説明

蒸気発生機能付き加熱装置

【課題】ヒータにより被加熱物の表面をカリッと焼くことができるとともに、水蒸気により被加熱物の表面が焦げすぎるのを防止することのできる蒸気発生機能付き加熱装置を提供する。
【解決手段】蒸気を透過する赤外線が加熱室11の被加熱物12を加熱するので、加熱された被加熱物12の表面からの輻射により、被加熱物12に接する領域の蒸気密度が低下して、被加熱物12の表面をカリッと焼くことができる。しかし、蒸気は循環して次々に供給されるので、被加熱物12に接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物12の表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので被加熱物12の表面を蒸気で包むことになり、被加熱物12の内部の水分が逃げにくくなる。これにより、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータおよび蒸気を用いて被加熱物を調理する蒸気発生機能付き加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、加熱調理装置の蒸気発生手段により蒸気を発生して加熱室内に供給し、赤外線発生手段により発生させた赤外線を用いて被加熱物を加熱する蒸気発生機能付き加熱装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この加熱装置では、加熱室内に供給された水蒸気を赤外線発生手段により加熱状態として調理を行うものであり、所定の範囲の波長の赤外線を用いることにより伝熱面積を小さくして、蒸気加熱器の小型化、低圧損化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2897645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の蒸気発生機能付き加熱装置においては、赤外線によって加熱状態とした水蒸気を用いて被加熱物を加熱するため、被加熱物の表面が水蒸気によって湿った状態となり、被加熱物の表面をカリッと焼くことが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ヒータにより被加熱物の表面をカリッと焼くことができるとともに、水蒸気により被加熱物の表面が焦げすぎるのを防止することのできる蒸気発生機能付き加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蒸気発生機能付き加熱装置は、加熱室と、前記加熱室内に蒸気を発生させる蒸気発生手段と、前記蒸気を透過しやすい波長をピーク特性にもつ赤外線を発生させる赤外線発生手段とを備える構成を有している。
【0008】
この構成により、蒸気を透過する赤外線が加熱室の被加熱物を加熱するので、加熱された被加熱物の表面からの輻射により、被加熱物に接する領域の蒸気密度が低下して、被加熱物の表面をカリッと焼くことができる。しかし、蒸気は循環して次々に供給されるので、被加熱物に接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物の表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので被加熱物の表面を蒸気で包むことになり、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなる。これにより、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができる。
【0009】
また、本発明の蒸気発生機能付き加熱装置は、前記加熱室における互いに対向する立壁に設けられた係止部と、前記係止部に支持されて前記加熱室を上下に区画するとともに被加熱物を載置可能な角皿とを備え、前記加熱室を上下に連通する連通孔が前記角皿の周部に設けられている構成を有している。
【0010】
この構成により、角皿によって区画した加熱室の下方に蒸気を供給し、この蒸気を角皿
の周部に設けた連通孔から上方に案内して、角皿の上に載置された被加熱物に対し適度な蒸気を付加しながら加熱調理する。
【0011】
さらに、本発明の蒸気発生機能付き加熱装置は、高周波を発生させる高周波発生部と、前記加熱室における互いに対向する立壁に設けられた係止部と、前記係止部に支持されて前記加熱室を上下に区画するとともに被加熱物を載置可能な角皿とを備え、前記角皿の底面に電波吸収発熱体が設けられている構成を有している。
【0012】
この構成により、角皿の底面に設けられている電波吸収発熱体が、高周波発生部により発生された高周波を吸収して発熱するので、角皿の上に載置された被加熱物を下側から加熱することになる。これにより、被加熱物を上下両面から加熱することができる。
【0013】
さらに、本発明の蒸気発生機能付き加熱装置は、前記加熱室内において上方から下方に向かって前記蒸気が循環するような凹凸が前記加熱室の天井面に形成されている構成を有している。
【0014】
この構成により、加熱室の下部に供給された水蒸気は、加熱室内を上昇して天井面に達し、天井面に設けられている凹凸によって循環するので、被加熱物を均一に加熱することができる。
【0015】
さらに赤外線発生手段は、少なくとも3本以上とするとともに中央側に位置する赤外線発生手段のピーク波長が、周囲に位置する赤外線発生手段のピーク波長より、短くなるようにしたものである。
【0016】
波長が短くなると、加熱物内部へのエネルギーの透過量が増加し内部が加熱されやすくなるため、加熱物表層でのエネルギー量は減少する。加熱室の放熱の影響は周囲が大きいため平面的に見て中央部と周囲では、周囲の方が焦げ色が付きやすい傾向にあるが、このように配置することで、被加熱物の焦げ色の分布を均一にしながら、被加熱物内部へも効率よく加熱することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、蒸気を透過する赤外線が加熱室の被加熱物を加熱するので、加熱された被加熱物の表面からの輻射により、被加熱物に接する領域の蒸気密度が低下して、被加熱物の表面をカリッと焼くことができる。しかし、蒸気は循環して次々に供給されるので、被加熱物に接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物の表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので被加熱物の表面を蒸気で包むことになり、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなる。これにより、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる蒸気発生機能付き加熱装置を左右に切断した断面図
【図2】加熱室の上面の天板をカットした断面図
【図3】光の波長に対する水蒸気の吸収エネルギー割合を示すグラフ
【図4】蒸気発生機能付き加熱装置を前後に切断した断面図
【図5】ランプヒータ(アルゴンヒータ)の側面図
【図6】ランプヒータの端部を示す斜視図
【図7】(A)は支持部材を示す正面図、(B)は支持部材の平面図
【図8】加熱室を角皿で上下に区画した状態を示す断面図
【図9】角皿の斜視図
【図10】本発明にかかる蒸気発生機能付き加熱装置の第2実施形態を示す断面図
【図11】本発明にかかる蒸気発生機能付き加熱装置の第3実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の蒸気発生機能付き加熱装置について、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は蒸気発生機能付き加熱装置を左右に切断した断面図、図2は上面の天板をカットした断面図、図3は光の波長に対する水蒸気の光を吸収する割合を示すグラフ、図4は蒸気発生機能付き加熱装置を前後に切断した断面図、図5は赤外線発生手段であるランプヒータの側面図、図6はランプヒータの端部を示す斜視図、図7(A)は支持部材を示す正面図、(B)は支持部材の平面図、図8は加熱室を角皿で上下に区画した状態を示す断面図、図9は角皿の斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態にかかる蒸気発生機能付き加熱装置10は、加熱室11と、加熱室11内に蒸気を発生させる蒸気発生手段50と、蒸気を透過しやすい赤外線を発生させる赤外線発生手段20とを備えている。
【0022】
この加熱装置10は、二つのアンテナを回転させる方式を用いた電子レンジであり、被加熱物である食品12を置く加熱室11の底面11aよりも下側から高周波を供給する高周波発生手段40を有しており、高周波発生手段40であるマグネトロン41を右側に設けた例である。マグネトロン41から発生した高周波を加熱室11内に導く導波管42と、電波を加熱室11へ発生させる回転アンテ43を設けている。
【0023】
また、図4に示すように、加熱室11の奥の仕切板11cの後方には、連通路14と循環ファン15とヒータ16を有しており、循環ファン15によって加熱室11内の空気を吸い込んでヒータ16により加熱し、仕切板11cに設けられている排出孔から加熱された空気を加熱室11内に送ることができるようになっている。図8に示すように加熱室を角皿で上下に区画した場合でも加熱室11内の空気を攪拌することができるようになっている。
【0024】
また、図4に示すように、加熱室11上部には、赤外線発生手段20として赤外線を発生させる複数本(ここでは3本)のランプヒータ21を備えており、この各ランプヒータ21と、マグネトロン41を制御手段13で制御し、ランプヒータ21が水蒸気に吸収されにくい波長をピーク値にもつ赤外線を輻射して、加熱室11内に存在する水蒸気を透過して食品12に当てて調理を行う構成としている。なお、ランプヒータ21は、中央部に配置された内ヒータ21aと、この内ヒータ21aより長い波長をピーク値とする外ヒータ21bとで構成されている。
【0025】
図3に示すように、複数の波長を発生するランプヒータ21が発生する赤外線のピーク波長が、水蒸気吸収率が低い領域の波長である1.5μm以上1.7μm未満もしくは、2.0μm以上2.3μm未満もしくは、3.4μm以上4.5μm未満のいずれか2つの波長を発生するように制御手段13が各ランプヒータ21を制御している。
【0026】
これによって3本のランプヒータ21からは水蒸気吸収率が低い領域の波長である1.5μm以上1.7μm未満もしくは、2.0μm以上2.3μm未満もしくは、3.4μm以上4.5μm未満のいずれか一つの波長の赤外線が加熱室11内に放射され、この赤外線が水蒸気に吸収されることなくこれを透過して食品12を輻射加熱することになる。
【0027】
その結果、加熱室11に置かれた食品12を直接より素早く均一に加熱できる。また、
赤外線が食品12表面に直接輻射されるようになると食品12表面がパリッと仕上がり焦げ目も素早く付けることが可能となる。さらに、蒸気は循環して次々に供給されるので、食品12に接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、食品12の表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので食品12の表面を蒸気で包むことになり、食品12の内部の水分が逃げにくくなり、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができることになる。
【0028】
さらに3本のランプヒータ21は、中央部に配置された内ヒータ21aから発する赤外線発生手段のピーク波長が、外ヒータ21bが発する赤外線発生手段のピーク波長より短いから、加熱室内に配置した被加熱物の焦げ色をほぼ均一にすることができる。すなわち、波長が短くなると、加熱物内部へのエネルギーの透過量が増加し内部が加熱されやすくなるため、加熱物表層でのエネルギー量は減少する。加熱室の放熱の影響は周囲が大きいため平面的に見て中央部と周囲では、周囲の方が焦げ色が付きやすい傾向にあるが、このように配置することで、被加熱物の焦げ色の分布を均一にしながら、被加熱物内部へも効率よく加熱することができることになる。
【0029】
さらに、この蒸気発生機能付き加熱装置は、角皿で仕切った加熱室上方側の空気を攪拌或いは外気を供給する攪拌手段を備えているから、加熱室内の温度に基づいて加熱室上方側の空間の空気や蒸気を強制的に攪拌あるいは、排出するようにして、対流加熱作用を制御するようにすれば、輻射加熱の効果を最大限に確保することができ、より効果的な加熱が可能となる。
【0030】
加熱室11の天井面11bには、ランプヒータ21の上側に反射板(凹凸)25が設けられている。この反射板25は、各ランプヒータ21の上方を頂点とするとともに、各ランプヒータ21間を最下点とするような山型形状に設けられている。従って、加熱室11内を上昇してきた水蒸気は、反射板25の凹凸によって導かれて循環するので、食品12を均一に加熱することができる。また、反射板25に結露した水滴は、反射板25の傾斜に沿って加熱室11内に滴下することになる。
【0031】
また、各ランプヒータ21の斜め下方には、一対のガードバー26、26がランプヒータ21に沿って設けられており、ランプヒータ21に直接物が当接しないようにガードしている。なお、ガードバー26に左右方向(図4中紙面直交方向)の傾斜を付けて、ガードバー26に結露した水滴を所定の位置に導くのが望ましい。例えば、ガードバー26の左右端部の一端を上げて、他端を下げることにより、水滴を一方の端部側へ導くことができる。あるいは、ガードバー26の支間中央部を上げて、左右両端部を下げることにより、水滴を左右両端部へ導くようにしてもよい。あるいは、ガードバー26の下面に、下方へ突出する突起を設けて、この突起を伝って水滴が滴下するようにしてもよい。
【0032】
なお、反射板25やランプヒータ21の加熱室11への取付部分には、マイカ板等の絶縁体でシールして蒸気の漏れを防止するのが望ましい。また、ランプヒータ21およびガードバー26があり反射板25の掃除は困難であるため、反射板25の加熱室11側面である下面には、セルフクリーニング塗料を塗布するのが望ましい。このとき、近赤外線よりも3μm以上の遠赤外線域の反射率が低くなる例えばアルミナやジルコニアを塗料に混合すると水蒸気の吸収が低い近赤外線を多く反射し食品に輻射エネルギーを吸収させやすくすることができる。また汚れなどを目立たなくする顔料を添加しても良い。
【0033】
図5および図6に示すように、ランプヒータ21は、石英ガラス製の円筒形状をした管部材22と、この管部材22の内部に収容されるコイル状の発熱部材23とを有しており、発熱部材23は管部材22の内面に接触する支持部材24によって支持されている。これにより、発熱部材23は、直接管部材22に接触しないようになっており、管部材22
が過度に加熱されるのを防止することにより管部材22の失透を防止して、加熱効率の低下を防止している。なお、失透防止のために、管部材22の表面をコーティングしてもよい。
【0034】
管部材22は、両端部の断面が絞られて碍子22aが取り付けられている。管部材22には、内部に不活性ガス(アルゴンガス)を封入する際に空気を排出する排気バルブ22bが設けられており、ガス注入後に封じられる。排気バルブ22bは、比較的強度が弱いため破損の原因となるうえ、最終的には突出することになるので、この排気バルブ22bが奥側に横向き或いは上向きとなるようにランプヒータ21を取り付けるのが望ましい。これにより、衝撃に対するランプヒータ21の強度を確保しやすくなるとともに突出する排気バルブを見えにくくすることができる。
【0035】
発熱部材23は、コイル状に巻かれた螺旋部23aと、螺旋部23a間に設けられた直線部23bを有している。前述した支持部材24は、直線部23bに設けるのが望ましい。これにより、支持部材24は螺旋部23aの発熱を阻害しないので、発熱効率を低下させることなく支持することができる。また、発熱部材23には、適宜あそび部23cを設けておき、熱による発熱部材23の伸び縮みを吸収するようにするのが望ましい。
【0036】
図7に示すように、支持部材24は、管部材22の軸線に対して交差する方向に沿って連続する無端形状となっている。すなわち、支持部材24は、発熱部材23を把持して径方向に支持する脚部24aと、管部材22の内面に接する周部24bを有しており、周部24bは少なくとも1周して無端形状となっている。このとき、周部24bの外径が、管部材22の内径よりも若干大き目となるように形成しておき、周部24bを押し縮めて管部材22内部に挿入した後に解放したら、周部24bは拡径する方向へ変形するので、支持部材24は管部材22にしっかりと保持されることになる。また、周部24bは、管部材22の軸線に沿って設けられている発熱部材23に対して交差(ここでは直角に交差)する方向に設けられている。これにより、発熱部材23を確実に支持することができる。また、支持部材24は溶接などを施すことで可能な限り無端形状に近い構成としているので、スパークの発生を抑えることができる。
【0037】
図8に示すように、加熱室11における互いに対向する立壁11d、11dに設けられた係止部17(図2参照)と、この係止部17に支持されて加熱室11を上下に区画するとともに食品12を載置可能な角皿30とを備えている。
【0038】
図9に示すように、全体矩形板状の角皿30の左右両辺には樹脂取っ手33が設けられており、加熱室11の係止部17に沿って前後方向へ出し入れ可能となっている。また、角皿30の周部には、加熱室11を上下に連通する連通孔31が設けられている。これにより、角皿30によって区画した加熱室11の下方において例えば蒸気を発生させ、発生した蒸気を角皿30の周部に設けた連通孔31から上方に案内して、角皿30の上に載置された食品12を加熱調理する。このとき、角皿30の周部の連通孔31から上昇してきた水蒸気は、図8中矢印Aで示すように、加熱室11の天井面11bに設けられている反射板25の凹凸によって導かれて循環するので、食品12を均一に加熱することができる。
【0039】
また、角皿30の底面には、高周波発生手段40によって発せられる高周波を吸収して発熱する例えばフェライトゴムのような電波吸収発熱体32を設けるのが望ましい。これにより、角皿30の上に載置された食品12を下側から加熱することになり、食品12を上下両面から加熱調理することができる。なお、電波吸収発熱体32に接する角皿30の下面を未塗装とすることにより、熱伝導率が向上し、調理時間を短縮することができる。
【0040】
次に、図10を参照して、本発明にかかる蒸気発生機能付き加熱装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0041】
図10に示す蒸気発生機能付き加熱装置10Bでは、加熱室11の天井面11bに設けられている反射板25Bが、加熱室11の前後方向の中央付近で高く、前後両端において低くなっている。このため、反射板25Bに結露した水滴は、加熱室11の前端部および後端部に滴下することになり、食品12にはかからないことになる。
【0042】
次に、図11を参照して、本発明にかかる蒸気発生機能付き加熱装置の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1および第2実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0043】
図11に示す蒸気発生機能付き加熱装置10Cでは、加熱室11の天井面11bに設けられている反射板25Cが、加熱室11の後端部でもっとも高く、前端部において低くなっている。このため、反射板25Cに結露した水滴は、加熱室11の前端部および後端部に滴下することになり、食品12にはかからないことになる。また、加熱室11の前端部に水滴が滴下するので、掃除しやすい。
【0044】
なお、本発明の蒸気発生機能付き加熱装置は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0045】
例えば、前述した各実施形態においては、赤外線発生手段20として3本のランプヒータ21を設けたが、ランプヒータ21の本数はこれに限るものではない。また、ランプヒーター21を単数として、ミラクロンヒータやカーボンヒータなどを組み合わせることも可能である。
【0046】
また、蒸気発生手段50は加熱室11内で水を気化させて蒸気を発生させるタイプや加熱室11の外で気化させて加熱室11内に供給するタイプがあるが、いずれを採用してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる蒸気発生機能付き加熱装置は、蒸気を透過する赤外線が加熱室の被加熱物を加熱するので、加熱された被加熱物の表面からの輻射により、被加熱物に接する領域の蒸気密度が低下して、被加熱物の表面をカリッと焼くことができる。しかし、蒸気は循環して次々に供給されるので、被加熱物に接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物の表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので被加熱物の表面を蒸気で包むことになり、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなる。これにより、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができるという効果を有し、ヒータおよび蒸気を用いて被加熱物を調理する蒸気発生機能付き加熱装置等として有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 蒸気発生機能付き加熱装置
11 加熱室
11b 天井面
11d 立壁
12 食品(被加熱物)
17 係止部
20 赤外線発生手段
25 反射板(凹凸)
30 角皿
31 連通孔
32 電波吸収発熱体
40 高周波発生部
50 蒸気発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内に蒸気を供給する蒸気発生手段と、
前記加熱室上部に設けられ、いずれも、ピーク波長が、1.5μm以上1.7μm未満、2.0μm以上2.3μm未満、3.4μm以上4.5μm未満のいずれか1つの赤外線を発生する少なくとも3つの赤外線発生手段とを備える蒸気発生機能付き加熱装置において、前記少なくとも3つ赤外線発生手段のうち、中央側に位置する赤外線発生手段が、周囲に位置する赤外線発生手段より短いピーク波長を有する赤外線を発生する蒸気発生機能付き加熱装置。
【請求項2】
前記加熱室における互いに対向する立壁に設けられた係止部と、
前記係止部に支持されて前記加熱室を上下に区画するとともに被加熱物を載置可能な角皿とを備え、
前記加熱室を上下に連通する連通孔が前記角皿の周部に設けられている請求項1記載の蒸気発生機能付き加熱装置。
【請求項3】
高周波を発生させる高周波発生部と、
前記加熱室における互いに対向する立壁に設けられた係止部と、
前記係止部に支持されて前記加熱室を上下に区画するとともに被加熱物を載置可能な角皿とを備え、
前記角皿の底面に電波吸収発熱体が設けられている請求項1記載の蒸気発生機能付き加熱装置。
【請求項4】
前記赤外線発生手段の上方の前記加熱室の天井面に設けられ、前記赤外線発生手段の上側を頂点とするとともに、前記赤外線発生手段間を最下点とする山型形状を有する反射板をさらに有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の蒸気発生機能付き加熱装置。

【図4】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−151441(P2010−151441A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48712(P2010−48712)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2007−235680(P2007−235680)の分割
【原出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】