説明

蓄電池システム

【課題】蓄電池から放電された電力とその他の電力源から供給された電力とを選択的に切り換えて負荷に供給することができ、かつインバータでの待機電力の消費を抑制することができる蓄電池システムを提供する。
【解決手段】充電器2と蓄電池3とインバータ4とを迂回して電源10と負荷20との間に接続される外部バイパス5と、外部バイパス5における電源10と負荷20との間の電気的な接続を入り切り可能に構成されるスイッチ部6と、を具備し、蓄電池3を充電する場合には、第一モードM1として充電器2を「入」とし、インバータ4を「切」とし、スイッチ部6を「入」とし、蓄電池3を放電する場合には、第二モードM2として充電器2を「切」とし、インバータ4を「入」とし、スイッチ部6を「切」として、蓄電池3を充放電しない場合には、第三モードM3として充電器2を「切」とし、インバータ4を「切」とし、スイッチ部6を「入」とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備えた蓄電池システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池を備えた蓄電池システムの技術において、蓄電池から放電された電力とその他の電力源から供給された電力とを、選択的に切り換えて負荷に供給する蓄電池システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の蓄電池システムの技術においては、いわゆる常時インバータ給電方式が用いられる。これによれば、通常時には、商用電源から供給された電力が負荷に供給される。その一方、停電時には蓄電池から放電された電力が負荷に供給される。このように、商用電源から供給された電力と蓄電池から放電された電力とが、選択的に切り換えられて負荷に供給される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電池システムの技術においては、蓄電池から放電された電力と商用電源から供給された電力とは、常にインバータを経由して負荷に供給されるものである。したがって、この技術では、負荷に電力が供給されていない状態でもイバータは作動できるように待機させなければならないため、インバータでの待機電力の消費が大きくなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−336240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題は、蓄電池から放電された電力とその他の電力源から供給された電力とを選択的に切り換えて負荷に供給することができ、かつインバータでの待機電力の消費を抑制することができる蓄電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、電力を充放電可能な蓄電池と、前記蓄電池と電源との間に接続されて、前記電源からの電力を前記蓄電池に充電させる充電器と、前記蓄電池と負荷との間に接続されて、前記蓄電池から放電された電力を直流から交流に変換して前記負荷に供給するインバータと、を具備する蓄電池システムであって、前記充電器と前記蓄電池と前記インバータとを迂回して前記電源と前記負荷との間に接続されるバイパスと、前記バイパスにおける前記電源と前記負荷との間の電気的な接続を入り切り可能に構成されるスイッチ部と、前記充電器の前記蓄電池への充電の入り切りと、前記インバータの前記負荷への電力供給の入り切りと、前記スイッチ部の入り切りとを制御する制御手段と、を具備し、前記蓄電池を充電する場合には、第一のモードとして前記充電器を「入」とし、前記インバータを「切」とし、前記スイッチ部を「入」とし、前記蓄電池を放電する場合には、第二のモードとして前記充電器を「切」とし、前記インバータを「入」とし、前記スイッチ部を「切」として、前記蓄電池を放充電しない場合には、第三のモードとして前記充電器を「切」とし、前記インバータを「切」とし、前記スイッチ部を「入」とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
本発明においては、蓄電池から放電された電力とその他の電力源から供給された電力とを選択的に切り換えて負荷に供給することができ、かつインバータでの待機電力の消費を抑制することができる蓄電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄電池システムの構成を示した模式図。
【図2】同じく、3つのモードの入り切り制御の構成を示した表。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の一実施形態に係る蓄電池システム1について説明する。
【0013】
図1に示す蓄電池システム1は、蓄電池3から放電された電力とその他の電源から供給された電力とを、選択的に切り換えて負荷20に供給するシステムである。なお、「その他の電源」として、本実施形態では、商用電源(以下では、電源10)が用いられている。
蓄電池システム1は、主として、内部ライン8と、充電器2と、蓄電池3と、インバータ4と、外部バイパス5と、スイッチ部6と、制御手段7と、により構成される。
【0014】
内部ライン8とは、電源10から供給された電力を、充電器2と蓄電池3とインバータ4とを通して負荷20に供給する接続ラインである。内部ライン8は、電力の入力側に電源10が、電力の出力側に負荷20が、それぞれ接続される。
【0015】
充電器2は、電源10から供給された交流電力を所定の電圧に変換し、整流して蓄電池3に充電させるものである。充電器2は、電力の入力側に電源10が、電力の出力側に蓄電池3が、それぞれ接続される。充電器2は、制御手段7によって蓄電池3への充電を入り切り可能に構成される。すなわち、制御手段7によって充電器2が「入」とされると、蓄電池3が充電される。一方、制御手段7によって充電器2が「切」とされると、蓄電池3が充電されない。
【0016】
蓄電池3は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池3は、電力の入力側に充電器2が、電力の出力側にインバータ4が、それぞれ接続される。蓄電池3は、本実施形態において、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等により構成される。また、蓄電池3は、その内部に図示しない制御手段を備えて、過充電や過放電しないように制御される。
【0017】
インバータ4は、電力を直流から交流に変換して負荷20に供給するものである。インバータ4は、電力の入力側に蓄電池3が、電力の出力側に負荷20が、それぞれ接続される。インバータ4は、制御手段7によって作動(「入」)と作動停止(「切」)とを切り換え可能に構成される。すなわち、制御手段7によってインバータ4が「入」とされると、電力が負荷20に供給される。一方、制御手段7によってインバータ4が「切」とされると、電力が負荷20に供給されず遮断される。
【0018】
外部バイパス5は、電源10から供給された電力を、スイッチ部6を通して(充電器2と蓄電池3とインバータ4とを通さずに)負荷20に供給する接続ラインである。外部バイパス5は、充電器2と蓄電池3とインバータ4とを迂回して、電力の入力側に電源10が、電力の出力側に負荷20が、それぞれ接続される。
【0019】
スイッチ部6は、外部バイパス5において、電源10から供給された電力の負荷20への供給を制御手段7によって入り切り可能に構成されるものである。スイッチ部6は、電力の入力側に電源10が、電力の出力側に負荷20が、それぞれ接続される。そして、制御手段7によってスイッチ部6が「入」とされると、電力が外部バイパス5を介して負荷20に供給される。一方、制御手段7によってスイッチ部6が「切」とされると、電力が外部バイパス5を介して負荷20に供給されず遮断される。
【0020】
このように、蓄電池システム1は、電源10から供給された電力を負荷20に供給するために、2つのルートを有している。すなわち、内部ライン8を介してインバータ4を経由して負荷20に電力を供給するルートと、外部バイパス5を介してインバータ4を経由しないで負荷20に電力を供給するルートと、である。
【0021】
制御手段7は、充電器2における蓄電池3への充電や、インバータ4における負荷20への電力の供給や、スイッチ部6における電源10から供給された電力の負荷20へ供給等を、それぞれ入り切り制御するものである。制御手段7は、充電器2と、インバータ4と、スイッチ部6と、にそれぞれ接続される。なお、制御手段7は、タイマ(不図示)を備えて、現在の時刻を検知可能に構成される。
【0022】
また、制御手段7には、充電器2における蓄電池3への充電と、インバータ4における負荷20への電力の供給と、スイッチ部6における電源10から供給された電力の負荷20へ供給と、をそれぞれ入り切り制御するための、3つのモードが予め設定されている。なお、本実施形態において、「3つのモード」は、第一モードM1と、第二モードM2と、第三モードM3と、により構成される。
なお、第一モードM1と第二モードM2と第三モードM3との切り換えは、制御手段7によって無瞬断で行われるように設定される。
【0023】
次に、第一モードM1について、図2を用いて詳細に説明する。
【0024】
第一モードM1とは、蓄電池3が充電される場合に用いられる制御方法である。
第一モードM1が実行されると、制御手段7によって充電器2が「入」とされる。また、制御手段7によってインバータ4が「切」とされる。また、制御手段7によってスイッチ部6が「入」とされる。
【0025】
より詳細には、第一モードM1が実行されると、内部ライン8において、充電器2が「入」とされるので、蓄電池3が充電される。また、インバータ4が「切」とされるので、電力がインバータ4から負荷20に供給されず、すなわち蓄電池3が放電しない。このように、内部ライン8において、蓄電池3が充放電されず、インバータ4に電力が供給されない。
一方、外部バイパス5において、スイッチ部6が「入」とされるので、電源10から供給された電力は外部バイパス5を介して負荷20に供給される。
【0026】
以上のように、第一モードM1が実行されると、外部バイパス5を介して(インバータ4を経由せずに)、電源10から供給された電力を負荷20に供給することができる。
【0027】
次に、第二モードM2について詳細に説明する。
【0028】
第二モードM2とは、蓄電池3が放電される場合に用いられる制御方法である。
第二モードM2が実行されると、制御手段7によって充電器2が「切」とされる。また、制御手段7によってインバータ4が「入」とされる。また、制御手段7によってスイッチ部6が「切」とされる。
【0029】
より詳細には、第二モードM2が実行されると、内部ライン8において、充電器2が「切」とされるので、蓄電池3が充電されない。また、インバータ4が「入」とされるので、蓄電池3から放電された電力が、インバータ4から負荷20に供給される。
一方、外部バイパス5において、スイッチ部6が「切」とされるので、電源10から供給された電力は外部バイパス5を介して負荷20に供給されない。
【0030】
以上のように、第二モードM2が実行されると、内部ライン8を介して(インバータ4を経由して)、蓄電池3から放電された電力を負荷20に供給することができる。
【0031】
次に、第三モードM3について詳細に説明する。
【0032】
第三モードM3とは、蓄電池3が充放電されない場合に用いられる制御方法である。
第三モードM3が実行されると、制御手段7によって充電器2が「切」とされる。また、制御手段7によってインバータ4が「切」とされる。また、制御手段7によってスイッチ部6が「入」とされる。
【0033】
より詳細には、第三モードM3が実行されると、内部ライン8において、充電器2が「切」とされるので、蓄電池3が充電されない。また、インバータ4が「切」とされるので、電力がインバータ4から負荷20に供給されず、すなわち蓄電池3が放電しない。このように、内部ライン8において、蓄電池3が充放電されず、インバータ4に電力が供給されない。
一方、外部バイパス5において、スイッチ部6が「入」とされるので、電源10から供給された電力は外部バイパス5を介して負荷20に供給される。
【0034】
以上のように、第三モードM3が実行されると、外部バイパス5を介して(インバータ4を経由せずに)、電源10から供給された電力を負荷20に供給することができる。
【0035】
このような構成によって、第一モードM1及び第三モードM3(第二モードM2以外のモード)では、インバータ4を経由せずに負荷20に電力を供給することができるので、従来技術のように常にインバータ4を経由して負荷20に電力を供給する構成と比べて、インバータ4での待機電力の消費を抑制することができる。
【0036】
次に、上記の如く構成された蓄電池システム1において、制御手段7による第一モードM1と第二モードM2と第三モードM3との切り換えの設定について説明する。
【0037】
本実施形態において、第一モードM1と第二モードM2と第三モードM3とは、前記タイマを用いた制御手段7によって、予め設定された所定時間帯に自動的に選択して実行されるものである。より詳細には、深夜電力料金となる夜間の所定時間帯(例えば、23時から翌日の7時まで)に、制御手段7によって第一モードM1が実行される。そして、蓄電池3が満充電となるために必要な所定時間だけ第一モードM1が実行された後には、制御手段7によって第三モードM3が実行される。そして、(深夜電力料金よりも電力料金が高い設定である)昼間の所定時間帯に、第二モードM2が実行される。
【0038】
これによって、安価な電力料金によって蓄電池3を充電させることができる。そして、昼間には、電源10から供給された電力を用いず、(安価な電力料金によって充電された)蓄電池3から放電された電力を用いるので、電力料金を効率良く節約することができる。
【0039】
なお、上記の実施形態において、第一モードM1から第三モードM3への切り換えは、所定の時間帯になると実行されているが、蓄電池3が満充電であるか否か検知する検知手段(不図示)を設けて、この検知手段の検知結果に応じて実行される構成であってもよい。すなわち、蓄電池3が満充電となると、制御手段7によって第一モードM1から第三モードM3へと切り換える構成とすることで、蓄電池システム1を効率良く作動させることができる。
【0040】
なお、第一モードM1と第二モードM2と第三モードM3とは、制御手段7によって、停電時に自動的に選択して実行される構成であってもよい。より詳細には、第一モードM1または第三モードM3が実行されている場合であっても、停電時には、(所定時間帯にかかわらず)第二モードM2が実行される構成であってもよい。
【0041】
これによって、外部バイパス5を通って電源10から供給された電力と、内部ライン8を通って蓄電池3から放電された電力と、を自動的に切り換えて、負荷20に電力を供給することができる。したがって、電源10から電力が供給されない停電時であっても、負荷20に途切れることなく電力を供給することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、電源10として商用電源を用いた構成としているが、これに限定するものではない。例えば、電源10として太陽光や風力等の自然エネルギーにより生じた電力を用いることができる。すなわち、住宅の屋根等に設置される太陽光パネルや、風車を有する発電機を用いて、これらから生じる起動力を利用した電力を用いることができる。
【0043】
ここで、例えば、上記の如く住宅の屋根等に設置される太陽光パネルから生じる起動力を利用した電力(以下では、「太陽光発電電力」)を利用した場合、上記の如く昼間の所定時間帯に第二モードM2が実行されることによって、太陽光発電電力を余剰電力として、売電することができる。
【0044】
また、蓄電池3の第一モードM1と第二モードM2と第三モードM3とを切り換える上記の所定時間帯を変更することができる。これによって、昼間に第一モードM1を実行することで太陽光発電電力を蓄電池3に充電させ、深夜に第三モードM3を実行することで深夜に蓄電池3を放電させることができる。
【0045】
以上のように、本発明の一実施形態に係る蓄電池システム1は、
電力を充放電可能な蓄電池3と、
前記蓄電池3と電源10との間に接続されて、前記電源10からの電力を前記蓄電池3に充電させる充電器2と、
前記蓄電池3と負荷20との間に接続されて、前記蓄電池3から放電された電力を直流から交流に変換して前記負荷20に供給するインバータ4と、
を具備する蓄電池システム1であって、
前記充電器2と前記蓄電池3と前記インバータ4とを迂回して前記電源10と前記負荷20との間に接続される外部バイパス5と、
前記外部バイパス5における前記電源10と前記負荷20との間の電気的な接続を入り切り可能に構成されるスイッチ部6と、
前記充電器2の前記蓄電池3への充電の入り切りと、前記インバータ4の前記負荷20への電力供給の入り切りと、前記スイッチ部6の入り切りとを制御する制御手段7と、
を具備し、
前記蓄電池3を充電する場合には、第一モードM1として前記充電器2を「入」とし、前記インバータ4を「切」とし、前記スイッチ部6を「入」とし、
前記蓄電池3を放電する場合には、第二モードM2として前記充電器2を「切」とし、前記インバータ4を「入」とし、前記スイッチ部6を「切」として、
前記蓄電池3を充放電しない場合には、第三モードM3として前記充電器2を「切」とし、前記インバータ4を「切」とし、前記スイッチ部6を「入」とするものである。
【0046】
これによって、蓄電池3から放電された電力と電源10から供給された電力とを選択的に切り換えて負荷20に供給することができ、かつインバータ4での待機電力の消費を抑制することができる蓄電池システム1を供給することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 蓄電池システム
2 充電器
3 蓄電池
4 インバータ
5 外部バイパス
6 スイッチ部
7 制御手段
10 電源
20 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を充放電可能な蓄電池と、
前記蓄電池と電源との間に接続されて、前記電源からの電力を前記蓄電池に充電させる充電器と、
前記蓄電池と負荷との間に接続されて、前記蓄電池から放電された電力を直流から交流に変換して前記負荷に供給するインバータと、
を具備する蓄電池システムであって、
前記充電器と前記蓄電池と前記インバータとを迂回して前記電源と前記負荷との間に接続されるバイパスと、
前記バイパスにおける前記電源と前記負荷との間の電気的な接続を入り切り可能に構成されるスイッチ部と、
前記充電器の前記蓄電池への充電の入り切りと、前記インバータの前記負荷への電力供給の入り切りと、前記スイッチ部の入り切りとを制御する制御手段と、
を具備し、
前記蓄電池を充電する場合には、第一のモードとして前記充電器を「入」とし、前記インバータを「切」とし、前記スイッチ部を「入」とし、
前記蓄電池を放電する場合には、第二のモードとして前記充電器を「切」とし、前記インバータを「入」とし、前記スイッチ部を「切」として、
前記蓄電池を放充電しない場合には、第三のモードとして前記充電器を「切」とし、前記インバータを「切」とし、前記スイッチ部を「入」とする、
ことを特徴とする蓄電池システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−31349(P2013−31349A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167741(P2011−167741)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】