説明

蒸散装置

【課題】薄肉化を図ることができる蒸散装置を提供する。
【解決手段】カートリッジ12に区画された第一収容部32と第二収容部33をトレイ21の底面31に沿って並設し、異なる蒸散剤を収容する。装置本体11に加熱板112を設け、加熱板112で中ケース73の後面部123を加熱する。カートリッジ12を装置本体11の装着部133に装着した状態でカートリッジ12のトレイ21の底面31を後面部123に接触し、各収容部32,33に収容された蒸散剤を底面31側から加熱する。各収容部32,33内の蒸散剤をトレイ21の開口部を閉鎖した蒸散面22から蒸散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の蒸散剤を蒸散する蒸散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤を蒸散させる装置としては、蒸散装置としての芳香器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この芳香器のケーシングは、上面開口状に形成されており、このケーシングには、内部を左右に分割する仕切壁が設けられている。該仕切壁は、ヒータ板を内蔵しており、該ヒータ板は、コンセントプラグから供給される電源によって加熱されるように構成されている。
【0004】
この仕切壁の両側部には、カートリッジが装着される装着部が設けられており、装着されたカートリッジは、トレイ底面が前記仕切板に接するように構成されている。
【0005】
これにより、前記カートリッジは、その底面から前記ヒータ板からの熱を受け、収容された芳香液を加熱することで、加熱された芳香液をトレイを閉鎖する蒸散面から蒸散できるように構成されている。
【0006】
このとき、前記仕切壁の両脇に形成された各装着部に異なる芳香液を収容したカートリッジを装着することで、異なる二種類の香りの芳香液を蒸散できるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−305113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の芳香器にあっては、異なるカートリッジを背中合わせにセットするように構成されている。
【0008】
このため、装置本体が厚肉になってしまい、壁面にあるコンセントに取り付けた場合、大きく飛び出てしまい、邪魔になるばかりか、歩行の際に引っ掛かってしまい、プラグやコンセントプラグを傷めてしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、薄肉化を図ることができる蒸散装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の蒸散装置にあっては、トレイ内の蒸散剤を当該トレイの開口部を閉鎖した蒸散面から蒸散するカートリッジと、該カートリッジを装着する装着部が設けられた装置本体とを備えた蒸散装置において、蒸散剤を収容する互いに区画された複数の収容部を前記トレイの底面に沿って並設する一方、当該カートリッジを前記装着部に装着した状態で前記各収容部に収容された蒸散剤を加熱する加熱部を前記装置本体に設けた。
【0011】
すなわち、前記カートリッジには、蒸散剤を収容する互いに区画された複数の収容部がトレイの底面に沿って並設されており、このカートリッジが装着される装置本体には、装着されたカートリッジの蒸散剤を加熱する加熱部が設けられている。
【0012】
このため、前記各収容部に異なる蒸散剤を収容することによって、異なる蒸散剤を蒸散することができる。
【0013】
また、請求項2の蒸散装置においては、前記装着部に前記カートリッジを装着した状態で当該カートリッジの前記蒸散面が対向する前記装置本体の部位に前記各収容部から蒸散された蒸散剤を放出する放出部を設けた。
【0014】
すなわち、前記装置本体には、装着部に装着されたカートリッジの蒸散面が対向する部位に、前記各収容部から蒸散された蒸散剤を放出する放出部が設けられている。
【0015】
このため、前記各収容部に収容された異なる蒸散剤は、前記放出部から放出される。
【0016】
さらに、請求項3の蒸散装置では、前記トレイの開口部を閉塞した前記蒸散面を透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成するとともに、各収容部に収容された蒸散剤に異なる色彩を施した。
【0017】
これにより、蒸散剤の終点がわかりやすいとともに、デザイン性に優れる。
【0018】
加えて、請求項4の蒸散装置では、前記各収容部を横並びに配列する一方、前記カートリッジを前記装着部に装着して使用する際に前記トレイの底面を傾斜乃至起立し前記各収容部を横方向に配列して配置した状態で当該カートリッジを保持するように前記装着部を構成するとともに、前記加熱部の加熱源を前記各収容部の下寄りに配置した。
【0019】
すなわち、前記カートリッジの各収容部は横並びに配列されており、このカートリッジを装置本体の装着部に装着して使用する際には、前記トレイの底面が傾斜乃至起立されるとともに前記各収容部が横方向に配列して配置される。
【0020】
このため、前記各収容部に収容された蒸散剤が蒸散に伴って減少した場合、蒸散剤は各収容部の下側に偏る。
【0021】
このとき、前記蒸散剤をトレイの底面側から加熱する加熱部の加熱源は、前記各収容部の下寄りに配置されている。このため、各収容部の下側に貯留された蒸散剤は、前記加熱源からの熱によって加熱される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の請求項1の蒸散装置にあっては、蒸散剤を収容する収容部をトレイの底面に沿って並設するとともに、装着されたカートリッジの蒸散剤を加熱する加熱部を装置本体に設けたので、平面状に配列された各収容部に異なる蒸散剤を収容することで、異なる蒸散剤を蒸散することができる。
【0023】
このため、異なる蒸散剤を蒸散する際に、異なる蒸散剤が収容されたカートリッジを背中合わせに配置しなければならなかった従来と比較して、装置本体を薄肉化することができる。これにより、装置本体のコンパクト化を図ることができる。
【0024】
また、請求項2の蒸散装置においては、装着部に装着されたカートリッジの蒸散面が対向する装置本体の部位に、前記各収容部から蒸散された蒸散剤を放出する放出部を設けることによって、前記各収容部に収容された異なる蒸散剤を前記放出部から放出することができる。
【0025】
このため、この放出部を前面に設定することで、異なる蒸散剤を前方に放出することができる。これにより、異なる蒸散剤が異なる方向へ放出される場合と比較して、複数の蒸散剤を混合して放出する際の効果を高めることができる。
【0026】
また、蒸散剤が壁面に沿って放出される場合と比較して、蒸散剤が壁面に与える影響を抑制することができる。
【0027】
さらに、請求項3の蒸散装置では、前記トレイの開口部を閉塞した前記蒸散面を透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成するとともに、各収容部に収容された蒸散剤に異なる色彩を施すことによって、蒸散剤の終点がわかりやすくすることができるとともに、デザイン性を向上することができる。
【0028】
加えて、請求項4の蒸散装置では、前記各収容部の蒸散剤が下側に偏る蒸散剤減少時であっても、前記各収容部の下寄りに配置された加熱源からの熱によって各収容部内の蒸散剤を効率よく加熱することができる。
【0029】
これにより、蒸散剤減少時での蒸散効率の低下を防止する効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる蒸散装置1を示す図であり、該蒸散装置1は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の蒸散剤を蒸散する装置である。この蒸散剤としては、ゲル状の薬剤や液状の薬剤が挙げられるが、本実施の形態では、液状の薬剤が用いられている。
【0031】
この蒸散装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体11と、該装置本体11に交換可能に装着されるカートリッジ12とよって構成されている。
【0032】
該カートリッジ12は、図3にも示すように、樹脂製のトレイ21と、該トレイ21の開口部を閉鎖する蒸散面22とからなり、該蒸散面22は、液状の蒸散剤は通さず、蒸散され気化された蒸散剤は透過する透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成されている。
【0033】
前記トレイ21は、図4及び図5にも示すように、横長形状に形成されており、図4及び図5中、左寄りの部分に底面31側へ突出した第一収容部32と第二収容部33とが膨出形成されている。前記第一収容部32は、当該トレイ21の図5中左方である先端側に配置されており、前記第二収容部33は、図5中右方である基端側に配置されている。これにより、前記両収容部32,33は、前記トレイ21の底面31に沿って並設されるとともに、横並びに配列されている。
【0034】
前記第一収容部32は、図3及び図4に示したように、半円形状に形成されており、前記第二収容部33も半円形状に形成されている。両収容部32,33は、弦を構成する辺が対向して配設されており、前記第一収容部32は前記第二収容部33と共に円形を成すように配置されている。
【0035】
前記第一収容部32と前記第二収容部33との間には、両者を区画する区画部41が上下に方向に延在しており、前記蒸散面22を構成するガス透過性フィルムは、図4及び図5に示したように、前記各収容部32,33の外周部及び前記区画部41に接着されている。これにより、隣接した前記両収容部32,33は、互いに区画されており、各収容部32,33には、異なる色彩の異なる蒸散剤が収容されている。
【0036】
前記各収容部32,33の底面31には、図4に示したように、半径方向に延在する線状凹部51,・・・と、同心円上に延在する円弧状凹部52,・・・とが形成されており、当該底面31には、凹凸が形成されている。この凹凸によって、各収容部32,33は、補強されている。
【0037】
前記トレイ21の一般部61は、前記両収容部32,33から図4中右方である基端側へ延出するように、その長さ寸法が設定されており、この基端側に延出した一般部61によって着脱時に操作される舌片62が構成されている。そして、この舌片62の中央部には、図3から図5に示すように、底面側へ膨出形成された突起63が形成されている。
【0038】
前記装置本体11は、図2に示したように、前面を形成する前ケース71と、裏面を形成する裏ケース72と、前記前ケース71及び裏ケース72内に収容される中ケース73とによって構成されている。
【0039】
前記前ケース71は、円形リング状に形成されており、その横断面形状は、図6及び図7に示すように、前方に突出した円弧状に形成されている。この前ケース71の裏面には、図6に示したように、後方に延出した円筒部75,75が突設されており、各円筒部75,75は、リブ74,・・・によって側方から支持されている。
【0040】
前記裏ケース72は、図2に示したように、円形容器状の容器部81を中心に構成されており、該容器部81の外周部には、図6及び図7に示したように、横断面円弧状のリング部82が形成されている。このリング部82は、前記前ケース71に対応した形状に形成されており、図6及び図8に示すように、図6中、右側の部位に切欠部83が形成されている。このリング部82には、図6に示したように、ネジ挿入部84が凹設されており、該ネジ挿入部84の底面には、タッピンねじ85が挿入される挿入部86が開設されている。
【0041】
このリング部82の外周縁には、図7に示したように、前方へ延出した凸条91が形成されており、該凸条91に対向する前記前ケース71の周縁には、前記凸条91が挿入される凹溝92が形成されている。これにより、前記凸条91を前記凹溝92に嵌着した状態で、前記裏ケース72を前記前ケース71に連結するとともに、前記挿入部84に挿入した前記タッピンねじ85を前記前ケース71の円筒部75に螺入することで、前記裏ケース72を前記前ケース71に固定できるように構成されている。
【0042】
前記容器部81には、図6から図8に示したように、電子基板101が設けられており、該電子基板101からは、コンセントプラグ102,102が延出している。このコンセントプラグ102,102は、前記容器部81を挿通して裏側へ延出しており、部屋の壁面Wなどに設けられたコンセントに差し込むことで、商用電源の供給を受けられるように構成されている。
【0043】
前記電子基板101には、電子回路が形成されており、当該電子基板101の前記中ケース73側の面には、発熱体としてのヒータ111が設けられている。該ヒータ111には、図8に示したように、加熱源としての加熱板112が面接した状態で固定されており、該加熱板112は、前記ヒータ111からの熱で加熱され、その熱を全面に伝導するように構成されている。
【0044】
この加熱板112は、前記電子基板101の一端側に設けられており、前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んだ使用状態において、図7及び図8に示したように、下側に位置するように構成されている。
【0045】
前記中ケース73は、図2に示したように、円板状の前面部121と、該前面部121の周縁より後方へ延出した周面部122と、該周面部122の後端に設けられた後面部123とによって一体形成されており、該後面部123は、前記前面部121に対向して設けられている。
【0046】
前記周面部122は、図2中、右方に切欠部131が設けられており、当該中ケース73は、右方へ向けて開口している。これにより、この中ケース73には、前記カートリッジ12を挿入する挿入部132が側方へ向けて開口しており、当該中ケース73には、前記カートリッジ12を交換可能に装着する装着部133が前記前面部121と前記後面部123との間に形成されている。
【0047】
前記周面部122の上部と前記前面部121とが接続された上側の接続部分には、図7に示したように、装着されたカートリッジ12の上縁12aが挿入される上部挿入溝141が横方向に延設されており、前記周面部122の下部と前記前面部121とが接続された下側の接続部分には、装着されたカートリッジ12の下縁12bが挿入される下部挿入溝142が横方向に延設されている。
【0048】
これにより、前記カートリッジ12の上縁12a及び下縁12bを、対応する挿入溝141,142へ側方から挿入できるように構成されており、前記カートリッジ12の上縁12a及び下縁12bを前記各挿入溝141,142に挿入して挟持することで、当該カートリッジ12の前記トレイ21の底面31を起立した状態で保持できるように構成されている。
【0049】
また、この起立状態において、当該カートリッジ12の前記蒸散面22を前記前面部121に面接できるように構成されており、前記上部及び下部挿入溝141,142によって前記カートリッジ12が装着できる方向を規制し、前記蒸散面22を前記後面部123側である後方へ向けて装着できないように構成されている。
【0050】
さらに、前記上部挿入溝141から前記下部挿入溝142までの寸法は、前記カートリッジ12の短辺方向での長さに基づいて設定されており、前記装着部133には、前記カートリッジ12の長辺を縦にして挿入できないように構成されている。
【0051】
これにより、当該装置本体11の前記後ケース72から延出した前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んで使用する使用状態において、前記装着部133に装着した前記カートリッジ12の前記トレイ21の底面31を起立するとともに、前記各収容部32,33を横方向に配列して配置した状態で、当該カートリッジ12を保持できるように前記装着部133が構成されている。
【0052】
また、この使用状態において、図7に示したように、加熱部を構成する前記中ケース73の前記後面部123の下寄りに加熱源を構成する前記加熱板112が配置されるように構成されている。
【0053】
このカートリッジ12の前記蒸散面22が面接する前記前面部121の図2中下側の部位には、図2に示したように、横方向に延在する波形の左放出口151,・・・及び右放出口152,・・・がそれぞれ三カ所に開設されており、前記各左放出口151,・・・と前記各右放出口152,・・・とは、上下に延在する区画面153によって隔てられている。
【0054】
図1中左側に設けられた前記左放出口151,・・・は、前記カートリッジ12を前記装着部133に装着した状態で、前記第一収容部32の前側に配置されるように構成されており、図1中右側に設けられた前記右放出口152,・・・は、前記第二収容部33の前側に配置されるように構成されている。
【0055】
これにより、前記カートリッジ12の前記第一収容部32から蒸散された蒸散剤を前記左放出口151,・・・から外部へ放出できるように構成されており、前記第二収容部33から蒸散された蒸散剤を前記右放出口152,・・・から外部へ放出できるように構成されている。これにより、前記左右放出口151,・・・、152,・・・によって、前記各収容部32,33から蒸散された蒸散剤を放出する放出部が構成されており、前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んだ状態で、当該装置本体11の前面側から前記蒸散剤を部屋の中心部へ向けて放出できるように構成されている。
【0056】
そして、前記前面部121の図2中下縁には、横方向に延在する波形の下部凹部161が凹設されており、前記前面部121の図2中上縁部には、横方向に延在する波形の上部波形開口部162が開口している。
【0057】
この前面部121に対向した前記後面部123の内側面は、平坦面で構成されており、前記装着部133に前記カートリッジ12を装着した状態で当該カートリッジ12のトレイ21の底面31が当該後面部123に密着するように該後面部123と前記前面部121との間隔が設定されている。
【0058】
この後面部123は、図6及び図7に示したように、前記電子基板101に設けられた加熱部として前記加熱板112に密着するように構成されており、前記後面部123は、前記加熱板112によって加熱され、その熱が全面に伝達されるように構成されている。
【0059】
これにより、この後面部123を介して前記カートリッジ12の前記底面31を全体的に加熱できるように構成されており、前記カートリッジ12を前記装着部133に装着した状態で、前記各収容部32,33に収容された蒸散剤を前記トレイ21の底面31側から加熱する加熱部が前記後面部123によって構成されている。
【0060】
以上の構成にかかる本実施の形態において、装置本体11に装着されるカートリッジ12には、互いに区画された第一収容部32及び第二収容部33がトレイ21の底面31に沿って並設されており、このカートリッジ12が装着される前記装置本体11には、装着されたカートリッジ12の各収容部32,33内の蒸散剤を前記トレイ21の底面31側から加熱する加熱部としての中ケース73の後面部123が設けられている。
【0061】
このため、前記各収容部32,33に収容された異なる蒸散剤を同時に蒸散することができる。
【0062】
したがって、異なる蒸散剤を蒸散する為に異なる蒸散剤が収容されたカートリッジを背中合わせに配置しなければならなかった従来と比較して、装置本体11を薄肉化することができる。これにより、前記装置本体11のコンパクト化を図ることができる。
【0063】
また、前記装着部133に装着された前記カートリッジ12の蒸散面22が対向する前記装置本体11の中ケース73における前面部121には、前記各収容部32,33から蒸散された蒸散剤を放出する左放出口151,・・・及び右放出口152,・・・が開設されている。
【0064】
このため、前記各収容部32,33に収容された異なる蒸散剤を前記各放出部151,・・・、152,・・・から放出することができる。
【0065】
このとき、この放出部151,・・・、152,・・・は、当該装置本体11の前面に設定されており、異なる蒸散剤を前方に放出することができる。このため、異なる蒸散剤が異なる方向へ放出される場合と比較して、複数の蒸散剤を混合して放出する際の効果を高めることができる。
【0066】
また、前記放出部151,・・・、152,・・・は、当該装置本体11のコンセントプラグ102,102を部屋の壁Wのコンセントに差し込んだ使用状態において、部屋の中心方向へ向けて開口するように構成されている。これにより、蒸散剤を部屋の中心方向へ向けて放出することができるので、蒸散剤が壁面に沿って放出される場合と比較して、蒸散剤が壁面に与える影響を抑制することができる。
【0067】
さらに、前記トレイ21の開口部を閉塞した前記蒸散面22は、透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成されており、各収容部32,33に収容された蒸散剤は、異なる色彩が施されている。
【0068】
このため、中ケース73に開設された左放出口151,・・・及び右放出口152,・・・から透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成された前記蒸散面22を介して、各収容部32,33に収容された蒸散剤の残量を覗くことができる。
【0069】
また、前記各収容部32,33に収容された蒸散剤は、異なる色彩が施されている。このため、各蒸散剤の終点を分かりやすくすることができるとともに、デザイン性を向上することができる。
【0070】
さらに、前記カートリッジ12の各収容部32,33は横並びに配列されており、このカートリッジ12を前記装置本体11の前記装着部133に装着して使用する際には、前記トレイ21の底面31が起立されるとともに前記各収容部32,33が横方向に配列して配置される。
【0071】
このため、前記各収容部32,33に収容された蒸散剤が蒸散に伴って減少した場合、蒸散剤が各収容部32,33の下側に偏ることとなる。
【0072】
このとき、前記蒸散剤を前記トレイ21の底面31側から加熱する加熱源としての加熱板112は、前記各収容部32,33の下寄りに配置されている。このため、各収容部32,33の下側に貯留された蒸散剤を、前記加熱板112からの熱によって効率的に加熱することができる。
【0073】
これにより、蒸散剤減少時での蒸散効率の低下を防止する効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、第一収容部32と第二収容部33とが横並びに配列されたカートリッジ12を例に挙げて説明したが、この形態に限定されるものではなく、さらに3つ以上の複数の収容部を並設しても良い。
【0075】
また、前記カートリッジ12のトレイ21に形成する収容部は、必ずしも横並びに並設する必要は無く、前記トレイ21の底面31を全体的に加熱できるのであれば、円形の収容部を周方向に四分割しても良い。
【0076】
このとき、前記収容部の形状は、円形に限定されるものではなく、矩形状であっても良い。
【0077】
なお、本実施の形態では、各収容部32,33に異なる蒸散剤としての薬剤を収納するものについて記載したが、各収容部32,33に同一の薬剤を収容してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の分解斜視図である。
【図3】同実施の形態のカートリッジを底面側から見た状態を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態のカートリッジを示す底面図である。
【図5】同実施の形態のカートリッジを示す側面図である。
【図6】同実施の形態の要部を示す横断面図である。
【図7】同実施の形態の要部を示す縦断面図である。
【図8】同実施の形態の裏ケースを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 蒸散装置
11 装置本体
12 カートリッジ
21 トレイ
22 蒸散面
31 底面
32 第一収容部
33 第二収容部
71 前ケース
72 後ケース
73 中ケース
112 加熱板
123 後面部
133 装着部
151 左放出口
152 右放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ内の蒸散剤を当該トレイの開口部を閉鎖した蒸散面から蒸散するカートリッジと、該カートリッジを装着する装着部が設けられた装置本体とを備えた蒸散装置において、
蒸散剤を収容する互いに区画された複数の収容部を前記トレイの底面に沿って並設する一方、
当該カートリッジを前記装着部に装着した状態で前記各収容部に収容された蒸散剤を加熱する加熱部を前記装置本体に設けたことを特徴とする蒸散装置。
【請求項2】
前記装着部に前記カートリッジを装着した状態で当該カートリッジの前記蒸散面が対向する前記装置本体の部位に前記各収容部から蒸散された蒸散剤を放出する放出部を設けたことを特徴とする請求項1記載の蒸散装置。
【請求項3】
前記トレイの開口部を閉塞した前記蒸散面を透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成するとともに、各収容部に収容された蒸散剤に異なる色彩を施したことを特徴とする請求項2記載の蒸散装置。
【請求項4】
前記各収容部を横並びに配列する一方、
前記カートリッジを前記装着部に装着して使用する際に前記トレイの底面を傾斜乃至起立し前記各収容部を横方向に配列して配置した状態で当該カートリッジを保持するように前記装着部を構成するとともに、前記加熱部の加熱源を前記各収容部の下寄りに配置したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の蒸散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125406(P2009−125406A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305286(P2007−305286)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】