説明

草刈機用刈刃装置

【課題】 小石や空き缶を飛散させたり、支柱などを傷つけたり、刃先部分の磨耗や損傷等を未然に防止し、安全かつ労働力の軽減を計り、経済的、合理的な草刈機用の刈刃を提供する。
【解決手段】 草刈機本体からなるパイプP先端に駆動連繋部材Gを設け、駆動連繋部材Gの先端にピッチaを有するコイルばね状に形成した外枠となる内側縁面10に受刃4を設けた固定刃2と、この固定刃2の内部にピッチbを有するコイルばね状に形成した内枠となる外側縁面11に、切刃5を設けた可動刃3で構成し、固定刃2の中心と可動刃3の回転中心fを一致させ、固定刃2に設けた受刃4と可動刃3に設けた切刃5が回転摺動接点cで回転摺動する。固定刃2及び可動刃3の棒材は、受刃4又は切刃5となる鋭角頂辺を有する湾曲面或は平坦面を備えた断面で多角形状を呈して、固定刃2を容易に嵌合部8より着脱交換可能に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り用草刈機の刈刃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、草刈機の刈刃装置の形状は、円盤状であり外周部に刈刃用チップが埋め込まれている。
【0003】
しかし、刈刃が露出した回転運動のため、回転刈刃に空き缶、小石などが接触して飛散したり、回転刈刃の上下左右の移動時に、地面に接触して不意の不測動作による著しい損傷、急激な磨耗が発生し回転刈刃のバランスが悪くなり危険である。また、著しい振動が発生して使用不能となる。
【特許文献】特開2000−12
【非特許文献1】富士ロビン株式会社 ラーニー総合カタログ 平成16年、p.1 p.13
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、回転刈刃との接触による空き缶、小石などの飛散、回転刈刃の上下左右の移動での地面との接触による、不意の不測動作からなる著しい損傷、急激な磨耗を取り除く必要がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、刈面に刈刃装置を接触させても、回転刈刃の接触による飛散、不意の不測動作による著しい損傷、急激な磨耗を防止し、斜面での刈払機の作業動作を減少することにより、安全かつ労働の軽減を計り、経済的、合理的な草刈り等を実現する草刈機の刈刃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項に係る発明は、ピッチaを有するコイルばね状に形成した外枠となる内側縁面10に受刃4を設けた固定刃2と、この固定刃2の内部にピッチbを有するコイルばね状に形成した内枠となる外側縁面11に、切刃5を設けた可動刃3で構成し、固定刃2の中心と可動刃3の回転中心fと一致させ、固定刃2に設けた受刃4と可動刃3に設けた切刃5が回転摺動接点cで回転摺動することにより、草木等の被切断物を挟み切るように構成し、固定刃2及び可動刃3の棒材は、受刃4又は、切刃5となる鋭角頂辺を有する湾曲面或は、平坦面を備えた断面で多角形状を呈して、固定刃2を容易に着脱交換可能に形成し或は、固定刃2の内側縁面10と外側縁面11との棒材の厚みとなる正面断面形状を楕円状に形成する。また、鋼性素材製の固定刃2及び可動刃3を柔軟体の軟性素材製に形成する。さらに、固定刃2が自転、或は刈刃体1に車輪等を設け自走できるように形成することを特徴とする。
【0007】
以上のように構成された本発明に係る草刈機用刈刃装置において、外枠の鋼性素材製からなる固定刃2のピッチa間から、内枠の鋼性素材製からなる可動刃3のピッチb間に草木等が挿入され、固定刃2の受刃4と可動刃3の切刃5の回転摺動により草木等を挟み切ることができる。なお、固定刃2のピッチaと可動刃3のピッチbが異なることにより、切刃5が固定刃2の受刃4との回転摺動接点cより突出しないようにすることで、受刃4と切刃5との食い込み磨耗を防止する。また、固定刃2と可動刃3となる棒材のコイルばねの巻き方向を同一方向とし、可動刃3の回転は左右どちらでも良いが、駆動連繋部材Gであるギアボックス或は、フレキシブルシャフト等より刈刃体1の先端方向に向って、草木等が排出できる回転にすることで、刈刃体1の先端より切断した草木等を排出することができる。また、内枠にピッチbを有する複数の可動刃3を構成し、例えば、可動刃1が2本の場合の位相角度は180°、可動刃3が3本の場合の位相角度は120°とすることで、回転振動等のバランスを向上させ、可動刃3の切刃5を複数設けることにより、草木等をより細かく刈込みすることができる。さらに、回転摺動する可動刃3は、従来の回転円盤形刈刃より可動刃3の外形が小さいため同出力の原動機Mに取付けた場合、切断抵抗の大きい物或は、低回転でも草木等の切断をよりスムーズに切断することができる。尚、受刃4と切刃5は、可動刃3の回転方向に応じて、例えば固定刃2の内側縁面10の右側に受刃4を設け、可動刃3は外側縁面11の左側に切刃5を設けることで回転摺動接点cが生じる。さらに、受刃4と切刃5にチップソーを埋め込むことにより切断能力がより向上する。また、安定した回転摺動と刈刃体1の伸縮変形を防止するために固定刃2には、可動刃3への草木等の挿入の阻害とならない位置に補強材6を設け、可動刃3は円筒状或は、円筒格子状等の補強材7にコイルばね状の可動刃3を設けることで、固定刃2と可動刃3の伸縮変形を防ぐことができ、固定刃2を格子状等にすることで、刈込み後の草木等を刈刃体1先端内部からの排出でスムーズとなる。
【0008】
固定刃2及び可動刃3となる鋼性素材製の断面形状は、通常円形のコイルばね状であるが受刃4又は、切刃5を設けるために鋭角頂辺を有する湾曲面或は、平坦面を備えた断面で多角形状とし、受刃4となる固定刃2の外側縁面はピッチa内に草木等を効率よく収集できる断面形状とする。
【0009】
固定刃2の断面形状の内側縁面10と外側縁面11間の厚みを、ミリ単位の刈込み高hの段階ごとに形成した固定刃2を数種類設け、容易に着脱交換可能な嵌合部により構成した固定刃2或は、固定刃2の正面形状を内側縁面10は円形とし、外側縁面11を厚みを変化させる楕円状に形成し、刈込み高hに応じて無段階に回転させ、地面gと回転摺動接点c間に厚みの変化を生じさせることにより、草木等の刈面eとの刈込み高hの調整を行うことができる。
【0010】
固定刃2及び可動刃4を柔軟体の軟性素材製に形成することによって、起伏刈面或は、湾曲刈面等に対して刈刃体1を密着な状態にすることで、草木等の刈込み高hを一定にすることができる。
【0011】
刈刃体1を大型化することにより、刈刃体1の先端の移動が困難となり、刈刃体1の伸縮変形及び駆動連繋部材Gの破損に繋がるので、固定刃2が自転自走或は、刈刃体1の先端に車輪を設けて自走できるようにすることで、河川等の法面の長い草木等の刈込みをすることができる。なお、可動刃3の原動機Mとして油圧モーター等で構成し、移動手段としては、大型重機械等に係合し移動することで作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明においては、回転摺動の場合刈刃の回転周期が短いため、切断抵抗の大きい物を切断する際に、回転数の低下が大きく生じることはなく、回転摺動の速度がほぼ一定になり、摺動運動の速度がより安定するようになるので、草木等をよりスムーズに切断することができ、かつエネルギーの利用効率もより高くなるという利点がある。また、草刈姿勢は刈刃体1を持ち上げておく必要がなく、刈面eに対して刈刃体1を引きずる動作によって、草木等を切断することができ、刈刃体1の接触による他物の飛散、急激な磨耗を軽減し、それらからの跳ね返ったり等の危険性を除去でき、安全に作業を続行できるものである。さらに刈面e或は、地面gに刈刃体1を接触させた状態での作業のため、振動による身体への機能障害を減少でき、長時間での作業が可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明においては、固定刃2の外側縁面を鋭角或は、湾曲にすることで草木等の収集力が向上し、刈込み力を大きく強化させるものとなり、極めて能率的な作業を遂行できる。
【0014】
請求項3及び請求項4に係る発明においては、外枠の固定刃2の厚みを異なる固定刃2に交換する。或は、固定刃2を回転角度の厚みの変化により、刈込み高hを無段階変則に調整でることにより、刈込み過ぎ、刈込み斑を無くし、刈面eに刈刃体1を振り滑らすことで固定刃2の地面gとの厚みに応じて均等に草木等を切断することができる。
【0015】
請求項5に係る発明においては、凹凸面、湾局面等さまざまな刈面形状に順応した軟性素材製の柔軟体であり、刈刃体の長さlを交換することで、刈込み幅wが長くなるので作業動作を縮小できる。
【0016】
請求項6に係る発明においては、上記記載の請求項1及び請求項5において、刈刃体1の大型化に伴い、固定刃2が自転、或は刈刃体1に車輪等を設け油圧モーター等により自走でき、大型重機械等に係合することで、刈込み力を大きく強化させ一層円滑に草刈作業を行い、経済的、合理的な草刈が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】
ハンディタイプの草刈機等に使用される草刈機用刈刃装置において、図1に示すように、草刈機本体のパイプPの後端にケーシングされて取付けられた、エンジンまたは電動機等の原動機Mによって、パイプPの先端に駆動連繋部材Gとしてギアケース又は、フレキシブルシャフト等を介して本発明に係る草刈機用の刈刃体1を装着し回転されるようになっている。刈刃体1の固定刃2はパイプPの先端に設けた駆動連繋部材Gに固着され、可動刃3は駆動連繋部材Gの回転軸に嵌合している。
【0019】
上記、草刈機の駆動連繋部材Gの先端部には、図2に示すように刈刃体1を構成する固定刃2と可動刃3が配置され、固定刃2の中心を可動刃3の回転中心と一致させて、刈刃体1となる外枠の固定刃2は、ピッチaを有するコイルばね状に形成されており、棒材の内側縁面10に受刃4が設けられる。次に、内枠となる可動刃3は、ピッチbを有するコイルばね状に形成されており、外側縁面11に切刃5を設け固定刃2の内部に挿入されている。
【0020】
また、刈刃体1は図3に示すように、固定刃2の内側縁面10に設けた受刃4と可動刃3の外側縁面11に設けた切刃5の、ピッチaからピッチbに草木を誘い込み、回転摺動接点cにおいて切断される。固定刃2のピッチaと可動刃3のピッチbは、棒材の外径が互いのピッチより小さい外径のときは、同ピッチとならないピッチとし、例えばピッチaが1ピッチのときピッチbは2ピッチとなるように変化させることで、可動刃3の切刃5と固定刃2の受刃4が互いのピッチに脱落することを防止する。さらに、固定刃2と可動刃3のコイルばねの巻き方向を同方向にすることにより、草木等を両ピッチ内に誘い易くなっている。また、可動刃3の回転方向は左右回転どちらでもよいが、回転方向により受刃4と切刃5の取付位置が変わり、例えばコイルばね状に巻かれた可動刃3が遠心力により、コイルばねが膨む回転方向に併せたコイルばねの巻き方向とすることで、可動刃3と固定刃2の回転摺動接点cがより密着する。さらに、例えばコイルばね状に巻かれた可動刃3が、切断された草木等を可動刃3の内部より、刈刃体1の先端より排出できる回転方向が望ましく、草木等による刈刃体1の目ずまりを防止する。
【0021】
図4は、複数の可動刃3を構成する単線図であり、(A)図は2本の可動刃3aと3bの位置関係を位相角度180°として、(B)図は3本の可動刃3cと3dと3eの位置関係を位相角度120°とすることで、回転振動等を減少させ草木等をより細かく切断する。
【0022】
固定刃2及び可動刃3は、図6に示すように、好ましくは高度が高い例えば超合金製等の形成されており、例えばチップソー等の所定形状の受刃4または切刃5が形成されている。また、固定刃2及び可動刃3の断面形状を例示的に説明すると、(A)(B)(C)(D)にあっては、回転摺動接点cにおいて縁面に取付けられた鋭角頂辺となる受刃4と切刃5が互いに交差する。(A)(B)(C)は固定刃2の外側縁面12の断面を、草木等の収集を誘い込み易い面となっている。いずれにしてもこの固定刃2及び可動刃3の棒材の断面形状は、特に限定されるものではく、刈面上で受刃4と切刃5が回転摺動することによって、草木等を刈込み切断させる構成になっていれば良いものである。
【0023】
固定刃2及び可動刃3の補強材の形状を例示的に図5で説明すると、固定刃2の補強材形状は、固定刃2及び可動刃3の両ピッチへの草木等の進入の阻害とならない刈刃体1の進行方向の反対側部又は上部に設ける。他に例えば円筒形格子状を固定刃2と兼ねる補強材として設ける。また、可動刃3は円筒状の補強材13の外側周面にコイルばね状の可動刃3を設ける。或は、草木等の刈込み後の排出をよくするために、円筒格子状等の補強材13を設けることで刈刃体1の伸縮変形を防止する。
【0024】
また、図2及び図5の刈刃体1の長さlを刈面eの刈込み幅wに合わせて、刈刃体1を数種類設け駆動連繋部材Gとして、例えばギアケース或はフレキシブルシャフト等において、例えばカップリング又はネジ止め等で嵌合部より、容易に交換可能に構成することで、従来の円盤型回転刃或はチップソーに比べて、一動作において刈刃体1の長lに応じて、数倍の刈面eを刈込み切断できる。
【0025】
図7は、本発明の固定刃2の別の実施例を示す正面断面図である。この実施例では固定刃2の受刃4を設けた内側縁面10の形状は円形とし、外側縁面11の形状を内側縁面10と外側縁面11との厚みを回転変化できる楕円形状に形成し、固定刃2の中心を可動刃3の回転中心fと一致させ、無段階で正逆回転dでき例えば刈込み高hは、hと90°づつ回転させることにより、地面g間との厚みを変化させることで刈込み高hの調整を行うことができる。また、図1記載の刈刃体1の先端又は、刈刃体1の駆動連繋部材G側の後端或は、刈刃体1の両端に、上記記載の無段階の刈込み高調整機能を有する枠体で、刈刃体1を覆う構成において、草木等の刈込み高hの調整ができる。
【0026】
図8は、湾曲刈面或は、起伏刈面等において、刈刃体1を長尺に形成し、柔軟体の軟性素材製にて構成する。例えば可動刃3内部側にピッチを有しないコイルばね状の内部材に可動刃3となるピッチbを有するコイルばね状を設けることにより、長い刈面eに柔軟な刈刃体1を馴染ませることができる。
【0027】
図9は、刈刃体1の先端及び後端に自転、自走できる車輪13等を設け、油圧モーター等により駆動し、大型重機械等により係合して、河川等の法面の長い草木等の刈込み能力が増大する一方、刈込み動作を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明を実施するための最良の形態における使用状態の側面図である。
【図2】 本発明の一実施例に用いられる固定刃と可動刃の一部分単線による(A)は側面図(B)正面図である。
【図3】 同上の要部断面図である。
【図4】 同上の複数の可動刃を構成する(A)正面及び(B)側面の単線図である。
【図5】 同上の補強材を設けた(A)側面及び(B)正面の要部断面図である。
【図6】 同上にてこれの(A)(B)(C)(D)夫々は固定刃及び可動刃の形態を示す要部断面図である。
【図7】 本発明の他の実施例に用いられる正面の要部断面図である。
【図8】 本発明の他の実施例に用いられる側面図である。
【図9】 本発明の他の実施形態に用いられる側面図である。
【符号の説明】
【0029】
M 原動機 H ハンドル
P パイプ G 駆動連繋部材
a 固定刃ピッチ b 可動刃ピッチ
c 回転摺動接点 d 回転方向
e 刈面 f 回転中心
g 地面 h 刈込み高 h
l 刈刃体の長さ
1 刈刃体 2 固定刃
3 可動刃 4 受刃
5 切刃 6 固定刃の補強材
7 可動刃の補強材 8 固定刃の嵌合部
9 可動刃の嵌合部 10 固定刃の内側縁面
11 可動刃の外側縁面 12 固定刃の外側縁面
13 車輪 14 固定刃の刈込み高調整方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチを有するコイルばね状に形成した外枠の内側縁面に、受刃を設けた固定刃と、この固定刃の内部にピッチを有するコイルばね状に形成した内枠の外側縁面に、切刃を設けた可動刃で構成し、固定刃の中心と可動刃の回転中心を一致させ、可動刃に設けた切刃が固定刃の受刃と回転摺動することを特徴とする草刈機用刈刃装置。
【請求項2】
固定刃及び可動刃となる棒材は、受刃又は切刃となる鋭角頂辺を有する湾曲面或は、平坦面を備えた断面で多角形状を呈していることを特徴とする請求項1記載の草刈機用刈刃装置。
【請求項3】
固定刃を容易に着脱交換可能な嵌合部を形成することを特徴とする請求項1記載の草刈機用刈刃装置。
【請求項4】
固定刃の外側縁面と内側縁面との厚みを変化させ、正面断面形状を楕円状に形成することを特徴とする請求項1記載の草刈機用刈刃装置。
【請求項5】
固定刃及び可動刃の材質を柔軟体の軟性素材製に形成することを特徴とする請求項1記載の草刈機用刈刃装置。
【請求項6】
固定刃が自転自走或は、刈刃体の先端に車輪を設けて自走できるように形成することを特徴とする請求項1記載の草刈機用刈刃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−280351(P2006−280351A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130369(P2005−130369)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(594040682)
【Fターム(参考)】