説明

萎縮性膣炎を治療する方法

本発明は、ホルモン補充療法に反応する状態の治療に有用な方法および薬学的組成物に関する。具体的には、本発明は萎縮性膣炎に関連する症状の長期治療に関する。組成物は、有効量のエストロゲン、プロゲステロン化合物および薬学的に許容される媒体、担体、および/または希釈剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2006年1月20日付で出願された米国特許仮出願第60/760,440号に基づき、米国特許法第119条の下で優先権を主張するものであり、その出願の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、萎縮性膣炎に関連する症状の治療に向けた膣治療法としてのエストロゲンおよびプロゲステロンの組み合わせを用いた薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
萎縮性膣炎は生殖路および下部尿路に及ぶホルモン依存性の疾患である。一般に、萎縮性膣炎は閉経の間または後に明らかになり、その症状は年齢と共に増していく。泌尿生殖器の老化に関連する症状は、閉経卵巣での濾胞枯渇から生ずるエストロゲン喪失による。このエストロゲン喪失は、膣および下部尿路内で起こる解剖学的、細胞学的、細菌学的、および生理学的な生殖器変化の大部分の主な原因となる。
【0004】
エストロゲンの喪失によって、膣は縮んで、狭まり、膣壁は薄くなり、弾力性がなくなり、色が蒼白になる。多数の症状がこれらの変化に付随して起こる。まとめると、膣の症状群は萎縮性膣炎と呼ばれる。血管運動症状とは異なり、性交疼痛、灼熱感および慢性膣炎のような、萎縮に関係のある問題が経時的に消失しない。刺激および灼熱感は、膣円蓋のpH上昇および細菌学的変化によって引き起こされる慢性的排出物(chronic discharge)の結果であることが多い。安らかな睡眠を妨げることの多い痒みは、外陰膣上皮層の脆弱化および炎症から生じる。膣圧は組織コラーゲンの減少による骨盤支持靱帯(pelvic support ligaments)の萎縮に起因しうる。膣の乾燥は、萎縮性の膣が分泌物をあまり産生しない場合に起こる。膣表面はしたがって脆くなり、点状出血、潰瘍および出血がわずかな外傷の後に起こることが多い。
【0005】
他の点では健康な、年齢60歳を超える女性の約50%が膣萎縮に関連する症状を有することが示唆されている(Iosif et al., Acta Obstetricia et Gynaecologica Scandinnavica 1984; 63: 257-60)。Dennersteinおよび同僚らは、7年のフォローアップ期間にわたり女性438人の内で膣乾燥の有病率を調査し、膣乾燥が閉経期の前に現れ始め、閉経期初期の間に増え、閉経後2〜3年以内に著しく増えることを見出した(Dennerstein et al., Obstet Gynecol 2000; 96: 351-358)。全体的に、閉経期女性の約45%において、膣萎縮が、膣乾燥、痒み、刺激、および性交疼痛の症候群として臨床的に顕在化しうる(Bygdeman et al., Maturitas 1996; 23: 259-63)。膣の症状は、些細な苛立ちから衰弱まで重症度が多岐にわたる。米国では、エストロゲンホルモン療法を受けていない、2000万人の女性が、泌尿生殖器の萎縮に関連した、社会的に支障を来すような症状を有すると考えられる(Samsioe, Am J Obstet Gynecol 1998; 178: S245-S249)。
【0006】
膀胱における上皮の変化は膣内で起こるものと似ており、薄く、蒼白な、脆い組織をもたらす。具体的には、下部泌尿器の症状は、排尿障害、頻尿(frequency)、尿意促迫(urgency)、および失禁を含む(Simunic, et al. Int J Gynaecol Obstet 2003; 83: 187-197)。閉経期女性の40%で少なくとも一つの症状が報告されている(Barlow, et al. Maturitas 1997; 27: 239-247)。過活動膀胱、これは切迫性尿失禁を伴うかまたは伴わない、通常は頻繁な夜間頻尿を伴い「切迫性(urgency)」または「頻回性(frequency)」と定義される臨床的症候群である(Abrams, et al. Neurourol Urodyn 2002; 21: 167-178)。
【0007】
過活動膀胱は生活の質に悪影響を及ぼすことが示されている。性的欲求、性行為の頻度および性的満足感の減少を含め、性機能障害は、過活動膀胱のない女性よりも過活動膀胱のある女性によく見られる(Yip, et al. Am J Obstet Gynecol. 2003; 188: 1244-1248)。過活動膀胱で経験されることの多い夜間頻尿は、睡眠の質を下げる(Stewart, et al. World J Urol. 2003; 20: 327-336)。その次に、夜間に排尿する必要性の増大は、骨粗しょう症の高齢女性において転倒および股関節部骨折のリスクを高めることが示されている(Brown, et al. J Am Geriatr Soc. 2000; 48: 721-725)。過活動膀胱は同様に、総じて医療共同体に重い財政的負担を課す。米国では、過活動膀胱に関連する全費用は毎年、90億ドルを超える(Hu, et al. BJU Int. 2005; 96(suppl 1): 43-45)。
【0008】
過活動膀胱に対する現行の治療の選択肢には、観察/何もしない、パッド/オムツ、薬物療法、仙骨刺激および再建手術が含まれる。過活動膀胱の最も一般的な管理は、平滑筋に直接作用する、抗ムスカリン剤などの、平滑筋弛緩薬の投与からなる。既存の治療はいくつかの副作用を有することが知られており、すなわち薬剤の中止によってその利用に制限をかけている。全ての抗ムスカリン剤の潜在的副作用は、唾液分泌の阻害(口内乾燥)、腸運動性の阻害(便秘)、虹彩括約筋および水晶体毛様筋の遮断(視界不良)、眠気、認知機能障害、ならびに汗腺活動の阻害を含む。一般に、狭隅角緑内障を有する患者において、抗ムスカリン剤は、顕著な膀胱排尿障害および胃運動障害を有する患者における注意と共に使用されるべきである。有害事象に関するデータの概要は、表1を参照されたい。
【0009】
(表1)プラセボと比較した抗ムスカリン剤の有害事象

データのある細胞は全て、統計学的に有意な相対的リスク比がプラセボに有利であることを報じている。
ブランク細胞 = データはメタ分析に適していなかった。
X = プラセボと比較して治療介入に統計学的に有意な相違なし。
*試験定義
Chapple C. Eur. Urol. 2005, 48:5-26より。
【0010】
ホルモンのエストリオールの使用により、尿路感染症および切迫性尿失禁が劇的に減少し、したがって高齢患者において生活の質が顕著に改善されることが示されている(Molander et al., Maturitas 1990; 12: 113-120; Samsioe et al., Maturitas 1985; 7: 335-342; およびLuisi et al., Maturitas 1980; 2: 311-9)。エストリオール療法は、再発性尿路感染症を有する女性において閉経前の膣内細菌叢を回復し、受けていない者と比較して、抗生物質の必要性を最大16倍低減した(Brandberg et al., Acta Obstet Gynecol Scand 1984; 140:33)。
【0011】
尿路感染症に加えて、閉経の間に見られるエストロゲン欠乏は、尿道閉鎖圧を低下させ、膀胱膨満の自覚を増大させ、それによって切迫性尿失禁または過活動膀胱を引き起こすことで尿の制御に影響を与えるものと考えられる(Cardoza, et al. Gynecol Endocrinol 1995; 9: 75-84)。閉経期女性はエストロゲン療法から恩恵を受ける。何故なら、エストロゲン療法は膀胱頸部の血管系および尿道の粘膜を改善するからである。過去の研究から三角部および近位尿道におけるエストロゲン受容体の存在が示されている(Cardoza, et al. Gynecol Endocrinol 1995; 9: 75-84; Versi E. Clin Obstet Gynecol 1990; 33: 392-7)。これらの所見は、その後に閉経期女性での尿の制御の管理および発病において重要であると考えられた、下部尿路に及ぼすエストロゲンの直接作用の証拠となる。
【0012】
残念ながら、エストロゲン療法から恩恵を受けうる者達のほんの一握り、約10パーセントしか、さまざまな理由で実際には恩恵を受けていない。例えば、女性はその医師または医療専門家に対し、彼女らが性交時痛などの、重篤な膣の症状を有することを申し出ることに困惑する(Notelovitz, Intl J Gyn Obstet 1997; 59:S35-9)。女性は同様に、最近の臨床試験の結果のため、ホルモン補充療法を受けることを非常に嫌がった。ホルモン補充療法の悪影響が、PEPI試験の結果に基づき医療共同体全般におよび一般社会に明らかになった(Writing Group for the PEPI Trial, Effects of hormone replacement therapy on endometrial histology in postmenopausal women. The Postmenopausal Estrogen/Progestin Interventions (「PEPI」) Trial, JAMA 1996; 275: 370-5)。PEPI試験での患者は、フォローアップ3年の二重盲検、プラセボ対照法において無作為化された。この試験ではいくつかのパラメータに及ぼす経口ホルモン補充療法の効果を、子宮内膜に及ぼすその活性を含めて評価した。この試験には、プラセボ、エストロゲン単独、または3種のエストロゲン/プロゲステロン投薬治療群の内の一つのいずれかに特に無作為に割り付けられた女性596人が含まれた。組織学的データから、非競争的エストロゲン療法(結合型ウマエストロゲン(「CEE」) 0.625 mgに等価)を受けている女性の10%が1年以内に複雑型または異型過形成を発現しうることが明らかにされた。CEEを周期的または持続的なプロゲステロンと組み合わせることで、エストロゲン単独療法のみに関連する過形成変化から子宮内膜が保護された。この研究は、安全性も有効性も共に選択する投与レジメンを用いた併用療法を開発かつ最適化することの重要性の最初の明解な実証になった。
【0013】
子宮内膜過形成を防ぐために膣エストロゲンをプロゲステロンと共に投与するという概念は、血清エストロゲンレベルの著しい全身的な上昇にもかかわらず、医療界によってあまり受け入れられていない(Martin et al., JAMA 1979; 242: 2699-700; Mandel et al., J Clin Endocrinol Metab 1983; 57: 133-9)。Tourgemanおよび同僚らは、エストラジオールの経口投与と比べて膣投与の後に10倍高いエストラジオール血清濃度を報告しており、その一方、子宮内膜での濃度は同じ正確な用量を与えられた場合より70倍高かった(Tourgeman et al., Am J Obstet Gynecol 1999; 180: 1480-1483)。
【0014】
エストラジオール療法および経膣送達されるエストリオール投与後のプロゲステロン受容体の顕著な上昇の観察結果から、子宮内膜に及ぼすそのエストロゲン様作用の観察結果がさらに支持される。プロゲステロン受容体の増加数は、エストロゲン感受性組織に及ぼすエストロゲンの持続的影響の生化学的シグナルとして認識される(Leavitt et al., Ann. N.Y Acad. Sci., 286, 210-25; Horwitz et al., J Biol. Chem. 1978, 253:2223-8; Clark, J.H. and Peck, E.J., In: Female Steroids, Receptors and Function 1979, (Gross et al. (eds), Berlin: Springer Verlag) p. 103-14)。子宮内膜に及ぼすエストロゲン様作用は、多産女性に使われる膣リング避妊法で見られる(Timmer et al., Clin Pharm 2000; 39:233-242)。リングが膣内に配置される場合、ホルモンが迅速的にかつ継続的に吸収される。膣投与後の膣リング中のエチニルエストラジオールの生物学的利用能は、およそ55.6%であり、これはエチニルエストラジオールの経口投与によるものに匹敵する。このように、経膣送達の避妊薬が、経膣送達のホルモン補充療法と同様に、全身性の吸収を有することは明らかである。
【0015】
膣エストロゲン療法が子宮内膜の増殖および過形成に関連していたことは十分に立証されている(Luisi et al., Maturitas 1980; 2: 311-9; Widholm et al., Ann Chir Gynaecol Fenn 1974; 63: 186-90)。結果的に、米国産婦人科医会(American College of Obstetricians and Gynecologists)(ACOG)は、膣エストロゲンを受けている女性のためにプロゲステロン併用療法を推奨している(ACOG, Hormone replacement therapy 1992, ACOG technical bulletin no. 93., Washington, D.C.)。最近になって、ACOGは、低力価製剤ともいわれる結合型ウマエストロゲン(Premarin(登録商標))の低用量エストロゲン(0.3 mg)の使用を提唱している(ACOG, Genitourinary Tract Changes 2004, Vol. 104, No. 4 Supplement, Washington, D.C.)。このレジメンが子宮内膜の病変の低発生率に関連するかもしれないという望みを抱いてエストロゲンを送達することが目標であったが、不運にもこれはこの臨床的有益性を達成することができなかった。
【0016】
経膣投与による結合型ウマエストロゲン(CEE)の低用量0.3 mgを用いたデータから、たとえ低用量の非競争的膣エストロゲンを使用する女性でも長期間の使用により子宮内膜癌のリスクが高まりうることが示唆されている(Handa et al., Obstet Gynecol 1994; 84: 215-8)。経口CEEを用いたデータから、2年以内に3.17% (経口の抱合エストロゲン0.3 mg/d)〜14.9% (経口の抱合エストロゲン0.45 mg/d)〜27.27% (経口の抱合エストロゲン0.625 mg/d)の、用量に依存した、子宮内膜過形成の発生率の増大が実証された(Utian et al., Fertil Steril 2001; 75: 1065-79)。子宮内膜に及ぼすPremarin(登録商標)の影響に関する報告によって、処方ガイド中の製品情報には、開業医は非競争的エストロゲン療法の結果として蓄積した可能性のある任意の子宮組織を排出させるため、エストロゲンと併せてプロゲステロンを投与することが引き続き推奨されている。
【0017】
ACOG推奨の他の低力価の非競争的エストロゲン製剤の使用による子宮内膜の病変の発生率が低くはないことも明らかである。これは、子宮を摘出された女性の子宮の組織学的観察から支持される。エストリオール(エストリオール0.5 mg)またはエストラジオール(エストラジオール0.05 mg)のいずれかの3週間の膣適用は、低力価製剤による子宮内膜の過剰刺激の一因となった(Van Haaften et al., Gynecol. Endocrinol 1997; 11: 175-185)。走査電子顕微鏡法によって調べられた、エストリオール(16日間0.5 mg)の膣適用が子宮に及ぼすエストロゲン様作用を示唆するデータから、非競争的、低力価の膣製剤が子宮内膜に悪影響を及ぼしうるという主張がさらに支持される(Englund et al., Acta Obstet. Gynecol. Scand. 1982, 106 (Suppl.): 23-6)。組織学的検査によって子宮内膜萎縮を有すると判定された、子宮摘出を待つ子宮脱の女性に関する研究では、子宮摘出の前に平均3週間1日当たり経口エストリオール2 mgで治療を行った。子宮摘出後の子宮の組織学的検査により、女性の70.8%において過形成変化が認められた(Montoneri et al., Clin Exp Obst Gyn 1987, 14:178-181)。経口エストリオールを使用する閉経後の女性における、子宮内膜癌の相対的リスクの増大を示す証拠が続出している。相対的リスクは使用期間に伴って増大し、未使用の場合には1.0のオッズ比で、5年未満の間ホルモンに曝露されたものでは2.2のオッズ比を有し、子宮内膜異型過形成の相対的リスクのいっそう大幅な増大が認められた。治療が5年を超えた場合には、8.3のオッズ比が認められた。経膣的に投与された低力価製剤による同一の研究では、少なくとも5年使用での異型過形成に対する2.3のオッズ比と比較して未使用の場合には1.0のオッズ比が認められた(Weiderpass et al., Lancet 1999; 353: 1824-8)。より多くの証拠から、低力価製剤の膣使用後の子宮内膜過形成のリスクの増大が示されている(Barensten et al., Eur J Obst & Gyn and Reprod Bio 1997; 71: 73-80; Dugal et al., Acta Obststricia et Gynecologica Scandinavica 2000; 79: 293-7; Kelsey et al., Am J Epidemiol 1982; 116: 333-42)。したがって、子宮内膜に及ぼす低力価製剤の作用に関する報告により、開業医は、低力価製剤の結果として蓄積した可能性のある任意の子宮組織を脱落させるために、エストロゲン療法と併せてプロゲステロンを処方することが推奨されている(Head, Alt Med Rev 1998; 3(2): 101-113)。
【0018】
全般的に見れば、さまざまな内分泌障害を治療するためにエストロゲンを使用することが望ましい。しかしながら、これらの化合物は初回通過効果および代謝によって経口投与に適していないことは周知である。これらのホルモンは門脈系により肝臓に運ばれて、エストロゲンの代謝および迅速除去をもたらす。不活性な成分への肝臓代謝によって、有効な経口投与には過度に高い投与量レベルが必要とされてきた。これまで、安全性および有効性の両方を改善しようとして、異なる投与経路が開発されてきた。非経口的に、注射、経膣の(クリーム、錠剤およびシラスティックリング)、経皮の(「パッチ」)、ならびに皮下のペレット、鼻腔内のおよび経皮の(ゲル)により投与されるエストロゲンの多数のステロイド誘導体の開発によって、初回通過代謝を回避する生成物が得られた。これによって臨床的に有効なステロイドを送達する能力が得られた。
【0019】
これまで、閉経を治療するためのエストロゲンおよびプロゲステロンの慣習的用法では、連続投与を要した。この投与方法は耐容性が不十分であった。何故なら、これは月経期間として患者が経験する消退出血を引き起こすことが多く、それゆえ十分に耐容されず、治療の中断を招くことが多々あるからである。残念ながら、患者は、治療が許容できないために苦しまざるを得ない。一方で、消退出血の発生率を低減し、無月経を達成しようとして、併用ホルモン療法の持続的なレジメンが使用されてきた。出血は閉経後の高齢女性の大きな懸案事項である。この群の女性での持続的なレジメンでは、出血を有する可能性が最も少なく、それゆえにホルモン補充療法の利点が維持される。
【0020】
団塊世代のその更年期年齢への移行によって増幅される米国人口の加齢に伴って、安全かつ有効なホルモン補充療法の必要性は、老齢女性の健康および幸福の対処に不可避かつ重要である。CDCは2004年に、AIDSを有する高齢米国人の数の急増を報告している(AIDS Policy LAW 2004 Mar 26; 19 (6): 4)。米国疾病対策予防センターの報告によれば、1991年以来、50歳およびそれより高齢の者でのAIDS患者は22パーセントを超えるまでに急増している。この急増は萎縮性膣炎と診断された、更年期年齢に入るいっそう性的に活発な女性に続発すると説明される可能性がある。女性での最近のデータから、萎縮性の膣およびHIV感染率の増大の関連性が強く示唆されている。Smithおよび同僚らは、基剤クリームのみで治療された動物(感染率75%)と比較して、エストリオール治療動物がSIV膣感染(感染率8.3%)から強力に保護されたことを実証している(Smith et al., AIDS 2004; 18: 1637-1643)。ヒトのデータでは、エストロゲンレベルが抑制された女性は、HIV感染率が2倍〜3倍増大していた(Martin et al., J Infect Dis 1998, 178: 1053-1059)。ヒトのデータおよびマカクモデルで得られたデータから、膣上皮は女性においてHIV感染に対する天然の、重要な障壁であるという仮説、およびこの障壁のホルモン変調が(エストロゲン)その保護作用を増強しうるという仮説が支持される。女性でのエストリオールの安全性に関する複合的記録、およびHIV膣感染のリスク因子に関するデータから、異性間感染のそのリスクを低減するため、エストロゲンレベルの低い女性における膣エストリオールの使用が支持される。
【0021】
萎縮性膣炎を含む、更年期症状を治療するのに有効かつ安全な経膣的に投与されるホルモン療法であって、局所の非競争的エストロゲン療法の長期的な全身吸収に関連する副作用を回避し、かつ抗ムスカリン剤に付随して起こる有害事象を減少する療法を提供することが、当技術分野において明確に必要とされている。萎縮性膣炎に関連する症状の治療に好ましい投与経路は、膣内の経路であろう。これは、それが標的組織であり、かつ下部尿路に及ぼす直接的な局所作用が認められるからである。しかしながら、単回投与量単位でホルモン補充療法として経膣的に投与されるプロゲステロンおよびエストロゲンの併用の効果は不明である; エストロゲンおよびプロゲステロンを単回投与量単位で含有する膣内活性製剤が開発されたことはない。本発明は、新たな臨床的観察に基づき、エストロゲンおよびプロゲステロンを単回の単位剤形の中で組み合わせた新規の薬学的組成物を提供することでこの必要性に取り組む。さらに、本発明は、外科的閉経、医原的閉経、自然閉経、および無月経(子宮あり)に至り、したがって閉経として顕在化する状態から生じる萎縮性膣炎の症状を治療するのに必要な、安全かつ臨床的に有効な製剤について記述する。
【発明の開示】
【0022】
発明の概要
本発明は、萎縮性膣炎に関連する泌尿生殖器症状の治療において有効である薬学的組成物に関する。
【0023】
薬学的組成物は、有効量のエストロゲン化合物、好ましくは微粉化エストリオール、およびプロゲステロン化合物、好ましくは微粉化プロゲステロンを含有する。有効量のプロゲステロンは、長期の非競争的エストロゲン投与に関連する子宮への有害作用に付随した易罹病性(liability)を低減するのに有効である。該組成物は同様に、薬学的に許容される担体、媒体、および/または希釈剤を含有することができる。
【0024】
本発明は同様に、萎縮性膣炎に関連する泌尿生殖器症状を治療する方法に関する。この方法は、有効量のエストロゲン化合物、プロゲステロン化合物、ならびに薬学的に許容される担体、媒体、および/または希釈剤を含有する薬学的組成物の投与を含む。萎縮性膣炎を治療する方法は、非競争的エストロゲン投与に関連する子宮への有害作用に付随した易罹病性を実質的に低減する。
【0025】
具体的な態様において、組成物の投与は、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、好ましくは少なくとも12ヶ月間、より好ましくは少なくとも18ヶ月間、および最も好ましくは24ヶ月を超える間継続される。
【0026】
具体的な態様において、組成物は膣坐剤として投与される。別の態様において、組成物は膣クリームとして投与される。
【0027】
本発明のこれらのおよび他の局面は、詳細な説明および実施例でさらに論じられている。
【0028】
詳細な説明
本発明は、萎縮性膣炎のような、エストロゲンに応答性のホルモン欠乏障害に関連する症状の治療における方法および薬学的組成物を有利に提供する。本発明はホルモン補充療法に関連する健康リスクを最小限にし、かつ/または阻止しながら、長期の治療レジメン、例えば、継続的な3ヶ月を超える治療、継続的な24ヶ月を超えるまでの治療を提供する。本発明は、一つには、萎縮性膣炎の治療での、微粉化プロゲステロンと共に、エストリオールの顕著な有効性および安全性に基づく。
【0029】
本明細書において使用される用語は一般に、当技術分野における、本発明の文脈の中でおよび各々の用語が使用される特定の文脈においてその通常の意味を有する。ある種の用語は、本発明の組成物および方法ならびにそれらの作出法および使用法を記述する上でさらなる手引きとなるよう以下に定義される。
【0030】
定義
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定された特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは当該値を測定または決定する方法、すなわち測定系の限界に一部依存すると考えられる。例えば「約」は、当技術分野での実践につき、3以内または3より大きい標準偏差を意味しうる。あるいは、「約」は所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、より好ましくはさらに1%までの範囲を意味しうる。あるいは、とりわけ生物学的な系または過程に関して、この用語は値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味しうる。
【0031】
「薬学的に許容される」という語句は、「一般的に安全であると見なされる」(GRAS)、例えば、動物に投与される場合、胃部不快感、目まいなどのような、アレルギー反応または類似の有害反応を通常生じずかつ生理学的に耐容される、分子的実体および組成物を指す。好ましくは、本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府もしくは州政府の監督官庁によって承認されていること、または米国薬局方もしくはその他一般に認識されている動物用の薬局方に掲載されていることを意味する。
【0032】
「担体」という用語は、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を指す。このような薬学的担体は無菌の液体、その高い不水溶性により、石油、動物、植物、または合成由来の油を含む、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような、油でありうる。薬剤を水性の溶液または懸濁液の中で送達するため、ミセルまたはデキストランのような担体を使用することができる。適切な薬学的担体は、E. W. Martinにより「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記述されている。
【0033】
本明細書において用いられる「量」という用語は、文脈に応じて適切な、量を指すかまたは濃度を指す。本発明において、エストロゲン化合物の有効量とは、萎縮性膣炎に関連する症状を治療するのに十分な量を指す。プロゲステロン化合物の有効量とは、エストロゲン化合物の望ましくない増殖促進効果に対抗するのに十分な量を指す。治療的有効量を構成する薬物の有効量は、特定の薬物の有効性、製剤の投与経路、および製剤を投与するのに使用される機械系などの、要因によって異なる。特定の薬物の治療的有効量は、当業者によりそのような要因を十分に考慮して選択されうる。
【0034】
本明細書において用いられる場合、「泌尿生殖器」という用語は、生殖路および下部尿路を指し、これらは萎縮性膣炎症候群の全ての部分である。
【0035】
薬学的製剤
エストロゲン化合物
「エストロゲン」または「エストロゲン化合物」は、参照により本明細書に組み入れられるSteraloids Inc., Wilton N. H.の「Steroids」第11版に記述されている任意の構造であると本明細書において定義される。この定義の中に含まれるのは、上記の参考文献に記述されている非ステロイド性エストロゲンである。この定義の中に含まれる他のエストロゲン化合物は、エストロゲン誘導体、エストロゲン代謝物、エストロゲン前駆体、および選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERM)である。複数のエストロゲンまたはエストロゲン化合物の混合物も含まれる。このような混合物の例は、米国特許第5,554,601号の表II (第6列参照)に示されている。単独でまたは他の薬剤との併用で有用性を有するエストロゲンの例は、例えば、米国特許第5,554,601号に示されている。β-エストロゲンはエストロゲン化合物のβ-異性体である。α-エストロゲンはエストロゲン成分のα-異性体である。「エストラジオール」という用語は、具体的に特定されていない限り、α-エストラジオールまたはβ-エストラジオールのいずれかである。「E2」という用語は、β-エストラジオール、17β-エストラジオール、およびβ-E2と同義語である。αE2およびα-エストラジオールは、βE2エストラジオールのα異性体である。
【0036】
具体的な態様において、エストロゲン化合物はエストリオール、好ましくは微粉化エストリオールである。エストリオールは天然のステロイド性ホルモンである。これは、卵巣エストロゲンの末梢代謝を介して主に形成される、内因性エストロゲンである。分泌された卵巣エストラジオールはエストロンへと可逆的に酸化され、これらのどちらもエストリオールへと不可逆的に変換されうる。エストロンの血液プールを経ずにアンドロステンジオンがエストリオールへ直接変換したというデータが報告されているが、エストリオールの大部分はエストロンに由来する。他のエストロゲンと同様に、エストリオールは、細胞/核の膜を越えて拡散した後核内受容体に結合し、それに続いて選択的なメッセンジャーRNA合成を活性化し、後者の作用を介して産生されたタンパク質/酵素が特異的細胞のホルモン活性を調節する。しかし他のエストロゲンとは異なり、エストリオールは性ホルモン結合グロブリンに結合せず(エストラジオールおよびエストロンとは違い)、したがって短い排出半減期を有する。同様に、大部分のエストラジオールは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)に結合されるので、血中エストラジオールのほんの一部が細胞への移行に利用可能であるにすぎない。その一方で、エストリオールはSHBGへの結合の親和性がはるかに低く、それゆえ、より高い割合で生物学的活性に利用可能である。
【0037】
エストリオールは、16-α, 17-β, エストラ1,3,5 (10)トリエン3, 16, 17-トリオールと化学的に記述される。それは、C18H24O3の実験式および288.38の分子量を有する。構造式は以下である。

【0038】
エストロゲンの有効性は組織特異的であるように思われる。エストロゲン受容体の活性化による下流への効果は、リガンド依存的である(McKenna et al., Endocr Rev 1999; 20:321-44; Kuiper et al., Endocrinology 1997; 138:863-70)。さらに、結果として生じるリガンド/受容体複合体は、一つには、活性遺伝子のパターンのため、およびエストロゲン受容体(ER)による遺伝子発現調節を行うステロイド受容体コレギュレーターのため、全ての細胞によって同じように認識されない。
【0039】
これらの所見は、いかにして異なるERリガンド(エストリオール、タモキシフェン、およびエストラジオール)が同じ細胞型において異なる反応を顕在化するか、およびいかにして同じリガンドが異なる細胞型において異なる反応を引き起こすかを説明する。例えば、データから、タモキシフェン(受容体部位で天然エストロゲンと競合するエストロゲン化合物)は乳癌を防ぐが、子宮癌を引き起こしうることが実証されている。データから、子宮内膜過形成を引き起こす、同程度の膣の成熟および角質化を誘導するには、エストリオールよりもおよそ15倍多くの抱合エストロゲンが必要とされたことが実証されている(Hustin et al., Acta Cytologica 1977; 21: 225-228)。同じ研究において、子宮増殖を引き起こす上で、エストリオールは抱合エストロゲンほど強力ではなかった(Phillips et al., Maturitas 1984; 5: 147-52)。
【0040】
エストリオールは、膣のpHを低下させるのに極めて効果的であるので、膣萎縮に関連する症状の他覚的改善においていっそう強力なエストロゲンである。エストロゲン補充療法は膣上皮の正常化を誘導し、それゆえ正常微生物叢および膣内の生理学的pHを回復するのに役立ち、感染に対する膣上皮細胞の抵抗性の増大をもたらすことがよく知られている。閉経によって起こる血中エストロゲンの減少は、膣上皮細胞のグリコーゲン含有量の低下を引き起こし、これが今度は乳酸菌(lactobacilli)による乳酸の産生を阻害する。それゆえに、膣のpHは膣上皮の評価および膣萎縮でのエストロゲン治療の効果をモニタリングするために有用な指標である。閉経によって、膣のpHは正常な3.5〜4.0 (これは乳酸菌に有利に働く)から6.0〜8.0 (これは病原体に有利に働く)に増加する。膣のpHは16週間の治療後に0.3 mgの抱合エストロゲン群において5.2に減少しただけであった(Marx et al., Maturitas 2004; 47: 47-54)。膣のpHは、24週間エストラジオール放出リングで治療された閉経期女性において4.8に減少し(Lose et al., BJOG 2000 Aug; 107(8): 1029-34)、一方で、膣のpHは、24週間1 mgのエストリオール腔坐剤(estriol ovules)で治療された閉経期女性において4.12に著しく減少した(Dessole et al., Menopause 2004; 11: 49-56)。
【0041】
pHを顕著に低下させるエストリオールの能力により、閉経期女性での再発性尿路感染症の発生を低減する上で、エストリオールは理想的な薬剤とされる。尿路感染症は閉経後の女性に非常によく見られ、60歳を超える女性の15%が頻繁な再発エピソードを有する。膣内での局所エストロゲン補充療法は、萎縮性の膣の、尿道のおよび三角形の粘膜(trigonal mucosae)を回復し、乳酸菌の増殖を刺激しかつpHを減らし、これらの結果のゆえに、腸内細菌(Enterobacteriaceae)によるコロニー形成を減らしかつ細菌尿を阻止する。膣のpHの有意な減少および腸内細菌による膣コロニー形成率の減少がエストリオール療法で観察された。また、乳酸菌(治療法の前にはなし)がエストリオール投与患者の61%において1ヶ月後に再出現したが、プラセボを受けた患者においては現れなかった(Raz et al., N Engl J Med 1993; 329: 753-6)。さらに、膣エストリオール療法は尿意逼迫の軽減(56%)、切迫性尿失禁の軽減(58%)および夜間頻尿の軽減(54%)に効果的であることが示されている(Lose et al., BJOG 2000; 107(8): 1029-34)。
【0042】
本発明において、組成物中に存在する微粉化エストリオールの量は、最終組成物の強度に依存する。一つの態様において、微粉化エストリオールは一用量当たり約0.01 mg〜約10 mg、好ましくは一用量当たり約0.25 mg〜約1 mgに及ぶ量で存在する。微粉化エストリオールはとりわけ閉経の間、長期の非競争的エストロゲン投与に関連する子宮への有害作用に付随した易罹病性を低減するため、プロゲステロン化合物を伴うことが好ましい。
【0043】
プロゲステロン
プロゲステロンは天然のステロイド性ホルモンであり、子宮に作用して妊娠に特徴的な子宮内膜の変化を誘導し、かつ動物での妊娠を維持する化合物と定義される。プロゲステロン受容体はエストロゲンおよびプロゲステロンの二重制御下にあり、それらはプロゲステロン受容体の細胞内濃度を調節するよう連続的に作用する。子宮内膜のプロゲステロン受容体は、エストロゲンを介したプロゲステロン受容体メッセンジャーRNAレベルの増加およびタンパク質合成の増加によって増加する。その受容体は、転写および転写後のレベルで、それ自体のリガンドであるプロゲステロンにより下方制御される。ヒトの子宮では、高濃度のプロゲステロンがエストロゲン作用の阻害を引き起こす。エストロゲン受容体合成の低下は、プロゲストゲンを介したエストロゲン受容体メッセンジャーRNAレベルの減少によるものである。全体的に見て、エストロゲンの増殖作用を低減することで、プロゲステロンは分化の発生を可能にする。同様に、プロゲストゲンは、エストロゲン受容体を下方制御することでエストロゲン作用を効果的に低下させる。したがって、子宮内膜過形成を阻止するために阻害されなければならないのは、エストロゲンによって誘導される生化学的機構、および有糸分裂活性である。
【0044】
プロゲステロンは化学式プレグン-4-エン-3, 20-ジオンを有する。それは314.47の分子量および実験式C12H30O2を有する。構造式は以下である。

本発明において使用できるプロゲステロン化合物は、プロゲステロン(微粉化プロゲステロン)およびプロゲスチン(合成プロゲステロン)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0045】
いくつかの研究から、微粉化プロゲステロン(プロゲステロン)が、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)のような合成プロゲステロン(プロゲスチン)よりも安全であることが示されている。
【0046】
表2はメドロキシプロゲステロン(MPA)を微粉化プロゲステロン(MP)に対して比較しており、MPAに比べてMPの相対的な安全性を実証している。
【0047】
(表2)

(The Writing Group for the PEPI Trial, JAMA, Jan 1995; 273:199-208; Physicians Desk Reference, 44th edition, 1990; Bolaji, EUROBS (1993), 48:61-68; Darj, Gynecol. Endocrinol. (1993), 7:111-114; Rylance, Br Med J (Clin Res Ed) 1985, 290(6461): 13-4; Sammour, Act Obstet Gynec Scand. 1975; 54:195-202; Sammour, Clin Exp Hyper-Hyper in Preg. 1982; B1: 455-78; Minshall et al., J of Clin Endocrin and Metabolism 1998, 83(2):649-59; . Minshall et al., FASEB J 1998; 12(13):1419-1429; Rosano et al., J Am Coll Cardiol 2000: 36(7) p. 2154-9; Estrogen and Progestogens in Clinical Practice; Harcourt Brace & Co, 1998 ISBN 0443047065; Montplaisir, Menopause 2001; 8: 10-16; Arafat, Am J Obstet Gynecol 1998; 159: 1203-09; Fitzpatrick, J Women's Health & Gender-Based Medicine 2000; 9: 381-387)。
【0048】
本発明において、微粉化プロゲステロンは好ましいプロゲステロン化合物である。組成物中に存在するプロゲステロンの量は、最終組成物の強度に依存しうる。一つの態様において、プロゲステロン化合物は一用量当たり約5 mg〜約500 mgに及ぶ量で存在し、好ましくはこの範囲は一用量当たり約25 mg〜約50 mg、より好ましくは一用量当たり約25 mg〜約30 mgであり、これはエストロゲン化合物の増殖活性を妨害または阻害するのに十分である。
【0049】
プロゲステロン療法の目的は、エストロゲンの使用に関連する子宮内膜過形成を阻止するかまたは抑えることである。これを行うためには、完全な分泌性子宮内膜を誘導する必要はない。何故なら完全な分泌性子宮内膜は消退出血などの厄介な副作用を生じうるからである。意図的に初めの内は子宮内膜を部分的に分泌性のままにする、より低用量のプロゲステロンは、不規則な出血または非常に軽い出血をもたらすことがある。しかしながら、予想されかつ望まれる結果は無月経であり、これは経時的に起こると考えられる。経口用量100 mgの微粉化プロゲステロンのような、連続的に投与される、低用量のさまざまなプロゲステロンは、子宮内膜のエストロゲン受容体レベルおよび有糸分裂活性を阻害するのに十分である(King et al., Fertil Steril 1986; 46: 1062-1066)。データによって経口的におよび経膣的に投与されたプロゲステロンの生物学的利用能を比較したところ、2種の製剤に対するピーク血漿プロゲステロン濃度は有意には違わず、類似の生物学的利用能を有する2種の製剤をもたらすという結果が示された(Norman et al., Fertil Steril 1991; 56: 1034-1039)。さらに、1日2回投与の経皮プロゲステロン(15 mgおよび40 mgの微粉化プロゲステロン)クリームの使用は、エストロゲン刺激性の閉経後子宮内膜に同等の抗増殖作用を及ぼした(Leonetti et al., Fertil Steril 2003; 79: 221-22)。より回数を増やした経膣による投与量100 mgの微粉化プロゲステロンは、周期的な月1回の周期を引き起こす機能的に類似した分泌性(secretive)子宮内膜を誘導し(6ヶ月の時点でp<0.005および1年後にp<0.001)、子宮内膜の脱落をもたらした(Ferrero et al., Minerva Ginecol 2002; 54: 519-30)。全体的に見て、経口用量200 mgの微粉化プロゲステロンの相対的な有効性は、膣用量90 mgの微粉化プロゲステロンのものと同等である。経口用量100 mgの微粉化プロゲステロンが十分な子宮内膜保護をもたらすことを考慮すれば、概算用量45 mgの膣微粉化プロゲステロンは十分な子宮内膜保護をもたらすはずである。さらに、膣坐剤として投与された25 mgおよび50 mgの微粉化プロゲステロンの血清濃度は、両群の間で同様であった(それぞれ7.27 ng/mlおよび8.84 ng/ml) (Von Eye Corleta et al., Gynecol Obstet Invest 2004; 58 (2): 105-8)。
【0050】
さらなる構成要素
本発明のエストロゲンおよびプロゲステロン化合物は、坐剤、クリーム、フォーム、ゲル(水性の溶液および懸濁液を含むが、これらに限定されるものではない)、軟膏、錠剤、腔坐剤(ovule)、ペッサリーおよびリング、ならびに当技術分野において知られているその他公知の薬学的に許容される担体によって膣投与用のさらなる構成要素と共に薬学的組成物に製剤化されてよい。
【0051】
本発明の一つの態様において、エストロゲンおよびプロゲステロンは油脂性基剤で製剤化される。基剤は以下に限定されるものではないが、JAB基剤、JC基剤、ポリエチレングリコール基剤、エモリエントクリーム、バニシングクリームライト(vanishing cream light)、バンペン(vanpen)基剤、化粧用HRT基剤またはそれらの混合物から選択することができる。投与の方法が膣坐剤によるものである場合、好ましくは、基剤はJAB基剤である。JAB基剤は、基剤K、基剤Cおよび基剤Mを含有する複合製剤であり、またはそれ以外にはそれぞれ基剤B、基剤Jおよび基剤Fといわれる。基剤Kはジステアリン酸PEG-8で構成される。基剤Cは硬化植物油で構成される。基剤MはビタミンEアセテートで構成される。坐剤中のJABまたはBJF基剤の範囲は、約1.0 gm〜約1.40 gm、好ましくは約1.28 gmである。活性および不活性成分の重量は、約300 mgまたはそれ以下である。
【0052】
化合物が膣クリームに製剤化される場合、好ましい基剤はJC基剤である。JC基剤は、例えばPCCA Versa基剤(Versabase)または基剤Mを含む、エモリエントまたはバニシングクリームで構成される。
【0053】
したがって、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、保存剤、色素、結合剤、懸濁化剤、分散剤、着色剤、崩壊剤、賦形剤、希釈剤、潤滑剤、可塑剤、油または前記のいずれかの任意の組み合わせに応じて、一つまたは複数の添加物を含むことができる。適切な薬学的に許容される添加物は、エタノール; 水; グリセロール; アロエベラゲル; アラントイン; グリセリン; ビタミンAおよびE油; 鉱物油; プロピオン酸PPG2ミリスチル; 植物油ならびにソルケタールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0054】
適切な結合剤は、デンプン; ゼラチン; グルコース、スクロースおよびラクトースのような、天然糖類; トウモロコシ甘味料; アカシア、トラガカント、植物ゴムおよびアルギン酸ナトリウムのような、天然および合成ゴム; カルボキシメチルセルロース; ポリエチレングリコール; ワックスなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0055】
適切な崩壊剤は、トウモロコシデンプンのようなデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0056】
適切な潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、酢酸ナトリウムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0057】
組成物は、適切な保存剤、例えば、安息香酸ナトリウム、および組成物を適用に向けてさらに適当にしうる他の添加物、例えば、調合剤(preparation)の浸透圧に影響を及ぼす塩化ナトリウムを含んでもよい。
【0058】
適切な分散剤および懸濁化剤は、合成および天然ゴム、例えばベントナイト、植物ゴム、トラガカント、アカシア、アルギナート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル-ピロリドンおよびゼラチンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
適切な薬学的希釈剤は水であるが、これに限定されるものではない。
【0060】
さらなる添加物の例としては、ソルビトール; タルク; ステアリン酸; およびリン酸二カルシウム(dicalcium phosphate)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
投与の方法
本発明の製剤の膣投与のために多くの方法を使用することができる。これらはクリーム、坐剤、フォーム、ゲル(水性の溶液および懸濁液を含むが、これらに限定されるものではない)、軟膏、錠剤、腔坐剤、ペッサリーおよびリングの膣投与を含む。本発明のある種の態様において、エストロゲンおよびプロゲステロン化合物は一緒にまたは別々に製剤化されてよい。
【0062】
有効な用量は、患者の状態、疾患の症状の重症度および薬学的組成物が投与される方法のような要因に応じて、変化することがある。組成物は好ましくは単位用量により、製剤化されるか、またはある量を分注するために標識され、その結果、各投与量には約0.01 mg〜約10 mgの単位用量のエストロゲン、および約5 mg〜約500 mgのプロゲステロン単位用量が含まれる。
【0063】
薬学的組成物は「単位剤形」の中にあってよく、これは、各単位が上記の適切な薬学的希釈剤、賦形剤、または担体の一つまたは複数に関連して、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料を含んだ、ヒト被験体および他の動物に向けた単一の投与量として適切な物理的に別個の単位を指す。
【0064】
治療の方法
本発明の薬学的組成物は、萎縮性膣炎に関連する症状を治療するためにその必要がある動物、好ましくはヒトに投与することができる。本発明は外科的閉経、医原的閉経、自然閉経、および無月経(子宮あり)に至り、したがって閉経として顕在化する状態から生じる膣の症状を治療するのに必要な、安全かつ臨床的に有効な製剤について記述する(表3参照)。
【0065】
(表3)

【0066】
薬学的組成物は、疼痛、灼熱感、刺激、痒み、乾燥、圧迫、頻尿および失禁を含むが、これらに限定されるものではない、膣、尿道および膀胱のさまざまな状態を治療するために使用することができる。本発明の化合物、薬学的組成物または単位剤形は、任意の潜在的な副作用を最小限に抑えて最大の有効性を得るために、日常的な試験によって規定される適した投与量にて単独で投与してもよい。
【0067】
本発明のある種の局面において、併用療法は、膀胱機能障害、より具体的には過活動膀胱を治療するために使用することができる。下部尿路症状は排尿障害、頻尿(frequency)、尿意促迫(urgency)および失禁を含む(Simunic, et al. Int J Gynaecol Obstet 2003; 83: 187-197)。過活動膀胱または超活動膀胱、これは切迫性尿失禁を伴うかまたは伴わない、通常は頻繁な夜間頻尿を伴う、膀胱の「切迫性(urgency)」または「頻回性(frequency)」と定義される。
【0068】
したがって、本発明は、副交感神経インパルスの伝達を阻害し、それによって、例えば、膀胱での平滑筋のけいれんを低減する、一つまたは複数の抗コリン作用薬をさらに含むことができる。抗コリン作用性の化合物は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト、ニコチン性受容体アンタゴニストおよび脱分極性神経筋遮断薬を含むが、これらに限定されるものではない。本発明によって企図される抗コリン剤は、例えば以下に限定されるものではないが、ダリフェナシン、ジサイクロミン、オキシブチニンおよびトルテロジンを含め、当技術分野において公知のものを含む。抗コリン剤は、エストロゲンと共に、もしくはプロゲステロンと共に、またはエストロゲンおよびプロゲステロンの組み合わせと共に使用することができる。
【0069】
本発明の化合物の1日投与量は、基礎にある病状、個体の状態、体重、年齢および投与の方法のような、さまざまな要因によって変化することがある。膣投与の場合、薬学的組成物は、治療される患者に対する投与量の症候的調整のために本発明のエストロゲン:プロゲステロンを最も好ましくは一用量当たり約0.5 mg:25 mgから、好ましくは一用量当たり約1 mg:25 mgまで、好ましくは一用量当たり約1 mg:30 mgまで、好ましくは一用量当たり約1 mg:50 mgまで、さらに最大で約1 mg:100 mgまで含有する単位剤形で供与することができる。
【0070】
他のホルモン補充療法プロトコルと対照的に、膣投与は、少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも12ヶ月間続けてもよい。具体的な態様において、治療は、少なくとも18ヶ月、より好ましくは少なくとも24ヶ月続くと考えられる。さらなる態様において、治療は、患者の生涯にわたり継続される。エストリオールまたは微粉化プロゲステロン、および特にその両方の特異的な製剤は、そのような長期使用に好ましい。
【0071】
実施例
以下の例は本発明を例証するにすぎず、それらは本発明の範囲を決して限定するものと見なされるべきではない。
【0072】
実施例1:萎縮性膣炎患者におけるエストロゲン/プロゲステロン膣坐剤
本実施例は、閉経後の萎縮性膣炎患者におけるエストロゲン/プロゲステロン膣坐剤(「JC-001」)の安全性プロファイルに関する第1−2相、非盲検、無作為化、単盲検化、プラセボ対照、複数回投与試験について説明する。
【0073】
本研究の目的は以下の通りである。
(1) 本試験の目的は、閉経後女性において、萎縮性膣炎の治療のためのプラセボ、非競争的エストロゲン、およびエストロゲン−プロゲステロンの2種併用のレジメンの有効性を評価すること、ならびにそれらの相対的な安全性を評価することである。
(2) 膣調合剤の有効性を、萎縮性膣炎の症状緩和において相互に、またプラセボと比較すること。その場合に有効性は膣萎縮において客観的および主観的に測定される改善によって判定される。改善の客観的測定には、膣内乳酸桿菌(Lactobacilli)の有無に関する膣内pHの測定が含まれる。改善の主観的尺度には、膣粘膜蒼白、点状出血、脆弱および乾燥などの膣の外観に関する治験責任医師の評価、ならびに乾燥および過敏についての症状の患者評価に関する治験責任医師の評価が含まれる。
(3) 膣調合剤の安全性、具体的には治療が子宮内膜の刺激に及ぼす影響を相互に比較し、またプラセボと比較すること。安全性プロファイルは子宮内膜生検の結果によって測定される子宮内膜の刺激の評価を含むことになる。本試験は、プラセボ、非競争的エストロゲン、およびエストロゲン−プロゲステロンの2種併用のレジメンの投与を無作為に割り付けた閉経後女性における子宮内膜の組織学的所見を報告する。
【0074】
本試験集団は子宮を有するあらゆる人種の女性を含み、以前のホルモン使用を問わず本試験への参加を依頼する。被験者の年齢は無作為化来院時において45歳〜64歳であり、少なくとも参加の1年前には月経が停止している。被験者には40 mIU/ml以上の卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone:FSH)を投与する。各被験者には本試験デザインの起こり得る副作用およびこれらの起こり得る副作用の医学的意義について情報を与える。この情報を提供した後に全被験者から署名入りの同意を得る。
【0075】
本試験は計20例の女性を各試験群に5例ずつ無作為に割り付けるようにデザインされている。除外基準には以下が含まれる。
1. 最終月経期が44歳以前、または無作為化の前12ヶ月以内。
2. 血清FSH濃度が40 mIU/ml未満。
3. 体格指数が40 kg/m2以上。
4. 以下の医薬または薬剤の使用:クマジンまたはヘパリン、無作為化から3ヶ月以内の閉経期のホルモン、無作為化から3ヶ月以内の市販の植物性エストロゲンの特筆すべき使用。
5. 測定した患者の膣内pHが5未満であるため、萎縮性膣炎の診断が下されていない。膣の外観に関する治験責任医師の評価が萎縮性膣炎の診断と一致しない(正常粘膜色および正常なしわの存在)。乾燥または過敏などの症状についての被験者の評価は萎縮とは無関係である。
6. 子宮内膜アブレーションの病歴。
7. 過去のエストロゲンの使用に関連する血栓塞栓症事象の病歴。
8. 乳癌、またはベースライン時において乳癌の陽性もしくは疑いのあるマンモグラム、または一卵性双生児に発症した乳癌。
9. 臨床生検に基づいた子宮内膜癌または子宮内膜過形成。
10. 最初のスクリーニング来院から6ヶ月以内の心筋梗塞、または抗不整脈薬もしくはジギタリスを必要とする冠動脈性心疾患、またはうっ血性心不全。
11. 脳梗塞またはTIA(あり)。
12. 悪性黒色腫(あり)。
13. 無作為化の前5年以内に診断された全ての癌(非黒色腫皮膚癌を除く)。
14. 慢性肝疾患。
15. その他の生命にかかわる主要な疾患。
16. その患者が、登録に先立って膣坐剤を適正に使用する能力を示すことができない、英語を理解しない、試験の手順に協力できない、本試験の対象地域に1年間とどまる可能性が低い。
【0076】
エストリオール1 mg用量を、負荷投与後の維持投与スケジュールにより週3回、坐剤の形式で投与する。本投与計画は以下の理由で選ばれる。(1) 臨床データによれば、.5 mgの低用量は閉経期の患者において乳酸桿菌の個体数を回復させず、また膣内pHを低下させない。(2) 負荷投与後の維持の際の投与スケジュールとして、低用量または低力価のエストロゲンを使用して週3回経膣的に投与することが推奨される。(3) エストロゲン錠剤および膣内リングに関する試験が提供するデータは、これらの萎縮性膣炎の治療の代替薬を推奨するには不十分である。
【0077】
さらに特定のプロゲステロン薬も用いられる。これはプロゲステロンのタイプが脂質レベルに顕著に影響しうることが分かっているからである。微粉化プロゲステロンが選択されるが、安全上の理由から、合成プロゲステロンではなく天然由来のプロゲステロンである。先行データによると、プロゲステロンを経口および経膣的に投与し生物学的利用能を比較している。これにより、2つの製剤においてプロゲステロンのピーク血漿濃度に有意差を認めず、同様の生物学的利用能を有することが明らかになっている。さらにそのデータにより、子宮内膜の安全を誘発する能力の相対的な力価は、経口治療用プロゲステロンで推奨用量200 mg、プロゲステロン膣懸濁液で推奨用量90 mgであることが分かっている。諸研究により、微粉化プロゲステロンを100 mg用量で1ヶ月に12日経膣的に投与することで子宮内膜の機能的な分泌を生じることが証明されている。
【0078】
したがって、今回の試験において膣内ホルモン療法の子宮内膜への効果を評価する場合、微粉化プロゲステロン約50 mgおよび微粉化プロゲステロン25 mgを用いる。本試験用に選択される治療レジメンには以下の4つの試験群がある。
(1) プラセボ
(2) エストリオール1 mg
(3) エストリオール1 mgおよび微粉化プロゲステロン25 mg
(4) エストリオール1 mgおよび微粉化プロゲステロン50 mg
単盲検化の一環として、治療群に無作為に割り付けた患者にJC-002プラセボを投与する。
【0079】
膣内プラセボはMBK基剤 - 1.2500 gmからなる。膣内プラセボはJC-001エストリオール/プロゲステロン坐剤に対抗する坐剤である。試験調合剤の本来の性質はラベルのマスキング部分で隠されている。プラセボ群に無作為に割り付けた患者にJAB基剤の坐剤を投与し、膣内プラセボを自己投与させる。調合剤は以下の表4に示す通りである。
【0080】
(表4)

【0081】
以下の治療の内の一つに同数の被験者を無作為に割り付ける: 1日当たり1 mgのエストリオールおよび50 mgの微粉化プロゲステロンを含有する膣坐剤を2週間、その後週3回投与する群(n=5); 1日当たりエストリオール1 mgおよび微粉化プロゲステロン25 mgを含有する膣坐剤を2週間、その後週3回投与する群(n=5); 1日当たりエストリオール1 mgを含有する膣坐剤を2週間、その後週3回投与する群(n=5); またはプラセボ投与群(n=5)。患者は1日1回2週間、坐剤を膣内に挿入する。患者はその後週3回、少なくとも2日以上の治療間隔で坐剤を挿入し、治療反応を維持する。
【0082】
3、6、および12ヶ月目に有効性および安全性について患者を評価する。さらに最初の負荷投与の2週間後に電話で患者と連絡を取り、有害事象を評価する。最初のスクリーニング来院時に病歴を入手し、一般理学検査および内診を実施する。各被験者は泌尿生殖器委縮の症状に関するアンケート用紙に記入する。さらに、ベースライン時、3、6、および12ヶ月目にpHメータで膣内pHを測定し、膣入り口の内側の壁全体にスワブを回転させて膣培養物を採取し、直ちに植菌して乳酸桿菌を単離し有効性を評価する。ベースライン時、3、6、および12ヶ月目に子宮内膜生検を実施し、安全性プロファイルを評価する(さらなる詳細は子宮内膜の組織学的検査の手順のセクションを参照)。表5にデータの収集を示す。
【0083】
(表5)データ収集および検体採取のスケジュール(0〜12ヶ月)

【0084】
必要ならば年1回の来院時のデータ収集および手順の中に、内診および子宮頸部パップスメアを含める。必要に応じ不定期の来院を実施し、被験者または治験責任医師が気付いた問題に対応する。さらに、予定された来院時に毎回、症状に関する日記、膣出血の記録、投薬使用、および一時的な疾患を精査する。
【0085】
女性の月経周期の日には関係なく、標準的な生検法を用いて子宮内膜組織を採取する。この生検法はPipelleカニューレを用いて実施する。子宮に挿入したことを治験責任医師が確信しても組織を採取できない女性(推定される萎縮が原因)の生検結果は、正常として分類される。ベースライン時に子宮への挿入が不可能な女性(頸管狭窄またはその処置への不耐性)は試験群に割り当てられない。これがフォローアップの来院時に起こった場合、その女性は試験薬を中断する。不定期の生検を実施し、異常もしくは問題のある膣出血の評価、または過形成の早期診断のフォローアップとしての評価を行う。検体を4%の非緩衝ホルマリン中で固定し、4 um切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。患者のプロトコル・レジメンについて盲検化された同じ病理学者が生検結果を解釈する。子宮内膜過形成の診断基準および子宮内膜過形成を分類するのに用いる専門用語は、標準基準にしたがって用いられる。
【0086】
生検、掻爬、または子宮摘出により、ベースライン時、3、6、および12ヶ月目、または不定期の来院時における子宮内膜の組織像を収集する。
【0087】
実施例2:クリーム形態の薬学的組成物の製剤
本実施例は萎縮性膣炎に関連する症状を治療するための薬学的組成物の製剤を膣クリームとして提供する。表6に成分およびその量を示す。
【0088】
(表6)

各用量の総体積は全ての強度で1 gmである。
【0089】
実施例3:クリーム形態の薬学的組成物の製剤
本実施例は萎縮性膣炎に関連する症状を治療するための薬学的組成物の製剤を膣クリームとして提供する。表7に成分およびその量を示す。
【0090】
(表7)

【0091】
実施例4:クリーム形態の薬学的組成物の製剤
本実施例は萎縮性膣炎に関連する症状を治療するための薬学的組成物の製剤を膣坐剤として提供する。表8に成分およびその量を示す。
【0092】
(表8)

【0093】
実施例5:閉経期の患者における萎縮性膣炎を治療するための単回投与量単位の膣内エストリオールとプロゲステロンによる有効性および安全性の試験
エストリオールとプロゲステロンを調合し、それを単回投与量単位として患者11例に投与することにより、エストリオールとプロゲステロンを組み合わせたものの製剤を調査した。患者の年齢は51歳〜75歳であり、平均年齢は59歳であった。女性全員が膣乾燥の膣萎縮症状を呈した。女性全員に1日1回、エストリオールとプロゲステロンを組み合わせた膣坐剤を2週間にわたり投与することによって治療し、その後週2回の維持レジメンを実施した。5例の女性にはエストリオール1 mgとプロゲステロン25 mgの用量を投与した。6例の女性にはエストリオール1 mgとプロゲステロン30 mgの用量を投与した。坐剤挿入の約3〜5時間後に血液標本を採取した。
【0094】
表9に示すように、本試験の患者は治療3ヶ月目までに、エストリオールとプロゲステロンを組み合わせた坐剤による治療後の膣乾燥の膣萎縮症状の改善を報告した。エストリオール1 mg/プロゲステロン25 mg (n=5)およびエストリオール1 mg/プロゲステロン30 mg (n=6)の両治療において、ベースライン値と比較して膣乾燥指数(評価尺度)の改善をもたらした(ただし「0」は乾燥なし、「10」は極度の乾燥を意味する)。婦人科的評価には、さらに膣内pH評価も含めた。膣内pHはインジケーターストリップを用いて測定した。ベースライン時もしくは3ヶ月目のフォローアップ時のpHおよび膣乾燥の中央値は、2用量群間またはそれらの値の変化間で有意差は見られなかった(表9)。各用量群内のベースライン時から3ヶ月目までのpHおよび膣乾燥の値の変化の中央値に有意差が見られた(表9)。
【0095】
(表9)膣内エストリオール/プロゲステロン治療によって誘発された臨床上の変化:膣内pHおよび膣乾燥

2用量群の中央値の差に関するマン・ホイットニー検定によるP値
各用量群内の中央値の変化に関するウィルコクソンの符号付順位検定によるP値
【0096】
血清プロゲステロン濃度に関する証拠が示すように、プロゲステロンは膣粘膜から吸収されたが、濃度は大きく変化せず、また正常範囲内によく収まった(正常の黄体期の濃度の範囲は1.8 ng/mlから26 ng/mlまで幅がある)。これらのデータはプロゲステロンの全身の生物学的利用能を示し、濃度が黄体期プロゲステロン濃度に厳密に限定されると思われる。本データは、エストロゲンに刺激された閉経後子宮内膜に起こることが報告されている抗増殖作用を持つのに十分な、医学文献で報告された必要用量と一致していると考えられる。表10にプロゲステロンの血清中濃度を示す。
【0097】
(表10)

【0098】
エストロゲン欠乏の女性は週2回の治療レジメン(エストリオール1 mg/プロゲステロン25 mg[n=5];エストリオール1 mg/プロゲステロン30 mg[n=5])を約12ヶ月間受け、治療の1年後にマンモグラムを実施した。全10例のマンモグラムの結果は正常であった。本結果は膣ホルモンを組み合わせた補充療法によって乳癌のリスクが増大しないことを示しており、これは経口または経皮的なホルモンを組み合わせた補充療法とは対照的である。表11にマンモグラムの所見を示す。
【0099】
(表11)

【0100】
実施例6:閉経期の患者における萎縮性膣炎を治療するための単回投与量単位の膣内エストリオールとプロゲステロンによる有効性および安全性の試験
パイロット試験を実施し、閉経後女性の萎縮性膣炎の治療においてエストリオールとプロゲステロンを組み合わせた膣坐剤が有効かつ安全かどうか調査した。
【0101】
試験薬の製剤を表12に示す。被験者は以下の治療を受けた:1日当たりエストリオール1 mgとプロゲステロン30 mgを含有する膣坐剤を2週間、その後週3回投与する(n = 19)。本データの収集を表13に示す。
【0102】
(表12)試験薬の製剤

【0103】
(表13)データ収集スケジュール(0〜6ヶ月)

【0104】
本試験は被験者19例の標本を登録した。被験者19例は全員が萎縮性膣炎の症状を有した。全ての症例に膣および子宮内膜の萎縮があった。
【0105】
萎縮性膣炎の閉経後女性に関する過去の試験は、治療前の平均膣成熟度指数(Vaginal Maturation Index:VMI)およびpH値がそれぞれ39.5および 6.2であったと報告している(Marx et al., Maturitas 2004; 47:47-54)。これらのデータに基づき、その差分の標準偏差がVMIは14、膣内pHは0.8と同程度であると仮定すると、18例の標本サイズは80%を超える検出力を有し、VMIの25%の変化および膣内pHの10%の変化を検出する。さらに、真の子宮内膜過形成率が1%である場合、18例の女性の標本サイズは98.6%の検出力を有し、25%を超える過形成率を除外する(すなわち、真の過形成率が25%であるときは0または1の事象のみを観察する確率は0.05未満であるが、真の過形成率が1%であるときは確率0.986である)。
【0106】
本試験における主要評価項目には、ベースライン時、3ヶ月目、6ヶ月目のフォローアップ測定値間の差として定義される膣成熟度指数、膣乾燥・尿頻度・性欲の自己評価ならびに膣内pHの変化を含めた。副次的評価項目には、持続的なエストロゲン作用または子宮内膜過形成の組織学的証拠として定義される6ヶ月目における異常な子宮内膜生検結果の有無、ならびにベースライン時、2週目、3ヶ月目、6ヶ月目のフォローアップ測定値間の差として定義される血清エストリオールとプロゲステロン濃度の変化を含めた。
【0107】
連続的な試験の評価項目を提供する記述統計には、平均値、中央値、標準偏差、および95%信頼区間を含めた。分類別の評価項目を提供する記述統計には、頻度、百分率、および95%信頼区間を含めた。変数の欠測値は被験者の最終測定値を用いて補完した。記述統計は、欠測値を補完したものと補完しないものを提供した。本試験のホルモンのレジメンにおける子宮内膜過形成の症例ゼロは、方程式 (1−最大リスク)n = 0.05に基づいて95%信頼水準での14%と同程度の長期リスクと判断した(Hanely et al., JAMA 1983, 249:1743-45)。
【0108】
しかしながら、エストロゲンおよびプロゲステロンの膣調合剤は長期間試験されていないため、この数字は長期リスクを反映しない。エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせた経口治療に伴う長期リスクは、3年間の試験の間1%未満の子宮内膜過形成であった。エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせた膣調合剤を使用する場合に予想される結果としては、同様の比率の子宮内膜過形成(1%未満)が認められると思われる。
【0109】
3ヶ月の治療期間中に副作用は発生しなかった。治療の3ヶ月後に被験者全員が評価のために再来院し、18例が膣乾燥症状について満足できる緩和を報告した。被験者1例は膣萎縮の客観的改善にもかかわらず膣乾燥症状について軽度の自覚的緩和を報告した。本治療は登録時から12週目来院時までに膣乾燥指数の有意な改善をもたらした。本治療は登録時から12週目来院時までに、膣成熟度指数の有意な改善が見られた。本治療は登録時から12週目来院時までに、pHの変化の有意な改善が見られた。本治療は登録時から12週目来院時までに、過活動膀胱症状の尿頻度の有意な改善が見られた。さらに、登録時から12週目来院時までに、欲求相(性欲)低下障害の有意な改善が見られた。表14および15に、エストリオールとプロゲステロンの膣内併用ホルモン療法による臨床上の変化を示す。
【0110】
(表14)登録時から2週目および/または12週目来院時までの症状スコアの中央値、エストリオールおよびプロゲステロンの濃度、ならびに対差(paired difference)


負値は登録時からの減少を示し、正値は登録時からの増加を示す。
各被験者の登録時の値を2週目および/または12週目の値と比較した、ウィルコクソンの符号付順位検定によるP値
【0111】
(表15)登録時および12週目来院時における性欲および尿頻度の症状の有無

各被験者の登録時と12週目来院時との間で症状の有無を比較した、マクネマーの検定によるP値
【0112】
さらに、週3回のエストリオール1 mg/プロゲステロン30 mgの治療レジメンを約12週間(3ヶ月)受けたエストロゲン欠乏の女性から、坐剤挿入約4〜5時間後に血液標本を採取した。血清プロゲステロン濃度に関する証拠が示すように、プロゲステロンは膣粘膜から吸収されたが、濃度は大きく変化せず、また正常範囲内によく収まった(正常の黄体期の濃度の範囲は1.8 ng/mlから26 ng/mlまで幅がある)。これらのデータはプロゲステロンの全身の生物学的利用能を示し、濃度が黄体期プロゲステロン濃度に厳密に限定されると思われる。この場合も、本データ(平均血清中濃度7.7 ng/ml)は、エストロゲンに刺激された閉経後子宮内膜に起こることが報告されている抗増殖作用を持つのに十分な、医学文献で報告された必要用量と一致していると考えられる(5 ng/ml以上)。表16は、週3回の膣ホルモン療法のため併用投与した後の血清プロゲステロン濃度を示す。表17 および18は、登録時のプロゲステロン濃度と2週目および12週目における挿入前の濃度との間で有意差が見られなかったことを示し、したがって最小量の全身性吸収が示唆される。概してこれらの結果は、プロゲステロン投与の全身的な効果が実質的に経口投与された用量のそれに満たないであろうことを示している。
【0113】
(表16)閉経後の女性にエストリオール/プロゲステロン膣坐剤を週3回投与した後の血清プロゲステロン濃度

【0114】
(表17)各被験者の登録時と2週目来院時との間のプロゲステロン濃度 ≧5 ng/mlの有無

各被験者の登録時と2週目来院時との間でプロゲステロン濃度 ≧5 ng/mlの有無を比較した、マクネマーの検定によるP値
【0115】
(表18)各被験者の登録時と12週目来院時との間のプロゲステロン濃度 >5 ng/mlの有無

各被験者の登録時と12週目来院時との間でプロゲステロン濃度 ≧5 ng/mlの有無を比較した、マクネマーの検定によるP値
【0116】
患者5例は治療の6ヶ月後に子宮内膜生検(endometrial biopsy:EMB)を受けた。その結果は子宮に対する抗増殖作用と一致し、またこれは経口または経皮的ホルモンを組み合わせた補充療法により報告された結果と一致した。したがって、プロゲステロン30 mgの膣内投与はエストロゲン刺激性閉経後子宮内膜に対する抗増殖作用を得るのに十分であった。表19は、子宮内膜の変化を示す。
【0117】
(表19)正常ベースライン時以降、6ヶ月目の最も極端な異常結果までの子宮内膜生検の変化の概要

【0118】
経口経路の投与によるエストリオール濃度の測定から、経口投与によるホルモンの全身濃度が有意に高値であることが分かっている。表20は、1 mgエストリオールの投与により膣細胞診および膣内pHが閉経前の値にまで変化したが、2週目および12週目の挿入前における血清中濃度に有意差が見られなかったことを示す。概してこれらの結果は、エストリオール投与の全身的な効果が実質的に経口投与された用量のそれに満たないであろうことを示している。
【0119】
(表20)登録時から2週目および12週目来院時までのエストリオール濃度の中央値および対差

各被験者の登録時の値を12週目の値と比較した、ウィルコクソンの符号付順位検定によるP値
【0120】
要約すると、本データは膣成熟度指数(n=19)、pH (n=19)、膣乾燥評価(n=19)、性欲(n=11)、および尿頻度(n=12)において、ベースライン時から3ヶ月目までの平均値の改善を示した。患者5例に対する6ヶ月目のEMBは抗増殖作用を示した。患者15例は血清プロゲステロン値により抗増殖作用を認めた。患者13例は血清エストリオール値により最小量の全身性吸収を認めた。患者10例が1年間の試験薬によってマンモグラムの所見に変化を認めなかったことは注目に値する。
【0121】
本発明は本明細書において記述されている具体的な態様によって範囲が限定されるべきではない。実際に、本明細書において記述されているものに加えて、本発明のさまざまな変更が先の記述および添付の図面から当業者には明らかになると考えられる。そのような変更は、添付の特許請求の範囲の中に入ることが意図される。
【0122】
全ての値は概算であり、説明のために示されていることがさらに理解されるべきである。
【0123】
特許、特許出願、刊行物、製品に関する文書およびプロトコルが本出願を通じて引用されており、それらの開示は全ての目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
萎縮性膣炎に関連する泌尿生殖器症状の治療において有用な、治療的有効量のエストロゲン化合物、治療的有効量のプロゲステロン化合物、および治療的有効量の薬学的に許容される膣投与用の担体を含む、その必要がある被験体への膣投与用の薬学的組成物。
【請求項2】
膣坐剤として調製される、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
エストロゲン化合物が微粉化エストリオールである、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項4】
プロゲステロン化合物が微粉化プロゲステロンである、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項5】
エストロゲン化合物が微粉化エストリオールであり、かつプロゲステロン化合物が微粉化プロゲステロンである、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項6】
微粉化エストリオールが、一用量当たり約1 mgの量で存在する、請求項3記載の薬学的組成物。
【請求項7】
微粉化エストリオールが、一用量当たり約0.01 mg〜約10 mgの量で存在する、請求項3記載の薬学的組成物。
【請求項8】
微粉化エストリオールが、一用量当たり約0.25 mg〜約1.0 mgの量で存在する、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
微粉化プロゲステロンが、一用量当たり約5 mg〜500 mgの量で存在する、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項10】
微粉化プロゲステロンが、一用量当たり約25 mg〜50 mgの量で存在する、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
微粉化エストリオールおよび微粉化プロゲステロンが、一用量当たりそれぞれ約1 mg:25 mgの量で存在する、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項12】
微粉化エストリオールおよび微粉化プロゲステロンが、一用量当たりそれぞれ約1 mg:30 mgの量で存在する、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項13】
微粉化エストリオールおよび微粉化プロゲステロンが、一用量当たりそれぞれ約1 mg:50 mgの量で存在する、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項14】
添加物、薬学的に許容される担体、脂肪酸基剤、保存剤、色素、結合剤、懸濁化剤、分散剤、着色剤、崩壊剤、賦形剤、希釈剤、潤滑剤、可塑剤、油およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つの構成要素をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項15】
微粉化プロゲステロンが、閉経の間の長期の非競争的エストロゲン投与に関連する子宮への有害作用に付随した易罹病性(liability)を低減するために、治療的有効用量で与えられる、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項16】
懸濁化剤をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項17】
懸濁化剤が微粉化シリカゲルである、請求項16記載の薬学的組成物。
【請求項18】
微粉化シリカゲルの量が、一単位用量当たり0.020 gmである、請求項17記載の薬学的組成物。
【請求項19】
脂肪酸基剤をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項20】
脂肪酸基剤が坐剤ごとにJAB基剤で構成される、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項21】
エストロゲン化合物およびプロゲステロン化合物の治療的有効量を含む薬学的組成物を経膣的に投与する段階を含む、萎縮性膣炎の泌尿生殖器症状を治療する方法。
【請求項22】
エストロゲンが微粉化エストリオールである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
プロゲステロンが微粉化プロゲステロンである、請求項21記載の方法。
【請求項24】
エストロゲンが微粉化エストリオールであり、かつプロゲステロンが微粉化プロゲステロンである、請求項21記載の方法。
【請求項25】
治療的有効量のプロゲステロンが、閉経の間の長期の非競争的エストロゲン投与に関連する子宮への有害作用に付随した易罹病性を低減するのに有効である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
抗ムスカリン治療に関連する副作用の発生率が低減される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
経膣的に与えられる微粉化プロゲステロン25 mgと併用される微粉化エストリオール0.5 mgの量が、子宮内膜に抗増殖作用を引き起こす、請求項24記載の方法。
【請求項28】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1 mg:微粉化プロゲステロン50 mgの用量で存在し、膣投与が子宮内膜に抗増殖作用を引き起こす、請求項24記載の方法。
【請求項29】
経膣的に与えられる微粉化プロゲステロン25 mgと併用される微粉化エストリオール1 mgの量が子宮内膜に抗増殖作用を引き起こす、請求項24記載の方法。
【請求項30】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1 mg:微粉化プロゲステロン30 mgの用量で存在し、膣投与が子宮内膜に抗増殖作用を引き起こす、請求項24記載の方法。
【請求項31】
投与が少なくとも3ヶ月間継続される、請求項21記載の方法。
【請求項32】
投与が少なくとも6ヶ月間継続される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
投与が少なくとも12ヶ月間継続される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
投与が少なくとも18ヶ月間継続される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
投与が少なくとも24ヶ月間継続される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1.0 mg:微粉化プロゲステロン100 mgの用量で存在し、膣投与が完全な分泌性子宮内膜を誘導して、消退出血をもたらす、請求項24記載の方法。
【請求項37】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1 mg:微粉化プロゲステロン50 mgの用量で存在し、膣投与が子宮内膜を部分的に分泌性のままとし、非常に軽い不規則な出血をもたらしかつ消退出血をもたらさない、請求項24記載の方法。
【請求項38】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1 mg:微粉化プロゲステロン30 mgの用量で存在し、膣投与が子宮内膜を部分的に分泌性のままとし、非常に軽い不規則な出血をもたらしかつ消退出血をもたらさない、請求項24記載の方法。
【請求項39】
エストロゲンおよびプロゲステロンが微粉化エストリオール1 mg:微粉化プロゲステロン25 mgの用量で存在し、膣投与が子宮内膜を部分的に分泌性のままとして、不規則な出血および消退出血をもたらさない、請求項24記載の方法。
【請求項40】
エストロゲン化合物およびプロゲステロン化合物が、膣坐剤または膣クリームとして投与される、請求項21記載の方法。
【請求項41】
薬学的組成物が、過活動膀胱の症状を低減するために治療的有効量で投与される、請求項21記載の方法。
【請求項42】
過活動膀胱の症状が、頻尿(frequency)、尿意促迫(urgency)、夜間頻尿、および切迫性尿失禁を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
抗コリン剤をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項44】
薬学的組成物が抗コリン剤をさらに含む、請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2009−523831(P2009−523831A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551572(P2008−551572)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/060858
【国際公開番号】WO2007/085020
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508218143)ペア トゥリー ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【出願人】(308039953)
【Fターム(参考)】