説明

蓄電デバイスおよび蓄電モジュール

【課題】高い安全性を有する蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】本発明に係る蓄電デバイス100は、正極、負極、および電解液が収容された外装体12を有する蓄電セル10と、蓄電セル10を挟持するセルケース30と、を含み、外装体12は、本体部13と、本体部13の周囲に設けられた外周部14と、を有し、外周部14は、セルケース30によって挟持された第1部分15と、外装体12内のガスを放出させる安全弁となる第2部分16と、を有し、セルケース30は、第2部分16から放出されたガスを排出するための排出流路32を有し、排出流路32は、外周部14に沿って延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスおよび蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
正極および負極を備えた電極積層体を、電解液とともに外装体の内部に収容して密閉した構造の密閉型蓄電セルが知られている。
【0003】
このような密閉型蓄電セルの使用時に規格範囲外の電圧が印加されると、電解液溶媒が、正極ないし負極の活物質と反応し、その結果、密閉空間内でガスが発生することがある。また、密閉型蓄電セルが規格範囲外の高温条件で使用される場合にも、電解質塩の分解等に起因してガスが発生することがある。
【0004】
このようにして発生したガスを放出して外装体の破裂を防止するために、外装体に安全弁を設ける技術が知られている。例えば特許文献1には、組電池と、組電池を覆う上部カバーと、の間に、ガスを排出するための部材を設け、この部材に上部カバーを被せて形成した流路を通して、ガスを単電池の積層方向に排出する技術が開示されている。また、特許文献2では、電池セルを収納するセルケースの側面に設けたガス放出口に、放出用通路を組み付けることで、ガスを電池セルの積層方向に排出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−151025号公報
【特許文献2】特開2006−236605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のガスを排出するための流路は、容積が大きいことが望ましい。流路の容積が小さいと、流路内においてガスの圧力が上昇し、ガスが激しく放出されることがある。特に、外装体から放出されるガスは高温であるため、高い安全性を有する蓄電デバイスが要求されている。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、高い安全性を有する蓄電デバイスを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記蓄電デバイスを有する蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
正極、負極、および電解液が収容された外装体を有する蓄電セルと、
前記蓄電セルを挟持するセルケースと、
を含み、
前記外装体は、本体部と、前記本体部の周囲に設けられた外周部と、を有し、
前記外周部は、
前記セルケースによって挟持された第1部分と、
前記外装体内のガスを放出させる安全弁となる第2部分と、
を有し、
前記セルケースは、前記第2部分から放出されたガスを排出するための排出流路を有し、
前記排出流路は、前記外周部に沿って延在している。
【0010】
[適用例2]
適用例1において、
前記外装体は、長辺と短辺とを備えた平面形状を有し、
前記排出流路は、前記長辺に沿って延在していてもよい。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2において、
前記セルケースは、基体と蓋体とを有し、
前記基体は、前記第1部分を載置する載置部を有し、
前記蓋体は、
前記本体部を覆う被覆部と、
前記被覆部の周囲に形成され、前記基体側に突出した突出部と、
を有し、
前記第1部分は、前記載置部と前記突出部とによって挟持されていてもよい。
【0012】
[適用例4]
適用例3において、
前記載置部には、前記第2部分に沿って凹部が形成されていてもよい。
【0013】
[適用例5]
適用例4において、
前記基体は、前記載置部の周囲に設けられた側壁部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体の外周に設けられた屈曲部を有し、
前記側壁部および前記屈曲部は、前記排出流路を形成し、
前記側壁部には、前記凹部と前記排出流路と連通する連通部が形成されていてもよい。
【0014】
[適用例6]
適用例3ないし5のいずれか1例において、
前記載置部には、開口部が形成され、
前記本体部は、前記開口部に配置されていてもよい。
【0015】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか1例において、
前記排出流路内には、前記第2部分から放出された電解液を吸収する吸液体が設けられていてもよい。
【0016】
[適用例8]
適用例1ないし7のいずれか1例において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタであってもよい。
【0017】
[適用例9]
適用例1ないし8のいずれか1例に記載の蓄電デバイスは、複数積層され、
複数の前記蓄電デバイスは、電気的に接続されていてもよい。
【0018】
[適用例10]
適用例9において、
前記蓄電セルは、
前記正極に電気的に接続された正極端子と、
前記負極に電気的に接続された負極端子と、を有し、
前記基体には、前記正極端子および前記負極端子を囲む絶縁性のカバー部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る蓄電デバイスによれば、外装体の外周部に沿って、排出流路の全長を長くすることができる。これにより、本発明に係る蓄電デバイスでは、例えば蓄電セルの厚み方向に沿う排出流路を設けた形態に比べて、容易に排出流路の容量を大きくすることができる。したがって、排出流路内のガスの圧力が高くなることを抑制できる。さらに、高温(例えば300℃程度)のガスを、効率よく冷却することができる。よって、本発明に係る蓄電デバイスは、高い安全性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す分解斜視図。
【図2】本実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図。
【図3】本実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す断面斜視図。
【図5】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓄電セルを模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る蓄電デバイスの基体を模式的に示す斜視図。
【図7】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す図。
【図8】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態に係る蓄電デバイスの蓋体を模式的に示す断面図。
【図13】本実施形態の変形例に係る蓄電デバイスを模式的に示す断面斜視図。
【図14】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す分解斜視図。
【図15】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す図。
【図16】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す斜視図。
【図17】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
1. 蓄電デバイス
まず、本実施形態に係る蓄電デバイスについて、図面を参照しなら説明する。図1は、本実施形態に係る蓄電デバイス100を模式的に示す分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る蓄電デバイス100を模式的に示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る蓄電デバイス100を模式的に示す図2のIII−III線断面図(例えばYZ平面の断面図)である。図4は、本実施形態に係る蓄電デバイス100を模式的に示す斜視図であって、図2のIV−IV線断面図を含んで示している。
【0023】
蓄電デバイス100は、図1〜図4に示すように、蓄電セル10と、セルケース30と、を含む。
【0024】
1.1. 蓄電セルについて
蓄電セル10の形態としては、リチウムイオンキャパシタ、二次電池、電気二重層キャパシタなどを例示することができる。蓄電セル10は、図1に示すように、外装体12と、正極端子20と、負極端子22と、を有することができる。
【0025】
外装体12は、正極、負極、および電解液を収容している。外装体12の形状は、正極、負極、および電解液を収容することができれば特に限定されないが、例えば、2枚のラミネートフィルムを張り合わせたラミネート型である。なお、図3および図4では、便宜上、外装体12内に収容される正極や負極等を省略して図示している。
【0026】
ラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔を、ポリプロピレンやナイロンなどの合成樹脂で挟んだものを用いることができる。このようなフィルム状の外装体12を用いることにより、例えば、金属等からなる硬質の外装体(金属缶等)を用いる場合に比べて、蓄電セル10の小型化や軽量化を図ることができる。
【0027】
外装体12は、図1に示すように、本体部13と、本体部13の周囲に設けられた外周部14と、を有する。本体部13には、正極および負極等からなる電極積層体が収容されている。本体部13の厚み(Z軸方向の長さ)は、例えば、外周部14の厚みよりも大きく、例えば、1mm以上10mm以下である。外装体12は、2枚のラミネートフィルムを、外周部14において熱圧着して形成されていてもよい。外装体12は、平面視において(Z軸方向から見て)長方形の形状を有し、長辺17と短辺18とを備えることができる。
【0028】
外周部14は、セルケース30によって挟持される第1部分15と、安全弁となる第2部分16と、を有する。第1部分15は、端子20,22を挟む端子挟持部15aを有することができる。端子挟持部15aは、第1部分15の他の部分(端子挟持部15a以外の第1部分15)に対して、端子20,22の厚み分、Z軸方向に変位していてもよい。図示の例では、端子挟持部15aは、外周部14の短辺18に沿う部分に設けられている。
【0029】
第2部分16は、例えば、外周部14の長辺17に沿う部分に設けられている。図示の例では、第2部分16は、外周部14の長辺17に沿う部分の中央に設けられている。第2部分16は、例えば、2枚のラミネートフィルムの密着性が第1部分15より低い部分である。そのため、第2部分16は、正極、負極、および電解液が収容された密閉空間の圧力が所定値に達すると、第1部分15に先立って優先的に剥離する。これにより、蓄電セル10は、仮に外装体12内にガスが発生しても、そのガスを第2部分16から放出させることで圧力開放を行うことができる。その結果、外装体12が破裂することを防止できる。
【0030】
正極端子20および負極端子22は、外装体12から延出して設けられている。より具体的には、正極端子20および負極端子22は、外装体12の密閉性を保持した状態で、本体部13から外周部14を通って外装体12の外にまで延出している。正極端子20および負極端子22は、互いに反対方向に延出している。端子20,22の一部は、蓋体70から露出している。
【0031】
正極端子20の形状は、特に限定されないが、図示の例では、正極端子20は、外装体12の外周部14よりも上方(+Z方向)に位置する接続部20aを有する。例えば蓄電デバイス100が積層された場合に(図14参照)、正極端子20は、接続部20aによって、上隣りの蓄電デバイス100の負極端子22と、容易に接続されることができる。接続部20aには、例えば、貫通孔24が設けられている。貫通孔24と座金26の貫通孔27とを連通するように配置させ、貫通孔24,27にネジ28を貫通させることにより、正極端子20を、基体40の端子固定部46(図3参照)に固定することができる。蓄電デバイス100が積層された場合は、正極端子20は、上隣りの蓄電デバイス100の負極端子22と接続した状態で、座金26およびネジ28により、端子固定部46に固定されてもよい。
【0032】
負極端子22の形状は、特に限定されないが、図示の例では、負極端子22は、外装体12の外周部14よりも下方(−Z方向)に位置する接続部22aを有する。例えば蓄電デバイス100が積層された場合に(図14参照)、負極端子22は、接続部22aによって、下隣りの蓄電デバイス100の正極端子20と、容易に接続されることができる。蓄電デバイス100が積層された場合は、負極端子22は、下隣りの蓄電デバイス100の正極端子20と接続した状態で、座金およびネジにより、下隣りの蓄電デバイス100の端子固定部46(図3参照)に固定されてもよい。
【0033】
正極端子20は、外装体12内の正極と電気的に接続されている。負極端子22は、外装体12内の負極と電気的に接続されている。正極端子20の材質としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。負極端子22の材質としては、例えば、銅、ニッケルが挙げられる。
【0034】
なお、図示の例では、外装体12から+Y方向に延在している端子を正極端子20とし、外装体12から−Y方向に延在している端子を負極端子22としたが、外装体12から−Y方向に延在している端子を正極端子とし、外装体12から+Y方向に延在している端子を負極端子としてもよい。
【0035】
次に、蓄電デバイス100の蓄電セル10の内部構造について説明する。図5は、蓄電セル10を示す断面図あって、蓄電セル10の(外装体12の)内部構造を模式的に示す断面図である。以下では、一例として、蓄電セル10がリチウムイオンキャパシタである場合について説明する。
【0036】
蓄電セル10は、図5に示すように、外装体12に収容された電極積層体5および電解液(図示せず)を有することができる。図示の例では、電極積層体5および電解液は、第1ラミネートフィルム12aと第2ラミネートフィルム12bとからなる外装体12内に収容されている。
【0037】
電極積層体5は、電解液に浸漬されている。電極積層体5は、正極1と、負極2と、リチウム極3と、セパレータ4と、を有する。正極1、負極2、リチウム極3、およびセパレータ4は、シート状の形状を有する。図示の例では、電極積層体5は、第1ラミネートフィルム12a側から、リチウム極3、負極2、正極1、負極2、正極1、負極2、リチウム極3の順で積層され、極と極との間、および極とラミネートフィルムとの間にセパレータ4を介することによって構成されている。電極積層体5において、正極1および負極2は、並列に接続されている。
【0038】
なお、正極1および負極2の数は、特に限定されない。同様に、リチウム極3の数および設置場所も特に限定されない。また、電極積層体5の形態は、図示の例に限定されず、例えば、正極、負極、リチウム極、およびセパレータを重ねて積層シートを形成し、該積層シートを捲回させてなる捲回型でもよい。
【0039】
正極1は、正極集電体1aと、正極活物質層1bと、を有することができる。正極集電体1aとしては、多孔性の金属箔を用いることができる。正極集電体1aの材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレスが挙げられる。正極集電体1aの厚みは、例えば、15μm以上50μm以下である。正極集電体1aは、正極リード6を介して、正極端子16に接続されている。正極リード6の材質は、例えば、正極集電体1aの材質と同じである。
【0040】
正極活物質層1bは、正極集電体1aに形成されている。図示の例では、正極活物質層1bは、正極集電体1aの両面に形成されているが、片面にのみ形成されていてもよい。正極活物質層1bの厚みは、例えば、30μm以上90μm以下である。
【0041】
正極活物質層1bは、正極活物質を含有している。正極活物質は、ヘキサフルオロホスフェート(PF)や、テトラフルオロボレート(BF)のようなアニオンを可逆的に担持できる物質である。より具体的には、正極活物質としては、活性炭、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であるポリアセン系物質(PAS)が挙げられる。
【0042】
正極活物質層1bの形成方法としては、まず、正極活物質粉末およびバインダーを、水系媒体または有機溶媒中に分散してスラリーを調整する。必要に応じて、導電性粉末を混入させてもよい。次に、調整したスラリーを正極集電体1aの表面に塗布して乾燥させる。このようにして、正極活物質層1bを得ることをできる。
【0043】
負極2は、負極集電体2aと、負極活物質層2bと、を有することができる。負極集電体2aとしては、多孔性の金属箔を用いることができる。負極集電体2aの材質としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケルが挙げられる。負極集電体2aの厚みは、例えば、10μm以上50μm以下である。負極集電体2aは、負極リード7を介して、負極端子18に接続されている。負極リード7の材質は、例えば、負極集電体2aの材質と同じである。
【0044】
負極活物質層2bは、負極集電体2aに形成されている。図示の例では、負極活物質層2bは、負極集電体2aの両面に形成されているが、片面にのみ形成されていてもよい。負極活物質層2bの厚みは、例えば、20μm以上50μm以下である。
【0045】
負極活物質層2bは、負極活物質を含有している。負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵できる物質である。より具体的には、負極活物質としては、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、もしくはそれらの粉砕品が挙げられる。
【0046】
負極活物質層2bの形成方法としては、まず、負極活物質粉末およびバインダーを、水系媒体または有機溶媒中に分散してスラリーを調整する。必要に応じて、導電性粉末を混入させてもよい。次に、調整したスラリーを負極集電体2aの表面に塗布して乾燥させる。このようにして、負極活物質層2bを得ることをできる。
【0047】
リチウム極3は、リチウム極集電体3aと、リチウム箔3bと、を有する。リチウム極集電体3aとしては、多孔性の金属箔を用いることができる。リチウム極集電体3aの材質としては、例えば、銅、ステンレスが挙げられる。リチウム極集電体3aの厚みは、例えば、10μm以上200μm以下である。
【0048】
リチウム箔3bは、例えば、リチウム極集電体3aの一方の面に圧着されている。リチウム箔3bの材質は、リチウムである。リチウム箔3bは、リチウムイオンの供給源として機能することができる。すなわち、リチウム極集電体3aと負極集電体2aとを負極リード7を介して接続させて短絡させることにより、リチウム箔3bは、電解液に溶解してリチウムイオンとなることができる。そして、リチウムイオンは、電気化学的に電解液を介して負極活物質層2bにドープ(「プレドープ」ともいえる)される。その結果、負極2の電位を下げることができる。これにより、エネルギー密度を大きくすることができる。リチウム箔3bの厚みは、例えば、50μm以上300μm以下である。
【0049】
なお、リチウム箔3bは、プレドープによって、例えば完全に電解液に溶解するが、図示の例では、便宜上、電解液の図示を省略し、電解液に溶解する前のリチウム箔3bを図示している。
【0050】
電解液としては、リチウム塩を電解質とする非プロトン性有機溶媒電解質溶液を用いることができる。非プロトン性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CSONなどが挙げられる。
【0051】
セパレータ4は、正極活物質、負極活物質、および電解質に対して耐久性がある多孔性材料を用いることができる。セパレータ4としては、セルロース、レーヨン、セルロース/レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、アミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドなどからなる不織布や、多孔質のフィルムなどを用いることができる。セパレータ4の厚みは、例えば、20μm以上50μm以下である。セパレータは、正極1と負極2との間や、負極2とリチウム極3との間を、隔離することができる。さらに、セパレータ4は、電解質を浸潤することができる。
【0052】
1.2. セルケースについて
セルケース30は、蓄電セル10を挟持することができる。セルケース30の形状は、蓄電セル10を挟持できれば、特に限定されない。セルケース30は、基体40と、蓋体70と、を有することができる。
【0053】
1.2.1. 基体について
基体40の材質は、特に限定されないが、例えば、プラスチック等の樹脂である。ここで、図6は、基体40を模式的に示す斜視図であって、図1とは異なる方向から見た図である。
【0054】
基体40は、図1および図6に示すように、載置部41と、載置部41の周囲に設けられた側壁部50と、を有する。
【0055】
載置部41は、基体40の底部を構成することができる。載置部41は、例えば、外装体12の第1部分15に沿って形成されている。載置部41は、図3および図4に示すように、第1部分15を載置することができる。
【0056】
載置部41は、図1および図6に示すように、端子支持部42を有することができる。端子支持部42は、載置部41の他の部分(端子支持部42以外の載置部41)よりも厚みが小さい部分である。端子支持部42は、図3に示すように、外装体12の端子挟持部15aを支持することができる。
【0057】
載置部41には、図3に示すように、例えば、段差部46が形成されている。段差部46は、載置部41よりも大きい厚みを有することができる。段差部46は、正極端子20を支持する端子支持部42と隣接して設けられていてもよい。段差部46と座金26とで正極端子20を挟み、ネジ28で固定することによって、正極端子20を、基体40に固定することができる。段差部46は、載置部41と一体的に形成されていてもよい。
【0058】
載置部41には、図1および図6に示すように、凹部43が形成されている。凹部43は、例えば、外装体12の第2部分16に沿って設けられている。すなわち、第2部分16は、凹部43の上方に配置されている。これにより、第2部分16は、基体40と離間することができる。そのため、第2部分16からガスが放出される場合に、基体40によってガスの放出が抑制されることを防止できる。
【0059】
載置部41には、例えば、開口部44が形成されている。開口部44は、載置部41を厚み方向に貫通している。開口部44の平面形状は、特に限定されないが、図示の例では長方形である。図3および図4に示すように、開口部44には、外装体12の本体部13が配置されていてもよい。これにより、外装体12内でガスが発生した場合に、本体部13は膨らむことができ、その分、外装体12内の圧力を小さくすることができる。さらに、蓄電デバイス100が積層された場合に、本体部13は、膨らむことによって、本体部13の上方の蓋体70のみならず、下隣りの蓄電セル100の蓋体70とも接することができる。すなわち、本体部13は、放熱性の高い金属からなる蓋体70によって挟まれることができる。これにより、蓄電セル10の放熱性を向上させることができる。
【0060】
側壁部50は、図1および図6に示すように、載置部41の周囲に設けられている。側壁部50は、載置部41よりもZ軸方向に延在している。図示の例では、側壁50は、長辺17に沿う2つの第1側壁部51a,51bと、短辺18に沿う2つの第2側壁部52a,52bと、を有している。第1側壁部51a,51bは、互いに対向して配置されていてもよい。第2側壁部52a,52bは、互いに対向して配置されていてもよい。
【0061】
第1側壁部51aには、凹部43と連通する第1連通部53が形成されている。第1連通部53は、第1側壁部51aをX軸方向に貫通している。第1連通部53の数は、特に限定されないが、図示の例では、2つ設けられている。第1連通部53の形状は、特に限定されないが、図示の例では、長方形である。第1連通部53は、第2部分16からガスが放出された場合にガスを排出流路32(図4参照)に導くことができる。
【0062】
第1側壁部51aには、図6に示すように、第2連通部54が形成されていてもよい。第2連通部54は、第1側壁部51aをX軸方向に貫通している。図示の例では、第2連通部54は、2つ設けられ、2つの第1連通部53を挟んで設けられている。第1連通部53および第2連通部54は、一例に配列していてもよい。第2連通部54は、外装体12の第1部分15に隣接して形成されている。第2連通部54は、第2部分16から放出されたガスが、仮に、基体40と蓋体70とによって挟持される第1部分15近傍に流出した場合に、該ガスを排出流路32に導くことができる。
【0063】
第1側壁部51a,51bには、例えば、切り欠き部55が形成されている。切り欠き部55は、第1側壁部51a,51bをX軸方向に貫通し、さらに、載置部41をX軸方向に貫通している。切り欠き部55は、例えば、連通部53,54よりも下方に形成されている。切り欠き部55は、第1側壁部51a,51bおよび載置部41の下側を切り欠くことにより形成されていてもよい。切り欠き部55の数は、特に限定されないが、図示の例では、第1側壁部51a,51bに6つずつ設けられている。切り欠き部55の形状は、特に限定されないが、図示の例では、長方形である。第1側壁部51aに形成された切り欠き部55と、第1側壁部51bに形成された切り欠き部55とは、互いに対向して配置されていてもよい。切り欠き部55は、特に、蓄電デバイス100が複数積層された場合に(図15参照)、隣り合う蓄電デバイス100の間に形成された通気孔として機能することができる。すなわち、切り欠き部55によって、蓄電セル10の放熱性を向上させることができる。
【0064】
第1側壁部51a,51bには、図1および図6に示すように、引掛け部56が設けられていてもよい。図示の例では、引掛け部56は、第1側壁部51a,51bに2つずつ設けられているが、その数は特に限定されない。図示はしないが、引掛け部56は、第2側壁部52a,52bに設けられていてもよい。引掛け部56は、蓋体70の開口部79に挿入されて蓋体70に引掛けられることができる。これにより、基体40と蓋体70とを接続することができる。引掛け部56および開口部79の形状は、基体40と蓋体70とを接続することができれば、特に限定されない。
【0065】
第2側壁部52aには、例えば、カバー部57が形成されている。カバー部57は、蓋体70から露出している。カバー部57は、例えば正極端子20を包囲している。カバー部57は、第2側壁部52aよりもZ軸方向に延在している。カバー部57は、絶縁性を有する。カバー部57によって、正極端子20が、例えば導電性部材(図示せず)と接触し、短絡することを抑制できる。さらに、上下に蓄電デバイス100を積層させる際に、スタックし易くなる。なお、図示はしないが、カバー部57は、負極端子22を包囲していてもよい。
【0066】
カバー部57は、基体40と異なる部材として形成されていてもよいが、基体40と一体的に形成されていることが望ましい。これにより、蓄電デバイス100の部品数を削減することができ、製造工数を低減することができる。
【0067】
第2側壁部52bには、例えば、切り欠き部58が形成されている。切り欠き部58を通って、負極端子22は、セルケース30の外に延出することができる。なお、負極端子22は、蓄電デバイス100が複数積層された場合に(図14参照)、下隣りの蓄電デバイス100の正極端子20と接続された状態で、下隣りの蓄電デバイス100のカバー部57により包囲されていてもよい。
【0068】
基体40は、積層用固定部60を有することができる。積層用固定部60は、蓋体70から露出している。積層用固定部60は、側壁部50の角部に配置されている。より具体的には、積層用固定部60は、第1側壁部51a,51bと第2側壁部52a,52bとの接続部に配置されている。積層用固定部60には、Z軸方向に貫通する貫通孔61が形成されている。例えば、蓄電デバイス100が複数積層された場合に(図14参照)、貫通孔61にネジを通すことにより、複数の蓄電デバイス100を固定することができる。
【0069】
1.2.2. 蓋体について
蓋体70の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の金属や、樹脂などが挙げられるが、特電セル10の放熱性を考慮すると、金属が好ましい。ここで、図7は、蓋体70を模式的に示す平面図である。図8は、蓋体70を模式的に示す図7のVIII−VIII線断面図である。図9は、蓋体70を模式的に示す図7のIX−IX線断面図である。
【0070】
蓋体70は、被覆部71と、突出部72と、屈曲部74と、を有することができる。
【0071】
被覆部71は、外装体12の本体部13を覆うことができる。被覆部71の形状は、本体部13を覆うことができれば特に限定されない。例えば、平面視において、被覆部71の面積は、本体部13の面積以上であるが、蓄電デバイス100のコンパクト化を考慮すると、本体部13の面積と同程度であることが好ましい。被覆部71は、本体部13と接してもよいし、1mm程度の距離を隔てて離間していてもよい。
【0072】
突出部72は、被覆部71の周囲に設けられている。突出部72は、被覆部71よりも、基体40側に(−Z方向に)突出している。突出部72は、外装体12の第1部分15に沿って設けられている。第1部分15は、図3および図4に示すように、載置部41と突出部72とによって挟持されている。すなわち、載置部41と突出部72とは、第1部分15を挟んで押さえることができる。これにより、セルケース30は、蓄電セル10を挟持することができる。
【0073】
蓋体70は、図7および図8に示すように、突出部72より突出度合いの小さい(Z軸方向の長さが小さい)小突出部73を有することができる。小突出部73は、外装体12の第2部分16に沿って設けられている。すなわち、小突出部73は、第2部分16の上方に設けられている。これにより、第2部分16は、蓋体70と離間することができる。そのため、第2部分16からガスが放出される場合に、蓋体70によってガスの放出が抑制されることを防止できる。
【0074】
なお、図示はしないが、小突出部73を設けず、蓋体70の第2部分16上方に位置する部分を、被覆部71と連続する平坦な部分としてもよい。また、図4に示す例では、第2部分16は、基体40および蓋体70と離間しているが、ガスの放出を抑制しない程度であれば、第2部分16は、基体40および蓋体70と接していてもよい。
【0075】
屈曲部74は、蓋体70の外周に設けられている。屈曲部74は、例えば、外装体12の長辺17に沿って設けられている。屈曲部74および第1側壁部51aは、図4に示すように、排出流路32を形成することができる。屈曲部74の断面形状は、排出流路32を形成することができれば、特に限定されない。
【0076】
図示の例では、屈曲部74は、被覆部71と同程度の高さを有する第1流路形成部74aと、第1壁状部材51aと対向配置された第2流路形成部74bと、第1流路形成部74aと対向配置された第3流路形成部材74cと、を有している。第1流路形成部74aと第2流路形成部74bとは、直交していてもよい。第2流路形成部74bと第3流路形成部74cとは、直交していてもよい。第3流路形成部74cと第1側壁部51aとは、互いに、離間していてもよいし、接していてもよい。蓄電デバイス100のコンパクト化を考慮すると、第2流路形成部74bのZ軸方向の長さは、第1壁状部材51aのZ軸方向の長さと同等、もしくはそれ以下であることが好ましい。
【0077】
なお、屈曲部74の断面形状は、上記の形状に限定されず、図10に示すように、第3流路形成部74cは、第2流路形成部74bから斜め上方に向けて延在していてもよい。また、図11に示すように、第2流路形成部74bの断面形状は、円弧の形状であってもよい。また、図12に示すように、第2流路形成部74bの断面形状は、屈曲した形状であってもよい。なお、図10〜図12は、本実施形態に係る蓋体を模式的に示す断面図であって、図9に対応するものである。
【0078】
セルケース30は、図4に示すように、排出流路32を有する。排出流路32は、外装体12の外周部14に沿って延在している。より具体的には、排出流路32は、外装体12の長辺17に沿って延在している。上述のように、排出流路32は、屈曲部74と第1側壁部51aとによって形成されている。排出流路32は、外装体12の第2部分16からガスが排出された場合に、ガスを外部に排出することができる。より具体的には、第2部分16から放出されたガスは、第1連通部53を通って排出流路32内に導入され、屈曲部74の第2流路形成部74bに衝突する。衝突されたガスは、排出流路32内を+Y方向に進行するものと、排出流路32内を−Y方向に進行するものと、に分かれることができる。そして、例えば、排出流路32と積層用固定部60との間に形成された隙間や、第3流路形成部74cと第1側壁部51aとの間に形成された隙間を通って、外部に排出されることができる。
【0079】
蓋体70は、例えば1枚の板状部材を加工することにより、形成されていてもよい。具体的な加工方法としては、プレス加工、モールド加工、光造形、削り出し加工などが挙げられる。これにより、被覆部71、突出部72、および屈曲部74等を一体的に形成することができる。そのため、蓄電デバイス100の部品数を削減することができ、製造工数を低減することができる。
【0080】
1.3. 作用効果等について
蓄電デバイス100によれば、セルケース30は、外装体12の第2部分16からガスが放出された場合に、該ガスを排出するための排出流路32を有し、排出流路32は、外装体12の外周部14に沿って延在している。そのため、蓄電デバイス100では、外装体12の外周部14に沿って、排出流路32の全長を長くすることができる。これにより、蓄電デバイス100では、例えば蓄電セルの厚み方向(Z軸方向)に沿う排出流路を設けた形態に比べて、容易に排出流路32の容量を大きくすることができる。したがって、排出流路32内のガスの圧力が高くなることを抑制できる。さらに、高温(例えば300℃程度)のガスを、効率よく冷却することができる。よって、蓄電デバイス100は、高い安全性を有することができる。
【0081】
蓄電デバイス100によれば、排出流路32は、外装体12の長辺17に沿って延在することができる。そのため、蓄電デバイス100は、外装体の短辺に沿った排出流路を有する形態に比べて、排出流路32の全長を長くすることができる。
【0082】
蓄電デバイス100によれば、外装体12の第1部分15は、基体40の載置部41と、蓋体70の突出部72と、によって挟持されることができる。そのため、基体40および蓋体70によって、安定して蓄電セル10を保持することができる。さらに、載置部41には、外装体12の第2部分16に沿って凹部43が形成されることができる。そのため、第2部分16からガスが放出される場合に、基体40によってガスの放出が抑制されることを防止できる。
【0083】
蓄電デバイス100によれば、排出流路32は、基体40の側壁部51aと、蓋体70の屈曲部74と、によって形成されることができる。したがって、排出流路32を形成するために新たな部材を必要としないので、蓄電デバイス100の部品数を削減することができ、製造工数を低減することができる。さらに、蓄電デバイス100のコンパクト化を図ることができ、エネルギー密度を向上させることができる。
【0084】
蓄電デバイス100によれば、載置部41には、開口部44が形成され、外装体12の本体部13は、開口部44に配置されることができる。これにより、外装体12内でガスが発生した場合に、本体部13は膨らむことができ、その分、外装体12内の圧力を小さくすることができる。
【0085】
なお、蓄電デバイス100は、例えば、自動搬送機、自動車、フォークリフト等の車載用途や、発電装置、風力発電装置等の静置用途などに、適用することができる。
【0086】
2. 蓄電デバイスの変形例
次に、本実施形態の変形例に係る蓄電デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の変形例に係る蓄電デバイス200を模式的に示す断面図であって、図4に対応している。以下、本実施形態の変形例に係る蓄電デバイス200において、本実施形態に係る蓄電デバイス100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0087】
蓄電デバイス200では、図13に示すように、排出流路32内に吸液体34が設けられている。吸液体34は、ガスの放出に伴って、外装体12内の電解液が第2部分16から放出された場合に、放出された電解液を吸収することができる。これにより、放出された電解液が外部に流出して、電蝕等が発生することを抑制できる。吸収体34は、連通部53(図4参照)に隣接する位置のみに設けられていてもよいし、排出流路32内全体を充填して設けられていてもよい。
【0088】
吸収体34は、電解液を吸収でき、かつ、ガスの流通を妨げない材料からなることができる。より具体的には、吸収体34の材質としては、例えば、脱脂綿、海綿、ウレタンフォーム、石綿、不織布が挙げられる。
【0089】
蓄電デバイス200によれば、吸液体34によって電蝕等が発生することを抑制できる。そのため、蓄電デバイス200は、高い信頼性を有することができる。
【0090】
3. 蓄電モジュール
次に、本実施形態に係る蓄電モジュールについて、図面を参照しながら説明する。図14は、本実施形態に係る蓄電モジュール300を模式的に示す分解斜視図である。図15は、本実施形態に係る蓄電モジュール300を模式的に示す図であって、図14のXV矢印方向から見た図である。
【0091】
蓄電モジュール300は、本発明に係る蓄電デバイスを有する。以下では、本発明に係る蓄電デバイスとして、蓄電デバイス100を有する蓄電モジュール300について説明する。
【0092】
蓄電モジュール300は、図14および図15に示すように、複数の蓄電デバイス100と、ベース部材310と、制御基板収容部材320と、カバー部材330と、正極用モジュール端子340と、負極用モジュール端子350と、を有することができる。なお、便宜上、図14では、制御基板収容部材320、カバー部材330、および正極用モジュール端子340の図示を省略している。また、便宜上、図14では、図15より蓄電デバイス100の数が1つ少ない状態を図示している。
【0093】
複数の蓄電デバイス100は、Z軸方向に沿って積層されている。蓄電デバイス100の数は、特に限定されず、蓄電モジュール300の用途に応じて適宜変更することができる。
【0094】
複数の蓄電デバイス100は、図14に示すように、交互に、Z軸を中心として180°回転された状態で積層されている。すなわち、平面視において、隣り合う蓄電デバイス100のうち、一方の蓄電デバイス100を、Z軸を中心として180°回転させると、他方の蓄電デバイス100と重なることができる。
【0095】
複数の蓄電デバイス100は、電気的に接続されている。より具体的には、複数の蓄電デバイス100は、直列に接続されている。すなわち、隣り合う蓄電デバイス100において、一方の蓄電デバイス100の正極端子20と、他方の蓄電デバイス100の負極端子22とは、接続されている。接続された正極端子20および負極端子22は、カバー部57によって囲まれている。これにより、端子20,22が、例えば導電性部材(図示せず)と接触し、短絡することを抑制できる。
【0096】
図15に示すように、隣り合う蓄電デバイス100の間には、基部40に形成された切り欠き部55が配置されている。切り欠き部55は、X軸方向に貫通している。切り欠き部55は、通気孔として機能することができ、蓄電モジュール300の放熱性を向上させることができる。
【0097】
ベース部材310は、積層された蓄電デバイス100の下方に配置されている。ベース部材310は、支持部312と、固定部314と、を有することができる。支持部312は、積層された蓄電デバイス100を支持することができる。より具体的には、支持部312は、平坦面313を備え、平坦面313において安定して蓄電デバイス100を支持することができる。固定部314は、支持部312の周囲に設けられている。固定部314には、貫通孔315が形成されており、貫通孔315にネジ等(図示せず)を通すことにより、蓄電モジュール300を所望の部材(図示せず)に固定することができる。ベース部材310の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、ニッケルめっき処理された金属(例えば銅)が挙げられる。
【0098】
制御基板収容部材320は、積層された蓄電デバイス100上に設けられている。制御基板収容部材320の材質としては、例えば、プラスチック等の樹脂が挙げられる。制御基板収容部材320の下側には、例えば、切り欠き部322が形成されている。切り欠き部322は、X軸方向に貫通している。切り欠き部322の形状や数は、特に限定されない。切り欠き部322は、通気孔として機能することができ、蓄電モジュール300の放熱性を向上させることができる。
【0099】
制御基板収容部材320内には、制御基板(図示せず)が収容されている。制御基板には、IC等からなる制御部(図示せず)が搭載されている。制御部は、蓄電デバイス100各々の蓄電セル10の出力電圧を検出し、該出力電圧が正常か否かを判断することができる。制御部は、蓄電セル10の出力電圧が正常ではないと判断したときに、該出力電圧を回復させるための機構を備えていてもよい。
【0100】
ここで、図16は、蓄電モジュール300を模式的に示す斜視図であって、図14とは異なる方向から見た図である。なお、便宜上、図16では、制御基板収容部材320、カバー部材330、および正極用モジュール端子340の図示を省略している。また、便宜上、図16では、図15より蓄電デバイス100の数が1つ少ない状態を図示している。
【0101】
制御部は、例えば、図16に示すコネクター324を介して、端子20,22と電気的に接続されている。より具体的には、コネクター324は、基体40から(セルケース30から)露出したコネクター用端子部326と接合されている。コネクター用端子部326は、例えば、端子20,22を固定する際に用いる座金26(図1参照)と一体的に形成されている。
【0102】
ここで、図17は、コネクター用端子部326が一体的に形成された座金26を模式的に示す斜視図であって、図1とは異なる方向から見た図である。コネクター用端子部326は、板状の座金26の端部26aに接続されている。コネクター用端子部326は、コネクター324と接続できれば、特にその形状は限定されない。
【0103】
コネクター用端子部326は、座金26と一体的に形成されるため、コネクター用端子部を形成するために新たな部材を必要としない。そのため、蓄電モジュール300の部品数を削減することができる。なお、図16では、便宜上、コネクター324を接合させる前の状態のコネクター用端子部326をも図示している。
【0104】
カバー部材330は、図15に示すように、制御基板収容部材320上に形成されている。カバー部材330の形状は、ベース部材310とともに、積層された蓄電デバイス100を挟持できれば、特に限定されない。カバー部材330の材質としては、例えば、上記のベース部材310の材質として列挙したものが挙げられる。
【0105】
カバー部材330、制御基板収容部材320、およびベース部材310には、例えば、Z軸方向に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。該貫通孔と、蓄電デバイス100の積層用固定部材60に形成された貫通孔61と、を連通するように配置させ、図14に示すように、これらの貫通孔にネジ360を通して固定することができる。これにより、積層された蓄電デバイス100および制御基板収容部材320は、カバー部材330とベース部材310とによって挟持されることができる。
【0106】
正極用モジュール端子340は、例えば、積層された蓄電デバイス100のうち、最も上方に配置された蓄電デバイス100の正極端子20と電気的に接続されている。正極用モジュール端子340の形状は、特に限定されない。正極用モジュール端子340の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、およびこれらにニッケルめっきや金めっきを施した金属が挙げられる。正極用モジュール端子340は、蓄電モジュール300としての正極となることができる。
【0107】
負極用モジュール端子350は、例えば、積層された蓄電デバイス100のうち、最も下方に配置された蓄電デバイス100の負極端子22と電気的に接続されている。負極用モジュール端子350の形状は、特に限定されない。負極用モジュール端子350の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、およびこれらにニッケルめっきや金めっきを施した金属が挙げられる。負極用モジュール端子350は、蓄電モジュール300としての負極となることができる。
【0108】
なお、負極用モジュール端子350の大きさによっては、負極用モジュール端子350は、積層された蓄電デバイス100のうち、例えば2番目に下方に配置された蓄電デバイス100の負極端子22と電気的に接続されていてもよい。この場合、最も下方に配置される蓄電デバイス100の代わりに、蓄電セル10を挟持していないセルケース30を配置してもよい。
【0109】
また、図示の例では、上方に配置されたモジュール端子を正極用モジュール端子340とし、下方に配置されたモジュール端子を負極用モジュール端子350としたが、下方に配置されたモジュール端子を正極用モジュール端子とし、上方に配置されたモジュール端子を負極用モジュール端子としてもよい。
【0110】
本実施形態に係る蓄電モジュール300によれば、例えば、以下の特徴を有する。
【0111】
蓄電モジュール300によれば、複数の蓄電デバイス100が直列に接続されることができる。そのため、高エネルギー化を図ることができる。
【0112】
蓄電モジュール300によれば、接続された正極端子20および負極端子22は、基体40に設けられたカバー部57によって囲まれることができる。これにより、端子20,22が、例えば導電性部材(図示せず)と接触し、短絡することを抑制できる。
【0113】
蓄電モジュール300によれば、制御部と電気的に接続されたコネクター324を、座金26と一体的に形成されたコネクター用端子部326に接合させることができる。これにより、コネクター用端子部を形成するための新たな部材を必要としないので、蓄電モジュール300の部品数を削減することができる。そのため、製造工数を低減することができる。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、例えば、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0115】
1 正極、1a 正極集電体、1b 正極活物質層、2 負極、2a 負極集電体、
2b 負極活物質層、3 リチウム極、3a リチウム極集電体、3b リチウム箔、
4 セパレータ、5 電極積層体、6 正極リード、7 負極リード、10 蓄電セル、
12 外装体、12a 第1ラミネートフィルム、12b 第2ラミネートフィルム、
13 本体部、14 外周部、15 第1部分、16 第2部分、17 長辺、
18 短辺、20 正極端子、20a 接続部、22 負極端子、22a 接続部、
24 貫通孔、26 座金、26a 端部、27 貫通孔、28 ネジ、
30 セルケース、32 排出流路、34 吸液体、40 基体、41 載置部、
42 端子支持部、43 凹部、44 開口部、46 端子固定部、50 側壁部、
51a 第1側壁部、51b 第1側壁部、52a 第2側壁部、52b 第2側壁部、
53 第1連通部、54 第2連通部、55 切り欠き部、56 引掛け部、
57 カバー部、58 切り欠き部、60 積層用固定部、61 貫通孔、70 蓋体、
71 被覆部、72 突出部、73 小突出部、74 屈曲部、
74a 第1流路形成部、74b 第2流路形成部、74c 第3流路形成部、
79 開口部、100 蓄電デバイス、200 蓄電デバイス、
300 蓄電モジュール、310 ベース部材、312 支持部、313 平坦面、
314 固定部、315 貫通孔、320 制御基板収容部材、322 切り欠き部、
324 コネクター、326 コネクター用端子部、330 カバー部材、
340 正極用モジュール端子、350 負極用モジュール端子、360 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、および電解液が収容された外装体を有する蓄電セルと、
前記蓄電セルを挟持するセルケースと、
を含み、
前記外装体は、本体部と、前記本体部の周囲に設けられた外周部と、を有し、
前記外周部は、
前記セルケースによって挟持された第1部分と、
前記外装体内のガスを放出させる安全弁となる第2部分と、
を有し、
前記セルケースは、前記第2部分から放出されたガスを排出するための排出流路を有し、
前記排出流路は、前記外周部に沿って延在している、蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1において、
前記外装体は、長辺と短辺とを備えた平面形状を有し、
前記排出流路は、前記長辺に沿って延在している、蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記セルケースは、基体と蓋体とを有し、
前記基体は、前記第1部分を載置する載置部を有し、
前記蓋体は、
前記本体部を覆う被覆部と、
前記被覆部の周囲に形成され、前記基体側に突出した突出部と、
を有し、
前記第1部分は、前記載置部と前記突出部とによって挟持されている、蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項3において、
前記載置部には、前記第2部分に沿って凹部が形成されている、蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項4において、
前記基体は、前記載置部の周囲に設けられた側壁部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体の外周に設けられた屈曲部を有し、
前記側壁部および前記屈曲部は、前記排出流路を形成し、
前記側壁部には、前記凹部と前記排出流路と連通する連通部が形成されている、蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、
前記載置部には、開口部が形成され、
前記本体部は、前記開口部に配置されている、蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記排出流路内には、前記第2部分から放出された電解液を吸収する吸液体が設けられている、蓄電デバイス。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタである、蓄電デバイス。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の蓄電デバイスは、複数積層され、
複数の前記蓄電デバイスは、電気的に接続されている、蓄電モジュール。
【請求項10】
請求項9において、
前記蓄電セルは、
前記正極に電気的に接続された正極端子と、
前記負極に電気的に接続された負極端子と、を有し、
前記基体には、前記正極端子および前記負極端子を囲む絶縁性のカバー部が形成されている、蓄電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−230962(P2012−230962A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97078(P2011−97078)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(307037543)JMエナジー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】