説明

葉状農産物の供給装置

【課題】葉状農産物の供給処理能力を著しく向上させ得るとともに、当該葉状農産物の破損等を回避することができる葉状農産物の供給装置を提供する。
【解決手段】積層された葉状農産物Wを順次取り上げ、搬送コンベア1上に一枚ずつ供給する葉状農産物の供給装置8において、搬送コンベア1の上方と積層された葉状農産物Wの上方との間で無端回動しつつ葉状農産物Wを吸着可能とすべく複数の通気孔9aが形成された無端帯9を有するとともに、当該積層された葉状農産物Wのうち最上位置にある葉状農産物Wに近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物Wから離間して葉状農産物Wを吸着しない非吸着位置との間で動作可能とされ、吸着位置で吸着した葉状農産物Wを搬送コンベア1上まで一枚ずつ移載する移載手段10を具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された葉状農産物を順次取り上げ、搬送コンベア上に一枚ずつ供給する葉状農産物の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大葉(青シソの葉)などの葉状農産物は、通常、搬送コンベアで搬送されつつ大きさ及び品質等の選別が行われ、大きさ及び品質毎に束ねられた後、葉柄部を輪ゴム等で巻いた状態で箱詰め或いは袋詰めして出荷されることが多い。而して、後段の自動選別装置や自動束作り装置に対して自動で葉状農産物を1枚ずつ供給するための従来の葉状農産物の供給装置として、特許文献1にて開示されたものが挙げられる。
【0003】
かかる葉状農産物の供給装置は、吸着パッドにより大葉を1枚ずつ吸着して保持しつつ、後段の自動選別装置や自動束作り装置までこれを移送して供給し得るよう構成されていた。これにより、人手をあまり必要とせず、収容部に積層収容された大葉をその姿勢を整えつつ1枚ずつ自動的に搬送コンベアに供給することができ、その後の選別作業へ良好に行わせて大葉(葉状農産物)の出荷作業を効率化することができる。
【特許文献1】特開平11−91723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の葉状農産物の供給装置においては、吸着パッドにより大葉を1枚ずつ吸着して保持しつつ、当該吸着パッドを後段の自動選別装置や自動束作り装置まで移動させ、大葉を供給し得るよう構成されていたので、吸着パッドを往復移動させる必要があり、処理能力を著しく向上させることに限界があるという問題があった。また、大葉に限らず葉状農産物は、薄く且つ軽量なものが多いため、吸着パットを押圧したときに破損等してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、葉状農産物の供給処理能力を著しく向上させ得るとともに、当該葉状農産物の破損等を回避することができる葉状農産物の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、積層された葉状農産物を順次取り上げ、搬送コンベア上に一枚ずつ供給する葉状農産物の供給装置において、前記搬送コンベアの上方と積層された葉状農産物の上方との間で無端回動しつつ葉状農産物を吸着可能とすべく複数の通気孔が形成された無端帯を有するとともに、当該積層された葉状農産物のうち最上位置にある葉状農産物に近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物から離間して葉状農産物を吸着しない非吸着位置との間で動作可能とされ、前記吸着位置で吸着した葉状農産物を前記搬送コンベア上まで一枚ずつ移載する移載手段を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の葉状農産物の供給装置において、前記移載手段は、前記無端帯の通気孔を介して吸引力を生じさせ葉状農産物を当該無端帯に吸着するための開口が形成されるとともに、当該開口の幅が積層された葉状農産物のうち最小の大きさのものに対応して設定されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の葉状農産物の供給装置において、前記移載手段は、揺動軸を中心として揺動し、吸着位置と非吸着位置との間で動作可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の葉状農産物の供給装置において、前記葉状農産物を積層状態で載置する載置手段を具備するとともに、当該葉状農産物のうち最上位のものの高さを略一定とするための昇降手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の葉状農産物の供給装置において、前記載置手段は、前記昇降手段と連動して積層状態で載置された前記葉状農産物を案内するガイド手段を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の葉状農産物の供給装置において、前記載置手段は、積層状態で載置された葉状農産物のうち最上位のものの表面を任意傾きとするための傾斜手段を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6の何れか1つに記載の葉状農産物の供給装置において、前記葉状農産物が大葉であり、前記載置手段は、積層状態の大葉の葉柄部の向きを略一定に揃える葉柄部拘束部を具備するとともに、葉柄部が前記搬送コンベアの反搬送方向に向いた状態とする第1状態と、葉柄部が前記搬送コンベアの搬送方向に向いた状態とする第2状態との間で移動可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、搬送コンベアの上方と積層された葉状農産物の上方との間で無端回動しつつ葉状農産物を吸着可能とすべく複数の通気孔が形成された無端帯を有する移載手段にて葉状農産物を前記搬送コンベア上まで一枚ずつ移載して供給し得るので、葉状農産物の供給処理能力を著しく向上させ得るとともに、当該積層された葉状農産物のうち最上位置にある葉状農産物に近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物から離間して葉状農産物を吸着しない非吸着位置との間で動作して、吸着位置で吸着した葉状農産物を搬送コンベア上まで一枚ずつ移載するので、葉状農産物の破損等を回避することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、移載手段は、無端帯の通気孔を介して吸引力を生じさせ葉状農産物を当該無端帯に吸着するための開口が形成されるとともに、当該開口の幅が積層された葉状農産物のうち最小の大きさのものに対応して設定されたので、大小入り交じって積層された葉状農産物を吸着する際、最上位の葉状農産物よりもその下に位置する葉状農産物の方が大きい場合であっても、確実に最上位のもののみを吸着させて移載することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、移載手段が揺動軸を中心として揺動し、吸着位置と非吸着位置との間で動作可能とされたので、葉状農産物の連続的な供給をよりスムーズに行わせ、効率的な移載を行わせることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、葉状農産物を積層状態で載置する載置手段を具備するとともに、当該葉状農産物のうち最上位のものの高さを略一定とするための昇降手段を具備したので、葉状農産物の連続的な供給をより確実に行わせることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、載置手段は、昇降手段と連動して積層状態で載置された葉状農産物を案内するガイド手段を具備したので、当該葉状農産物の無端帯への吸着を確実に行わせることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、載置手段は、積層状態で載置された葉状農産物のうち最上位のものの表面を任意傾きとするための傾斜手段を具備したので、当該葉状農産物の無端帯への吸着をより確実に行わせることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、葉状農産物が大葉であり、載置手段は、積層状態の大葉の葉柄部の向きを略一定に揃える葉柄部拘束部を具備するとともに、葉柄部が搬送コンベアの反搬送方向に向いた状態とする第1状態と、葉柄部が搬送コンベアの搬送方向に向いた状態とする第2状態との間で移動可能とされたので、葉状農産物の載置手段への載置作業を容易に行わせることができ、且つ、当該葉状農産物の無端帯への吸着をより確実に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る葉状農産物の供給装置は、大葉(青じそ)などの葉状農産物の大きさや形状に基づき選別し得る選別装置に適用されたものである。かかる選別装置は、図1に示すように、葉状農産物Wを一定の向きで順次搬送し得る搬送コンベア1と、該搬送コンベア1を流れる葉状農産物Wを撮像し、その画像に基づいて大きさ或いは形状等の仕分け区分に応じて判別し得る判別装置2と、該判別装置2の下流側に複数配設された移載装置4と、判別装置2の判別結果に応じて移載装置4を選択的に動作させる制御装置3と、葉状農産物の供給装置8とから主に構成されている。
【0021】
搬送コンベア1は、ベルトコンベア又はローラコンベア等の搬送面を有するものから成り、葉状農産物Wを一定の速度及び方向に搬送するよう構成されている。識別装置2は、上述の如く画像に基づく判定を行うものに代え、他の要素(汎用的なセンサ等)にて所定の仕分け区分に応じた判別が可能なものとしてもよい。所定の仕分け区分は、大きさや形状とは異なる要素(着色具合など)であってもよい。
【0022】
しかして、後で詳述する葉状農産物の供給装置8にて葉状農産物Wを搬送コンベア1の搬送面上に供給すると、その葉状農産物Wは当該搬送コンベア1に沿って搬送され、判別装置2にて大きさ或いは形状といった仕分け区分に応じた判別が行われるとともに、その判別結果が制御装置3に送信される。制御装置3は、送信された判別結果や搬送コンベア1のクロック信号に基づき、対応する移載装置4に制御信号を送信し動作させる。
【0023】
移載装置4にて仕分け区分毎に移載された葉状農産物Wは、移載装置4毎に配設された貯留箱5に収容され、当該貯留箱5内の葉状農産物Wが一定量に達すると、作業者により仕分け台上に移され、そこで所定の箱Tに箱詰めされて他の搬送コンベア6にて搬送される。尚、判別結果により、何れの仕分け区分にも該当しないものは搬送コンベア1の終端から収容箱7に落下して別途収容されることとなる。
【0024】
葉状農産物の供給装置8は、積層された葉状農産物を順次取り上げ、搬送コンベア1上に一枚ずつ供給するためのものであり、図2〜5に示すように、内部に吸引室S1が形成された移載手段10を有しており、該移載手段10は、搬送コンベア1の上方と積層された葉状農産物Wの上方との間で無端回動しつつ葉状農産物Wを吸着可能とすべく複数の通気孔9a(図4、5参照)が形成された無端帯9を有している。この無端帯9は、モータM1の駆動にて無端回動するものであり、ローラR1〜R3に懸架されて成る。
【0025】
移載手段10は、その吸引室S1がダクトH1を介して図示しないブロワと連結されているとともに、無端帯9の通気孔9aを介して吸引力を生じさせ葉状農産物Wを当該無端帯9に吸着するための開口10aが形成されている。そして、ブロワを作動させることにより、ダクトH1を介して吸引室S1内の空気を外部へ排出し得るよう構成されており、これにより、開口10aにおいては吸引力が作用され、通気孔9aを介して葉状農産物Wを吸引及び吸着し得るようになっている。
【0026】
また、移載手段10は、揺動軸L1を中心に一体的に揺動自在とされており、ローラR2側に接続されたシリンダ11を駆動させると任意タイミングで揺動し得るよう構成されている。即ち、シリンダ11を駆動させて、そのプランジャ11aを伸長させると、移載手段10全体が図2の状態(積層された葉状農産物Wから離間して葉状農産物を吸着しない非吸着位置)と図3の状態(積層された葉状農産物Wのうち最上位置にある葉状農産物Wに近接して吸着する吸着位置)との間で揺動するのである。
【0027】
然るに、モータM1を駆動させると、ベルトV1を介してローラR1が回転し、その回転力によりローラR1〜R3に懸架された無端帯9が無端回動し得るよう構成されている。そして、無端帯9における開口10aの位置では、当該開口10a及び通気孔9aを介して吸引室S1が外部と連通することとなり、ブロワの吸引作用が及んで葉状農産物Wを吸引及び吸着し得るようになっている。
【0028】
しかして、移載手段10が非吸着位置(図4における実線で示す状態)にあるときは、吸引力が葉状農産物Wまで及ばず吸着しない一方、シリンダ11により移載手段10が吸着位置(同図における二点鎖線で示す状態)まで揺動動作すると、積層状態にて載置された葉状農産物Wのうち最上位のもののみが吸引され、上方に浮揚した後、無端帯9の表面に吸着される。
【0029】
即ち、移載手段10が非吸着位置にあるときは、当該移載手段10下面(無端帯9)から葉状農産物Wの表面までの離間寸法が大きく、当該葉状農産物Wまで吸引力が及ばないが、吸着位置(二点鎖線で示す位置)になると、移載手段10下面(無端帯9)と葉状農産物W(最上位のもの)とが近接し、当該葉状農産物Wに対して吸引力を及ばせることができるのである。無端帯9の表面に付着した1枚の葉状農産物Wは、その無端回動に伴い付着した状態のまま搬送コンベア1上方に移載される。
【0030】
そして、葉状農産物Wが開口10aにおける開口端部の位置に達すると、吸引作用が及ばなくなって無端帯9に対する吸着が解かれ、搬送コンベア1上に落下することとなるので、吸着位置で吸着した葉状農産物Wを搬送コンベア1上まで一枚ずつ移載することができる。ここで、本実施形態においては、図5に示すように、開口10aは、積層された葉状農産物W側における狭幅t1と搬送コンベア1側における広幅t2との2段階に設定されているとともに、狭幅t1が積層された葉状農産物Wのうち最小の大きさのものに対応して設定されている。
【0031】
従って、開口10aの幅t1が積層された葉状農産物Wのうち最小の大きさのものに対応して設定されているので、大小入り交じって積層された葉状農産物Wを吸着する際、最上位の葉状農産物Wよりもその下に位置する葉状農産物Wの方が大きい場合であっても、確実に最上位のもののみを吸着させて移載することができる。また、開口10aの幅t2が幅t1より広く設定されているので、大きな葉状農産物Wを吸着して移送する際、その端が垂れ下がってしまうのを回避することができる。
【0032】
1枚の葉状農産物Wを吸着した後においては、シリンダ11を駆動してプランジャ11aを収縮させ、移載手段10が揺動軸L1を中心に揺動し、元の非吸着位置に戻るよう構成されている。そして、移載手段10の揺動動作を繰り返し行わせることにより、積層された葉状農産物Wをその最上位に位置するものから順次一枚ずつ吸着しつつ移載し、搬送コンベア1上に供給することができる。
【0033】
一方、搬送コンベア1に供給されるべき葉状農産物Wは、載置手段12により載置状態で載置されている。この載置手段12は、葉状農産物Wを積層状態にて載置し得る載置台13と、該載置台13を囲んで上下方向に延設されたフレームFと、載置台13を昇降させ得るシリンダから成る昇降手段15と、載置台13を含む載置手段12全体を反転させ得るモータから成る回転手段14とを主に有している。
【0034】
また、載置手段12は、図示しない駆動手段によりレール16上を摺動自在とされており、葉状農産物Wの載置台13上への載置作業時は、図2で示す位置とされるとともに、葉状農産物Wの供給作業時は、図3で示す位置とされるよう構成されている。また、積層状態の葉状農産物W(本実施形態においては大葉)の葉柄部Waの向きを略一定に揃える一対の葉柄部拘束部12aを具備するとともに、図2で示すように、葉柄部Waが搬送コンベア1の反搬送方向(同図中右方向)に向いた状態とする第1状態と、図3で示すように、葉柄部Waが搬送コンベア1の搬送方向(同図中左方向)に向いた状態とする第2状態との間で移動可能とされている。
【0035】
具体的には、第1位置にある載置手段12に対し葉状農産物Wの積層載置作業が終了すると、回転手段14にて載置手段12全体を反転(葉柄部Waの向きが反転する如き反転)させつつレール16上を摺動させ、第2位置とし、その状態にて葉状農産物の供給装置8による供給作業が行われることとなる。上記構成によれば、載置手段12を第1位置とすることにより葉状農産物Wの当該載置手段12(載置台13)への載置作業を容易に行わせることができ、且つ、載置手段12を第2位置とすることにより、当該葉状農産物Wの無端帯9への吸着をより確実に行わせることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る移載手段12は、積層状態にて載置した葉状農産物Wのうち最上位のものの高さを略一定とするための昇降手段15を具備している。例えば、積層状態にて載置した葉状農産物Wのうち最上位のものの高さを図示しない別個のセンサ等で検出し、その位置が葉状農産物Wを順次供給する過程において常時一定となるように昇降手段15を上昇させ得るよう構成されているのである。これにより、移載手段10の揺動角度を変化させずに葉状農産物Wの吸着及び供給を行わせることができ、葉状農産物Wの連続的な供給をより確実に行わせることができる。
【0037】
上記実施形態によれば、搬送コンベア1の上方と積層された葉状農産物Wの上方との間で無端回動しつつ葉状農産物Wを吸着可能とすべく複数の通気孔9aが形成された無端帯9を有する移載手段10にて葉状農産物Wを搬送コンベア1上まで一枚ずつ移載して供給し得るので、葉状農産物Wの供給処理能力を著しく向上させ得るとともに、当該積層された葉状農産物Wのうち最上位置にある葉状農産物Wに近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物Wから離間して葉状農産物Wを吸着しない非吸着位置との間で動作して、吸着位置で吸着した葉状農産物Wを搬送コンベア1上まで一枚ずつ移載するので、葉状農産物Wの破損等を回避することができる。
【0038】
また、移載手段10が揺動軸L1を中心として揺動し、吸着位置と非吸着位置との間で動作可能とされたので、葉状農産物Wの連続的な供給をよりスムーズに行わせ、効率的な移載を行わせることができる。尚、移載手段10は、吸着位置と非吸着位置との間で動作可能であれば足り、例えば同一平面内を回動して吸着位置と非吸着位置との間で動作可能とされたもの等であってもよい。
【0039】
一方、移載装置4は、図6に示すように、内部に吸引室が形成された吸引手段18と、モータM2の駆動にて無端回動し得る無端帯17と、該無端帯17を懸架するローラR4〜R6と、吸引室を介して空気を吸引するブロワBとを有し、搬送コンベア1にて搬送される葉状農産物Wを選択的に取り上げ、貯留箱5が設置された他の部位まで移載し得るものである。
【0040】
吸引手段18は、搬送コンベア1上方と貯留箱5上方とに亘って配設され、下面に形成された開口18aにてブロワBによる吸引力を葉状農産物Wに対して作用させ得るもので、その前後の位置(搬送コンベア1側及び貯留箱5側)に無端帯17を懸架するローラR4〜R6が形成されている。開口18aは、吸引手段18の延設方向に形成され、その開口端部が搬送コンベア1上の葉状農産物Wに対応した位置及び貯留箱5に対応した位置とされている。
【0041】
一方、吸引手段18内部の吸引室は、ブロワBから延設されたダクトH2の先端と接続されており、当該ブロワBを作動させることにより、ダクトH2を介して吸引室内の空気を外部へ排出し得るよう構成されている。これにより、開口18aにおいては吸引力が作用され、無端帯17に形成された複数の通気孔を介して葉状農産物Wを吸引及び吸着し得るようになっている。
【0042】
また、これら吸引手段8及び無端帯17は、揺動軸L2を中心に一体的に揺動自在とされており、吸引手段18のローラR5側(搬送コンベア1側)に接続されたシリンダ19を駆動させると選択的に揺動し得るよう構成されている。即ち、シリンダ19を駆動させて、そのプランジャ19aを伸長させると、吸引手段18及び無端帯17が図6中実線で示す状態から同図中二点鎖線で示す状態まで揺動するのである。
【0043】
無端帯17は、無端状の可撓性部材から成るもので、その略全域に亘って複数の通気孔が形成されている。そして、モータM2を駆動させると、ベルトV2を介してローラR4が回転し、その回転力によりローラR4〜R6に懸架された無端帯17が無端回動し得るよう構成されている。然るに、無端帯17における吸引手段18の開口18aの位置では、当該開口18a及び通気孔を介して吸引室が外部と連通することとなり、ブロワBの吸引作用が及んで葉状農産物Wを吸引及び吸着し得るようになっている。
【0044】
しかして、吸引手段18及び無端帯17が非吸着位置にあるときは、吸引力が搬送コンベア1の搬送面まで及ばず、葉状農産物Wを吸着しない一方、シリンダ19により吸引手段18及び無端帯17が吸着位置まで動作すると、搬送コンベア1における搬送面上の葉状農産物Wは非接触の状態の移載装置4に吸引され、上方に浮揚した後、無端帯17の表面に吸着される。無端帯17の表面に付着した葉状農産物Wは、当該無端帯17の無端回動に伴い付着した状態のまま貯留箱5側へ移載される。
【0045】
そして、葉状農産物Wが開口18aにおける開口端部の位置に達すると、吸引作用が及ばなくなって無端帯17に対する吸着が解かれ、貯留箱5内に落下し、積層状態にて収容されることとなる。その後、シリンダ19を駆動してプランジャ19aを収縮させれば、吸引手段18及び無端帯17が揺動軸L2を中心に揺動し、元の非吸着位置に戻ることとなる。
【0046】
本実施形態によれば、吸着位置にある吸引手段18及び無端帯17が搬送コンベア1にて搬送過程の葉状農産物Wを吸引して吸着することにより当該搬送コンベア1から選択的に取り上げることができるので、移載効率を維持しつつ搬送コンベアで搬送される葉状農産物Wを良好に移載することができる。即ち、移載する際、吸引力にて葉状農産物Wを上方へ吸引して吸着させるので、従来の如く吸着パット等を押圧させるものに比べ、葉状農産物Wが搬送コンベアに擦れて破損してしまう不具合を回避できるとともに、破損回避のために搬送コンベアの駆動を停止させる必要がない。
【0047】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば図7、8に示すように、葉状農産物Wを積載状態にて載置するための載置手段12において、昇降手段15と連動して積層状態で載置された葉状農産物Wを案内するガイド手段20を具備させてもよい。このガイド手段20は、同図に示すように、上下一対のローラ20a、20bに無端懸架された帯状部材20cから成り、載置台13上に載置された葉状農産物W(特に大きなもの)の端部が当該帯状部材20cに僅かに触れるよう設定されている。
【0048】
即ち、昇降手段15の動作により積層状態の葉状農産物Wが上昇するのに伴い、帯状部材20cが回動して当該葉状農産物Wの動作に追従し得るようになっているのである。このようなガイド手段20を具備させれば、昇降手段15による葉状農産物Wの上昇動作をよりスムーズに行わせることができ、当該葉状農産物Wの無端帯9への吸着を確実に行わせることができる。
【0049】
また、例えば図9に示すように、葉状農産物Wを積載状態にて載置するための載置手段12において、積層状態で載置された葉状農産物Wのうち最上位のものの表面を任意傾きとするためのシリンダmから成る傾斜手段を具備させてもよい。この場合、葉状農産物Wを載置するための載置台13’は、一端に形成されたピン13’aを中心に揺動可能とされるとともに、他端に形成されたシリンダmのロッドmaを伸長させることにより任意角度で傾斜可能とされている。
【0050】
而して、載置台13’を任意角度とすることにより、積層状態にて載置した葉状農産物Wのうち最上位のものの角度を調整することができるので、吸着位置にある移載手段10の無端帯9と吸着される葉状農産物Wとの相対的角度を常に良好として当該葉状農産物Wの無端帯9への吸着をより確実に行わせることができる。
【0051】
更に、移載手段10については、図10に示すように、その長手方向(葉状農産物Wの搬送方向)に延びる開口10a’を一定の幅として構成するとともに、無端帯9に形成される通気孔9aを当該開口10a’に対応する位置のみに形成するよう構成してもよい。尚、かかる開口10a’の幅は、上記実施形態と同様、積層された葉状農産物Wのうち最小の大きさのものに対応して設定されるのが好ましい。
【0052】
尚、本葉状農産物の供給装置にて供給すべき葉状農産物は、大葉以外の葉状農産物としてもよい。また、本実施形態においては、葉状農産物の選別装置に適用されているが、他の装置(搬送コンベアに順次一枚ずつ供給する必要のあるもの)における葉状農産物の供給装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
搬送コンベアの上方と積層された葉状農産物の上方との間で無端回動しつつ葉状農産物を吸着可能とすべく複数の通気孔が形成された無端帯を有するとともに、当該積層された葉状農産物のうち最上位置にある葉状農産物に近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物から離間して葉状農産物を吸着しない非吸着位置との間で動作可能とされ、吸着位置で吸着した葉状農産物を前記搬送コンベア上まで一枚ずつ移載する移載手段を具備した葉状農産物の供給装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る実施形態の葉状農産物の供給装置が適用される選別装置を示す全体模式図
【図2】本発明の実施形態に係る葉状農産物の供給装置(移載手段が非吸着位置、且つ、載置手段が第1状態)を示す模式図
【図3】本発明の実施形態に係る葉状農産物の供給装置(移載手段が吸着位置、且つ、載置手段が第2状態)を示す模式図
【図4】同葉状農産物の供給装置を側面側から見た状態を示す模式図
【図5】(a)同葉状農産物の供給装置を上方から見た状態を示す模式図、(b)その開口の形状を示す模式図
【図6】本発明に係る実施形態の葉状農産物の供給装置が適用される選別装置における葉状農産物の移載装置を示す模式図
【図7】他の実施形態における載置手段を正面側から見た状態を示す模式図
【図8】同他の実施形態における載置手段を上方から見た状態を示す模式図
【図9】更に他の載置手段を示す模式図
【図10】(a)更に他の実施形態としての葉状農産物の供給装置を上方から見た状態を示す模式図、(b)その開口の形状を示す模式図
【符号の説明】
【0055】
1 搬送コンベア
2 識別装置
3 制御装置
4 移載装置
5 貯留箱
6 搬送コンベア
7 収容箱
8 葉状農産物の供給装置
9 無端帯
9a 通気孔
10 移載手段
11 シリンダ
12 載置手段
13 載置台
14 回転手段
15 昇降手段
16 レール
17 無端帯
18 吸引手段
19 シリンダ
20 ガイド手段
m シリンダ(傾斜手段)
W 葉状農産物
Wa 葉柄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された葉状農産物を順次取り上げ、搬送コンベア上に一枚ずつ供給する葉状農産物の供給装置において、
前記搬送コンベアの上方と積層された葉状農産物の上方との間で無端回動しつつ葉状農産物を吸着可能とすべく複数の通気孔が形成された無端帯を有するとともに、当該積層された葉状農産物のうち最上位置にある葉状農産物に近接して吸着する吸着位置と、当該積層された葉状農産物から離間して葉状農産物を吸着しない非吸着位置との間で動作可能とされ、前記吸着位置で吸着した葉状農産物を前記搬送コンベア上まで一枚ずつ移載する移載手段を具備したことを特徴とする葉状農産物の供給装置。
【請求項2】
前記移載手段は、前記無端帯の通気孔を介して吸引力を生じさせ葉状農産物を当該無端帯に吸着するための開口が形成されるとともに、当該開口の幅が積層された葉状農産物のうち最小の大きさのものに対応して設定されたことを特徴とする請求項1記載の葉状農産物の供給装置。
【請求項3】
前記移載手段は、揺動軸を中心として揺動し、吸着位置と非吸着位置との間で動作可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の葉状農産物の供給装置。
【請求項4】
前記葉状農産物を積層状態で載置する載置手段を具備するとともに、当該葉状農産物のうち最上位のものの高さを略一定とするための昇降手段を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の葉状農産物の供給装置。
【請求項5】
前記載置手段は、前記昇降手段と連動して積層状態で載置された前記葉状農産物を案内するガイド手段を具備したことを特徴とする請求項4記載の葉状農産物の供給装置。
【請求項6】
前記載置手段は、積層状態で載置された葉状農産物のうち最上位のものの表面を任意傾きとするための傾斜手段を具備したことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の葉状農産物の供給装置。
【請求項7】
前記葉状農産物が大葉であり、前記載置手段は、積層状態の大葉の葉柄部の向きを略一定に揃える葉柄部拘束部を具備するとともに、葉柄部が前記搬送コンベアの反搬送方向に向いた状態とする第1状態と、葉柄部が前記搬送コンベアの搬送方向に向いた状態とする第2状態との間で移動可能とされたことを特徴とする請求項4〜6の何れか1つに記載の葉状農産物の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−91023(P2009−91023A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264592(P2007−264592)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(508134337)静岡シブヤ精機株式会社 (20)
【Fターム(参考)】