説明

荷降ろし装置

【課題】
荷降ろし装置において、排出板を張出位置に向けて移動させ、荷箱内の積載物を排出する際に排出板の移動が妨げられ、排出されなくなってしまうのを防止することができる荷降ろしを提供する。
【解決手段】
排出板Dを駆動装置A4により荷箱1内の格納位置Dfから開口1a側の張出位置Drrへ移動している途中で、排出板Dの移動状態を検知する検知装置Seからの信号に基づいて、排出板の移動が妨げられていると判断すると、排出板を格納位置Dfへ向けて移動させる制御装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱内に収容された積載物を、荷箱の開口部から荷箱の外方へ排出する荷降ろし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体上に搭載されるとともに車両後部に開口部を有する荷箱と、前記荷箱の開口部を閉鎖可能な開閉扉と、荷箱内に設けられ車幅方向に延びる排出板と、前記排出板を車両前後方向に移動させる油圧シリンダ等の駆動装置とからなる運搬車両が知られている。前記運搬車両においては、前記排出板を車両前方(本発明の格納位置側)へ移動させ、排出板と開閉扉との間に生じる空間に積載物を投入し、積載物を所定の処理場等へ搬送する。処理場へ到着すると、開閉扉を開放した後、排出板を車両後方(本発明の張出位置側)に向けて移動させる。これにより、排出板が荷箱内の積載物を荷箱後方へ押し出し、積載物を開口部より車両後方へ強制的に排出される。(例えば特許文献1参照)
【0003】
上記運搬車両においては、積載物の収集場所と処理場との間の往復回数を減らすために、一度の収集でできるだけ多くの積載物を積み込むので、積み込まれた積載物は荷箱内で高く積みあがる。このとき、下部の積載物は、上に載せられた積載物の重量により強く荷箱床面に押し付けられ、荷箱と下部の積載物との間で大きな摩擦力が生じる。この状態で排出板が積載物を押すと、前記摩擦力により排出板の車両後方への移動が妨げられ、荷箱内の積載物が排出されないことがある。
【0004】
そこで、前記問題を解決するために、従来より、排出板の車両後方への移動が妨げられた際には、作業者が手動操作で排出板操作スイッチを「積込」側に切り替えて排出板を車両前方へ移動させた後、再度作業者が手動操作で排出板操作スイッチを「排出」側に切り替え、再度排出動作を行うようにしている。
上記のように操作すれば、排出板が車両前方に移動させることで、排出板と積載物との間に空間が形成され、荷箱内に積みあがった積載物の一部(特に上部)が自重により前記空間へ崩れる。これにより、荷箱内下部の積載物が荷箱床面に押し付けられる力が小さくなるので、荷箱と下方の積載物との間の摩擦力が低減され、排出板の車体後方への移動が妨げられず、積載物の排出動作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭52−47208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、作業者自身が排出板操作スイッチにより排出板を操作するので、荷箱内に積載物が詰まり排出板の移動が妨げられていることに作業者が気付かずに排出動作を続けることがあり、排出作業の作業時間が長くなり、作業効率が悪化する。
【0007】
そこで本発明では、荷箱内に搭載された積載物などが詰り、排出板により排出ができなくなったとしても、効率よく排出作業が行える荷降ろし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の荷降ろし装置は、開口部を有する荷箱と、前記荷箱内に配設され、荷箱内の格納位置と前記開口部側の張出位置との間で移動可能とした排出板と、前記排出板を移動させる駆動装置と、前記排出板の移動状態を検知する検知装置と、前記排出板を張出位置に向けて移動させる途中で、前記検知装置からの信号により排出板の移動が妨げられたと判断すると、前記駆動装置により排出板を格納位置へ向けて移動させる制御装置とを備えていることを特徴とする荷降ろし装置。
このような荷降ろし装置によれば、排出板を張出位置に向けて移動させた際に、制御装置が検知装置からの信号により排出板の移動が妨げられていると判断すると、排出板を自動的に格納位置へ向けて移動するので、排出作業の作業効率が向上する。
【0009】
また、本発明の荷降ろし装置は、前前記制御装置は、前記駆動装置により排出板を格納位置へ向けて移動させた後、排出板を再度張出位置へ向けて移動させることが好ましい。
この場合、荷降ろし装置による排出作業をさらに効率よく行うことができる。
【0010】
また、本発明の荷降ろし装置は、排出板を前記開口部に向けて移動させる信号を出力する操作装置を有し、前記操作装置から信号を受信中に排出板の移動が妨げられたと判断すると、操作装置からの出力信号を無効とするとともに、排出板の格納位置へ向けての移動が完了すると、操作装置からの出力信号を有効とすることが好ましい。
この場合、排出板の移動が妨げられても、作業員は操作装置を押し続けるのみで積載物を排出でき、作業が容易となる。
【0011】
また、本発明の荷降ろし装置は、前記制御装置は、排出板の単位時間当たりの移動量が所定値以下となった場合に、信号を出力することが好ましい。
この場合、排出板が荷箱内に詰まった積載物を無理に大きな力で押すことなく、積載物を排出することができるので、排出板や駆動装置の破損を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の荷降ろし装置によれば、排出板を張出位置に向けて移動させ荷箱内の積載物を排出する際に、排出板の移動が妨げられていることを検知装置が検知すると、制御装置により排出板を格納位置へ向けて移動させる。このため、検知装置が荷箱内に積載物が詰まったことを検知すると、排出板が自動的に格納位置へ向けて移動するので、排出作業の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態を適用した塵芥収集車を左舷側から見た側断面図
【図2】塵芥排出開始から次回の塵芥積込開始までの排出板の荷降ろし装置の動作を示した図
【図3】塵芥排出途中で塵芥が塵芥収容箱1内で詰まり、塵芥を排出できない場合の荷降ろし装置の動作を示す図
【図4】油圧アクチュエータの作動を制御する制御装置の制御ブロック図
【図5】本発明の制御手順を示すフローチャート
【図6】本発明の第一の実施形態における、排出板制御のためのサブルーチン
【図7】本発明の第一の実施形態における、塵芥が塵芥収容箱内で詰まり、塵芥を排出できない場合のサブルーチン
【図8】本発明の第二の実施形態における、排出板制御のためのサブルーチン
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第一の実施形態を適用した塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。図2は、塵芥排出開始から次回の塵芥積込開始までの排出板の荷降ろし装置の動作を示した図である。図3は、塵芥排出途中で塵芥が塵芥収容箱内で詰まり、塵芥を排出できない場合の荷降ろし装置の動作を示す図である。図4は、油圧アクチュエータの作動を制御する制御装置の制御ブロック図である。図5は、本発明の制御手順を示すフローチャートである。図6は、本発明の第一の実施形態における排出板制御のためのサブルーチンである。図7は、本発明の第一の実施形態における、塵芥が塵芥収容箱内で詰まり、塵芥を排出できない場合のサブルーチンである。図8は、本発明の第二の実施形態における、排出板制御のためのサブルーチンである。
【0015】
まず、本発明の第一の実施形態を図1から図7を用いて説明する。
図1において、搬送車両である塵芥収集車Vの車体F上には本発明の荷箱に相当する塵芥収容箱1が搭載されており、その塵芥収容箱1の底面は、後下がりの緩やかな傾斜面となっている。また、塵芥収容箱1の前壁又は側壁前部には、塵芥収容箱1内を覗くためのメンテナンス用窓(図示せず)が必要に応じて敷設される。塵芥収容箱1の後端には、本発明の開口部に相当する後端開口1aが形成されている。
【0016】
前記塵芥収容箱1の後端開口1aには、塵芥を投入可能な塵芥投入口2aを後端に有する塵芥投入箱2が連設される。この塵芥投入箱2の上端部は塵芥収容箱1に回動可能に軸支され、その軸支部P回りに塵芥投入箱2を塵芥投入箱昇降用シリンダA1により上下回動させる。
【0017】
これにより、塵芥投入箱昇降用シリンダA1の伸縮作動することで、塵芥収容箱1内の収容塵芥を排出する際に、塵芥投入箱2を塵芥収容箱1の後端開口1aを閉じる積込位置(下げ位置)から前記塵芥収容箱1の後端開口1aを開放する排出位置(上げ位置)まで上昇回動させる開放工程と、塵芥収容箱1内の収容塵芥を排出した後に、塵芥投入箱2を排出位置から(上げ位置)から積込位置(下げ位置)まで下方回動される閉鎖工程とにより、投入箱制御が行われる。そして上記開放工程及び閉鎖工程を行うために、塵芥投入箱2の排出位置及び積込位置を各々検出する上げ位置検出センサ、下げ位置検出センサ(図示せず)が設けられる。
【0018】
塵芥投入箱2内には、該塵芥投入箱2が前記積込位置にあるときに該塵芥投入箱2内の投入塵芥を塵芥収容箱1内に強制的に押し込む積込工程を実行可能な塵芥積込装置3が設けられる。この塵芥積込装置3の構造は従来周知のもので、図示例では、塵芥収容箱1の後端開口1aに臨む位置で塵芥投入箱2の左右両側壁に昇降可能に支持される昇降体4と、その昇降体4を強制昇降させる昇降体用シリンダA2と、昇降体4の下部に回動可能に軸支される圧縮板5と、この圧縮板5を強制回動させる圧縮板用シリンダA3とを備える。
【0019】
これにより、昇降体用シリンダA2と圧縮板用シリンダA3との伸縮作動させることで、昇降体4を上昇位置に保持した状態で圧縮板5の前方位置から後方位置への後方回動により行われる反転工程と、圧縮板5を後方位置に保持した状態で昇降体4を上昇位置から下降位置まで下降させることにより行われる一時圧縮工程と、昇降体4を下降位置に保持した状態で行う圧縮板5の後方位置から前方位置への前方回動により行われる二次圧縮工程と、圧縮板5を前方位置に保持した状態で昇降体4を下降位置から上昇位置まで上昇させることにより行われる押込工程との一連の積込制御が行われる。該積込制御を行うことで、塵芥投入箱2内の投入塵芥が塵芥収容箱1内に強制的に押し込まれる。そして、上記各工程を順次動作させるために、塵芥投入箱2内の適所には、昇降体4の上昇位置及び下降位置、並びに圧縮板5の後方位置及び前方位置を各々検出する第1〜第4近接スイッチ(図示せず)が設けられる。
【0020】
塵芥収容箱1内には、荷降ろし装置Nが設けられている。前記荷降ろし装置Nは、後述する排出板D、排出シリンダA4とにより構成される。以下、荷降ろし装置Nの構成について説明する。
塵芥収容箱1内には、車体前後方向へ進退可能な通称ディスチャージプレートと呼ばれる排出板Dが配設されており、塵芥投入箱2が前記排出位置にあるときに排出板Dを塵芥収容箱1内で車体前方の後述する格納位置Dfから車体後方の後端開口1a近傍の後述する張出位置Drrへ向けて後退させることで塵芥収容箱1内の収容塵芥をその後端開口1aより強制的に排出可能となっている。
【0021】
排出板Dは、塵芥収容箱1の内部空間の横幅ほぼ一杯に亘る排出板本体Dmと、その排出板本体Dm背面に一体的に連結される支持枠Dsとで構成される。そして、排出板Dと塵芥収容箱1との間には、該排出板Dを起立姿勢で前後摺動可能に案内支持するガイド機構Gが設けられ、そのガイド機構Gは、図示例では支持枠Dsの左右両側下部に設けた転動輪またはスライダGaと、塵芥収容箱1の左右両内側面に設けた案内レールGbとで構成される。
【0022】
排出板Dの背面と塵芥収容箱1との間には、該排出板Dを塵芥収容箱1に対して進退駆動する一段のまたは多段式(即ちテレスコピック型)の油圧式の排出シリンダA4が連結される。その排出シリンダA4は、塵芥収容箱1の底面にほぼ沿ってその前後方向に延びるように配置されており、その各段のシリンダ摺動部の外端には、該摺動部への塵埃の進入を防止するダストシール(図示せず)が介装される。
【0023】
これにより、排出シリンダA4の伸縮作動させることで、排出板Dを塵芥収容箱1の格納位置Df(図2の(A)の実線位置)と、塵芥収容箱1の後端開口1aより後方に若干オーバーハングした張出位置Drr(図1の鎖線位置、図2の(B)の実線位置)との間を往復動可能である。また後述する積込工程の開始位置となる所定後退位置Dr(図1の実線位置、図2の(C)の実線位置)が、前記張出位置Drrよりも前側で、塵芥収容箱1の後端開口1aまたはその近傍に設定される。
【0024】
塵芥収集車Vには、前記排出シリンダA4を初め、車載の各油圧アクチュエータ(即ち、前記投入箱用昇降シリンダA1、昇降体用シリンダA2、圧縮板用シリンダA3)を作動させるための油圧回路(図示せず)が設けられ、その油圧回路に作動油を供給する油圧ポンプは、車載のエンジンに動力取出装置を介して任意に断接可能に連結駆動できる。なお、前記排出シリンダA4と、前記油圧回路とにより本発明の駆動装置を形成する。
【0025】
さらに、塵芥収集車Vには、図4に示すように、本発明の制御装置に相当するマイクロコンピュータよりなるコントローラUが搭載され、そのコントローラUには、前記排出シリンダA4及び各アクチュエータの作動を制御すべく前記油圧回路に設けられる複数の電磁制御弁を含む図示しない制御部と、後述する排出板Dによる排出工程中に計時する第一タイマT1と、排出板の移動が妨げられたときに、排出板Dを車両前方側に移動させる時間を計時する第二タイマT2とを含む図示しない計時部と、排出板Dの格納位置Df・所定後退位置Dr(積込開始位置)・張出位置Drrおよび後述する排出工程中の排出板の位置X1、X2を記憶する図示しない記憶部とにより構成されている。
【0026】
また、該制御装置には、排出板Dの位置を検知する超音波センサSe(本発明の検知装置に相当)と、昇降体4及び圧縮板5の各作動位置を検出する前記第1〜第4近接スイッチと、塵芥収容箱1内で排出板Dに作用する収容塵芥の圧縮反力を排出シリンダA4内の油圧として検出する圧力センサとが接続されている。なお、前記超音波センサSeは、図示例では、塵芥収容箱1の前壁に装着されて測定用の超音波を排出板Dの背面側に向けて発し、それが排出板Dに反射して戻ってくるまでの経過時間から排出板Dの位置を検出する。これにより、排出板Dを張出位置Drrに向けて移動させる排出工程において、一定時間ごとに排出板の位置(本発明の排出板Dの移動状態)を超音波センサSeにより検知することができる。また、該超音波センサSeより取得した排出板Dの位置と、前記コントローラUの記憶部に保存されている排出板Dの格納位置Df・所定後退位置Dr(積込開始位置)・張出位置Drrとを比較することで、前記各位置を検出できる。
【0027】
さらに、コントローラUには、作業員が任意に操作可能な種々の操作スイッチが接続されている。前記種々の操作スイッチとしては、塵芥の積込か排出かを選択するメインスイッチSm、前記塵芥積込装置3を作動・停止させる積込スイッチSt、前記塵芥投入箱2を開閉する投入箱昇降スイッチSn、前記排出板Dを前進・後退させる排出板進退スイッチSd(本発明の操作装置に相当)が設けられている。これらの操作スイッチは、運転席Vcまたは塵芥収容箱1の適所に設けた操作盤(図示せず)に纏めて設けられる。なお、前記油圧回路の構成は、従来周知であり、本発明に特有のものではないので、これ以上の説明は省略する。
【0028】
次に、前記実施例の作用を図5〜図7のフローチャートを参照して、塵芥収集車Vの積込工程及び排出工程について説明する。
〔積込工程〕
塵芥が収容されていない塵芥収集車Vは、図2の(C)の実線で示すように、塵芥投入箱2を積込位置に、また排出板Dを塵芥収容箱1の後端近くの所定後退位置Drにそれぞれ保持した状態となっている。この状態で塵芥収集車Vは所定の塵芥積込地点まで移動した後、作業員がメインスイッチSmを「積込」位置に操作するのを待つ(ステップS1)。メインスイッチSmが「積込」位置に操作されると、作業員が積込スイッチStをONにするのを待つ(ステップS2)。作業員が積込スイッチStをONにすると、前述した塵芥積込装置3による積込工程が開始され(ステップS3)、塵芥投入箱2に投入された塵芥が塵芥積込装置3により塵芥収容箱1内へ押し込まれる。
【0029】
ここで、積込工程の実行により塵芥収容箱1内に押し込まれた塵芥は、排出板Dと塵芥積込装置3との間で適度に圧縮されつつ塵芥収容箱1内に収容される。この場合、図示例では、排出板Dが収容塵芥より受ける圧縮反力を排出シリンダA4の背圧として検知可能な圧力センサを備えており、その圧力センサの検出圧力が所定値を超えると(即ち前記圧縮反力が上限値を超えると)、排出シリンダA4を収縮作動させて排出板Dを前進させ、それにより前記検出圧力が所定値以下となると排出シリンダA4の収縮作動を停止させる。このように、塵芥積込装置3によって塵芥収容箱1内に積込まれた塵芥に応じて排出板Dを徐々に小刻みに自動前進させるので、塵芥収容箱1内の収容塵芥を排出板Dと塵芥積込装置3との間で圧縮しながら積込むことができ、多量の塵芥を塵芥収容箱1内に収容することができる。
【0030】
そして、その排出板Dが図2の(A)の鎖線で示す格納位置Dfに達すると、塵芥収容箱1が収容塵芥で満杯となる。なお、このような満杯状態となった際には、制御装置により満杯を報知するブザー。ランプ等により作業者に対して警告しても良い。
【0031】
〔排出工程〕
塵芥収容箱1内が満杯状態となった塵芥収集車Vは、作業者によりメインスイッチSmをOFFにされ(ステップS4)、塵芥処分場まで走行移動した後、作業員がメインスイッチSmを「排出」位置に操作するのを待つ(ステップS5)。メインスイッチSmが「排出」位置に操作されると、投入箱昇降スイッチSnが「開放」位置に操作されるのを待つ(ステップS6)。投入箱昇降スイッチSnが「開放」位置に操作されると、塵芥投入箱昇降用シリンダA1が伸長することにより、塵芥投入箱2が前記軸支部P周りに上方へ回動する(ステップS7)。そして、塵芥投入箱2を排出位置(上げ位置)まで回動させると、上げ位置検出センサが作動し、投入箱昇降スイッチSnをOFFにし、塵芥投入箱昇降用シリンダA1の伸長を停止させる。このとき、塵芥収容箱1の後端開口1aは開放されている。
【0032】
塵芥投入箱2を排出位置まで回動させた後、作業員が排出板進退スイッチSdを操作するのを待つ(ステップS8)。作業員が排出板進退スイッチSdを操作すると、排出板制御を行う(ステップS9)。以下、排出板制御について詳述する。
【0033】
排出工程においては、塵芥投入箱2を排出位置まで回動させた後、作業員が排出板進退スイッチSdを「後退」位置へ操作するのを待つ(ステップS14)。
作業員が排出板進退スイッチSdを「後退」位置へ操作すると、制御装置に設けられた第一タイマT1をリセット(ステップS15)する。その後、超音波センサSeにより排出板Dの位置情報X1を取得(ステップS16)し、前記排出板Dの位置情報X1を制御装置の記憶部に記憶させる。その後、第一タイマT1の計時を開始する(ステップS17)と同時に、排出シリンダA4が伸長し(ステップS18)、格納位置Dfに位置する排出板Dが車両後方へ向けて移動する。この時、このとき、塵芥収容箱1の後端開口1aは開放されているので、塵芥収容箱1内に圧縮されて収容された塵芥は排出板Dの車両後方への移動により車両後方へ強制的に押し出され、後端開口1aより車外へ排出される。そして、第一タイマT1が一定時間(例えば1s後)を計時する(ステップS19のYes)と、第一タイマT1の計時を停止する(ステップS20)と同時に、超音波センサSeにより再度排出板Dの位置情報X2を取得(ステップS21)する。次に、制御装置により1s後の排出板Dの位置情報X2と前回測定した排出板Dの位置情報X1とを比較し、排出板Dの位置が異なるかどうかを判断する(ステップS22)。そして排出板Dの位置が異なる(塵芥収容箱内の塵芥が詰まらず、排出板の移動が妨げられていない)場合(ステップS22のYes)は、超音波センサSeにより排出板Dが張出位置Drrまで移動したことを検知したかどうかを判断する(ステップS23)。排出板Dが張出位置Drrまで移動していない場合は(ステップS23のNo)、ステップS15からステップS22を繰り返し、塵芥収容箱内の塵芥を排出する。排出板Dが張出位置Drrまで移動した場合は(ステップS23のYes)、排出シリンダA4の伸長を停止させ(ステップS24)、排出板Dを停止させる。
【0034】
塵芥収容箱1内の塵芥を全て排出した後は、作業者がコントローラUの投入箱昇降スイッチSnを操作することにより、塵芥投入箱2昇降用シリンダが収縮し、塵芥投入箱2が前記軸支部P周りに下方へ回動する。塵芥投入箱2が塵芥収容箱1の後端開口1aを閉鎖する積込位置(下げ位置)まで移動すると、塵芥投入箱2昇降用シリンダの収縮が停止し、塵芥収容箱1内に塵芥が積込可能な状態となる。ここで、投入箱昇降スイッチSnを「閉鎖」位置へ操作した際に、排出シリンダA4が収縮を開始させ、排出板Dを所定後退位置Dr(積込開始位置)まで移動させておくと、塵芥投入箱2の閉鎖と同時に塵芥の積込が可能となる。
【0035】
本発明においては、塵芥が積込工程で排出板Dと積込装置とにより圧縮された際に塵芥収容箱1の内壁に押し付けられることにより、塵芥収容箱1の内壁と塵芥との間の多大な摩擦抵抗が生じることで、塵芥が塵芥収容箱1内で詰まり、排出板Dが車両後方へ移動できずに塵芥収容箱1内の塵芥を排出できない場合については、下記の方法にて塵芥の排出を行う。
【0036】
図6,7のフローチャートに示すように、ステップS22で排出板Dの位置が同じ(ステップS22でNo)と判断した場合は、塵芥収容箱1内の塵芥が詰まり、排出板Dが移動できないと判断し、制御装置において排出板進退スイッチSdからの信号を受信不可とし排出板進退スイッチSdからの信号を無効にする。これにより、排出板進退スイッチSdからの信号の有無にかかわらず排出シリンダA4の伸長を停止(ステップS101)させ、排出板Dを停止させる。その後、第二タイマをT2リセット(ステップS102)する。その後、第二タイマの計時をスタート(ステップS103)する。第二タイマの計時をスタートさせた後、排出シリンダを収縮させ(ステップS104)、排出板Dを車両前側(塵芥収容箱1の開口端部1aの逆方向)に移動させる。その後、第二タイマが所定時間(例えば1s)計時後(ステップS105のYes)、制御装置からの信号により、第二タイマの計時をストップさせた(ステップS106)後、排出シリンダA4の収縮を停止(ステップS107)させることで排出板Dを停止させる。このとき、排出板Dを車両前方に移動させることで、排出板Dと荷箱内の塵芥との間に空間が形成され、前記空間内に荷箱内に詰まった積載物等が自重により崩れる。これにより荷箱と下部の積載物である塵芥との間に生じる摩擦力が低減し、排出板Dによって車体F後方へ排出できるようになる。
【0037】
その後、制御装置において排出板進退スイッチSdからの信号を受信可能にすることで、排出板D進退スイッチの信号を有効にする。これにより、作業者が排出作業を行うために排出板進退スイッチSdを操作している場合はステップS15より排出工程を継続して行うことができる。
【0038】
これにより、本発明においては、排出板Dの位置(排出板Dの移動状態)を超音波センサSe(検知装置)で検知し、制御装置が超音波センサSeの信号に基づいて排出板の移動が妨げられたと判断すると、自動的に排出板Dを車体F前方へ移動させることができるので、作業者が特別な操作をすることなく、排出作業を効率よく行うことができる。
【0039】
さらに、排出板Dの位置(排出板Dの移動状態)を超音波センサSe(検知装置)で検知し、制御装置が超音波センサSeの信号に基づいて排出板の移動が妨げられたと判断すると、自動的に排出板Dを車体F前方へ移動させた後、排出作業開始時に排出板Dを車体F後方へ移動させるようにしたので、塵芥による塵芥収容箱1内の詰まりを解消したすぐ後に排出動作が再開でき、排出作業をさらに効率よく行うことができる。
【0040】
さらに、制御装置が超音波センサSeの信号に基づいて排出板の移動が妨げられたと判断すると、排出板D進退スイッチの信号を無効にし、自動的に排出板Dを車体F前方へ移動させた後に排出板D進退スイッチの信号を有効にするようにしたので、作業者が塵芥収容箱1内の塵芥を排出するために排出作業開始時に排出板D進退スイッチを「排出」位置に切り替えるのみで、制御装置が塵芥収容箱1内の塵芥が詰まりを自動的に解消し、排出板Dを張出位置Drrまで移動できるので、作業者の操作が簡略となり、作業が容易となる。
【0041】
次に、図8に示す本発明の第二の実施形態について説明する。この第二の実施形態と上記第一の実施形態との主な相違点は排出板制御のためのサブルーチンにおいて、制御装置が排出板の移動量が所定値以下となった場合に、塵芥が塵芥収容箱1内で詰まったと判断する点が異なる点である。
以下に、排出板の位置を検知した後の、第二の実施形態の排出板制御のためのサブルーチンを詳細に説明する。なお、その他の構成については第一の実施形態と同様であるため、以下の説明においては同一符号で示す。なお、図8のフローチャートに示されているA、Bはそれぞれ図7のA、Bにつながっている。
【0042】
第二の実施形態においても、塵芥収容箱1内が満杯状態となった塵芥収集車Vにおいて、第一タイマT1が一定時間(例えば1s後)を計時する(ステップS19のYes)と、第一タイマT1の計時を停止する(ステップS20)と同時に、超音波センサSeにより再度排出板Dの位置情報X2を取得(ステップS21)するまでは、本発明の第一の実施形態と同様である。次に、制御装置により1s後の排出板Dの位置情報X2から前回測定した排出板Dの位置情報X1を引くことにより得られる排出板Dが1s間に移動した移動距離が、制御装置に事前に記憶させた所定値(例えば1cm)以下になったかどうかを判断する(ステップS22')。
前記移動距離が所定値(例えば1cm)より大きい(塵芥収容箱内の塵芥が詰まらず、排出板の移動が妨げられていない)の場合(ステップS22'のYes)は、超音波センサSeにより排出板Dが張出位置Drrまで移動したことを検知したかどうかを判断し(ステップS23)、以下第一の実施形態と同様のステップを行う。また、前記移動距離が所定値(例えば1cm)以下(ステップS22'でNo)の場合は、塵芥収容箱1内の塵芥が詰まり、排出板Dが移動できないと判断し、制御装置において排出板進退スイッチSdからの信号を受信不可とし排出板進退スイッチSdからの信号を無効にする。これにより、排出板進退スイッチSdからの信号の有無にかかわらず排出シリンダA4の伸長を停止(ステップS101)させ、排出板Dを停止させる。その後、第二タイマをT2リセット(ステップS102)する。その後、第二タイマの計時をスタート(ステップS103)する。第二タイマの計時をスタート(ステップS104)させた後、排出シリンダを収縮させ、排出板Dを車両前側(塵芥収容箱1の開口端部1aの逆方向)に移動させる。その後、第二タイマが所定時間(例えば1s)計時後(ステップS105のYes)、制御装置からの信号により、第二タイマの計時をストップさせた(ステップS106)後、排出シリンダA4の収縮を停止(ステップS107)させることで排出板Dを停止させる。このとき、排出板Dを車両前方に移動させることで、排出板Dと荷箱内の塵芥との間に空間が形成され、前記空間内に荷箱内に詰まった積載物等が自重により崩れる。これにより荷箱と下部の積載物である塵芥との間に生じる摩擦力が低減し、排出板Dによって車体F後方へ排出できるようになる。
【0043】
その後、制御装置において排出板進退スイッチSdからの信号を受信可能にすることで、排出板D進退スイッチの信号を有効にする。これにより、作業者が排出作業を行うために排出板進退スイッチSdを操作している場合はステップS15より排出工程を継続して行うことができる。
【0044】
これにより、第二の実施形態においては、排出板の移動距離が所定値以下となった場合に排出板を車体F前方へ移動させるので、塵芥収容箱1内の塵芥が詰まり、排出シリンダに多大な負荷を作用させることが無く、排出シリンダの破損を防止することができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態においては、排出板Dの位置を検知する検知装置として超音波センサSeを使用したが、赤外線センサでも良く、塵芥収容箱1に所定間隔ごとに近接センサを設け、近接センサが排出板Dを検知したか否かにより、塵芥収容箱1内の塵芥が詰まったかどうかを判断しても良い。つまり、排出時に、排出板Dが移動したかどうかを判断できる検知装置であれば、どのような検知装置であっても良い。
【0046】
また、本発明の実施形態においては、移動状態を検知する検知装置として超音波センサSeを用いたが、排出シリンダA4の油圧を検知する圧力センサを検知装置としても良い。
【0047】
また、本発明の実施形態においては、単一の制御装置にて、検知装置からの信号に基づいて排出板の移動が妨げられたかどうかの判断と、駆動装置への信号の出力とを行っているが、別々の制御装置にて行わせても良い。
【0048】
また、本発明の実施形態においては、本発明の荷降ろし装置Nを塵芥収集車Vに適用した場合を例示したが、塵芥収集車V以外に、ダンプトラックの荷箱や車載可能なコンテナに本発明の荷降ろし装置Nを適用しても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 塵芥収容箱(荷箱)
N 荷降ろし装置
D 排出板
Se 超音波センサ(検知装置)
A4 排出シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する荷箱と、
前記荷箱内に配設され、荷箱内の格納位置と前記開口部側の張出位置との間で移動可能とした排出板と、
前記排出板を移動させる駆動装置と、
前記排出板の移動状態を検知する検知装置と、
前記排出板を張出位置に向けて移動させる途中で、前記検知装置からの信号により排出板の移動が妨げられたと判断すると、前記駆動装置により排出板を格納位置へ向けて移動させる制御装置とを備えていることを特徴とする荷降ろし装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記駆動装置により排出板を格納位置へ向けて移動させた後、排出板を再度張出位置へ向けて移動させる請求項1に記載の荷降ろし装置。
【請求項3】
前記荷降ろし装置は、排出板を前記開口部に向けて移動させる信号を出力する操作装置を有し、
前記制御装置は、前記操作装置から信号を受信中に排出板の移動が妨げられたと判断すると、操作装置からの出力信号を無効とするとともに、排出板の格納位置へ向けての移動が完了すると、操作装置からの出力信号を有効とする請求項1または2に記載の荷降ろし装置。
【請求項4】
前記制御装置は、排出板の単位時間当たりの移動量が所定値以下となった場合に、排出板の移動が停止したと判断する請求項1乃至3に記載の荷降ろし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−126633(P2011−126633A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285053(P2009−285053)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】