説明

茶製品を製造する方法

新鮮な一番茶葉から抽出液を圧搾し、それにより葉残渣および茶抽出液を製造するステップと、新鮮な一番茶葉および/または茶抽出液に酵素不活性化処理を施し、それにより茶抽出液の発酵を防止するステップと、酵素が不活性化している茶抽出液を発酵したまたは発酵している茶物質と合わせるステップとを含む方法を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶製品を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、発酵していない茶抽出液を発酵した茶物質と合わせることにより得られる茶製品に関する。
【背景技術】
【0002】
茶樹(Camellia sinensis)に基づく飲料は、数百年間も世界中で人気があった。伝統的に、このような飲料は、リーフティーを温水で浸出させることにより製造される。
【0003】
西洋世界で消費される茶の大部分は、茶樹Camellia sinensisの葉を収穫し、それらを萎凋させ、揉捻し、酵素的に酸化(発酵)させ、焙じ、分類することにより得られる、いわゆる紅茶である。しかし、該葉を発酵ステップなしで加工して、緑茶として知られているものを製造することができる。このような茶は、中華人民共和国、日本、北アフリカおよび中東の一部で広く消費されている。別の変法において、ウーロン茶は、部分的発酵により調製される。
【0004】
茶葉は、茶そのものの特徴に関与する物質と共に、通常、植物の成長および光合成に付随する多数の酵素、生化学的中間体および構造成分を含有する。これらとしては、フラバノール、フラバノールグリコシド、ポリフェノール酸、カフェイン、アミノ酸、単糖類および多糖類、タンパク質、セルロース、脂質、クロロフィルおよび揮発性物質が挙げられる。
【0005】
フラバノール、またはより具体的にはフラバン-3-オールは、摘み立ての茶葉の乾燥重量の最大で30%を構成する傾向があり、カテキンとして知られている。緑茶は、カテキンの大部分を保持するが、紅茶におけるその含量は、テアフラビンおよびテアルビギンを得るための発酵の間に生じる化学的および酵素的酸化の両方が原因で非常に低下する。
【0006】
カテキンは、抗腫瘍活性ならびに体形および/または体脂肪の調整に対する効果を含めた様々な生物活性を有するものと主張されてきた。
【0007】
茶は、多くの他のフェノールを含有する。これらとしては、没食子酸、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、およびそれらのグリコシドなどのフラバノール、ならびにクロロゲン酸およびp-クマロイルキナ酸などのデプシドが挙げられる。これらの一部は、発酵の間に発生する化学反応に関与すると考えられている。
【0008】
緑茶は、紅茶よりさらに多くのカテキンを含有する。しかし、多くの消費者の間で健康意識が急激に増大しているにもかかわらず、緑茶は、通常、薄すぎて飲むと不快であるとして西洋諸国で否定されている。さらに、緑茶は、通常浸出させるのに時間がかかり、したがって、西洋における、品質を高めるための利便性への欲求を満たさない。これらの欠点を克服するために、紅茶の有利な特性を有するが、従来の紅茶で一般的な濃度より高濃度のカテキンを有する茶製品を提供する努力がなされてきた。
【0009】
WO 98/23164(Unilever)は、カテキンおよびフェノールを0.15〜0.4の間の比で含有することを特徴とする、第1の実質的に発酵した茶と第2の実質的に発酵していない茶とのブレンドを含むリーフティーを開示している。この文献は、ガレート型と非ガレート型カテキンとの比が苦味と関係し、したがって、ガレート型と非ガレート型カテキンとの比が低い茶のクローンが好ましいということも教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 98/23164
【特許文献2】欧州特許第1365657B1号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「Tea - Cultivation to consumption」、K.C. WillsonおよびM.N. Clifford(編)、1992年、Chapman & Hall、London、555〜601頁、17章
【非特許文献2】「Tea: Cultivation to Consumption」、K.C. WillsonおよびM.N. Clifford(編)、第1版、1992年、Chapman & Hall(London)、13章および14章
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、今回、新鮮な茶葉から圧搾した茶抽出液が、新鮮な葉そのものより低いガレート型と非ガレート型カテキンとの比を有するということを見出した。したがって、緑茶抽出液は、紅茶製品に添加してそのカテキン含量を増加させることができるのに対して、新鮮な葉の起源であるクローンに関係なく、苦味を少なく維持する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
試験および定義

本発明の目的のために、「茶」とは、Camellia sinensis var. sinensisおよび/またはCamellia sinensis var. assamica由来の物質を意味する。var. assamica由来の物質は、var. sinensisより高濃度の茶活性成分を有するため、特に好ましい。
【0014】
本発明の目的のために、「リーフティー」とは、浸出されていない形態の茶葉および/または茎を含有し、含水量30重量%未満まで乾燥され、通常含水量が1〜10重量%の範囲の茶製品(すなわち、「加工茶」)を意味する。
【0015】
「緑茶」とは、実質的に発酵していない茶を指す。「紅茶」とは、実質的に発酵した茶を指す。「ウーロン茶」とは、部分的に発酵した茶を指す。
【0016】
「発酵」とは、例えば、葉の浸軟により細胞を機械的に破壊することで、ある種の内因性酵素および基質を一緒にした際に茶が受ける酸化および加水分解プロセスを指す。このプロセスの間に、葉中の無色のカテキンは、黄色およびオレンジ色から暗褐色のポリフェノール物質の複合混合物に変換される。
【0017】
「新鮮な茶葉」とは、含水量30重量%未満まで乾燥されておらず、通常含水量が60〜90%の範囲の茶葉および/または茎を指す。
【0018】
「ドール」とは、浸軟した新鮮な茶葉を指す。
【0019】
抽出液の圧搾
本明細書で使用する場合、「抽出液を圧搾する」という用語は、溶媒を使用して茶固形物を抽出することとは対照的に、物理的な力を使用して新鮮な茶葉から抽出液を絞り出すことを指す。したがって、「圧搾する」という用語は、絞る、圧縮する、搾り取る、脱水するおよび押し出すなどの意味を包含する。圧搾ステップの間に少量の溶媒(例えば、水)を茶葉に添加することは可能である。しかし、溶媒により茶固形物が有意に抽出されるのを防止するために、圧搾の間の茶葉の含水量は、上で定義した新鮮な茶葉と同じである。換言すると、圧搾ステップの間、新鮮な茶葉の含水量は、30と90重量%の間、より好ましくは60と90%の間である。新鮮な葉は、このような溶媒に付随する環境的および経済的問題により、圧搾の前または間に非水性溶媒(例えば、アルコール)と接触していないことも好ましい。
【0020】
飲料
本明細書で使用する場合、「飲料」という用語は、ヒトの食用に適した実質的に水性の飲料組成物を指す。
【0021】
カテキン
本明細書で使用する場合、「カテキン」という用語は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、およびそれらの混合物の総称として使用する。カテキンは、以下の省略記号を使用して示すこともある。カテキンはC、ガロカテキンはGC、カテキンガレートはCG、ガロカテキンガレートはGCG、エピカテキンはEC、エピガロカテキンはEGC、エピカテキンガレートはECG、およびエピガロカテキンガレートはEGCG。「ガレート型カテキン」という用語は、CG、ECG、GCG、EGCGおよびそれらの混合物の総称として使用する。
【0022】
テアフラビン
本明細書で使用する場合、「テアフラビン」という用語は、テアフラビン、テアフラビン-3-ガレート、テアフラビン-3'-ガレート、テアフラビン-3,3'-ジガレートおよびそれらの混合物の総称として使用する。これらの化合物の構造は周知である(例えば、「Tea - Cultivation to consumption」、K.C. WillsonおよびM.N. Clifford(編)、1992、Chapman & Hall、London、555〜601頁の17章の構造xi-xivを参照)。テアフラビンは、省略記号TF1〜TF4を使用して示すこともあり、TF1はテアフラビン、TF2はテアフラビン-3-ガレート、TF3はテアフラビン-3'-ガレートであり、TF4はテアフラビン-3,3'-ジガレート(または単純に「テアフラビンジガレート」)である。「ガレート型テアフラビン」という用語は、TF2、TF3、TF4およびそれらの混合物の総称として使用する。
【0023】
リーフティー中のカテキンおよびカフェインの決定
リーフティー中のカテキンおよびカフェインの量は、以下のように逆相HPLCにより同時に決定する。
【0024】
試料の調製
1.0.5μmのスクリーンが取り付けられたCyclotech(商標)1093試料ミル(FOSS Ltd、Warrington、Cheshire、UK)を使用して、微粉となるまでリーフティーを粉砕する。
2.粉砕した茶約200mgを抽出管に正確に秤量し、質量を記録する。
3.メタノール水溶液(蒸留水中の70%v/vメタノール)少なくとも20mlを70℃まで温める。
4.熱いメタノール水溶液5mlを抽出管に添加する。ボルテックスミキサーでメタノール水と茶物質とを穏やかに混合し、70℃の水浴中に5分間置き、再度混合し、次いで、70℃の水浴中にさらに5分間置く。
5.ボルテックスミキサーでメタノール水と茶物質とを再度穏やかに混合し、次いで、20℃の気温で10分間冷却させる。
6.抽出管を相対遠心力(RCF)2900gで10分間遠心分離する。
7.抽出管は、今や、茶物質の栓の上に上清液を含有しているはずである。上清を清潔な目盛付き試験管に慎重にデカントする。
8.熱いメタノール水溶液5mlを抽出管中の栓に添加する。ボルテックスミキサーでメタノール水と茶物質とを穏やかに混合し、70℃の水浴中に5分間置き、再度混合し、次いで、70℃の水浴中にさらに5分間置く。
9.ボルテックスミキサーでメタノール水と茶物質とを再度穏やかに混合し、次いで、20℃の気温で10分間冷却させる。
10.抽出管をRCF2900gで10分間遠心分離する。
11.抽出管は、今や、茶物質の栓の上に上清液を含有しているはずである。上清を、ステップ7の上清を含有する目盛付き試験管に慎重にデカントする。
12.メタノール水溶液でプールした上清を10mlにする。
13.蒸留水中の2.5mg/ml EDTAおよび2.5mg/mlアスコルビン酸の溶液1mlを目盛付き試験管に添加する。
14.プールした上清混合物1部を10%アセトニトリル安定剤溶液(蒸留水中の10%v/vアセトニトリル、0.25mg/mlアスコルビン酸および0.25mg/ml EDTA)4部(体積)で希釈する。
15.希釈したプール上清混合物を微小遠心管にデカントし、卓上遠心分離機でRCF14000gで10分間遠心分離する。
【0025】
HPLC分析条件
カラム:Luna Phenyl hexyl 5μ、250×4.60mm
流速:1ml/分
オーブン温度:30℃
溶媒:A:アセトニトリル中の2%酢酸
B:水中の2%酢酸および0.02mg/ml EDTA
注入量:10μl
【0026】
【表1】

【0027】
定量:毎日作成する較正曲線に対するピーク面積。較正曲線はカフェインから作成し、カテキンの濃度は、個々のカテキンのカフェインに対する相対応答係数を使用して計算する(ISOカテキン法-ISO/CD 14502-2から)。個々のカフェイン標準品(Sigma、Poole、Dorset、UK)をピーク同定マーカーとして使用する。
【0028】
抽出液および飲料中のカテキンおよびカフェインの決定
液体試料中のカテキンおよびカフェインの量は、以下のように逆相HPLCにより同時に決定する。
【0029】
試料の調製
1.試料9mlを採取し、蒸留水中の2.5mg/ml EDTAおよび2.5mg/mlアスコルビン酸の溶液1.12mlと共にアセトニトリル1.12mlを添加する。
2.次いで、得られた溶液を微小遠心管にデカントし、RCF14000gで10分間遠心分離する。
【0030】
HPLC分析条件
HPLC分析条件は、リーフティーについて上で示したものと同一である。
【0031】
抽出液および飲料中のテアニンの決定
液体試料中のテアニンの量は、o-フタルアルデヒドによるポストカラム誘導体化後の蛍光検出を使用した逆相HPLCクロマトグラフィーにより決定する。
【0032】
試料の調製
試料を1:10の試料:水の重量比で脱イオン水(25℃)で希釈する。
【0033】
HPLC分析条件
カラム:Hypersil HyPURITY Elite(商標)C18、5μ、150mm×4.6cm
流速:1ml/分
オーブン温度:35℃
溶媒:A:水中の5mMペンタデカフルオロオクタン酸
B:アセトニトリル中の5mMペンタデカフルオロオクタン酸
【0034】
【表2】

【0035】
定量:カラムからの溶離液を低デッドボリューム3方向ジャンクションに供給し、o-フタルアルデヒド試薬と1:1の比で混合し、o-フタルアルデヒド試薬は、アイソクラチックポンプにより1ml/分で押し出す。(o-フタルアルデヒド試薬は、pH10ホウ酸塩緩衝液中のo-フタルアルデヒド1.0g/l、メタノール5ml/l、Brij 35 2ml/lおよび2-メルカプトエタノール3ml/lである)蛍光検出は、励起=340nmおよび放射=425nmである。毎日作成する較正曲線に対するピーク面積を定量に使用する。較正曲線は、Suntheanine(商標)(Taiyo KK)の標準液の希釈から作成する。
【0036】
リーフティー中のテアニンの決定
固体試料中のテアニンの量をo-フタルアルデヒドによるポストカラム誘導体化後の蛍光検出を使用した逆相HPLCクロマトグラフィーにより決定する。
【0037】
試料の調製
試料約1.0gを100mlメスフラスコに正確に秤量する。次いで、熱い(60℃)脱イオン水50mlをメスフラスコに添加し、該フラスコを自動振盪機で30分間勢いよく振盪させる。室温への冷却後、脱イオン水で試料を100mlにする。
【0038】
HPLC分析条件
HPLC分析条件は、抽出液および飲料について上で示したものと同一である。
【0039】
総ポリフェノールの決定
試料の総ポリフェノール含量は、ISO14502-1:2005(E)として国際標準化機構により公表されている国際規格に詳述されているようなFolin-Ciocalteu法を使用して決定する。
【0040】
葉の寸法および等級
本発明の目的のために、葉の粒度は、以下の慣例を使用して、ふるいのメッシュサイズにより特徴付けられる。
・ 全体を通してタイラーメッシュサイズを使用する。
・ ふるいのメッシュの前の「+」は、粒子がふるいにより保持されることを示す。
・ ふるいのメッシュの前の「-」は、粒子がふるいを通過することを示す。
【0041】
例えば、粒度が-5+20メッシュと記載されている場合、粒子は5メッシュのふるいを通過し(粒子は4.0mm未満)、20メッシュのふるいにより保持される(粒子は841μm超)であろう。
【0042】
葉の粒度は、追加的にまたは代替的に、国際規格ISO6078-1982に列挙されている等級を使用して特徴付けることができる。これらの等級は、参照により本明細書に組み込まれている本発明者らの欧州特許第1365657B1号(特に[0041]節およびTable 2)で詳細に考察している。
【0043】
驚くべきことに、本発明者らは、発酵していない茶抽出液が、従来の紅茶抽出物の組成とは異なる組成を有し、発酵した茶と合わせて新規な茶製品を提供することができるということを見出した。理論により縛られることを望むものではないが、本発明者らは、発酵していない茶抽出液が比較的低濃度のガレート型カテキンおよび/またはカフェインを有し、したがって、ガレート型ポリフェノールおよび/またはカフェインに付随する苦味などの負の特性を過剰に増加させることなく、紅茶と合わせてその可溶性の茶固形物を増加させることができると考えている。さらに、茶抽出液は、リラクゼーション、注意力および/または集中力を増加させるなどのある種の望ましい生理学的効果を有することが知られているテアニンが比較的豊富であることが分かっている。
【0044】
したがって、本発明は、第1の態様において、
a)新鮮な一番茶葉から抽出液を圧搾し、それにより葉残渣および茶抽出液を製造するステップと、
b)新鮮な一番茶葉および/または茶抽出液に酵素不活性化処理を施し、それにより茶抽出液の発酵を防止するステップと、
c)酵素が不活性化している茶抽出液を発酵したまたは発酵している茶物質と合わせるステップと
を含む方法を提供する。
【0045】
本発明は、第2の態様において、該方法により得られたおよび/または得られる茶製品を提供する。このような製品は、カテキンを含むと見込まれるが、ポリフェノール中に緑茶製品より低濃度のカテキンを有し、比較的低い割合のガレート型カテキンを有すると見込まれ、したがって代替法により製造された茶製品より安定で、かつ/または苦くないと思われる。
【0046】
したがって、本発明は、さらなる態様において、ポリフェノールを含む組成物であって、ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンがガレート型カテキンおよび非ガレート型カテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40未満であり、非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比が少なくとも1.2:1、好ましくは1.4:1〜20:1の範囲である組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
抽出液の圧搾
本発明において使用する茶抽出液は、新鮮な一番茶葉から圧搾される。圧搾ステップは、例えば、濾過および/または遠心分離により茶抽出液から分離される葉残渣も製造する。
【0048】
圧搾した抽出液の量が少なすぎる場合、葉残渣から抽出液を分離することが困難となり、かつ/またはプロセスが非効率的となる。したがって、圧搾した抽出液の量は、新鮮な茶葉1kg当たり少なくとも10ml、より好ましくは少なくとも25ml、より好ましくはさらに少なくとも50ml、最も好ましくは75〜600mlであることが好ましい。茶葉の単位質量当たり圧搾される抽出液の量について言及する場合、茶葉の質量が、乾燥重量ベースではなく「現状」ベースで表現されるということに留意されたい。したがって、質量は、葉の中の任意の水分を含む。
【0049】
圧搾ステップは、葉残渣からの茶抽出液の分離を可能にし、必要量の抽出液を得られる限り、任意の好都合な方法で実現することができる。抽出液を圧搾するのに使用する機械としては、例えば、油圧プレス、空気圧プレス、スクリュープレス、ベルトプレス、押出機またはそれらの組合せを挙げ得る。
【0050】
抽出液は、新鮮な葉の1回の圧縮または複数回の圧縮で新鮮な葉から得ることができる。抽出液は、単純で急速なプロセスを可能にするため、1回の圧縮から得られることが好ましい。
【0051】
圧搾ステップは、貴重な茶化合物の劣化を最小限にするために、周囲温度で実施することが好ましい。例えば、葉の温度は、5〜40℃、より好ましくは10〜30℃でもよい。
【0052】
圧搾ステップにおいて使用する時間および圧力は、必要量の抽出液を生成するために変動させることができる。しかし、通常、抽出液を圧搾するのに加えられる圧力は、0.5MPa(73psi)〜10MPa(1450psi)の範囲であろう。圧力が加えられる時間は、通常、1秒〜1時間、より好ましくは10秒〜20分、最も好ましくは30秒〜5分であろう。
【0053】
新鮮な茶葉は、圧搾の前に、例えば、浸軟、萎凋またはそれらの組合せから選択される単位プロセスを含めた前処理を受けてもよい。
【0054】
本発明において使用する茶抽出液は、ガレート型ポリフェノールが意外に少ないことが分かっている。このことは、抽出液中の非ガレート型とガレート型カテキンとの重量比から明らかである。緑茶抽出液は、例えば、1.4:1超、より好ましくは1.6:1超、より好ましくはさらに1.8:1超、最も好ましくは3:1〜20:1の非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比を有し得る。
【0055】
圧搾の前の浸軟は、所望量の抽出液を圧搾するのに必要な時間および/または圧力を減少させることができる。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、圧搾の前の新鮮な茶葉に対する過剰な損傷が、圧搾した抽出液における非ガレート型とガレート型ポリフェノールとの重量比を低下させる恐れがあるということを見出した。したがって、好ましい実施形態において、新鮮な葉は、圧搾ステップの前または間に浸軟および/または凍結融解法を受けない。
【0056】
酵素不活性化
本発明の方法のステップ(b)は、新鮮な一番茶葉および/または茶抽出液に酵素不活性化処理を施し、それにより茶抽出液の発酵を防止するステップを含む。
【0057】
一実施形態において、茶抽出液には、圧搾の直後に酵素不活性化ステップを施す。特に、茶抽出液は、圧搾後10分以内、より好ましくは5分以内、最も好ましくは1分以内に酵素不活性化ステップを施すことが好ましい。本実施形態は、葉残渣を圧搾後にさらに加工して少なくとも部分的に発酵した茶製品を生成する場合、すなわち、葉残渣を加工してウーロンまたは紅茶製品を製造する場合、特に好ましい。
【0058】
代替実施形態において、新鮮な茶葉には、圧搾ステップ(a)の前に酵素不活性化ステップを施す。本実施形態は、葉残渣を圧搾後にさらに加工して実質的に発酵していない茶製品を生成する場合、すなわち、葉残渣を加工して緑茶製品を製造する場合、特に好ましい。
【0059】
酵素の変性が可能な任意の公知の処理を使用して発酵酵素を不活性化することができる。特に好都合な酵素不活性化処理は熱処理である。例えば、新鮮な葉は、蒸されている、かつ/または煎られていてもよく、かつ/あるいは、茶抽出液は、熱交換器で、または蒸気注入または液体を加熱するのに適した他のそのような方法により加熱してもよい。
【0060】
発酵酵素の不活性化により緑茶抽出液が製造される。
【0061】
不活性化処理は、新鮮な葉中のカテキンの大部分を保持するのに十分であることが好ましい。特に、酵素が不活性化している茶抽出液がポリフェノールを含み、ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が少なくとも0.50:1、より好ましくは少なくとも0.60:1、最も好ましくは0.70〜0.99:1であることが好ましい。
【0062】
茶抽出液を発酵しているまたは発酵した茶物質と合わせる
本発明の方法のステップ(c)は、酵素が不活性化している茶抽出液を発酵したまたは発酵している茶物質と合わせるステップを含む。
【0063】
発酵した茶物質は、ブラックもしくはウーロンリーフティーおよび/またはブラックまたはウーロンリーフティーから抽出された固形物でもよい。発酵した物質は、ブラックリーフティーであることが好ましい。新鮮な茶葉から発酵したリーフティーを製造する製造方法は周知であり、好適な方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている「Tea - Cultivation to consumption」(K.C. WillsonおよびM.N. Clifford(編)、1992、Chapman & Hall、London)の13章および14章に記載されている。全てのリーフティーの製造に共通しているステップは乾燥ステップである。ウーロンおよびブラックリーフティーの場合、乾燥ステップは、通常、発酵酵素を不活性化するのにも利用する。
【0064】
発酵した茶物質はポリフェノールを含み、ポリフェノールはカテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40:1未満、より好ましくは0.30:1未満、より好ましくはさらに0.20:1未満、最も好ましくは0.15:1〜0.001:1であることが好ましい。
【0065】
本発明の方法は、一実施形態において、水溶性の茶固形物の量が増加したリーフティー製品の製造に使用され、したがって、リーフティー製品の浸出速度の増加を可能にする。このような製品の好都合な製造方法は、茶抽出液をリーフティーと合わせて混合物を形成し、次いで、混合物を乾燥させることによるものである。混合物は、混合物の30重量%未満の含水量まで、より好ましくは1〜10重量%の範囲の含水量まで乾燥することが好ましい。好都合なことに、茶抽出液をリーフティーに噴霧して混合物を形成することができる。追加的にまたは代替的に、混合物は、流動層乾燥機で乾燥させることができる。
【0066】
本発明の方法は、別の実施形態において、抽出液を、発酵したリーフティーから抽出された茶固形物と合わせることにより、苦味が少ないなどの改善した特性を有する、すぐに飲める飲料、茶粉末または茶濃縮物の製造に使用される。例えば、抽出液またはその画分は、リーフティーから抽出された茶固形物を含む粉末または液体濃縮物と合わせてもよい。追加的にまたは代替的に、茶抽出液は、リーフティーから抽出された茶固形物を含む茶飲料と合わせてもよい。
【0067】
茶抽出液は、任意の量の発酵したまたは発酵している茶物質と合わせてもよい。しかし、本発明者らは、得られる茶製品がほぼ等しい量の抽出液および茶物質の両方に由来する可溶性の茶固形物を含むように、茶抽出液を発酵したまたは発酵している茶物質と合わせた際に、特に望ましい茶製品を調製することができるということを見出した。したがって、合わせることにより、茶抽出液に由来する水溶性の茶固形物と発酵したまたは発酵している茶物質に由来する水溶性の茶固形物との重量比が、5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2、最も好ましくは1.5:1〜1:1.5の範囲である茶製品がもたらされることが好ましい。
【0068】
茶抽出液は、圧搾後に抽出液を加工することなく茶物質と合わせてもよい。代替的に、例えば、抽出液には、合わせるステップの前に濃縮および/または希釈ステップを施してもよい。
【0069】
驚くべきことに、本発明者らは、発酵していない茶抽出液が、発酵している茶物質と合わせることができ、発酵している茶物質から製造された茶製品のカテキン含量をさらに増加させるということを見出した。本発明者らは、茶抽出液中のいかなるカテキンも発酵している茶物質中に存在する発酵酵素により酸化されると予期していたため、このことは驚きである。したがって、好ましい実施形態において、ステップ(c)は、茶抽出液を発酵しているドールと合わせて混合物を形成するステップを含む。混合物は、少なくとも2時間発酵させることができるが、依然として茶抽出液由来のカテキンを保持する。したがって、一実施形態において、混合物は、少なくとも10分、好ましくは少なくとも30分、最も好ましくは1〜4時間発酵される。通常、混合物を焙じることにより発酵を抑えてリーフティーを製造する。
【0070】
ステップ(c)の発酵したまたは発酵している茶物質は、ステップ(a)からの葉残渣を含み得る。しかし、最終製品中の茶固形物を最大化するために、発酵したまたは発酵している茶物質が新鮮な二番茶葉に由来することが好ましい。
【0071】
葉残渣の加工
該方法の効率を最大化するために、葉残渣を廃棄するのではなく、さらに加工して、商業的に実現可能な製品を製造することが好ましい。特に好ましい実施形態において、該方法は、葉残渣を加工してリーフティーを製造する追加のステップ(d)を含む。
【0072】
驚くべきことに、本発明者らは、圧搾した抽出液の量が新鮮な葉1kg当たり300ml未満である場合、圧搾後の葉残渣のポリフェノールおよびアミノ酸などの茶化合物の全体的な濃度がより低いという事実にもかかわらず、葉残渣を加工して、少なくとも従来の品質のリーフティーを製造することができるということを見出した。概して、最終的なリーフティーの品質(例えば、浸出性能について)は、圧搾した抽出液が少ないほど良好である。したがって、ステップ(a)で圧搾した抽出液の量は、茶葉1kg当たり300ml未満、より好ましくは275ml未満、より好ましくはさらに250ml未満、最も好ましくは225ml未満であることが好ましい。
【0073】
葉残渣は、グリーンリーフティー、ブラックリーフティーまたはウーロンリーフティーを製造するために加工してもよい。ウーロンリーフティーおよびブラックリーフティーの場合、ステップ(d)は、葉残渣を発酵させるステップを含む。
【0074】
グリーンリーフティー、ブラックリーフティーおよびウーロンリーフティーの製造方法は周知であり、好適な方法は、例えば、「Tea: Cultivation to Consumption」、K.C. WillsonおよびM.N. Clifford(編)、第1版、1992年、Chapman & Hall(London)、13章および14章に記載されている。
【0075】
全てのリーフティーの製造に共通しているステップは、乾燥ステップである。ウーロンおよびブラックリーフティーの場合、乾燥ステップは、通常、発酵酵素を不活性化するのにも利用する。効率的に乾燥するには高温が必要であり、したがって、該方法のステップ(d)は、葉残渣を少なくとも75℃、より好ましくは少なくとも90℃の温度で乾燥させるステップを含むことが好ましい。
【0076】
ステップ(d)は、好ましくは乾燥後に、葉残渣から製造されたリーフティーを分類して、少なくとも35メッシュの粒度にするステップを含むことが好ましい。リーフティーを分類して30メッシュ〜3メッシュの粒度にすることがより好ましい。代替的にまたは追加的に、リーフティーを分類して、ペコファニングス(PF)等級以上、より好ましくはオレンジファニングス(OF)以上、最も好ましくはブロークンオレンジペコファニングス(BOPF)以上のリーフティー等級にすることができる。
【0077】
茶製品
本発明は、該方法により得られたおよび/または得られる茶製品を提供する。このような製品は、低濃度のガレート型カテキンおよび/または低濃度のカフェインを有すると見込まれ、したがって、代替法により製造された茶製品より安定で、かつ/または苦くないと思われる。追加的にまたは代替的に、該製品は、代替法により製造された茶製品より高濃度のテアニンを有し得る。
【0078】
茶製品は、例えば、リーフティー、飲料、茶粉末または液体濃縮物でもよい。
【0079】
飲料は、通常、飲料の0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%の量の茶固形物を含む。
【0080】
茶製品は、製品中の発酵していない茶固形物(茶抽出液由来)と発酵した茶固形物(茶物質由来)とを合わせることにより、発酵した茶製品と発酵していない茶製品との中間のカテキン濃度を含むであろう。したがって、該製品はポリフェノールを含み、ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40未満、より好ましくは0.10〜0.35であり、最も好ましくは0.20〜0.30であることが好ましい。
【0081】
茶製品は、通常、比較的低い割合のガレート型カテキンを含むであろう。カテキンは、ガレート型カテキンおよび非ガレート型カテキンを含み、非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比が少なくとも1.2:1、より好ましくは少なくとも1.4:1、より好ましくはさらに少なくとも1.5:1、最も好ましくは1.6〜20:1であることが好ましい。
【0082】
茶製品は、通常、比較的低い含量のカフェインおよび/または高濃度のテアニンを含むであろう。好都合なことに、このことは、テアニンとカフェインとの重量比により表すことができる。テアニンとカフェインとの重量比は、0.2超、より好ましくは少なくとも0.3、最も好ましくは0.4〜2.0であることが好ましい。
【0083】
組成物
本発明は、発酵した茶製品の感覚特性を有するが、高い割合のカフェインおよび/またはガレート型カテキン由来の不要な苦味をもたらすことなくカテキンの健康効果をもたらす組成物を提供する。
【0084】
組成物はポリフェノールを含み、ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンがガレート型カテキンおよび非ガレート型カテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40未満であり、非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比が少なくとも1.2:1である。
【0085】
組成物は、紅茶の特性を有することが好ましい。したがって、カテキンと総ポリフェノールとの重量比は0.40未満、好ましくは0.10〜0.35、最も好ましくは0.20〜0.30である。追加的または代替的に、ポリフェノールは、テアフラビン、テアルビギンまたはそれらの混合物などの紅茶ポリフェノールを含む。
【0086】
非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比は、少なくとも1.4:1、より好ましくは少なくとも1.5:1、最も好ましくはから1.6〜20:1であることが好ましい。
【0087】
組成物は、通常、比較的低い含量のカフェインおよび/または高濃度のテアニンを含むであろう。好都合なことに、このことは、テアニンとカフェインとの重量比により表すことができる。テアニンとカフェインとの重量比は、0.2超、より好ましくは少なくとも0.3、最も好ましくは0.4〜2.0であることが好ましい。
【0088】
(実施例)
以下の実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0089】
(実施例1)
本実施例は、本発明に有用な緑茶抽出液の製造を示している。
【0090】
抽出液の調製
Camellia Sinensis var. assamicaの新鮮なケニア茶葉(カテキン含量は乾燥重量で約15%であった)を約100℃で60秒間蒸して内因性酵素を不活性化し、したがって発酵を防止した。蒸した葉を、室温まで冷却し、野菜カッターを使用して切り刻んで、平均寸法が約0.5〜1cm2の切り刻んだ葉を得た。次いで、切り刻んだ葉を、背圧80psi(0.55MPa)で作動するスクリュープレス(Vincent水平連続プレスモデルCP4、Vincent Corp.、Tampa、Florida、USA)を使用して圧縮した。得られた抽出液の収率は50ml/葉100gであった。茶抽出液を直ちに20分間(3℃で10000g)遠心分離し、次いで、上清を、0.2μmのフィルターが取り付けられたNalgene(商標)濾過装置を使用してフィルター滅菌した。
【0091】
基準浸出液の製造
圧縮してない切り刻んだ葉の一部を流動層乾燥機を使用して乾燥させて(120℃の吸気温度で10分、次いで90℃の吸気温度で10分)、含水量9重量%の加工緑茶(グリーンリーフティー)を得た。このリーフティー2gの浸出液は、茶2gを沸かしたての湯200mlで2分間浸出させることにより調製した。
【0092】
結果
Table 1(表3)は、茶抽出液および基準浸出液中のカテキンの組成を示している。
【0093】
【表3】

【0094】
このデータは、緑茶抽出液のカテキン中のガレート型種の割合が、基準浸出液と比較して低いことを示している。さらに、緑茶抽出液は、基準浸出液と比較して高いテアニンとカフェインとの比を有する。
【0095】
(実施例2)
本実施例は、紅茶抽出液をブラックリーフティーと合わせる効果を示している。
【0096】
試料の製造
分析のためにリーフティーの3つの試料を調製した。試料Aは、市販のブラックリーフティーであった。試料Bは、緑茶抽出液(実施例1に記載のように製造した)182gをブラックリーフティー142gと合わせることにより調製した。試料Cは、緑茶抽出液250gをブラックリーフティー98gと合わせることにより調製した。試料BおよびCについて、抽出液をビーカー中の乾燥リーフティーに添加し、完全に混合した。ミックスを20℃で30分間平衡させ、流動層乾燥機を使用して乾燥させた(120℃の吸気温度で10分、次いで90℃の吸気温度で10分)。
【0097】
浸出液の製造
各リーフティーの浸出液は、各試料2gを沸かしたての湯200mlで2分間浸出させることにより調製した。
【0098】
結果
Table 2(表4)は、浸出液の組成を示している。
【0099】
【表4】

【0100】
これらの結果は、緑茶抽出液をブラックリーフティーと合わせることにより製造された茶製品(試料BおよびC)が、抽出液を添加せずにブラックリーフティーから製造されたもの(試料A)より高濃度の固形物、カテキンおよびテアニンを有する浸出液を製造するということを示している。さらに、これらの結果は、緑茶抽出液を添加した試料(試料BおよびC)が、そこから製造された浸出液中にブラックリーフティー(試料A)と比較して低い割合のガレート型カテキンを有し、浸出液のカフェイン濃度を増加させないということを示している。さらに、上記浸出液の色を分析したところ、3つの浸出液の間にごくわずかな色の違いが見られた。緑茶抽出液は、過剰な濃度のガレート型カテキンおよび/またはカフェイン(どちらも苦味が付随する)をもたらすことなくブラックリーフティー浸出液のカテキン含量を増加させ、一方で紅茶に期待される色を保持するのに使用することができる。
【0101】
(実施例3)
本実施例は、緑茶抽出液を発酵しているドールと合わせる効果を示している。
【0102】
抽出液の製造
新鮮な茶葉を約100℃で60秒間蒸して内因性酵素を不活性化し、したがって発酵を防止した。蒸した葉を、室温まで冷却し、野菜カッターを使用して切り刻んで、平均寸法が約0.5〜1cm2の切り刻んだ葉を得た。次いで、切り刻んだ葉を、油圧プレス(直径160mmのシリンダー内の葉500g質量に5トンをかけることにより、下向き圧力354psi(2.44MPa)が得られる)を使用して緑茶抽出液を圧搾した。緑茶抽出液の収率は22ml/葉100gであり、総固形物含量は8重量%であった。茶抽出液を直ちに20分間(3℃で10000g)遠心分離し、次いで、上清を、0.2μmのフィルターが取り付けられたNalgene(商標)濾過装置を使用してフィルター滅菌した。遠心分離および濾過後の茶抽出液の固形物含量は6重量%であった。
【0103】
リーフティーの製造
20℃で4時間萎凋されたCamellia sinensis var. assamicaの新鮮なケニア茶葉(一芯二葉)を使用した。萎凋された葉を、CTC(切る、引き裂く、丸める)機(ローラーは1インチ当たり6歯で各々1000rpmおよび100rpmの速度に設定)に2回供給する前に、野菜カッターを使用して切り刻んだ。次いで、新鮮なドールを2つの部分に分割した。第1の部分は、7:1のドールと水との重量比で脱イオン水と合わせた。第2の部分は、7:1のドールと抽出液との重量比で緑茶抽出液と合わせた。次いで、両方の部分を、Teacraft(商標)発酵装置を使用して25℃の温度で各々2時間発酵させた。次いで、各部分を流動層乾燥機で乾燥させてリーフティーを製造した。第1の部分(ドール+水)由来のリーフティーを試料Dと呼び、第2の部分(ドール+緑茶抽出液)由来のリーフティーを試料Eと呼んだ。
【0104】
結果
Table 3(表5)は、同一の浸出条件下でリーフティーから製造された浸出液の組成を示している。
【0105】
【表5】

【0106】
これらの結果は、発酵の開始時に緑茶抽出液を添加し、発酵プロセス(緑茶抽出液中のカテキンを酸化すると期待される)に曝したにもかかわらず、得られたリーフティーによりカテキン含量が増大した浸出液がさらに製造されたということを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)新鮮な一番茶葉から抽出液を圧搾し、それにより葉残渣および茶抽出液を製造するステップと、
b)新鮮な一番茶葉および/または茶抽出液に酵素不活性化処理を施し、それにより茶抽出液の発酵を防止するステップと、
c)酵素が不活性化している茶抽出液を発酵したまたは発酵している茶物質と合わせるステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(c)の茶抽出液を発酵リーフティーと合わせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、茶抽出液を発酵しているドールと合わせて混合物を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合物を焙じてリーフティーを製造する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
発酵したまたは発酵している茶物質が新鮮な二番茶葉に由来する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酵素不活性化処理が熱処理である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
d)葉残渣を加工してリーフティーを製造する
追加のステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法により得られる茶製品。
【請求項9】
ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40未満、好ましくは0.10〜0.35である、ポリフェノールを含む、請求項8に記載の茶製品。
【請求項10】
カテキンがガレート型カテキンおよび非ガレート型カテキンを含み、非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比が少なくとも1.2:1、好ましくは1.4:1〜20:1の範囲である、請求項9に記載の茶製品。
【請求項11】
テアニンおよびカフェインを少なくとも0.2:1の重量比で含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の茶製品。
【請求項12】
ポリフェノールを含む組成物であって、ポリフェノールがカテキンを含み、カテキンがガレート型カテキンおよび非ガレート型カテキンを含み、カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.40未満であり、非ガレート型カテキンとガレート型カテキンとの重量比が少なくとも1.2:1、好ましくは1.4:1〜20:1の範囲である、組成物。
【請求項13】
カテキンと総ポリフェノールとの重量比が0.10〜0.35である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリフェノールが、テアフラビン、テアルビギンまたはそれらの混合物を含む、請求項12または請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
テアニンおよびカフェインを少なくとも0.2:1の重量比で含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−504398(P2012−504398A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529540(P2011−529540)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062670
【国際公開番号】WO2010/037768
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】