説明

蓄熱性相転移物質を含有するポリマー組成物、当該組成物を製造する方法、及び当該組成物を含有する製品

結合された蓄熱相転移物質を含有し、固体又はペースト状のポリマー組成物で、180(200)℃にまで容易に加熱され、機械的処理をしても、構造及びその組成を変えず、またその相転移物質を失わず、加熱すると、熱放射が一定になり、熱放射時間が長くなり、製造し易く、特殊な性能により、広範な用途がある蓄熱性相転移物質を含有するポリマー組成物を提供する。溶融した蓄熱性PCMとモノマーの混合物を重合し、生成されたポリマーにPCMを強固に結合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
固相又は半固相から熱を吸収して液相に相転移し、同じ熱を放出して液相から固相に相転移する、いわゆる相転移物質(PCM)は公知である。これら相転移物質は、相転移温度に依存して、蓄熱材として使用されている。
【背景技術】
【0002】
蓄熱性相転移物質を含有するポリマー組成物は、特許文献1、特許文献2,特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、及び特許文献10により公知である。
【0003】
特許文献1により、PCMを分散させたシリコーンゴムが公知である。PCMは、ゴムマトリックスに含有されているか、もしくは包摂されている。
【0004】
特許文献2は、PCMを含有するマイクロカプセルを完全に分散させた発泡剤組成物を記載している。
【0005】
特許文献3は、ポリウレタン発泡体のようなポリマーマトリックスに、溶融PCMを吸着させた組成物を記載している。
【0006】
特許文献4は、ポリマーマトリックスに吸着させたか、もしくはコーティングにより織布に結合させたPCM粒子を含有した壁面ライニングを記載している。
【0007】
特許文献5は、PCM、水、及び水膨潤性ポリマー架橋剤に基づくポリマー組成物を記載している。この場合、PCMは、ハイドロゲル状態で含有されている。
【0008】
特許文献6は、放熱材を使用する塊状ゲル重合を記載している。最終生成物は、放熱材が分散されたゲルである。
【0009】
特許文献7及び特許文献8は、PCMを中心材として含有し、ポリマーをシェルとして含有する、マイクロカプセルを記載している。
【0010】
上述した組成物では、蓄熱性PCMは、ポリマー構造内に分散されているか、或いは吸収されている。然しながら、これらの組成物が不安定なことが欠点である。大きな機械的ストレスが負荷されたり、100℃以上の高温に曝されると、これらの組成物は、分解して、ポリマーとしての特性を失う。特に、これら従来の組成物は、反復使用したり、高温に曝されたり、大きな機械的ストレスが負荷されると、蓄熱性を失う。従って、これら従来の組成物は、用途が限定されている。さらに、これら従来の組成物は、製造方法が複雑で、時間がかかるので、高価である点も欠点である。
【0011】
特許文献10は、周囲に少なくとも1個のポリマーシェルが形成されたPCMを記載している。このポリマーシェルは、カップリング剤でPCM剤の表面に結合されている。然しながら、この場合、表面にPCMを結合させるには、少なくとも1層の被覆層が必要である。被覆層が劣化すると、蓄熱性が低下する。さらに、この組成物は複雑なことが欠点である。
【特許文献1】WO03068414号公報明細書
【特許文献2】US5637389号公報明細書
【特許文献3】EP56591号公報明細書
【特許文献4】WO03085346号公報明細書
【特許文献5】EP693542号公報明細書
【特許文献6】US458543号公報明細書
【特許文献7】US6200681号公報明細書
【特許文献8】US570994.5号公報明細書
【特許文献9】US200388019号公報明細書
【特許文献10】DE10218977号公報明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ポリマー組成物が安定で、長時間その性質を維持し、且つ、どのような状況下でも使用することができ、それによって新規な用途を拡大することにより、大いなる利点と可能性を発揮するという展望の基になされた。
【0013】
この目的のために、本発明は、蓄熱性PCMを含有し、少なくとも1個のPCMに直接結合した少なくとも1個のモノマーを含有することを特徴とするポリマー組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物の場合、PCMは、ポリマーの表面にだけ直接結合しているのではなく、ポリマーの内部に結合している。結合は、直接で、且つ、強力である。強力な結合により、本発明のポリマー組成物は極めて安定である。本発明のポリマー組成物は、高温(70〜180℃)でも、大きな機械的ストレス下でも安定である。たとえば、固相から、半固相又は液相に転移して熱を吸収しても、少なくとも1個のPCMがポリマーに結合した状態を維持する。従って、本発明のポリマー組成物は、新規な組成物或いは新規な物質と言える。PCMの融点以上の温度でも、結晶水は、殆ど、分離しない。本発明の組成物は、蓄熱性が非常に優れている。本発明では、PCMを被覆層でカプセル封入する必要はなく、マトリックスのセルの中でマトリックス形状にされるか、或いは、中間体又はカップリング剤を介して結合して、材料の損失を防ぐ。本発明の組成物は、非常に安定していて、その内部構造にPCMが完全に結合しているので、蓄熱−放熱特性が、非常に優れている。さらに、本発明の組成物は安定した放熱特性を示すが、これは極めて特異的な性質である。さらに、本発明の組成物は、高温における変形のように、ポリマーの典型的な性質を維持している。これらの特異的な性質により、本発明の組成物は、最終製品及び中間製品としても適している。本発明の組成物は固体で、70〜180℃でもその形状を維持し、又はペースト状物質でもある。
【0015】
本発明の組成物は、広範な材料への添加剤として使用することができる。特に、本発明の組成物は、コンクリ−ト、ブロック、耐熱性建設シート及び資材、或いは編織布、及びプラスチックパイプのようなポリマー資材への添加剤として使用することができる。本発明の組成物は添加剤として使用されて、熱及びエネルギー貯蔵に関して新たな可能性を付与する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明で使用されるモノマーは、蓄熱性PCMに結合する官能基を有するビニル化合物、ポリオール又は多重アルカノール、スルフィド及びエポキシ化合物である。特に、本発明では、(メタ)アクリル酸及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、並びにそれらの塩が使用される。
【0017】
公知のPCMを使用することもできる。それは、有機又は無機塩の水和物で、特に、ソディウムアセテートトリハイドレート(酢酸ナトリウム・3水和物)である。塩の水和物を結合するために、たとえば、酸、又は中和された酸基を官能基として有しているモノマーを使用する。塩水和物が、これらの基を介して、直接ポリマーに結合する。実験の結果、1個の酸基が、一つのタイプの6個の塩水和物と結合するか、又は1個のモノマーが、一つのタイプの6個の塩水和物と、結晶格子を形成することが分かった。従って、結合は、塩の水和物とポリマーの中和された酸基との間の結合である。この結合は、イオン−双極子結合と考えられる。モノマーは、数個の異なるPCMに直接結合することもできる。この結果、本発明の組成物は、異なる相転移温度範囲、たとえば、20〜32℃、及び40〜60℃を有する。さらに、本発明の組成物をカプセル封入又は被覆して、表面を不活性にすることもできる。
【0018】
本発明の好ましい具体例は請求項2〜11に記載した。
【0019】
本発明は、さらに、蓄熱性PCMを有するポリマー組成物の製造方法に関する。周知の方法により、蓄熱性PCMを、ある種のポリマーに分散又は懸濁させ、次いで、架橋してゲル又はマトリックスを生成する。また、周知の方法により、PCMをカプセル封入又は被覆する。さらに、真空技術を利用して、発泡体のような多孔質材料を、PCMで充填することも周知技術である。また、PCMをモノマーと混合又は分散して、ポリマーマトリックスの中にPCMが分布又は分散されたポリマー組成物とする技術も周知である。これらの周知技術の欠点は、複雑で、時間がかかり、そのために高価という欠点がある。さらに、これらの従来技術で製造された組成物は不安定であり、さらに重要なことは、これらの従来技術で製造された組成物は、機械的ストレスの下、或いは100℃以上の高温に曝されると、分解することである。特に、これらの従来技術で製造された組成物は、反復使用したり、機械的ストレスの下では、その蓄熱性を失う。
【0020】
本発明は、溶融した蓄熱性PCMとモノマーの混合物を重合し、PCMを、生成されたポリマーに強固に結合させ、製造された組成物が高温(70−180℃)でも、機械的ストレスの下でも安定していて、優れた蓄熱−放熱特性を有する蓄熱性PCMを有するポリマー組成物を製造する方法に関する。
【0021】
さらに、本発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載した成分の混合物を、通常の方法で重合することを特徴とする蓄熱性PCMを有するポリマー組成物を製造する方法を提供する。
【0022】
本発明の製造方法の利点は、簡単且つ容易であり、蓄熱性PCMを含有する安定なポリマー組成物を、直接且つ迅速に、製造することができることである。
【0023】
本発明で使用可能なモノマー、ポリマー、及びPCMは、それ自体、周知化合物である。以下に、本発明におけるこれらの化合物の好ましい具体例を記載する。重合は、いわゆるラジカル連鎖及びステップ重合として周知の通常の方法で実施される。[Vazo]52(登録商標名)(2,2ーアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)のような熱分解性化合物を使用して、アクリルモノマーをラジカル連鎖重合により重合する。ステップ重合の例は、ポリオールとイソシアナートとの間の付加反応で、[Dabco]33−LV(登録商標)(エアー・プロダクツ)のような触媒で加促される。これら2つの製造方法の利点は、これらの重合は、通常の条件下で、且つ、多様な温度で実効可能なことである。
【0024】
添加剤として、及び無論液体又はペーストとして製造された本発明のポリマー組成物の利点は、簡単且つ容易に従来の方法に応用できる点である。たとえば、本発明のポリマー組成物を、ジイソノニルフタレートのような軟化剤又はポリオールの中で、現場で、重合できることである。同じように、[Terathane 1000](登録商標)を、従来のコーティング配合に簡単に添加できる。このようにして、本発明のポリマー組成物の利用可能性は、真空技術又はPCMのカプセル封入のように、複雑且つ経済的に実施不可能な技術で、阻害されることがない。
【0025】
PCMは、アクリルモノマーの混合物との溶融状態が好ましい。溶融状態のPCMではなく、PCMの溶液を使用した場合、高含量の水和水を含む塩の水和物が形成される。この理由は、高含量の水和水を含む塩の水和物の融点が、低含量の水和水を含む水和物の融点より低いからであり、高含量の水和水を含む塩の水和物は望ましくない。
【0026】
蓄熱性PCMを含むポリマー組成物を製造において、所望するならば、先ず、第1のモノマーとPCMの混合物を通常の方法で重合し、たとえばゲルを生成し、次いで、得た生成物を少なくとも第2のモノマー又はプレポリマーと混合し、その後、得た混合物を通常の方法で重合する。この方法を使用すると、PCMをポリマーに結合し、その後、PCMを含むポリマーを、第2ポリマーの混合物の中に吸収させる。この製造方法で重要なことは、混合物の中のPCMを晶出させることである。これは、混合物を冷却したり、或いは、たとえば種結晶を添加することにより可能である。
【0027】
最終生成物としてポリマー組成物を使用する場合、本発明の組成物が安定な物質であるということは有利なことである。
【0028】
本発明の組成物を製造するのに好ましい態様は、請求項13〜15に記載した。
【0029】
さらに、排他的権利は、本発明の組成物及び本発明の組成物を製造する方法が適用される生成物にもおよぶ。
【0030】
本発明の組成物が固体の場合、粉砕して製造された粒子又は粉体を添加剤として使用することができる。一方、本発明の組成物が柔らかな固体物質の場合、簡単に他の材料に適用することができる。
【0031】
本発明の組成物の好ましい応用例とその製造は、請求項16〜19に記載されている。
【0032】
本発明の組成物は、建設材料やポリマー材料以外に、湯たんぽ、食品保温皿、テディベアー、断熱材、又はエンジンの加熱装置、産業装置、医療用保温パック、靴底、手袋、不凍液、及び加熱システム、特に床暖房及び断熱材に使用することができる。応用範囲は、殆ど制限がない。
【0033】
以下、本発明を、実施例1〜6により詳細に説明する。なお、本発明は、実施例1〜6に限定されるものでない。
【0034】
(実施例1)
アクリル酸ナトリウム及び酢酸ナトリウム・3水和物に基づくポリマー組成物
【0035】
下記の組成物を、2Lの反応容器内で処理して、蓄熱相転移材料を製造した。
1.酢酸ナトリウム・3水和物:800g
2.70℃に加熱し、透明な液体にする。
3.200gのアクリル酸ナトリウムを段階的に添加する。
4.600RPMで攪拌しながら70℃に加熱して、均一な塊を得る。
5.(3gのVazo52及び6gのSilquestA−1100)を含有する開始剤溶液9gを添加する。
6.600RPMで、30秒間攪拌する。
7.反応混合物を、30秒間以内で、隔離した容器に注ぎ入れ、少なくとも8時間塊状重合を起こさせる。
【0036】
得た生成物は、相転移温度以上で、塩水和物がポリマーに結合しているペースト状物質である。相転移温度以下で、生成物は、硬くて、パリパリした物質である。
【0037】
(実施例2)
メタクリル酸及び酢酸ナトリウム・3水和物に基づくポリマー組成物
【0038】
下記の組成物を、2Lの反応容器内で処理して、Thermusolを製造した。
1.酢酸ナトリウム・3水和物:800g
2.70℃に加熱し、透明な液体にする。
3.200gのメタクリレートを段階的に添加する。
4.600RPMで攪拌しながら70℃に加熱して、均一な塊を得る。
5.(3gのVazo52及び6gのSilquestA−1100)を含有する開始剤溶液9gを添加する。
6.600RPMで、30秒間攪拌する。
7.反応混合物を、30秒間以内で、隔離した容器に注ぎ入れ、少なくとも8時間塊状重合を起こさせる。
【0039】
得た生成物は、相転移温度以上で、塩水和物がポリマーに結合している高粘稠のペースト状物質である。相転移温度以下で、生成物は、硬くて、もろい物質である。
【0040】
(実施例3)
アクリル酸及びLaromer8765(BASF)の2種類のモノマーと、酢酸ナトリウム・3水和物及び硫酸ナトリウム・10水和物の2種類の塩水和物に基づくポリマー組成物
【0041】
下記の組成物を、2Lの反応容器内で処理して、蓄熱相転移物質を製造した。
1.酢酸ナトリウム・3水和物:395.5g
2.70℃に加熱し、透明な液体にする。
3.395.5gの硫酸ナトリウム・10水和物を添加する。
4.70℃に加熱し、透明な液体にする。
5.モノマーブレンド200gを段階的に添加する。
6.600RPMで攪拌しながら70℃に加熱して、均一な塊を得る。
7.(3gのVazo52及び6gのSilquestA−1100)を含有する開始剤溶液9gを添加する。
8.600RPMで、30秒間攪拌する。
反応混合物を、30秒間以内で、隔離した容器に注ぎ入れ、少なくとも8時間塊状重合を起こさせる。
【0042】
2Lの反応容器内でのモノマーブレンドの製造
1.90%アクリル酸:437.5g
2.Laromer8765(BASF):438.2g
3.グリセロール:108g
4.50%のNaOH192gを段階的に添加する。
5.反応の間、600RPMで攪拌し、混合物を冷却する。
【0043】
実施例3の生成物の興味がある性質は、塩水和物の融点以上では、安定な固体物質という点である。さらに、実施例3の組成物は、20〜30℃、及び40〜60℃の2つの相転移温度を有していて、熱を蓄積する蓄熱帯を備えている。
【0044】
(実施例4)
アクリル酸及びLaromer8765(BASF)の2種類のモノマーと、酢酸ナトリウム・3水和物に基づき、シランでカプセル封入したポリマー組成物
【0045】
1.ラインオイル600gを70℃に加熱する。
2.下記の混合物を段階的に添加する。
a)316gの酢酸ナトリウム・3水和物、70℃
b)80gのモノマーブレンド、70℃
c)1.33gのVazo52及び2.7gのSilquestA−1100
3.600RPMで攪拌しながら70℃で60分間加熱する。
4.混合物を400RPMで攪拌しながら35℃に冷却する。
5.シランXL−33(Wacker)80gを添加する。
6.35℃で、400RPMで120分間攪拌する。
【0046】
2Lの反応容器内でのモノマーブレンドの製造
1.90%アクリル酸:437.5g
2.Laromer8765(BASF):438.2g
3.グリセロール:108g
4.50%のNaOH192gを段階的に添加する。
反応の間、600RPMで攪拌し、混合物を冷却する。
【0047】
実施例3の組成物の特殊な点、担体中に蓄熱材が分散された分散体であることである。この場合、実施例6に記載したように粉砕して、分散させる必要はない。蓄熱材の表面は、シランの官能基を変えることにより、改質することができる。
【0048】
(実施例5)
アクリル酸及びLaromer8765(BASF)の2種類のモノマーと、塩水和物としての硫酸ナトリウム・10水和物に基づくポリマー組成物
【0049】
下記の組成物を、2Lの反応容器内で処理して、蓄熱相転移物質を製造した。
1.硫酸ナトリウム・10水和物:800g
2.70℃に加熱し、透明な液体にする。
3.モノマーブレンド200gを段階的に添加する。
4.600RPMで攪拌しながら70℃に加熱して、均一な塊を得る。
5.(3gのVazo52及び6gのSilquestA−1100)を含有する開始剤溶液9gを添加する。
6.600RPMで30秒間攪拌する。
7.反応混合物を30秒間以内で、隔離した容器に注ぎ入れ、少なくとも8時間塊状重合を起こさせる。
【0050】
2Lの反応容器内でのモノマーブレンドの製造
1.90%アクリル酸:437.5g
2.Laromer8765(BASF):438.2g
3.グリセロール:108g
4.50%のNaOH192gを段階的に添加する。
5.反応の間、600RPMで攪拌し、混合物を冷却する。
【0051】
実施例5の生成物は、相転移温度(20〜35℃)以上及び以下で、安定な、固体化合物である。
【0052】
(実施例6)
アクリル酸及びLaromer8765(BASF)の2種類のモノマーと、塩水和物としての酢酸ナトリウム・3水和物に基づくポリマー組成物
【0053】
下記の組成物を、2Lの反応容器内で処理して、蓄熱相転移物質を製造した。
1.酢酸ナトリウム・3水和物:800g
2.70℃に加熱し、透明な液体にする。
3.モノマーブレンド200gを段階的に添加する。
4.600RPMで攪拌しながら70℃に加熱して、均一な塊を得る。
5.(3gのVazo52及び6gのSilquestA−1100)を含有する開始剤溶液9gを添加する。
6.600RPMで30秒間攪拌する。
7.反応混合物を30秒間以内で、隔離した容器に注ぎ入れ、少なくとも8時間塊状重合を起こさせる。
【0054】
2Lの反応容器内でのモノマーブレンドの製造
1.90%アクリル酸:437.5g
2.Laromer8765(BASF):438.2g
3.グリセロール:108g
4.50%のNaOH192gを段階的に添加する。
5.反応の間、600RPMで攪拌し、混合物を冷却する。
【0055】
実施例6で得た生成物の物性を表−1に示す。
【表1】

【0056】
蓄熱容量は、下記に記載する方法により測定した。サンプルを、図1に示したセンサ内に置き、その中に隔離した部屋で、サンプルの熱吸収量と、センサの放熱量を測定した。センサの開始温度は80℃で、アルミナ製で、その熱容量は910J/kg.Kで、質量は2.553kgである。下記の式を使用して蓄熱容量を算出した。
Q吸収=Q放熱
Qセンサ=Qサンプル
m×c×ΔT=(m×c×ΔT)
Cサンプル=((mセンサ×Cセンサ×ΔTセンサ))×1/(mサンプル×ΔTサンプル)
アルミニウムセンサは図1に示してある。
【0057】
PCM材料同士の比較を表−2に示す。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】アルミニウムセンサを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱相転移物質を含むポリマー組成物であって、少なくとも1個の蓄熱相転移物質に直接結合された少なくとも1個のモノマーに基づくことを特徴とする蓄熱相転移物質を含むポリマー組成物。
【請求項2】
熱吸収の間、少なくとも1個の相転移物質が結合されたままである請求項1に記載したポリマー組成物。
【請求項3】
ポリマー組成物が、少なくとも1種類の1個以上の相転移物質に直接結合された1個のモノマーに基づくことを特徴とする、請求項1又は2に記載したポリマー組成物。
【請求項4】
ポリマー組成物が種々のモノマーに基づき、そのモノマーの1つのタイプが、少なくとも1個の相転移物質に直接結合されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項5】
ポリマー組成物が種々のモノマーに基づき、そのモノマーの第1のタイプが、少なくとも1個の相転移物質に直接結合されたものであり、且つ、モノマーの他方のタイプが、同じ又は他の相転移物質に直接又は間接的に結合されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項6】
1個のモノマーが、相転移物質に結合された少なくとも1個の官能基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項7】
モノマーが、アクリレート、ポリオール、スルフィド、エポキシ、アミノ、イソシアナート化合物、又はそれらの塩であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項8】
相転移物質が、塩水和物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項9】
塩水和物が酢酸ナトリウム・3水和物であることを特徴とする請求項8に記載したポリマー組成物。
【請求項10】
モノマーが、酢酸ナトリウム・3水和物及び硫酸ナトリウム・10水和物に結合されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項11】
ポリマー組成物が、保護層で被覆されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載したポリマー組成物。
【請求項12】
蓄熱相転移物質を含むポリマー組成物を製造する方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載したポリマー組成物を含む成分の混合物を、蓄熱性PCMの存在下、通常の方法で重合することを特徴とする蓄熱相転移物質を含むポリマー組成物を製造する方法。
【請求項13】
重合を、無水の極性媒体中で実施することを特徴とする請求項12に記載したポリマー組成物を製造する方法。
【請求項14】
蓄熱相転移物質を溶融状態で使用することを特徴とする請求項12又は13に記載したポリマー組成物を製造する方法。
【請求項15】
重合工程の間、触媒、開始剤、界面活性剤、硬化剤、促進剤、種結晶、発泡剤、水、着色剤又は香料を、補助剤として又は添加剤として添加することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載したポリマー組成物を製造する方法。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載したポリマー組成物を使用することを特徴とする蓄熱製品。
【請求項17】
請求項12〜15のいずれか1項に記載した製造方法で製造したポリマー組成物を使用することを特徴とする蓄熱製品。
【請求項18】
ポリマー組成物を添加剤として使用することを特徴とする請求項16又は17に記載した蓄熱製品。
【請求項19】
1種以上の他の材料への添加剤としての請求項16又は17に記載した製品。

【図1】
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【公表番号】特表2009−511660(P2009−511660A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534474(P2008−534474)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000505
【国際公開番号】WO2007/040395
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508104134)キャプゾ インターナショナル ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】Capzo International B.V.
【住所又は居所原語表記】De Mors 112, 7631 AK OOTMARSUM, The Netherlands
【Fターム(参考)】