説明

茶組成物

1-5重量%の没食子酸およびレモン、ピーチまたはジンジャーフレーバーを含む0.01から6 5重量%のフレーバー組成物を含む、紅茶組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は茶組成物に関する。本発明は、より特には、有益な成分を多く含み、一方で、通常は前記の成分の組み込みに関連する味の低下および異臭を有さない紅茶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
茶は最も人気のある飲料の一つであり、世界の大部分で飲まれている。茶は水に次いで二番目に多く消費されている。茶は多くの異なる形式で消費されている。人気のある形式には紅茶、緑茶、ウーロン茶、ホットインスタンティー、コールドインスタントティー、レディ・トゥ・ドリンクティー(ready-to-drink tea)、アイスティーなどがある。一般的に、紅茶を準備するには植物カメリア シネンシス(Camellia sinensis)の新鮮な緑の葉が干され(摘み取られた茶葉について、水分を失わせ、特にアロマにおいて化学的・生物学的変化をもたらす工程)、柔らかくされ、発酵され(当該工程においては、茶葉の中の酵素が大気中の酸素を使って様々な基質を酸化させ、色のついた産物を生産する)、そして、高温で乾燥される(酵素を失活させるため)。緑茶は茶葉を発酵の工程にさらさせずに作製される。部分的な発酵は「ウーロン茶」として知られるように中間型の茶を作る。
【0003】
緑茶、紅茶、ウーロン茶は、茶浸出物を得るために温水で淹れ、浸出液を消費する前に茶葉不溶性物がろ過される製品である。異なる消費者は、添加物、例えば砂糖、牛乳、レモンなどを、個人の好みによって浸出液に添加する。
【0004】
消費者はますます茶飲料からの有益な成分に期待するようになった。茶製造業者は1つまたは複数の様々な有益な成分、ポリフェノールやカテキンやテアフラビン、シアニンなどを組み込むことによって、前記の期待に応えようと試みてきた。茶製造業者が期待に応えようとしてきた第一の方法は、茶葉を木から摘み取る前に前述の成分の形成を導く生化学的な経路を変更することによって、または、前述の段落で言及された一つまたは複数の茶製造工程中への適切な介入によって、前述の有益な成分を増量する方法である。前述の成分を茶に含める他の方法は、前述の成分を購入し、茶を、1つまたは複数の有益な成分と単純に乾燥混合させることによって、最終的な紅茶中に成分を組み込む方法である。
【0005】
大部分の前述の有益な成分は、少量ではあるが、茶中に自然に存在している。茶に自然に存在するより高濃度で、茶中に存在する、多数の前述の成分は、茶を飲む人が普通慣れている味とは異なった、味や風味を与える傾向がある。
【0006】
消費者が茶に探し求めている、および期待している、茶の二点の重要な特徴は茶飲料のアロマとフレーバーである。アロマは鼻で感じる香りであり、一般的には茶の揮発性物質成分に拠っている。茶鑑定人はアロマを三種の言葉、茶のアロマ、緑のアロマ、新鮮なアロマで評価する。フレーバーは、舌により感じる味、および喉から鼻に抜けることによって感じる香りの組合せによって感じるものである。そのため、揮発性成分および揮発しない成分の両方が、フレーバーを担っている。
【0007】
本発明者が紅茶に増量した有益な成分のひとつが、没食子酸である。没食子酸の茶中の自然な量は通常0.5%未満である。没食子酸は抗酸化、抗微生物、抗炎症特性があることが知られている。US2007/0071841A1は没食子酸が豊富に含まれているブドウ抽出物がメタボリックシンドロームの治療/阻害、特に血圧の低下に利用できることを報告している。テアフラビンは紅茶に1-2%まで自然に含まれる、もう一つの種類の化合物である。紅茶へのテアフラビンの増量はJ. B. Cloughley and R. T. Ellis, J. Sci. Food. Agric. 31, 924-934(1980)およびUS6113965A(Lipton)において提案された。テアフラビンは抗酸化、抗微生物、抗炎症特性を持つことで知られており、例えば、M. -T. Huang, Y. Liu, D. Ramji, C. -Y. Lo, G. Ghai, S. Dushnkov and C. -T. Ho, Mol. Nutr. Food Res. 50, 115-122(2006); D. A. Evans, J. B. Hirsch, S. Dushenkov, J. Sci. Food Agric. 86, 2503-2509(2006)。テアフラビンは、癌や心臓血管、脳血管疾患、糖尿病および高コレステロール血症を含む、様々な病気に効果的であることが報告されてきた。
【0008】
茶に没食子酸およびテアフラビンを増量させる方法の1つは、タンナーゼを用いた茶の処理があり、例としてUS4051264(1997年Thomas J Lipton Inc.取得)を参照せよ。この特許は緑茶の葉から紅茶の葉を準備するプロセスを対象とし、新たに回収された緑茶葉を砕く工程、砕いた新鮮な緑茶葉を、タンナーゼを用いて、製造した茶葉に対して実質的な冷水による抽出性を与えるのに十分な温度および時間で処理する工程、処理した緑茶葉を発酵する工程、および約5%未満に茶葉の水分量を減らすために発酵させた茶葉を乾燥させて、冷水による抽出を可能にした乾燥させた紅茶葉を生産する工程を含む。前述の特許は、「本発明が作用する抽出機構は不明であるが、前述のプロセスによって、酵素タンナーゼが緑茶葉の組織に入り、没食子酸と茶カテニンを連結するエステル結合を加水分解させ、冷水による抽出が可能な茶固形物のより高い収率を提供すると考えられている」と記載されている。そのため、紅茶生産の過程における酵素タンナーゼを用いた茶の処理は紅茶中の没食子酸の含有量を増加させ、生産させる。
【0009】
没食子酸のような成分を高濃度で含む紅茶は前述の紅茶から準備された飲料に酸味のある味をもたらす傾向があることが報告されてきた。没食子酸を高濃度で含む茶飲料の酸味の問題は例えば、JP2007/195458の中で報告されている。前述の特許公報の要約書は、タンナーゼ処理した茶が不快な味(苦味、渋味、辛味、酸味)を持つ没食子酸を多く含んでいるという課題を述べており、この課題は抽出物を陰イオン交換レジンに通過させることで解決されたと述べている。
【0010】
本発明者は高濃度で没食子酸を含む茶の酸味を減らす、または無効にするという課題の解決のため仕事を行ってきた。JP2007/195458によって提案された解決方法は、紅茶が少なくとも一度水に浸出させた、温水もしくは冷水による抽出可能な、または、レディ・トゥ・ドリンクの茶形式についてのみの課題を解決するのに適応可能である。前述の解決法は通常の紅茶リーフ製品における課題の解決には利用できない。さらに前述の示唆された解決法は、扱いにくく、高価で、スケールアップすることが難しい。
【0011】
本発明者は、前述の課題を、紅茶の中に選択的な量の少数の選択されたフレーバー化合物を組み入れることで解決してきた。濁度の問題を解決するために、没食子酸を使用した従来技術が報告されてきた。JP03-266938は濁度のない茶製品を準備するための方法であり、酸や金属塩、エステルのような化合物のクラスを含んだ一般的な式で表される分子量700以下の水溶性の物質を含む、温水を用いて茶を茶葉から抽出する方法を対象にしている。酸の例として没食子酸、安息香酸などが挙げられ、金属塩の例として安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどが挙げられ、一方、エステルの例としてカテキンガレート、ガロカテキンガレートなどが挙げられる。前述のJP公報は、その後、「次に、抽出された溶液はろ過され、それに加えて甘味料、レモンジュース、などを含む他の成分が添加され、冷却されて茶製品が得られる」と述べている。
【0012】
従って、茶抽出物は、抽出された茶飲料の濁度を減少させるために、とりわけ没食子酸で処理され、その後に甘味料やレモンジュースが添加されてきたが、従来技術では、紅茶の中の選択的なフレーバー成分の量の組み込みによって、没食子酸の特定の量が引き起こす味(酸味)に関する課題の解決は指摘していない。本発明者は、請求項に記載の選択的なフレーバー成分が味に関する課題を解決できるのに対して、茶において普通に使用される他の既知フレーバーは前述の課題を解決できないことを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US2007/0071841A1
【特許文献2】US6113965A
【特許文献3】US4051264
【特許文献4】JP2007/195458
【特許文献5】JP2007/195458
【特許文献6】JP03-266938
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J. B. Cloughley and R. T. Ellis, J. Sci. Food. Agric. 31, 924-934(1980)
【非特許文献2】M. -T. Huang, Y. Liu, D. Ramji, C. -Y. Lo, G. Ghai, S. Dushnkov and C. -T. Ho, Mol. Nutr. Food Res. 50, 115-122(2006)
【非特許文献3】D. A. Evans, J. B. Hirsch, S. Dushenkov, J. Sci. Food Agric. 86, 2503-2509(2006)
【非特許文献4】’Tea Cultivation to Consumption‘ K. C. Wilson & M. N. Cliffod 著、Chapman & Hall出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それ故、本発明の第一の目的は、高濃度の没食子酸を含む茶組成物であり、標準的な茶飲者に受け入れられる茶組成物を提供することである。
【0016】
本発明の第二の目的は、タンナーゼ処理方法によって調製され、それ故、没食子酸およびテアフラビンのような有益な成分を高濃度で含む一方で、普通の消費者が通常の紅茶飲料に期待してきた味に関して妥協しない茶組成物を提供することである。
【0017】
本発明の第三の目的は、高濃度の有益な成分を含む茶組成物であり、一方で標準の紅茶の許容可能な味やフレーバーを有し、他方では高価でなく、簡単に準備でき、製造工程のスケールアップが容易である茶組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の態様によれば、1-5%の没食子酸およびレモン、ピーチまたはジンジャーフレーバーを含む0.01-6%のフレーバー組成物を含む紅茶組成物を提供する。
【0019】
本発明は1-5%の没食子酸および、レモン、ピーチまたはジンジャーフレーバーを含む0.01から6%のフレーバー組成物を含む、紅茶組成物に関する。
【0020】
前記フレーバー組成物は、好ましくは0.1から25%の、より好ましくは0.5から15%のフレーバー化合物を含む。フレーバー組成物のバランスは、バインダー、安定剤、ならびに、フレーバー組成物にかさ増し、安定性、自由な流動性および消費者による他の取り扱いおよび使用の利便性をもたらすためにフレーバー組成物に組み込んだ他の化合物としうる。
【0021】
没食子酸は下記の構造を持つ:
【0022】
【化1】

【0023】
没食子酸すなわち3,4,5トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5trihydroxybenzoic acid)は、通常、紅茶中に約0.2-0.5重量%、最大で約1重量%存在している。没食子酸は新鮮な緑色の葉に微量なレベルで存在しているが、ガロイルエステルであるエピカテキンガレート(galloyl esters epicatechin gallate)およびエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate)は緑色の葉に存在している。没食子酸はおそらくカテキンのガロイルエステルおよびテアフラビンの分解を通じて発酵中に生じる。上記の濃度は、外部の供給源から没食子酸が組み込まれること、または紅茶中の没食子酸の濃度を増加させる生化学的なプロセスに介入する紅茶の製造プロセスの変化によって、増進されうる。紅茶中の没食子酸を増進させる方法の1つは、紅茶製造中に発酵の前もしくは発酵中にタンナーゼを用いて茶葉の処理をすることである。この酵素はガロイルエステルから脱没食子酸を行い、没食子酸を放出させる。紅茶製造中の発酵前の通常の工程は、乾燥および浸漬を含む。発酵後の工程は、通常、前述の茶を、水分量を5重量%未満に茶を確実に乾燥させ、そして、酵素を不活化するために、120から140℃の高温の空気で熱処理する。本発明は、5重量%もの高濃度としうるが、通常は組成物の2‐4重量%の範囲である没食子酸を含む紅茶をもたらすことができる。高濃度で没食子酸を含む紅茶は、このような茶から調製された茶飲料に明らかな酸味をもたらすことが観察されている。前述の酸味量は消費者に好まれない。
【0024】
茶葉は、茶植物から摘まれたときに、カテキンとして知られるポリフェノール類を含む。これらのカテキン類は無色の化合物である。茶葉中の4種の主なカテキンはエピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン3‐ガレート(epicatechin-3-gallate)(ECG)、エピガロカテキン-3‐ガレート(epigallocatechin-3-gallate)(EGCG)である。テアフラビンは紅茶生産のための茶葉の酸化的発酵中に産生される。上記のカテキン類はテアフラビン類(TF)として知られる二量体の化合物およびテアルビギン(TR)として知られるより高分子の化合物へと酸化的生物変換される。TFの構造は、正しく解明されており、4種の主なテアフラビンは、テアフラビン(TF1)、テアフラビン-3-モノガレート(theaflavin-3-monogallate)(TF2)、テアフラビン-3’-モノガレート(theaflavin-3’-monogallate)(TF3)、テアフラビン3-3’-ジガレート(theaflavin-3-3’-digallate)(TF4)として知られており、以下の構造を有する。
【0025】
【化2】

【0026】
RもしくはR’=HまたはGが、TF1、TF2、TF3またはTF4かどうかを決定し、Gは、没食子酸(後述の構造)に由来する。
【0027】
【化3】

【0028】
そのため、
R=R’=H:TF1
R=G;R’=H:TF2
R=H;R’=G:TF3
R=R’=G:TF4
【0029】
醸成された紅茶の特徴的なオレンジおよび茶色の色は前述のTFおよびTRの存在による。それらは醸成された茶に渋みとこくを与える。TRはTFよりもサイズが大きく、より濃い色である。通常の製造過程の紅茶は0.2から1%のテアフラビンを含んでいる。さらに頻繁には、紅茶の0.4から0.7重量%の範囲で含んでいる。
【0030】
近年において、有意に高濃度のテアフラビンを伴う茶を調製するための茶の製造が妨害される、多くプロセスが報告された。発酵中もしくは発酵前のタンナーゼを用いた茶製造中の茶の処理はテアフラビンの量を紅茶の1.5から4重量%まで増加させる。このような高含有量のテアフラビンを含む茶は、また、本発明の組成物における使用のために好ましい。
【0031】
本発明によって、高濃度で没食子酸を含む茶の味を、選択的量の選択的フレーバー組成物の組み込みによって補正することが見出された。選択的フレーバー組成物は、レモン、ピーチ、またはジンジャーベースである。それらは0.01から6%の範囲の量で組み込まれる。本発明者は シナモン、カルダモン、ベルガモット、またはオレンジブロッソムのような、多数の他の一般的に使用されているフレーバー化合物の組み込みを試みたが、高濃度の没食子酸を含む紅茶によってもたらされる酸味を補正するには無効果であることを見出した。さらに好まれるフレーバーはレモンフレーバーである。レモンフレーバーは茶組成の2.5から6重量%の範囲の組み込みが好まれる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
それゆえ、本発明により調製された紅茶組成物は、さらに、コールドインスタントティー、ホットインスタントティー、ホットインスタントティー、レディ・トゥ・ドリンクティーを調製するために更に加工することができる。前述のホットインスタントティーは不水溶性物を含まない製品である。前述のホットインスタントティー製品は十分に温水可溶性であり、前述の製品はそれ自体如何なる濾過も必要とせずに消費され得る。ホットインスタントティーを調製する確立されたプロセスはK. C. Wilson & M. N. Cliffod 著、Chapman & Hall出版の参考文献「Tea Cultivation to Consumption」(1992)に述べられている。その典型的なプロセスは、多段階の逆流抽出装置の中で温水によって抽出される、望む未加工の材料(例えば紅茶)を扱う工程を含む。茶:水の割合は典型的には無水ベースで1:6〜1:12である。茶溶液/抽出液は、消費された茶葉からスクリュープレスを通過することで分離される。前述の抽出液は約3.5〜4%の茶固形物を含んでおり、遠心分離により茶葉を除去して、粗い粒子および細かい粒子除去により澄んだ状態にされる。次に、前述の抽出物はエバポレーターで35-40%の固体に濃縮される。前述の濃縮物はホットインスタントティーパウダーを得るためにスプレー乾燥される。冷水で可溶である水溶性茶粉末は、コールドインスタントティーと呼ばれる。通常付加的なフレーバーを組み込まれて飲む準備がされており、カンのように無菌パックされて販売されている茶飲料は、レディー・トゥ・ドリンク(RTD)と呼ばれる。冷やされて販売されているRTD茶はたびたびアイスティーと呼ばれる。
【0033】
茶組成物は、茶組成物の、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、もっとも好ましくは5%以下の水分を含む。
【0034】
本発明の第二の態様は、茶組成を調製する方法であって、レモン、ピーチ、またはジンジャーフレーバーを含む0.01から6重量%のフレーバー組成物と、1から5重量%の没食子酸を含む紅茶を混合する工程を含む方法を提供する。
【0035】
本発明を、実施例を用いて例示する。実施例は、説明のみを目的とし、特許請求の範囲を如何なる方法でも制限することを意図しない。
【実施例】
【0036】
(実施例1から6:飲料の味に対する茶への没食子酸添加の効果)
インド市場から、Taj Mahal(商標)ブランドの茶を入手し、表1に示すようにいくつかの茶試料を調製した。前述の試料に様々な量の没食子酸を添加した。2gの茶試料を用い、200mlの水中で6分沸騰させて、茶飲料を調製し、その後、熟練した調香師が前述の茶試料を試飲し、その後に得られた飲料の味に関するコメントを表1に示す。実施例1はTaj Mahal(商標)茶の試料で0.2%の没食子酸が本質的に存在しており、さらなる没食子酸添加は行わなかった。実施例2から6には、様々な量の没食子酸を添加した。
【0037】
【表1】

【0038】
表1のデータは約1%を超える没食子酸の存在は明らかな酸味を与えることを示している。前述の酸味の量は消費者には好まれない。
【0039】
(実施例7から17:高濃度没食子酸茶におけるさまざまなフレーバー組み込みの効果) 茶試料はインド市場から入手したTaj Mahal(商標)ブランドの茶に様々な量の没食子酸を添加し、表2に示すようにいくつかの茶試料を調製した。前述の茶試料には、表2で示される様々な量の異なるフレーバー組成物が含まれている。2gの茶試料を用い、200mlの水中で6分沸騰させて、茶飲料を調製した。熟練した調香師が前述の茶試料を試飲し、その後に得られた飲料の味に関するコメントを表2に示す。
【0040】
フレーバー組成物は以下から入手した。
レモン: FirmenichからのLemon Durarome
ピーチ: FirmenichからのPeach Durarome
ジンジャー: FirmenichからのGinger Durarome
カルダモン: FirmenichからのCardamom Durarome
ベルガモット: SymriseからのBergamot Evoglass
【0041】
【表2】

【0042】
表2のデータは、レモン、ジンジャー、またはピーチフレーバー組成物を0.01から6%の範囲の量での含有(実施例7、8、10、11、13、14)が、茶の5重量%までの量存在している没食子酸を原因とする酸味を遮蔽することができることを示している。没食子酸が5%を超えて存在している時、如何なるフレーバーも、どんな量でも没食子酸の酸味を遮蔽することはできない(例9、12および15)。さらに、他のフレーバー、例えばカルダモンもしくはベルガモット(例16および17)の含有は没食子酸による酸味の遮蔽には適していない。
【0043】
(実施例18から21:タンナーゼ処理した茶中の本発明のフレーバー含有の効果)
茶は、紅茶の製造の発酵工程中に10,000ユニットのタンナーゼ/kg dhool新鮮重(dhool fresh weight)で処理された。このように調製された紅茶を分析したところ、2.9%の没食子酸および3.4%のテアフラビンを含んでいた。前述の紅茶は、表3に示すように本発明によりフレーバーを用いて調合され、茶飲料は上述の実施例1に述べているように調製した。熟練した調香師が前述の茶試料を試飲し、得られたコメントを表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3のデータは、タンナーゼ処理した、高濃度の没食子酸およびテアフラビンを含む茶が、明らかな酸味を有するが、この酸味は、選択的量での本発明によるフレーバーの導入によって遮蔽されることを示している。
【0046】
(実施例22:タンナーゼ処理した茶と比較した、本発明の茶組成に関するパネル研究)
実施例18(タンナーゼ処理した茶)および実施例19(レモンフレーバーでフレーバーをつけたタンナーゼ処理した茶)により茶を調製した。茶飲料をこれら二種の組成物から調製し、34人の消費者のパネリストが試飲した。各パネリストは前述の2種の組成物のうちで好ましい一種の茶飲料を選ぶように質問された。データを表4に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
表4のデータは、きわめて多くの消費者が、高濃度の没食子酸およびテアフラビンを含む未処理の茶に対して本発明のフレーバーティーを好むことを示している。
【0049】
本発明は、没食子酸および任意にテアフラビンのような有用な成分を多く含む紅茶組成物であって、消費者が紅茶以上とは言わないまでも、紅茶と同じくらい良いことがわかる紅茶組成物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-5重量%の没食子酸およびレモン、ピーチまたはジンジャーフレーバーを含む0.01から6重量%のフレーバー組成物を含む紅茶組成物。
【請求項2】
前記フレーバー組成物が、フレーバー組成物の重量換算で0.1から25%のフレーバー化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1.5から4重量%のテアフラビンを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記紅茶が乾燥、浸漬、タンナーゼ存在下での発酵および乾燥の工程を含むプロセスによって調製された、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
2-4重量%の没食子酸を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
2.5から6重量%のレモンフレーバー組成物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
冷水可溶性、または温水可溶性、またはレディ・トゥ・ドリンク形式の、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
紅茶リーフ組成物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−507993(P2012−507993A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535073(P2011−535073)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064149
【国際公開番号】WO2010/054932
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】