説明

蓄電システム

【課題】商用電力により蓄電池を充電し、蓄電池の電力を商用電源系統に系統連系する構成において、蓄電池に充電する電力量を適正化する。
【解決手段】組電池4へ充電を行う充電モードとこの組電池4から放電を行う放電モードとを制御すると共に充電モード及び放電モードを夫々予め定めた時刻の間で行うように制御する制御装置30を備えた蓄電システム1は、組電池4に充電されている電力量を判断する残存電力量判断部31と、放電モードを行う時刻の間で組電池4から放電された電力量を判断する放電電力量判断部32とを設け、制御装置30には放電電力量判断部32の判断した過去の電力量から次の時刻の間における電力量を推定し当該推定値が残存電力量判断部31の判断する組電池4に充電されている電力量の値を下回った際に充電モードを行わない補正制御部33を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能に構成された組電池を有する蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電力系統に接続された蓄電池を備え、夜間に、系統からの商用電力によって蓄電池を充電し、昼間に蓄電池を放電させて昼間の電力を賄うシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、上記のような蓄電池を用いたシステムでは、毎日、蓄電池を定格容量(満充電)まで充電する。
【0005】
ところで、昼間の電力需要は季節ごと、或いはその他の各種の理由によって大きく変動し、蓄電池の容量は需要が大きい時期を基準として定められることが多く、実際に毎日満充電する必要性があるとは考えにくく、必要以上の電力量を蓄電池に蓄えている可能性があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、系統から蓄電池を充電し、蓄電池の電力を負荷へ供給する構成において、蓄電池に充電する電力量を適正化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の電池モジュールを組み合わせて構成し充放電を可能に成した組電池と、この組電池へ充電を行う充電モードとこの組電池から放電を行う放電モードとを夫々予め定められた時刻の間で行うように制御する制御装置とを備えた蓄電システムにおいて、前記組電池に充電されている電流量/電力量を検出する残存電力量判断部と、前記放電モードを行う時刻の間で前記組電池から放電された電流量/電力量を検出する放電電力判断部とを設け、前記制御装置は前記放電電力判断部の検出した過去の電流量/電力量に基づき次の充電モードを行う時刻の間における電流量/電力量を推定し、当該推定値が前記残存電力量判断部の検出する前記組電池に充電されている電流量/電力量を下回った際に前記次の充電モードを行う時刻の間で前記充電モードを実行しない補正制御部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記充電モードと前記放電モードとを交互に行うように設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記充電モードが行われる時刻は少なくとも深夜電力が供給される時間帯にかかることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記補正制御部は、前記推定値に前記組電池に充電される電流量及び/又は電力量の最低残存量を加算した後前記組電池に充電されている電流量及び/又は電力量の値との比較を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記補正制御部は、前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に充電されている電流量及び/又は電力量の値が前記組電池の満充電時の値の半分以上である際に前記充電モードを行わない制御を実行することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記放電電力量判断部は、前記放電モードの開始時に前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に残存する値と前記放電モードの終了時に前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に残存する値とに基づいて、放電された電流量及び/又は電力量を求め、前記推定値は過去に前記放電電力量判断部が判断した電流量及び/又は電力量の値の平均値とその標準偏差とに基づいて求めることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記蓄電システムにおいて、前記蓄電システムは、少なくとも系統から前記組電池へ充電するための充電回路と、前記組電池に充電された電力を交流負荷に対応する周波数の交流電流に変換して供給する変換回路及び/又は前記組電池に充電された電力を直流負荷に対応する電圧に変換して供給する変換回路とを備え、充電モードと放電モードとを繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力需要に合わせて蓄電池に充電する電力量を決めることで、充電する電力量の適正化できる。また、蓄電池の充放電の回数を抑えることで、蓄電池の寿命を延ばす効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る蓄電システムの構成を示す図である。
【図2】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】充電動作の具体例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した実施形態に係る蓄電システム1の構成を示す図である。
【0018】
この図1に示す蓄電システム1は、電力会社から供給される商用電力系統11と、この商用電力系統11から充電される組電池4を備えた蓄電ユニット3と、を備えて構成されている。
【0019】
商用電力系統11は、図示しない電流制限ブレーカ、逆潮流防止装置等を内蔵した分電盤12を介して、蓄電ユニット3、及び、交流電力で動作するAC負荷13に接続され、蓄電ユニット3とAC負荷13に対して、交流電力を供給する。AC負荷13は、例えば、照明装置、空調装置、オフィス機器、各種家庭用電化製品等である。
【0020】
蓄電ユニット3は、組電池4と、組電池4を充電する充電器34とを備え、充電器34は、整流回路35を介して商用電力系統11に接続されている。整流回路35は商用電力系統11の交流電流を直流電流に変換して充電器34に供給し、この直流電流に基づいて、充電器34は組電池4に充電する。この充電器34と整流回路35は、組電池4の充電回路を構成する。
【0021】
組電池4は、直列及び/又は並列に相互接続された複数の電池モジュール41と、電池モジュール41の温度や電圧や組電池4の電流を監視するコントローラ42とを内蔵する。電池モジュール41は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等の二次電池モジュールであり、本実施形態ではリチウムイオン二次電池モジュールを用いた場合について説明する。
【0022】
コントローラ42は、電池モジュール41の温度を検出し、この検出した温度が所定値を上回った場合の充電・放電の停止、直列に接続された複数の電池モジュール41の両端電圧を検出し、検出した電圧値や電流値に基づくRSOC(残容量比率)の算出、これらの測定値やRSOCのデータ等を組電池4に接続される外部制御部への出力等を行う。
【0023】
組電池4にはDC/ACコンバーター36が接続され、組電池4が放電した直流電力はDC/ACコンバーター36により交流に変換され、AC負荷16へ出力される。また、組電池4には、DC/DCコンバーター37が接続され、このDC/DCコンバーター37を介して、組電池4からの直流電力は所定の電圧の直流電力に変換されてDC負荷14に供給される。DC負荷14としては、直流電力で動作する直流家電などがある。
【0024】
一方、蓄電ユニット3は、組電池4の充放電を制御する制御装置30を備えている。蓄電ユニット3は、夜間に系統の電力から組電池4を充電する充電モードと、AC負荷13及びDC負荷14の電力需要が増す時間帯を中心に放電する放電モードと、を切り替えて実行する。制御装置30には、比較的電力需要の少ない時間帯(例えば、午後11時〜午前7時、または、午後10時〜午前8時)、などにこの充電モードが設定されている。また、充電モードを実行する時間帯以外(例えば、午前7時〜午後11時、または、午前8時〜午後10時)に放電モードを実行するよう設定されている。
【0025】
制御装置30は、組電池4の蓄電電荷(又は蓄電電力量)の残容量を求める残存電力量判断部31、充電モードを終了する際に残存電力量判断部31が求めた組電池4の残容量と、その次に充電モードを開始した際残存電力量判断部31が求めた組電池4の残容量とをもとに、組電池4から放電された電力量または電流量を求める放電電力量判断部32、放電電力量判断部32が求めた電力量または電流量に基づいて、組電池4の充電動作を制御する補正制御部33、及び、残存電力量判断部31が求めた組電池4の残容量や放電電力量判断部32が求めた放電電力量または放電電流量を記憶する記憶部30aを備えて構成される。また、制御装置30は時計を備え、残存電力量判断部31、放電電力量判断部32及び補正制御部33は現在時刻を取得可能である。
【0026】
放電電力量判断部32は組電池4から放電された電力量及び/または電流量を求め、補正制御部33は放電電力量判断部32が求めた電力量または電流量に基づいて組電池4の充電動作を制御するものであるが、以下に説明する本実施形態では、組電池4が放電した電力量に関する動作を行うものとして説明する。組電池4が放電した電流量に基づく動作を行うことも、勿論可能である。
【0027】
残存電力量判断部31は、充電モードの開始時刻またはその前後と、充電モードの終了時刻またはその前後、或いは充電完了時に、組電池4のコントローラ42が出力するRSOCデータを取得して、組電池4の残容量を検出・判断する。残存電力量判断部31は、組電池4の残容量を、検出時刻とともに記憶部30aに記憶させる。
【0028】
放電電力量判断部32は、残存電力量判断部31が検出して記憶部30aに記憶された組電池4の残容量を取得し、充電モードの終了時に検出された残容量と、その日の夜の充電モード開始時に検出された残容量との差を求めることで、放電された電力量を求める。
ここで求められるのは一日の放電モードにおける放電電力量であり、放電電力量判断部32は、求めた放電電力量をその日付に対応付けて記憶部30aに記憶させる。記憶部30aは、少なくとも一週間(7日間)分以上の放電電力量を日ごとに記憶可能である。
【0029】
また、補正制御部33は、記憶部30aに記憶された最近数日間の放電電力量に基づく演算処理を行い、翌日の放電電力量を推定して、推定値を求める。具体的には、最近7日間の放電電力量の平均値と、標準偏差とを求め、この平均値と標準偏差の和を推定値とする。この推定値は放電電力量の平均値に変動幅に相当する標準偏差を加えているため、推定値が実際の放電電力量を大幅に下回るリスクを低減できる。
【0030】
そして、補正制御部33は、翌日の放電電力量の推定値と組電池4の残容量とを比較し、組電池4の残容量が推定値を上回る場合は、その日の充電モードの実行時間帯に充電を行わない制御をする。より詳細には、補正制御部33は、翌日の放電電力量の推定値に、組電池4の最低残存量を加算した値を、組電池4の残容量と比較して、組電池4の残容量の方が多い場合は充電を行わないものとする。
【0031】
組電池4の最低残存量とは、電池モジュール41に常に残しておくべき残容量として設定された残容量である。電池モジュール41に用いられる二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)は、放電深度が深いほど充放電サイクルに伴う劣化が進行する。このため、蓄電システム1では、充電モードと放電モードとを交互に実行する間の放電深度が深くなりすぎないよう、予め最低残存量が設定され、補正制御部33は組電池4の残容量が設定された最低残存量を下回らないように充電動作を制御する。これにより、電池モジュール41の劣化を効果的に遅らせて、長寿命化を図ることができる。
【0032】
図2は、制御装置30の動作を示すフローチャートである。
【0033】
この図2に示す動作は、充電モードの開始時刻(充電開始時刻)またはその前に開始される。なお、以下の説明では、組電池4の容量を記号Cで表し、残存電力量判断部31が求める充電開始時刻の組電池4の残容量を記号CRで表し、残存電力量判断部31が求める充電終了時刻の組電池4の残容量を記号CSで表し、放電電力量判断部32が求める一日の放電モードの使用電力量を記号PEで表し、補正制御部33が複数の日の使用電力量PEから求める平均使用電力量を記号PEAで表し、その標準偏差を記号σで表す。
【0034】
図2に示す動作において、制御装置30の残存電力量判断部31は、充電開始時刻(例えば午後11時)に組電池4の残容量CRを求め、記憶部30aに記憶させる(ステップS1)。続いて、放電電力量判断部32は、残存電力量判断部31が検出して記憶部30aに記憶された充電開始時刻の残容量CRと、その日の充電終了時刻(例えば、午前7時)に残存電力量判断部31が検出して記憶部30aに記憶された組電池4の残容量CSとをもとに、その日の放電モードにおける使用電力量PEを算出し、日付に対応付けて記憶部30aに記憶させる(ステップS2)。
【0035】
次に、制御装置30の補正制御部33は、記憶部30aに使用電力量PEのデータが7日分以上記憶されているか否かを判別する(ステップS3)。ここで、記憶されている使用電力量PEが7日分に満たない、或いは使用電力量PEが記憶されていない場合(ステップS3;No)、補正制御部33は充電器34を制御して、組電池4を満充電になるまで充電する(ステップS4)。充電モードの終了時刻、または実際に充電が終了した時点で、残存電力量判断部31が組電池4の残容量CSを求め、この残容量CSが記憶部30aに記憶され(ステップS5)、蓄電システム1は図2の動作を終了して放電モードに移行する。
【0036】
一方、記憶部30aに最近7日分以上の使用電力量PEが記憶されている場合には(ステップS3;Yes)、7日分の使用電力量PEの平均値である平均使用電力量PEAを算出し(ステップS6)、さらに、算出した平均使用電力量PEAと7日間の各日の使用電力量PEとをもとに、7日間の使用電力量PEの標準偏差σを算出し(ステップS7)、補正制御部33は、記憶部30aに使用電力量PEの学習データがあることを示すフラグを記憶させる(ステップS8)。
【0037】
続いて、補正制御部33は、平均使用電力量PEAが、組電池4の容量Cの半分以上であるか否かを判別する(ステップS9)。平均使用電力量PEAが、組電池4の容量Cの半分以上である場合(ステップS9;Yes)、充電開始時刻における組電池4の残容量CRは組電池4の満充電の容量Cの半分以下しかなく、組電池4を充電しなければ翌日の放電モードで電力が不足する懸念がある。このため、補正制御部33は、ステップS4に移行して組電池4を満充電となるまで充電する。
【0038】
また、平均使用電力量PEAが、組電池4の容量Cの半分未満の場合(ステップS9;No)、組電池4を満充電にすると半分未満の電力しか使用されない可能性がある。この場合、補正制御部33は、平均使用電力量PEAに標準偏差σを加えた値が、容量Cの半分以上であるか否かを判別する(ステップS10)。平均使用電力量PEA+標準偏差σは、平均値に標準偏差を加えた値であり、翌日の放電モード中における使用電力の推定値に相当する。この推定値は、実際の使用電力量に対して低すぎる値にならないように、標準偏差σを加えて日々の使用電力の変動分をも加味した値にされている。
【0039】
この平均使用電力量PEA+標準偏差σの値が容量Cの半分未満である場合(ステップS10;No)、組電池4に充電する電力を抑えられる可能性がある。この場合、補正制御部33は、平均使用電力量PEAに、標準偏差σと、組電池4の最低残存量αとを加算した値が、充電開始時刻の残容量CR以下であるか否かを判別する(ステップS11)。補正制御部33は、組電池4の放電深度が深くなりすぎないように最低残存量αを加えて比較を行う。ここで、平均使用電力量PEA+標準偏差σ+最低残存量αの和が残容量CR以下の場合は(ステップS11;Yes)、翌日の使用電力量の推定値に対して組電池4の残容量CRが十分あるので、補正制御部33は組電池4の充電を行わないことにして(ステップS12)、充電器34を制御する。その後、制御装置30はステップS5に移行して残容量CSを検出して記憶部30aに記憶し、放電モードに移行する。
【0040】
なお、補正制御部33は、ステップS11において、残容量CRと、平均使用電力量PEA+標準偏差σ+最低残存量αの和とを比較するのではなく、単に残容量CRが容量Cの半分以上であるか否かを判別してもよい。この場合、残容量CRは明らかに翌日の使用電力量の推定値より多いので、ステップS12に移行して、組電池4の充電を行わない制御を行える。
【0041】
また、平均使用電力量PEA+標準偏差σ+最低残存量αの和が残容量CRを超える場合は(ステップS11;No)、組電池4の残容量CRが翌日の使用電力量の推定値に対して不足するので、補正制御部33はステップS4に移行して、組電池4を満充電になるまで充電する。
【0042】
一方、平均使用電力量PEAが組電池4の容量Cの半分未満であり(ステップS9;No)、かつ、平均使用電力量PEA+標準偏差σの値が容量Cの半分以上である場合(ステップS10;Yes)、残容量CRは翌日の使用電力量の推定値に対して不足しており、その不足分は標準偏差σの2倍より小さい。当日の放電モードにおける使用電力量は平均使用電力量PEAから標準偏差σ分だけ変動した可能性があるため、電力不足にならないよう考えて、残容量CRは平均使用電力量PEA+標準偏差σ分だけ減少した量として計算することが望ましい。そして、翌日の放電モードの使用電力量の推定値は平均使用電力量PEA+標準偏差σであるから、組電池4の残容量CRを翌日の放電モードの使用電力量の推定値より大きくするためには、組電池4に標準偏差σの2倍に相当する電力を充電すればよい。このため、補正制御部33は、標準偏差σの2倍に相当する分の電力量を組電池4に充電し(ステップS13)、ステップS5に移行する。
【0043】
図3は、蓄電システム1が補正制御部33の制御により実行する充電動作の具体例を模式的に示す図である。この図3では、組電池4の残容量CR、CS、平均使用電力量PEA、標準偏差σを、それぞれ異なるハッチングを付した長方形の面積で表している。
【0044】
平均使用電力量PEAが組電池4の容量C全体の半分以上である場合、翌日の放電モードの使用電力量の推定値も、容量Cの半分以上となる。このため、図3(A)に示すように、充電開始時刻の残容量CRは翌日の使用電力量に比べて明らかに不足するので、補正制御部33はステップS4で組電池4を満充電まで充電する。
【0045】
また、平均使用電力量PEAと標準偏差σの和が容量Cの半分未満であり、これに最低残存量αを加えた値よりも残容量CRが多い場合、残容量CRは翌日の放電モードの使用電力量の推定値より明らかに大きい。この場合、図3(B)に示すように、補正制御部33はステップS12で組電池4を充電しないまま放電モードに移行する。
【0046】
さらに、平均使用電力量PEAが組電池4の容量Cの半分未満であり、かつ、平均使用電力量PEA+標準偏差σの値が容量Cの半分以上である場合、図3(C)に示すように、残容量CRは翌日の使用電力量の推定値に対して不足しているが、その不足分は標準偏差σの2倍より小さい。この場合、図3(C)に示すように標準偏差σの2倍に相当する電力を充電すれば、残容量CSは翌日の放電モードの使用電力量の推定値より大きくなる。このため、補正制御部33は、ステップS13で標準偏差σの2倍に相当する分の電力量を組電池4に充電する。
【0047】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係る蓄電システム1によれば、複数の電池モジュール41を組み合わせ充放電可能に構成した組電池4と、この組電池4へ充電を行う充電モードとこの組電池4から放電を行う放電モードとを制御すると共に充電モード及び放電モードを夫々予め定めた時刻の間で行うように制御する制御装置30とを備えた蓄電システム1において、組電池4に充電されている電力量を判断する残存電力量判断部31と、放電モードを行う時刻の間で組電池4から放電された電力量を判断する放電電力量判断部32とを設け、制御装置30には放電電力量判断部32の判断した過去の電力量から次の時刻の間における電力量を推定し当該推定値が残存電力量判断部31の判断する組電池4に充電されている電力量の値を下回った際に充電モードを行わない補正制御部33を設けたので、残存電力量判断部31により求めた組電池4の残容量CRに基づいて、放電電力量判断部32が次の日の放電モードで放電される電力量を推定し、補正制御部33は、推定値が組電池4の残存電力量を下回った場合に、補正制御部33は充電モードを行う時間帯であっても充電を行わないよう制御するので、放電モードの電力需要に合わせて蓄電池に充電する電力量を抑えることで、充電する電力量を適正化できる。そして、組電池4の充電回数を減らすことができ、組電池4と、組電池4に充電するための充電回路を構成する充電器34及び整流回路35の長寿命化を図ることができる。
【0048】
また、蓄電システム1は、充電モードと放電モードとは交互に行うように設定されているので、充電モードにおいて次の放電モードで放電する電力量を推定することで、充電する電力量を効率よく適正化できる。
【0049】
さらにまた、補正制御部33は、翌日の放電モードの使用電力量の推定値に組電池4の最低残存量αを加算して、組電池4に充電されている残容量CRとの比較を行うので、最低残存量αを確保することを前提にして充電の要否が判断される。これにより、組電池4の劣化を遅らせて長寿命化を図ることができる。
【0050】
また、補正制御部33は、残存電力量判断部31が判断する組電池4の残容量CRが組電池4の満充電時の容量Cの半分以上である際に充電モードを行わない制御を実行することもでき、この場合、軽負荷の演算を行うだけで充電の要否を速やかに判断できる。
【0051】
また、放電電力量判断部32は、放電モードの開始時すなわち充電終了時に残存電力量判断部31が求めた残容量CSと放電モードの終了時すなわち充電モードの開始時に残存電力量判断部31が求めた残容量CRとに基づいて、その日の放電モードで放電された使用電力量PEを求め、過去数日間(例えば、7日間)に放電電力量判断部32が判断した使用電力量PEの平均値である平均使用電力量PEAとその標準偏差σとに基づいて、翌日の放電モードにおける使用電力量の推定値を求めるので、放電モードを行う昼間時間帯の使用電力を、季節差等による変動を反映させて、正確に、かつ速やかに求めることができる。これにより、翌日の放電モードにおける使用電力量を、充電することなく賄うことができるか否かを正確に判別でき、放電モードで組電池4の電力不足を起こすことなく、かつ、効率よく、組電池4への充電量及び充電回数を抑えることができる。
【0052】
また、蓄電システム1は、少なくとも系統から組電池4へ充電するための充電器34及び整流回路35からなる充電回路と、組電池4に充電された電力をAC負荷13に対応する周波数に変換して供給するDC/ACコンバーター36と、組電池4に充電された電力をDC負荷14に対応する電圧に変換して供給するDC/DCコンバーター37とを備え、充電モードと放電モードとを繰り返すので、電力需要が低下する時間帯に組電池4に充電し、この充電した電力により、昼間等の電力需要が旺盛な時間帯に電力を供給することで、電力消費のピークカットを行うことができる。
【0053】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、上記実施形態は具体的な適用例を示したもので、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、組電池4の残容量CR及び残容量CSから、放電モードの使用電力量PEを求め、使用電力量PEに基づいて翌日の使用電力量の推定値を求める例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、放電モードの使用電流量を求め、これをもとに使用電流量に基づいて翌日の使用電流量の推定値を求める構成としてもよい。また、上記実施形態では蓄電ユニット3が備える制御装置30により、組電池4の残容量CR及び残容量CSを求め、放電モードの使用電力量PEを求め、使用電力量PEに基づいて翌日の使用電力量の推定値を求めて、組電池4の充電の要否を判断して充電動作を制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蓄電ユニット3とは別に蓄電システム1に設けた制御装置によって上記の各種処理を実行してもよく、通信回線を介して蓄電システム1に接続された遠隔制御装置によって上記の各種処理を実行してもよい。さらに、蓄電システム1が設けられた商用電力系統11に、太陽光発電装置やガスエンジンによる発電装置等の発電装置を接続した構成とすることも可能であり、その他の蓄電システム1の細部構成等についても任意に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 蓄電システム
3 蓄電ユニット
4 組電池
5 ヒートポンプ給湯装置
11 商用電力系統
13 AC負荷
14 DC負荷
30 制御装置
31 残存電力量判断部
32 放電電力量判断部
33 補正制御部
34 充電器(充電回路)
35 整流回路(充電回路)
36 DC/ACコンバーター(変換回路)
37 DC/DCコンバーター(変換回路)
41 電池モジュール
42 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールを組み合わせて構成し充放電を可能に成した組電池と、
この組電池へ充電を行う充電モードとこの組電池から放電を行う放電モードとを夫々予め定められた時刻の間で行うように制御する制御装置とを備えた蓄電システムにおいて、
前記組電池に充電されている電流量/電力量を検出する残存電力量判断部と、
前記放電モードを行う時刻の間で前記組電池から放電された電流量/電力量を検出する放電電力判断部とを設け、
前記制御装置は前記放電電力判断部の検出した過去の電流量/電力量に基づき次の充電モードを行う時刻の間における電流量/電力量を推定し、当該推定値が前記残存電力量判断部の検出する前記組電池に充電されている電流量/電力量を下回った際に前記次の充電モードを行う時刻の間で前記充電モードを実行しない補正制御部を設けたことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記充電モードと前記放電モードとを交互に行うように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記充電モードが行われる時刻は少なくとも夜間電力が供給される時間帯にかかることを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記補正制御部は、前記推定値に前記組電池に充電される電流量/電力量の最低残存量を加算した後前記組電池に充電されている電流量/電力量の値との比較を行うことを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記補正制御部は、前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に充電されている電流量/電力量の値が前記組電池の満充電時の値の半分以上である際に前記充電モードを行わない制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記放電電力量判断部は、前記放電モードの開始時に前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に残存する値と前記放電モードの終了時に前記残存電力量判断部が判断する前記組電池に残存する値とに基づいて、放電された電流量及び/又は電力量を求め、前記推定値は過去に前記放電電力量判断部が判断した電流量及び/又は電力量の値の平均値とその標準偏差とに基づいて求めることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記蓄電システムは、少なくとも系統から前記組電池へ充電するための充電回路と、前記組電池に充電された電力を交流負荷に対応する周波数の交流電流に変換して供給する変換回路/前記組電池に充電された電力を直流負荷に対応する電圧に変換して供給する変換回路とを備え、充電モードと放電モードとを繰り返すことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の蓄電システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−200102(P2011−200102A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243652(P2010−243652)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】