説明

茶濾し袋

【課題】 従来の茶濾し袋では、濾し袋本体内に茶葉類を収容した後、濾し袋本体の開口部を折返し蓋で閉塞するようにしているので、内部の茶葉類が表裏の濾材で圧迫されて十分に膨潤化されにくい(茶葉類エキスの抽出効率が悪い)。
【解決手段】 上辺部に開口部16を有し、内部に茶葉類収容部17を有した正面視矩形の濾し袋本体1を備えるとともに、開口部16の上辺部に、抽出容器Yの口縁部の外側に掛止される所定長さの掛止片2を連続して形成しており、該掛止片2を抽出容器口縁部の外側に掛止することで、茶葉類入り濾し袋本体1内を大きく膨らせた状態で茶葉類エキスを抽出し得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、濾し袋本体内に茶葉類を収容して、抽出容器内の熱湯中に茶葉類エキスを抽出するための茶濾し袋に関するものである。尚、本願の茶濾し袋は、茶葉類として日本茶・紅茶・コーヒー粉末等を扱えるものである。
【背景技術】
【0002】
この種の一般的な茶濾し袋としては、図18〜図20に示すようなものがある。この図18〜図20に示す従来例の茶濾し袋は、耐水性及び水透過性を有する不織布製の濾材を使用している。そして、この茶濾し袋は、表材11と裏材12(図19)とを底部13(図19)が連続する状態で折返すとともに、左右各側縁部14,14を熱溶着(熱溶着部15,15)して、正面視矩形の濾し袋本体1を形成している。この濾し袋本体1の上部には、長手方向のほぼ全幅に亘って開口部16が形成されており、該開口部16から濾し袋本体1の収容部17(図19)内に茶葉類Pを収容し得るようになっている。又、表材11の上部には、開口部16を閉塞する折返し蓋19が形成されている一方、裏材12の上部には、内折り部18(図19)が形成されている。尚、折返し蓋19及び内折り部18のそれぞれ左右両端部は、上記熱溶着部15,15で表材11又は裏材12に接着されている。
【0003】
この従来例の茶濾し袋は、図19(A)の扁平状態(実際には内部の空気が排除されて極薄状態となっている)から、図19(B)に示すように袋内部(収容部17)を膨らませて収容部17内に所定量の茶葉類Pを収容した後、図19(C)に示すように折返し蓋19を開口部16上に被せることで、濾し袋本体1内に茶葉類Pを封入できる。そして、図19(C)に示す茶葉類入り茶濾し袋は、例えば図20に示すように急須等の抽出容器Y内に収容し、熱湯Wを注ぐことによって熱湯W中に茶葉類エキスを抽出できる。
【0004】
ところで、茶葉類P(例えば日本茶)は、抽出前は乾燥していて縮んでおり、熱湯W中に浸けることによって、図20に鎖線図示(符号P′)するように水分を含んで膨潤化するようになる。そして、茶葉類Pは、茶葉類エキスを抽出する際に、水分(熱湯W)に接触する面積が広いほど(膨潤化するほど)茶葉類エキスの抽出効率が良くなるという性質を有している。
【0005】
尚、この種の茶濾し袋の公知例としては、例えば実用新案登録第3101192号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3101192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図18〜図20に示す従来例の茶濾し袋では、茶葉類エキスの抽出時に茶葉類入り茶濾し袋全体を抽出容器Y内の熱湯W中に浸漬する関係で、濾し袋本体1の開口部16を折返し蓋19で閉塞するようにしている。そして、図19(C)に示すように、茶葉類入り濾し袋本体1の開口部16に折返し蓋19を被せた状態では、表材11と裏材12とが相互に引き寄せられて濾し袋本体1内の容積が減縮されるようになる。即ち、折返し蓋19を被せると、濾し袋本体1の表材11と裏材12とが近接側に圧縮されて容積拡大側への拡がり代が乏しくなる。
【0008】
このように、図18〜図20に示す従来例の茶濾し袋では、濾し袋本体1内の茶葉類Pが水分を吸収して膨潤化しようとしても、茶葉類Pが表材11と裏材12とで圧迫されてさほど膨潤化できず(茶葉類Pの熱湯Wに対する接触面積がさほど大きくならない)、従って、茶葉類エキスの抽出効率が悪いという問題があった。尚、このように茶葉類エキスの抽出効率が悪いと、おいしいお茶を抽出するのに、抽出時間を長くしたり(待ち時間が長くなるとともにお茶の温度が低くなる)、あるいは多量の茶葉類を濾し袋本体1内に収容する必要がある(不経済である)という問題が生じる。
【0009】
そこで、本願発明は、上記した従来の問題点に鑑み、茶濾し袋内に茶葉類を収容して抽出容器内で茶葉類エキスを抽出する際の抽出効率を良好にし得るようにした茶濾し袋を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、茶葉類(日本茶・紅茶・コーヒー粉末等)を収容して、抽出容器内で茶葉類エキスを熱湯中に抽出するための茶濾し袋を対象にしている。
【0011】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明の茶濾し袋は、上辺部に開口部を有し、内部に茶葉類を収容し得る収容部を有した正面視矩形の濾し袋本体を備えている。
【0012】
茶濾し袋(特に濾し袋本体部分)の材料としては、一般に耐水性及び水透過性を有する不織布が使用される。又、この茶濾し袋は、表材と裏材とを底部が連続する状態で折返すとともに、左右各側縁部を熱溶着して、正面視矩形の濾し袋本体を形成している。尚、底部はガセット折りして濾し袋本体部分が膨らみ易くしたものが好ましい。
【0013】
又、本願請求項1の茶濾し袋には、濾し袋本体の開口部の一方の上辺部に、抽出容器の口縁部の外側に掛止される所定長さの掛止片を連続して形成している。
【0014】
この掛止片は、例えば図18の従来例の茶濾し袋において、折返し蓋の両側縁部を表材(又は裏材)に熱溶着せずに上下自由状態で連続させた状態で設けたものでもよく(この場合は濾し袋本体と掛止片とが1枚ものの不織布で一体に連続している)、あるいは本願請求項3のように掛止片に濾し袋本体とは別材料を使用してもよい。
【0015】
又、この掛止片は、出荷又は保管段階では濾し袋本体の表材又は裏材に沿って折畳んでおくことができる。その場合には、使用時に濾し袋本体の開口部の上方に立ち起こして使用する。尚、この掛止片は、濾し袋本体の開口部の上方に延出させた状態のままで梱包・出荷することもできる。
【0016】
この掛止片は、例えば水で濡らすことで抽出容器(例えば急須や湯飲みコップ)の口縁部外面に付着させることができ、この掛止片付着状態で茶葉類入りの濾し袋本体を安定状態で支持できるようになっている。尚、この掛止片には、以下に説明する請求項4又は請求項5のように掛止片を抽出容器の口縁部外面に掛止するための手段を設けることができるが、この請求項1では該掛止片に対して特別な掛止手段を設けないものでもよい。
【0017】
この請求項1の茶濾し袋は、次のように使用される。まず、濾し袋本体内に茶葉類を収容するには、掛止片を濾し袋本体の開口部上方に立ち起こし(掛止片を折畳んでいる場合)、濾し袋本体の開口部から収容部内に所要量の茶葉類を収容する。このとき、濾し袋本体の収容部及び開口部は、できるだけ大きく拡げておくとよい。次に、茶葉類入り濾し袋本体を抽出容器(例えば急須や湯飲みコップ)の開口から抽出容器内に落とし込み、掛止片を抽出容器の口縁部外側に適宜の手段(この請求項1では、例えば水で濡らす)で掛止すれば、この茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に対して抽出可能状態で装着できる。そして、抽出容器の開口から熱湯を注ぎ、濾し袋本体内の茶葉類から茶葉類エキスを熱湯中に抽出させる。尚、抽出容器内に熱湯を注いだ後に、抽出容器の開口に容器蓋を被せておくと、該容器蓋で掛止片を押さえることができるので、該掛止片が抽出容器内にずり落ちることがない。
【0018】
上記のように茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着した状態では、濾し袋本体の開口部が大きく開放されたままであるが、濾し袋本体は縦向き姿勢に維持されているので、濾し袋本体内の茶葉類が開口部から溢れ出ることがない。又、このように茶葉類入り茶濾し袋の装着状態では、濾し袋本体の収容部の容積も大きい状態に維持されているので、抽出容器内の熱湯中に浸かっている茶葉類が濾材(表材及び掛止片)で圧迫されることがなく、従って茶葉類が水分を吸収して十分に膨潤化し得る状態になっている。そして、茶葉類が十分に膨潤化すると、該茶葉類に対する熱湯の接触面積が広くなり、茶葉類エキスの抽出効率が良好になるという機能が生じる。
【0019】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明の茶濾し袋は、上辺部に開口部を有し、内部に茶葉類を収容し得る収容部を有した正面視矩形の濾し袋本体を備えているとともに、開口部の対向する両上辺部に、それぞれ抽出容器の口縁部外側に掛止される所定長さの掛止片を連続して形成している。
【0020】
この請求項2の茶濾し袋と上記請求項1の茶濾し袋との違いは、請求項1のものでは開口部の一方の上辺部に掛止片を設けているのに対して、請求項2のものでは開口部の対向する両上辺部にそれぞれ掛止片を設けているところが異なっている。尚、この請求項2の茶濾し袋において、基本構造、各掛止片の構成等は上記請求項1のものを採用できる。
【0021】
そして、この請求項2の茶濾し袋では、茶葉類入り濾し袋本体部分を抽出容器の開口から落とし込み、対向する2つの掛止片をそれぞれ抽出容器の口縁部外側の対向位置に掛止して使用する。
【0022】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明では、上記請求項1又は2に記載の茶濾し袋において、掛止片を濾し袋本体とは別体のものを使用し、該掛止片の一端部を濾し袋本体の開口部の上辺部に接着させている。尚、請求項1の茶濾し袋を引用した場合には、掛止片は一方の上辺部に接着させ、請求項2の茶濾し袋を引用した場合には、2つの掛止片をそれぞれ対向する両上辺部に接着させる。
【0023】
掛止片と濾し袋本体との接着は、茶濾し袋の製造工程中の適宜段階において例えば熱溶着によって行うことができる。
【0024】
ところで、濾し袋本体部分には、茶葉類エキスを抽出する関係で耐水性及び水透過性を有する不織布(材料としては高価である)が使用されているが、掛止片部分は熱湯中に浸からないので特に耐水性及び水透過性を必要としない(不織布でなくてもよい)。
【0025】
そして、本願請求項3のように、掛止片を濾し袋本体とは別体にしたものでは、該掛止片として例えば紙やプラスチックフイルム等の安価で且つ不織布にない機能(例えば「腰」が強いもの、不透水のもの等)をもった材料を使用することができる。尚、この請求項3の茶濾し袋におけるその他の構成は、上記請求項1又は2と同じである。
【0026】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明では、上記請求項1から3のいずれか1項に記載の茶濾し袋において、掛止片の外面側に、該掛止片を抽出容器の口縁部に接着させる剥離紙付き接着剤層を付着させている。尚、この剥離紙付き接着剤層は、比較的小面積のものでよい。
【0027】
この剥離紙付き接着剤層は、ホットメルト(接着剤層となる)を付着させた上に剥離紙を貼付させたものでもよく、あるいは剥離紙付き両面接着片を使用したものでもよい。尚、接着剤層としてホットメルトを付着させる場合には、掛止片が不織布であると接着剤(ホットメルト)が生地(不織布)を透過するが、上記請求項3のように掛止片を濾し袋本体とは別体にしたものでは該掛止片に不透水材料(紙又はプラスチックフイルム)を使用することにより、接着剤透過の問題を解決できる。
【0028】
この請求項4の茶濾し袋では、濾し袋本体内に茶葉類を収容して抽出容器に装着する際に、掛止片の剥離紙付き接着剤層から剥離紙を剥がし(接着剤層を露出させる)、接着剤層を抽出容器の口縁部外面に接着させることで、掛止片を抽出容器口縁部外面に安定姿勢で掛止させることができる。尚、この請求項4の茶濾し袋におけるその他の機能は、上記請求項1〜3と同じである。
【0029】
本願請求項5の発明
本願請求項5の発明では、上記請求項1から3のいずれか1項に記載の茶濾し袋において、掛止片に、該掛止片を急須のような抽出容器の注口又は持ち手等の突出部に引っ掛け得るスリット又は穴状の引掛部を形成している。
【0030】
この引掛部は、予め掛止片の適所に、両端を残して長尺直線状のスリットを入れたものや所定大きさの穴を開口させたものが使用可能である。又、該引掛部(スリットや穴)は、ミシン目で形成しておいて、使用時に該ミシン目を切断して引っ掛け用の開口(スリット又は穴)を形成するようにしてもよい。尚、この引掛部(スリット又は穴)は、茶濾し袋の製造段階で掛止片に直接形成できる。
【0031】
この請求項5の茶濾し袋では、濾し袋本体内に茶葉類を収容して抽出容器に装着する際に、掛止片の引掛部(スリット又は穴)を抽出容器(急須)の突出部(注口又は持ち手)に引っ掛けることで、掛止片を抽出容器に安定姿勢で掛止させることができる。
【0032】
ところで、小型の急須では、突出部となる注口と持ち手とが急須中心から角度90°の方向に指向している。他方、上記請求項2のように掛止片を対向する両上辺部にそれぞれ設けたものにおいて、この請求項5のように各掛止片にそれぞれ引掛部(突出部引っ掛け用)を設けても、その両引掛部を急須の両突出部(注口と持ち手が角度90°の方向に指向している)に同時に引っ掛けることはできないが、その場合はいずれか一方の掛止片の引掛部を一方の突出部に引っ掛け、他方の掛止片は急須の口縁部外側に掛止させるだけでよい。尚、この請求項5の茶濾し袋におけるその他の機能は、上記請求項1〜3と同じである。
【発明の効果】
【0033】
本願請求項1の発明の効果
この請求項1の発明の茶濾し袋は、濾し袋本体の開口部の一方の上辺部に、抽出容器の口縁部外側に掛止される所定長さの掛止片を連続して形成しているので、該掛止片を抽出容器の口縁部外側に掛止させることで、濾し袋本体の開口部及び収容部を大きく拡げた状態で茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着できる。
【0034】
従って、この請求項1の茶濾し袋では、抽出容器内において濾し袋本体内の茶葉類から茶葉類エキスを抽出する際に、濾し袋本体の収容部内が茶葉類を十分に膨潤化させ得る容積を確保できるので、茶葉類エキスの抽出効率を向上させることができるという効果がある。尚、このように茶葉類エキスの抽出効率が向上すると、抽出時間が短かくて済み且つ濾し袋本体内に収容する茶葉類の量を節約できる。
【0035】
本願請求項2の発明の効果
この請求項2の発明の茶濾し袋は、濾し袋本体の開口部の対向する両上辺部に、それぞれ抽出容器の口縁部外側に掛止される所定長さの掛止片を連続して形成しているので、該両掛止片を抽出容器の口縁部外側の対向位置にそれぞれ掛止させることで、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着できる。
【0036】
このように、対向する両掛止片をそれぞれ抽出容器の口縁部に掛止すると、茶葉類入り濾し袋本体部分が抽出容器内で傾くことがなく、しかも濾し袋本体の開口部を強制的に開放させた姿勢に維持できる。
【0037】
従って、この請求項2の茶濾し袋では、上記請求項1の効果に加えて、茶葉類入り茶濾し袋の装着状態を一層安定させることができるとともに、両掛止片により開口部及び濾し袋本体内を大きく開放させた姿勢に維持できる(茶葉類の抽出効率が一層良好になる)という効果がある。
【0038】
本願請求項3の発明の効果
この請求項3の発明は、上記請求項1又は2の茶濾し袋において、掛止片を濾し袋本体(不織布製)とは別体のものを使用しているので、該掛止片の材料として例えば紙やプラスチックフイルム等の安価で不透水なものや「腰」のあるものを使用できる。
【0039】
従って、この請求項3の茶濾し袋では、上記請求項1又は2の効果に加えて、掛止片の材料として、用途に応じた適宜のものを選択できるという効果がある。
【0040】
本願請求項4の発明の効果
この請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項の茶濾し袋において、掛止片の外面側に、該掛止片を抽出容器の口縁部に接着させる剥離紙付き接着剤層を付着させているので、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着する際に、接着剤層を抽出容器の口縁部外面に接着させることで掛止片を抽出容器の口縁部外面に掛止させることができる。
【0041】
従って、この請求項4の茶濾し袋では、上記請求項1〜3の効果に加えて、掛止片に設けた剥離紙付き接着剤層により、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に対して安定姿勢で確実に装着することができるという効果がある。
【0042】
本願請求項5の発明の効果
この請求項5の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項の茶濾し袋において、掛止片に、該掛止片を急須のような抽出容器の注口又は持ち手等の突出部に引っ掛け得る引掛部(スリット又は穴)を形成しているので、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着する際に、該引掛部を抽出容器の突出部に引っ掛けることで掛止片を抽出容器口縁部外面に掛止させることができる。
【0043】
従って、この請求項5の茶濾し袋では、上記請求項1〜3の効果に加えて、掛止片に設けた引掛部により、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に対して安定姿勢で確実に装着することができるという効果がある。
【0044】
又、この請求項5の茶濾し袋の場合は、掛止片の引掛部(スリット又は穴)を、茶濾し袋の製造段階で直接形成できるので、上記請求項4の剥離紙付き接着剤層のように別部材を付着させるという繁雑な製造工程が不要となる。
【実施例】
【0045】
以下、図1〜図17を参照して本願のいくつかの実施例を説明すると、図1〜図5には第1実施例の茶濾し袋、図6及び図7には第2実施例の茶濾し袋、図8〜図9には第3実施例の茶濾し袋、図10には第4実施例の茶濾し袋、図11〜図13には第5実施例の茶濾し袋、図14〜図15には第6実施例の茶濾し袋、図16〜図17には第7実施例の茶濾し袋、がそれぞれ示されている。
【0046】
図1〜図5の第1実施例
図1及び図2に示す第1実施例の茶濾し袋は、耐水性及び水透過性を有する不織布製の濾材を使用している。そして、この茶濾し袋は、表材11と裏材12とを底部13が連続する状態で折返し、その左右各側縁部14,14を熱溶着(符号15,15で示す梨地部分)して正面視矩形の濾し袋本体1を形成するとともに、表材11(裏材12でも可)の上辺部に所定長さの掛止片2を一体に連続させて構成されている。濾し袋本体1の大きさは、特に限定するものではないが、左右幅が90〜100mm、上下高さが70〜80mm程度のものが使用されている。尚、図2においては、作図上、濾材の厚さをかなり厚く表示しているが、濾材の厚さは実際には1本の線で表す程度のものである。
【0047】
濾し袋本体1の上辺部には、ほぼ全幅に亘る長さの開口部16が形成されている。濾し袋本体1の底部13はガセット折りされていて、表材11と裏材12間の収容部17を図4(B)に示すように比較的大容積に膨らませ得るようにしている。裏材12の上辺部には補強用の内折り部18が設けられている。
【0048】
表材11の上辺部に連続させた掛止片2は、図4(C)及び図5に示すように、抽出容器(図示例では急須)Yの口縁部外面Yaに掛止してこの茶濾し袋を支持させるためのものである。この掛止片2の大きさは、特に限定するものではないが、表材11の左右幅と同幅(90〜100mm)で、延出長さが35〜40mm程度に形成されている。そして、この掛止片2は、出荷段階及び保管段階では図1及び図2に実線図示するように表材11の外面に沿って折畳んでおく一方、使用時には図1及び図2に鎖線図示(符号2′)するように濾し袋本体1の開口部16の上方に立ち起こすことができるようになっている。
【0049】
この第1実施例の茶濾し袋には、掛止片2の外面側(表材11の外面と同一面側)に、該掛止片2を抽出容器Yの口縁部外面Yaに接着させる剥離紙付き接着剤層3を付着させている。この剥離紙付き接着剤層3は、この第1実施例では剥離紙31で被覆した両面接着片32を使用し、該剥離紙付き両面接着片3を掛止片2の外面側(表材11の外面と同一面側)の先端寄り中央部に貼着している。尚、この剥離紙付き両面接着片3の大きさは、特に限定するものではないが、0.5〜1cm2程度の比較的小さいものでよい。
【0050】
この第1実施例の茶濾し袋は、所定幅(例えば230mm程度)の帯状原紙から、図3に示すように折畳み工程A、両面接着片貼付工程B、表裏接着工程C、掛止片折返し工程D、製品切離し工程Eを経て製造される。尚、帯状原紙は、ロール状に巻回したものから順次巻解いて供給される。又、上記各加工工程A〜Eにおいて、(a)に示す図はそれぞれ平面視であり、(b)に示す図はそれぞれ当該各(a)図の縦断面視である。
【0051】
図3の各加工工程A〜Eについて以下に説明する。
【0052】
折畳み工程Aでは、帯状原紙を表材11と裏材12と底部13と内折り部18とを有する濾し袋本体1Aの形状に折畳む。このとき、表材11に連続する掛止片2部分は、濾し袋本体1の高さ幅から外方に突出する状態で延出させておく。
【0053】
両面接着片貼付工程Bでは、剥離紙付き両面接着片3を掛止片2の先端部寄り位置に順次製品ピッチ間隔で貼付する。尚、この剥離紙付き両面接着片3は、図3の両面接着片貼付工程Bの(a)図において、掛止片2の下面側に貼付される。
【0054】
表裏接着工程Cでは、濾し袋本体部分1A(掛止片2を除いた表材11と裏材12と底部13と内折り部18とが重合する範囲)を近接させた2本1組の熱溶着部15,15で製品ピッチ間隔ごとに順次熱溶着させる。このとき、製品の左右両端部となる2つ熱溶着部15,15の間の中央部に、先に貼着した剥離紙付き両面接着片3が位置するように各熱溶着部の位置を決定する。尚、この表裏接着工程Cと両面接着片貼付工程Bとは、工程順を前後逆にしてもよい。
【0055】
掛止片折返し工程Dでは、熱溶着部15,15を形成した後、掛止片2部分を表材11の外面に沿うように折返す。尚、他の実施例では、掛止片折返し工程Dを行わないで、掛止片2部分を濾し袋本体1部分から外方に延出させたまま製品とすることができる。
【0056】
製品切離し工程Eでは、2本1組の熱溶着部15,15の間を順次切断して製品(茶濾し袋)を切離す。尚、切離された各茶濾し袋は、所定枚数ずつ積層した後、包装して製品化される。
【0057】
この第1実施例の茶濾し袋は、図4及び図5に示すようにして使用される。使用前は図4(A)に示すように掛止片2を折返した扁平状態(実際には極薄状態)となっているが、使用時には、まず掛止片2を鎖線図示(符号2′)するように開口部16の上方に立ち起こしておく。尚、掛止片2が当初から開口部16の上方に延出されているものでは、該掛止片2の立ち起こし作業は不要である。
【0058】
次に、図4(B)に示すように濾し袋本体1の内部(収容部17)を膨らませて収容部17に所要量の茶葉類Pを収容する。茶葉類Pを収容部17に収容する際には、この茶濾し袋を掛止片2が下側になる姿勢で若干傾斜させると、該掛止片2を茶葉類収容用の受けガイドとして利用することができる。
【0059】
掛止片2に貼着している剥離紙付き両面接着片3の剥離紙31は、図4(B)の状態で剥離させるようにしているが、この剥離紙31の剥離は、図4の(A)〜(C)のいずれかの工程中に行うことができる。
【0060】
次に、図4(B)に示す茶葉類入り茶濾し袋の掛止片2部分を摘まんで、図4(C)に示すように茶葉類入り濾し袋本体1部分を抽出容器Y内に落とし込む。このとき、濾し袋本体1の収容部17及び開口部16は、できるだけ大きく拡げておく。
【0061】
続いて、掛止片2を図4(C)に鎖線図示(符号2′)するように抽出容器口縁部の外側に折り曲げて、その掛止片2′の外面に露出している接着剤層32′を抽出容器Yの口縁部外面Yaに貼着させる。この状態では、図4(C)及び図5に示すように、掛止片(2′,2)が抽出容器の口縁部外面Yaに接着剤層(32′,32)で接着されているので、茶葉類入り茶濾し袋が安定姿勢で支持(装着)されている。又、この装着状態では、
図20に示す従来例のように開口部16を狭める(折返し蓋19が開口部16を狭めている)ものがないので、濾し袋本体1の収容部17及び開口部16が大きく開放された状態で維持されている。
【0062】
そして、抽出容器Yの開口から熱湯を注ぎ、濾し袋本体1内の茶葉類Pを熱湯W中に浸す。このとき、濾し袋本体1の開口部16が大きく開放されたままであるが、濾し袋本体1は縦向き姿勢に維持されているので、濾し袋本体1内の茶葉類Pが開口部16から溢れ出ることがない。
【0063】
又、図4(C)及び図5に示す茶葉類入り茶濾し袋の装着状態では、濾し袋本体1の収容部17の容積が大きい状態に維持されているので、抽出容器Y内の熱湯W中に浸かっている茶葉類Pが濾材(表材表材、裏材12)で圧迫されることがなく、従って茶葉類Pが水分を吸収して十分に膨潤化し得る状態になっている。そして、茶葉類Pが図4(C)に鎖線図示(符号P′)あるいは図5に示すように十分に膨潤化すると、該茶葉類(P′,P)に対する熱湯Wの接触面積が広くなり、茶葉類エキスの抽出効率が良好になる。
【0064】
このように、茶葉類エキスの抽出効率が良くなると、短時間で且つ高濃度の茶葉類エキスを抽出できる。
【0065】
尚、この実施例では、抽出容器Yとして急須を採用しているが、他の実施例では抽出容器に湯飲みコップを使用することができる。その場合は、茶葉類入り濾し袋本体1部分を湯飲みコップ内に落とし込み、掛止片2の接着剤層32を湯飲みコップの口縁部外面に接着させる。
【0066】
図6及び図7の第2実施例
図6及び図7に示す第2実施例の茶濾し袋は、上記第1実施例の茶濾し袋において、掛止片2として濾し袋本体1部分とは別体のものを使用し、該掛止片2の一端部21を表材11の上辺部に接着させている。
【0067】
掛止片2の一端部21と濾し袋本体1(表材11)との接着は、茶濾し袋の製造工程中の適宜段階において例えば熱溶着によって行うことができる。
【0068】
ところで、濾し袋本体1部分には、茶葉類エキスを抽出する関係で耐水性及び水透過性を有する不織布(材料としては高価である)が使用されているが、掛止片2部分は熱湯中に浸からないので特に耐水性や水透過性を必要としない(不織布でなくてもよい)。
【0069】
そして、この第2実施例のように、掛止片2を濾し袋本体1とは別体にしたものでは、該掛止片2として例えば紙やプラスチックフイルム等の安価で且つ不織布にない機能(例えば「腰」が強いもの、不透水のもの等)をもった材料を使用することができる。尚、掛止片2として紙製のものを使用する場合には、該掛止片(紙製)2の接着面に熱溶融樹脂をコーティングしたものを使用すると濾し袋本体1に対して確実に熱溶着させることができる。
【0070】
又、掛止片2に紙やプラスチックフイルム等の不透水材料を使用したものでは、該掛止片2に剥離紙付き接着剤層3を設ける場合に、接着剤層32としてホットメルトのような粘液性接着剤を使用しても、該接着剤が掛止片2の生地を透過しない。従って、掛止片2に剥離紙付き接着剤層3を設けるのに、剥離紙付き両面接着片の貼着以外の方法を用いることができる。
【0071】
尚、この第2実施例の茶濾し袋におけるその他の構成及び機能は、上記第1実施例のものと同じであるので、その説明を援用する。
【0072】
図8及び図9の第3実施例
図8及び図9に示す第3実施例の茶濾し袋は、上記第1実施例における掛止片2を抽出容器Yに掛止するするための掛止手段の変形例を示している。
【0073】
この第3実施例の茶濾し袋では、図8に示すように掛止片2の先端寄り位置にスリット形成用のミシン目41からなる引掛部4を設けている。
【0074】
この第3実施例の茶濾し袋に採用されている引掛部4は、掛止片2の先端寄り位置に幅方向に長い直線状のスリットを形成するためのもので、掛止片2の左右両端部に所定小長さ(例えば5〜10mm程度ずつ)の非切断部を残して長尺直線状のミシン目41を形成している。ミシン目41部分と掛止片2の先端縁との間には、例えば5〜10mm程度の幅の細帯片42が形成されている。尚、この引掛部4となるミシン目41は、茶濾し袋の製造段階で形成できる。
【0075】
そして、この引掛部4は、ミシン目41部分を切断すると、図8に鎖線図示するように掛止片2′の先端寄り部分にミシン目部分が開放(開口43)された引掛部4′が形成される。尚、ミシン目41部分を切断した状態(図8に鎖線図示する引掛部4′の状態)では、細帯片42′と掛止片2′の基端側との間に左右に長い直線状の開口43が形成されているが、図8の鎖線図示状態では、解り易くするために開口43の上下縁部を前後に撓ませて該開口43を開放させている。
【0076】
この第3実施例の茶濾し袋を使用する抽出容器Yとしては、図9に示すように注口Ybや持ち手Yc等の突出部を有した急須Yが採用される。そして、この第3実施例の茶濾し袋を使用するには、濾し袋本体1内に茶葉類Pを収容し、引掛部4のミシン目41を切断して開口43を開放し(図8の鎖線図示状態)、図9に示すように細帯片42を急須Yの注口Yb(持ち手Ycでも可)に引っ掛けた後、茶葉類入り濾し袋本体1を急須Yの開口内に落とし込む。
【0077】
この図9の状態では、掛止片2の引掛部4が急須Yの注口Ybの下面側に引っ掛けられているので、茶葉類入り濾し袋本体1が急須内にずり落ちることがない(安定姿勢で支持されている)。
【0078】
この第3実施例の茶濾し袋では、掛止片2を抽出容器(急須Y)の口縁部外側に掛止するための掛止手段として、掛止片2にスリット状の引掛部4(ミシン目41)を形成しているが、この引掛部4(ミシン目41)は茶濾し袋の製造段階において単にミシン目加工をするだけでよいので、該引掛部4の加工は簡単に行える。
【0079】
尚、第3実施例(図8)の茶濾し袋のその他の構成及び機能は、上記第1実施例のものと同じであるので、その説明を援用する。
【0080】
図10の第4実施例
図10に示す第4実施例の茶濾し袋は、上記第3実施例における掛止片2に形成した引掛部4の変形例を示したものである。この第4実施例では、引掛部5として、掛止片2に円形のミシン目51を形成している。
【0081】
この円形のミシン目51で区画される範囲は、図9に示す急須Yの注口Ybや持ち手Ycの太さよりやや大きいものであり、鎖線図示するようにミシン目51を切断してその内部の切除片52を除去(符号52′)することで、そこに円形の穴53を形成できるようにしている。尚、この第4実施例の引掛部5(ミシン目51)も、茶濾し袋の製造段階においてミシン目加工により形成できる。
【0082】
そして、この第4実施例の茶濾し袋も、上記第3実施例と同様にミシン目51を切断した後、その穴53を急須Y(図9)の注口Ybや持ち手Ycに引っ掛けることによって茶葉類入り濾し袋本体を抽出可能状態で支持できる。
【0083】
尚、第4実施例(図10)の茶濾し袋のその他の構成及び機能は、上記第1実施例又は第3実施例のものと同じであるので、それらの説明を援用する。
【0084】
図11〜図13の第5実施例
図11〜図13に示す第5実施例の茶濾し袋は、濾し袋本体1の開口部16の対向する両上辺部に、それぞれ抽出容器の口縁部外側に掛止される掛止片2,2を連続して形成している。即ち、この第5実施例の茶濾し袋は、図1〜図2の第1実施例の茶濾し袋における掛止片2を開口部16の対向する両上辺部にそれぞれ連続させたものである。
【0085】
この第5実施例では、各掛止片2,2は、濾し袋本体1と同材料(不織布)で表材11及び裏材12の各上辺部からそれぞれ矩形形状に連続させている。尚、この第5実施例では、第1実施例における内折り部18はない。
【0086】
各掛止片2,2の外面側(表材11及び裏材12の各外面と同一面側)には、それぞれ第1実施例(図1、図2)と同様な剥離紙付き接着剤層3,3を付着させている。尚、この第5実施例の茶濾し袋におけるその他の構成は、第1実施例(図1、図2)のものと同じである。
【0087】
そして、この第5実施例の茶濾し袋は、次のように使用される。即ち、濾し袋本体1を広げてその内部に茶葉類を収容し、各掛止片2,2のそれぞれ両面接着片3,3から剥離紙31を剥がして接着剤層32を露出させた後、図13に示すように茶葉類入り濾し袋本体1部分を抽出容器(急須)Y内に落とし込み、両掛止片2,2の各接着剤層32,32を容器開口縁の外側に接着させ、急須Y内に熱湯を注入する。
【0088】
この状態(図13)では、各掛止片2,2が容器開口縁の対向位置に接着されているので、濾し袋本体1の収容部17が大きく開放された状態で安定姿勢で維持されており、内部の茶葉類エキスの抽出作用が一層良好となる。
【0089】
図14〜図15の第6実施例
図14〜図15の第6実施例の茶濾し袋では、濾し袋本体1の表材11と裏材12の各外面にそれぞれ細幅のテープ片22からなる掛止片2,2を貼着している。
【0090】
この各テープ片22,22は、上下に2つ折りした内側片22aと外側片22bとを有している。各内側片22a,22aは、それぞれ表材11及び裏材12の上辺部寄り位置に接着剤層23(図15)で比較的強固に接着させている。各外側片22b,22bの内面には、接着剤層24が塗布されており、通常は各外側片22b,22bをそれぞれ接着剤層24で内側片22a,22aの外面に接着(剥離自在)させている。そして、各外側片22b,22bは、内側片22aから剥離させると、それぞれ鎖線図示(符号22b′)するように基端部が内側片22aに連続した状態で上下自由状態になる。尚、各外側片22b,22bの先端部には若干長さの無接着部分(ツマミ部)22cがある。
【0091】
尚、この第6実施例の茶濾し袋における濾し袋本体1部分の構成は、概ね第1実施例(図1、図2)のものと同じである。
【0092】
そして、この第6実施例(図14、図15)の茶濾し袋は、各テープ片(掛止片)22,22の外側片22b,22bを内側片22aから剥がして、該各外側片22b,22bに塗布している接着剤層(図15の符号24′)を抽出容器口縁部の外側に接着させることにより、茶葉類入り茶濾し袋を抽出容器に装着することができる。この場合も、濾し袋本体1の両上辺部が大きく開放された状態で維持される。
【0093】
ところで、掛止片2が例えば図11〜図13の第5実施例のように左右に広幅であると、抽出容器口縁部(円形)に掛止するときに、該掛止片2の左右外側部寄り位置に皺ができて、掛止作業がしにくいことがあるが、この第6実施例のように各掛止片2,2が細幅のテープ片22であるとと抽出容器の口縁部外側に接着させる作業を容易に行える。
【0094】
図16〜図17の第7実施例
図16〜図17に示す第7実施例の茶濾し袋は、図11〜図13の第5実施例の変形例を示している。この第7実施例の茶濾し袋では、各掛止片2,2として、幅方向中央部(符号25)を所定幅だけ残してその両側片部分を大きく切除したものを採用している。尚、この各掛止片2,2にも、中央突出部25,25の先端寄りにそれぞれ小面積の両面接着片3,3が取付けられている。
【0095】
又、この第7実施例の茶濾し袋には、表材11及び裏材12の各外面に、各掛止片2,2の中央突出部25,25を不使用状態(濾し袋本体の外面に沿う折畳み状態)で保持するための細幅の止め帯26,26がそれぞれ取付けられている。この各止め帯26,26は、折畳み状態の中央突出部25を所定長さだけ差込み得る位置で、該止め帯26の両端部をそれぞれ濾し袋本体1の各側縁部14,14の熱溶着部15,15で固定して、止め帯中央部を濾し袋本体1の外面から遊離し得る状態で取付けている。そして、図16及び図17に実線図示するように、各中央突出部25,25を、止め帯26と濾し袋本体外面の間に差込むことにより、各掛止片2,2を濾し袋本体外面に接合させた状態で保持できるようになっている。尚、各中央突出部25,25は、使用時にはそれぞれ止め帯26から抜き外して、鎖線図示(符号25′)するように上方に立ち上げることができる。
【0096】
この第7実施例の茶濾し袋では、掛止片2,2の左右側片部分を大きく切除している(中央突出部25の幅が狭い)ので、該掛止片2,2を抽出容器口縁部に掛止する作業が容易に行える。又、濾し袋本体1の表裏各側にそれぞれ止め帯26,26を設けているので、不使用時には各掛止片2,2の中央突出部25,25部分をそれぞれ止め帯26,26で押さえておくことができ、該中央突出部25がビラビラするのを防止できるという機能を有している。
【0097】
尚、本願では、上記各実施例のほかに、上記各実施例の掛止片の構成を適宜に組み合わせて使用するすることができる。例えば、
(1) 第1実施例(図1〜図5)又は第2実施例(図6、図7)の1つの掛止片2として、第6実施例(図14、図15)のテープ片22(1つだけ)や、第7実施例(図16、図17)の中央突出部24(1つだけ)を有した形状のものに変更すること、
(2) 第5実施例(図11〜図13)の2つの掛止片2,2として、第2実施例(図6、図7)に示すように濾し袋本体1とは別材料のものを使用すること、
等が実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本願第1実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図2】図1のII−II拡大断面図である。
【図3】図1の茶濾し袋の製造工程図である。
【図4】図1の茶濾し袋の使用方法説明図である。
【図5】図4(C)の状態の平面図である。
【図6】本願第2実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図7】図6のVII−VII拡大断面図である。
【図8】本願第3実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図9】図8の茶濾し袋の使用状態を示す平面図である。
【図10】本願第4実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図11】本願第5実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図12】図11のXII−XII拡大断面図である。
【図13】図11の茶濾し袋の使用状態を示す平面図である。
【図14】本願第6実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図15】図14のXV−XV拡大断面図である。
【図16】本願第7実施例の茶濾し袋の斜視図である。
【図17】図16のXVII−XVII拡大断面図である。
【図18】従来の茶濾し袋の斜視図である。
【図19】図18の茶濾し袋の使用方法説明図である。
【図20】図19(C)の茶葉類入り茶濾し袋から茶葉類エキスを抽出するときの説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1は濾し袋本体、2は掛止片、3は剥離紙付き両面接着剤層、4,5は引掛部、11は表材、12は裏材、13は底部、16は開口部、17は収容部、21は掛止片の一端部(接着部)、22はテープ片、24は中央突出部、31は剥離紙、32は接着剤層、41はミシン目、43は開口、51はミシン目、53は穴、Pは茶葉類、Yは抽出容器(急須)、Yaは口縁部外面、Ybは注口、Ycは持ち手である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺部に開口部(16)を有し、内部に茶葉類(P)を収容し得る収容部(17)を有した正面視矩形の濾し袋本体(1)を備えているとともに、
前記開口部(16)の一方の上辺部に、抽出容器(Y)の口縁部外側に掛止される所定長さの掛止片(2)を連続して形成している、
ことを特徴とする茶濾し袋。
【請求項2】
上辺部に開口部(16)を有し、内部に茶葉類(P)を収容し得る収容部(17)を有した正面視矩形の濾し袋本体(1)を備えているとともに、
前記開口部(16)の対向する両上辺部に、それぞれ抽出容器(Y)の口縁部外側に掛止される所定長さの掛止片(2,2)を連続して形成している、
ことを特徴とする茶濾し袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の茶濾し袋において、
掛止片(2)は濾し袋本体(1)とは別体のものを使用し、該掛止片(2)の一端部(21)を濾し袋本体(1)の開口部(16)の上辺部に接着させている、
ことを特徴とする茶濾し袋。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の茶濾し袋において、
掛止片(2)の外面側に、該掛止片(2)を抽出容器(Y)の口縁部外面(Ya)に接着させる剥離紙付き接着剤層(3)を付着させている、
ことを特徴とする茶濾し袋。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の茶濾し袋において、
掛止片(2)に、該掛止片(2)を急須のような抽出容器(Y)の注口(Yb)又は持ち手(Yc)等の突出部に引っ掛け得るスリット又は穴状の引掛部(4,5)を形成している、
ことを特徴とする茶濾し袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−283084(P2007−283084A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203095(P2006−203095)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(391047916)ブイテック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】