蒸気圧縮システムを用いた発電プラントとその運転方法
【課題】従来の発電プラントにおいて、湿分分離過熱器の加熱に高温の主蒸気や高圧タービンからの抽気蒸気を用いていたため、高圧および低圧タービンの作動流体である主蒸気流量が原子炉圧力容器またはボイラからの発生蒸気量に比べて減少し、プラント性能が低下するという課題を解決し、従来に比べ熱効率の高い新たな蒸気圧縮システムを有する発電プラントとその運転方法を提供する。
【解決手段】発電プラント内で、高圧タービンからの低温・低圧の主蒸気を少なくとも1つの蒸気圧縮機を設置して、小さな所内動力で高温・高圧の主蒸気に昇温・昇圧し主蒸気温度を過熱することにより、発電プラントの熱効率を向上させる。また、高圧タービンと低圧タービンの間に主蒸気過熱用の蒸気圧縮機を同軸上に設置することにより主蒸気の再熱サイクルを構成し、発電プラント熱効率を向上する。
【解決手段】発電プラント内で、高圧タービンからの低温・低圧の主蒸気を少なくとも1つの蒸気圧縮機を設置して、小さな所内動力で高温・高圧の主蒸気に昇温・昇圧し主蒸気温度を過熱することにより、発電プラントの熱効率を向上させる。また、高圧タービンと低圧タービンの間に主蒸気過熱用の蒸気圧縮機を同軸上に設置することにより主蒸気の再熱サイクルを構成し、発電プラント熱効率を向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気圧縮機又は蒸気圧縮システムを用いた原子力または火力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生源として原子炉圧力容器1を用いる従来の発電プラントとして、例えば沸騰水型軽水炉(BWR)は、図13に示す様に、核分裂性物質を含む炉心を収納した原子炉圧力容器1内で冷却材として水を沸騰させ、生じた蒸気を主蒸気出口弁2と主蒸気配管3と主蒸気止め弁4を経由して高圧タービン5へ送り、さらに主蒸気配管6、湿分分離器(以下、MS)7、湿分分離過熱器8A、8B、主蒸気配管9を経由して低圧タービン10へと送り、高圧タービン5、低圧タービン10の主軸11と連動した発電機12で発電している。
【0003】
13は排気蒸気管、15aは海水入口配管、15bは海水出口配管、16は海水循環ポンプ、19は給水配管、42は主蒸気配管3からの主蒸気抽気蒸気、43は高圧タービン5からの高圧抽気蒸気、45は高圧タービン5からの高圧抽気蒸気、46は低圧タービン10からの低圧抽気蒸気である。
【0004】
通常のBWR発電プラントでは、低圧タービン10出口側に設置された復水器14で発電に使用された蒸気が凝縮して水となり、その後低圧給水加熱器18a〜18dおよび高圧給水加熱器21a、21b、さらに低圧復水ポンプ17、高圧給水ポンプ20を通って昇圧、加熱されて原子炉圧力容器1内に給水される。
【0005】
通常のプラント設計では、まず原子炉圧力容器内の炉心の熱出力を決定し、その熱出力で最高の熱効率が得られるように主蒸気配管以降の蒸気の流れを最適化している。具体的には、復水器14で蒸気を水にすると熱サイクルの原理から通常のBWR原子炉圧力容器の圧力(約7MPa)では水の潜熱は発電に用いることができずに無駄になる。そこで、主蒸気のうちの一部を抽気して給水加熱器により給水を加熱する。この場合には、主蒸気の熱はそのほとんどが回収されるため原子炉の熱効率が向上する。
【0006】
一般に、再循環ポンプとジェットポンプを有する再循環系を用い、MSを備えているBWRにおいては、主蒸気のうち最終的に低圧タービン10出口から復水器14に送られる蒸気の量は約2/3弱で、残りの約1/3強の蒸気を抽気蒸気として給水の加熱に用いている。また、MSの代わりに湿分分離過熱器(以下、MSH)を設置した改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)においては、主蒸気のうち最終的に低圧タービン出口から復水器に送られる蒸気の量はBWRと同様に約2/3弱である。ここで、各給水加熱器が6基設置されている場合に、1基当たりの抽気蒸気量は平均して主蒸気の約7%程度である。
【0007】
これらBWRあるいはABWR発電プラントにMSHを採用して、再熱効率によりプラントの熱効率を向上させることは一般的に知られている。しかしながら、従来はMSHで主蒸気を過熱するために、原子炉圧力容器から発生した主蒸気または高圧タービンからの高温抽気蒸気を使用しているため、タービンを回転するための作動流体である主蒸気流量が約2%少なくなっている。
【0008】
また、低圧タービン10で発電機12を回すために余分に使用された低温・低圧の蒸気は復水器14へ戻さずにプラント内へリサイクルして熱回収することが望ましい。しかし、圧力バランスから見ると、この低温・低圧の蒸気は最もエンタルピが低く、圧力的にも温度的にも通常の方法ではエネルギーを回収することは困難である。
【0009】
そこで、従来から、プラントの熱効率を高めるために蒸気圧縮機を用いた蒸気ヒートポンプを適用した火力発電プラントが提案されている。例えば、特許文献1には復水器から供給した蒸気を一台の蒸気圧縮機で圧縮し、圧縮された蒸気を蒸気圧縮機の軸方向における複数個所から4基の給水加熱器に供給する火力発電プラントが記載されている。
【0010】
提案された火力発電プラントは、ボイラで発生した蒸気を高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンに順次供給し、これらのタービンの回転軸に連結された発電機を回転させて発電を行っている。低圧タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮されて水になる。この水は、給水として給水配管を通してボイラに供給される。
【0011】
給水は、給水配管を通る間に、4段の給水加熱器によって加熱されて温度が高められている。復水器から抽気された蒸気が蒸気圧縮機によって圧縮されて温度が上昇し、この圧縮された蒸気が、蒸気圧縮機の軸方向における複数個所から抽気されて各給水加熱器に供給される。給水は、各給水加熱器に供給された蒸気によって加熱される。蒸気は各給水加熱器で凝縮水となり、この凝縮水が給水に供給される。また、蒸気圧縮機は、蒸気を断熱圧縮するために内部エネルギーが上昇して過熱状態となるので、これを防ぎ所要電力をセーブするために復水を上記蒸気圧縮機内にミスト状に噴霧している。
【0012】
また、特許文献2には、熱併給蒸気タービンプラントが記載されている。この熱併給蒸気タービンプラントは、ボイラで発生した蒸気をタービンに供給して発電機を回転させて発電し、タービンから排出された蒸気を高圧プロセス蒸気供給先及び低圧プロセス蒸気供給先にそれぞれ供給する。高圧プロセス蒸気供給先に供給される蒸気は、タービンから排気された蒸気を蒸気圧縮機で圧縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平1−123001号公報
【特許文献2】特開平5−65808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般にランキンサイクルにおいては、高圧タービンで仕事の終わった湿り蒸気である主蒸気を過熱蒸気にすることで熱効率を向上する。つまり、高圧タービンと低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置して再熱サイクルを採用する必要がある。湿分分離過熱器内で、被加熱流体である主蒸気を加熱するために、高温の熱源である主蒸気の一部あるいは高圧タービンからの抽気蒸気を利用する。これにより、本来は高圧タービンや低圧タービンで仕事をするために使用されるはずの主蒸気の流量が減少し、その分だけ仕事量が低下することになる。
【0015】
そこで、高圧タービンで膨張して湿り蒸気になった主蒸気を蒸気圧縮機を用いて圧縮し過熱蒸気とし、次に低圧タービンで再度湿り蒸気まで膨張して主軸を回転させて発電機で仕事をする。これによって、本来の高圧および低圧タービンで仕事をする主蒸気流量を約2%減らさずに、しかも仕事の終わった低熱源蒸気を再び高温化して再利用することでサイクル効率を向上することができる。それには、高圧タービンと低圧タービンの間に主軸上に蒸気圧縮機を設置して、これにより小さな所内動力で主蒸気の温度・圧力を上昇させればよい。
【0016】
本発明では、発電プラント内にある高圧タービンと低圧タービンと発電機を連結する主軸の、特に高圧タービンと低圧タービンの間にコンパクトな蒸気圧縮機を少なくとも一つ設置・接続して、高圧タービンで仕事の終わった低温・低圧の蒸気を昇温・昇圧して低圧タービンへ供給することにより、作動媒体である主蒸気の温度を過熱して低圧タービンへ供給することで、定格運転時のプラント熱効率を向上させることができる。さらに、低圧タービンからの排気蒸気を海水へ大量に排出することなくプラント内で再利用できるため、環境の観点からも有効活用できる。またコンパクトで高性能な蒸気圧縮機を設置することにより、タービン建屋スペースおよび配管配置空間等、他のプラント機器への影響も無い。
【0017】
すなわち、本発明はプラント内の熱源を利用して蒸気圧縮機で湿り蒸気を過熱蒸気にすることにより、熱効率向上を可能とする蒸気圧縮システムを用いた原子力発電プラントあるいは火力発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、高圧タービンおよび低圧タービンに主軸で連結された発電機と、低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの蒸気圧縮機を主軸で連結して、高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を圧縮して昇温・昇圧し、低圧タービンで仕事をするために主蒸気を飽和蒸気あるいは過熱蒸気として低圧タービンへ供給することを特徴とする。かかる構成によると、蒸気圧縮機により低温になった湿り蒸気の主蒸気温度を過熱することができ発電プラントの熱効率を向上し、また復水器から海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0019】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、高圧タービンと中圧タービンの間に少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機を主軸で連結し、中圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を主軸で連結して設置することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0020】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、高圧タービンと中圧タービンの間に少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機を、中圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を、低圧タービンと発電機の間に少なくとも1つの低圧蒸気圧縮機を各々主軸で連結して設置することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0021】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと蒸気圧縮機の間に湿分分離器を設置し、高圧タービン排気蒸気を飽和蒸気にして蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0022】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと蒸気圧縮機の間に湿分分離過熱器を設置し、高圧タービン排気蒸気を過熱蒸気にして蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0023】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置し、高圧タービンからの排気蒸気を主蒸気配管から分岐してバイパス流として蒸気圧縮機へ供給し、蒸気圧縮機で圧縮加熱した過熱蒸気を低圧タービンへ供給する主蒸気配管へ合流させて低圧タービンへ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0024】
さらに、発電プラントにおいて、発電プラントに沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラントまたは高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントを使用する蒸気圧縮機を備えた発電プラントによっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、特に原子力あるいは火力発電プラントにおいて、高圧タービンで仕事をした湿り蒸気を、蒸気圧縮機により高温・高圧の過熱蒸気に再熱して低圧タービンへ主蒸気として供給することができるため、従来必要とされていた湿分分離過熱器や、主蒸気を過熱するための高圧タービンや主蒸気からの加熱用抽気蒸気が不要となり、発電プラントの熱効率を向上することが可能となる。
【0026】
また、蒸気圧縮機は高圧タービンと低圧タービンに連結された主軸に同軸で設置されるため、蒸気圧縮機を回転するための余分な所内動力を必要とせずコンパクトな構成で再生および再熱サイクルによる熱効率および電気出力の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図2】本発明の実施例1における沸騰水型原子力発電プラントの熱効率の説明図。
【図3】本発明の実施例2における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図4】本発明の実施例2における沸騰水型原子力発電プラントの熱効率の説明図。
【図5】本発明の実施例3における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図6】本発明の実施例4における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図7】本発明の実施例5における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図8】本発明の実施例6における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図9】本発明の実施例7における火力発電プラントの系統図。
【図10】本発明の実施例8における加圧水型原子力発電プラントの系統図。
【図11】本発明の実施例9における高速増殖炉型原子力発電プラントの系統図。
【図12】本発明の実施例10におけるコンバインド型ガスタービン・火力発電プラントの系統図。
【図13】従来例である沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施例1の主蒸気過熱用蒸気圧縮機を有する沸騰水型原子力発電プラント(BWR)の系統図を示す。発電プラントは、冷却材を原子炉圧力容器1に供給する給水配管19と、冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ17及び高圧給水ポンプ20と、冷却材を加熱する低圧給水加熱器18a〜18d及び高圧給水加熱器21a、21bと、冷却材を蒸気にまで加熱する原子炉圧力容器1と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービン(以下、HPT)5および低圧タービン(以下、LPT)10と、HPT5およびLPT10に主軸11で連結された発電機12と、LPT10から排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器14とを有する。
【0030】
高圧給水加熱器21a、21bには高圧抽気蒸気45a、45bが供給され、低圧給水加熱器18a〜18dには低圧抽気蒸気46a〜46dが供給される。
【0031】
HPT5とLPT10の間に少なくとも1つの蒸気圧縮機(以下、SC)30を設置して、HPT5の排気管から供給された低温・低圧の主蒸気を断熱圧縮して昇温・昇圧し、湿り蒸気を過熱蒸気の主蒸気としてLPT10へ供給する。これにより、主蒸気温度は過熱されて再熱サイクル強化により熱効率が向上する。
【0032】
一方、復水器14内では、LPT10から排出された蒸気を冷却して凝縮させるため、海水を海水入口配管15aから海水循環ポンプ16で伝熱管内へ供給し、ここで熱交換して海水出口配管15bから海水中へ排出する。
【0033】
BWRでは核分裂性物質を含む原子炉圧力容器1内の炉心で水を沸騰させ、沸騰によって生じた蒸気を主蒸気配管3へ通してHPT5、LPT10へと送り、HPT5、LPT10の主軸11と連動した発電機12で発電している。通常のBWRではLPT10の出口側に設置された復水器14で蒸気は凝縮して水となり、その後、6基ある低圧給水加熱器18a〜18d及び高圧給水加熱器21a、21b、および低圧復水ポンプ17、高圧給水ポンプ20を通って昇圧、加熱されて原子炉圧力容器1内に給水される。
【0034】
一般に、BWR及びABWRでは、主蒸気及びタービンからの抽気蒸気を給水の加熱に用いている。ここで、各給水加熱器は6基設置されているので1基当たりの抽気蒸気量は平均して主蒸気の約7%程度である。BWRあるいはABWRの熱効率を向上させるために湿分分離加熱器MSHを採用すると再熱効率により性能が向上することは従来知られている。しかし、MSHでは主蒸気を加熱するための加熱蒸気を抽気するため、主蒸気流量が約2%減少し全体のプラント効率が低下してしまうという課題がある。
【0035】
実施例1では、MSHを使用せず、HPT5で仕事をした主蒸気を直接に蒸気圧縮機SC30で断熱圧縮して過熱蒸気にするため、作動流体の主蒸気流量が低下することがないので熱効率は向上する。
【0036】
しかも、SC30を駆動するのに、HPT5及びLPT10と直接連結した主軸11を用いるため、特別な圧縮機駆動力は不要となり、その分所内動力が小さくて済む。それゆえ、LPT抽気蒸気を多めに再生用に使用できるため、復水器14内での熱交換量は従来よりも低減され、排熱量が少なくなり効率向上を図ることができる。
【0037】
SC30は、HPT5で仕事をした後の低温・低圧の排気蒸気6を断熱圧縮して昇温・昇圧し、主蒸気を圧縮された過熱蒸気35として供給する。この時、SC30は主軸11を通じてタービン駆動力により駆動する。また、SC30の吸込み側で湿り度が大きい場合はMSを追設してもよい。さらに、SC30の吐出側で飽和蒸気が圧縮されて急激に温度上昇が生じて乾き度が大きい場合は、微小水滴を噴霧化して過熱度を下げることも可能である。
【0038】
SC30は、既に開発されている単段遠心式蒸気圧縮機を用いても良く、これらを多段にして使用することも可能である。また、多段の軸流圧縮機を用いても良い。SC30を発電プラント内の二次系タービン建屋内へタービンと同軸で連結して設置する。実施例1は、SC30の回転にタービン主軸駆動力を利用するため所内動力が少なく、さらにSC30により過熱蒸気を生成して再熱サイクルを有効利用することができるため、熱効率の優れたランキンサイクルを構成する。
【0039】
この際、複数のSC30を直列に配置して使用することができる。例えば、複数のSC30を多軸で直列に接続して、最終段での圧縮比を増大することも可能である。また、圧縮比はLPT入口内の圧力になるように制御弁あるいはSC30の回転数制御で調整すればよい。
【0040】
通常、SC30の昇圧割合が大きくなると圧縮仕事も大きくなり、その結果、出力増加分を所内動力として無駄に消費することになる。言い換えれば発電端出力は向上しても送電端出力が低下する。例えば圧縮比10の場合には、モータ駆動によるSC設置による全出力の所内動力割合は試算すると最大で約5%程度に達する。そのため、適切な圧縮比を選択し、熱効率向上分を無駄に所内動力として電気出力を低下させないように、システムバランスの最適化を図る必要がある。
【0041】
例えば、従来の再生サイクル利用方式として、原子力プラントではHPT、LPTからの抽気蒸気を給水の加熱用に用いて、給水を加熱した後の凝縮水は圧力差を利用して高圧系から低圧系給水加熱器、さらには復水器へと熱回収している。さらに、ABWRでは高圧系ポンプドレーンアップシステム(High Pressure Pump Drain-up system:HPPD)と、低圧系ポンプドレーンアップシステム(Low Pressure Pump Drain-up system:LPPD)を採用して、各々再生サイクルにより熱効率を向上させている。
【0042】
一方、本発明では上記方式に対して、高圧主蒸気系に用いるシステムを高圧系蒸気ヒートアップシステム(High Pressure Compressor Steam-up system:HPCS)システムと呼ぶ。本発明は、原子炉1次系のみの直接式である沸騰水型原子力発電プラントまたは改良型沸騰水型原子力発電プラント内の運転にも適用することが可能である。従って、蒸気供給系以外の既設BOPシステム(Balance of Plant system)を大幅に変更せずに、HPTとLPTの間にSCを設置して再熱サイクルにより、プラント熱効率を向上させることができる。
【0043】
図2は、実施例1の発電プラントの熱効率の概要図を示す。横軸はエントロピs、縦軸は温度Tを示す。点線が従来例を示し実線が実施例1を示す。
【0044】
まず従来の熱効率について、図2の点線によって説明する。復水器から供給された給水を1から2まで給水ポンプや給水加熱器で昇温して原子炉圧力容器内へ供給する。原子炉圧力容器内で原子核燃料から受熱して給水が飽和水から飽和蒸気へと加熱されて2から3へと変化する。ここで発生した主蒸気は3から4へとHPTで熱膨張して主軸を回転駆動して仕事をする。
【0045】
ここで、4は飽和蒸気よりも湿り度の多い湿り蒸気のため、従来は主蒸気をMSHへ供給して、まずはMS内で4から5へと湿り度を削除して飽和蒸気にし、次に過熱器内で5から6へと飽和蒸気から過熱蒸気にする。そして、過熱された主蒸気は6から7へとLPTで熱膨張して、HPTと連結された主軸を回転駆動して仕事をする。これら仕事の終わった低温・低圧の主蒸気は復水器内で7から1へと海水側へ除熱して凝縮されて復水する。
【0046】
一方、実施例1の場合は、湿り蒸気の主蒸気をSC30へ供給して、SC30内で圧縮加熱して4から6’へと一気に過熱蒸気にする点が異なる。ここで、従来は過熱された蒸気の温度は炉内の主蒸気温度以下であるのに対して、実施例1は主蒸気温度以上に過熱される。これにより、再熱サイクルの熱効率を大きく向上することができる。
【0047】
その上、タービン主軸による回転力を利用することで、所内動力の増加はほとんどない。また、従来例のBWR用のMSやABWR用のMSHの容積に比べても、実施例1のSCはコンパクトに構成されることがわかる。
【実施例2】
【0048】
図3は、本発明の実施例2の発電プラントの系統図を示す。実施例2では、図3に示すように、HPT5とLPT10の間に中圧タービン(以下、IPT)22を設置した。それに加えて、HPT5とIPT22の間に高圧蒸気圧縮機(以下、HSC)31を設置し、IPT22とLPT10の間に中圧蒸気圧縮機(以下、ISC)32を設置した。
【0049】
HSC31でヒートポンプ作用により蒸気圧縮して昇温・昇圧し、HPT5排気蒸気の温度を増加させてIPT22へ供給する。また、ISC32でヒートポンプにより蒸気圧縮して昇温・昇圧し、IPT22排気蒸気の温度を増加させてLPT10へ供給する。これにより、HPT5及びLPT10で仕事をする主蒸気が過熱蒸気となり、再熱サイクルによる熱効率向上が可能となる。
【0050】
この場合、図3に示すHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10は、発電機12に連結された主軸11に全て同軸で連結されている。従って、上記駆動力を利用して圧縮機駆動力とすることができるため、所内動力は低減する。以下の図において、特に言及しない限り図1の実施例と同じ符号の部材は同一の構成を有する。
【0051】
実施例2では、中圧主蒸気系に用いるシステムを中圧系蒸気ヒートアップシステム(Intermediate Pressure Compressor Steam-up system:IPCS)と呼ぶ。これにより、BWRプラントの熱効率を向上させることも可能になる。なお、実施例2は沸騰水型軽水炉プラントを例にしたが、加圧水型軽水炉の2次系やその他の形式の原子力発電プラントにも適用可能である。
【0052】
図4は、図2と同様に発電プラントの熱効率の概要図を示す。横軸はエントロピs、縦軸は温度Tを示す。点線は従来例を示し、実線は実施例2を示す。従来例の性能は図2で説明した通りである。
【0053】
一方、実施例2の場合は、湿り蒸気の主蒸気4をHSC31へ供給して圧縮加熱し、主蒸気4から6’へと一気に加熱して過熱蒸気にし、さらにIPT22で6’から6’’へと熱膨張して、またISC32内で圧縮加熱して6’’から6’’’へと一気に過熱蒸気にする点が異なる。
【0054】
ここで、従来は過熱された蒸気の温度が炉内の主蒸気温度以下であるのに対して、実施例2は主蒸気温度以上に過熱された上に、6’及び6’’’とHPT5及びLPT10で熱膨張による仕事をするのに過熱蒸気を使用できるので、図2よりもさらに再熱サイクルにより熱効率が大きく向上する。またLPT最終段での主蒸気はほぼ飽和蒸気までで熱膨張するため、湿り度は浅くなる。
【0055】
その上、主軸のタービンによる回転力を利用することで、所内動力の増加はほとんどない。また、従来例のBWR用MSやABWR用MSHの容積に比べても、実施例2の蒸気圧縮機はコンパクトになることがわかる。
【実施例3】
【0056】
図5は、本発明の実施例3の発電プラントの系統図を示す。実施例3では、図3に示す実施例2に加えて、LPT10の下流側に低圧蒸気圧縮機(以下、LSC)33を設置した。LSC33でヒートポンプにより蒸気圧縮して昇温・昇圧し、LPT10の排気蒸気の温度を増加させることができる。これにより排熱の有効利用も可能となる。この場合、HPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33は、発電機12に連結された主軸11に全て同軸で連結されており、上記駆動力を利用して圧縮機駆動力とすることができるため、所内動力は低減する。
【0057】
実施例3では、低圧主蒸気系に用いるシステムを低圧系蒸気ヒートアップシステム(Low Pressure Compressor Steam-up system:LPCS)と呼ぶ。これにより、BWRプラントの熱効率を向上させることも可能になる。なお、実施例3は沸騰水型軽水炉プラントを例にしたが、加圧水型軽水炉の2次系やその他の形式の原子力発電プラントにも適用可能である。
【実施例4】
【0058】
図6は、実施例4の発電プラントのシステム概要を示す。実施例4は、図1で説明した実施例1のBWR発電プラントにおいて、HPT5とSC30の間にMS7を設置したものである。これにより、HPT5からの排気蒸気をMS7で飽和蒸気にしてSC30内へ供給することができる。
【実施例5】
【0059】
図7は、実施例5の発電プラントのシステム概要を示す。実施例5は、図1で説明したBWR発電プラントにおいて、HPT5とSC30の間にSH7、MSH8A、8Bを設置したものである。これにより、HPT5からの排気蒸気をSH7、MSH8A、8Bで過熱蒸気にしてSC30内へ供給することができる。
【実施例6】
【0060】
図8は、実施例6の発電プラントのシステム概要を示す。実施例6は、図1で説明したBWR発電プラントにおいて、HPT5とLPT10の間にSH7、MSH8A、8Bを設置し、主蒸気配管から分岐したHPT5からのバイパス排気蒸気をSC30へ供給し、SC30で圧縮加熱した過熱蒸気をLPT10へ供給する主蒸気配管9へ合流させてLPT10へ供給することができる。なお、SC30へ供給するバイパス排気蒸気量は、制御弁47、48で調整される。
【実施例7】
【0061】
図9は、実施例7の火力発電プラントのシステム概要を示す。火力発電プラントでは主蒸気発生源としてボイラ1Aを用いている。発電プラントの二次系は、HPT5、LPT10、SC30から構成される主蒸気系、そして復水器14から出た後、低圧復水ポンプ17、低圧給水加熱器18a〜18d、高圧給水ポンプ20、高圧給水加熱器21a、21bから構成される給復水系から構成されるのは、図1と同様である。
【0062】
ここで、従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、火力発電プラントではボイラ1Aが蒸気を発生する主蒸気発生源となる。ボイラ1Aで発生する主蒸気系は、BWRと同様に飽和蒸気である。
【実施例8】
【0063】
図10は、実施例8の加圧水型原子力発電プラント(以下、PWR)のシステム概要を示す。BWRと異なり、原子炉圧力容器1B、一次冷却系51、一次冷却系循環ポンプ52そして蒸気発生器(以下、SG)50から構成される一次系と、BWRと同様の主蒸気・給復水系の二次系から構成される。二次系内の主蒸気系には、蒸気圧縮機SC30を有する。18は低圧給水加熱器、21は高圧給水加熱器である。
【0064】
ここで、二次系はHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合には、BWRの原子炉圧力容器1の代わりにSG50が主蒸気発生源となる。
【0065】
実施例8は、原子炉1次系と2次系に分かれた間接式である加圧水型原子力発電プラントまたは改良型加圧水型原子力発電プラントにも適用することが可能である。
【実施例9】
【0066】
図11は、実施例9の高速増殖炉型原子力発電プラント(以下、FBR)のシステム概要を示す。BWRと異なり、原子炉圧力容器1C、一次冷却系61、一次冷却系循環ポンプ62そして中間熱交換器63の一次系と、二次冷却系64、二次冷却系循環ポンプ65そして蒸気発生器60の二次系とから構成される。FBRでは、一次系も二次系も冷却材はナトリウムを用いる。二次系内の主蒸気系には、SC30を有する。
【0067】
ここで、二次系は従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、BWRの原子炉圧力容器1の代わりに蒸気発生器60が主蒸気発生源となる。
【0068】
実施例9は、原子炉1次系、2次系及び主蒸気系に分かれた間接式である高速増殖炉型原子力発電プラント内の運転方法にも適用することが可能である。
【実施例10】
【0069】
図12は、実施例10の火力コンバインド発電プラント(以下、火力C/C)のシステム概要を示す。この場合、高温流体側として、圧縮機72へ吸い込まれた空気71を圧縮し、燃焼器76で圧縮空気と燃料77を混合して着火・燃焼し、高温ガスとしてガスタービン(以下、GT)74で膨張させる。この時、圧縮機72とGT74は主軸73に連結されて回転し、これに連動して発電機75で発電する。
【0070】
さらに、GT74を回転させた排ガス78を加熱源として、排熱回収用蒸気発生器(以下、HRSG)70で給水が熱交換して主蒸気を発生する。あとは、BWRの主蒸気系、給復水系と同様のシステムとなる。二次系内の主蒸気系には、SC30を有する。
【0071】
ここで、二次系は従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、HPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、BWRの原子炉圧力容器1の代わりにHRSG70が主蒸気発生源となる。
【0072】
また、再生可能エネルギーシステムとして、太陽熱を一度蓄熱器に溜めて、この熱源を利用して蒸気を発生させる自然界の熱エネルギーを有効に利用したランキンサイクル発電プラントにも使用できる。
【0073】
実施例10は、原子力発電と同様にランキンサイクルを構成する火力発電についても、当該高圧及び低圧タービンを有する火力発電プラントまたはGTとの火力コンバインド発電プラント内の運転方法にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、沸騰水型原子力発電プラント及び加圧水型原子力プラント等の原子力発電プラント、及び火力発電プラントのような発電プラントに適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…原子炉圧力容器、1A…ボイラ、2…主蒸気出口弁、3…主蒸気配管、4…主蒸気止め弁、5…高圧タービン(HPT)、6…主蒸気配管、7…湿分分離器(MS)、8…湿分分離過熱器(MSH)、8A、8B…湿分分離過熱器、9…主蒸気配管、10…低圧タービン(LPT)、11…主軸、12…発電機、13…排気蒸気管、14…復水器、17…低圧復水ポンプ、18、18a〜18d…低圧給水加熱器、19…給水配管、20…高圧給水ポンプ、21、21a、21b…高圧給水加熱器、22…中圧タービン(IPT)、
30…蒸気圧縮機(SC)、31…高圧蒸気圧縮機(HSC)、32…中圧蒸気圧縮機(ISC)、33…低圧蒸気圧縮機(LSC)、35…過熱蒸気、42…主蒸気抽気蒸気、43…高圧タービン抽気蒸気、45…高圧抽気蒸気、46…低圧抽気蒸気、47…制御弁、48…制御弁、50…蒸気発生器(SG)、51…一次冷却系、52…一次冷却系循環ポンプ、
60…蒸気発生器、61…一次冷却系、62…一次主循環ポンプ、63…中間熱交換器、64…二次冷却系、65…二次主循環ポンプ、70…排熱回収用蒸気発生器(HRSG)、71…空気、72…圧縮機、73…主軸、74…ガスタービン(GT)、75…発電機、76…燃焼器、77…燃料、78…高温排ガス
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気圧縮機又は蒸気圧縮システムを用いた原子力または火力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生源として原子炉圧力容器1を用いる従来の発電プラントとして、例えば沸騰水型軽水炉(BWR)は、図13に示す様に、核分裂性物質を含む炉心を収納した原子炉圧力容器1内で冷却材として水を沸騰させ、生じた蒸気を主蒸気出口弁2と主蒸気配管3と主蒸気止め弁4を経由して高圧タービン5へ送り、さらに主蒸気配管6、湿分分離器(以下、MS)7、湿分分離過熱器8A、8B、主蒸気配管9を経由して低圧タービン10へと送り、高圧タービン5、低圧タービン10の主軸11と連動した発電機12で発電している。
【0003】
13は排気蒸気管、15aは海水入口配管、15bは海水出口配管、16は海水循環ポンプ、19は給水配管、42は主蒸気配管3からの主蒸気抽気蒸気、43は高圧タービン5からの高圧抽気蒸気、45は高圧タービン5からの高圧抽気蒸気、46は低圧タービン10からの低圧抽気蒸気である。
【0004】
通常のBWR発電プラントでは、低圧タービン10出口側に設置された復水器14で発電に使用された蒸気が凝縮して水となり、その後低圧給水加熱器18a〜18dおよび高圧給水加熱器21a、21b、さらに低圧復水ポンプ17、高圧給水ポンプ20を通って昇圧、加熱されて原子炉圧力容器1内に給水される。
【0005】
通常のプラント設計では、まず原子炉圧力容器内の炉心の熱出力を決定し、その熱出力で最高の熱効率が得られるように主蒸気配管以降の蒸気の流れを最適化している。具体的には、復水器14で蒸気を水にすると熱サイクルの原理から通常のBWR原子炉圧力容器の圧力(約7MPa)では水の潜熱は発電に用いることができずに無駄になる。そこで、主蒸気のうちの一部を抽気して給水加熱器により給水を加熱する。この場合には、主蒸気の熱はそのほとんどが回収されるため原子炉の熱効率が向上する。
【0006】
一般に、再循環ポンプとジェットポンプを有する再循環系を用い、MSを備えているBWRにおいては、主蒸気のうち最終的に低圧タービン10出口から復水器14に送られる蒸気の量は約2/3弱で、残りの約1/3強の蒸気を抽気蒸気として給水の加熱に用いている。また、MSの代わりに湿分分離過熱器(以下、MSH)を設置した改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)においては、主蒸気のうち最終的に低圧タービン出口から復水器に送られる蒸気の量はBWRと同様に約2/3弱である。ここで、各給水加熱器が6基設置されている場合に、1基当たりの抽気蒸気量は平均して主蒸気の約7%程度である。
【0007】
これらBWRあるいはABWR発電プラントにMSHを採用して、再熱効率によりプラントの熱効率を向上させることは一般的に知られている。しかしながら、従来はMSHで主蒸気を過熱するために、原子炉圧力容器から発生した主蒸気または高圧タービンからの高温抽気蒸気を使用しているため、タービンを回転するための作動流体である主蒸気流量が約2%少なくなっている。
【0008】
また、低圧タービン10で発電機12を回すために余分に使用された低温・低圧の蒸気は復水器14へ戻さずにプラント内へリサイクルして熱回収することが望ましい。しかし、圧力バランスから見ると、この低温・低圧の蒸気は最もエンタルピが低く、圧力的にも温度的にも通常の方法ではエネルギーを回収することは困難である。
【0009】
そこで、従来から、プラントの熱効率を高めるために蒸気圧縮機を用いた蒸気ヒートポンプを適用した火力発電プラントが提案されている。例えば、特許文献1には復水器から供給した蒸気を一台の蒸気圧縮機で圧縮し、圧縮された蒸気を蒸気圧縮機の軸方向における複数個所から4基の給水加熱器に供給する火力発電プラントが記載されている。
【0010】
提案された火力発電プラントは、ボイラで発生した蒸気を高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンに順次供給し、これらのタービンの回転軸に連結された発電機を回転させて発電を行っている。低圧タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮されて水になる。この水は、給水として給水配管を通してボイラに供給される。
【0011】
給水は、給水配管を通る間に、4段の給水加熱器によって加熱されて温度が高められている。復水器から抽気された蒸気が蒸気圧縮機によって圧縮されて温度が上昇し、この圧縮された蒸気が、蒸気圧縮機の軸方向における複数個所から抽気されて各給水加熱器に供給される。給水は、各給水加熱器に供給された蒸気によって加熱される。蒸気は各給水加熱器で凝縮水となり、この凝縮水が給水に供給される。また、蒸気圧縮機は、蒸気を断熱圧縮するために内部エネルギーが上昇して過熱状態となるので、これを防ぎ所要電力をセーブするために復水を上記蒸気圧縮機内にミスト状に噴霧している。
【0012】
また、特許文献2には、熱併給蒸気タービンプラントが記載されている。この熱併給蒸気タービンプラントは、ボイラで発生した蒸気をタービンに供給して発電機を回転させて発電し、タービンから排出された蒸気を高圧プロセス蒸気供給先及び低圧プロセス蒸気供給先にそれぞれ供給する。高圧プロセス蒸気供給先に供給される蒸気は、タービンから排気された蒸気を蒸気圧縮機で圧縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平1−123001号公報
【特許文献2】特開平5−65808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般にランキンサイクルにおいては、高圧タービンで仕事の終わった湿り蒸気である主蒸気を過熱蒸気にすることで熱効率を向上する。つまり、高圧タービンと低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置して再熱サイクルを採用する必要がある。湿分分離過熱器内で、被加熱流体である主蒸気を加熱するために、高温の熱源である主蒸気の一部あるいは高圧タービンからの抽気蒸気を利用する。これにより、本来は高圧タービンや低圧タービンで仕事をするために使用されるはずの主蒸気の流量が減少し、その分だけ仕事量が低下することになる。
【0015】
そこで、高圧タービンで膨張して湿り蒸気になった主蒸気を蒸気圧縮機を用いて圧縮し過熱蒸気とし、次に低圧タービンで再度湿り蒸気まで膨張して主軸を回転させて発電機で仕事をする。これによって、本来の高圧および低圧タービンで仕事をする主蒸気流量を約2%減らさずに、しかも仕事の終わった低熱源蒸気を再び高温化して再利用することでサイクル効率を向上することができる。それには、高圧タービンと低圧タービンの間に主軸上に蒸気圧縮機を設置して、これにより小さな所内動力で主蒸気の温度・圧力を上昇させればよい。
【0016】
本発明では、発電プラント内にある高圧タービンと低圧タービンと発電機を連結する主軸の、特に高圧タービンと低圧タービンの間にコンパクトな蒸気圧縮機を少なくとも一つ設置・接続して、高圧タービンで仕事の終わった低温・低圧の蒸気を昇温・昇圧して低圧タービンへ供給することにより、作動媒体である主蒸気の温度を過熱して低圧タービンへ供給することで、定格運転時のプラント熱効率を向上させることができる。さらに、低圧タービンからの排気蒸気を海水へ大量に排出することなくプラント内で再利用できるため、環境の観点からも有効活用できる。またコンパクトで高性能な蒸気圧縮機を設置することにより、タービン建屋スペースおよび配管配置空間等、他のプラント機器への影響も無い。
【0017】
すなわち、本発明はプラント内の熱源を利用して蒸気圧縮機で湿り蒸気を過熱蒸気にすることにより、熱効率向上を可能とする蒸気圧縮システムを用いた原子力発電プラントあるいは火力発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、高圧タービンおよび低圧タービンに主軸で連結された発電機と、低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの蒸気圧縮機を主軸で連結して、高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を圧縮して昇温・昇圧し、低圧タービンで仕事をするために主蒸気を飽和蒸気あるいは過熱蒸気として低圧タービンへ供給することを特徴とする。かかる構成によると、蒸気圧縮機により低温になった湿り蒸気の主蒸気温度を過熱することができ発電プラントの熱効率を向上し、また復水器から海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0019】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、高圧タービンと中圧タービンの間に少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機を主軸で連結し、中圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を主軸で連結して設置することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0020】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、高圧タービンと中圧タービンの間に少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機を、中圧タービンと低圧タービンの間に少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を、低圧タービンと発電機の間に少なくとも1つの低圧蒸気圧縮機を各々主軸で連結して設置することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0021】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと蒸気圧縮機の間に湿分分離器を設置し、高圧タービン排気蒸気を飽和蒸気にして蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0022】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと蒸気圧縮機の間に湿分分離過熱器を設置し、高圧タービン排気蒸気を過熱蒸気にして蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0023】
また、発電プラントにおいて、高圧タービンと低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置し、高圧タービンからの排気蒸気を主蒸気配管から分岐してバイパス流として蒸気圧縮機へ供給し、蒸気圧縮機で圧縮加熱した過熱蒸気を低圧タービンへ供給する主蒸気配管へ合流させて低圧タービンへ供給することを特徴とする。かかる構成によっても、プラント熱効率を向上し海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【0024】
さらに、発電プラントにおいて、発電プラントに沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラントまたは高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントを使用する蒸気圧縮機を備えた発電プラントによっても、プラント熱効率を向上し、海水へ放出される排熱量を減少させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、特に原子力あるいは火力発電プラントにおいて、高圧タービンで仕事をした湿り蒸気を、蒸気圧縮機により高温・高圧の過熱蒸気に再熱して低圧タービンへ主蒸気として供給することができるため、従来必要とされていた湿分分離過熱器や、主蒸気を過熱するための高圧タービンや主蒸気からの加熱用抽気蒸気が不要となり、発電プラントの熱効率を向上することが可能となる。
【0026】
また、蒸気圧縮機は高圧タービンと低圧タービンに連結された主軸に同軸で設置されるため、蒸気圧縮機を回転するための余分な所内動力を必要とせずコンパクトな構成で再生および再熱サイクルによる熱効率および電気出力の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図2】本発明の実施例1における沸騰水型原子力発電プラントの熱効率の説明図。
【図3】本発明の実施例2における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図4】本発明の実施例2における沸騰水型原子力発電プラントの熱効率の説明図。
【図5】本発明の実施例3における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図6】本発明の実施例4における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図7】本発明の実施例5における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図8】本発明の実施例6における沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【図9】本発明の実施例7における火力発電プラントの系統図。
【図10】本発明の実施例8における加圧水型原子力発電プラントの系統図。
【図11】本発明の実施例9における高速増殖炉型原子力発電プラントの系統図。
【図12】本発明の実施例10におけるコンバインド型ガスタービン・火力発電プラントの系統図。
【図13】従来例である沸騰水型原子力発電プラントの系統図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施例1の主蒸気過熱用蒸気圧縮機を有する沸騰水型原子力発電プラント(BWR)の系統図を示す。発電プラントは、冷却材を原子炉圧力容器1に供給する給水配管19と、冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ17及び高圧給水ポンプ20と、冷却材を加熱する低圧給水加熱器18a〜18d及び高圧給水加熱器21a、21bと、冷却材を蒸気にまで加熱する原子炉圧力容器1と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービン(以下、HPT)5および低圧タービン(以下、LPT)10と、HPT5およびLPT10に主軸11で連結された発電機12と、LPT10から排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器14とを有する。
【0030】
高圧給水加熱器21a、21bには高圧抽気蒸気45a、45bが供給され、低圧給水加熱器18a〜18dには低圧抽気蒸気46a〜46dが供給される。
【0031】
HPT5とLPT10の間に少なくとも1つの蒸気圧縮機(以下、SC)30を設置して、HPT5の排気管から供給された低温・低圧の主蒸気を断熱圧縮して昇温・昇圧し、湿り蒸気を過熱蒸気の主蒸気としてLPT10へ供給する。これにより、主蒸気温度は過熱されて再熱サイクル強化により熱効率が向上する。
【0032】
一方、復水器14内では、LPT10から排出された蒸気を冷却して凝縮させるため、海水を海水入口配管15aから海水循環ポンプ16で伝熱管内へ供給し、ここで熱交換して海水出口配管15bから海水中へ排出する。
【0033】
BWRでは核分裂性物質を含む原子炉圧力容器1内の炉心で水を沸騰させ、沸騰によって生じた蒸気を主蒸気配管3へ通してHPT5、LPT10へと送り、HPT5、LPT10の主軸11と連動した発電機12で発電している。通常のBWRではLPT10の出口側に設置された復水器14で蒸気は凝縮して水となり、その後、6基ある低圧給水加熱器18a〜18d及び高圧給水加熱器21a、21b、および低圧復水ポンプ17、高圧給水ポンプ20を通って昇圧、加熱されて原子炉圧力容器1内に給水される。
【0034】
一般に、BWR及びABWRでは、主蒸気及びタービンからの抽気蒸気を給水の加熱に用いている。ここで、各給水加熱器は6基設置されているので1基当たりの抽気蒸気量は平均して主蒸気の約7%程度である。BWRあるいはABWRの熱効率を向上させるために湿分分離加熱器MSHを採用すると再熱効率により性能が向上することは従来知られている。しかし、MSHでは主蒸気を加熱するための加熱蒸気を抽気するため、主蒸気流量が約2%減少し全体のプラント効率が低下してしまうという課題がある。
【0035】
実施例1では、MSHを使用せず、HPT5で仕事をした主蒸気を直接に蒸気圧縮機SC30で断熱圧縮して過熱蒸気にするため、作動流体の主蒸気流量が低下することがないので熱効率は向上する。
【0036】
しかも、SC30を駆動するのに、HPT5及びLPT10と直接連結した主軸11を用いるため、特別な圧縮機駆動力は不要となり、その分所内動力が小さくて済む。それゆえ、LPT抽気蒸気を多めに再生用に使用できるため、復水器14内での熱交換量は従来よりも低減され、排熱量が少なくなり効率向上を図ることができる。
【0037】
SC30は、HPT5で仕事をした後の低温・低圧の排気蒸気6を断熱圧縮して昇温・昇圧し、主蒸気を圧縮された過熱蒸気35として供給する。この時、SC30は主軸11を通じてタービン駆動力により駆動する。また、SC30の吸込み側で湿り度が大きい場合はMSを追設してもよい。さらに、SC30の吐出側で飽和蒸気が圧縮されて急激に温度上昇が生じて乾き度が大きい場合は、微小水滴を噴霧化して過熱度を下げることも可能である。
【0038】
SC30は、既に開発されている単段遠心式蒸気圧縮機を用いても良く、これらを多段にして使用することも可能である。また、多段の軸流圧縮機を用いても良い。SC30を発電プラント内の二次系タービン建屋内へタービンと同軸で連結して設置する。実施例1は、SC30の回転にタービン主軸駆動力を利用するため所内動力が少なく、さらにSC30により過熱蒸気を生成して再熱サイクルを有効利用することができるため、熱効率の優れたランキンサイクルを構成する。
【0039】
この際、複数のSC30を直列に配置して使用することができる。例えば、複数のSC30を多軸で直列に接続して、最終段での圧縮比を増大することも可能である。また、圧縮比はLPT入口内の圧力になるように制御弁あるいはSC30の回転数制御で調整すればよい。
【0040】
通常、SC30の昇圧割合が大きくなると圧縮仕事も大きくなり、その結果、出力増加分を所内動力として無駄に消費することになる。言い換えれば発電端出力は向上しても送電端出力が低下する。例えば圧縮比10の場合には、モータ駆動によるSC設置による全出力の所内動力割合は試算すると最大で約5%程度に達する。そのため、適切な圧縮比を選択し、熱効率向上分を無駄に所内動力として電気出力を低下させないように、システムバランスの最適化を図る必要がある。
【0041】
例えば、従来の再生サイクル利用方式として、原子力プラントではHPT、LPTからの抽気蒸気を給水の加熱用に用いて、給水を加熱した後の凝縮水は圧力差を利用して高圧系から低圧系給水加熱器、さらには復水器へと熱回収している。さらに、ABWRでは高圧系ポンプドレーンアップシステム(High Pressure Pump Drain-up system:HPPD)と、低圧系ポンプドレーンアップシステム(Low Pressure Pump Drain-up system:LPPD)を採用して、各々再生サイクルにより熱効率を向上させている。
【0042】
一方、本発明では上記方式に対して、高圧主蒸気系に用いるシステムを高圧系蒸気ヒートアップシステム(High Pressure Compressor Steam-up system:HPCS)システムと呼ぶ。本発明は、原子炉1次系のみの直接式である沸騰水型原子力発電プラントまたは改良型沸騰水型原子力発電プラント内の運転にも適用することが可能である。従って、蒸気供給系以外の既設BOPシステム(Balance of Plant system)を大幅に変更せずに、HPTとLPTの間にSCを設置して再熱サイクルにより、プラント熱効率を向上させることができる。
【0043】
図2は、実施例1の発電プラントの熱効率の概要図を示す。横軸はエントロピs、縦軸は温度Tを示す。点線が従来例を示し実線が実施例1を示す。
【0044】
まず従来の熱効率について、図2の点線によって説明する。復水器から供給された給水を1から2まで給水ポンプや給水加熱器で昇温して原子炉圧力容器内へ供給する。原子炉圧力容器内で原子核燃料から受熱して給水が飽和水から飽和蒸気へと加熱されて2から3へと変化する。ここで発生した主蒸気は3から4へとHPTで熱膨張して主軸を回転駆動して仕事をする。
【0045】
ここで、4は飽和蒸気よりも湿り度の多い湿り蒸気のため、従来は主蒸気をMSHへ供給して、まずはMS内で4から5へと湿り度を削除して飽和蒸気にし、次に過熱器内で5から6へと飽和蒸気から過熱蒸気にする。そして、過熱された主蒸気は6から7へとLPTで熱膨張して、HPTと連結された主軸を回転駆動して仕事をする。これら仕事の終わった低温・低圧の主蒸気は復水器内で7から1へと海水側へ除熱して凝縮されて復水する。
【0046】
一方、実施例1の場合は、湿り蒸気の主蒸気をSC30へ供給して、SC30内で圧縮加熱して4から6’へと一気に過熱蒸気にする点が異なる。ここで、従来は過熱された蒸気の温度は炉内の主蒸気温度以下であるのに対して、実施例1は主蒸気温度以上に過熱される。これにより、再熱サイクルの熱効率を大きく向上することができる。
【0047】
その上、タービン主軸による回転力を利用することで、所内動力の増加はほとんどない。また、従来例のBWR用のMSやABWR用のMSHの容積に比べても、実施例1のSCはコンパクトに構成されることがわかる。
【実施例2】
【0048】
図3は、本発明の実施例2の発電プラントの系統図を示す。実施例2では、図3に示すように、HPT5とLPT10の間に中圧タービン(以下、IPT)22を設置した。それに加えて、HPT5とIPT22の間に高圧蒸気圧縮機(以下、HSC)31を設置し、IPT22とLPT10の間に中圧蒸気圧縮機(以下、ISC)32を設置した。
【0049】
HSC31でヒートポンプ作用により蒸気圧縮して昇温・昇圧し、HPT5排気蒸気の温度を増加させてIPT22へ供給する。また、ISC32でヒートポンプにより蒸気圧縮して昇温・昇圧し、IPT22排気蒸気の温度を増加させてLPT10へ供給する。これにより、HPT5及びLPT10で仕事をする主蒸気が過熱蒸気となり、再熱サイクルによる熱効率向上が可能となる。
【0050】
この場合、図3に示すHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10は、発電機12に連結された主軸11に全て同軸で連結されている。従って、上記駆動力を利用して圧縮機駆動力とすることができるため、所内動力は低減する。以下の図において、特に言及しない限り図1の実施例と同じ符号の部材は同一の構成を有する。
【0051】
実施例2では、中圧主蒸気系に用いるシステムを中圧系蒸気ヒートアップシステム(Intermediate Pressure Compressor Steam-up system:IPCS)と呼ぶ。これにより、BWRプラントの熱効率を向上させることも可能になる。なお、実施例2は沸騰水型軽水炉プラントを例にしたが、加圧水型軽水炉の2次系やその他の形式の原子力発電プラントにも適用可能である。
【0052】
図4は、図2と同様に発電プラントの熱効率の概要図を示す。横軸はエントロピs、縦軸は温度Tを示す。点線は従来例を示し、実線は実施例2を示す。従来例の性能は図2で説明した通りである。
【0053】
一方、実施例2の場合は、湿り蒸気の主蒸気4をHSC31へ供給して圧縮加熱し、主蒸気4から6’へと一気に加熱して過熱蒸気にし、さらにIPT22で6’から6’’へと熱膨張して、またISC32内で圧縮加熱して6’’から6’’’へと一気に過熱蒸気にする点が異なる。
【0054】
ここで、従来は過熱された蒸気の温度が炉内の主蒸気温度以下であるのに対して、実施例2は主蒸気温度以上に過熱された上に、6’及び6’’’とHPT5及びLPT10で熱膨張による仕事をするのに過熱蒸気を使用できるので、図2よりもさらに再熱サイクルにより熱効率が大きく向上する。またLPT最終段での主蒸気はほぼ飽和蒸気までで熱膨張するため、湿り度は浅くなる。
【0055】
その上、主軸のタービンによる回転力を利用することで、所内動力の増加はほとんどない。また、従来例のBWR用MSやABWR用MSHの容積に比べても、実施例2の蒸気圧縮機はコンパクトになることがわかる。
【実施例3】
【0056】
図5は、本発明の実施例3の発電プラントの系統図を示す。実施例3では、図3に示す実施例2に加えて、LPT10の下流側に低圧蒸気圧縮機(以下、LSC)33を設置した。LSC33でヒートポンプにより蒸気圧縮して昇温・昇圧し、LPT10の排気蒸気の温度を増加させることができる。これにより排熱の有効利用も可能となる。この場合、HPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33は、発電機12に連結された主軸11に全て同軸で連結されており、上記駆動力を利用して圧縮機駆動力とすることができるため、所内動力は低減する。
【0057】
実施例3では、低圧主蒸気系に用いるシステムを低圧系蒸気ヒートアップシステム(Low Pressure Compressor Steam-up system:LPCS)と呼ぶ。これにより、BWRプラントの熱効率を向上させることも可能になる。なお、実施例3は沸騰水型軽水炉プラントを例にしたが、加圧水型軽水炉の2次系やその他の形式の原子力発電プラントにも適用可能である。
【実施例4】
【0058】
図6は、実施例4の発電プラントのシステム概要を示す。実施例4は、図1で説明した実施例1のBWR発電プラントにおいて、HPT5とSC30の間にMS7を設置したものである。これにより、HPT5からの排気蒸気をMS7で飽和蒸気にしてSC30内へ供給することができる。
【実施例5】
【0059】
図7は、実施例5の発電プラントのシステム概要を示す。実施例5は、図1で説明したBWR発電プラントにおいて、HPT5とSC30の間にSH7、MSH8A、8Bを設置したものである。これにより、HPT5からの排気蒸気をSH7、MSH8A、8Bで過熱蒸気にしてSC30内へ供給することができる。
【実施例6】
【0060】
図8は、実施例6の発電プラントのシステム概要を示す。実施例6は、図1で説明したBWR発電プラントにおいて、HPT5とLPT10の間にSH7、MSH8A、8Bを設置し、主蒸気配管から分岐したHPT5からのバイパス排気蒸気をSC30へ供給し、SC30で圧縮加熱した過熱蒸気をLPT10へ供給する主蒸気配管9へ合流させてLPT10へ供給することができる。なお、SC30へ供給するバイパス排気蒸気量は、制御弁47、48で調整される。
【実施例7】
【0061】
図9は、実施例7の火力発電プラントのシステム概要を示す。火力発電プラントでは主蒸気発生源としてボイラ1Aを用いている。発電プラントの二次系は、HPT5、LPT10、SC30から構成される主蒸気系、そして復水器14から出た後、低圧復水ポンプ17、低圧給水加熱器18a〜18d、高圧給水ポンプ20、高圧給水加熱器21a、21bから構成される給復水系から構成されるのは、図1と同様である。
【0062】
ここで、従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、火力発電プラントではボイラ1Aが蒸気を発生する主蒸気発生源となる。ボイラ1Aで発生する主蒸気系は、BWRと同様に飽和蒸気である。
【実施例8】
【0063】
図10は、実施例8の加圧水型原子力発電プラント(以下、PWR)のシステム概要を示す。BWRと異なり、原子炉圧力容器1B、一次冷却系51、一次冷却系循環ポンプ52そして蒸気発生器(以下、SG)50から構成される一次系と、BWRと同様の主蒸気・給復水系の二次系から構成される。二次系内の主蒸気系には、蒸気圧縮機SC30を有する。18は低圧給水加熱器、21は高圧給水加熱器である。
【0064】
ここで、二次系はHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合には、BWRの原子炉圧力容器1の代わりにSG50が主蒸気発生源となる。
【0065】
実施例8は、原子炉1次系と2次系に分かれた間接式である加圧水型原子力発電プラントまたは改良型加圧水型原子力発電プラントにも適用することが可能である。
【実施例9】
【0066】
図11は、実施例9の高速増殖炉型原子力発電プラント(以下、FBR)のシステム概要を示す。BWRと異なり、原子炉圧力容器1C、一次冷却系61、一次冷却系循環ポンプ62そして中間熱交換器63の一次系と、二次冷却系64、二次冷却系循環ポンプ65そして蒸気発生器60の二次系とから構成される。FBRでは、一次系も二次系も冷却材はナトリウムを用いる。二次系内の主蒸気系には、SC30を有する。
【0067】
ここで、二次系は従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、図5の様にHPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、BWRの原子炉圧力容器1の代わりに蒸気発生器60が主蒸気発生源となる。
【0068】
実施例9は、原子炉1次系、2次系及び主蒸気系に分かれた間接式である高速増殖炉型原子力発電プラント内の運転方法にも適用することが可能である。
【実施例10】
【0069】
図12は、実施例10の火力コンバインド発電プラント(以下、火力C/C)のシステム概要を示す。この場合、高温流体側として、圧縮機72へ吸い込まれた空気71を圧縮し、燃焼器76で圧縮空気と燃料77を混合して着火・燃焼し、高温ガスとしてガスタービン(以下、GT)74で膨張させる。この時、圧縮機72とGT74は主軸73に連結されて回転し、これに連動して発電機75で発電する。
【0070】
さらに、GT74を回転させた排ガス78を加熱源として、排熱回収用蒸気発生器(以下、HRSG)70で給水が熱交換して主蒸気を発生する。あとは、BWRの主蒸気系、給復水系と同様のシステムとなる。二次系内の主蒸気系には、SC30を有する。
【0071】
ここで、二次系は従来例のHPT5、SC30、LPT10の3要素から構成されるもの以外に、HPT5、HSC31、IPT22、ISC32、LPT10、LSC33の複数要素から構成されてもよい。この場合、BWRの原子炉圧力容器1の代わりにHRSG70が主蒸気発生源となる。
【0072】
また、再生可能エネルギーシステムとして、太陽熱を一度蓄熱器に溜めて、この熱源を利用して蒸気を発生させる自然界の熱エネルギーを有効に利用したランキンサイクル発電プラントにも使用できる。
【0073】
実施例10は、原子力発電と同様にランキンサイクルを構成する火力発電についても、当該高圧及び低圧タービンを有する火力発電プラントまたはGTとの火力コンバインド発電プラント内の運転方法にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、沸騰水型原子力発電プラント及び加圧水型原子力プラント等の原子力発電プラント、及び火力発電プラントのような発電プラントに適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…原子炉圧力容器、1A…ボイラ、2…主蒸気出口弁、3…主蒸気配管、4…主蒸気止め弁、5…高圧タービン(HPT)、6…主蒸気配管、7…湿分分離器(MS)、8…湿分分離過熱器(MSH)、8A、8B…湿分分離過熱器、9…主蒸気配管、10…低圧タービン(LPT)、11…主軸、12…発電機、13…排気蒸気管、14…復水器、17…低圧復水ポンプ、18、18a〜18d…低圧給水加熱器、19…給水配管、20…高圧給水ポンプ、21、21a、21b…高圧給水加熱器、22…中圧タービン(IPT)、
30…蒸気圧縮機(SC)、31…高圧蒸気圧縮機(HSC)、32…中圧蒸気圧縮機(ISC)、33…低圧蒸気圧縮機(LSC)、35…過熱蒸気、42…主蒸気抽気蒸気、43…高圧タービン抽気蒸気、45…高圧抽気蒸気、46…低圧抽気蒸気、47…制御弁、48…制御弁、50…蒸気発生器(SG)、51…一次冷却系、52…一次冷却系循環ポンプ、
60…蒸気発生器、61…一次冷却系、62…一次主循環ポンプ、63…中間熱交換器、64…二次冷却系、65…二次主循環ポンプ、70…排熱回収用蒸気発生器(HRSG)、71…空気、72…圧縮機、73…主軸、74…ガスタービン(GT)、75…発電機、76…燃焼器、77…燃料、78…高温排ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、前記冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、前記冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、前記冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、主蒸気配管を介して供給される蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンに主軸で連結された発電機と、前記低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントにおいて、
前記高圧タービンと前記低圧タービンの間に少なくとも1つの蒸気圧縮機を前記主軸に設置し、前記高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を前記蒸気圧縮機で圧縮して昇温・昇圧し、主蒸気を飽和蒸気あるいは過熱蒸気として前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、前記蒸気圧縮機は、前記高圧タービンと前記中圧タービンの間に前記主軸に設置した少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機と、前記中圧タービンと前記低圧タービンの間に前記主軸に設置した少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を有することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記低圧タービンと前記発電機の間に少なくとも1つの低圧蒸気圧縮機を前記主軸に設置したことを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記蒸気圧縮機の間に湿分分離器を設置し、前記高圧タービンの排気蒸気を飽和蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記蒸気圧縮機の間に湿分分離過熱器を設置し、前記高圧タービンの排気蒸気を過熱蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置し、前記高圧タービンからの排気蒸気を前記主蒸気配管から分岐して前記蒸気圧縮機へ供給するバイパスを設け、前記蒸気圧縮機で圧縮加熱した過熱蒸気を前記低圧タービンへ供給する前記主蒸気配管へ合流させて前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラントまたは高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを使用することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項8】
冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、前記冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、前記冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、前記冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンに主軸で連結された発電機と、前記低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントの運転方法において、
前記高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を圧縮して昇温・昇圧し、飽和蒸気あるいは過熱蒸気として、前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項9】
請求項8に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンの排気蒸気を飽和蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンの排気蒸気を過熱蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンからの排気蒸気を分岐して前記蒸気圧縮機へ供給し、圧縮加熱した過熱蒸気を低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラント、高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを使用することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項1】
冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、前記冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、前記冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、前記冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、主蒸気配管を介して供給される蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンに主軸で連結された発電機と、前記低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントにおいて、
前記高圧タービンと前記低圧タービンの間に少なくとも1つの蒸気圧縮機を前記主軸に設置し、前記高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を前記蒸気圧縮機で圧縮して昇温・昇圧し、主蒸気を飽和蒸気あるいは過熱蒸気として前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと低圧タービンの間に中圧タービンを設置し、前記蒸気圧縮機は、前記高圧タービンと前記中圧タービンの間に前記主軸に設置した少なくとも1つの高圧蒸気圧縮機と、前記中圧タービンと前記低圧タービンの間に前記主軸に設置した少なくとも1つの中圧蒸気圧縮機を有することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記低圧タービンと前記発電機の間に少なくとも1つの低圧蒸気圧縮機を前記主軸に設置したことを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記蒸気圧縮機の間に湿分分離器を設置し、前記高圧タービンの排気蒸気を飽和蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記蒸気圧縮機の間に湿分分離過熱器を設置し、前記高圧タービンの排気蒸気を過熱蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記高圧タービンと前記低圧タービンの間に湿分分離過熱器を設置し、前記高圧タービンからの排気蒸気を前記主蒸気配管から分岐して前記蒸気圧縮機へ供給するバイパスを設け、前記蒸気圧縮機で圧縮加熱した過熱蒸気を前記低圧タービンへ供給する前記主蒸気配管へ合流させて前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントにおいて、前記発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラントまたは高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを使用することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラント。
【請求項8】
冷却材を蒸気発生器に供給する給水配管及び復水配管と、前記冷却材を昇圧する低圧復水ポンプ及び高圧給水ポンプと、前記冷却材を加熱する低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器と、前記冷却材を蒸気にまで加熱する炉心または蒸気発生器と、蒸気からエネルギーを回収する高圧タービンおよび低圧タービンと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンに主軸で連結された発電機と、前記低圧タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器を有する発電プラントの運転方法において、
前記高圧タービンで仕事をした後の低温・低圧の湿り蒸気を圧縮して昇温・昇圧し、飽和蒸気あるいは過熱蒸気として、前記低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項9】
請求項8に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンの排気蒸気を飽和蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンの排気蒸気を過熱蒸気にして前記蒸気圧縮機へ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記高圧タービンからの排気蒸気を分岐して前記蒸気圧縮機へ供給し、圧縮加熱した過熱蒸気を低圧タービンへ供給することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかに記載の蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法において、前記発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント、加圧水型原子力発電プラント、高速増殖炉型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラントまたはガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを使用することを特徴とする蒸気圧縮システムを有する発電プラントの運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−246892(P2012−246892A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121417(P2011−121417)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
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