説明

荷役物搬送装置

【課題】大きな設置スペースを必要とせず、設備コストが少ない、常に作業者が操作する必要がなく、ジブクレーンとロボットの動作を同期させるための特別な制御が必要なくロボットに過大な負荷がかかるリスクが少ない荷役物搬送装置を提供。
【解決手段】それぞれ床30に固定された、荷役物搬送用バランサーアーム 6と、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボット 7と、からなり、バランサーアーム 3を駆動するエアーシリンダ 4の圧力は、ハンド装置 2が把持する荷役物 1の荷重に応じて調節されるようにされ、ロボット 7の先端とバランサーアーム 3先端のハンド装置 2とを結合又は固着させ、ロボット 7を作動させてバランサーアーム 3の先端を動かしてハンド装置 2を作動させて荷役物 1を把持し、搬送するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本発明は、荷役物をを把持し、搬送する荷役物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業、運輸業の中では、さまざまな搬送作業が行われている。これらの中で、繰り返し行われる作業や、重量物の搬送作業は、作業者で行うには負担が大きく、また労務費がかさむため、さまざまな形態の自動搬送装置や自動積載装置、ロボットなどを活用して、自動化し、無人化・省人化が進められている。
また、製品種類が多く、さまざまな寸法や特性の製品を取り扱う工程や、製造ロットが小さい場合、製品荷姿など多種に渡る場合などで、自動化が行いにくいケースにおいては、例えば特許文献1に示すようなバランサーアームやジブクレーンを使った省力化が行われている。特許文献1に示すバランサーアームでは、床に固定された基台に回転可能に支持されたバランサーアームと、このバランサーアームの先端に搭載された荷役物を機械的クランプ、真空圧吸着又は磁気吸着により把持するハンド装置と、前記バランサーアームを駆動するエアーシリンダと、このエアーシリンダを制御する為の電空比例弁又は圧力切替弁及びその制御装置を含む制御部と、有する荷役物搬送用バランサーアームが開示されている。かかる荷役物搬送用バランサーアームでは、バランサーアームを駆動するエアーシリンダの圧力は、ハンド装置が把持する荷役物の荷重に応じて調節できる。
【特許文献1】特開平9−175800号公報
【特許文献2】特開平5−340107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特に重量物の搬送作業を行う重可搬型のハンドリングロボットを含む自動化装置を導入する場合、ハンドリングロボットを含む自動化装置は大きな設置スペースを必要とし、さらに、導入費用も多く掛かるというデメリットがあった。また、同一製品を大量に生産する(または、搬送、仕分け処理などを行う)作業と、少量多品種の生産が混在する工程においては、ハンドリングロボットを含む自動化装置を導入しようとしても、設備が複雑になり、その分設備費用が高くなり、保全作業も煩雑となることが、導入の障害となっていた。
また、ジブクレーンや上述したバランサーアームを使用した省力化を行う場合においては、重量物の把持はジブクレーンやバランサーアームで行うが、重量物の搬送作業は、常に作業者が操作する必要があり、労務費がかさむというデメリットがあった。
さらに、ハンドリングロボットを含む自動化装置を導入した場合についても、同一のラインで新しい品種の生産トライを行おうとする際にも、必ず、予め設備の改造やプログラムの追加・変更などの準備作業を行わなければならず、準備時間と費用が必要であり、煩雑であった。
【0004】
特許文献2では、旋回ジブクレーンと、旋回ジブクレーンを支持する床に固定され、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボットを組み合わせ、旋回ジブクレーンの吊り具の移動を、ロボットアームの動きに追従して連続的に制御する制御手段を有するものを開示する。この製品によれば、ロボットは、ジブクレーンの吊り具を把持して動作することで、荷役物の搬送を行うが、ロボットの動作に正確に追従するように、ロボットの動作に同期するように、ジブクレーンの動きを同期制御しなければならないため、ジブクレーンとロボットの同期制御手段が複雑で困難であるという欠点があった。また、この同期制御に誤差を生じた場合、ロボットに過大な負荷がかかり、ロボットを破損させるか、または、所期の耐用年数、寿命で使用できないことになってしまうというリスクがあった。
【0005】
本発明の課題はかかる従来の課題を解決した、可搬能力の小さなロボットを使用して重量物の搬送ができる、大きな設置スペースを必要とせず、設備コストが少ない、常に作業者が操作する必要がなく、バランサーアーム又はジブクレーンとロボットの動作を同期させるための特別な制御が必要なくロボットに過大な負荷がかかるリスクが少ない荷役物搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明は、床に固定された基台に回転可能に支持されたバランサーアームと、このバランサーアームの先端に搭載された荷役物を機械的クランプ、真空圧吸着又は磁気吸着により把持するハンド装置と、前記バランサーアームを駆動するエアーシリンダと、このエアーシリンダを制御する為の電空比例弁又は圧力切替弁及びその制御装置を含む制御部と、有する荷役物搬送用バランサーアームと、
前記床に固定され、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボットと、からなり、
前記バランサーアームを駆動するエアーシリンダの圧力は、ハンド装置が把持する荷役物の荷重に応じて調節されるようにされ、
前記ロボットの先端とバランサーアーム先端のハンド装置とを結合又は固着させ、前記ロボットを作動させて前記バランサーアームの先端を動かして前記ハンド装置を作動させて前記荷役物を把持し、搬送することを特徴とする荷役物搬送装置によって上述した本発明の課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、それぞれ床に固定された、荷役物搬送用バランサーアームと、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボットと、からなり、
バランサーアームを駆動するエアーシリンダの圧力は、ハンド装置が把持する荷役物の荷重に応じて調節されるようにされ、ロボットの先端とバランサーアーム先端のハンド装置とを結合又は固着させ、ロボットを作動させてバランサーアームの先端を動かしてハンド装置を作動させて荷役物を把持し、搬送するにしたので、可搬能力の小さなロボットを使用して重量物の搬送ができる、大きな設置スペースを必要とせず、設備コストが少ない、常に作業者が操作する必要がなく、バランサーアーム又はジブクレーンとロボットの動作を同期させるための特別な制御が必要なくロボットに過大な負荷がかかるリスクが少ない荷役物搬送装置を提供するものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施形態の荷役物搬送装置の概略側面図を示す。本発明の実施形態の荷役物搬送装置は、床30に固定された基台20に回転可能に支持されたバランサーアーム 3と、このバランサーアーム 3の先端に搭載された荷役物 1を機械的クランプ、真空圧吸着又は磁気吸着により把持するハンド装置 2と、バランサーアーム 2を駆動するエアーシリンダ 4と、このエアーシリンダ 4を制御する為の図示しない電空比例弁又は圧力切替弁及びその制御装置を含む制御部40と、有する荷役物搬送用バランサーアーム 6と、
床30に固定され、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボット 7と、からなり、
バランサーアーム 3を駆動するエアーシリンダ 4の圧力は、ハンド装置 2が把持する荷役物 1の荷重に応じて調節されるようにされ、
ロボット 7の先端 9とバランサーアーム 3先端25のハンド装置 2とを連結部11で結合又は固着させ、ロボット 7を作動させてバランサーアーム 3の先端25を動かしてハンド装置 2を作動させて荷役物 1を把持し、搬送することを特徴とする荷役物搬送装置とした。
【0009】
図1のハンド装置 2が荷役物 1を把持し、ロボット 7の先端 9とバランサーアーム 3先端25のハンド装置 2とを連結部11で結合又は固着させた状態では、バランサーアーム 3を駆動するエアーシリンダ 4の圧力は、ハンド装置 2が把持する荷役物 1の荷重に応じて調節されるようにされているので、エアーシリンダ 4内の圧力はその状態のままハンド装置 2が把持する荷役物 1を保持しており、ロボット 7を作動させると、バランサーアーム 3の先端25のハンド装置 2は追従して移動するので、バランサーアーム又はジブクレーンとロボットの動作を同期させるための特別な制御が必要ない。
特許文献1に示すバランサーアームでは、床に固定された基台に回転可能に支持されたバランサーアームの先端に搭載されたハンド装置に力センサーを設けて反重力方向の力を検出して、エアーシリンダの圧力を調節しているが、別の装置により、荷役物の荷重に応じて手動などで調節されるものであってもよい。
図1では、床30に固定された基台20に回転可能に支持されたバランサーアーム 3は、基台20に回転可能に支持された下アーム21と下アーム21に平行な補助リンク22で第1の平行4辺を形成し、下アーム21先端に回転可能に支持された上アーム24と、上アーム24に平行な補助リンク25で第2の平行4辺を形成し、基台20に回転可能に支持されたエアーシリンダ 4が下アーム21と連結され、下アーム21を駆動してバランサーアーム 3を駆動するようにされているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
本発明の実施形態の荷役物搬送装置は、それぞれ床30に固定された、荷役物搬送用バランサーアーム 6と、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボット 7と、からなり、バランサーアーム 3を駆動するエアーシリンダ 4の圧力は、ハンド装置 2が把持する荷役物 1の荷重に応じて調節されるようにされ、
ロボット 7の先端 9とバランサーアーム 3先端25のハンド装置 2とを連結部11で結合又は固着させ、ロボット 7を作動させてバランサーアーム 3の先端25を動かしてハンド装置 2を作動させて荷役物 1を把持し、搬送するようにしたので、
可搬能力の小さなロボットを使用して重量物の搬送ができる、大きな設置スペースを必要とせず、設備コストが少ない、常に作業者が操作する必要がなく、バランサーアーム又はジブクレーンとロボットの動作を同期させるための特別な制御が必要なくロボットに過大な負荷がかかるリスクが少ない荷役物搬送装置を提供するものとなった。
を提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の荷役物搬送装置の概略側面図を示す。
【符号の説明】
【0012】
1:荷役物、2:ハンド装置、3:バランサーアーム、4:エアーシリンダ、6:荷役物搬送用バランサーアーム、7:ロボット、9:ロボットの先端、25:バランサーアームの先端、30:床バランサーアーム、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に固定された基台に回転可能に支持されたバランサーアームと、このバランサーアームの先端に搭載された荷役物を機械的クランプ、真空圧吸着又は磁気吸着により把持するハンド装置と、前記バランサーアームを駆動するエアーシリンダと、このエアーシリンダを制御する為の電空比例弁又は圧力切替弁及びその制御装置を含む制御部と、有する荷役物搬送用バランサーアームと、
前記床に固定され、教示された動作プログラムに基づいてプレイバック再生運転可能なロボットと、からなり、
前記バランサーアームを駆動するエアーシリンダの圧力は、ハンド装置が把持する荷役物の荷重に応じて調節されるようにされ、
前記ロボットの先端とバランサーアーム先端のハンド装置とを結合又は固着させ、前記ロボットを作動させて前記バランサーアームの先端を動かして前記ハンド装置を作動させて前記荷役物を把持し、搬送することを特徴とする荷役物搬送装置。

【図1】
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