蓄電装置の制御方法
【課題】配電系統の柱上変圧器の低圧側に蓄電装置を設置し、低圧配電線から高圧配電線の逆潮流を防止しつつ高圧配電線の電圧上昇を低減する蓄電装置の制御方法を提供することである。
【解決手段】低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御する。
【解決手段】低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配電系統の柱上変圧器以降にある需要家端に接続される蓄電装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配電系統の柱上変圧器以降にある需要家端に太陽光発電のような分散型電源が多数接続されることが予測される。太陽光発電のような分散型電源は、気象条件により発電出力が変動し、その影響で柱上変圧器高圧側への逆潮流や電圧の上昇が発生する。分散型電源の導入以前においては、需要家端に蓄電装置を設置し、配電系統の潮流状態や電圧に応じて制御することで、配電系統の電力ロスや電圧低下を防止するようにしている。
【0003】
このような系統制御システムとしては、系統の電力潮流を監視し、系統の電力潮流の大きさによって需要家端に設置された蓄電装置の出力を遠隔制御し、負荷平滑化を行うものがある。(例えば特許文献1、2参照)。また、高圧配電線の潮流と低圧負荷の潮流を検出し、蓄電装置の制御を行い電圧上昇を防ぐようにしたものもある。
【0004】
さらに、気象条件など変化による分散型電源の発電出力変動の平滑化をについては、分散型電源の近傍に蓄電装置を設置し、分散型電源の出力に応じて充放電を行うシステムがある。分散型電源の出力に応じて充放電を行う場合、蓄電装置の蓄電容量によっては、蓄電量が長期的に上限値、下限値となり、充放電を行うことができない状態となるので、それに対処するものとして、蓄電量が上限値、下限値に近づいた場合に充放電量を変更するようにしたものがある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−67469号公報
【特許文献2】特開2008−48500号公報
【特許文献3】特開2007−306670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、配電系統の柱上変圧器より低圧側の配電線に接続された分散型電源が多くなると、分散型電源の運転状況によっては高圧側の配電線に逆潮流が発生する。高圧側への逆潮流は、高圧側の電圧上昇を発生させる。需要家端の電圧管理目標値は所定範囲に定められているが、柱上変圧器高圧側の電圧上昇が大きくなると、需要家端電圧が電圧管理目標値から外れる場合がある。蓄電装置を用いる負荷平準化は、需要家の負荷が少ない夜間に蓄電装置を充電し、負荷が大きくなる昼間に放電を行うことで、最大の受電電力を減らし、あわせて送電損失を抑えるものである。
【0007】
そのような蓄電装置の制御方式においては、分散型電源の導入を考慮していないため、分散型電源による逆潮流を押さえる効果が無いことが課題であった。また、蓄電装置の設置場所は特定の需要家端を想定しており、配電系統全体の電圧や低圧配電線全体の負荷に対しては効果が少ない。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、配電系統の高圧配電線から低圧配電線への接続を行う柱上変圧器の低圧側に蓄電装置を設置し、柱上変圧器低圧側の潮流変動に対して充放電を行うことで、低圧配電線から高圧配電線の逆潮流を防止し、高圧配電線の電圧上昇を低減する蓄電装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態によれば、高圧配電線と低圧配電線の間に設置される柱上変圧器の高圧配電線の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器と、前記柱上変圧器の低圧配電線側の電力を検出する低圧側電力検出器と、前記低圧配電線側に設置された蓄電装置の出力を検出する蓄電装置電力検出器と、前記高圧側電力検出器、前記低圧側電力検出器及び前記蓄電装置電力検出器の電力検出値から蓄電装置の出力を決定する蓄電装置出力制御装置とを有し、前記蓄電装置出力制御装置により、前記低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、前記低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、前記蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の対象となる配電系統の構成図。
【図2】本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の一例を示す構成図。
【図3】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−1)の説明図。
【図4】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−2)の説明図。
【図5】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−3)の説明図。
【図6】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−4)の説明図。
【図7】本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の他の一例を示す構成図。
【図8】本発明の実施形態の実施例2の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成図。
【図9】本発明の実施形態の実施例3の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の一例を示すグラフ。
【図10】本発明の実施形態の実施例3の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の他の一例を示すグラフ。
【図11】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の一例を示すグラフ。
【図12】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(d−1)の説明図。
【図13】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(d−2)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る蓄電装置の制御方法の実施例について、図面を参照して説明する。
【0012】
まず、本発明の実施の形態の対象となる配電系統について図1を用いて説明する。配電系統は、配電用変電所1に設置される配電用変圧器1aから、遮断器2a〜2dを介して接続された高圧配電線3に送電を行う構成となる。高圧配電線には、区分開閉器4が複数配置され、区分開閉器4に囲まれた高圧配電線3の区間内に、柱上変圧器5が複数接続される。柱上変圧器5により、高圧から低圧に電圧の降圧が行われ、低圧配電線6が接続される。低圧配電線6には、複数の低圧需要家7が接続される。
【0013】
高圧配電線3のうち配電用変電所1が電源側となり、配電用変電所1の逆側(複数の低圧需要家7が接続される側)が負荷側となる。低圧需要家7には、太陽光発電のような分散型電源が設置される。
【0014】
(実施例1)
図2は本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の一例を示す構成図である。図2では、図1の配電系統において、高圧配電線3と低圧配電線6との間に設置される柱上変圧器5の周辺を対象としている。
【0015】
この実施例1は、柱上変圧器5が接続される高圧配電線3の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器9と、柱上変圧器5の低圧配電線6側の電力を検出する低圧側電力検出器10と、蓄電装置12の出力を検出する蓄電装置電力検出器11と、これら電力検出器9、10、11の電力検出値から蓄電装置12の出力を決定する蓄電装置出力制御装置8とから構成されている。
【0016】
蓄電装置出力制御装置8は、高圧側電力検出器9で検出された高圧側電力と、低圧側電力検出器10から検出された低圧側電力と、蓄電装置電力検出器11で検出された蓄電装置出力電力とから、後述する制御モードに沿って蓄電装置12の出力量の決定を行う。
【0017】
高圧側電力検出器9で検出された高圧側電力をPf、低圧側電力検出器10から検出された低圧側電力をPt2とすると、制御モードは以下となる。
【0018】
(1)制御モード(a−1)
図3に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の低圧負荷13の合計が分散型電源14の発電量合計より大きい(Pt2>0)ときは、蓄電装置12の蓄電残量があれば放電し、蓄電装置出力電力Pbを低圧配電線6に出力する。つまり、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0019】
(2)制御モード(a−2)
図4に示すように、高圧配電線3の電源側方向に逆潮流が発生する状態(Pf<0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)ときは、蓄電装置12が蓄電可能なら充電し、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0020】
(3)制御モード(a−3)
図5に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)とき、これまで蓄電装置12が放電状態であった場合には、低圧配電線6の発電量を高圧配電線3の負荷側に送るように、蓄電装置12の出力値を保持する。
【0021】
(4)制御モード(a−4)
図6に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)とき、これまで蓄電装置12が充電状態であった場合には、高圧配電線3から蓄電装置12への充電を防止し、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0022】
実施例1によれば、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【0023】
また、低圧側電力検出器10は、図2に示すように、蓄電装置12の出力と低圧配電線6の低圧負荷13の出力合計と分散型電源14の出力合計とを合計した電力を検出しているが、図7のように、蓄電装置12の出力を含まない低圧配電線6の電力を検出し、蓄電装置電力検出器11から得られる蓄電装置12の電力を加算して低圧側電力Pt2を算出し、制御するようにしても良い。
【0024】
また、実施例1では、制御モード(a−3)、(a−4)のように、蓄電装置12のそれまでの充放電状態の出力により充放電量を決定しているので、蓄電装置12の急激な出力変化を防止し、電圧の変動を抑制することができる。
【0025】
(実施例2)
次に、図8は、本発明の実施形態の実施例2の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成図である。この実施例2は、図2に示した実施例1に対し、低圧配電線6と需要家との間に検電のための需要家電気量検出器15a〜15cを設置したものである。図2と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図8に示すように、低圧配電線6と需要家との間に、検電のための需要家電気量検出器15a〜15cが設置されている場合、需要家電気量検出器15a〜15cから検出される電気量(電圧、電流、力率)から、電力合計検出装置16により低圧配電線6の電力を算出し、蓄電装置電力検出器11から得られる蓄電装置の電力を加算してPt2を算出する。そして、実施例1と同一の制御方式により、蓄電装置12の出力量の決定を行ってもよい。
【0027】
(実施例3)
実施例1、2で説明した蓄電装置の制御方法は、低圧配電線の電力Pt2の変化に対して、蓄電装置12の蓄電容量が十分大きく定格出力にも余裕がある場合に最大の効果が発揮できる。逆に、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合には、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない場合がある。そこで、蓄電装置出力制御装置8が制御する蓄電装置12の出力値を以下のように変更する。
【0028】
図9に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電量Cbの時間変化を示す。蓄電装置12の最大蓄電量をm[kWh]、蓄電量マージンをa[%]とし、出力特性変更点をb[%]、出力係数をc[%]とした場合、以下の方式で蓄電量と蓄電装置出力の決定を行う。
【0029】
(1)制御モード(b−1)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×(100−a)を超えており、蓄電装置出力制御装置8からの出力が充電方向の場合、蓄電装置12の出力指令値を0.0とする。
【0030】
(2)制御モード(b−2)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×(100−b)を超えており、蓄電装置出力制御装置8からの出力が充電方向の場合、本来の充電出力に係数cを掛けた値を蓄電装置12の出力指令値とする。
【0031】
(3)制御モード(b−3)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×bを下回り、蓄電装置出力制御装置8からの出力が放電方向の場合、本来の放電出力に係数cを掛けた値を蓄電装置12の出力指令値とする。
【0032】
(4)制御モード(b−4)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×aを下回り、蓄電装置出力制御装置8からの出力が放電方向の場合、蓄電装置12の出力指令値を0.0とする。
【0033】
この制御モード(b−1)〜(b−4)の制御だけでは、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に近づくまでの時間は長くできるが、完全には課題の解決にはならず、出力を行うことができない出力不能時間が発生する。
【0034】
蓄電装置12の出力不能時間を減少させるため、蓄電装置出力制御装置8に制御モード(b−1)〜(b−4)の制御に加え、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に至ったところで強制的に充放電を行う強制充放電モードを持たせる。
【0035】
図10に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電装置12の蓄電量Cbの時間変化を示す。蓄電装置12の最大蓄電量をm[kWh]、現在の蓄電量をCb[kWh]、目標蓄電量をCref[kWh]、強制充電を開始する蓄電量をCmin[kWh]、強制放電を開始する蓄電量をCmaxとし、強制充放電時の出力係数をαとした場合、以下の考え方で蓄電装置12の強制充放電を行う。
【0036】
(1)強制充電モード(c−1)
蓄電量Cb<Cminとなった場合、蓄電装置12は強制充電モードとし、蓄電装置出力制御装置8は定格出力×αの充電方向の出力指令値を蓄電装置12に与える。ただし、低圧配電線6の分散型電源14の出力が低圧負荷13よりも大きく、蓄電装置12が定格出力×αの充電を行っても柱上変圧器5に逆潮流が発生する場合には、Pt2=0.0になるように出力を行う。その後、蓄電装置12の蓄電量Cb>Crefとなった時点で、通常の制御モードに戻る。
【0037】
(2)強制放電モード(c−2)
蓄電量Cb>Cmaxとなった場合、蓄電装置12は強制放電モードとし、蓄電装置出力制御装置8は定格出力×αの放電方向の出力指令値を蓄電装置12に与える。ただし、低圧配電線6の低圧負荷13が分散型電源14の出力がよりも大きく、低圧潮流が定格出力×αよりも大きくなった場合は、Pt2=0.0になるように出力を行う。その後、蓄電装置12の蓄電量Cb>Crefとなった時点で、通常の制御モードに戻る。
【0038】
実施例3によれば、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合でも、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない時間を短縮することができ、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【0039】
(実施例4)
実施例3で説明した、蓄電装置の制御方法では、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合でも、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない時間を短縮することができるが、低圧配電線6の負荷が大きい時間帯に強制充電を行ったり、あるいは低圧配電線6に逆潮流の発生する時間帯に強制放電を行ったりすると、柱上変圧器高圧側の電圧変動を大きくする場合がある。そこで、蓄電装置12の強制充放電モードの動作に、低圧配電線6の電力による強制充放電モードに制限を持たせる。
【0040】
図11に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電装置12の蓄電量Cbの時間変化を示す。(d−1)は強制充電を中止する条件であり、(d−2)は強制放電を中止する条件である。
【0041】
(1)強制充電中止条件(d−1)
図12(a)に示すように、蓄電装置12が強制充電モード中、低圧配電線6の電力が定格出力×β(負荷リミット)よりも大きな負荷になった場合、図12(b)に示すように、強制充電を中止し蓄電装置12の出力を0.0とする。そして、低圧配電線6の電力が定格出力×βよりも小さくなった場合には、蓄電装置12は強制充電を再開する。
【0042】
(2)強制放電中止条件(d−2)
図13(a)に示すように、蓄電装置12が強制放電モード中、低圧配電線6の逆潮流分が定格出力×β’(発電リミット)よりも大きくなった場合、図13(b)に示すように、強制放電を中止し蓄電装置12の出力を0.0とする。そして、低圧配電線6の逆潮流分が定格出力×β’よりも小さくなった場合には、蓄電装置12は強制放電を再開する。
【0043】
以上の制御を行うことで、蓄電装置12の蓄電量が上限値・下限値に至ることによる出力不能時間を少なくすることができ、柱上変圧器高圧側の電圧変動を抑えることができる。
【0044】
実施例4によれば、低圧配電線6の負荷の大きさと蓄電装置12の強制充放電制御による柱上変圧器高圧側の電圧変動の発生を防止することができ、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…配電用変電所、1a…配電用変圧器、2a〜2d…遮断器、3…高圧配電線、4…区分開閉器、5…柱上変圧器、6…低圧配電線、7…低圧需要家、8…蓄電装置出力制御装置、9…高圧側電力検出器、10…低圧側電力検出器、11…蓄電装置電力検出器、12…蓄電装置、13、13a〜13c…低圧負荷、14、14a〜14c…分散型電源、15a〜15c…需要家電気量検出器、16…需要家電力合計算出装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配電系統の柱上変圧器以降にある需要家端に接続される蓄電装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配電系統の柱上変圧器以降にある需要家端に太陽光発電のような分散型電源が多数接続されることが予測される。太陽光発電のような分散型電源は、気象条件により発電出力が変動し、その影響で柱上変圧器高圧側への逆潮流や電圧の上昇が発生する。分散型電源の導入以前においては、需要家端に蓄電装置を設置し、配電系統の潮流状態や電圧に応じて制御することで、配電系統の電力ロスや電圧低下を防止するようにしている。
【0003】
このような系統制御システムとしては、系統の電力潮流を監視し、系統の電力潮流の大きさによって需要家端に設置された蓄電装置の出力を遠隔制御し、負荷平滑化を行うものがある。(例えば特許文献1、2参照)。また、高圧配電線の潮流と低圧負荷の潮流を検出し、蓄電装置の制御を行い電圧上昇を防ぐようにしたものもある。
【0004】
さらに、気象条件など変化による分散型電源の発電出力変動の平滑化をについては、分散型電源の近傍に蓄電装置を設置し、分散型電源の出力に応じて充放電を行うシステムがある。分散型電源の出力に応じて充放電を行う場合、蓄電装置の蓄電容量によっては、蓄電量が長期的に上限値、下限値となり、充放電を行うことができない状態となるので、それに対処するものとして、蓄電量が上限値、下限値に近づいた場合に充放電量を変更するようにしたものがある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−67469号公報
【特許文献2】特開2008−48500号公報
【特許文献3】特開2007−306670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、配電系統の柱上変圧器より低圧側の配電線に接続された分散型電源が多くなると、分散型電源の運転状況によっては高圧側の配電線に逆潮流が発生する。高圧側への逆潮流は、高圧側の電圧上昇を発生させる。需要家端の電圧管理目標値は所定範囲に定められているが、柱上変圧器高圧側の電圧上昇が大きくなると、需要家端電圧が電圧管理目標値から外れる場合がある。蓄電装置を用いる負荷平準化は、需要家の負荷が少ない夜間に蓄電装置を充電し、負荷が大きくなる昼間に放電を行うことで、最大の受電電力を減らし、あわせて送電損失を抑えるものである。
【0007】
そのような蓄電装置の制御方式においては、分散型電源の導入を考慮していないため、分散型電源による逆潮流を押さえる効果が無いことが課題であった。また、蓄電装置の設置場所は特定の需要家端を想定しており、配電系統全体の電圧や低圧配電線全体の負荷に対しては効果が少ない。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、配電系統の高圧配電線から低圧配電線への接続を行う柱上変圧器の低圧側に蓄電装置を設置し、柱上変圧器低圧側の潮流変動に対して充放電を行うことで、低圧配電線から高圧配電線の逆潮流を防止し、高圧配電線の電圧上昇を低減する蓄電装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態によれば、高圧配電線と低圧配電線の間に設置される柱上変圧器の高圧配電線の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器と、前記柱上変圧器の低圧配電線側の電力を検出する低圧側電力検出器と、前記低圧配電線側に設置された蓄電装置の出力を検出する蓄電装置電力検出器と、前記高圧側電力検出器、前記低圧側電力検出器及び前記蓄電装置電力検出器の電力検出値から蓄電装置の出力を決定する蓄電装置出力制御装置とを有し、前記蓄電装置出力制御装置により、前記低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、前記低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、前記蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の対象となる配電系統の構成図。
【図2】本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の一例を示す構成図。
【図3】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−1)の説明図。
【図4】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−2)の説明図。
【図5】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−3)の説明図。
【図6】本発明の実施形態の実施例1にかかる蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(a−4)の説明図。
【図7】本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の他の一例を示す構成図。
【図8】本発明の実施形態の実施例2の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成図。
【図9】本発明の実施形態の実施例3の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の一例を示すグラフ。
【図10】本発明の実施形態の実施例3の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の他の一例を示すグラフ。
【図11】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置の制御方法での低圧配電線電力、蓄電装置の出力及び蓄電量の一例を示すグラフ。
【図12】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(d−1)の説明図。
【図13】本発明の実施形態の実施例4の蓄電装置と低圧配電線の電力の流れ(d−2)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る蓄電装置の制御方法の実施例について、図面を参照して説明する。
【0012】
まず、本発明の実施の形態の対象となる配電系統について図1を用いて説明する。配電系統は、配電用変電所1に設置される配電用変圧器1aから、遮断器2a〜2dを介して接続された高圧配電線3に送電を行う構成となる。高圧配電線には、区分開閉器4が複数配置され、区分開閉器4に囲まれた高圧配電線3の区間内に、柱上変圧器5が複数接続される。柱上変圧器5により、高圧から低圧に電圧の降圧が行われ、低圧配電線6が接続される。低圧配電線6には、複数の低圧需要家7が接続される。
【0013】
高圧配電線3のうち配電用変電所1が電源側となり、配電用変電所1の逆側(複数の低圧需要家7が接続される側)が負荷側となる。低圧需要家7には、太陽光発電のような分散型電源が設置される。
【0014】
(実施例1)
図2は本発明の実施形態の実施例1の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成の一例を示す構成図である。図2では、図1の配電系統において、高圧配電線3と低圧配電線6との間に設置される柱上変圧器5の周辺を対象としている。
【0015】
この実施例1は、柱上変圧器5が接続される高圧配電線3の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器9と、柱上変圧器5の低圧配電線6側の電力を検出する低圧側電力検出器10と、蓄電装置12の出力を検出する蓄電装置電力検出器11と、これら電力検出器9、10、11の電力検出値から蓄電装置12の出力を決定する蓄電装置出力制御装置8とから構成されている。
【0016】
蓄電装置出力制御装置8は、高圧側電力検出器9で検出された高圧側電力と、低圧側電力検出器10から検出された低圧側電力と、蓄電装置電力検出器11で検出された蓄電装置出力電力とから、後述する制御モードに沿って蓄電装置12の出力量の決定を行う。
【0017】
高圧側電力検出器9で検出された高圧側電力をPf、低圧側電力検出器10から検出された低圧側電力をPt2とすると、制御モードは以下となる。
【0018】
(1)制御モード(a−1)
図3に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の低圧負荷13の合計が分散型電源14の発電量合計より大きい(Pt2>0)ときは、蓄電装置12の蓄電残量があれば放電し、蓄電装置出力電力Pbを低圧配電線6に出力する。つまり、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0019】
(2)制御モード(a−2)
図4に示すように、高圧配電線3の電源側方向に逆潮流が発生する状態(Pf<0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)ときは、蓄電装置12が蓄電可能なら充電し、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0020】
(3)制御モード(a−3)
図5に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)とき、これまで蓄電装置12が放電状態であった場合には、低圧配電線6の発電量を高圧配電線3の負荷側に送るように、蓄電装置12の出力値を保持する。
【0021】
(4)制御モード(a−4)
図6に示すように、電源側から負荷側に流れる状態(Pf>0)で、低圧配電線6の分散型電源14の発電量合計が低圧負荷13の合計より大きい(Pt2<0)とき、これまで蓄電装置12が充電状態であった場合には、高圧配電線3から蓄電装置12への充電を防止し、低圧側電力Pt2が零になるように出力を制御する。
【0022】
実施例1によれば、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【0023】
また、低圧側電力検出器10は、図2に示すように、蓄電装置12の出力と低圧配電線6の低圧負荷13の出力合計と分散型電源14の出力合計とを合計した電力を検出しているが、図7のように、蓄電装置12の出力を含まない低圧配電線6の電力を検出し、蓄電装置電力検出器11から得られる蓄電装置12の電力を加算して低圧側電力Pt2を算出し、制御するようにしても良い。
【0024】
また、実施例1では、制御モード(a−3)、(a−4)のように、蓄電装置12のそれまでの充放電状態の出力により充放電量を決定しているので、蓄電装置12の急激な出力変化を防止し、電圧の変動を抑制することができる。
【0025】
(実施例2)
次に、図8は、本発明の実施形態の実施例2の蓄電装置の制御方法を実現するための装置構成図である。この実施例2は、図2に示した実施例1に対し、低圧配電線6と需要家との間に検電のための需要家電気量検出器15a〜15cを設置したものである。図2と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図8に示すように、低圧配電線6と需要家との間に、検電のための需要家電気量検出器15a〜15cが設置されている場合、需要家電気量検出器15a〜15cから検出される電気量(電圧、電流、力率)から、電力合計検出装置16により低圧配電線6の電力を算出し、蓄電装置電力検出器11から得られる蓄電装置の電力を加算してPt2を算出する。そして、実施例1と同一の制御方式により、蓄電装置12の出力量の決定を行ってもよい。
【0027】
(実施例3)
実施例1、2で説明した蓄電装置の制御方法は、低圧配電線の電力Pt2の変化に対して、蓄電装置12の蓄電容量が十分大きく定格出力にも余裕がある場合に最大の効果が発揮できる。逆に、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合には、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない場合がある。そこで、蓄電装置出力制御装置8が制御する蓄電装置12の出力値を以下のように変更する。
【0028】
図9に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電量Cbの時間変化を示す。蓄電装置12の最大蓄電量をm[kWh]、蓄電量マージンをa[%]とし、出力特性変更点をb[%]、出力係数をc[%]とした場合、以下の方式で蓄電量と蓄電装置出力の決定を行う。
【0029】
(1)制御モード(b−1)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×(100−a)を超えており、蓄電装置出力制御装置8からの出力が充電方向の場合、蓄電装置12の出力指令値を0.0とする。
【0030】
(2)制御モード(b−2)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×(100−b)を超えており、蓄電装置出力制御装置8からの出力が充電方向の場合、本来の充電出力に係数cを掛けた値を蓄電装置12の出力指令値とする。
【0031】
(3)制御モード(b−3)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×bを下回り、蓄電装置出力制御装置8からの出力が放電方向の場合、本来の放電出力に係数cを掛けた値を蓄電装置12の出力指令値とする。
【0032】
(4)制御モード(b−4)
蓄電装置12の蓄電量が最大蓄電量×aを下回り、蓄電装置出力制御装置8からの出力が放電方向の場合、蓄電装置12の出力指令値を0.0とする。
【0033】
この制御モード(b−1)〜(b−4)の制御だけでは、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に近づくまでの時間は長くできるが、完全には課題の解決にはならず、出力を行うことができない出力不能時間が発生する。
【0034】
蓄電装置12の出力不能時間を減少させるため、蓄電装置出力制御装置8に制御モード(b−1)〜(b−4)の制御に加え、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に至ったところで強制的に充放電を行う強制充放電モードを持たせる。
【0035】
図10に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電装置12の蓄電量Cbの時間変化を示す。蓄電装置12の最大蓄電量をm[kWh]、現在の蓄電量をCb[kWh]、目標蓄電量をCref[kWh]、強制充電を開始する蓄電量をCmin[kWh]、強制放電を開始する蓄電量をCmaxとし、強制充放電時の出力係数をαとした場合、以下の考え方で蓄電装置12の強制充放電を行う。
【0036】
(1)強制充電モード(c−1)
蓄電量Cb<Cminとなった場合、蓄電装置12は強制充電モードとし、蓄電装置出力制御装置8は定格出力×αの充電方向の出力指令値を蓄電装置12に与える。ただし、低圧配電線6の分散型電源14の出力が低圧負荷13よりも大きく、蓄電装置12が定格出力×αの充電を行っても柱上変圧器5に逆潮流が発生する場合には、Pt2=0.0になるように出力を行う。その後、蓄電装置12の蓄電量Cb>Crefとなった時点で、通常の制御モードに戻る。
【0037】
(2)強制放電モード(c−2)
蓄電量Cb>Cmaxとなった場合、蓄電装置12は強制放電モードとし、蓄電装置出力制御装置8は定格出力×αの放電方向の出力指令値を蓄電装置12に与える。ただし、低圧配電線6の低圧負荷13が分散型電源14の出力がよりも大きく、低圧潮流が定格出力×αよりも大きくなった場合は、Pt2=0.0になるように出力を行う。その後、蓄電装置12の蓄電量Cb>Crefとなった時点で、通常の制御モードに戻る。
【0038】
実施例3によれば、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合でも、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない時間を短縮することができ、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【0039】
(実施例4)
実施例3で説明した、蓄電装置の制御方法では、蓄電装置12の蓄電容量が低圧配電線6の電力に対して十分な値を確保できない場合でも、蓄電装置12の蓄電量が上限値あるいは下限値に達し、蓄電装置出力制御装置8の制御効果を十分に発揮できない時間を短縮することができるが、低圧配電線6の負荷が大きい時間帯に強制充電を行ったり、あるいは低圧配電線6に逆潮流の発生する時間帯に強制放電を行ったりすると、柱上変圧器高圧側の電圧変動を大きくする場合がある。そこで、蓄電装置12の強制充放電モードの動作に、低圧配電線6の電力による強制充放電モードに制限を持たせる。
【0040】
図11に、低圧配線線6の電力、蓄電装置12の出力、蓄電装置12の蓄電量Cbの時間変化を示す。(d−1)は強制充電を中止する条件であり、(d−2)は強制放電を中止する条件である。
【0041】
(1)強制充電中止条件(d−1)
図12(a)に示すように、蓄電装置12が強制充電モード中、低圧配電線6の電力が定格出力×β(負荷リミット)よりも大きな負荷になった場合、図12(b)に示すように、強制充電を中止し蓄電装置12の出力を0.0とする。そして、低圧配電線6の電力が定格出力×βよりも小さくなった場合には、蓄電装置12は強制充電を再開する。
【0042】
(2)強制放電中止条件(d−2)
図13(a)に示すように、蓄電装置12が強制放電モード中、低圧配電線6の逆潮流分が定格出力×β’(発電リミット)よりも大きくなった場合、図13(b)に示すように、強制放電を中止し蓄電装置12の出力を0.0とする。そして、低圧配電線6の逆潮流分が定格出力×β’よりも小さくなった場合には、蓄電装置12は強制放電を再開する。
【0043】
以上の制御を行うことで、蓄電装置12の蓄電量が上限値・下限値に至ることによる出力不能時間を少なくすることができ、柱上変圧器高圧側の電圧変動を抑えることができる。
【0044】
実施例4によれば、低圧配電線6の負荷の大きさと蓄電装置12の強制充放電制御による柱上変圧器高圧側の電圧変動の発生を防止することができ、高圧配電線3の電力Pfの逆潮流を防止するとともに、柱上変圧器5の高圧側の電圧上昇を抑えることができる。また、高圧配電線3からみた低圧配電線6の負荷変動を緩和することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…配電用変電所、1a…配電用変圧器、2a〜2d…遮断器、3…高圧配電線、4…区分開閉器、5…柱上変圧器、6…低圧配電線、7…低圧需要家、8…蓄電装置出力制御装置、9…高圧側電力検出器、10…低圧側電力検出器、11…蓄電装置電力検出器、12…蓄電装置、13、13a〜13c…低圧負荷、14、14a〜14c…分散型電源、15a〜15c…需要家電気量検出器、16…需要家電力合計算出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧配電線と低圧配電線の間に設置される柱上変圧器の高圧配電線の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器と、前記柱上変圧器の低圧配電線側の電力を検出する低圧側電力検出器と、前記低圧配電線側に設置された蓄電装置の出力を検出する蓄電装置電力検出器と、前記高圧側電力検出器、前記低圧側電力検出器及び前記蓄電装置電力検出器の電力検出値から蓄電装置の出力を決定する蓄電装置出力制御装置とを有し、前記蓄電装置出力制御装置により、前記低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、前記低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、前記蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御することを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に係る配電系統に設置される蓄電装置の制御方法おいて、蓄電装置の蓄電量が上限値あるいは下限値に至ったところで蓄電装置を強制的に充放電を行う強制充放電モードを持たせ、強制充放電モードの強制充放電により蓄電装置の蓄電量が設定値となった場合には、通常の制御モードとすることを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2に係る配電系統に設置される蓄電装置の制御方法において、前記強制充電モードの場合に、低圧配電線の電力検出値が負荷方向で設定値を上回る場合には、強制充電を中止して蓄電装置の出力を零とし、強制放電モードの場合に、低圧配電線の電力検出値が発電方向で設定値を上回る場合には、構成放電を中止して蓄電装置の出力を零とすることを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【請求項1】
高圧配電線と低圧配電線の間に設置される柱上変圧器の高圧配電線の電源側の電力を検出する高圧側電力検出器と、前記柱上変圧器の低圧配電線側の電力を検出する低圧側電力検出器と、前記低圧配電線側に設置された蓄電装置の出力を検出する蓄電装置電力検出器と、前記高圧側電力検出器、前記低圧側電力検出器及び前記蓄電装置電力検出器の電力検出値から蓄電装置の出力を決定する蓄電装置出力制御装置とを有し、前記蓄電装置出力制御装置により、前記低圧配電線の電力検出値が負荷方向であれば放電し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が電源側方向ならば充電し、前記低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、前記低圧配電線の電力検出値が高圧配電線方向かつ高圧配電線の電力検出値が負荷側方向ならば蓄電装置の出力が放電であった場合にはその出力を保持し、前記蓄電装置の出力が充電であった場合には低圧配電線の電力検出値が零となるよう蓄電装置の出力を制御し、高圧配電線の電源側への逆潮流を防止するよう制御することを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に係る配電系統に設置される蓄電装置の制御方法おいて、蓄電装置の蓄電量が上限値あるいは下限値に至ったところで蓄電装置を強制的に充放電を行う強制充放電モードを持たせ、強制充放電モードの強制充放電により蓄電装置の蓄電量が設定値となった場合には、通常の制御モードとすることを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2に係る配電系統に設置される蓄電装置の制御方法において、前記強制充電モードの場合に、低圧配電線の電力検出値が負荷方向で設定値を上回る場合には、強制充電を中止して蓄電装置の出力を零とし、強制放電モードの場合に、低圧配電線の電力検出値が発電方向で設定値を上回る場合には、構成放電を中止して蓄電装置の出力を零とすることを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−39774(P2012−39774A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178296(P2010−178296)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221096)東芝システムテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221096)東芝システムテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】
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