蓋体の開閉機構およびこれを備えた電子機器
【課題】簡単な構造で、且つコンパクトな蓋体の開閉機構を提供する。
【解決手段】プリンターユニット2に開閉自在に取り付けたスキャナーユニット3に設けられ、スキャナーユニット3の開閉に伴って円運動する湾曲突起部131と、プリンターユニット2に設けられ、円運動する湾曲突起部131に摺接する突起受け部132と、を備え、湾曲突起部131および突起受け部132の少なくとも一方は、開放状態のスキャナーユニット3から受けるモーメント荷重に抗してスキャナーユニット3を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏する。
【解決手段】プリンターユニット2に開閉自在に取り付けたスキャナーユニット3に設けられ、スキャナーユニット3の開閉に伴って円運動する湾曲突起部131と、プリンターユニット2に設けられ、円運動する湾曲突起部131に摺接する突起受け部132と、を備え、湾曲突起部131および突起受け部132の少なくとも一方は、開放状態のスキャナーユニット3から受けるモーメント荷重に抗してスキャナーユニット3を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装置本体に対し開閉自在に構成された蓋体を、開放位置に保持可能な蓋体の開閉機構およびこれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋体の開閉機構として、プリンターの上側にスキャナーを取り付けた複合機において、プリンターの上部を開放すべく蓋体であるスキャナーを、ヒンジ(開閉機構)を中心に開閉するものが知られている(特許文献1参照)。
このヒンジは、プリンターに取り付けた筒状のケースと、スキャナーに取り付けられ、カム部を有する回動体と、ケースに対しスライド自在に収容され、回動体の回動に伴ってカム部に摺接する斜面を有するくさび体と、ケースに収容され、くさび体を回動体側に付勢するコイルばねと、を備えている。スキャナーが閉塞位置に回動している状態では、回動体のカム部とくさび体の斜面との間のカム作用により、スキャナーに閉塞方向のモーメントが作用する。この状態からスキャナーを開放方向に回動させると、回動体のカム部は、くさび体の斜面に対し死点越えをした後、斜面の他の部分に接触する。そして、スキャナーを開放位置に回動すると、カム部と斜面とのカム作用により、スキャナーに開放方向のモーメントが作用する。これにより、スキャナーは、開放位置に保持される。
また、他の蓋体の開閉機構として、上記と同様の複合機において、記録ユニット(プリンター)の上部を開放すべく読取ユニット(スキャナー)を、トーションバー機構およびジョイントユニットにより開閉するものが知られている(特許文献2参照)。
この場合、トーションバー機構は、固定側の腕部とねじり側の腕部をそれぞれ有する2本のトーションバーで構成されており、そのバネ力により読取ユニットを開放方向に付勢している。一方、ジョイントユニットは、上部を読取ユニットに連結され、起立姿勢で読取ユニットを開放位置に保持するジョイントと、ジョイントを横臥する方向に付勢するジョイントばねと、ジョイントにおける起立姿勢と横臥姿勢との間の移動をガイドするガイドレールを形成したジョイント下カバーおよびジョイント上カバーと、を有している。読取ユニットのロックを解除すると、トーションバー機構により読取ユニットが跳ね上げられ、この状態からユーザーが読取ユニットを開放すると、ジョイントが引き上げられつつジョイントばねのバネ力により、ジョイントが起立する。これにより、読取ユニットは開放位置に保持される。またこの状態から、ユーザーが読取ユニットに閉塞方向の力を加えると、ジョイントばねおよびトーションバーに抗してジョイントがたおれてゆき、読取ユニットが閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−116208号公報
【特許文献2】特開2004−235943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の蓋体の開閉機構では、いずれも蓋体(スキャナー)を開放位置に保持することができるものの、特殊な機構やバネを用いるため構造が複雑になる問題があった。また、構造の複雑化に伴い開閉機構が大型化し、複合機の内部に開閉機構を収容するための十分なスペースが必要となる問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構造で、且つコンパクトな蓋体の開閉機構およびこれを備えた電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋体の開閉機構は、装置本体に開閉自在に取り付けた蓋体に設けられ、蓋体の開閉に伴って円運動する湾曲突起部と、装置本体に設けられ、円運動する湾曲突起部に摺接する突起受け部と、を備え、湾曲突起部および突起受け部の少なくとも一方は、開放状態の蓋体から受けるモーメント荷重に抗して蓋体を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、蓋体に設けられた湾曲突起部、および/または装置本体に設けられた突起受け部の持つバネ性によるバネ力を、相互の接触方向に発揮させることにより、蓋体を開放位置に保持する。この場合のバネ力は、湾曲突起部と突起受け部との相互の摺接部分の凹凸形状により変化するため、摺接部分の凹凸形状により、蓋体を開放位置に保持する保持力や蓋体を閉塞方向に摺動させる閉塞力を、自在に調整することができる。また、蓋体の湾曲突起部と装置本体の突起受け部とにより、蓋体を開放位置に保持することができるため、この部分の構造を極端に単純化することができ、且つこの部分をコンパクトに構成することができる。
【0008】
この場合、開放状態における突起受け部の湾曲突起部との摺接部分は、摩擦力が大きくなるように凸状に形成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、突起受け部の湾曲突起部との摺接部分を凸状とする、簡単な形状変更により、開放位置における蓋体の保持力を大きくすることができる。
【0010】
また、湾曲突起部および突起受け部は、蓋体が閉塞した状態で摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、閉塞状態の蓋体が装置本体から浮き上がることがなく、ロック機構等を用いることなく、蓋体を完全閉塞することができる。
【0012】
一方、装置本体に設けられ、蓋体の開放端位置を規制する位置規制部を、更に備え、湾曲突起部は、開放端位置で位置規制部に係止されるストッパー係止部を有していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、装置本体の位置規制部と蓋体(湾曲突起部)のストッパー係止部との協働により、簡単な構造で、蓋体の開放端位置を適切に位置規制することができる。
【0014】
また、蓋体は、樹脂製の蓋体フレームを有し、湾曲突起部は、蓋体フレームと一体に成形されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、蓋体の湾曲突起部を、位置精度良く且つ簡単に形成することができ、開閉機構廻りのコストダウンを達成することができる。
【0016】
同様に、装置本体は、樹脂製の装置フレームを有し、突起受け部は、装置フレームと一体に成形されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、装置本体の突起受け部を、位置精度良く且つ簡単に形成することができ、開閉機構廻りのコストダウンを達成することができる。
【0018】
本発明の電子機器は、上記した蓋体の開閉機構を備えたことを特徴とする。
【0019】
この場合、蓋体は、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置を備え、装置本体は、記録媒体に画像の記録を行う画像記録装置を備えることが好ましい。
【0020】
これらの構成によれば、開閉機構を簡単な構造で且つコンパクトに構成することができるため、全体として装置の小型化とコストダウンを達成することができる。また、画像読取装置を開放位置に保持することができるため、メンテナンス等において、画像記録装置の上部を適切に開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図6】装置フレームを示した斜視図である。
【図7】開閉機構周りを示した側面視断面図である。
【図8】スキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した側面図である。
【図9】(a)は、スキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。(b)は、スキャナーユニット閉塞時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。
【図10】第1実施形態(a)および第2実施形態(b)における、回動角度に対するスキャナーユニットの保持に必要な力と、湾曲突起部で発生する摩擦力とを示した図である。
【図11】第2実施形態におけるスキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した側面図である。
【図12】第2実施形態におけるスキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る開閉機構を適用した複合機(電子機器)について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、装置本体であるプリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット(画像読取装置:蓋体)3と、を一体に備えている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0023】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、開閉機構4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろし、プリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0024】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体である樹脂製のアッパーフレーム(蓋体フレーム)11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。また、詳細は後述するが、アッパーフレーム11の後端部には、上記開閉機構4のスキャナーユニット3側の構成部材が設けられている。
【0025】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0026】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)方式のラインセンサーであるイメージセンサー(センサー部)41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。なお、イメージセンサーとして、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)方式のラインセンサーを用いても良い。
【0027】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。
【0028】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2、図5に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0029】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0030】
図5に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0031】
図5に示すように、搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(プラテンに相当する)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0032】
給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、同様に排紙ローラー96は、下側の排紙駆動ローラー96aと上側の排紙従動ローラー96bとから成るニップローラーで構成されている。また、ガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。そして、給紙ローラー93は、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー96は、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。
【0033】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0034】
図6は、装置フレーム64を示した斜視図である。図6に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部を支持すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、開閉機構4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0035】
一対のリアフレーム部64dは、装置ハウジング65の後部に開口した後部開口部を介して装置ハウジング65外部まで立設しており、詳細は後述するが、開閉機構4のプリンターユニット2側の構成部材が形成されている。
【0036】
ここで図7ないし図10を参照して、開閉機構4について詳細に説明する。図7は、開閉機構4周りを示した側面視断面図である。図7に示すように、開閉機構4は、アッパーフレーム11の後端部に設けられた部材と、リアフレーム部64dに形成された部材とで構成されており、スキャナーユニット3をその奥側の端部(後端部)を中心に回動して開閉させる。具体的には、開閉機構4は、複合機1の後端部において、プリンターユニット2に対しスキャナーユニット3を回動自在に連結する左右一対のヒンジ部111と、左側のヒンジ部111の前方に配設され、スキャナーユニット3を開放状態で保持する左側一方の開放保持部112と、を備えている。
【0037】
各ヒンジ部111は、上ケース17の後端部に一体に形成された上ヒンジ部121と、各リアフレーム部64dに形成された下ヒンジ部122と、上ヒンジ部121および下ヒンジ部122を連結するヒンジピン123と、を有している。上ヒンジ部121およびヒンジピン123は、装置フレーム64と一体に成形されている。
【0038】
上ヒンジ部121は、ヒンジピン123に回転自在に外包する円形のガイド穴126と、ガイド穴126の径方向に開口し、ヒンジピン123を径方向から入れ込んで上ヒンジ部121をヒンジピン123に装着する着脱溝127と、を有している。一方、ヒンジピン123は、上部および下部を欠いた長円形の断面を有している。よって、スキャナーユニット3を、着脱溝127が側方に位置するよう回動させることで、ヒンジピン123から上ヒンジ部121を着脱することができる。すなわち、スキャナーユニット3を容易に組み付けることができる。
【0039】
図8は、スキャナーユニット3開放時の開放保持部112周り示した側面図である。図9(a)は、スキャナーユニット3開放時の開放保持部112周りを示した裏面斜視図である。図9(b)は、スキャナーユニット3閉塞時の開放保持部112周りを示した裏面斜視図である。図7ないし図9に示すように、開放保持部112は、アッパーフレーム11の下ケース16に一体に成形され、プリンターユニット2側に突出した湾曲突起部131と、左側のリアフレーム部64dに形成され、湾曲突起部131が後方から摺接する階段状の突起受け部132と、左側のリアフレーム部64dに形成され、湾曲突起部131を開放端位置で係止する位置規制部133と、を有している。湾曲突起部131が突起受け部132に摺接し、強い摩擦力を発生させることで、スキャナーユニット3を開放状態で保持する。
【0040】
湾曲突起部131は、アッパーフレーム11から下後方に延在しており、突起受け部132からの接触応力によって湾曲するバネ性を有している(樹脂バネ)。湾曲突起部131は、スキャナーユニット3の開閉動作に伴い、ヒンジ部111を中心に円運動するが、この際、バネ性を奏して突起受け部132に後方から接触(摺接)する。また、湾曲突起部131には、延在方向に先上がりで傾斜する先端面136が形成され、当該先端面136と、当該先端面136に連なる前方側面137とが突起受け部132に摺接する。さらに、湾曲突起部131は、左側方に突出し、位置規制部133に係止されるストッパー係止部138を有している。
【0041】
位置規制部133は、突起受け部132の左側方に並設したフレーム板(図示省略)に支持されており、フレーム板と共に、リアフレーム部64dと一体に形成されている。位置規制部133は、ストッパー係止部138の円運動軌道上に配設され、スキャナーユニット3を最大開放した際の円運動位置で、ストッパー係止部138が下側から突き当たり係止される。すなわち、位置規制部133によって、スキャナーユニット3の開放端位置が規制されている。
【0042】
突起受け部132は、湾曲突起部131の円運動軌道に倣って延在し、且つ湾曲突起部131側(摺接側)に部分的に山形の凸状に形成した摺接面141を有している。摺接面141が、湾曲突起部131の円運動軌跡を越えて突出するほど、ばね性を持って摺接した湾曲突起部131が微妙に湾曲して両者間の摩擦力が高まり、スキャナーユニット3の保持力および回動抵抗力が高まる。第1実施形態では、摺接面141が、円運動の方向に並んで、湾曲突起部131側に凸状形成した3つの凸状部141aを有する。これによって、スキャナーユニット3の3つの回動角度で、保持力および回動抵抗力を得ることができ、3つの開放位置(回動角度)で十分に保持可能に構成されている。一方、凸状部141aは、スキャナーユニット3が閉塞した状態(0°位置)で摺接する位置を避けて形成されており、すなわち、閉塞状態では、摩擦力がゼロとなるような形状に形成されている。なお、下端の3段階目は、急激な閉塞を阻止する負荷部分として機能させるようにしても良い。
【0043】
厳密には、湾曲突起部131は、凸状部141aに対し、開放状態のスキャナーユニット3から受けるモーメント荷重に抗してスキャナーユニット3を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力(ユーザーの閉塞しようとする力G:例えば、0.1kgf≦G≦1kgf)を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、接触方向に付勢するバネ性を奏している。これにより、ユーザーは、スキャナーユニット3の開閉において、強弱の負荷を感じ、その感触として複数段階の開放位置を把握する。
【0044】
図10(a)は、スキャナーユニット3の回動角度に対するスキャナーユニット3の保持に必要な力(スキャナーユニット3から受けるモーメント荷重)と、湾曲突起部131で発生する摩擦力(バネ力)と示した図である。図10(a)に示すように、回動角度によって、スキャナーユニット3の保持に必要な力が変化する。対象の回動角度において、上記必要な力を超える摩擦力を発生させることで、スキャナーユニット3の保持することができる。上記したように、本実施形態では、3つの回動角度で、スキャナーユニット3を保持するため、対象の3つの回動角度で、上記必要な力を超える摩擦力を発生させる。すなわち、当該摩擦力を発生させるように、摺接面141を形成している。
【0045】
次に、図10(b)、図11および図12を参照して、第2実施形態の開放保持部112について説明する。図11に示すように、第2実施形態の開放保持部112においては、湾曲突起部131は、アッパーフレーム11から下後方に延在し、且つ弓なりに形成されている。これにより、湾曲突起部131のバネ性を向上させている。湾曲突起部131は、曲線状の前方側面137を有し、前方側面137において、突起受け部132に摺接する。一方、突起受け部132は、湾曲突起部131の円運動軌道に倣う曲線状に延在し、且つ上下両端において、湾曲突起部131側に凸状形成した摺接面141を有している。上下端の凸状部141aは、スキャナーユニット3の開放位置(例えば、40°)と、閉塞位置手前(例えば、10°)に対応して形成されており、下端の凸状部141aは、なだらかな山形形状となっている。このような構成により、図10(b)に示すように、開放位置では、必要な力を越える摩擦力を発生させてスキャナーユニット3を保持し、閉塞位置近傍では、回動抵抗を発生させて、急激な閉塞を阻止するように調整されている。また、第1実施形態と同様、スキャナーユニット3が完全に閉塞した状態(0°位置)では、スキャナーユニット3がプリンターユニット2から浮き上った状態とならないように、摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることが好ましい。
【0046】
以上の構成によれば、開放保持部112において、湾曲突起部131の持つバネ性によるバネ力を、接触方向に発揮させることにより、スキャナーユニット3を開放位置に保持する。この場合のバネ力は、湾曲突起部131と突起受け部132との相互の摺接部分の凹凸形状により変化するため、摺接部分の凹凸形状により、スキャナーユニット3を開放位置に保持する保持力や蓋体を閉塞方向に摺動させる閉塞力(回動抵抗力)を、自在に調整することができる。また、スキャナーユニット3の湾曲突起部131とプリンターユニット2の突起受け部132とにより、スキャナーユニット3を開放位置に保持することができるため、この部分の構造を極端に単純化することができ、且つこの部分をコンパクトに構成することができる。
【0047】
また、突起受け部132の湾曲突起部131との摺接部分を凸状とする、簡単な形状変更により、開放位置における蓋体の保持力を大きくすることができる。
【0048】
また、位置規制部133とストッパー係止部138とを有することで、プリンターユニット2の位置規制部133とスキャナーユニット3(湾曲突起部131)のストッパー係止部138との協働により、簡単な構造で、蓋体の開放端位置を適切に位置規制することができる。
【0049】
さらに、湾曲突起部131をアッパーフレーム11と一体に成形することにより、湾曲突起部131を、位置精度良く且つ簡単に形成することができる。同様に、突起受け部132を、装置フレーム64と一体に成形することにより、突起受け部132を、位置精度良く且つ簡単に形成することができる。これらによって、開閉機構4廻りのコストダウンを達成することができる。
【0050】
また、湾曲突起部131が、スキャナーユニット3が閉塞した状態で摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることにより、閉塞状態のスキャナーユニット3が装置本体から浮き上がることがなく、ロック機構等を用いることなく、蓋体を完全閉塞することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、湾曲突起部131のみによって上記バネ性を奏する構成であったが、湾曲突起部131および突起受け部132によって、上記バネ性を奏する構成であっても良いし、突起受け部132のみによって、上記バネ性を奏する構成であっても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、湾曲突起部131の形状を調整して、保持力および回動抵抗力(閉塞力)を調整するものであったが、突起受け部132の形状を調整して、保持力および回動抵抗力を調整するものであっても良いし、湾曲突起部131および突起受け部132の形状をそれぞれ調整して、保持力および回動抵抗力を調整するものであっても良い。
【0053】
さらに、本実施形態においては、湾曲突起部131をアッパーフレーム11に一体と成形し、突起受け部132を装置フレーム64(リアフレーム部64d)と一体に成形するものであったが、これらを各フレームと別体として成形し、各フレームに取り付けるものであっても良い。
【0054】
またさらに、本実施形態においては、蓋体であるスキャナーユニット3の開閉機構4に、本発明を適用したが、これに限るものではない。例えば、スキャナーユニット3の上蓋13の開閉機構に本発明を適用するものであっても良い。
【0055】
また、本実施形態においては、左側に1つの開放保持部112を配設する構成であったが、左右一対の開放保持部112を配設する構成であってもよい。
【0056】
なお、保持力および回動抵抗力の調整は、上記各実施形態に限らず、例えば、回動抵抗力に強弱を与え、クリック感を出すものであっても良いし、保持力を一定にして、どの回動角度においても保持可能に構成するものであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1;複合機、 2:プリンターユニット、 3:スキャナーユニット、 4:開閉機構、 11:アッパーユニット、 64:装置フレーム、 131:湾曲突起部、 132:突起受け部、 133:位置規制部、 138:ストッパー係止部
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装置本体に対し開閉自在に構成された蓋体を、開放位置に保持可能な蓋体の開閉機構およびこれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋体の開閉機構として、プリンターの上側にスキャナーを取り付けた複合機において、プリンターの上部を開放すべく蓋体であるスキャナーを、ヒンジ(開閉機構)を中心に開閉するものが知られている(特許文献1参照)。
このヒンジは、プリンターに取り付けた筒状のケースと、スキャナーに取り付けられ、カム部を有する回動体と、ケースに対しスライド自在に収容され、回動体の回動に伴ってカム部に摺接する斜面を有するくさび体と、ケースに収容され、くさび体を回動体側に付勢するコイルばねと、を備えている。スキャナーが閉塞位置に回動している状態では、回動体のカム部とくさび体の斜面との間のカム作用により、スキャナーに閉塞方向のモーメントが作用する。この状態からスキャナーを開放方向に回動させると、回動体のカム部は、くさび体の斜面に対し死点越えをした後、斜面の他の部分に接触する。そして、スキャナーを開放位置に回動すると、カム部と斜面とのカム作用により、スキャナーに開放方向のモーメントが作用する。これにより、スキャナーは、開放位置に保持される。
また、他の蓋体の開閉機構として、上記と同様の複合機において、記録ユニット(プリンター)の上部を開放すべく読取ユニット(スキャナー)を、トーションバー機構およびジョイントユニットにより開閉するものが知られている(特許文献2参照)。
この場合、トーションバー機構は、固定側の腕部とねじり側の腕部をそれぞれ有する2本のトーションバーで構成されており、そのバネ力により読取ユニットを開放方向に付勢している。一方、ジョイントユニットは、上部を読取ユニットに連結され、起立姿勢で読取ユニットを開放位置に保持するジョイントと、ジョイントを横臥する方向に付勢するジョイントばねと、ジョイントにおける起立姿勢と横臥姿勢との間の移動をガイドするガイドレールを形成したジョイント下カバーおよびジョイント上カバーと、を有している。読取ユニットのロックを解除すると、トーションバー機構により読取ユニットが跳ね上げられ、この状態からユーザーが読取ユニットを開放すると、ジョイントが引き上げられつつジョイントばねのバネ力により、ジョイントが起立する。これにより、読取ユニットは開放位置に保持される。またこの状態から、ユーザーが読取ユニットに閉塞方向の力を加えると、ジョイントばねおよびトーションバーに抗してジョイントがたおれてゆき、読取ユニットが閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−116208号公報
【特許文献2】特開2004−235943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の蓋体の開閉機構では、いずれも蓋体(スキャナー)を開放位置に保持することができるものの、特殊な機構やバネを用いるため構造が複雑になる問題があった。また、構造の複雑化に伴い開閉機構が大型化し、複合機の内部に開閉機構を収容するための十分なスペースが必要となる問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構造で、且つコンパクトな蓋体の開閉機構およびこれを備えた電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋体の開閉機構は、装置本体に開閉自在に取り付けた蓋体に設けられ、蓋体の開閉に伴って円運動する湾曲突起部と、装置本体に設けられ、円運動する湾曲突起部に摺接する突起受け部と、を備え、湾曲突起部および突起受け部の少なくとも一方は、開放状態の蓋体から受けるモーメント荷重に抗して蓋体を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、蓋体に設けられた湾曲突起部、および/または装置本体に設けられた突起受け部の持つバネ性によるバネ力を、相互の接触方向に発揮させることにより、蓋体を開放位置に保持する。この場合のバネ力は、湾曲突起部と突起受け部との相互の摺接部分の凹凸形状により変化するため、摺接部分の凹凸形状により、蓋体を開放位置に保持する保持力や蓋体を閉塞方向に摺動させる閉塞力を、自在に調整することができる。また、蓋体の湾曲突起部と装置本体の突起受け部とにより、蓋体を開放位置に保持することができるため、この部分の構造を極端に単純化することができ、且つこの部分をコンパクトに構成することができる。
【0008】
この場合、開放状態における突起受け部の湾曲突起部との摺接部分は、摩擦力が大きくなるように凸状に形成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、突起受け部の湾曲突起部との摺接部分を凸状とする、簡単な形状変更により、開放位置における蓋体の保持力を大きくすることができる。
【0010】
また、湾曲突起部および突起受け部は、蓋体が閉塞した状態で摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、閉塞状態の蓋体が装置本体から浮き上がることがなく、ロック機構等を用いることなく、蓋体を完全閉塞することができる。
【0012】
一方、装置本体に設けられ、蓋体の開放端位置を規制する位置規制部を、更に備え、湾曲突起部は、開放端位置で位置規制部に係止されるストッパー係止部を有していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、装置本体の位置規制部と蓋体(湾曲突起部)のストッパー係止部との協働により、簡単な構造で、蓋体の開放端位置を適切に位置規制することができる。
【0014】
また、蓋体は、樹脂製の蓋体フレームを有し、湾曲突起部は、蓋体フレームと一体に成形されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、蓋体の湾曲突起部を、位置精度良く且つ簡単に形成することができ、開閉機構廻りのコストダウンを達成することができる。
【0016】
同様に、装置本体は、樹脂製の装置フレームを有し、突起受け部は、装置フレームと一体に成形されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、装置本体の突起受け部を、位置精度良く且つ簡単に形成することができ、開閉機構廻りのコストダウンを達成することができる。
【0018】
本発明の電子機器は、上記した蓋体の開閉機構を備えたことを特徴とする。
【0019】
この場合、蓋体は、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置を備え、装置本体は、記録媒体に画像の記録を行う画像記録装置を備えることが好ましい。
【0020】
これらの構成によれば、開閉機構を簡単な構造で且つコンパクトに構成することができるため、全体として装置の小型化とコストダウンを達成することができる。また、画像読取装置を開放位置に保持することができるため、メンテナンス等において、画像記録装置の上部を適切に開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図6】装置フレームを示した斜視図である。
【図7】開閉機構周りを示した側面視断面図である。
【図8】スキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した側面図である。
【図9】(a)は、スキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。(b)は、スキャナーユニット閉塞時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。
【図10】第1実施形態(a)および第2実施形態(b)における、回動角度に対するスキャナーユニットの保持に必要な力と、湾曲突起部で発生する摩擦力とを示した図である。
【図11】第2実施形態におけるスキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した側面図である。
【図12】第2実施形態におけるスキャナーユニット開放時の開放保持部周りを示した裏面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る開閉機構を適用した複合機(電子機器)について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、装置本体であるプリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット(画像読取装置:蓋体)3と、を一体に備えている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0023】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、開閉機構4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろし、プリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0024】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体である樹脂製のアッパーフレーム(蓋体フレーム)11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。また、詳細は後述するが、アッパーフレーム11の後端部には、上記開閉機構4のスキャナーユニット3側の構成部材が設けられている。
【0025】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0026】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)方式のラインセンサーであるイメージセンサー(センサー部)41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。なお、イメージセンサーとして、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)方式のラインセンサーを用いても良い。
【0027】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。
【0028】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2、図5に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0029】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0030】
図5に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0031】
図5に示すように、搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(プラテンに相当する)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0032】
給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、同様に排紙ローラー96は、下側の排紙駆動ローラー96aと上側の排紙従動ローラー96bとから成るニップローラーで構成されている。また、ガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。そして、給紙ローラー93は、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー96は、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。
【0033】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0034】
図6は、装置フレーム64を示した斜視図である。図6に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部を支持すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、開閉機構4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0035】
一対のリアフレーム部64dは、装置ハウジング65の後部に開口した後部開口部を介して装置ハウジング65外部まで立設しており、詳細は後述するが、開閉機構4のプリンターユニット2側の構成部材が形成されている。
【0036】
ここで図7ないし図10を参照して、開閉機構4について詳細に説明する。図7は、開閉機構4周りを示した側面視断面図である。図7に示すように、開閉機構4は、アッパーフレーム11の後端部に設けられた部材と、リアフレーム部64dに形成された部材とで構成されており、スキャナーユニット3をその奥側の端部(後端部)を中心に回動して開閉させる。具体的には、開閉機構4は、複合機1の後端部において、プリンターユニット2に対しスキャナーユニット3を回動自在に連結する左右一対のヒンジ部111と、左側のヒンジ部111の前方に配設され、スキャナーユニット3を開放状態で保持する左側一方の開放保持部112と、を備えている。
【0037】
各ヒンジ部111は、上ケース17の後端部に一体に形成された上ヒンジ部121と、各リアフレーム部64dに形成された下ヒンジ部122と、上ヒンジ部121および下ヒンジ部122を連結するヒンジピン123と、を有している。上ヒンジ部121およびヒンジピン123は、装置フレーム64と一体に成形されている。
【0038】
上ヒンジ部121は、ヒンジピン123に回転自在に外包する円形のガイド穴126と、ガイド穴126の径方向に開口し、ヒンジピン123を径方向から入れ込んで上ヒンジ部121をヒンジピン123に装着する着脱溝127と、を有している。一方、ヒンジピン123は、上部および下部を欠いた長円形の断面を有している。よって、スキャナーユニット3を、着脱溝127が側方に位置するよう回動させることで、ヒンジピン123から上ヒンジ部121を着脱することができる。すなわち、スキャナーユニット3を容易に組み付けることができる。
【0039】
図8は、スキャナーユニット3開放時の開放保持部112周り示した側面図である。図9(a)は、スキャナーユニット3開放時の開放保持部112周りを示した裏面斜視図である。図9(b)は、スキャナーユニット3閉塞時の開放保持部112周りを示した裏面斜視図である。図7ないし図9に示すように、開放保持部112は、アッパーフレーム11の下ケース16に一体に成形され、プリンターユニット2側に突出した湾曲突起部131と、左側のリアフレーム部64dに形成され、湾曲突起部131が後方から摺接する階段状の突起受け部132と、左側のリアフレーム部64dに形成され、湾曲突起部131を開放端位置で係止する位置規制部133と、を有している。湾曲突起部131が突起受け部132に摺接し、強い摩擦力を発生させることで、スキャナーユニット3を開放状態で保持する。
【0040】
湾曲突起部131は、アッパーフレーム11から下後方に延在しており、突起受け部132からの接触応力によって湾曲するバネ性を有している(樹脂バネ)。湾曲突起部131は、スキャナーユニット3の開閉動作に伴い、ヒンジ部111を中心に円運動するが、この際、バネ性を奏して突起受け部132に後方から接触(摺接)する。また、湾曲突起部131には、延在方向に先上がりで傾斜する先端面136が形成され、当該先端面136と、当該先端面136に連なる前方側面137とが突起受け部132に摺接する。さらに、湾曲突起部131は、左側方に突出し、位置規制部133に係止されるストッパー係止部138を有している。
【0041】
位置規制部133は、突起受け部132の左側方に並設したフレーム板(図示省略)に支持されており、フレーム板と共に、リアフレーム部64dと一体に形成されている。位置規制部133は、ストッパー係止部138の円運動軌道上に配設され、スキャナーユニット3を最大開放した際の円運動位置で、ストッパー係止部138が下側から突き当たり係止される。すなわち、位置規制部133によって、スキャナーユニット3の開放端位置が規制されている。
【0042】
突起受け部132は、湾曲突起部131の円運動軌道に倣って延在し、且つ湾曲突起部131側(摺接側)に部分的に山形の凸状に形成した摺接面141を有している。摺接面141が、湾曲突起部131の円運動軌跡を越えて突出するほど、ばね性を持って摺接した湾曲突起部131が微妙に湾曲して両者間の摩擦力が高まり、スキャナーユニット3の保持力および回動抵抗力が高まる。第1実施形態では、摺接面141が、円運動の方向に並んで、湾曲突起部131側に凸状形成した3つの凸状部141aを有する。これによって、スキャナーユニット3の3つの回動角度で、保持力および回動抵抗力を得ることができ、3つの開放位置(回動角度)で十分に保持可能に構成されている。一方、凸状部141aは、スキャナーユニット3が閉塞した状態(0°位置)で摺接する位置を避けて形成されており、すなわち、閉塞状態では、摩擦力がゼロとなるような形状に形成されている。なお、下端の3段階目は、急激な閉塞を阻止する負荷部分として機能させるようにしても良い。
【0043】
厳密には、湾曲突起部131は、凸状部141aに対し、開放状態のスキャナーユニット3から受けるモーメント荷重に抗してスキャナーユニット3を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力(ユーザーの閉塞しようとする力G:例えば、0.1kgf≦G≦1kgf)を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、接触方向に付勢するバネ性を奏している。これにより、ユーザーは、スキャナーユニット3の開閉において、強弱の負荷を感じ、その感触として複数段階の開放位置を把握する。
【0044】
図10(a)は、スキャナーユニット3の回動角度に対するスキャナーユニット3の保持に必要な力(スキャナーユニット3から受けるモーメント荷重)と、湾曲突起部131で発生する摩擦力(バネ力)と示した図である。図10(a)に示すように、回動角度によって、スキャナーユニット3の保持に必要な力が変化する。対象の回動角度において、上記必要な力を超える摩擦力を発生させることで、スキャナーユニット3の保持することができる。上記したように、本実施形態では、3つの回動角度で、スキャナーユニット3を保持するため、対象の3つの回動角度で、上記必要な力を超える摩擦力を発生させる。すなわち、当該摩擦力を発生させるように、摺接面141を形成している。
【0045】
次に、図10(b)、図11および図12を参照して、第2実施形態の開放保持部112について説明する。図11に示すように、第2実施形態の開放保持部112においては、湾曲突起部131は、アッパーフレーム11から下後方に延在し、且つ弓なりに形成されている。これにより、湾曲突起部131のバネ性を向上させている。湾曲突起部131は、曲線状の前方側面137を有し、前方側面137において、突起受け部132に摺接する。一方、突起受け部132は、湾曲突起部131の円運動軌道に倣う曲線状に延在し、且つ上下両端において、湾曲突起部131側に凸状形成した摺接面141を有している。上下端の凸状部141aは、スキャナーユニット3の開放位置(例えば、40°)と、閉塞位置手前(例えば、10°)に対応して形成されており、下端の凸状部141aは、なだらかな山形形状となっている。このような構成により、図10(b)に示すように、開放位置では、必要な力を越える摩擦力を発生させてスキャナーユニット3を保持し、閉塞位置近傍では、回動抵抗を発生させて、急激な閉塞を阻止するように調整されている。また、第1実施形態と同様、スキャナーユニット3が完全に閉塞した状態(0°位置)では、スキャナーユニット3がプリンターユニット2から浮き上った状態とならないように、摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることが好ましい。
【0046】
以上の構成によれば、開放保持部112において、湾曲突起部131の持つバネ性によるバネ力を、接触方向に発揮させることにより、スキャナーユニット3を開放位置に保持する。この場合のバネ力は、湾曲突起部131と突起受け部132との相互の摺接部分の凹凸形状により変化するため、摺接部分の凹凸形状により、スキャナーユニット3を開放位置に保持する保持力や蓋体を閉塞方向に摺動させる閉塞力(回動抵抗力)を、自在に調整することができる。また、スキャナーユニット3の湾曲突起部131とプリンターユニット2の突起受け部132とにより、スキャナーユニット3を開放位置に保持することができるため、この部分の構造を極端に単純化することができ、且つこの部分をコンパクトに構成することができる。
【0047】
また、突起受け部132の湾曲突起部131との摺接部分を凸状とする、簡単な形状変更により、開放位置における蓋体の保持力を大きくすることができる。
【0048】
また、位置規制部133とストッパー係止部138とを有することで、プリンターユニット2の位置規制部133とスキャナーユニット3(湾曲突起部131)のストッパー係止部138との協働により、簡単な構造で、蓋体の開放端位置を適切に位置規制することができる。
【0049】
さらに、湾曲突起部131をアッパーフレーム11と一体に成形することにより、湾曲突起部131を、位置精度良く且つ簡単に形成することができる。同様に、突起受け部132を、装置フレーム64と一体に成形することにより、突起受け部132を、位置精度良く且つ簡単に形成することができる。これらによって、開閉機構4廻りのコストダウンを達成することができる。
【0050】
また、湾曲突起部131が、スキャナーユニット3が閉塞した状態で摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることにより、閉塞状態のスキャナーユニット3が装置本体から浮き上がることがなく、ロック機構等を用いることなく、蓋体を完全閉塞することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、湾曲突起部131のみによって上記バネ性を奏する構成であったが、湾曲突起部131および突起受け部132によって、上記バネ性を奏する構成であっても良いし、突起受け部132のみによって、上記バネ性を奏する構成であっても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、湾曲突起部131の形状を調整して、保持力および回動抵抗力(閉塞力)を調整するものであったが、突起受け部132の形状を調整して、保持力および回動抵抗力を調整するものであっても良いし、湾曲突起部131および突起受け部132の形状をそれぞれ調整して、保持力および回動抵抗力を調整するものであっても良い。
【0053】
さらに、本実施形態においては、湾曲突起部131をアッパーフレーム11に一体と成形し、突起受け部132を装置フレーム64(リアフレーム部64d)と一体に成形するものであったが、これらを各フレームと別体として成形し、各フレームに取り付けるものであっても良い。
【0054】
またさらに、本実施形態においては、蓋体であるスキャナーユニット3の開閉機構4に、本発明を適用したが、これに限るものではない。例えば、スキャナーユニット3の上蓋13の開閉機構に本発明を適用するものであっても良い。
【0055】
また、本実施形態においては、左側に1つの開放保持部112を配設する構成であったが、左右一対の開放保持部112を配設する構成であってもよい。
【0056】
なお、保持力および回動抵抗力の調整は、上記各実施形態に限らず、例えば、回動抵抗力に強弱を与え、クリック感を出すものであっても良いし、保持力を一定にして、どの回動角度においても保持可能に構成するものであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1;複合機、 2:プリンターユニット、 3:スキャナーユニット、 4:開閉機構、 11:アッパーユニット、 64:装置フレーム、 131:湾曲突起部、 132:突起受け部、 133:位置規制部、 138:ストッパー係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に開閉自在に取り付けた蓋体に設けられ、前記蓋体の開閉に伴って円運動する湾曲突起部と、
前記装置本体に設けられ、円運動する前記湾曲突起部に摺接する突起受け部と、を備え、
前記湾曲突起部および前記突起受け部の少なくとも一方は、開放状態の前記蓋体から受けるモーメント荷重に抗して前記蓋体を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏することを特徴とする蓋体の開閉機構。
【請求項2】
前記開放状態における前記突起受け部の前記湾曲突起部との摺接部分は、前記摩擦力が大きくなるように摺接側に凸状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体の開閉機構。
【請求項3】
前記湾曲突起部および前記突起受け部は、前記蓋体が閉塞した状態で前記摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体の開閉機構。
【請求項4】
前記装置本体に設けられ、前記蓋体の開放端位置を規制する位置規制部を、更に備え、
前記湾曲突起部は、前記開放端位置で前記位置規制部に係止されるストッパー係止部を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項5】
前記蓋体は、樹脂製の蓋体フレームを有し、
前記湾曲突起部は、前記蓋体フレームと一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項6】
前記装置本体は、樹脂製の装置フレームを有し、
前記突起受け部は、前記装置フレームと一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の蓋体の開閉機構を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記蓋体は、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置を備え、
前記装置本体は、記録媒体に画像の記録を行う画像記録装置を備えたことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項1】
装置本体に開閉自在に取り付けた蓋体に設けられ、前記蓋体の開閉に伴って円運動する湾曲突起部と、
前記装置本体に設けられ、円運動する前記湾曲突起部に摺接する突起受け部と、を備え、
前記湾曲突起部および前記突起受け部の少なくとも一方は、開放状態の前記蓋体から受けるモーメント荷重に抗して前記蓋体を開放位置に保持し、且つこの状態から閉塞方向の外力を受けて閉塞方向に摺動する摩擦力を奏するように、相互の接触方向に付勢するバネ性を奏することを特徴とする蓋体の開閉機構。
【請求項2】
前記開放状態における前記突起受け部の前記湾曲突起部との摺接部分は、前記摩擦力が大きくなるように摺接側に凸状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体の開閉機構。
【請求項3】
前記湾曲突起部および前記突起受け部は、前記蓋体が閉塞した状態で前記摩擦力がゼロとなるような形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体の開閉機構。
【請求項4】
前記装置本体に設けられ、前記蓋体の開放端位置を規制する位置規制部を、更に備え、
前記湾曲突起部は、前記開放端位置で前記位置規制部に係止されるストッパー係止部を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項5】
前記蓋体は、樹脂製の蓋体フレームを有し、
前記湾曲突起部は、前記蓋体フレームと一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項6】
前記装置本体は、樹脂製の装置フレームを有し、
前記突起受け部は、前記装置フレームと一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の蓋体の開閉機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の蓋体の開閉機構を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記蓋体は、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置を備え、
前記装置本体は、記録媒体に画像の記録を行う画像記録装置を備えたことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−107393(P2012−107393A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255182(P2010−255182)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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