説明

草刈機及び草刈用装着具

【課題】刈りムラの発生を抑制、又は草刈性能を向上することが可能な草刈機を提供すること。
【解決手段】車輪18a、18b、32a、32bと、主軸5と、主軸5を所定の回転速度で回転させるバッテリー2、モータ33及び駆動軸35と、主軸5の後方に配置され、主軸5と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃11と、主軸5の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、主軸5の回転を増幅して、回転刃11の回転刃軸11aを回転駆動させる回転増幅機構20とを備えた、草刈機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機及び草刈用装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理機を用いて草刈を行うために、管理機の走行輪用の車軸に草刈用の回転刃を着脱自在に取り付ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図14は、従来の電動管理機の構成を示す側面図である。図15は、図14のII´断面図である。1000Aは電動管理機を示しており、この電動管理機1000Aは、本体1000aの後部下側に刈り取り部1001を配設して構成されている。本体1000aは、上部に電動モータ1002を搭載し、下部にチエンケース1003が垂設されている。このチエンケース1003の下部両側に走行輪用の車軸1004が突設されている。図15に示すように、刈り取り部1001には、草刈刃支持機枠1005に回転刃1006及び固定刃1007が設けられており、図14に示すように、草刈刃支持機枠1005の後方には草収納袋1008が連結して配置されている。この回転刃1006は、車軸1004に、チエンケース1003を挟むように2つ配置されている。
【0004】
このように、従来の構成の電動管理機では、車軸1004に回転刃1006を取り付けることによって回転刃1006の回転で草が刈り取られる。
【0005】
一方、電動管理機の車軸に限らず、耕耘機の耕耘爪用の軸から耕耘爪を取り外し、その軸に草刈用の回転刃を設ける構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60−121728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図15に示すように、車軸1004の中央部分1004aにチエンケース1003が設けられているため、中央部分1004aには回転刃1006が設けられていない。そのため、中央部分1004aの下方の草を刈り取ることが出来ず、刈りムラが発生していた。
【0008】
又、車軸1004の回転と同じ回転速度で回転刃1006を回転させることになるが、草を刈り取るには低速過ぎるため、草刈性能が低かった。尚、耕耘爪用の軸に回転刃を取り付けた場合でも耕耘爪用の回転速度では低速すぎるため、同様に草刈性能が低かった。
【0009】
本発明は、上記従来の草刈機の課題を考慮し、刈りムラの発生を抑制、又は草刈性能を向上することが可能な草刈機及び草刈用装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
車輪と、
主軸と、
前記主軸を所定の回転速度で回転させる駆動部と、
前記主軸の後方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構とを備えた、草刈機である。
【0011】
これによって、主軸の幅全体に渡って草を刈ることが可能となり、刈りムラの発生を抑制することが出来る。
【0012】
又、第2の本発明は、
前記主軸は、耕耘機の耕耘爪用の軸であり、
前記回転速度は、耕耘用の回転速度である、第1の本発明の草刈機である。
【0013】
これによって、耕耘爪用の回転速度を草刈に適した高回転の速度に増幅されるため、草刈性能を向上することが出来る。
【0014】
又、第3の本発明は、
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備え、
前記伝動軸を前記主軸から外すことによって、前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃、前記回転増幅機構、及び前記保持体が一体となって外れる、第2の本発明の草刈機である。
【0015】
これにより、草刈機と耕耘機を簡単な操作で併用出来る。
【0016】
又、第4の本発明は、
前記回転増幅機構は、
前記伝動軸の回転が伝動され、前記回転刃軸に回転を伝動する中間軸を有し、
前記中間軸は、前記主軸の前側に配置され、
前記回転刃軸は、前記主軸の後側に配置されている、第1の本発明の草刈機である。
【0017】
これにより、回転増幅機構の前後の長さを短くし、機体全体をコンパクトにすることが出来る。
【0018】
又、第5の本発明は、
前記回転増幅機構は、
前記主軸と同軸上に設けられた第1プーリーと、
前記中間軸と同軸上に設けられた第2プーリーとを有し、
前記第1プーリーと、前記第2プーリーは、機体側面視において重なっている、第4の本発明の草刈機である。
【0019】
これにより、主軸の回転数に対して回転刃の回転数を大きくすることが出来る。又、第1プーリーと第2プーリーが重なるため、機体全体をコンパクトにすることが出来る。
【0020】
又、第6の本発明は、
前記第1プーリーから前記第2プーリーに回転を伝動するベルトは金属材料によって形成されており、
前記第2プーリーから前記回転刃軸に回転を伝動するベルトは樹脂材料によって形成されている、第5の本発明の草刈機である。
【0021】
これにより、回転刃に草等が詰まった場合であっても樹脂材料のベルトが滑るため、無理に回転することを防ぐことが出来、より安全である。
【0022】
又、第7の本発明は、
耕耘爪用の主軸と、前記主軸を所定の回転速度で回転させる駆動部を備えた耕耘機によって草刈を行うために前記耕耘機に着脱自在に装着される草刈用装着具であって、
車輪と、
前記主軸の後方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備えた、草刈用装着具である。
【0023】
これにより、耕耘機を簡単な操作で草刈機として使用することが出来る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、刈りムラの発生を抑制、又は草刈性能を向上することが可能な草刈機及び草刈用装着具を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における草刈機を前方から視た斜視構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における草刈機を後方から視た部分拡大斜視構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の側面図
【図4】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の底面図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における回転刃の斜視構成図
【図6】(a)本発明にかかる実施の形態1における草刈機の主軸と伝動軸の構成を説明するための斜視構成図、本発明にかかる実施の形態1における草刈機の主軸と伝動軸の連結を説明するための斜視構成図
【図7】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の主軸と伝動軸の連結を説明するための断面構成図
【図8】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の回転増幅機構の構成を説明するための図
【図9】本発明にかかる実施の形態1における草刈機から草刈部を取り外した状態を示す側面構成図
【図10】本発明にかかる実施の形態1における草刈機から草刈部を取り外した状態を示す背面構成図
【図11】本発明にかかる実施の形態1における草刈機に耕耘爪を取り付けた状態を示す側面構成図
【図12】本発明にかかる実施の形態1における草刈機に耕耘爪を取り付けた状態を示す部分拡大正面構成図
【図13】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の変形例を示す側面図
【図14】従来の管理機の斜視構成図
【図15】従来の管理機の断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる実施の形態における草刈機について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1における草刈機について説明する。本実施の形態の草刈機は、歩行型耕耘機の耕耘爪を取り外し、草刈用の回転刃を取り付けた構成である。
【0028】
図1は、本実施の形態1の草刈機1を前方から視た斜視構成図である。図2は、本実施の形態1の草刈機1を後方から視た部分拡大斜視構成図である。図3は、本実施の形態1の草刈機1の側面図である。図4は、本実施の形態1の草刈機1の底面図である。図に示すように、草刈機1には、バッテリー2を脱着可能に有する本体3が設けられている。この本体3には、その前側にバンパー31が設けられており、その後側に上方に向かって形成されたハンドル部4が設けられている。このハンドル部4には2つのグリップ41が設けられている。これら2つのグリップ41のうち一方のグリップ41には、後述する主軸5を回転駆動させるためのスイッチであるレバー42が設けられている。
【0029】
又、図2に示すように、本体3には、バッテリー2の前方にモータ33が内蔵されており、モータ33はモータカバー34によって覆われている。
【0030】
又、本体3の下側には下方に向かって伝動部6が設けられており、伝動部6の下部6aには主軸5が貫通して設けられている(図3及び図4参照)。この伝動部6は、モータ33の動力を主軸5に伝達する駆動軸35を内装するケースである(図2参照)。そして、図4に示すように主軸5は、伝動部6の左右両側に延びるように構成されている。このように主軸5の軸方向が前後方向に垂直、且つ地面に水平になるように設けられており、バッテリー2の電力を用いてモータ33が回転し、その回転が伝動部6内の駆動軸35によって主軸5に伝達され、主軸5が回転する。尚、前後とは、草刈機1を動作させる際の進行方向を基準にしたものである。
【0031】
図3に示すように、伝動部6には、2つのボルト81によって主支持部8が固定されており、この主支持部8は伝動部6の後側に配置されている。この主支持部8には、その後側に運搬用車輪91が設けられている運搬用車輪支持部9が連結されている。主支持部8との連結部分を中心に、運搬用車輪支持部9を下方に回動させることにより、運搬用車輪91は地面に接する(後述する図11の点線矢印参照)が、本実施の形態では使用されないため、上方に退避されている。また、運搬用車輪支持部9には抵抗棒92が設けられている。この抵抗棒92は、耕耘機として用いる際に土を掘り返す深さを調節するためのものである。
【0032】
そして、図1に示すように、草刈機1の下部には、草刈部7が設けられており、主軸5と連結されている。
【0033】
次に、本発明の草刈用装着具の一例である草刈部7について説明する。
【0034】
本実施の形態の草刈部7には、主軸5の両側に保持体10a、10bが設けられている。これら2つの保持体10a、10bの間であって、主軸5の後側に主軸5と平行に回転刃11が設けられている。図5は、回転刃11の斜視構成図である。図5に示すように、回転刃11は、平行に配置された3つの円盤形状部材111と、3つの円盤形状部材111に渡って設けられている4枚の刃112を有している。3つの円盤形状部材111は、その平面が草刈機1の前後方向と平行であり、地面に垂直になるように配置されている。また円盤形状部材111には、その平面に対して垂直に回転刃軸11aが設けられている。尚、回転刃軸11aは、両端の円盤形状部材111から外側の部分のみ設けられていてもよい。
【0035】
図1に示す2つの保持体10a、10bのうち、一方の保持体10aの内側には、主軸5の回転を増幅して回転刃軸11aに伝動する回転増幅機構20が設けられている。この回転増幅機構20については後述する。回転刃11の後側には、回転刃11によって刈り取られた草が集められる集草容器12が配置されている。また、図2及び図3に示すように、回転刃11の上方を覆うようにカバー13が設けられており、草は、カバー13の下側に入り、回転刃11によって刈り取られて、集草容器12へと集められる。
【0036】
図1〜図3に示すように、2つの保持体10a、10bの間には、3つの支持棒14、15、16が設けられ、保持体10a、10bは支持棒14、15、16によって互いに固定されている。そして、図1及び図3に示すように前側の支持棒14、15の両端には前輪支持部材17a、17bが取り付けられており、2つの前輪支持部材17a、17bの先端に軸18cが設けられている。この軸18cの両端に前輪18a、18bが配置されている。一方、図2及び図3に示すように、後側の支持棒16と、運搬用車輪支持部9の間には、草刈部7を本体3に固定するために草刈部補助支持部19が設けられている。この草刈部補助支持部19は、下端部分が支持棒16によって貫通されており、上端部分がボルト191によって運搬用車輪支持部9に固定されている。
【0037】
また、保持体10a、10bの後端部分には、それぞれ後輪32a、32bが回転可能に取り付けられている。
【0038】
図4の底面構成図に示すように、主軸5の回転を回転増幅機構20に伝えるために伝動軸21が、主軸5の両端に設けられている。図6(a)は伝動軸21及び主軸5の端部分の斜視構成図であり、図6(b)は、伝動軸21と主軸5との接続状態を示す斜視構成図である。また、図7は、伝動軸21が保持体10aに支持されている状態を示す平面構成図である。図6(a)に示すように、伝動軸21は、円柱形状の軸部211と、長手方向に対して垂直な断面形状がコの字形状である接続部212によって構成されている。この接続部212には2つの貫通孔213、214が形成されている。この貫通孔213、214は、それぞれコの字形状の対向する2つの壁面を貫通するように形成されている。一方、この貫通孔213、214と同じ間隔で、主軸5の端部分にも貫通孔51、52が形成されている。そして、図6(a)、(b)に示すように、接続部212のコの字状部分に嵌るように主軸5を配置し、貫通孔213及び貫通孔51を通してピン22が挿入され、貫通孔214及び貫通孔52を通してピン23が挿入される。このピン22、23によって、主軸5と伝動軸21は互いに固定される。図7に示すように、伝動軸21の軸部211は、保持体10aの側面に設けられたベアリング30の内側に挿入して配置されている。そして、軸部211には、回転増幅機構20の一部である伝動軸プーリー24が配置されている。
【0039】
図8は、保持体10aの内部に保持されている回転増幅機構20の構成を示す図である。矢印の方向が草刈機使用時の前進方向を示している。図に示すように、伝動軸プーリー24の前側には、中間軸25が設けられており、この中間軸25には、中間軸プーリー26が設けられている。この中間軸プーリー26は、径が大きい大径部26aと、径が小さい小径部26bとを有しており、中間軸25に対して回転自在に取り付けられている。そして、回転刃軸11aには回転刃軸プーリー27が取り付けられている。このように、前側から中間軸25,伝動軸21、及び回転刃軸11aの順に配置されており、伝動軸プーリー24と中間軸プーリー26の大径部26aは、図中(すなわち、機体の側面視)において一部が重なるように配置されている(図8中P部参照)。
【0040】
この伝動軸プーリー24と中間軸プーリー26の小径部26bの間には、金属材料で形成されたベルト28(例えば、チェーン)が配置されている。また、中間軸プーリー26の大径部26aと回転刃軸プーリー27の間には、樹脂材料で形成されたベルト29が配置されている。そして、図に示すように、伝動軸プーリー24は中間軸プーリー26の小径部26bよりも直径が大きく、中間軸プーリー26の大径部26aは回転刃軸プーリー27よりも直径が大きくなるように形成されている。
【0041】
すなわち、回転増幅機構20は、伝動軸プーリー24、ベルト28、中間軸プーリー26の小径部26b、中間軸プーリー26の大径部26a、ベルト29及び回転刃軸プーリー27によって構成されており、主軸5の回転速度が増幅されて回転刃軸11aへと伝動されることになる。尚、本実施の形態では、回転刃軸11aの回転速度は2000rpm程度に設定されており、主軸5の回転速度は100rpm程度に設定されている。この主軸の回転速度100rpmは、本発明の所定の回転速度の一例に相当する。
【0042】
又、保持体10bには、保持体10b側の伝動軸21と、回転刃軸11aの軸受けが設けられている(図示せず)。
【0043】
尚、本発明の車輪の一例は、本実施の形態の前輪18a、18b及び後輪32a、32bに相当し、本発明の主軸の一例は、本実施の形態の主軸5に相当する。本発明の駆動部の一例は、本実施の形態のバッテリー2、モータ33及び駆動軸35に相当し、本発明の回転刃の一例は、本実施の形態の回転刃11に相当する。本発明の回転増幅機構の一例は、本実施の形態の回転増幅機構20に相当する。本発明の連結具の一例は、ピン22、23に相当する。本発明の第1プーリーの一例は、本実施の形態の伝動軸プーリー24に相当し、本発明の第2プーリーの一例は、本実施の形態の中間軸プーリー26に相当する。
【0044】
次に、本実施の形態の草刈機1の動作について説明する。
【0045】
本体3に設けられている電源スイッチ(図示せず)をオンにする。そして、レバー42を握ることによりバッテリー2の電力によってモータ33が回転し、主軸5が回転する。ここで図6(b)及び図7に示すように、伝動軸21は主軸5とピン22、23によって固定されているため、主軸5の回転に従って回転することになる。
【0046】
そして、伝動軸21の回転は、伝動軸プーリー24、ベルト28、中間軸プーリー26、ベルト29、及び回転刃軸プーリー27を介して回転刃軸11aへと伝動される。ここで、主軸5の回転は、上述したように回転増幅機構20を介して回転刃11に伝動されるため、回転刃11の回転速度は主軸5の回転速度よりも速くなる。
【0047】
このように、回転刃11が回転した状態で、草刈機1を前進させることによって、草を刈ることが出来る。尚、回転刃11によって刈られた草は、回転刃11の回転によって集草容器12へと集められる。
【0048】
次に、草刈部7を草刈機1から取り外す方法について説明する。
【0049】
図9は、本実施の形態1の草刈機1から草刈部7を取り外した状態を示す側面図である。図10は、本実施の形態1の草刈機1から草刈部7を取り外した状態を示す背面図である。
【0050】
図6(b)で説明したピン22、23を伝動軸21及び主軸5から引き抜くことによって、主軸5と、その両端に配置されている伝動軸21の固定が解除される。更に、ボルト191を取り外すことによって、図1及び図2に示す草刈部補助支持部19と運搬用車輪支持部9の固定が解除される。これらの固定の解除によって、図9及び図10に示すように、草刈機1から草刈部7が取り外される。
【0051】
そして、主軸5の伝動部6の下部6aの両側に耕耘機用の爪を取り付けることによって、本実施の形態1の草刈機1を耕耘機として用いることが出来る。図11は、主軸5に耕耘爪40を取り付けた状態を示す側面構成図である。図12は、主軸5及び耕耘爪40近傍を拡大した正面構成図である。図12に示すように、耕耘爪40は、内爪401と外爪402とを有しており、外爪402の外側には外輪403が設けられている。これら内爪401及び外爪402は主軸5にピン(図示せず)などによって固定されている。尚、図11では、運搬用車輪支持部9は、降ろされているが、耕耘作業を行う際には、上方に挙げられ抵抗棒92のみ下方に降ろされる。
【0052】
尚、本実施の形態では、耕耘機の耕耘爪を取り外し、草刈用の回転刃を取り付けた構成として説明したが、管理機の車輪を取り外し、草刈用の回転刃を取り付けた構成であってもよく、その場合、主軸5には、耕耘爪の代わりに、その両端に車輪が取り付けられる。又、管理機として使用する場合であっても、主軸5に耕耘爪を取り付けて耕耘用として用いても良い。すなわち、本実施の形態の草刈機は、管理機の車輪又は耕耘爪を取り外して、草刈用の回転刃を取り付けた構成としても実施出来る。
【0053】
以上のように、本実施の形態の草刈機1では、回転刃11が主軸5と実質上同じ幅分設けられているので、従来のように、主軸に回転刃を取り付けた場合と比較して、主軸の中央部分の下方の草も刈り取ることが出来、刈り取りムラの発生を抑制することが出来る。
【0054】
又、耕耘機、管理機等としても使用するため、主軸5の回転速度は、耕耘用の回転速度又は車輪用の回転速度となっているが、主軸5の回転速度を増幅して回転刃11を回転させているため、回転刃11の回転速度は草刈に見合った速度となり、草刈性能を向上させることが出来る。
【0055】
又、本実施の形態の草刈機では、草刈部7を簡単に取り外すことが出来るため、草刈機と耕耘機又は管理機を簡単な操作で併用することが出来る。
【0056】
また、中間軸プーリー26の大径部26aと伝動軸プーリー24の一部が重なっているため、保持体10aの前後方向の長さを短くすることが出来、小型化を図ることが可能となる。
【0057】
また、ベルト29として樹脂材料で形成されたベルトを用いることによって、回転刃が詰まった時等にはベルト29と回転刃軸プーリー27の間で滑りが発生し、回転刃11が無理に回転しないため、より安全である。
【0058】
また、左右両側の保持体10a、10bの内側に回転刃11が配置されているため、刈られた草が左右に飛び散ることを防ぐことが出来る。
【0059】
また、回転刃11の前側には、保持体10a、10bに囲まれてスペースが設けられているため、軸18c等によって草が倒されても再度起きあがるので、立った状態で草を刈ることが可能となり、効率良く草を刈ることが出来る。
【0060】
尚、本実施の形態では、草刈機1から草刈部7が取り外し可能に構成されていたが、草刈部7を取り外すことが出来なくても良い。この場合、草刈専用の機械として用いられ、伝動軸21が設けられている必要はなく、主軸5が保持体10a内に直接挿入され、主軸5にプーリーが直接取り付けられていればよい。更に、運搬用車輪支持部9、運搬用車輪91、及び抵抗棒92も設けられていなくても良い。
【0061】
又、本実施の形態では、草刈部7を本体3に固定するために、主軸5と伝動軸21間の固定だけでなく、草刈部補助支持部19が設けられていたが、草刈部補助支持部19が設けられていなくても良い。但し、強度の面からは草刈部補助支持部19が設けられている方がより好ましい。又、草刈部補助支持部19の本体3側の固定位置は、運搬用車輪支持部9に限らず、主支持部8に設けられていても良い。
【0062】
又、本実施の形態の回転増幅機構20では、前側から中間軸25、伝動軸21及び回転刃軸11aの順に配置されているが、この順番に限らなくても良く、例えば、伝動軸21、中間軸25及び回転刃軸11aの順番に配置されていてもよい。更に、伝動軸プーリー24と中間軸プーリー26の一部が重なっていなくても良い。
【0063】
又、回転速度が十分に増幅出来る場合には、中間軸25及び中間軸プーリー26が設けられていなくても良い。
【0064】
又、本実施の形態では、ベルト28は金属材料から形成されており、ベルト29は樹脂材料から形成されているが、これに限られるものではない。但し、上述したように草を巻き込んだ場合等を考慮すると、安全性の面からはベルト29は樹脂製の方が好ましい。
【0065】
又、本実施の形態では、回転刃11の上側だけでなく前側まで覆うようなカバー13が設けられているが、図13に示すように、回転刃11の上側だけ覆うようなカバー13´が設けられていても良い。このようなカバー13´の方が、カバー13に比べて回転刃11に草を巻き込み易くなるため、草刈の効率が良い。
【0066】
又、本実施の形態では、歩行型の草刈機を用いて説明したが、歩行型に限らなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の草刈機及び草刈用装着具によれば、刈りムラの発生、又は草刈性能を向上することが可能な効果を有し、草刈に使用可能な管理機及び耕耘機などとして有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 草刈機
2 バッテリー
3 本体
4 ハンドル部
5 主軸
6 伝動部
7 草刈部
8 主支持部
9 運搬用車輪支持部
10a、10b 保持体
11 回転刃
12 集草容器
13 カバー
14、15、16 支持棒
17a、17b 前輪支持部材
18a、18b 前輪
19 草刈部補助支持部
20 回転増幅機構
21 伝動軸
22、23 ピン
24 伝動軸プーリー
25 中間軸
26 中間軸プーリー
27 回転刃軸プーリー
28、29 ベルト
30 ベアリング
31 バンパー
32a、32b 後輪
33 モータ
34 モータカバー
35 駆動軸
40 耕耘爪
41 グリップ
42 レバー
51、52 貫通孔
81、191 ボルト
91 運搬用車輪
92 抵抗棒
111 円盤形状部材
112 刃
211 軸部
212 接続部
213、214 貫通孔
401 内爪
402 外爪
403 外輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
主軸と、
前記主軸を所定の回転速度で回転させる駆動部と、
前記主軸の後方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構とを備えた、草刈機。
【請求項2】
前記主軸は、耕耘機の耕耘爪用の軸であり、
前記回転速度は、耕耘用の回転速度である、請求項1記載の草刈機。
【請求項3】
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備え、
前記伝動軸を前記主軸から外すことによって、前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃、前記回転増幅機構、及び前記保持体が一体となって外れる、請求項2記載の草刈機。
【請求項4】
前記回転増幅機構は、
前記伝動軸の回転が伝動され、前記回転刃軸に回転を伝動する中間軸を有し、
前記中間軸は、前記主軸の前側に配置され、
前記回転刃軸は、前記主軸の後側に配置されている、請求項1記載の草刈機。
【請求項5】
前記回転増幅機構は、
前記主軸と同軸上に設けられた第1プーリーと、
前記中間軸と同軸上に設けられた第2プーリーとを有し、
前記第1プーリーと、前記第2プーリーは、機体側面視において重なっている、請求項4記載の草刈機。
【請求項6】
前記第1プーリーから前記第2プーリーに回転を伝動するベルトは金属材料によって形成されており、
前記第2プーリーから前記回転刃軸に回転を伝動するベルトは樹脂材料によって形成されている、請求項5記載の草刈機。
【請求項7】
耕耘爪用の主軸と、前記主軸を所定の回転速度で回転させる駆動部を備えた耕耘機によって草刈を行うために前記耕耘機に着脱自在に装着される草刈用装着具であって、
車輪と、
前記主軸の後方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備えた、草刈用装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−16302(P2012−16302A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154519(P2010−154519)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000147693)株式会社石井製作所 (17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】