説明

荷電粒子ビーム描画装置の描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置

【課題】本発明は荷電粒子ビーム描画装置の描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置に関し、元のパターンデータに忠実に精度よくパターンを描画することができるようにすることを目的としている。
【解決手段】材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットする荷電粒子ビーム描画装置の描画方法において、個別のショットについて、前方散乱の影響による隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム描画装置の描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置に関し、更に詳しくは近接効果補正の精度を向上させることができる荷電粒子ビーム描画装置の描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム描画装置は荷電粒子ビームを用いて乾板上にレジストが塗布された材料面上にパターンを描画・形成する装置である。この種の装置で、荷電粒子ビームを材料面に照射すると、レジストに入射した荷電粒子ビームがレジスト内で散乱して描画パターンの精度を悪くする現象(近接効果)が発生する。
【0003】
以下、近接効果補正(Proximity Effect Correction)について説明する。荷電粒子ビーム描画方法において、ショットした荷電粒子ビームがレジスト内で散乱(前方散乱と称す)したり、レジストを通過して基板中に入り、再び該基板からレジスト内に散乱(後方散乱と称す)したりすることにより、ショットした部分以外の近接した部分にもエネルギーが蓄積されてしまう。
【0004】
図9は前方散乱と後方散乱のエネルギー分布の説明図である。横軸は位置、縦軸は荷電粒子エネルギーである。Aは理想的な荷電粒子エネルギーの蓄積、Bは前方散乱の影響、Cは後方散乱の影響、Dは前方散乱の影響範囲、Eは後方散乱の影響範囲である。後方散乱の影響範囲が広範囲に及んでいることが分かる。
【0005】
その結果、一定のプロセスレベルで現像すると、同じ線幅のパターンを同じ荷電粒子ビームのショット時間で描画しても、パターンが孤立していて疎な部分(図10の(a)の部分)に比べ、パターンが隣接して密な部分(図10の(b)〜(d)の部分)では線幅が太く形成されてしまう現象が発生する。図10は近接効果が現像プロセス後のパターン線幅に与える影響の説明図である。横軸は位置、縦軸は荷電粒子エネルギーである。Lはプロセスに必要なエネルギーレベルであるプロセスレベルである。このような現象を近接効果と称しており、特に後方散乱による近接効果はその影響が比較的大きく、荷電粒子ビームによるパターン描画が始まった頃から、既にこうした影響を少なくするために荷電粒子ビームのショット時間を調節してドーズ量を補正する方法での種々の対策(近接効果補正)がとられている。
【0006】
次に、後方散乱による近接効果補正について説明する。
(I)近接効果の見積り
描画パターンに依存した近接効果の大きさを見積もる。先ず、近接効果の影響は、パターンを描画するために照射した電子ビームがレジスト中や材料面で散乱することによって発生した電子エネルギー(散乱電子エネルギー)が、材料上の任意の位置に蓄積される大きさに依存すると仮定する。
【0007】
材料上の任意の位置に蓄積される散乱電子エネルギーの大きさ(散乱電子エネルギーの蓄積量)は、周辺に照射した電子ビームの密度と、電子ビームを照射した位置からの距離に依存した散乱電子エネルギーの影響量を積算した値に比例すると考えられる。
【0008】
散乱電子エネルギーの蓄積量は、描画フィールド全面に仮想的に配列した0.5μm又は1μm四方程度の微小領域(区画)毎に近似して求める。描画するパターンがそれぞれの区画内に入射される電子エネルギー量の割合に応じて、その区画と周辺の区画に与える散乱電子エネルギーの影響量全体を加減して、それぞれの区画に加算していく。図11はパターンデータのレイアウトを示す図である。この時、照射した電子ビームがその区画と周辺の区画に与える散乱電子エネルギーの影響量は、区画毎の分布(エネルギー分布基準テーブル)として、別途パラメータで指定する。図12はエネルギー分布基準テーブル(Eidi,j)の例を示す図である。
【0009】
こうして任意の描画フィールド上の各位置で求めた散乱電子エネルギーの蓄積量を基に、その分布(蓄積エネルギー分布マップ)を求める。図13は蓄積エネルギー分布マップ(Ebpn,m)の例を示す図である。(Ebpn,m)は、任意の一つの図形(k)を描画する際にそれぞれの区画(n,m)に入射される電子エネルギー量の割合(E(k)n,m)と、入射電子が周辺区画(i,j)に与える後方散乱電子エネルギー強度の分布(Eidi,j)から、ハードウェアが(1)式に準じた演算処理を実施することによって算出する。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、入射電子エネルギー量の割合(E(k)n,m)は、一定の強度で一つの微小領域(区画)全体に電子ビームが入射された時のエネルギー量を100%とする比率(割合)で表現する。また、後方散乱電子エネルギー強度は、電子ビームが照射された区画での後方散乱電子エネルギー強度を4095とする比率で表現する。
【0012】
後方散乱電子エネルギー強度の分布は、電子エネルギー分布パラメータ(エネルギー分布基準テーブル)として別途パラメータで指定しておいたものである(図12参照)。rは後方散乱電子の影響を考慮する周辺区画までの区画数、fはパターンデータに含まれる図形数である。得られた散乱電子エネルギーの蓄積量(Ebp)は、無限の塗りつぶし領域の任意の位置における散乱電子エネルギーの蓄積量を100%とする比率(割合)で表現される。
【0013】
この時、周辺からの電子ビームの散乱によって与えられる電子エネルギーは、同じフィールド内のみならず、周辺のフィールドや近隣のチップからも与えられることを考慮する。算出された微小領域(区画)毎の散乱電子エネルギーの蓄積量が、即ち近接効果の影響の大きさを表わすものと見積もる。
(II)近接効果補正量の算出
近接効果の大きさに応じて、材料面上にパターンを描画する際の電子ビームの照射時間(ショットタイム)の補正量を算出する。(a)で得られた1描画フィールド分の蓄積エネルギー分布マップを基に、描画するパターンデータの電子ビーム1ショット毎の照射時間の補正量を微小領域(区画)毎に算出する。電子ビームの照射時間の補正量は後述する(2)式に準じた関係式から後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp)に対するショットタイム変調量(Smod)として求める。
【0014】
この関係式の内容は、「近接効果補正テーブル(蓄積エネルギー換算テーブル)」として別途パラメータで設定しておいたものである。図14は蓄積エネルギー換算テーブルの例を示す図である。横軸は散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp%)、縦軸はショットタイム変調量(Smod%)である。散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合に応じて、ショットタイム変調量は正負の値をとることが分かる。ショットタイム変調量は、基準となる電子ビームの照射時間に対する照射時間の増減の比率(割合%)で表現する。
【0015】
【数2】

【0016】
ここで、Smodはショットタイム変調量、C1及びC2は定数、ηは後方散乱係数である。(2)式は、補正前の入射電子エネルギー強度(Da)が任意の微小領域(区画)に適用されるショットタイム補正(係数Smod+1)に比例して増減するにつれて、補正前の後方散乱電子エネルギー強度(Da×Ebp×η)もその区画に適用されるショットタイム補正(係数Smod+1)だけに比例して増減すると見なして導き出したものである。
【0017】
即ち、補正後の入射電子エネルギー強度(Da×(Smod+1))の1/C2と後方散乱電子エネルギー強度(Da×Ebp×η×(Smod+1))の和を吸収電子エネルギー強度とし、このレベルが後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp)に依存せず一定(CONST)となるように、後方散乱電子の蓄積エネルギーの強度の割合(Ebp)に応じてショットとタイムを補正(係数Smod+1)としている。図15はショットタイム補正の説明図である。(a)が補正前のエネルギーを、(b)がショット補正後のエネルギーをそれぞれ示している。補正前のベース部分1とピーク部分2は何れもショットタイム変調量(Smod+1)倍されて、ショット時のエネルギーが小さくなっていることが分かる。
【0018】
このようにして得られた蓄積エネルギー換算テーブルを元に、蓄積エネルギー分布マップから微小領域(区画)毎の電子ビーム1ショット毎の照射時間の補正量の分布(近接効果補正量マップ)を求める。図16はこのようにして求めた照射時間の近接効果補正量マップである。
(III)近接効果の再見積り(再計算)
(I)及び(II)では、一定のショットタイムでパターンを描画した場合(即ち近接効果補正を実施しなかった場合)を前提として蓄積エネルギー分布マップを作成し、微小領域(区画)毎に近接効果の影響がキャンセルされるように電子ビーム1ショット毎の照射時間の補正量を求めている。即ち、任意の微小領域(区画)における後方散乱電子エネルギー強度がその区画以外の周辺区画に適用されるショットタイム補正(係数Smod+1)に依存して増減することまでは考慮していない。
【0019】
そのため、近接効果補正を実施した結果、周辺区画でのショットタイム補正の影響によって自身の区画の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp)が変化する(Ebp’)ようなケースでは、近接効果の影響を十分に補正することができない。
【0020】
図17は計算上の補正結果と実際の補正結果を示す図である。(a)が計算上の補正結果を、(b)が実際の補正結果を示す図である。(a)と(b)とを比較すると明らかなように、計算上の補正結果と実際の補正結果は同じではない。ベース部分の大きさが異なっている。(a)のベース部分1がDa×Ebp×η×(Smod+1)であるのに対して、(b)のベース部分1’がDa×Ebp’×ηと算出式が異なるためである。
【0021】
そこで、(II)で得られた近接効果補正量マップを適用して、近接効果補正描画、即ちそれぞれの微小領域(区画)毎において電子ビーム1ショット毎の照射時間を補正しながら1描画フィールド分のパターンを描画したと仮定して、その時に発生する近接効果の影響の大きさを、改めて見積もる。
【0022】
(I)と同様に、蓄積エネルギーマップを求めるが、区画(n,m)毎の入射電子エネルギー量の割合(E(k)n,m)から後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合のマップ(蓄積エネルギー分布マップ)を算出する際に、任意の微小領域(区画(m,n)における後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebpn,m)が周辺区画(m±r,n±r)の電子ビームの照射量に依存して増減すること(Ebp’n,m)を考慮する。即ち、(1)式に準じた処理処理を(3)式に準じた処理に変更して、蓄積エネルギー分布マップを算出する。(Ebp’n,m)は次式で表される。
【0023】
【数3】

【0024】
ここで、1回目の再計算で(3)式に準じた関係式に与えるSmodは、最初の計算(0回目の再計算)で得られた微小領域(区画)毎のショットタイム変調量である。
(IV)近接効果補正量の算出(再計算)
(III)で得られた1描画フィールド分の蓄積エネルギー分布マップを基に、微小領域(区画)毎の電子ビーム照射時間の補正量を求める。これは後述の(4)式に準じた関係式から後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp’)に対するショットタイム変調量(Smod)として求め、これを「近接効果補正テーブル(蓄積エネルギー換算テーブル)」として別途パラメータで設定しておく。図18は蓄積エネルギー換算テーブルの例を示す図である。横軸は散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp)(%)を、縦軸はショットタイム変調量(Smod)(%)を示す。図において、f1は最初の計算に基づく特性を、f2は再計算して得られた特性をそれぞれ示す。
【0025】
Smod=C1−(1+C2×Ebp’×η) (4)
(4)式では、任意の微小領域(区画)における後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp’)には、(3)式に準じた関係式によって既に最初の計算(0回目の再計算)で得られたショットタイム補正(係数Smod+1)が適用されていることを考慮している。
【0026】
即ち、補正後の入射電子エネルギー強度(Da×(Smod+1))の1/C2と、再計算して得られた後方散乱電子エネルギー強度(Da×Ebp’×η)の和を吸収電子エネルギー強度とし、このレベルが後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp’)に依存せず一定(Const)となるよう、後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp’)に応じてショットタイムを補正(係数Smod+1)している。
【0027】
図19はショットタイム補正の説明図である。(a)は補正前の、(b)は補正後の状態を示す。ベース部分は等しく、スペクトル部分が異なっている。即ち、
(1/C2)×Da×(Smodbefore+1)が(1/C2)×Da×(Smod+1)に変化し、Da×(Smodbefore+1)がDa×(Smod+1)に変化している。
【0028】
2回目以降の再計算で(3)式に与えるSmodは、前回の再計算によて(4)式に準じた近接効果補正テーブル(蓄積エネルギー換算テーブル)により得られた微小領域(区画)毎のショットタイム変調量である。そして、(3)式に準じた関係式によって再び得られた後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合(Ebp’)から、微小領域(区画)毎のショットタイム変調量を求める。
【0029】
この操作(再計算)を別途パラメータで指定された回数だけ繰り返すことによって、任意の微小領域(区画)(m,n)における後方散乱電子の蓄積エネルギー強度の割合
(Ebpn,m)を最適化(Ebp’n,m)し、その結果を蓄積エネルギー分布マップとする。これら一連の処理は、専用のハードウェアを用いて、描画フィールド毎に実施する。最適化された蓄積エネルギー分布マップから(4)式に準じた近接効果補正テーブル(蓄積エネルギー換算テーブル)により、微小領域(区画)毎の電子ビーム1ショット毎の照射時間の補正量の分布(近接効果補正量マップ)を求める。
(V)近接効果補正描画の実施
上記(I)〜(IV)の演算は、描画装置に装備された専用のハードウェアにより、パターンデータの描画と並行して、描画する1フィールド毎に実施する。図20は従来システムの構成例を示す図である。図に示すように、装置制御用計算機システム40と、通常描画用ハードウェアデータ転送システム20と、近接効果補正用ハードウェア転送システム30と、EB−リソグラフィシステム80とから構成されている。
【0030】
通常描画用ハードウェアデータ転送システム20において、11は装置制御用計算機システム40からの描画フィールド毎にショットタイム変調量を設定し、それを記憶する乾板面内照射量補正用レジスタ、12は装置制御用計算機システム40からのデータを受けてライブラリ展開を行なうライブラリ展開を行なうライブラリ展開部、13はライブラリ展開されたデータを記憶するメモリである。14はライブラリ展開されたデータをショット分割するショット分割部である。
【0031】
15はショットタイムを演算するショットタイム演算部である。該ショットタイム演算部15には、乾板面内照射量補正用レジスタ11からのデータと、ショットランク換算テーブル16からのデータと、ショットサイズ換算テーブル17からのデータと、近接効果補正量マップ18からのデータが入力されており、これら入力データを演算してショットタイムを演算し、EB−リソグラフィシステム80に与え、ビーム描画を行なう。
【0032】
一方、近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム30において、62は入射電子エネルギー割合を計算する入射電子エネルギー割合計算部、61は装置制御用計算機システム40からのデータを受けてエネルギー分布基準データを記憶するエネルギー分布基準テーブル、63はエネルギー分布基準テーブル61に記憶されているデータと、入射電子エネルギー割合計算部62からのデータとを受けて電子エネルギー積算を行なう電子エネルギー積算部、64は該電子エネルギー積算部63で作成された蓄積エネルギー分布マップである。
【0033】
65は装置制御用計算機システム40と接続され、初回計算用の蓄積エネルギー換算テーブル、66は蓄積エネルギー分布マップ64及び蓄積エネルギー換算テーブル65の出力を受けて蓄積エネルギー換算を行なう蓄積エネルギー換算部、67は該蓄積エネルギー換算部66の換算結果を記憶する近接効果補正量マップである。この近接効果補正量マップは、初回計算に基づくマップである。
【0034】
68は入射電子エネルギー割合計算部62の出力と、エネルギー分布基準テーブル61と再計算による近接効果補正量マップ72とを受けて電子エネルギーを積算する電子エネルギー積算部、69は該積算により得られたデータを記憶する蓄積エネルギー分布マップである。70は装置制御用計算機システム40からのデータを受けて記憶する、再計算用の蓄積エネルギー換算テーブルである。71は該蓄積エネルギー換算テーブル70の出力と、蓄積エネルギー分布マップ69の出力とを受けて蓄積エネルギー換算を行なう蓄積エネルギー換算部、72は該蓄積エネルギー換算部71で得られたデータを近接効果補正量マップとして記憶する近接効果補正量マップで、通常描画用の近接効果補正量マップ18に転送される。このように構成されたシステムの動作を説明すれば、以下の通りである。
【0035】
予めエネルギー分布基準テーブル61と蓄積エネルギー換算テーブル65を近接効果補正用のハードウェアデータ転送システム30に転送しておく。近接効果補正用のハードウェアデータ転送システム30では、描画の開始(描画材料の搬入開始)と同時に近接効果補正描画を行なう全てのパターンデータを、一つずつ順番に近接効果補正用のハードウェアデータ転送システム20にデータ転送する。この時、指定された大きさの微小領域(区画)毎にパターンを描画する際の入射電子エネルギー量の割合を計算しておく。
【0036】
一つのフィールドの描画に先立ち、近接効果補正用のハードウェアデータ転送システム30では、微小領域(区画)毎の入射電子エネルギー量の割合に応じてエネルギー分布基準テーブル61に示された分布を持った散乱電子エネルギー量を微小領域(区画)毎に蓄積エネルギー分布マップ64に積算していく。描画する1フィールド分の蓄積エネルギー分布マップ64を作成するためには、近隣のフィールドデータについても同様の散乱電子エネルギー量の積算(蓄積エネルギー分布マップ64の作成)を行ない、近隣のフィールドから受ける散乱電子エネルギーの影響も考慮する。
【0037】
描画する1フィールドについての蓄積エネルギー分布マップが完成した時点で、そのマップを蓄積エネルギー換算テーブル65を使って近接効果補正量マップ67に変換する。再計算を実施する場合には、ここで得られた近接効果補正量マップ67を微小領域(区画)毎の入射電子エネルギー量の割合(入射エネルギー割合計算部62の出力)に乗算し、改めて蓄積エネルギー分布マップ69を作成し直し、再び蓄積エネルギー換算テーブル70を使って近接効果補正量マップ72に変換する動作を、指定された再計算回数に従い繰り返し実施する。得られた近接効果補正量マップ72は、通常描画用のハードウェアデータ転送システム10に転送される。
【0038】
一方、通常描画用のハードウェアデータ転送システム10では、描画するフィールドの近接効果補正量マップの転送(受け取り)が完了した時点で、そのフィールドの描画を開始する。この時、近接効果補正量マップ72を受け取る側のメモリをダブルバッファ構成とし、一つのフィールドを描画している最中に次の描画フィールドの近接効果補正量マップ72を受け取ることができるようにしておく。
【0039】
描画の開始に伴い、通常描画用のハードウェアデータ転送システム10では、描画する電子ビームのショット位置に応じて近接効果補正量マップ18からショットタイムをショートタイム演算器15で計算する。電子ビームのショットの大きさが蓄積エネルギー分布マップ69の微小領域(区画)の大きさよりも大きい場合(電子ビームショットが複数の微小領域(区画)にまたがる場合)は、電子ビームショットの中心が含まれる微小領域(区画)の電子エネルギー蓄積量が、その電子ビームのビームショットに対して有効であるものとみなす。こうして得られたショットタイムを電子ビーム1ショット毎に適用してパターンの描画を行なう。
【0040】
前述したように、近接効果補正のためのデータ処理と通常の描画データ処理を一つの描画フィールド毎に並行して繰り返し実施する。1フィールド分の近接効果補正量マップの作成時間が、通常の描画処理に要する時間に隠れるように、これらは並行してパイプライン形式で実行する。
【0041】
後続して描画するフィールドデータについては、先行する描画フィールドの蓄積エネルギー分布マップ69を作成する際に作成した近隣フィールドの蓄積エネルギー分布マップをしばらく保存して活用し、近隣のフィールドも含めて蓄積エネルギー分布マップが保存されていないフィールドデータについてのみ、蓄積エネルギー分布マップの作成などの処理を実施するものとする。1描画フィールドの近接効果補正量マップが準備できた段階で、これを適用して微小領域(区画)毎の電子ビーム1ショット毎の照射時間(即ちショットタイム)を補正しながら、1描画フィールド分のパターンを描画する。
【0042】
従来のこの種の装置としては、対象領域内に配置された複数のパターンをそれらの配置位置によって分類し、分類されたパターンを用いて各パターンの各辺に隣接するパターンを探索して、隣接パターン情報を取得し、次に対象領域を階層的に分割してパターンを登録し、その情報を用いてパターン上の評価点における後方散乱強度を計算し、次に隣接ごパターン情報と得られた後方散乱強度を用いて、評価点における前方散乱強度と後方散乱強度の和を評価し、パターンの移動量を計算し、その辺を移動量だけ移動させてパターンの図形を変更する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0043】
また、作成すべき露光パターンに対し、各独立したパターンを一定の電子ビーム照射密度で描画した時の電子ビーム散乱によるパターン間の影響を考慮して、縮小補正したパターン寸法を求め、次いで各独立したパターン毎に該縮小補正したパターン寸法の大きさに応じて各独立パターンを描画する際の電子ビーム照射密度を決定し、前記パターン寸法及び電子ビーム照射密度でパターン描画することを特徴とする電子ビーム露光方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2006−237396号公報(段落0016〜0021、図1)
【特許文献2】特開昭58−43516号公報(第2頁右下欄第13行〜第3頁右下欄第19行、第1図〜第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
従来技術では、荷電粒子の後方散乱による近接効果の影響だけに着目し、前方散乱による近接効果の影響を無視している。これは、前方散乱による近接効果の影響範囲が後方散乱のそれに比べて極めて狭く、実際のデバイスパターンの図形同士の隣接間隔においては、描画パターンの仕上がり寸法や位置精度にそれほど大きな影響を与えないことが明らかであるためである。また、前方散乱による近接効果の影響を無視することで近接効果の影響を見積もる微小領域(区画)の大きさを後方散乱径の1/10〜1/20程度まで粗くすることができ、近接効果補正機能を描画装置に実装する際に搭載する機器のコストや補正量演算にかかるパフォーマンスの悪化を防ぐという利点もあった。
【0046】
しかしながら、近年の高集積度デバイスパターンでは、パターン同士が前方散乱径の2〜3倍程度まで隣接するケースが散見されるようになり、こうした部分で前方散乱による近接効果の影響を無視した場合、描画パターンの仕上がり寸法や位置精度が悪化することが予想される。
【0047】
即ち、図21に示すように、隣接するパターンを描画するための荷電粒子ビームの前方散乱が互いに相手のパターンに蓄積される荷電粒子エネルギーに影響を与え、特に両者が隣接する部分では、両者のパターンに蓄積される荷電粒子エネルギーが増加し、現像やエッチングなどのプロセス後に形成されるそれぞれのパターンは元のパターンデータに比べサイズが大きくなったり両者の間隔が狭くなったり(図21の(2))する。或いは両者のパターンが接合してしまったりする(図21の(3))。
【0048】
図21は隣接したパターンでの前方散乱による近接効果の影響の説明図である。横軸は位置、縦軸は荷電粒子エネルギーである。(1)の場合は、パターン同士が十分に離れている場合を示す。形成されるパターンはプロセスレベルLのパターン幅(a)になる。(2)はパターン同士が隣接している場合を示す。隣接するパターンが間隔bだけ離れている。この場合は形成されるパターンは間隔b’のパターンが描画される。
【0049】
ここで、パターン同士の間隔はb’<bとなり、線幅aもa<a+となる。(3)はパターン同士が隣接している場合を示す。形成されるパターンは双方のパターンが接着した状態を示している。即ち、エネルギーピーク部分ではcだけ間隔があるが、形成されるパターンでは間隔c’は0になっている。(4)はパターン同士が接触している場合を示す。形成されるパターンは双方のパターン幅aを加算した2aとなる。
【0050】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、荷電粒子ビーム描画装置におけるこうした問題点を克服し、元のパターンデータに忠実に精度よくパターンを描画することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0051】
前記した問題を解決するために、本発明は以下のような構成をとっている。
【0052】
(1)請求項1記載の発明は、材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置の描画方法において、個別のショットについて、隣接するショットとの間の領域について荷電粒子ビームの前方散乱によるレジストに与える吸収エネルギーの大きさの分布を見積もり、該吸収エネルギーの大きさがレジストの現像及びエッチング等のプロセスに必要なエネルギーレベルを超える範囲を判定し、判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうことを特徴とする。
【0053】
(2)請求項2記載の発明は、材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置の描画方法において、個別のショットについて、隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうことを特徴とする。
【0054】
(3)請求項3記載の発明は、個別のショットについて、隣接する周囲のショットについて、上下左右4辺に関してショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に、それぞれ最短距離のショットを求め、求めた最短距離のショットを隣接ショットとする
ことを特徴とする。
【0055】
(4)請求項4記載の発明は、荷電粒子ビーム描画領域のショットを小領域単位にメッシュ分割した記憶領域を持つショットメモリに格納し、該小領域単位で個別のショットについて、上下左右4辺に関して該ショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に隣接するショットを探索し、最短距離のものを各辺についての隣接するショットとする
ことを特徴とする。
【0056】
(5)請求項5記載の発明は、個別のショットについて、隣接するショットとの間の最短距離が零になる場合又は前記隣接するショットが前方散乱の近接効果の影響が及ばないような最短距離の場合には、各ショットの隣接ショットに面する辺の位置を補正しない
ことを特徴とする。
【0057】
(6)請求項6記載の発明は、材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置において、個別のショットについて、隣接するショットとの間の領域に応じて荷電粒子ビームの前方散乱によるレジストに与える吸収エネルギーの大きさの分布を見積もり、該吸収エネルギーの大きさがレジストの現像及びエッチング等のプロセスに必要なエネルギーレベルを超える範囲を判定し、該判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを作成する演算手段と、
該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうショット手段とを備えたことを特徴とする。
【0058】
(7)請求項7記載の発明は、前記演算手段は、隣接するショットとの間に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量を読み出して補正ショットデータを作成することを特徴とする。
【0059】
(8)請求項8記載の発明は、前記ショット手段は、前記算出された近接効果補正値に基づいて荷電粒子ビームのショット時間を制御するブランキング手段と、前記補正ショットデータに基づいて成形荷電粒子ビームのサイズを決める成形偏向手段と、前記補正ショットデータに基づいて前記成形荷電粒子ビームの材料面上の照射位置を決める位置偏向手段とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0061】
(1)請求項1記載の発明によれば、判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと補正値に基づいてショットを行なうようにしているので、元のパターンデータに忠実に精度よくパターンを描画することができる。
【0062】
(2)請求項2記載の発明によれば、隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうようにしているので、元のパターンデータに忠実に精度よくパターンを描画させることができる。
【0063】
(3)請求項3記載の発明によれば、隣接する周囲のショットについて、上下左右4辺に関してショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に、それぞれ最短距離のショットを求め、求めた最短距離のショットを隣接ショットとするようにしているので、精度のよいパターン描画を行なうことができる。
【0064】
(4)請求項4記載の発明によれば、荷電粒子ビーム描画領域のショットを小領域単位にメッシュ分割した記憶領域を持つショットメモリに格納し、該小領域単位で個別のショットについて、上下左右4辺に関して該ショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に隣接するショットを探索し、最短距離のものを各辺についての隣接するショットとするようにしているので、精度のよいパターン描画を行なうことができる。
【0065】
(5)請求項5記載の発明によれば、個別のショットについて、隣接するショットとの間の最短距離が零になる場合又は前記隣接するショットが前方散乱の近接効果の影響が及ばないような最短距離の場合には、各ショットの隣接ショットに面する辺の位置を補正しなくても精度よくパターン描画を行なうことができる。
【0066】
(6)請求項6記載の発明によれば、判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと補正値に基づいてショットを行なうようにしているので、元のパターンデータに忠実に精度よくパターンを描画することができる。
【0067】
(7)請求項7記載の発明によれば、前記演算手段は、隣接するショットとの間に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量を読み出して補正ショットデータを作成するようにしているので、精度よくパターン描画を行なうことができる。
【0068】
(8)請求項8記載の発明によれば、前記ショット手段は、前記算出された近接効果補正値に基づいて荷電粒子ビームのショット時間を制御するブランキング手段と、前記補正ショットデータに基づいて成形荷電粒子ビームのサイズを決める成形偏向手段と、前記補正ショットデータに基づいて前記成形荷電粒子ビームの材料面上の照射位置を決める位置偏向手段とから構成されるようにしているので、精度よくパターン描画を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】前方散乱による近接効果とその補正の説明図である。
【図2】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図3】パターンデータ転送処理システムの詳細構成例を示す図である。
【図4】近接効果補正用のハードウェア転送システムの構成例を示す図である。
【図5】隣接するショットについての説明図である。
【図6】ショット辺の補正の説明図である。
【図7】ショットメモリへのショットする様子を示した概念図である。
【図8】隣接ショットの探索の説明図である。
【図9】前方散乱と後方散乱のエネルギー分布の説明図である。
【図10】近接効果が現像プロセス後のパターン線幅に与える影響の説明図である。
【図11】パターンデータの例を示す図である。
【図12】エネルギー分布基準テーブルの例を示す図である。
【図13】蓄積エネルギー分布マップの例を示す図である。
【図14】蓄積エネルギー換算テーブルの例を示す図である。
【図15】ショットタイム補正の説明図である。
【図16】近接効果補正量マップの例を示す図である。
【図17】計算上の補正結果と実際の補正結果を示す図である。
【図18】蓄積エネルギー換算テーブルの例を示す図である。
【図19】ショットタイム補正の説明図である。
【図20】従来システムの構成例を示す図である。
【図21】隣接したパターンでの前方散乱による近接効果の影響の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、図面を参照して本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0071】
図1は前方散乱による近接効果とその補正の説明図である。(a)は描画パターン、(b)は前方散乱による近接効果の影響、(c)は前方散乱による近接効果の影響を補正したものである。(a)に示すように同じ矩形を3つ並べた描画パターンをパターン通りに描画すると、向かい合った辺同士が近づくように変形するため、形成されるパターンは各矩形の幅が増大したものとなる。即ち、(b)に示すように破線のようなショットを行なうと、両端の矩形は内側へ向けて幅が増大し、中央の1つの矩形は左右両側に向けて幅が増大する。
【0072】
そのため、矩形同士の間隔は狭くなり、両側の矩形については、中心位置が内側にずれることになる。これに対して、本発明による前方散乱の近接効果補正によれば、辺同士が近づくことによる幅の増加を考慮し、辺同士を遠ざけるように移動させて(a)よりも幅を狭めた矩形パターン((c)において破線で示す)をショットして描画するため、形成されるパターンは、(a)に示す描画パターンに沿ったものとなる。
【0073】
荷電粒子ビーム描画装置として電子ビーム描画装置に本発明を適用した場合の構成例を図2〜図4に示す。図2は本発明の一実施例を示す構成図である。図3はパターンデータ転送処理システムの詳細構成例を示す図、図4は近接効果補正用のハードウェア転送システムの詳細構成例を示す図である。
【0074】
図2において、100は描画制御用計算機システム、200はパターンデータ転送処理システム、300は近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム、400は電子ビーム描画装置である。描画制御用計算機システム100は、描画制御プログラム101、ジョブデック102、パターン103、前方散乱による近接効果補正パラメータ111及び後方散乱による近接効果補正パラメータ104から構成される。10は電子光学系鏡筒及びステージである。23はショット時間制御用ビーム偏向アンプ、29はショットサイズ制御用ビーム偏向アンプ、34はショット位置制御用ビーム偏向アンプ、33はステージ位置制御ユニットである。
【0075】
図3において、パターンデータ転送処理システム200は、以下のものから構成されている。図において、201はパターン展開部、202はデータメモリ、203はショット分割部、211は最短距離ショット探索部、212はショットメモリ、213はショット辺位置補正部(入射電子エネルギー変化量算出部)、214は入射電子エネルギー変化量分布マップ、215はショットバッファメモリ、204はショット制御部、205はPECバッファメモリである。
【0076】
図4において、近接効果補正用ハードウェア転送システム300は以下のものから構成されている。図において、301はパターン展開部、302はデータメモリ、303は入射電子エネルギーの割合算出部である。305は近接効果補正量の算出部である。該近接効果補正量算出部305は以下のものから構成されている。
【0077】
近接効果補正量算出部305は、エネルギー分布基準テーブル41と、電子エネルギー積算部42と、蓄積エネルギー分布マップ43と、初回計算用の蓄積エネルギー換算テーブル44と、蓄積エネルギー換算部45と、初回計算用の近接効果補正量マップ46と、電子エネルギー積算部48と、蓄積エネルギー分布マップ49と、蓄積エネルギー換算部50と、再計算用の近接効果補正量マップ51とから構成されている。306は近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム300内に設けられた近接効果補正量マップである。これら信号線の内、制御信号の流れは破線で、データの流れは実線で示されている。
【0078】
描画制御用計算機システム100は、描画装置全体の動作を制御する描画制御プログラム101が稼働し、記憶装置上に描画パターンのレイアウトや描画条件を記載したジョブデック102、描画するパターン103、近接効果を補正するための制御パラメータを記述した後方散乱による近接効果補正パラメータ104及び前方散乱による近接効果補正パラメータ111等を格納している。
【0079】
パターンデータ転送処理システム200は、パターン103を一時格納するためのデータメモリ202を持つパターン展開ユニット201、パターンをショットに分割するショット分割部203、パターンをショット毎に分割したデータを一時格納するためのショットメモリ212を持ち、ショット相互の距離を測定して最短距離にあるショットを探索する最短距離ショット検索部211、ショット間の距離に応じてショットの辺の位置を平行移動し、その結果をショットバッファメモリ215に出力すると共に、ショット辺の位置を平行移動したことによる入射電子エネルギーの変化率の分布を示した入射電子エネルギー変化量分布マップ214を出力するショット辺位置補正部213、ショットバッファメモリ215から読み出されたショットデータと、近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム300で作成された近接効果補正量マップを一時格納しておくPECバッファメモリ205から読み出されたショットタイム変調量に基づきショットを生成してショット時間を補正するショット制御部204等から構成される。
【0080】
近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム300は、パターン103を一時格納するためのデータメモリ302を持つパターン展開部301、区画毎に入射電子エネルギーの割合を見積もるための入射電子エネルギーの割合算出部303、見積もった入射電子エネルギー量の割合を格納するための入射電子エネルギー分布マップ304、描画フィールド単位での区画毎の近接効果補正量データを格納した近接効果補正量マップ306を算出するための近接効果補正量の算出部305等から構成される。
【0081】
電子光学系鏡筒及びステージ10は、荷電粒子ビーム源25、荷電粒子ビーム26、ビーム偏向電極24,30,35、ビーム成形スリット31、ビーム成形スリット32、被描画材料28及び被描画材料移動用ステージ27から構成されている。システム構成図としては、図2〜図4に記載されたものを用いる。このように構成されたシステムの動作を説明すれば、以下の通りである。
【0082】
ジョブデック102に記載されたレイアウト・描画条件等に従い、描画制御プログラム101が描画装置に搭載された各種処理装置を制御し、それぞれの処理装置で以下に示す処理を実施する。描画を開始すると、描画制御プログラム101は、ジョブデック102に記載されたパターンデータ103をデータ圧縮された状態で描画制御用計算機システム100のディスク(記憶装置)からパターンデータ転送処理システム200のデータメモリ202へ送る。
【0083】
パターンデータ転送処理システム200のパターン展開ユニット201は、描画のタイミングに合わせてデータメモリ202から一描画単位(1フィールド)分のパターンデータを読み出し、データ圧縮を展開し矩形・台形の形状のパターンを生成しショット分割部203へ送る。ショット分割部203は、描画する荷電粒子ビームの大きさにパターンを分割してXY直交座標軸のどちらかに平行な4辺で構成された矩形の形状をしたショットを生成し、一旦これらをショットメモリ212に蓄える。
【0084】
最短距離ショット探索部211は、ショットメモリ212に蓄えられたショット一つ一つに着目し、個別のショットについて、隣接する周囲のショットについて、上下左右4辺に関して、各辺に対面する辺を持つショットを見つけ出し、各ショット間の距離を求める。
【0085】
隣接するショットは、着目したショットを構成する辺の始点から終点までの範囲内から垂直な方向を探索範囲とし、探索範囲においてその辺と平行な辺までの距離が最短となるショットとする。図5は隣接するショットについての説明図である。(a)〜(c)までの3つの例を示す。(a)において、Aが着目するショット、50aが辺の始点(○印)、50bが辺の終点(□印)である。隣接するショットの定義は、「着目したショットを構成する辺の始点から終点までの範囲内から垂直な方向を探索範囲とし、探索範囲においてその辺と平行な辺までの距離が最短となるショット、即ち個別のショットについて、上下左右4辺に関して各辺に対面する辺を持つショットを探索し、最短距離のものを各辺について隣接するショットとする。」のことであるから、(a)のBが隣接するショットとなる。この場合、ショットAから隣接するショットBまでの距離はaとする。一方、このパターンにはショットCも存在する。しかしながら、このショットCと着目ショットAからの距離はbとなり、a<bであるから、ショットCは隣接するショットではない。
【0086】
(b)について説明する。この図では、ショットCが隣接するショットとなる。ショットBも着目ショットAに近いが、隣接する方向が直交する方向ではないので隣接するショットではない。(c)について説明する。この図では、着目するショットCの上辺に対してはショットBが隣接するショットとなり、その距離はcとなる。一方、隣接するショットAも着目するショットCの左辺に対して対象となり、その距離はbとなる。 一方で、探索範囲は前方散乱による近接効果の影響が及ぶ範囲に限定することができるため、パターンの描画領域全体を前方散乱による近接効果の影響をカバーできるだけの大きさに領域を分割しておき、ショットはその位置毎に何れかのショットメモリ領域に格納されるようにしておく。
【0087】
図6はショット位置の補正の説明図である。(a)はショットメモリ内のショットデータ、(b)はパラメータ、(c)はバッファメモリ内のショットデータを示している。(a)では、着目するショットAの周囲にショットBとショットCがあり、ショットAとショットB間の距離aが、ショットAとショットC間の距離bに比較して小さいため、ショットBを隣接するショットとした場合を示している。
【0088】
(b)は辺の位置の補正量を示す図である。横軸は隣接ショット間距離、縦軸は辺の位置補正量を示す。隣接ショット間距離に応じたショット辺片側あたりの位置補正量の関係を表すパラメータである。この図の例では、隣接ショット間距離がaであるので、aに対応する特性曲線の値がdlとなっている。隣接ショット距離が0の場合、或いは隣接するショットが前方散乱による近接効果の影響を及ぼさないような最短距離である場合は、ショット辺の位置補正量は±0nmとする。
【0089】
(c)は辺の位置補正を示す図である。ショット位置Aの位置補正は、(b)に示すようにdlである。辺の端からdlだけ辺の位置をシフトする。この結果、補正後のショット辺の位置は、50になる。51は補正前のショット辺の位置である。ショットBとCはショットA’の位置が補正され次第、バッファメモリに出力される。A’は補正後のショットのことである。なお、図6(b)に示すショットの辺の位置を補正する補正データは、予め測定によって得られたデータである。
【0090】
図7はショット分割部203からのパターンデータをショットサイズ毎に分割したショットをショットメモリ212に格納する様子を概念的に表した図である。55はショットメモリ212内の記憶領域で、該記憶領域は荷電粒子ビーム描画領域を小領域単位55にメッシュ分割したものである。ショット分割部203は、小領域単位56毎に記憶されたショットを読み出してショットを行なう。このようにすることで、ほとんどのショットはそのショットが格納されている一つの小領域単位56内を探索することによって前方散乱による近接効果の影響が及ぶ隣接ショットを見つけ出すことができるようになる。
【0091】
ただし、分割された小領域単位56周縁部に位置するショットについては、隣接するショットがそのショットが格納されている小領域単位外に存在する可能性があるため、隣接する小領域単位内も併せて探索する。
【0092】
図8は隣接ショットの探索方法を説明する説明図である。(a)と(b)の2つの例を示している。60は一つの小領域単位を、61は着目するショットが存在する小領域単位(図7の56に同じ)、62は電子ビームによるショットを、63は着目するショット、64は着目するショットに隣接するショット、65は着目するショットと同じ小領域単位に存在するショット、66は着目するショットに隣接するショットのうち、着目するショットと異なる小領域単位に存在するショットである。
【0093】
ショット辺位置補正部213は、予め描画制御用計算機システム100のディスクにパラメータ111として記憶しておいた隣接ショット間距離と相対するショット辺の片側あたりの位置補正量の関係に従い、着目したショットの位置と大きさを修正したショットを生成し、ショットバッファメモリ215に出力すると共に、このようなショットを生成した結果、変化した入射電子エネルギーの割合を、後方散乱による近接効果の影響を見積もるための区画当たりの入射電子エネルギー変化量マップ214として算出する。そして、該算出されたマップをパターンデータ転送処理システム200は、近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム300に送る(図2,図3及び図4中の線丸11)。
【0094】
隣接ショット間の距離と相対するショット辺の片側あたりの位置補正量の関係を表すパラメータには隣接ショット距離がゼロの場合のパラメータも含めるが、この場合両者のショットは密着しているのでショット辺の片側当たりの位置補正量はゼロと定義する。本来であれば、着目したショットとこれに隣接するショットの両方のショット辺の位置を補正する必要があるが、逆に隣接したショットに着目した場合に、今まで着目していたショットが必ずしもこれに隣接したショットになるとは限らないため、ここでは着目したショットについてのみ片側あたりの補正量分だけ辺の位置を平行移動して補正する。
【0095】
更に、着目したショットは後続するショットから隣接ショットとして探索されることもあるため、ショットメモリ内では補正することなくそのまま保持しておく(ショットバッファメモリ215へは着目したショットの位置と大きさを修正したショットを送っておく)。こうして全てのショットに着目し、それぞれの4辺の位置を補正する。
【0096】
このような処理と並行して、近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム300では、前記パターンデータ転送処理システム200から送られてきた前記入射電子エネルギー変化量マップ214に基づいて近接効果補正値の再計算を行ない近接効果補正のための近接効果補正量マップ(ショット時間変調量の分布)306を作成し、前述の1描画単位分に相当する近接効果補正量マップ306をショット制御部204のPECバッファメモリ205に送る(図3及び図4の線丸10)。
【0097】
この時、前述の通り前方散乱による近接効果を補正するためにショットの辺の位置補正をした結果、後方散乱による近接効果の影響を見積もるための区画当たりに入射される荷電粒子エネルギー量の割合が変化するため、この影響を考慮した上で後方散乱による近接効果を補正し、またショットの辺を平行移動させたことによって変化した入射電子エネルギー量の変化率の分布マップ(図3の214)を作成し、これで入射電子エネルギーの割合を補正しながら近接効果補正量を算出する。
【0098】
ショット制御部204は、ショットバッファメモリ215から前述の修正されたショットを読み出し、その位置に応じてPECバッファメモリ205に格納されている近接効果補正量マップに基づくショット時間をそれぞれのショットに設定し、ショット時間制御用ビーム偏向アンプ23を通じてビーム偏向電極24に電圧を印加し、荷電粒子ビーム源25から放出された電子ビーム26が被描画材料移動用ステージ27に固定された被描画材料28上に照射される時間を制御する。
【0099】
一方、修正された大きさのショットを電子ビーム26で形成するために、ショット図形の大きさに基づき、ショットサイズ制御用ビーム偏向アンプ29を通じてビーム偏向電極30に電圧を印加し、ビーム成形スリット31とビーム成形スリット32を通る電子ビーム26を偏向し、所望の大きさの成形電子ビームを作る。更に修正されたショットの位置に応じて、ステージ位置制御ユニット33を通じて被描画材料移動用ステージ27を移動して電子ビーム26の偏向領域内に描画フィールドを設定し、ショット位置制御用ビーム偏向アンプ34を通じてビーム偏向電極35に電圧を印加し、描画フィールド内の所望する位置に成形電子ビームを照射する。
【0100】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0101】
荷電粒子ビーム描画装置において、パターンを描画する際に、個別のショットについて、隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうことによって、前方散乱による近接効果補正の影響を補正し、被描画材料上に所望の寸法の描画パターンを形成することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 電子光学系及びステージ制御システム
23 ショット時間制御用ビーム偏向アンプ
24 ビーム偏向電極
25 電子ビーム源
27 被描画材料移動用ステージ
28 被描画材料
29 ショットサイズ制御用ビーム偏向アンプ
30 ビーム偏向電極
31 ビーム成形スリット
32 ビーム成形スリット
33 ステージ位置制御ユニット
35 ビーム偏向電極
41 エネルギー分布基準テーブル
42 電子エネルギー積算部
43 蓄積エネルギー分布マップ
44 蓄積エネルギー積算テーブル
45 蓄積エネルギー換算部
46 近接効果補正量マップ
47 蓄積エネルギー換算テーブル
48 電子エネルギー積算部
49 蓄積エネルギー分布マップ
50 蓄積エネルギー換算部
51 近接効果補正量マップ
100 描画制御用計算機システム
101 描画制御プログラム
102 ジョブテック
103 パターン
104 後方散乱による近接効果補正パラメータ
200 パターンデータ転送処理システム
201 パターン展開部
202 データメモリ
203 ショット分割部
204 ショット制御部
205 PECバッファメモリ
211 最短距離ショット探索部
212 ショットメモリ
213 ショット辺位置補正部
214 入射電子エネルギー変化量分布マップ
215 ショットバッファメモリ
300 近接効果補正用ハードウェアデータ転送システム
301 パターン展開部
302 データメモリ
303 入射電子エネルギーの割合算出部
305 近接効果補正量の算出部
306 近接効果補正量マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置の描画方法において、
個別のショットについて、
隣接するショットとの間の領域について荷電粒子ビームの前方散乱によるレジストに与える吸収エネルギーの大きさの分布を見積もり、
該吸収エネルギーの大きさがレジストの現像及びエッチング等のプロセスに必要なエネルギーレベルを超える範囲を判定し、
判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、
前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なう
ことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置の描画方法。
【請求項2】
材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置の描画方法において、
個別のショットについて、
隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを求め、かつ該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、
前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なう
ことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置の描画方法。
【請求項3】
個別のショットについて、
隣接する周囲のショットについて、上下左右4辺に関してショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に、それぞれ最短距離のショットを求め、求めた最短距離のショットを隣接ショットとする
ことを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子ビーム描画装置の描画方法。
【請求項4】
荷電粒子ビーム描画領域のショットを小領域単位にメッシュ分割した記憶領域を持つショットメモリに格納し、該小領域単位で個別のショットについて、上下左右4辺に関して該ショットの辺の始点から終点までの範囲に垂直な方向に隣接するショットを探索し、
最短距離のものを各辺についての隣接するショットとする
ことを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子ビーム描画装置の描画方法。
【請求項5】
個別のショットについて、
隣接するショットとの間の最短距離が零になる場合又は前記隣接するショットが前方散乱の近接効果の影響が及ばないような最短距離の場合には、各ショットの隣接ショットに面する辺の位置を補正しない
ことを特徴とする請求項3又は4記載の荷電粒子ビーム描画装置の描画方法。
【請求項6】
材料面上に塗布されたレジストに可変成形された荷電粒子ビームを順次ショットすることにより前記材料面上にパターンを描画すると共に成形荷電粒子ビームのショット時間を予め計算により求めた近接効果補正値に基づいて変化させる荷電粒子ビーム描画装置において、
個別のショットについて、
隣接するショットとの間の領域に応じて荷電粒子ビームの前方散乱によるレジストに与える吸収エネルギーの大きさの分布を見積もり、
該吸収エネルギーの大きさがレジストの現像及びエッチング等のプロセスに必要なエネルギーレベルを超える範囲を判定し、
該判定結果に基づいて各ショットの隣接ショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを作成する演算手段と、
該補正ショットデータに基づいて後方散乱の影響による近接効果の補正値を算出し、前記補正ショットデータと該補正値に基づいてショットを行なうショット手段と
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項7】
前記演算手段は、隣接するショットとの間に応じた辺の補正量の関係を表すテーブルを有し、該テーブルから隣接するショットとの間の距離に応じた辺の補正量を読み出して補正ショットデータを作成する
ことを特徴とする請求項6記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項8】
前記ショット手段は、前記算出された近接効果補正値に基づいて荷電粒子ビームのショット時間を制御するブランキング手段と、
前記補正ショットデータに基づいて成形荷電粒子ビームのサイズを決める成形偏向手段と、
前記補正ショットデータに基づいて前記成形荷電粒子ビームの材料面上の照射位置を決める位置偏向手段と
からなることを特徴とする請求項6記載の荷電粒子ビーム描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−60054(P2012−60054A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204193(P2010−204193)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】