲料中の(C)食塩の含有量は、苦渋味抑制の観点から、下限が0.001質量%、更に0.005質量%、より更に0.01質量%、特に0.02質量%であることが好ましく、他方上限は0.09質量%、更に0.08質量%、特に0.07質量%であることが好ましい。
【0021】
更に、本発明の容器詰飲料には、甘味料、酸味料、酸化防止剤、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類(食塩を除く)、色素類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、ビタミン、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独で又は併用して配合してもよい。これら添加剤の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、適宜設定することができる。
【0022】
本発明の容器詰飲料は、茶飲料でも、非茶系飲料であってもよい。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が例示される。また、非茶系飲料としては、例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料が例示される。
【0023】
本発明の容器詰飲料のpH(25℃)は、呈味及び非重合体カテキン類の安定性の観点から、2〜7、特に3〜6.5であることが好ましい。
【0024】
本発明の容器詰飲料は、公知の方法を採用して製造することが可能である。例えば、(A)苦渋味成分がポリフェノール類、とりわけ非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料の場合、茶抽出物と苦渋味抑制剤を配合し非重合体カテキン類濃度を調整して製造することができる。
茶抽出物としては、例えば、茶から得られた抽出物が例示される。茶としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹が好適に使用される。その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。
不発酵茶としては、例えば、茎茶、棒茶、芽茶、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶等の緑茶が例示される。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が例示される。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも緑茶が好適である。
茶を抽出する方法としては、例えば、攪拌抽出、カラム法、ドリップ抽出等の従来の方法を採用することができる。得られた抽出物は、そのままでも、乾燥、濃縮して使用してもよい。茶抽出物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等が例示される。
【0025】
また、茶抽出物として、茶から抽出した抽出物の代わりに、茶抽出物の濃縮物又は精製物を使用してもよく、茶から抽出した抽出物と、茶抽出物の濃縮物又は精製物を併用してもよい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶から水及び/又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。茶抽出物の濃縮物として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林社製の「ポリフェノン」、伊藤園社製の「テアフラン」、太陽化学社製の「サンフェノン」等の緑茶抽出物の濃縮物が例示される。
また、茶抽出物の精製物とは、溶剤やカラムを用いて茶抽出物又はその濃縮物から沈殿物等を除去したものをいい、必要によりタンナーゼ処理しても(例えば、特開2004−321105号公報)、活性炭、酸性白土及び活性白土から選ばれる少なくとも1種で処理してもよい(例えば、特公開2007−282568号公報)。
【0026】
本発明で使用する茶抽出物としては、固形分中に非重合体カテキン類を25〜95質量%、更に40〜90質量%、より更に50〜88質量%、特に60〜85質量%含有するものが好ましい。また、非重合体カテキン類中のガレート体率は5〜70質量%、特に10〜60質量%であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
更に、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
【実施例】
【0028】
非重合体カテキン類の測定
試料をフィルター(0.8μm)で濾過し、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着した高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用いて、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0029】
製造例
カテキン製剤の調製
カフェイン含有カテキン類組成物(ポリフェノンHG、三井農林社製)200gを常温、250rpm攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号濾紙で濾過した。その後、活性炭20gを添加し再び2号濾紙で濾過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再濾過を行った。最後にイオン交換水200gを濾過液に添加して、減圧下でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整してカテキン製剤を得た。カテキン製剤中の非重合体カテキン類濃度は23質量%であり、また非重合体カテキン類中のガレート体率は51質量%であった。
【0030】
実施例1
製造例で得られたカテキン製剤と、グレープフルーツコールドプレスオイル(長谷川香料(株)製)を表1に示す処方にて配合し、次いで超高温短時間殺菌(UHT殺菌、98℃、30秒)し透明PETボトルに充填して容器詰飲料を得た。
【0031】
比較例1
苦渋味抑制剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0032】
比較例2
グレープフルーツコールドプレスオイルを、一般的な苦渋味抑制剤であるサイクロデキストリンに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0033】
試験例1
〔風味の評価〕
各容器詰飲料の苦味及び渋味についてパネラー10名により飲料試験を行い、比較例1の容器詰飲料に対する相対評価として下記の5段階で評価した。その後、協議により最終スコアを決定した。その結果を表1に併せて示す。
【0034】
(苦味の評価基準)
評点5:比較例1より苦味が増した。
4:比較例1より苦味がやや増した。
3:比較例1と苦味が同等であった。
2:比較例1より苦味がやや弱くなった。
1:比較例1より苦味が弱くなった。
【0035】
(渋味の評価基準)
評点5:比較例1より渋味が増した。
4:比較例1より渋味がやや増した。
3:比較例1と渋味が同等であった。
2:比較例1より渋味がやや弱くなった。
1:比較例1より渋味が弱くなった。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2
製造例で得られたカテキン製剤と、グレープフルーツコールドプレスオイル(長谷川香料(株)製)と、甘味料、酸味料及び食塩を表2に示す処方にて配合し、次いで超高温短時間殺菌(UHT殺菌、98℃、30秒)し透明PETボトルに充填して容器詰飲料を得た。
【0038】
実施例3
グレープフルーツコールドプレスオイルの配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0039】
実施例4
グレープフルーツコールドプレスオイルの配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0040】
実施例5
グレープフルーツコールドプレスオイルの配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0041】
実施例6
食塩の配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0042】
実施例7
食塩の配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0043】
実施例8
食塩の配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0044】
実施例9
食塩を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0045】
実施例10
グレープフルーツコールドプレスオイルの配合量を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0046】
比較例3
苦渋味抑制剤を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様の操作にて容器詰飲料を得た。
【0047】
試験例2
〔風味の評価〕
各容器詰飲料の苦味及び渋味についてパネラー10名により飲料試験を行い、比較例3の容器詰飲料に対する相対評価として下記の6段階で評価した。その後、協議により最終スコアを決定した。
【0048】
(苦味の評価基準)
評点5:比較例3より苦味が増した。
4:比較例3より苦味がやや増した。
3:比較例3と苦味が同等であった。
2:比較例3より苦味がやや弱くなった。
1:比較例3より苦味が弱くなった。
0:比較例3より苦味が顕著に弱くなった。
【0049】
(渋味の評価基準)
評点5:比較例3より渋味が増した。
4:比較例3より渋味がやや増した。
3:比較例3と渋味が同等であった。
2:比較例3より渋味がやや弱くなった。
1:比較例3より渋味が弱くなった。
0:比較例3より渋味が顕著に弱くなった。
【0050】
【表2】

【0051】
表1〜2から、グレープフルーツコールドプレスオイルを有効成分とする苦渋味抑制剤を含有せしめることで、苦渋味が抑制されることが確認された。また、苦渋味抑制剤に加えて、食塩を更に含有せしめることで、苦渋味の抑制効果がより一層向上することがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレープフルーツコールドプレスオイルを有効成分とする、苦渋味抑制剤。
【請求項2】
苦渋味成分を含有する組成物の苦渋味を抑制するためのものである、請求項1記載の苦渋味抑制剤。
【請求項3】
苦渋味成分がポリフェノール類である、請求項2記載の苦渋味抑制剤。
【請求項4】
ポリフェノール類が非重合体カテキン類である、請求項3記載の苦渋味抑制剤。
【請求項5】
次の成分(A)及び(B);
(A)請求項1〜4のいずれか1項に記載の苦渋味抑制剤、及び
(B)苦渋味成分:0.03〜0.6質量%
を含有する、容器詰飲料。
【請求項6】
当該容器詰飲料中の成分(A)の含有量が0.001〜0.05質量%である、請求項5記載の容器詰飲料。
【請求項7】
更に成分(C)として食塩を含有する、請求項5又は6記載の容器詰飲料。
【請求項8】
当該容器詰飲料中の成分(C)の含有量が0.001〜0.09質量である、請求項7記載の容器詰飲料。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の苦渋味抑制剤を有効量添加する、苦渋味成分を含有する組成物の苦渋味抑制方法。

【公開番号】特開2011−72242(P2011−72242A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226336(P2009−226336)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】