説明

莢果選別装置

【課題】莢果が搬送方向において重なることを抑制する。
【解決手段】莢果選別装置10では、整列部12が振動されて、莢果20が供給台18上、第1整列台22上及び第2整列台24上をこの順で前側に搬送される。さらに、コンベヤ部28が莢果20を前側に搬送して、第1センサ部42及び第2センサ部48が莢果20を測定することで、エジェクタ56が莢果20を選別する。ここで、整列部12では、第1整列台22(第1収容部22A)と第2整列台24(第2収容部24A)との間の段差26によって莢果20が落下される。このため、仮に第1整列台22上で莢果20が前後方向において重なっている場合でも、莢果20が第1整列台22上から第2整列台24上に落下されて、莢果20に落下の衝撃が作用されることで、第2整列台24上で莢果20が前後方向において重なることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、莢果を選別する莢果選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のエダマメ莢の精選別装置では、上位の搬入コンベアが搬送して落下するエダマメ莢の画像をCCDカメラで取得し、画像処理部でエダマメ莢の外形形状と変色部の抽出を行う。
【0003】
ここで、このようなエダマメ莢の精選別装置では、上位の搬入コンベアが搬送するエダマメ莢が搬送方向において重なることを抑制する(分離される)ことで、エダマメ莢の画像をCCDカメラで取得する際に、エダマメ莢が落下方向において重なることを抑制できて(分離できて)、エダマメ莢の選別精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−279524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、搬送手段によって搬送される莢果が搬送方向において重なることを抑制できる莢果選別装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の莢果選別装置は、下側へ向かうに従い幅方向寸法を小さくされた収容部が設けられた搬送部が複数設けられ、複数の前記搬送部が振動されることで複数の前記搬送部を莢果が前記収容部に収容された状態で搬送されると共に、前記搬送部と前記搬送部との間に莢果が落下される段差が設けられた搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された莢果を測定する測定手段と、前記測定手段による莢果の測定結果に基づき莢果を選別する選別手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の莢果選別装置は、請求項1に記載の莢果選別装置において、前記収容部は、莢果の長手方向を莢果の搬送方向に向かせた状態で莢果を収容可能にされている。
【0008】
請求項3に記載の莢果選別装置は、請求項1又は請求項2に記載の莢果選別装置において、前記搬送手段と前記測定手段との間に設けられ、上面を平面状にされて前記搬送手段によって搬送された莢果が載置された状態で移動されることで莢果が搬送される移動部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の莢果選別装置では、搬送手段に搬送部が複数設けられると共に、搬送部の収容部が下側へ向かうに従い幅方向寸法を小さくされており、複数の搬送部が振動されることで、複数の搬送部を莢果が収容部に収容された状態で搬送される。さらに、搬送手段によって搬送された莢果を測定手段が測定し、測定手段による莢果の測定結果に基づき選別手段が莢果を選別する。
【0010】
ここで、搬送手段では、搬送部と搬送部との間に設けられた段差によって莢果が落下される。このため、莢果が搬送方向において重なることを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の莢果選別装置では、収容部が、莢果の長手方向を莢果の搬送方向に向かせた状態で莢果を収容可能にされている。このため、莢果が収容部に収容されることで、莢果が長手方向を搬送方向に向けられる。これにより、莢果の長手方向を容易に莢果の搬送方向に向けることができる。
【0012】
請求項3に記載の莢果選別装置では、搬送手段と測定手段との間に移動部が設けられており、搬送手段によって搬送された莢果が移動部に載置された状態で移動部が移動されることで、莢果が搬送される。
【0013】
ここで、移動部が、上面を平面状にされると共に、上述の如く移動される。このため、仮に搬送手段によって搬送された莢果が移動部に載置された際に起立姿勢にされても、莢果が、移動部の移動力によって転倒されて、平面状の移動部上で寝姿勢にされる。これにより、莢果の姿勢を容易に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置を示す右方から見た模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置における整列部を示す右斜め前方から見た斜視図である。
【図3】(A)及び(B)は、本発明の実施の形態に係る莢果選別装置における整列部の整列台を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置におけるコンベヤ部を示す右斜め後方から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置におけるコンベヤ部を示す右方から見た断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置におけるコンベヤ部を示す後方から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の実施の形態に係る莢果選別装置10が右方から見た模式図にて示されている。なお、図面では、莢果選別装置10の前方を矢印FRで示し、莢果選別装置10の右方を矢印RHで示し、莢果選別装置10の上方を矢印UPで示す。
【0016】
図1に示す如く、本実施の形態に係る莢果選別装置10は、後部において、搬送手段(第1搬送手段)としての整列部12を備えている。
【0017】
図2に示す如く、整列部12には、右端及び左端において、長尺板状の側板14が設けられており、一対の側板14は、それぞれ前後方向に長尺にされると共に、左右方向において互いに対向されている。一対の側板14は、それぞれ一対のリンク16の上端に回動可能に支持されており、これにより、整列部12が各リンク16によって支持されている。各リンク16は、下方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されて配置されると共に、下端が回動可能に支持されており、整列部12が駆動されることで、各リンク16が下端を中心として所定範囲で往復回動(往復揺動)されて、整列部12が姿勢を維持された状態で前斜め上方と後斜め下方とへ向かう方向に振動(往復回動)される。
【0018】
整列部12の後部には、供給部としての平板状の供給台18が設けられており、供給台18は、一対の側板14間に架け渡されて、水平に配置されている。供給台18の後斜め上方には、供給手段としての供給コンベヤ(図示省略)が設けられており、供給台18上には、供給コンベヤから莢果20(本実施の形態では枝豆の莢果)が落下されて供給される(莢果20の単位時間当たりの供給量は略一定にされる)。供給台18上の左右方向中央部には、分散手段としての断面略逆V字形板状の均分板18Aが固定されており、均分板18Aの右側部分は右方へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されると共に、均分板18Aの左側部分は左方へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されている。このため、供給コンベヤから落下されて供給台18上に供給される莢果20が、均分板18Aによって左右方向に均等に分散される。さらに、供給台18上に供給された莢果20は、整列部12の振動(供給台18の振動)によって前側に搬送される。
【0019】
整列部12には、供給台18の前側において、搬送部としての板状の第1整列台22(図3の(A)及び(B)参照)が設けられており、第1整列台22は、一対の側板14間に架け渡されて、水平に配置されている。第1整列台22は、供給台18より下側に配置されており、供給台18上を前側に搬送された莢果20は、供給台18上から第1整列台22上に落下(載置)されて、整列部12の振動(第1整列台22の振動)によって第1整列台22の前側に搬送される。
【0020】
第1整列台22には、所定数(本実施の形態では5個)の収容部としての第1収容部22Aが左右方向に等間隔で形成されており、第1収容部22Aは、第1整列台22の前後方向全体に亘って配置されている。第1収容部22Aの断面は、逆二等辺三角形状(特に逆直角二等辺三角形状)にされており、第1収容部22Aは、上面が開放されると共に、底面が断面V字状にされて左右方向(幅方向)寸法が下方へ向かうに従い小さくされている。このため、第1整列台22上の莢果20が第1収容部22Aに収容されて寝姿勢(水平姿勢)にされることで、第1収容部22Aによって莢果20が長手方向を前後方向(搬送方向)へ向けられる。
【0021】
整列部12には、第1整列台22の前側において、搬送部としての板状の第2整列台24(図3の(A)及び(B)参照)が設けられており、第2整列台24は、一対の側板14間に架け渡されて水平に配置されると共に、第1整列台22に比し前後方向寸法が長くされている(例えば2倍にされている)。第2整列台24は、第1整列台22より下側に配置されており、第1整列台22と第2整列台24との間には、上下方向への所定間隔(例えば50mm)の段差26が形成されている。このため、第1整列台22上を前側に搬送された莢果20は、第1整列台22上から第2整列台24上に落下(載置)されて、整列部12の振動(第2整列台24の振動)によって第2整列台24の前側に搬送される。
【0022】
第2整列台24には、所定数(本実施の形態では5個)の収容部としての第2収容部24Aが左右方向に等間隔で形成されており、第2収容部24Aは、第2整列台24の前後方向全体に亘って配置されている。第2収容部24Aの断面は、逆二等辺三角形状(特に逆直角二等辺三角形状)にされており、第2収容部24Aは、上面が開放されると共に、底面が断面V字状にされて左右方向(幅方向)寸法が下方へ向かうに従い小さくされている。このため、第2整列台24上の莢果20が第2収容部24Aに収容されて寝姿勢にされることで、第2収容部24Aによって莢果20が長手方向を前後方向(搬送方向)へ向けられる。
【0023】
第1整列台22の各第1収容部22Aと第2整列台24の各第2収容部24Aとは、それぞれ左右方向位置が一致されている。このため、第1整列台22の第1収容部22Aに収容された状態で前側に搬送された莢果20は、第1整列台22上から第2整列台24上に落下されて、通常、当該第1収容部22Aの前側の第2収容部24Aに収容される。
【0024】
図1に示す如く、整列部12の前側には、第2搬送手段としてのコンベヤ部28が設けられている。
【0025】
図4及び図5に示す如く、コンベヤ部28には、右端及び左端において、長尺板状の支持板30が設けられており、一対の支持板30は、それぞれ前後方向に長尺にされると共に、左右方向において互いに対向されている。一対の支持板30の後部間には、円柱状の後ローラ32が回転可能に架け渡されると共に、一対の支持板30の前部間には、円柱状の前ローラ34が回転可能に架け渡されており、後ローラ32は、前ローラ34に比し、径が小さくされている。
【0026】
後ローラ32と前ローラ34との間には、移動部材としての無端帯状のコンベヤベルト36が所定数(本実施の形態では5個)巻き掛けられており、コンベヤ部28が駆動されることで、後ローラ32及び前ローラ34が回転されて、所定数のコンベヤベルト36が回動される。所定数のコンベヤベルト36は、それぞれ前後方向に沿って配置されると共に、左右方向に等間隔で配置されている。コンベヤベルト36の上端部分は、移動部36Aにされており、移動部36Aは、水平に配置されると共に、上面が長尺平面状にされている。移動部36Aは、コンベヤベルト36の回動によって、前側へ移動される。
【0027】
コンベヤベルト36の移動部36Aは、第2整列台24より下側に配置されており、第2整列台24上を前側に搬送された莢果20は、第2整列台24上から移動部36A上に落下(載置)されて、移動部36Aの移動によって前側に搬送される。移動部36Aの移動による莢果20の前側への搬送速度は、整列部12の振動による莢果20の前側への搬送速度に比し、大きくされており、これにより、移動部36Aの移動によって前側に搬送される莢果20間の前後方向間隔が適度にあけられる。
【0028】
第2整列台24の各第2収容部24Aと各コンベヤベルト36の移動部36Aとは、それぞれ左右方向位置が一致されている。このため、第2整列台24の第2収容部24Aに収容された状態で前側に搬送された莢果20は、通常、当該第2収容部24Aの前側の移動部36A上に落下される。
【0029】
図6に示す如く、隣設されたコンベヤベルト36の移動部36A間及び隣設された支持板30とコンベヤベルト36の移動部36Aとの間には、制限部材(仕切部材)としての長尺で断面五角形枠状の仕切枠38が設けられており、仕切枠38は、前後方向に沿って配置されると共に、移動部36Aに対し僅かに上側に離間されている。第2整列台24上を前側に搬送されて落下される莢果20は、仕切枠38と仕切枠38との間に収容されて移動部36A上で寝姿勢にされることで、仕切枠38と仕切枠38との間で長手方向を前後方向(搬送方向)へ向けられる(莢果20の長手方向が前後方向に対し多少(例えば45°以内(特に30°以内)の角度)傾斜されてもよい)。
【0030】
図1に示す如く、各コンベヤベルト36の移動部36Aの上側には、仕切枠38より前側において、測定手段を構成する第1センサ部42(光電センサ)が設けられている。各第1センサ部42は、被覆部材としての逆U字形枠状の支持枠44に支持されており、支持枠44は、各仕切枠38の前端の上側、右側及び左側を被覆している(図4及び図5参照)。第1センサ部42は、光を感知するセンサであり、第1センサ部42には、投光部と受光部とが設けられている。投光部と受光部とは、それぞれ移動部36Aの右側と左側とに配置されて、左右方向において互いに対向されており、投光部は、受光部へ向けて一定時間(例えば2msec)毎に一定光量の光を投光可能にされると共に、受光部は、投光部から投光された光を受光可能にされている。
【0031】
移動部36A上で前側に搬送される莢果20が第1センサ部42の投光部と受光部との間を通過する際には、受光部が、投光部から投光されて莢果20に遮られた光を受光せずに、投光部から投光されて莢果20に遮られない光を受光する。このため、莢果20の厚さが厚い位置程、受光部が少量の光を受光することで、第1センサ部42は、受光部が受光した光の光量に基づき、莢果20の連続する長手方向位置毎の厚さを測定可能にされている。また、投光部と受光部との間を莢果20が通過しない際には、受光部が最高光量の光(投光部から投光された光を受光できる最大量の光)を受光するため、受光部が受光する光の光量が最高光量未満になってから再度最高光量になる間に、投光部と受光部との間を莢果20が通過していると判断されて、第1センサ部42が莢果20の通過を検出する。
【0032】
第1センサ部42は、判別手段(制御手段)としての制御部46に電気的に接続されており、制御部46は、第1センサ部42による莢果20の長手方向位置毎の厚さについての測定結果に基づき、莢への豆(子実、実)の収容状態(莢果20の熟度であり莢に収容される豆の厚さ及び個数)を判別する。
【0033】
移動部36A上で前側に搬送されて第1センサ部42を通過した莢果20は、コンベヤベルト36の前端から、長手方向を上下方向へ向けられた状態で、自由落下する。
【0034】
コンベヤ部28の前側かつ下側には、測定手段を構成する第2センサ部48が設けられている。
【0035】
第2センサ部48には、光源としてのランプ50(例えば棒状の蛍光灯)が設けられており、ランプ50は、各コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡の後側に配置されて、各コンベヤベルト36の前端から自由落下する莢果20に後側から光を照射する。
【0036】
ランプ50の前側には、撮像手段を構成する透過光撮像手段としての透過光カメラ52(例えばCCDカメラ)が設けられており、透過光カメラ52は、各コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡を挟んでランプ50と前後方向において対向すると共に、後方に向けられている。透過光カメラ52は、制御部46に電気的に接続されており、制御部46は、各第1センサ部42が莢果20の通過を検出したタイミングから導出される莢果20の長手方向中央が透過光カメラ52の後方に到達するタイミングで透過光カメラ52を作動させて、透過光カメラ52がランプ50から照射されて莢果20を透過した透過光によって莢果20を撮像する。
【0037】
ランプ50の下側には、撮像手段を構成する反射光撮像手段としての反射光カメラ54(例えばCCDカメラ)が設けられており、反射光カメラ54は、各コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡の後側に配置されて、前斜め上方に向けられている。反射光カメラ54は、制御部46に電気的に接続されており、制御部46は、各第1センサ部42が莢果20の通過を検出したタイミングから導出される莢果20の長手方向中央が反射光カメラ54の前斜め上方に到達するタイミングで反射光カメラ54を作動させて、反射光カメラ54がランプ50から照射されて莢果20に反射された反射光によって莢果20を撮像する。
【0038】
制御部46は、透過光カメラ52が撮像した莢果20の透過光撮像画像、又は、莢果20の透過光撮像画像を二値化処理した莢果20の透過光二値化画像に基づき、莢果20における莢への豆の収容状態(莢果20の熟度)を測定して判別する。さらに、制御部46は、反射光カメラ54が撮像した莢果20の反射光撮像画像、又は、莢果20の反射光撮像画像を二値化処理した莢果20の反射光二値化画像に基づき、莢果20の損傷状態(特に変色状態)を測定して判別する。しかも、制御部46は、莢果20の透過光撮像画像、莢果20の透過光二値化画像、莢果20の反射光撮像画像、又は、莢果20の反射光二値化画像に基づき、莢果20の長手方向端部の裂け状態(特に果梗の裂け状態)、莢果20の大きさ及び莢果20の形状を測定して判別する。
【0039】
これにより、制御部46は、第1センサ部42及び第2センサ部48の少なくとも一方の測定結果により判別した莢果20における莢への豆の収容状態、莢果20の損傷状態、莢果20の長手方向端部の裂け状態、莢果20の大きさ、及び、莢果20の形状の少なくとも1つに基づき、莢果20が複数の等級(本実施の形態では良品及び不良品の2つの等級)の何れであるかを判別(判定)する。例えば、莢に特定厚さ以上の豆が所定数(例えば2つ)以上収容されている莢果20は、良品と判別されると共に、良品以外の莢果20は、不良品と判別される。
【0040】
第2センサ部48の下側には、選別手段としてのエジェクタ56が所定数(本実施の形態では5個)設けられており、所定数のエジェクタ56は、左右方向へ並べられている。各エジェクタ56は、各コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡の前側(後側でもよい)に配置されており、コンベヤベルト36の前端から自由落下した莢果20は、第2センサ部48を通過した後に、当該コンベヤベルト36に対応する(当該コンベヤベルト36と左右方向位置が一致する)エジェクタ56の後方に到達する。
【0041】
エジェクタ56は、制御部46に電気的に接続されており、制御部46は、莢果20が不良品であると判別した場合に、当該莢果20の通過を第1センサ部42が検出したタイミングから導出される当該莢果20がエジェクタ56の後方に到達するタイミングで、当該エジェクタ56を作動させて、当該エジェクタ56が高圧の空気を瞬間的に後方の当該莢果20へ噴出することで、当該莢果20の落下軌道が後側に変更される。このため、各コンベヤベルト36の前端から落下する莢果20が、高圧の空気を噴出されずにそのまま自由落下する良品と、高圧の空気を噴出されて落下軌道を後側に変更される不良品と、に選別される。
【0042】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0043】
以上の構成の莢果選別装置10では、整列部12が駆動されることで、各リンク16が下端を中心として所定範囲で往復回動されて、整列部12(供給台18、第1整列台22及び第2整列台24)が姿勢を維持された状態で前斜め上方と後斜め下方とへ向かう方向に振動される。
【0044】
このため、供給コンベヤから莢果20が落下されて供給台18上に供給されることで、莢果20が供給台18上、第1整列台22上(特に第1収容部22A内)及び第2整列台24上(特に第2収容部24A内)をこの順で前側に搬送される。
【0045】
さらに、コンベヤ部28が駆動されて、後ローラ32及び前ローラ34が回転されることで、所定数のコンベヤベルト36が回動されて、各コンベヤベルト36の移動部36Aが前側に移動される。
【0046】
このため、第2整列台24上から各コンベヤベルト36の移動部36A上に莢果20が落下されることで、莢果20が移動部36Aの移動によって前側に搬送される。また、第2整列台24上から落下される莢果20は、移動部36Aの左右方向(幅方向)両側の仕切枠38と仕切枠38との間に収容されて移動部36A上で寝姿勢にされることで、仕切枠38と仕切枠38との間で長手方向を前後方向へ向けられる。
【0047】
各コンベヤベルト36の移動部36A上で前側に搬送される莢果20は、第1センサ部42の投光部から受光部へ向けて一定時間毎に投光される光を遮ることで、第1センサ部42が、受光部が受光した光の光量に基づき、莢果20の長手方向位置毎の厚さを測定する。
【0048】
移動部36A上で前側に搬送されて第1センサ部42を通過した莢果20は、コンベヤベルト36の前端から、長手方向を上下方向へ向けられた状態で、自由落下する。
【0049】
第2センサ部48では、コンベヤベルト36の前端から自由落下する莢果20を、透過光カメラ52がランプ50から照射されて当該莢果20を透過した透過光によって撮像すると共に、反射光カメラ54がランプ50から照射されて当該莢果20に反射された反射光によって撮像する。
【0050】
これにより、制御部46は、第1センサ部42及び第2センサ部48の少なくとも一方の測定結果により判別した莢果20における莢への豆の収容状態、莢果20の損傷状態、莢果20の長手方向端部の裂け状態、莢果20の大きさ、及び、莢果20の形状の少なくとも1つに基づき、莢果20が良品及び不良品の何れであるかを判別する。
【0051】
コンベヤベルト36の前端から自由落下した莢果20は、第2センサ部48を通過した後に、エジェクタ56の後方に到達する。
【0052】
制御部46は、莢果20が不良品であると判別した場合に、エジェクタ56を作動させて、エジェクタ56が高圧の空気を瞬間的に後方の当該莢果20へ噴出することで、当該莢果20の落下軌道が後側に変更される。このため、各コンベヤベルト36の前端から落下する莢果20が、高圧の空気を噴出されずにそのまま自由落下する良品と、高圧の空気を噴出されて落下軌道を後側に変更される不良品と、に選別される。これにより、莢果20が良品と不良品とに効率良く自動で選別される。
【0053】
ここで、整列部12では、第1整列台22(第1収容部22A)に対し第2整列台24(第2収容部24A)が下側に配置されており、第1整列台22(第1収容部22A)と第2整列台24(第2収容部24A)との間に設けられた段差26によって莢果20が落下される。このため、仮に第1整列台22上で莢果20が前後方向において重なっている(山状に重なっている)場合でも、第1整列台22及び第2整列台24の振動により莢果20が第1整列台22上から第2整列台24上に落下されて、莢果20に落下の衝撃が作用されることで、第2整列台24上で莢果20が前後方向において重なることを抑制できて、莢果20を前後方向において効果的に分離できる。
【0054】
さらに、第1整列台22の第1収容部22A内に莢果20が自重及び第1整列台22の振動により収容されて寝姿勢にされることで、莢果20が第1収容部22Aによって長手方向を前後方向に向けられると共に、第2整列台24の第2収容部24A内に莢果20が自重及び第2整列台24の振動により収容されて寝姿勢にされることで、莢果20が第2収容部24Aによって長手方向を前後方向に向けられる。このため、第1収容部22A内及び第2収容部24A内で莢果20の長手方向を容易に前後方向に向けることができる。
【0055】
このように、第2整列台24上で莢果20が前後方向において重なることを抑制できると共に、第1整列台22の第1収容部22A内及び第2整列台24の第2収容部24A内で莢果20の長手方向を容易に前後方向に向けることができる。このため、第2整列台24上では、第2収容部24A内において、長手方向を前後方向に向けられた状態の莢果20を前後方向に整列させることができる。これにより、第2整列台24の第2収容部24Aから莢果20を1個ずつ時間間隔をあけてコンベヤ部28のコンベヤベルト36の移動部36A上に落下させることができ、移動部36Aが前側に移動されることで、移動部36A上で、莢果20が前後方向において重なることを効果的に抑制できて、莢果20を前後方向において良好に分離できる。
【0056】
さらに、コンベヤベルト36の移動部36Aが、上面を平面状にされると共に、前側に移動される。このため、仮に莢果20が第2整列台24上から移動部36A上に落下された際に起立姿勢にされても、莢果20が下端において移動部36Aの前側への移動力を作用されて転倒されることで、平面状の移動部36A上で寝姿勢にされる。これにより、移動部36A上で莢果20の姿勢を安定させることができる。
【0057】
しかも、移動部36A上の莢果20は、寝姿勢にされる際に、移動部36Aの左右方向両側の仕切枠38と仕切枠38との間に収容されることで、仕切枠38と仕切枠38との間で長手方向を前後方向へ向けることができる。
【0058】
このように、移動部36A上では、莢果20を前後方向において良好に分離できると共に、莢果20の長手方向を前後方向へ向けることができ、かつ、莢果20の姿勢を安定させることができる。
【0059】
このため、第1センサ部42が莢果20の長手方向位置毎の厚さを高精度に測定できる。
【0060】
しかも、コンベヤベルト36の前端から莢果20が自由落下する際には、莢果20が上下方向において良好に分離できると共に、莢果20の長手方向を上下方向へ向けることができる。これにより、第2センサ部48では、透過光カメラ52及び反射光カメラ54が、コンベヤベルト36の前端から自由落下する莢果20を、適切に撮像できて、高精度に測定できる。
【0061】
以上により、第1センサ部42及び第2センサ部48の測定結果によって莢果20を高精度に選別できる。
【0062】
また、上述の如く、整列部12の第2整列台24の第2収容部24Aから莢果20を1個ずつ時間間隔をあけてコンベヤ部28のコンベヤベルト36の移動部36A上に落下させることができる。このため、第2収容部24Aから移動部36A上に落下される莢果20が仕切枠38と仕切枠38との間に引っ掛かることを抑制でき、当該引っ掛かった莢果20が後に第2収容部24Aから移動部36A上に落下された莢果20の移動部36Aによる搬送を制限することを抑制できる。
【0063】
なお、本実施の形態では、整列部12に2個の整列台(第1整列台22及び第2整列台24)を設けたが、整列部12に3個以上の整列台(搬送部)を設けてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、第1センサ部42が莢果20の通過を検出したタイミングから導出される莢果20の長手方向中央が透過光カメラ52の後方に到達するタイミングで透過光カメラ52が莢果20の測定用画像を撮像する。しかしながら、莢果20の長手方向中央が透過光カメラ52の後方に到達したことを透過光カメラ52が撮像により検出したタイミングで透過光カメラ52が莢果20の測定用画像を撮像してもよい。
【0065】
さらに、本実施の形態では、第1センサ部42が莢果20の通過を検出したタイミングから導出される莢果20の長手方向中央が反射光カメラ54の前斜め上方に到達するタイミングで反射光カメラ54が莢果20の測定用画像を撮像する。しかしながら、莢果20の長手方向中央が反射光カメラ54の前斜め上方に到達したことを反射光カメラ54が撮像により検出したタイミングで反射光カメラ54が莢果20の測定用画像を撮像してもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、制御部46が第1センサ部42及び第2センサ部48の少なくとも一方の測定結果に基づき莢果20の良品と不良品とを判別する。この場合、制御部46は、第1センサ部42の測定結果に基づき不良品と判別した莢果20及び第2センサ部48の測定結果に基づき不良品と判別した莢果20を不良品と判別して、第1センサ部42の測定結果に基づき良品と判別しかつ第2センサ部48の測定結果に基づき良品と判別した莢果20のみを良品と判別してもよい。
【0067】
しかも、本実施の形態では、不良品と判別された莢果20の通過を第1センサ部42が検出したタイミングから導出される当該莢果20がエジェクタ56の後方に到達するタイミングで、エジェクタ56が作動される。
【0068】
しかしながら、これと共に、又は、これに代えて、不良品と判別された莢果20が透過光カメラ52の後方に到達したことを透過光カメラ52が撮像により検出したタイミング及び当該莢果20が反射光カメラ54の前斜め上方に到達したことを反射光カメラ54が撮像により検出したタイミングの少なくとも一方から導出される当該莢果20がエジェクタ56の後方に到達するタイミングで、エジェクタ56が作動されてもよい。
【0069】
この場合、第1センサ部42の測定結果に基づき不良品と判別された莢果20を第1センサ部42が検出したタイミングから導出される当該莢果20がエジェクタ56の後方に到達するタイミングでエジェクタ56が作動されると共に、第2センサ部48の測定結果に基づき不良品と判別された莢果20を透過光カメラ52及び反射光カメラ54の少なくとも一方が撮像により検出したタイミングから導出される当該莢果20がエジェクタ56の後方に到達するタイミングでエジェクタ56が作動されてもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡の後側にランプ50を配置して、ランプ50がコンベヤベルト36の前端から自由落下する莢果20に後側から光を照射する。しかしながら、これと共に、コンベヤベルト36の前端からの莢果20の落下軌跡の前側にもランプ50を配置して、当該ランプ50がコンベヤベルト36の前端から自由落下する莢果20に前側から光を照射してもよい。この場合、反射光カメラ54のみならず透過光カメラ52も反射光撮像手段(反射光カメラ)にされてランプ50から照射されて莢果20に反射された反射光によって莢果20を撮像することで、透過光カメラ52及び反射光カメラ54によって莢果20の両面を前側及び後側から撮像して測定できる。
【0071】
また、本実施の形態では、莢果20を枝豆の莢果としたが、莢果20をインゲンマメ、エンドウ又はソラマメの莢果としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 莢果選別装置(姿勢調整機構)
12 整列部(搬送手段)
20 莢果
22 第1整列台
22A 第1収容部
24 第2整列台
24A 第2収容部
26 段差
36A 移動部
42 第1センサ部(測定手段)
48 第2センサ部(測定手段)
56 エジェクタ(選別手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側へ向かうに従い幅方向寸法を小さくされた収容部が設けられた搬送部が複数設けられ、複数の前記搬送部が振動されることで複数の前記搬送部を莢果が前記収容部に収容された状態で搬送されると共に、前記搬送部と前記搬送部との間に莢果が落下される段差が設けられた搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された莢果を測定する測定手段と、
前記測定手段による莢果の測定結果に基づき莢果を選別する選別手段と、
を備えた莢果選別装置。
【請求項2】
前記収容部は、莢果の長手方向を莢果の搬送方向に向かせた状態で莢果を収容可能にされた請求項1記載の莢果選別装置。
【請求項3】
前記搬送手段と前記測定手段との間に設けられ、上面を平面状にされて前記搬送手段によって搬送された莢果が載置された状態で移動されることで莢果が搬送される移動部を備えた請求項1又は請求項2記載の莢果選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94763(P2013−94763A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242503(P2011−242503)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】