説明

菌体再使用による高収率のキシリトールの製造方法

本発明は、減圧式微細濾過生物反応器を利用し、発酵培地の組成を、キシロース5〜300g/l、尿素1〜10g/l、二リン酸カリウム1〜10g/l、硫酸マグネシウム0.01〜1g/l、MnSO・4HO 0.1〜10mg/l、CoCl・6HO 0.1〜10mg/l、NaMoO・2HO 0.1〜10mg/l、ZnSO・7HO 0.1〜10mg/l、AlCl・6HO 0.1〜10mg/l、CuCl・2HO 0.1〜10mg/l、HBO 0.01〜5mg/l、FeSO・7HO 1〜100mg/l、アスコルビン酸0.1〜10mg/l、ビオチン1〜100mg/l、コリン1〜100mg/l、葉酸1〜200mg/l、イノシトール1〜100mg/l、ニコチン酸1〜100mg/l、p−アミノ安息香酸0.1〜10mg/l、 パントテン酸1〜100mg/l、ピリドキシン0.1〜10mg/l、リボフラビン10〜1000mg/l、チアミン1〜100mg/lから組成し、キシリトールを高い生産性で且つ連続的に生産する方法を特徴とする高収率のキシリトールの製造方法を提供する。
【代表図】
図5


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧を使用し、微細濾過生物反応器で菌体を濃縮して再使用することにより、キシロースからキシリトールを生産性高く連続的に得る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キシリトールは、1891年に化学者のエミールフィッシャー(Emil Fisher)により発見され、1960年から甘味料として使用されている五炭糖の糖アルコールである。また、キシリトールは、果物、野菜及びキノコなどの自然界に少量存在し、哺乳動物の炭水化物代謝過程中に存在する。キシリトールは、糖度が砂糖と等しく、溶解時に起こる熱減少により、口の中で感じられる清涼感が大きいため、製菓製品の無砂糖原料として使用されており、摂取後、代謝過程がインシュリンとは関係ないため、糖尿病患者の代用糖として利用することができる。
【0003】
キシリトールは、虫歯発生に関わるストレプトコッカス・ミュータンス (Streptococcus mutans)の生育を阻害し、虫歯の発生を抑えると報告されており、歯磨きなどに使用されている。また、メイラード(Maillard)反応に対して化学的に無反応であることも注目すべき特性であり、単糖類であるため、砂糖のように転化することがなく、このため変質の心配なく酸性環境でも使用ができる共に、沸点が95℃であるため、変性することなく沸点まで到達でき、糖衣(sugar-coating)として使用する場合、特に水に溶解して使用する必要がないという長所がある。
【0004】
キシリトールは、植物性原料である白樺、トウモロコシの穂軸などの擬繊維素加水分解物(hemicellulose hydrolysate)を化学的に還元するか、微生物を使用した生物学的転換により、産業的に生産している。しかしながら、化学的方法は、キシロースまたはキシリトールと、擬繊維素部分から生じる他の加水分解物との分離及び精製が難しく、その収率も50〜60%程度に過ぎない。また、アルカリを利用した高温・高圧の反応であるため、危険性と廃棄物の問題が存在するという短所がある。このような短所を解決するために、微生物によるキシリトール生産方法が産業的に開発された。微生物による方法は、高価の方法ではなく、選別的にキシリトールのみを転換させることができるため、反応後のキシリトールの分離精製過程を非常に容易にすることができるが、生産性が2.0〜3.0g/l−h程度に過ぎなく、菌体を1回しか使用できないという短所がある。そのため、従来は、培養が終わると、再培養のために、洗浄及び殺菌など培養の前段階準備を行う必要があって、生産コストの上昇原因となっていた。
【0005】
また、カンジダ属菌体を使用してキシリトールを製造することにおいて、炭素源としてキシロースやキシロース多量含有擬繊維加水分解物が主に使用されて、窒素源としては、酵母抽出物、麦芽抽出物、大豆粕など、様々なビタミンが含有された複合窒素源を使用すると知られている。これは、カンジダ属菌体の栄養要求性が比較的複雑であり、化学合成培地(Chemical synthetic medium)では、キシリトールがほとんど生産できないからである。
【0006】
このように、複合培地の使用による培地費用の上昇がキシリトールの原価上昇の要因となっている実情である。
【0007】
したがって、本発明者らは、上述の微生物生産方法の短所を克服するために、化学的に定義された培地を使用し菌体を培養して、キシリトールが生産できるようにしつつ、反応の完了した培養液から菌体を分離、濃縮して再使用する再循環培養方法を開発して、これを自動化連続培養工程に適用することにより、単一培養工程による生産コストの節減を図ると共に、キシリトールが連続的に得られるようにして、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みて案出されたもので、その目的は、カンジダ属の菌体を培養してキシリトールを得ることができる、化学的に定義された培地を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、菌体を利用したキシリトールの製造方法において、培養後、培養液から菌体と培養濾液とを分離して菌体を濃縮し、濃縮された菌体を再循環して培養する高収率のキシリトールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明は、尿素1〜10g/l、二リン酸カリウム1〜10g/l、硫酸マグネシウム0.01〜1g/l、MnSO・4HO 0.1〜10mg/l、CoCl・6HO 0.1〜10mg/l、NaMoO・2HO 0.1〜10mg/l、ZnSO・7HO 0.1〜10mg/l、AlCl・6HO 0.1〜10mg/l、CuCl・2HO 0.1〜10mg/l、HBO 0.01〜5mg/l、FeSO・7HO 1〜100mg/l、アスコルビン酸0.1〜10mg/l、ビオチン1〜100mg/l、コリン1〜100mg/l、ピリドキシン0.1〜10mg/lからなるカンジダ属菌体種培養用培地組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、カンジダ属菌体を培養して、キシリトールを製造する方法において、前記菌体をキシロース含有培地に接種して生物反応器で培養した後、培養液は排出し、培地は生物反応器に連続的に注入しながら、前記排出された培養液は、菌体と培養濾液とに分離して、前記分離した菌体は、生物反応器に再循環して培養し、前記培養濾液からは、キシリトールを回収する、循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法を提供する。
【0012】
本発明において、前記カンジダ属菌体は、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)及びその突然変異株を使用することが好ましい。
【0013】
本発明の培養で使用される培地は、前記化学的に定義された培地(以下、化学培地)、または酵母抽出物、麦芽抽出物、大豆粕などの複合窒素源を使用した複合培地を使用することができるが、生産費用などの経済的な理由から、化学培地を使用することが好ましい。この際、 炭素源としては、キシロースまたはキシロース多量含有擬繊維加水分解物を使用することができる。
【0014】
そして、前記化学的培地に菌体の生育を円滑にするために、葉酸1〜200mg/l、イノシトール1〜100mg/l、ニコチン酸1〜100mg/l、p−アミノ安息香酸0.1〜10mg/l、 パントテン酸1〜100mg/l、リボフラビン10〜1000mg/l、チアミン1〜100mg/lをさらに加えて使用してもよい。
【0015】
また、本発明は、流加培養または回分培養方法を適用する。
【0016】
また、流加培養を選択する場合は、炭素源のキシロース濃度が培地を基準に40〜50g/lになるように、段階的に追加して培養することが好ましい。この際、攪拌速度は、400〜600rpmにする。
【0017】
一方、本発明の培養において、前記排出された培養液は、減圧式微細濾過管(Microfiltration system using vacuum pressure)または遠心分離機を使用して菌体と培養濾液とに分離するが、特に、自動化システムを活用するためには、減圧式微細濾過管を使用することが好ましく、前記減圧式微細濾過管は、生物反応器とは別に付着して使用してもよく、生物反応器内に設けて使用してもよい。
【0018】
また、前記培養液から菌体と培養濾液とを分離すると、菌体が濃縮されるが、濃縮された菌体を再循環して使用する時は、培地内での濃度が10〜100g/lになるようにして使用することが好ましい。
【0019】
以下、本発明による高収率のキシリトールの製造方法に係る好ましい実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
但し、これらの実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明がこれらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明は、化学的に定義された培地で培養を完了した後、減圧微細濾過生物反応器や遠心分離機により菌体を濃縮し、濃縮された菌体を再使用することにより、キシロースから高い収率のキシリトールを連続的に得ることができる製造方法を提供することができる。
【0022】
これにより、本発明は、従来の発酵方法に比べ、自動化生産工程に適用することができると共に、培養前工程の準備段階の費用を節減することができて、低コストで且つ大量生産が可能なキシリトールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、図4に示したように、減圧式微細濾過器を取り付けた生物反応器装置を通じて、本発明の全体的な製造工程を簡略に説明する。
【0024】
本発明は、生物反応器10で菌体を培養し、培養の完了した培養液は、移送ポンプ20を使用して微細濾過管30に排出して、この際、培養液が注入された微細濾過管30は、円滑な濾過のために、下部空気出入り口32から空気を注入しながら、微細濾過管の両端に固定された中空糸膜(Hollow fiber membrane)32に連結された吸入ポンプ40を作動させると、前記微細濾過管の内部が減圧されて、圧力差が発生し、前記培養液が微細濾過管の両端に固定された中空糸膜32を通過するようになる。この際、前記中空糸膜を通過できなかった菌体は、中空糸膜32の下端部に濃縮され、前記濃縮された菌体は、移送ポンプ20を使用して生物反応器10に戻し再培養して、中空糸膜を通過した培養濾液は、再び吸入ポンプ40により培養濾液タンク(Broth tank)50に移動された後、通常の精製方法によりキシリトールを収得する。
【0025】
一方、濾過の終わった微細濾過管30は、中空糸膜32に反対方向に少々の新しい培地を加え、付いている菌体を落とした後、移送ポンプ20を通じて生物反応器10に移送して、前記中空糸膜に再び空気を注入し、膜を元の状態に戻す。そうしながら新しい培地を生物反応器10に注入し、再び培養を行う。
【0026】
培養の状態は、基質のキシロースと生成物のキシリトールの濃度を測定して、菌体濃度を乾燥重量に換算して判断する。この際、菌体濃度は、標準曲線を利用した濁度計により測定することが好ましい。
【0027】
(実験例)
キシロースとキシリトールの濃度は、Sugar-Pak Iコラム(Millipore, USA)が取り付けられたHPLC(Shimadzu C-R6A, Japan)のRefractive Index Detector(Shimadzu RID-6A, Japan)を利用して測定した。この際、溶媒は、水を使用し、温度は、70℃、流速は、0.6ml/分であった。菌体濃度は、濁度計を利用して600nmで懸濁度を測定し、予め測定した標準曲線を利用して乾燥重量に転換した。溶存酸素濃度は、Ingold社(Swiss, polarographic type)の溶存酸素電極を使用して測定した。
【0028】
実施例1:化学的培地
種培養:公示の菌株であるカンジダトロピカリス KCTC7221を成長培地50mlが入っている250mlフラスコに接種し、240rpm、30℃にして、10時間培養した。
【0029】
本培養:前記種培養液を、キシロース150g/l、尿素5g/l、二リン酸カリウム5g/l、硫酸マグネシウム0.2g/l、金属塩(MnSO・4HO 7mg/l、CoCl・6HO 4mg/l、NaMoO・2HO 2mg/l、ZnSO・7HO 2mg/l、AlCl・6HO 1mg/l、CuCl・2HO 2mg/l、HBO 0.5mg/l、FeSO・7HO 40mg/l)、ビタミン(アスコルビン酸5mg/l、ビオチン10mg/l、コリン25mg/l、葉酸50mg/l、イノシトール10mg/l、ニコチン酸25mg/l、p−アミノ安息香酸1mg/l、 パントテン酸5mg/l、ピリドキシン1mg/l、リボフラビン100mg/l、チアミン25mg/l)からなる化学的に定義された培地が2l入っている7l用発酵槽(Biotron社)に入れて培養した。発酵過程中に、510gのキシロースが含有された1lの溶液を連続的に加え、最終培養液の量が3l(総添加されたキシロースの濃度は、270g/lに該当する)になる流加式培養を行った。攪拌速度を400rpmとして、pHは、発酵の全過程の間に5.0に調節して、培養温度は、30℃、通気量は、1.0vvmに調節した。時間によるキシリトールの生産は、図1に示した。このような方法により270g/lのキシロースから、培養120時間目に240g/lのキシリトールを得た。このような結果は、キシロースに対するキシリトールの収率89%とキシリトールの生産性2.0g/l−hに該当するものであって、安価の化学的制限培地によりキシリトールの生産培地を代替することができるということが分かった。
【0030】
比較例1:複合培地
種培養:公示の菌株であるカンジダトロピカリスKCTC 7221を成長培地50mlが入っている250mlフラスコに接種し、240rpm、30℃で10時間培養した。
【0031】
本培養: 種培養液を、キシロース150g/l、酵母抽出液10g/l、二リン酸カリウム5g/l、硫酸マグネシウム0.2g/lからなる複合培地が2l入っている7l用発酵槽に入れて培養した。発酵過程中に、510gのキシロースが含有された1lの溶液を連続的に加え、最終培養液の量が3l(総添加されたキシロースの濃度は、270g/lに該当する)になる流加式培養を行った。攪拌速度を400rpmにして、pHは、発酵の全過程の間に5.0に調節して、培養温度は、30℃、通気量は、1.0vvmに調節した。時間によるキシリトールの生産は、図2に示した。このような方法により270g/lのキシロースから、培養108時間目に230g/lのキシリトールを得た。このような結果は、キシロースに対するキシリトールの収率85%とキシリトールの生産性2.1g/l−hに該当するものである(図2参照)。
【0032】
実施例2:遠心分離を利用した菌体の再使用循環培養
実施例1の化学培地で培養をした後、キシロースが枯渇される直前に、菌体を5,000rpmで20分間遠心分離した後、新しい化学培地2lに接種して再使用した。この際、培養条件は、前記実施例1と同様にして、キシロースとキシリトールの濃度は、前記実験例の方法を用いて確認した。
【0033】
菌体を14回再使用した結果、遠心分離をしなかった最初の培養は、培養液2lでキシリトール218g、生産性2.3g/l-h、キシロースに対するキシリトール収率74%を示し、遠心分離をした後、14回培養して蓄積した総培養液28lでは、キシリトール3,076g、生産性5.4g/l-h、キシリトール収率82%を示した(図3参照)。
【0034】
このような結果から、最初の培養と比較し、キシリトールの生産量、生産性、及び収率は、それぞれ14倍、2.4倍、8%が増加したことが分かった。
【0035】
したがって、本発明の菌体の再使用によるキシリトールの製造効率性が、従来の1回性回分式培養方法に比べ劣らず、却って著しく優秀であることが分かった。
【0036】
実施例3:減圧式微細濾過管を利用した菌体の再使用循環培養(化学培地)
実施例1の化学培地を利用して生物培養器で培養をした後、キシロースが枯渇される直前に、培養液を生物反応器に付着された減圧式微細濾過管に移送し、使用した菌体と培養濾液とを分離して、新しい化学培地2lを注入した生物反応器に前記分離した菌体を戻して再培養した。培養条件は、前記実施例1と同様にした(図4参照)。
【0037】
この際、使用した減圧式微細濾過管には、孔隙0.45μm、ポリエチレン材質の中空糸膜(Mitsubishi Rayon, Japan)を微細濾過管の両端のシリコンチューブに連結して付着した後、ポンプを利用し減圧濾過をして使用し、キシリトールの濃度は、常に実験例の方法を用いて確認した。
【0038】
その結果、微細濾過をしなかった最初の培養は、培養液2lでキシリトール194g、生産性2.0g/l-h、キシロースに対するキシリトール収率72%を示し、微細濾過をした後、8回培養して蓄積した総培養液16lでは、キシリトール2,026g、生産性5.8g/l-h、キシリトール収率87%を示し、最初の培養に比べ、それぞれ10.4倍、2.9倍、15%増加した(図5参照)。
【0039】
比較例2:減圧式微細濾過管を利用した菌体の再使用循環培養(複合培地)
培養条件は、実施例1と同様にして、比較例1に記載の複合培地で培養した後、キシロースが枯渇される直前に、培養液を生物反応器に付着された減圧式微細濾過管に移送して、使用した菌体と培養濾液とを分離し、新しい複合培地2lを注入した生物反応器に、前記分離した菌体を戻して再培養した。この際、使用した減圧式微細濾過管は、前記実施例3と同様である。
【0040】
微細濾過をしなかった最初の培養は、培養液2lでキシリトール118g、生産性2.5g/l-h、キシロースに対するキシリトール収率79%を示し、微細濾過をした後、7回培養して蓄積した総培養液14lでは、キシリトール972g、生産性5.4g/l-h、キシリトール収率85%を示し、それぞれ8.2倍、2.2倍、6%増加した(図6参照)。
【0041】
このように、前記実施例3と比較例2とを比較した結果、循環培養において、化学培地の方が複合培地よりさらに優れていることが分かった。
【0042】
比較例3:加圧式微細濾過管を利用した菌体の再使用循環培養(化学培地)
実施例1の培養条件と化学培地で培養した後、キシロースが枯渇される直前に、加圧式微細濾過器(Amersham Biosciences, CFP-6-D-4MA, 孔隙0.65μm)を利用して、前記実施例3と同様な方法により、培養菌体は再使用して培養し、培養濾液を回収して培養濾液内のキシリトールの濃度を測定した。
【0043】
図7に示したように、微細濾過をしなかった最初の培養は、培養液2lでキシリトール110g、生産性2.3g/l−h、キシロースに対するキシリトール収率73%を示し、加圧微細濾過をした後、2回培養して蓄積した培養液4lでは、キシリトール179g、生産性2.7g/l-h、キシリトール収率60%を示し、キシリトールと生産性は、それぞれ1.6倍、1.2倍増加したが、収率は、13%減少したことが分かった。
【0044】
したがって、加圧式微細濾過器を使用する場合、菌体の一部が圧力により破壊されると判断される。
【0045】
実施例4
培養条件と培地は、実施例1と同様にして、ただ培養培地の量を2〜5lにそれぞれ異ならせて培養した後、減圧式微細濾過器を利用して菌体を様々な濃度に調節して濃縮し、これを再使用した。
【0046】
濃縮した菌体は、新しい化学培地2lに接種して8時間再培養し、菌体濃度別にキシリトールの総生産性及び比生産性を測定して表1に示した。
【0047】
この際、総生産性は、8時間の間に増加したキシリトール濃度を8時間で除して求め、比生産性は、総生産性を、使用した菌体濃度で除して求めた。
【0048】
その結果、菌体濃度を35g/lに濃縮した場合、10.2g/l-hの生産性と85%の収率が得られて、最も優れていることが分かった。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示したように、減圧式微細濾過器を使用して濃縮した菌体を使用する場合、一般培養法(平均的に48時間に97g/l のキシリトールが生産され、総生産性が2.0g/l-hである)に比べ、5倍の高い生産性と10%高い収率でキシリトールを生産することができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】カンジダトロピカリスを、本発明の化学培地で流加培養し、キシリトールの生産量を時間別に測定して示したグラフである。
【図2】カンジダトロピカリスを複合培地で流加培養し、キシリトールの生産量を時間別に測定して示したグラフである。
【図3】本発明の化学培地でカンジダトロピカリスを1次培養した後、遠心分離により菌体を再使用して培養し、生産したキシリトールを時間別に測定して示したグラフである。
【図4】本発明の好ましい実施例に使用される、菌体再使用による高収率キシリトールの製造装置を示した概略図である。
【図5】本発明の化学培地でカンジダトロピカリスを1次培養した後、減圧式微細濾過管により菌体を再使用して培養し、生産したキシリトールを時間別に測定して示したグラフである。
【図6】複合培地でカンジダトロピカリスを1次培養した後、 減圧式微細濾過管により菌体を再使用して培養し、生産したキシリトールを時間別に測定して示したグラフである。
【図7】本発明の化学培地でカンジダトロピカリスを1次培養した後、加圧式微細濾過管により菌体を再使用して培養し、生産したキシリトールを時間別に測定して示したグラフである。
【符号の説明】
【0052】
10 生物反応器
20 移送ポンプ
30 微細濾過管
32 中空糸膜
40 吸入ポンプ
50 培養濾液タンク
60 ブロワー
11、31 空気出入り口
12、32 空気出入り口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素1〜10g/l、二リン酸カリウム1〜10g/l、硫酸マグネシウム0.01〜1g/l、MnSO・4HO 0.1〜10mg/l、CoCl・6HO 0.1〜10mg/l、NaMoO・2HO 0.1〜10mg/l、ZnSO・7HO 0.1〜10mg/l、AlCl・6HO 0.1〜10mg/l、CuCl・2HO 0.1〜10mg/l、HBO 0.01〜5mg/l、FeSO・7HO 1〜100mg/l、アスコルビン酸0.1〜10mg/l、ビオチン1〜100mg/l、コリン1〜100mg/l、ピリドキシン0.1〜10mg/lからなるカンジダ属菌体種培養用培地組成物。
【請求項2】
カンジダ属菌体を培養して、キシリトールを製造する方法において、
前記菌体をキシロース含有培地に接種して生物反応器で培養した後、培養液は排出し、培地は生物反応器に連続的に注入しながら、前記排出された培養液は、菌体と培養濾液とに分離して、前記分離した菌体は、生物反応器に再循環して培養し、前記培養濾液からは、キシリトールを回収する、循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項3】
前記カンジダ属菌体は、カンジダトロピカリス及びその突然変異株であることを特徴とする、請求項1または2に記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項4】
前記培地は、請求項1に記載の化学培地または複合培地を使用することを特徴とする、請求項2に記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項5】
前記培養は、流加培養または回分培養であることを特徴とする、請求項2に記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項6】
前記流加培養は、キシロース濃度が培地を基準に40〜50g/lとなるように段階的に追加することを特徴とする、請求項5に記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項7】
前記培養は、400〜600rpmの攪拌速度で培養することを特徴とする、請求項2、4乃至6のいずれかに記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項8】
前記排出された培養液は、減圧式微細濾過管(Microfiltration system using vacuum pressure)または遠心分離機を用いて、菌体と培養濾液とに分離することを特徴とする、請求項2に記載の循環式培養方法による高収率のキシリトールの製造方法。
【請求項9】
前記分離された菌体は、10〜100g/lの濃度に濃縮したものを再循環して使用することを特徴とする、請求項2または8に記載の循環式培養方法による高収率キシリトールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−512851(P2007−512851A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543735(P2006−543735)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003024
【国際公開番号】WO2005/054444
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506058912)
【Fターム(参考)】