説明

蓋付き容器

【課題】紙製のリクローザブル容器を提供する。
【解決手段】上面に開口を備える容器本体1と、この容器本体1の開口を覆う蓋体2とを容器本体1の背面側に蓋体2のヒンジ24を介して結合し、容器本体1に対して蓋体2を開閉自在とした蓋付き容器において、容器本体1と、蓋体2とが、紙を主材料とする紙シートで各々円筒状に形成され、蓋体2は、周面部21とこの周面部21の開口縁に接合された天面部22とを有し、容器本体1の開口を外側から覆うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を主材料とする紙シートで形成された蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状のガム、サプリメント、チョコレート等の包装には、専ら樹脂系の容器が用いられている。この樹脂系の容器が用いられるのは、初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性等の機能面で優れていることによる。
【0003】
また、この種の容器は、容器本体の開口を蓋体で繰り返し開閉することができるようになっている。一般に、容器本体と蓋体(例えば、特許文献1参照。)の双方がそれぞれ樹脂で成形された後に連結され一体化される。
【0004】
蓋体は、円盤形の上蓋と、その周縁から垂下する引き裂きリングと、引き裂きリング下から垂下する固定リングと、上蓋を固定リングに連結するヒンジとを具備する。引き裂きリングはピルファープルーフ部として機能するもので、上蓋と固定リングとに環状薄肉部を介して連結される。ヒンジは引き裂きリングを上下方向に横断するように設けられる。また、上蓋の内周面には、容器本体の外周面に形成された環状溝に嵌り込む環状突起が形成され、上蓋の天井面には薄肉の環状垂下壁が設けられる。
【0005】
この蓋体が、粒状のガム等の内容物が充填された容器本体に被せられ、固定リングが容器本体の開口の回りに嵌め込まれることによって、容器本体と一体化される。また、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込んで容器本体内を密封する。
【0006】
この容器は、使用者によって引き裂きリングが蓋体から引き裂かれ除去されることによって開封可能とされ、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝から離脱するように蓋体を開くことによって容器本体の開口が開放される。蓋体はヒンジによって連結されており、ヒンジの弾性力によって容器本体の開口を閉じようとするが、環状薄肉部が容器本体の開口縁に当接して蓋体の閉蓋位置への復帰を阻み、蓋体を開蓋状態に保持する。これにより、使用者は内容物を容器本体内から簡易に取り出すことができる。使用者が内容物を取り出した後、蓋体を容器本体に被せて押圧すれば、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込み、再び容器本体が密封される。
【0007】
また、粒状の内容物の包装には紙カップ(例えば、特許文献2参照。)が用いられることもある。この場合は、紙カップ内に粒状の内容物が充填された後、紙カップの開口縁にアルミニウム箔等の蓋シートが接着されることにより紙カップが密封される。使用者は蓋シートを紙カップの開口縁から剥し取って、内容物を容器本体内から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−117308号公報
【特許文献2】特開2007−230592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の樹脂系の容器は、樹脂で成形されているがゆえにリサイクル性、遮光性等が問題視されるようになってきた。紙カップは紙で作製されているので樹脂系の容器のような欠点は小さいものの、再封性がなく、内容物の保存性に欠けるという問題がある。
【0010】
また、上記樹脂系の容器は、開封後も蓋体で容器本体を再び閉じることができるが、蓋体を開けた際にヒンジの弾性力によって蓋体が自閉しようとするので、中味を取り出し難いという問題がある。そのため、上述したような薄肉の環状垂下壁を別途設けて蓋体を開いた状態に保持しなければならない。
【0011】
また、上記樹脂系の開閉蓋の廃棄性を改善するには、開閉蓋の主要部分を紙で構成することが考えられる。しかし、開閉蓋を単に紙で形成した場合には、最初に開封して中味の一部を取り出した後に再度蓋をした場合、樹脂製の場合に比べて外部の湿気が容器内に侵入しやすくなり、残りの中味が傷みやすくなるという問題がある。また、開閉蓋が紙製の場合は、開閉蓋をその閉じ位置に強く保持することが困難になる。そのため、蓋を閉じたときに容器の密閉性を維持し難くなったり、容器携帯時等に不意に蓋が開いたりするというような問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、リサイクル性、遮光性及び再封性に優れ、環境性に優れた蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、上記容器本体と、上記蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々円筒状に形成され、上記蓋体は、周面部とこの周面部の開口縁に接合された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体と上記容器本体とが接する箇所に、この蓋体を閉じ状態に保持する噛み合い歯機構が設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記噛み合い歯機構は、上記蓋体の内周面と上記容器本体の外周面とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯によって構成され、上記蓋体側の噛み合い歯は上記蓋体の天面部側に傾斜し、上記容器本体側の噛み合い歯は上記容器本体の底側に傾斜するように設けられたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記噛み合い歯機構は、上記蓋体の外周面と上記容器本体の外周面から上記蓋体の外周面に向かって突出する腕片とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯によって構成され、上記蓋体側の噛み合い歯は上記蓋体の天面部側に傾斜し、上記腕片側の噛み合い歯は上記容器本体の底側に傾斜するように設けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項3又は請求項4に記載の蓋付き容器において、上記蓋体の噛み合い歯と上記容器本体側又は上記腕片側の噛み合い歯との間に、シートが除去可能に挿入されたことを特徴とする。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記容器本体の上記ヒンジと結合した反対側の位置に、閉蓋時に上記蓋体の周面部内面に圧接する係合片を接合したことを特徴とする。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の蓋付き容器において、上記係合片は、上記蓋体の周面部内面に折り込まれる折込片と切り離し線により区分され、開蓋時に上記切り離し線に沿って切り離されることを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体の天面部は、上記容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材層を有した積層シートで形成されたことを特徴とする。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記積層シートは、上記クッション材層に接着剤層を介して防湿性を有する紙が積層されていることを特徴とする。
【0023】
請求項10に係る発明は、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする。
【0024】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の蓋付き容器において、上記蓋体の周面部は、上記ヒンジと反対側が幅狭に形成され、この幅狭部と上記逆V字状切欠部との間が幅広に形成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の一端に内向きトップカール部が形成されたことを特徴とする。
【0026】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体で閉止される上記容器本体の開口がインナーシール部で密封されたことを特徴とする。
【0027】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする。
【0028】
請求項15に係る発明は、請求項13に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に引き裂き部が切り込み線によって形成され、外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も引き裂かれるように形成されたことを特徴とする。
【0029】
請求項16に係る発明は、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする。
【0030】
請求項17に係る発明は、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記天面部の内面に上記容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材からなるクッション部が取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に係る発明によれば、上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、上記容器本体と、上記蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々円筒状に形成され、上記蓋体は、周面部とこの周面部の開口縁に接合された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うものであるから、容器本体及び蓋体が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体は容器本体の開口を外側から覆うようにしたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【0032】
請求項2に係る発明によれば、蓋体と容器本体とが接する箇所に、この蓋体を閉じ状態に保持する噛み合い歯機構が設けられたものとした場合は、蓋体が紙製であっても、蓋体の閉じ状態を適正に保持することができ、従って、容器の密閉性を維持して中味の保存性を高めることができ、携帯時等における不意な開蓋を防止することができる。また、使用者はクリックストップ感を得ることができるので、蓋体の開閉を感知しやすくなる。
【0033】
請求項3に係る発明によれば、噛み合い歯機構は、蓋体の内周面と容器本体の外周面とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯によって構成され、蓋体側の噛み合い歯は蓋体の天面部側に傾斜し、容器本体側の噛み合い歯は容器本体の底側に傾斜するように設けられたものとした場合は、蓋体を閉じると噛み合い歯機構が蓋体の周面部によって隠蔽されるので、蓋体の外面からの突起物を少なくすることができ、また、蓋体の見栄えを高めることができる。
【0034】
なお、蓋体の内周面と容器本体の外周面との一方又は双方の噛み合い歯を複数個設けるようにした場合は、蓋体を容器本体に取り付ける際の精度が多少ばらついたとしても、蓋体を容器本体に正確にロックすることができる。
【0035】
請求項4に係る発明によれば、噛み合い歯機構は、蓋体の外周面と容器本体の外周面から突出する腕片とに各々設けられる一個又は複数個の歯によって構成され、蓋体側の噛み合い歯は蓋体の天面部側に傾斜し、腕片側の噛み合い歯は容器本体の底側に傾斜するように設けられたものとした場合は、噛み合い歯機構が蓋体外に露出するので、使用者は噛み合い状態を視認することで、蓋体の閉じ状態を容易に知ることができる。
【0036】
なお、蓋体の内周面と容器本体の外周面との一方又は双方の噛み合い歯を複数個設けるようにした場合は、蓋体を容器本体に取り付ける際の精度が多少ばらついたとしても、蓋体を容器本体に正確にロックすることができる。
【0037】
請求項5に係る発明によれば、蓋体側の噛み合い歯と容器本体側又は腕片側の噛み合い歯との間に、シートが除去可能に挿入されたものとした場合は、噛み合い歯機構の噛み合いをシートによって阻止又は緩和することができる。したがって、容器本体を初めて開封する際に蓋体を極めて円滑に開けることができる。
【0038】
請求項6に係る発明によれば、容器本体のヒンジと結合した反対側の位置に、閉蓋時に蓋体の周面部内面に圧接する係合片を接合したことにより、係合片を介して蓋体が容器本体に確実に閉止されるため、蓋体のロック機能を著しく向上させることができる。また、閉蓋時に係合片が外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0039】
請求項7に係る発明によれば、係合片は、蓋体の周面部内側に折り込まれる折込片と切り離し線により区分され、開蓋時に切り離し線に沿って切り離されることにより、切り離し線を切り離すことで初めて蓋体を開けることができ、ピルファープルーフ手段として機能するため、内容物の変更や改ざん等を未然に防止することができる。
【0040】
請求項8に係る発明によれば、蓋体の天面部は、容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材層を有した積層シートで形成されたことにより、蓋体で容器本体の開口を外側から覆って容器本体を簡易に再封し、内容物の保存性を高めることができるのはもちろんのこと、最初に蓋体を開いて容器本体から内容物の一部を取り出した後に再度蓋体を被せた場合、クッション材層が容器本体の開口縁に当接するので、外部の湿気の容器本体内への侵入が遮断され、残りの内容物が長期間にわたって傷むことなく適正に保存されることとなる。また、クッション材層が防湿性を有するものであれば、外部の湿気の容器本体内への侵入がより遮断され、内容物を一段と適正に保存することができる。
【0041】
請求項9に係る発明によれば、積層シートは、クッション材層に接着剤層を介して防湿性を有する紙が積層されていることにより、蓋体の強度を高め、外部の湿気の容器本体への侵入を防ぐリサイクル性、遮光性及び環境性に優れた容器とすることができる。
【0042】
請求項10に係る発明によれば、蓋体は、ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に容器本体の周面部に当接してその状態を保持することにより、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0043】
請求項11に係る発明によれば、蓋体の周面部は、ヒンジと反対側が幅狭に形成され、この幅狭部と逆V字状切欠部との間が幅広に形成されていることにより、開蓋時に幅狭部に指を掛けて開蓋操作するため、指の掛ける位置が特定され、開蓋操作性を高めることができる。
【0044】
請求項12に係る発明によれば、容器本体の一端に内向きトップカール部が形成されたことにより、容器本体の開口縁が厚くなり、容器の再封性を一段と高めることができる。
【0045】
請求項13に係る発明によれば、蓋体で閉止される容器本体の開口がインナーシール部で密封されたことにより、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0046】
請求項14に係る発明によれば、インナーシール部がイージーピール層を介して容器本体に接合されていることにより、容器の開封のための操作性が向上する。
【0047】
請求項15に係る発明によれば、インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に引き裂き部が切り込み線によって形成され、外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も引き裂かれるように形成されたことにより、容器の密封性と開封のための操作性がさらに向上する。
【0048】
請求項16に係る発明によれば、蓋体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことにより、容器本体や蓋体を透過する水蒸気を除去し、内容物を保護することができる。
【0049】
請求項17に係る発明によれば、天面部の内面に容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材からなるクッション部が取り付けられたことにより、蓋体で容器本体の開口を外側から覆って容器本体を簡易に再封し、内容物の保存性を高めることができるのはもちろんのこと、最初に蓋体を開いて容器本体から内容物の一部を取り出した後に再度蓋体を被せた場合、防湿材が容器本体の開口縁に当接するので、外部の湿気の容器本体内への侵入が遮断され、残りの内容物が長期間にわたって傷むことなく適正に保存されることとなる。また、クッション材が防湿性を有するものであれば、外部の湿気の容器本体内への侵入がより遮断され、内容物を一段と適正に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の縦断面である。
【図3】図1の蓋体のブランクを示す展開図である。
【図4】図1のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図である。
【図5】図1の蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図6】図1のインナーシール部の展開平面図である。
【図7】(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、(B)は開封時における同様な断面図である。
【図8】本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明に係る蓋付き容器の第4実施形態を示す断面図である。
【図11】図10の蓋体が開封された状態を示す断面図である。
【図12】図10の蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図13】本発明に係る蓋付き容器の第5実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係る蓋付き容器の第6実施形態を示す斜視図である。
【図15】図14中、XV−XV線矢視断面図である。
【図16】図15中、部分拡大断面図である。
【図17】蓋体の周面部を構成するブランクの展開図である。
【図18】蓋体が開封された状態を示す断面図である。
【図19】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図20A】蓋体側噛み合い部材の正面図である。
【図20B】蓋体側噛み合い部材の背面図である。
【図20C】図20A中、C−C線矢視断面図である。
【図20D】図20A中、D−D線矢視断面図である。
【図21A】容器本体側噛み合い部材の正面図である。
【図21B】容器本体側噛み合い部材の背面図である。
【図21C】図21A中、C−C線矢視断面図である。
【図21D】図21A中、D−D線矢視断面図である。
【図22】本発明に係る蓋付き容器の第7実施形態において蓋体を容器本体に被せた状態を示す部分拡大図である。
【図23】本発明に係る蓋付き容器の第8実施形態において蓋体を容器本体に被せた状態を示す斜視図である。
【図24】図23中、XXIV−XXIV線矢視断面図である。
【図25】図24中、部分拡大断面図である。
【図26】蓋体が開封された状態を示す断面図である。
【図27】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図28】本発明に係る第9実施形態において蓋体を容器本体に被せた状態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
【0052】
<第1実施形態>
図1は本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図、図2は図1の縦断面図、図3は図1の蓋体のブランクを示す展開図、図4は図1のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図、図5は図1の蓋体が再封された状態を示す断面図、図6は図1のインナーシール部の展開平面図、図7(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、図7(B)は開封時における同様な断面図である。
【0053】
図1及び図2に示すように、この蓋付き容器は、上面に開口を備える容器本体1と、この容器本体1の開口を覆う蓋体2とを具備する。
【0054】
この容器本体1は、紙を主材料とする紙シートを円筒形に巻回し、その両端を重ね合わせて接着することにより円筒状に形成される。その他、紙シートをスパイラル状に巻いたスパイラル管によって形成することも可能である。また、容器本体1はテーパの付いた又は逆テーパの付いた円筒形に形成することも可能である。
【0055】
蓋体2は、上端開口縁に内向きカール部21aが形成された周面部21と、この周面部21の内向きカール部21a下部に接着剤やホットメルト等の接合手段により接合された天面部22とを有している。
【0056】
蓋体2は、図3に示すブランク2Aのように両端を接着代23で重ね合わせて接着することにより円筒状に形成される。また、蓋体2は、図1及び図2に示すように、容器本体1の背面側上部にヒンジ24によって結合される。このヒンジ24は蓋体2を構成するブランク2A上に折曲自在に形成される。図4に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、紙の折癖によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0057】
上記ヒンジ24は、より具体的には、図3に示すように、蓋体2を構成するブランク2A上に折れ線24aを介して区分けされることによって形成される。折れ線24aは紙シートから蓋体2を打ち抜く際に同時に形成される。このヒンジ24の先端が容器本体1の背面側上部に接着剤、超音波接合又はヒートシールによって結合される。このように蓋体2の一部を利用してヒンジ24が形成されることから、別途ヒンジを設ける必要がなく、蓋体2の大型化が防止される。
【0058】
上記ヒンジ24の両側は、図3に示すように、それぞれ逆V字状の切欠部25,25が形成され、これらの切欠端部25a,25aから外側が幅28mmの幅広部26a,26aに形成されている。これら幅広部26a,26aの外側は、それぞれ緩やかな曲線部26b,26bを介して幅19mmの幅狭部26c,26cが形成されている。
【0059】
これら幅狭部26c,26cの一方には上記接着代23が設けられ、その他方の長手方向略中間には、折込片27がブランク2A上に折れ線27aを介して区分けされることによって形成される。この折込片27は、切り離し線28aを介して係合部としての係合圧接片28と区分けされ、さらにこの係合圧接片28が折れ線29aを介して係合接着片29と区分けされる。
【0060】
このように形成されたブランク2Aは、両端を接着代23で重ね合わせて接着することにより円筒状の蓋体2が形成される。また、蓋体2を構成する際、折れ線27aを介して折込片27が内周側に折り込まれた後、切り離し線28aを介して係合片としての係合圧接片28が山折りされ、さらに折れ線29aを介して係合接着片29が谷折りされる。これら折込片27、係合圧接片28及び係合接着片29は、蓋体2に構成された際、ヒンジ24と反対側の対称位置となる。
【0061】
この係合接着片29の内面は、図2に示すように蓋体2を開く前には容器本体1の上部の外周面であって、容器本体1のヒンジ24と結合した位置と反対側に接合されている。この係合圧接片28は、開蓋時に切り離し線28aに沿って切り離され、容器本体1のヒンジ24と結合した位置と反対側に係合接着片29により接合されたままの状態となる。したがって、係合圧接片28は、開蓋時に切り離し線28aに沿って切り離されるので、ピルファープルーフとして機能させることが可能である。また、係合圧接片28は、折り曲げ復元力を有することから閉蓋時に蓋体2の周面部21内面に圧接するように作用する。
【0062】
ところで、上記紙シートとしては、例えば次のような層構成のものを使用することができる。
【0063】
なお、層構成は最初に掲げる層が容器本体の表面側であり、最後に掲げる層が容器本体の内面側である。紙シートを円筒形に巻回し、その両端を接着する場合は、例えば紙シートの最内層と最外層のポリエチレン樹脂層が熱接着剤として使用される。
【0064】
ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、高密度ポリエチレン樹脂層(フィルム)/ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン−アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、紙のみ、紙層/ポリエチレン樹脂層。
【0065】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされる一方、容器本体1の底は、底蓋3で閉じられる。底蓋3も上記紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0066】
すなわち、底蓋3は、図2に示すようにその外周端を下方に折り曲がるように絞り加工され、これにより底蓋3は図2においてその断面形状が下方に向けて開口する略「コ」の字形に形成される。この底蓋3の外周の折り曲げ部分を容器本体1の下端が外側から包み込むように接着されて、容器本体1の糸尻4が形成される。
【0067】
蓋体2は、容器本体1を構成する紙シートと同様な紙シートから打ち抜き等により円筒状に形成される。このように、蓋体2が上記容器本体1と共に紙を主体に形成されることから、この蓋付き容器は、リサイクル性、遮光性に優れ、廃棄の際も環境性に優れた容器となる。
【0068】
この蓋体2が容器本体1から最初に開けられると、図4に示すように係合圧接片28が切り離し線28aに沿って切り離され、ピルファープルーフとして機能する。ここで、係合圧接片28は、容器本体1のヒンジ24と結合した位置と反対側(対称位置)に係合接着片29を介して接合されたままの状態となる。
【0069】
一方、蓋体2が容器本体1に開口の上から被せられると、図2に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部が外側から覆うように被着される。このとき、係合圧接片28は、折り曲げ復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接する。これにより、蓋体2が容器本体1に大きな係合力によって固定され、蓋体2のロック機能(閉止力)が高められる。また、蓋体2は、容器本体1に繰り返し開閉自在である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。また、閉蓋時に係合圧接片28が蓋体2の周面部21内に収まり外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0070】
なお、蓋体2は、容器本体1に繰り返し開閉自在であることから、蓋体2の開閉時の度に係合圧接片28が蓋体2の周面部21開口に接触するものの、周面部21の係合圧接片28と接触する部分は、折込片27が設けられて厚くされていることから、繰り返しの開閉操作によって簡単に蓋体2の周面部21が損傷するのを防止することができる。
【0071】
また、蓋体2を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、蓋体2や容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0072】
上記蓋体2は、図4に示すように容器本体1にヒンジ24によって結合される。このヒンジ24は、蓋体2を構成するブランク2A上に屈曲自在に形成される。図4に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、紙の折癖によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0073】
また、ヒンジ24の両側は、逆V字状に切り欠いた切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の外周面に当接してその状態を保持することにより、ヒンジ24の弾性力によって蓋体2が自然に閉るようなことはなく、蓋体2の開状態を確実に保持することができる。
【0074】
図2に示すように、容器本体1における蓋体2で閉じられた開口の奥側が、インナーシール部5で密封される。このインナーシール部5は、必要に応じて設けられるもので、インナーシール部5が設けられることによって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0075】
図6に示すように、インナーシール部5はその展開平面が容器本体1の開口に対応するように円盤型に形成される。
【0076】
このインナーシール部5は、図7(A)に示すように、少なくとも内外二層の積層体で形成される。外層5aは例えばバリアフィルム/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、内層5bは例えばオレフィン系樹脂層/紙層/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、オレフィン系樹脂層同士を溶着させることにより、内外二層が重ね合わされる。
【0077】
また、外層5aには、図6及び図7(A)に示すように、引き裂き部6が切り込み線6a,6bによって形成される。これらの切り込み線6a,6bは大小二つの円に沿って設けられ、二つの円間に環状の引き裂き部6が形成される。また、環状の引き裂き部6を横断する切り込み線6cも設けられ、この切り込み線6cによって環状の引き裂き部6に摘み部7が形成される。これらの切り込み線6a,6b,6cは望ましくはミシン目状に形成されるが、連続線として形成することも可能である。
【0078】
このインナーシール部5は、図6及び図7(A)中、二点鎖線よりも外側の部分が接着代5aとして例えば超音波により容器本体1の内周面にヒートシール接着される。
【0079】
インナーシール部5の開封に際しては、指等で摘み部7を切り込み線6cに沿って引き裂き、摘み部7を引っ張ることによって、図7(B)に示すように、環状の引き裂き部6がインナーシール部6から切除される。これにより、インナーシール部5が開封される。
【0080】
なお、上記容器本体1、蓋体2、インナーシール部5には、それらを構成する紙シートの例えばオレフィン系樹脂層、紙層、フィルム等所望の層には、必要に応じて所望の内容が印刷等によって外部から視認可能に表示される。
【0081】
なお、このインナーシール部5は、図示しないが摘み部が一体に形成されたイージーピール層を介して容器本体1に接合されるようにしてもよい。この場合には、インナーシール部5がイージーピール層を介して容器本体1に接合されていることにより、容器の開封のための操作性を向上させることができる。
【0082】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0083】
図1及び図2に示す容器本体1が用意され、また、図3に示す蓋体2のブランク2Aと図6に示すインナーシール部5のブランクが用意される。
【0084】
図2に示すように、まず、容器本体1内に粒状ガム等の内容物aが充填された後に、その開口がインナーシール部5によって閉じられる。インナーシール部5は、容器本体1内にその開口から挿入され、図6及び図7(A)に示す二点鎖線から外側の接着代5aが容器本体1の内面に押し付けられた後、超音波シール等により容器本体1の内面に接着される。
【0085】
次いで、蓋体2が容器本体1の開口に被せられ、係合接着片29の内面が容器本体1の上部の外周面であって、容器本体1のヒンジ24と結合した位置の反対側に接合されている。また、同時に蓋体2に形成されたヒンジ24が容器本体1の背面側上部に接着剤等により貼着される。
【0086】
これにより、蓋付き容器の組立が完了する。
【0087】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図1および図2の状態において、蓋体2の周面部21における幅狭部26cに指を掛けて蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げる。すると、蓋体2は、ヒンジ24を中心として開くと同時に、係合圧接片28は、切り離し線28aに沿って切り離され、容器本体1のヒンジ24と結合した位置の反対側に係合接着片29が接合されたままの状態となる。
【0088】
この際、係合圧接片28がピルファープルーフ手段として機能するので、購入者等は係合圧接片28の状態を確認することで蓋付き容器内の内容物aが正常であるか否かについて判別することができる。
【0089】
購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図3に示すように、ヒンジ24の折れ線24a上で折れ曲がり、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ24の折れ線24aに折癖が付けられる。
【0090】
購入者等が蓋体2から指を離して蓋体2を解放すると、折れ線24aの折癖によって、図4に示すように、蓋体2が開放状態に保持される。
【0091】
そこで、購入者等が図7(A)に示す摘み部7に指を引掛ける等して摘み部7を切り込み線6cに沿って引き裂き、さらに摘み部7を引っ張ることによって、同図(B)のように環状の引き裂き部6をインナーシール部5から切除する。これにより、図4のようにインナーシール部5が開封され、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0092】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図5に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着され、このとき、係合圧接片28は、折り曲げ復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接する。これにより、蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0093】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図4に示すように持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2は図4に示す如く折れ線24aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。ここで、係合圧接片28は、折り曲げ復元力を有することから、蓋体2の開放状態では、外側に所定角度で傾斜している。
【0094】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図5に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着される。そのとき、係合圧接片28は、折り曲げ復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接することによって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0095】
このようにして、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器は紙シートで作製されているので、廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0096】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2は、ヒンジ24の両側が逆V字状の切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の外周面に当接してその状態を保持することにより、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、蓋体2で閉止される容器本体1の開口がインナーシール部5で密封されたことにより、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0098】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2の周面部21は、ヒンジ24と反対側が幅狭に形成され、この幅狭部26cと逆V字状の切欠部25との間が幅広に形成されていることにより、開蓋時に幅狭部26cに指を掛けて開蓋操作するため、指の掛ける位置が特定され、開蓋操作性を高めることができる。
【0099】
<第2実施形態>
図8は本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【0100】
なお、前記第1実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を用いて異なる構成及び作用を説明する。その他の実施形態も同様とする。
【0101】
図8に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器においては、容器本体1の上部開口端に内向きカール部10が形成されている。この内向きカール部10の上端は、インナーシール部11で密封される。
【0102】
このように本実施形態によれば、容器本体1の上端に内向きトップカール部10が形成されたことにより、容器本体1の開口縁が厚くなり、容器の再封性を一段と高めることができる。
【0103】
なお、本実施形態においては、容器本体1の上部開口端に内向きカール部10を形成したが、これに限らず外向きカール部を形成するようにしてもよい。
【0104】
<第3実施形態>
図9は本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す縦断面図である。
【0105】
図9に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器においては、蓋体2の天面部22の断面形状が上方に向けて開口する略「コ」の字形に形成される。この天面部22の外周の折り曲げ部分を周面部21の上端外側から包み込むように接着されて、蓋体2の上端に糸尻部12を形成している。
【0106】
このように本実施形態によれば、蓋体2の上端に糸尻部12を形成したことにより、蓋体2の強度を大幅に高めることができる。
【0107】
<第4実施形態>
図10乃至図12に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器の蓋体は、前記第1実施形態に係る蓋体2と異なり、天面部22の内面には、容器本体1の開口縁1aに当接しうる適度な防湿性を有したクッション材からなるクッション部30が取り付けられる。
【0108】
クッション材としては、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、スポンジ、エラストマー、ゲル状素材等を用いることができる。ここで、上記クッション材は、防湿効果を有するものが選定される。
【0109】
クッション部30は、本実施形態では天面部22と同一形の円板形に形成される。このクッション部30が接着剤等により天面部22の内面に貼着される。クッション部30は、円板形に限らず、リング形等他の形状に形成することも可能である。
【0110】
この蓋体2を備えた容器の開封は前記第1実施形態の場合と同様な操作によって行うことができる。すなわち、図10に示すように容器本体1に被せられた蓋体2を購入者等が容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図11に示すように、蓋体2はヒンジ24の折れ線24a上で折れ曲がり、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ24の折れ線24aに折癖が付けられる。
【0111】
そこで、購入者等がインナーシール部5を容器本体1の開口から除去すると、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0112】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図12に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着される。このとき、係合圧接片28は、折れ線29a上での折り曲げによる復元力を有することから蓋体2の周面部21の内面に圧接する。これにより、蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束され、購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0113】
また、蓋体2を容器本体1に再度被せた場合、天面部4の内面のクッション部30が容器本体1の開口縁1aに当接するので、外部の湿気の容器本体1内への侵入が遮断される。
【0114】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図11に示すように持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2はヒンジ24の折れ線24aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。その際、係合圧接片28は、折り曲げによる復元力を有することから、蓋体2の開放状態では、外側に所定角度で傾斜する。
【0115】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図12に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着される。そのとき、係合圧接片28は、折れ線29a上での折り曲げによる復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接することによって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0116】
また、蓋体2を容器本体1に再度被せた場合、前回と同様に、天面部22の内面のクッション部30が容器本体1の開口縁1aに当接する。クッション部30は容器本体1の開口縁1aに接して弾性変形することで密接する。また、クッション部30は防湿材で作られている。これにより、外部の湿気の容器本体1内への侵入がクッション部30によって遮断される。
【0117】
この場合、係合圧接片28は、折れ線29a上での折り曲げによる復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接し、或いは、係合圧接片28と折込片27とが破断後の切り離し線28a上で接触することから、これらがロック手段として機能する。このロック手段による蓋体2の拘束と上記クッション部30の弾性変形とが相俟ってシール部による防湿性が更に向上する。
【0118】
なお、クッション部30による蓋体2のシール性が当初から十分に確保される場合は、図10に示したインナーシール部5は省略することが可能である。
【0119】
このように本実施形態によれば、クッション部30が容器本体1の開口縁1aに当接するので、外部の湿気の容器本体1内への侵入が遮断され、残りの内容物aが長期間にわたって傷むことなく適正に保存されることとなる。そして、クッション部30のクッション材が防湿性を有するので、外部の湿気の容器本体1内への侵入がより遮断され、内容物aを一段と適正に保存することができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、クッション材が発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、スポンジ、エラストマー、ゲル状素材のいずれかにより形成されていることにより、外部の湿気の容器本体1内への侵入を防ぐことが可能となる。その他の構成及び作用は、前記第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0121】
なお、本実施形態において、天面部22の内面に容器本体1の開口縁1aに当接しうる適度な防湿性を有したクッション材からなるクッション部30は、図8に示す第2実施形態にも適用可能である。
【0122】
<第5実施形態>
図13に示すように、本実施形態の蓋体2は、前記第3実施形態に係る蓋体2と異なり、天面部22が図13に例示するような適度な防湿性を備えたクッション材層31を有した積層シート22aで形成され、この積層シート4aの防湿層31が容器本体1の開口縁1aに当接するようになっている。
【0123】
図13に示す積層シート22aは、外側からポリエチレン層/印刷インキ層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/ポリエチレン層/発泡ポリエチレン層の層構成を有する。
【0124】
なお、積層シートとしては、上記層構成のものに限らず、少なくとも防湿性を有する紙層(紙とアルミニウム箔の積層体等)を主体にして接着剤層(ポリエチレン層)を介して発泡ポリエチレン層を積層した層構成のものを採用することができる。クッション材層31も発泡ポリエチレンに限らず他の材料、例えば発泡ポリプロピレン、スポンジ、エラストマー、ゲル状素材等で形成することができる。
【0125】
この蓋体2を備えた容器本体1の開封と再封は前記第3実施形態の場合と同様な操作によって行うことができる。
【0126】
蓋体2を容器本体1に再度被せた場合、天面部22の内面のクッション材層31が容器本体1の開口縁1aに当接する。クッション材層31は容器本体1の開口縁1aに接して弾性変形することで密接する。これにより、外部の湿気の容器本体1内への侵入が遮断される。
【0127】
この場合、係合圧接片28は、折れ線29a上での折り曲げによる復元力を有することから蓋体2の周面部21内面に圧接し、或いは、係合圧接片28と折込片27とが破断後の切り離し線28a上で接触することから、これらがロック手段として機能する。このロック手段による蓋体2の拘束と上記クッション材層31の弾性変形とが相俟って容器の防湿性が更に向上する。
【0128】
なお、クッション材層31による蓋体2のシール性が当初から十分に確保される場合は、図13に示したインナーシール部5は省略することが可能である。
【0129】
このように本実施形態によれば、天面部22のクッション材層31が容器本体1の開口縁1aに当接するので、外部の湿気の容器本体1内への侵入が遮断され、残りの内容物aが長期間にわたって傷むことなく適正に保存されることとなる。そして、クッション材層31が防湿性を有するので、外部の湿気の容器本体1内への侵入がより遮断され、内容物aを一段と適正に保存することができる。
【0130】
また、本実施形態によれば、積層シート22aは、クッション材層31に接着剤層を介して紙が積層されていることにより、蓋体の強度を高め、外部の湿気の容器本体1への侵入を防ぐ環境性に優れた容器とすることができる。
【0131】
さらに、本実施形態によれば、クッション材層31は、発泡ポリエチレン,発泡ポリプロピレン,エラストマー,スポンジ,ゲル状素材のいずれかにより形成されていることにより、外部の湿気の容器本体1内への侵入を防ぐことが可能となる。その他の構成及び作用は、前記第3実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0132】
<第6実施形態>
図14及び図15に示すように、この第6実施形態に係る蓋体2は、前記第1実施形態の蓋体2と略同様な構成を有し、容器本体1にヒンジ24を介して連結可能であり、このヒンジ24を支点にして回動することにより容器本体1の開口を開閉するものである。蓋体2は、容器本体1の開口を覆う天面部22が設けられ、この天面部22の周縁から容器本体1の外周面に沿って垂下する周面部21が設けられ、この周面部21に上記ヒンジ24が一体的に設けられる。
【0133】
図17に示すように、この蓋体2は前記第1実施形態の蓋体2と異なり、ロック機能を高めるための図3に示した折込片27、係合圧接片28及び係合接着片29が、周面部21から省略されている。
【0134】
この蓋体2では、上記折込片27、係合圧接片28及び係合接着片29に代えて、図14乃至図16に示すように、蓋体2が容器本体1に接する箇所に、蓋体2を閉じ状態に保持する噛み合い歯機構33が設けられる。
【0135】
この噛み合い歯機構33は、蓋体2の内周面と容器本体1の外周面とに各々蓋体2の開閉方向に並ぶように設けられる噛み合い歯34,35の列によって構成される。そして、蓋体2側の噛み合い歯34は蓋体2を開ける方向、すなわち蓋体2の天面部22側に傾斜し、容器本体1側の噛み合い歯35は蓋体2を閉じる方向、すなわち容器本体1の底側に傾斜するように設けられる。
【0136】
この第6実施形態において、噛み合い歯34,35は、蓋体2側と容器本体1側のいずれにおいても各々複数個列状に並べられるが、蓋体2側と容器本体1側のいずれにおいても一個のみであってもよい。また、蓋体2側と容器本体1側のいずれか一方の噛み合い歯が一個で他方の噛み合い歯が複数個であってもよい。
【0137】
蓋体2側の噛み合い歯34は、例えばポリエチレン等の合成樹脂を射出成形することによって、図16、図20A乃至図20Dに示すように、蓋体側基板36と一体的に形成される。
【0138】
蓋体側基板36は、蓋体2の周面部21に沿うように湾曲し、噛み合い歯34がこの蓋体側基板36の湾曲凹面上に形成される。
【0139】
各噛み合い歯34は、蓋体側基板36の湾曲方向に長く伸び、蓋体側基板36の高さ方向に一定ピッチで多数配列される。また、各噛み合い歯34は、図20Dに示すように、断面略三角形に形成され、この三角形が蓋体2の天板部22側に傾斜するように形成される。この傾斜によって、各歯における蓋体2の天板部22側の歯面は蓋体側基板36の湾曲凹面に対し急斜面又は垂直面34aとして形成され、天板部22と反対側の歯面は蓋体側基板36の湾曲凹面に対し緩斜面34bとして形成される。
【0140】
この噛み合い歯34の傾斜方向を示すために、図20A及び図20Bに示すように上記蓋体側基板36の一辺には突起36aが形成される。この突起36aを指標とすることで噛み合い歯34の向きを間違えることなく蓋体側基板36を蓋体2に取り付けることが可能である。
【0141】
また、図20A乃至図20Dに示すように、蓋体側基板36の湾曲凸面上には、蓋体側基板36の輪郭に沿って凸条37が形成され、この凸条37を囲むように溝37aが形成される。凸条37は尖った稜線を有し、この稜線が湾曲凸面外に突出するように形成される。蓋体側基板36を蓋体2の周面部21の内面に超音波シール等によって接着する際、この凸条37が容易に溶けることから、蓋体側基板36が蓋体2の内面に簡易かつ迅速に接着される。
【0142】
なお、蓋体側基板36の湾曲凸面は、上記凸条37等を形成することなく平滑面としてもよい。また、蓋体2には超音波接着によることなく接着剤、両面粘着テープ等を用いて接着してもよい。
【0143】
容器本体1側の噛み合い歯35は、蓋体側の噛み合い歯34と同様な製造方法によって、図16、図21A乃至図21Dに示すように、容器本体側基板38と一体的に形成される。
【0144】
容器本体側基板38は容器本体1の周壁に沿うように湾曲し、噛み合い歯35がこの容器本体側基板38の湾曲凸面上に形成される。
【0145】
また、容器本体側基板38の湾曲凹面上には、上記蓋体側基板36と同様に凸条37や、凸条37を囲む溝37aが形成される。
【0146】
各噛み合い歯35は、容器本体側基板38の湾曲方向に長く伸び、容器本体側基板38の高さ方向に一定ピッチで多数配列される。この容器本体1側の噛み合い歯35は、上記蓋体2側の噛み合い歯24よりも容器本体側基板28の湾曲方向により長く伸びるように形成される。このように形成することで、蓋体2を閉じる時に蓋体2が捩じれたり傾斜したりしても噛み合い歯34,35同士の噛み合いがより正確に行われることになる。
【0147】
また、この容器本体1側の噛み合い歯35の個数は、蓋体2側の噛み合い歯34の個数よりも少ない。容器本体1側の噛み合い歯35は蓋体2を開いたときに容器本体1の外部に露出するが、このように噛み合い歯35の個数を少なくすることで、噛み合い歯35の存在を目立ち難くすることができる。もちろん、必要に応じて容器本体側の噛み合い歯35の個数を開閉蓋側の噛み合い歯34の個数よりも多くしてもよいし同数個にしてもよい。
【0148】
また、各噛み合い歯35は、図21Dに示すように、断面略三角形に形成され、この三角形が容器本体1の底側に傾斜するように形成される。この傾斜によって、各噛み合い歯35における容器本体1の底側の歯面は、容器本体側基板38の湾曲凸面に対して急斜面又は垂直面35aとして形成され、容器本体1の底と反対側の歯面は緩斜面35bとして形成される。
【0149】
各噛み合い歯35の傾斜方向を示すために、容器本体側基板38の一辺には突起38aが形成される。この突起38aの突出方向を指標とすることで噛み合い歯35の向きを間違えることなく容器本体側基板38を容器本体1に取り付けることが可能である。
【0150】
また、この容器本体側基板38の突起38aは湾曲縁を有しているのに対し、上記蓋体側基板36の突起36aは多角縁を有する。これらの突起38a,36aの形状を指標とすることで容器本体1と蓋体2との間での基板38,36の付け間違いが防止される。突起38a,36aの形状は必要に応じて他の所望の形状に変更可能である。
【0151】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0152】
蓋体2は、未開封のときは図15及び図16に示すような状態にある。
【0153】
この蓋体2が装着された蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、容器本体1の周壁における噛み合い歯機構33の下方の箇所を指で少しばかり押圧する。すると容器本体1の周壁が少しばかり撓み、噛み合い歯機構33における噛み合い歯34,35同士の噛み合いが解かれる。すなわち、噛み合った噛み合い歯34,35間で急斜面又は垂直面34a,35a同士の接触が解消される。
【0154】
そこで、購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図18に示すように、ヒンジ24が折れ線24a上で折れ曲がり、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ24の折れ線24aに折癖が付けられる。
【0155】
購入者等が蓋体2から指を離し蓋体2を解放しても、折れ線24aの折癖によって、蓋体2が開放状態に保持される。
【0156】
購入者等はインナーシール部5を容器本体1の開口から除去することによって、内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0157】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図19に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被さる。この蓋体2が被さりつつあるとき、噛み合い歯機構33における噛み合い歯34,35間の緩斜面34b,35b同士が接触するので、蓋体2の閉じ動作は円滑に行われる。
【0158】
蓋体2が閉じ切ったところで、図19に示すように、噛み合い歯機構33の噛み合い歯34,35同士が再び噛み合う。すなわち、両噛み合い歯34,35間で急斜面又は垂直面34a,35a同士が接触する。これにより、蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束され、購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。閉状態において噛み合い歯34,35間の急斜面又は垂直面34a,35aが返しとして機能し、そのため蓋体2の閉状態は強固に維持される。
【0159】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、容器本体1における噛み合い歯機構33の下方を指で少しばかり押圧し、蓋体2を図18に示すように持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2はヒンジ24の折れ線24aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0160】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図19に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着される。
【0161】
このようにして、この蓋付き容器は、開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、噛み合い歯機構33の噛み合いによって蓋体2の閉じ状態が適正に保持される。従って、容器の密閉性を維持して中味の保存性を高めることができ、容器携帯時等における不意な開蓋を防止することができる。また、使用者は蓋体2側の噛み合い歯34が容器本体1側の噛み合い歯35を乗り越えることによるクリックストップ感を得ることができるので、蓋体2の開閉を感知しやすくなる。
【0162】
また、図14乃至図16から明らかなように、蓋体2を閉じると噛み合い歯機構33が蓋体2の周面部21によって隠蔽されるので、蓋体2の外面における突起物が低減し、また、蓋付き容器としての見栄えが向上する。
【0163】
なお、第6実施形態において他の実施形態と同じ箇所には同一符号を用いて示し、重複した説明を省略する。
【0164】
<第7実施形態>
図22に示すように、この第7実施形態の蓋体2における噛み合い歯機構33は、蓋体2の外周面と、容器本体1の外周面から蓋体2の外周面に向かって突出する腕片39とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯34,35によって構成される。そして、蓋体2側の噛み合い歯34は蓋体2を開ける方向すなわち蓋体2の天面部22側に傾斜し、腕片39側の噛み合い歯は蓋体2を閉じる方向すなわち容器本体1の底側に傾斜するように設けられる。
【0165】
蓋体2側の噛み合い歯34は、蓋体側基板36に形成される。この蓋体側基板36は、前記第6実施形態の蓋体側基板36とは異なり、蓋体2の外周面に貼着される。そして、噛み合い歯34は蓋体側基板36の外周面上に一体的に形成される。この場合、噛み合い歯34は一個のみ設けられるが、前記第6実施形態と同様に複数個設けることも可能である。
【0166】
また、蓋体側基板36の外周面には、この外周面から垂直に立ち上がるように突起40が設けられる。この突起40は蓋体2の開閉の際に指で摘む摘み片として機能し、或いは噛み合った噛み合い歯34,35間の隙間を遮蔽する遮蔽物として機能する。
【0167】
容器本体1側の噛み合い歯35は、容器本体側基板38に形成される。この容器本体側基板38は、容器本体1に被さった蓋体2の下端よりも下方の容器本体1の外周面に貼着される。
【0168】
この容器本体側基板38の上端には、腕片39が一体的に設けられる。腕片39は容器本体側基板38から半径方向外側へと突出し、その先から蓋体2の外周面に沿って立ち上がるように形成される。この腕片39の立ち上がった部分に複数個の噛み合い歯35が形成され、これらの噛み合い歯35が蓋体2側の噛み合い歯34と噛み合う。
【0169】
このように蓋体2側の噛み合い歯34と容器本体1側の噛み合い歯35とが蓋体2の外側で噛み合うようにすると、噛み合い歯機構33が蓋体2の外に露出するので、使用者は噛み合い状態を視認しやすくなり、蓋体2が閉じたか否かを容易に確認することができる。
【0170】
その他、第7実施形態において他の実施の形態と同じ箇所には同一符号を用いて示し、重複した説明を省略する。
【0171】
<第8実施形態>
図23乃至図25に示すように、この第8実施形態の蓋付き容器では、噛み合い歯機構33が前記第6実施形態の蓋付き容器と同様に設けられるが、第7実施形態とは異なり、この実施形態では容器本体1の上端に内向きカール部10が形成され、この内向きカール部10上にシート状のインナーシール部11がヒートシール等により貼着される。このインナーシール部11によって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0172】
このインナーシール部11は、図25に示すように、舌片11bを有し、この舌片11bが蓋体2側の噛み合い歯34と容器本体1側の噛み合い歯35との間に、除去可能に挿入される。
【0173】
この舌片11bに代えてインナーシール部11とは別体のシート片を蓋体2側の噛み合い歯34と容器本体1側の噛み合い歯35との間に挿入してもよい。また、このシート片を蓋体2側の噛み合い歯34に剥離可能な接着剤等によって貼着してもよい。
【0174】
蓋体2とインナーシール部11は、未開封のときは図23乃至図25に示すような状態にある。
【0175】
この蓋体2が装着された蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、容器本体1の周壁における噛み合い歯機構33の下方の箇所を指で押圧することなく、単に蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げることで足りる。
【0176】
すなわち、噛み合い歯機構33の噛み合いが舌片11bの介在によって阻止又は緩和されていることから、容器本体1を初めて開封するにあたって、蓋体2を極めて円滑に開けることができる。
【0177】
蓋体2を開けると、図26に示すように、ヒンジ24が折れ線24a上で折れ曲がり、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ24の折れ線24aに折癖が付けられる。
【0178】
購入者等が蓋体2から指を離し蓋体2を解放しても、折れ線24aの折癖によって、蓋体2が開放状態に保持される。
【0179】
購入者等はインナーシール部11を容器本体1の内向きカール部10から剥し取ることによって、内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0180】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図27に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被さる。この蓋体2が被さりつつあるとき、噛み合い歯機構33における噛み合い歯34,35間の緩斜面34b,35b同士が接触するので、蓋体2の閉じ動作は円滑に行われる。
【0181】
蓋体2が閉じ切ったところで、図27に示すように、噛み合い歯機構33の噛み合い歯34,35同士が再び噛み合う。すなわち、両噛み合い歯34,35間で急斜面又は垂直面34a,35a同士が接触する。これにより、蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束され、購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。閉状態において噛み合い歯34,35間の急斜面又は垂直面34a,35aが返しとして機能し、そのため蓋体2の閉状態は強固に維持される。
【0182】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、容器本体1における噛み合い歯機構33の下方を指で少しばかり押圧し、蓋体2を図26に示すように持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2はヒンジ24の折れ線24aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0183】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図27に示すように、蓋体2の周面部21及び天面部22が容器本体1の上部に被着される。
【0184】
なお、図24に示すように、容器本体1の底蓋3の上にはスポンジ等からなるクッションシート41が載せられ底蓋3に貼着される。このクッションシート41の緩衝作用により、内容物aの衝突による異音等の発生が防止される。
【0185】
その他、第8実施形態において他の実施の形態と同じ箇所には同一符号を用いて示し、重複した説明を省略する。
【0186】
<第9実施形態>
図28に示すように、この第9実施形態の蓋付き容器では、容器本体1の上端に内向きカール部10上にシート状のインナーシール部11がヒートシール等により貼着される。このインナーシール部11によって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0187】
また、前記第7実施形態と同様な噛み合い歯機構33が採用されるが、上記インナーシール部11の舌片11bが開閉蓋側の噛み合い歯34と容器本体側の噛み合い歯35との間に、除去可能に挿入される。
【0188】
なお、この舌片11bに代えてインナーシール部11とは別体のシート片を蓋体2側の噛み合い歯34と容器本体1側の噛み合い歯35との間に挿入してもよい。また、このシート片を蓋体2側の噛み合い歯34に剥離可能な接着剤等によって貼着してもよい。
【0189】
この蓋体2が装着された蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、蓋体2の周壁における噛み合い歯機構33の箇所を指で押圧することなく、単に蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げることで足りる。
【0190】
すなわち、噛み合い歯機構33の噛み合いが舌片11bの介在によって阻止又は緩和されていることから、容器本体1を初めて開封するにあたって、蓋体2を極めて円滑に開けることができる。
【0191】
その他、第9実施形態において他の実施の形態と同じ箇所には同一符号を用いて示し、重複した説明を省略する。
【0192】
なお、本発明は上記第1〜第9実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0193】
1…容器本体
1a…開口縁
2…蓋体
3…底蓋
4…糸尻
5…インナーシール部
6…引き裂き部
7…摘み部
10…内向きカール部
21…周面部
21a…内向きカール部
22…天面部
24…ヒンジ
28…係合圧接片
28a…切り離し線
29…係合接着片
30…クッション部
31…クッション材層
33…噛み合い歯機構
34,35…噛み合い歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、
上記容器本体と、上記蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々円筒状に形成され、上記蓋体は、周面部とこの周面部の開口縁に接合された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体と上記容器本体とが接する箇所に、この蓋体を閉じ状態に保持する噛み合い歯機構が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋付き容器において、
上記噛み合い歯機構は、上記蓋体の内周面と上記容器本体の外周面とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯によって構成され、上記蓋体側の噛み合い歯は上記蓋体の天面部側に傾斜し、上記容器本体側の噛み合い歯は上記容器本体の底側に傾斜するように設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項4】
請求項2に記載の蓋付き容器において、
上記噛み合い歯機構は、上記蓋体の外周面と上記容器本体の外周面から上記蓋体の外周面に向かって突出する腕片とに各々設けられる一個又は複数個の噛み合い歯によって構成され、上記蓋体側の噛み合い歯は上記蓋体の天面部側に傾斜し、上記腕片側の噛み合い歯は上記容器本体の底側に傾斜するように設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の噛み合い歯と上記容器本体側又は上記腕片側の噛み合い歯との間に、シートが除去可能に挿入されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項6】
請求項1に記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の上記ヒンジと結合した反対側の位置に、閉蓋時に上記蓋体の周面部内面に圧接する係合片を接合したことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
請求項6に記載の蓋付き容器において、
上記係合片は、上記蓋体の周面部内面に折り込まれる折込片と切り離し線により区分され、開蓋時に上記切り離し線に沿って切り離されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項8】
請求項1に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の天面部は、上記容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材層を有した積層シートで形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項9】
請求項8に記載の蓋付き容器において、
上記積層シートは、上記クッション材層に接着剤層を介して防湿性を有する紙が積層されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項10】
請求項1に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項11】
請求項10に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の周面部は、上記ヒンジと反対側が幅狭に形成され、この幅狭部と上記逆V字状切欠部との間が幅広に形成されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の一端に内向きトップカール部が形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記蓋体で閉止される上記容器本体の開口がインナーシール部で密封されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項14】
請求項13に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項15】
請求項13に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に引き裂き部が切り込み線によって形成され、外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も引き裂かれるように形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項17】
請求項1に記載の蓋付き容器において、
上記天面部の内面に上記容器本体の開口縁に当接しうる少なくともクッション材からなるクッション部が取り付けられたことを特徴とする蓋付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−132344(P2010−132344A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128044(P2009−128044)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】