説明

薄型の超音波検査用スキャナ

【課題】頻繁な検査を要する構成部の溶接を検査するために狭い隙間において利用可能な薄型の検査装置を提供する。
【解決手段】狭い空間で利用可能であり溶接された接続部13のような構造物[10]を検査する薄型の構造デザインを有する検査用スキャナ[1000]を提供する。ホイール・フレーム・アセンブリ[1100,1200]は、超音波(US)のアレイ[1400]を伴ったプローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]を運ぶ。USのアレイ[1400]は、USのビームを放出し構造物[10]を通り反射してきた音波を受け取る。プローブ・ホルダ・アセンブリ[1100]は延伸し、USのビームは狭い場所を検査するために遠ざかる方向に角度をつけられる。ホイール・フレーム・アセンブリ[1100,1200]はホイール[1140,1240]により転がるとともに、エンコーダ[1250]を運転する。エンコーダ[1250]は、溶接部に関して受け取られた音波の位置の特定を行う。特定された位置および受け取られた音波は、構造物[10]の内側の欠陥を示す信号を再構築するために用いられる。ホイール[1140,1240]は、検査対象の構造物[10]に対して自機を保持するために帯磁可能である。検査用スキャナ[1000]を与えられた位置に保持するためにブレーキシステム[1600]が採用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは超音波を用いて構造物の検査を行うための装置に関し、より具体的には狭い隙間の空間内で超音波を用いて構造物の検査を行うための薄型の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非破壊検査の技術を用いて圧力部分や様々な構造物を検査することは難しい作業であり、特にそれがシーム溶接である場合は尚更である。例えば、決められた形状の限られた体積の空間の中に複数の要素を有するボイラーシステムは、精密に検査することが難しい。一般的には超音波技術(UT)が用いられ、その場合、作業者は信号(音の波)を構造物およびその溶接部分にあてるとともにフィードバックされる信号が示す寸法をスキャンニングの結果として取得する装置である手持ちの超音波プローブを用いて、構造物の検査対象領域を手動でスキャンする。人間の作業者の超音波プローブを構造物に対し横断させる細かい動作は、完全には安定せず、もしくは一貫しないため、理想的なデータの読み込みとはほど遠く(例えば、欠損部分の発生や画像の劣化、誤判定、その他のエラーが生じ得る)、そのような手動のプロセスは、正確さという点に関し問題がある。
【0003】
損傷や故障は多くの場合、それら構造物の構成部の溶接シームから生じるので、溶接部分の定期的な検査が重要である。検査される構成部は全体として所定の機能を果たすシステムの一部分なので、その構成部を取り外したりシステムを分解したりすることなくそれらの構成部を検査できることが望ましい。
【0004】
従来用いられてきた検査装置には、手動で検査位置間の移動が行われる超音波スキャナが採用されている。検査結果として得られる測定値はグラフ化等により表示され、作業者に欠陥部分の位置が示される。簡単に素早く溶接の状態を評価する調査を可能とするスキャナがあれば、作動時間を短縮でき有用である。
【0005】
様々な形状の物体上の溶接の状態を検査するためには、従来、汎用の機械的なスキャナが用いられてきた。それらは汎用的な目的を達成するという性質により、大きくてかさばる傾向があった。
【0006】
蒸気発生システムにおいては、一般的に、高圧力の蒸気を運搬するための溶接により構造の形成されたパイプが用いられる。これらのパイプには、定期的なモニターを要する溶接が施されている。隙間が狭いため、従来の検査装置はその形状に合致せず、利用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、狭い隙間にもフィットし、頻繁な検査を要する構成部の溶接を検査することができる薄型の検査装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[要約]
以下に示される側面に従い、従来技術より薄型のデザインを有する検査用スキャナ[1000]を有し、超音波ビームを送信および受信することで塊状の構造物[10]を検査する超音波プローブキャリアであって、以下の構成要素を備える超音波プローブキャリアが提供される。
【0009】
1以上のホイール・フレーム[1100]と、
【0010】
前記塊状の構造物[10]をスキャンするための超音波(US)のアレイ[1400]であって、前記ホイール・フレーム[1100]から離れる方向の角度で超音波ビームを放ち、反射して前記アレイ[1400]に戻ってくる超音波の信号を受け取り、前記ホイール・フレーム[1100]に取り付けられており、前記ホイール・フレーム[1100]によって運ばれるアレイ[1400]と、
【0011】
前記ホイール・フレーム[1100]を運ぶために前記ホイール・フレーム[1100]に取り付けられているホイール[1140]であって、前記構造物[10]の表面に沿って回転し、前記フレームを順方向もしくは逆方向に移動するホイール[1140]と、
【0012】
前記ホイール[1140]の回転および前記構造物[10]上の位置をモニターし、前記構造物[10]上の前記超音波のアレイ[1400]の位置により各々識別される複数の超音波の信号に従ってエンコーダ信号を送信するエンコーダ[1250]。
【0013】
[本発明の目的]
本発明の目的の一つは、発電装置に特に適合する超音波検査用スキャナを提供することである。
【0014】
本発明の目的の他の一つは、与えられた位置から溶接の様々な部分を観察することを可能とする超音波検査用スキャナおよび超音波収集システムを提供することである。
【0015】
本発明の目的の他の一つは、携帯可能な超音波スキャナを提供することである。
【0016】
本発明の目的の他の一つは、特に様々な直径の曲面の溶接を検査するように設計された超音波検査用スキャナを提供することである。
【0017】
本発明の目的の他の一つは、特に平板な表面の溶接を検査するために設計された超音波検査用スキャナを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下に、本発明の一具体例を示す図面を説明する。それらの図面において、同じ要素には同じ参照番号が付されている。
【0019】
【図1】図1は、本発明において採用された撮像における位置関係を示す図である。
【0020】
【図2】図2は、本発明の一具体例にかかる薄型超音波検査装置の斜視図である。
【0021】
【図3】図3は、図2に示される一具体例にかかる検査用スキャナの背面部の一部断面図を伴う正面図である。
【0022】
【図4】図4は、図2および図3に示される一具体例にかかる検査用スキャナの側面図である。
【0023】
【図5】図5は、上記の図2乃至4に示される一具体例にかかる検査用スキャナの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[詳細な説明]
限定された形状もしくは体積の隙間しか持たないパイプおよびパイプの溶接部の非破壊検査を行うための超音波検査システム(「システム」)を以下に説明する。本システムは、システムが限定された形状もしくは体積の隙間しか持たないチューブや溶接部にアクセスすることを可能にする薄型の超音波プローブキャリアを有している。
【0025】
[見解]
【0026】
金属構造物に錆や腐食による劣化や製造時における初期不良があると、それらの構造物に対し機械的な力が繰り返し加えられる結果、金属構造物の強度低下が生じる。そのような強度低下は、勤続構造物のうち、最初に劣化が始まる傾向のある溶接による接続部において特に生じやすい。
【0027】
これらの強度低下は、構成部の不具合を引き起こすおそれがある。そして、高圧力下においては、そのような不具合が甚大な被害をもたらす可能性もある。
【0028】
検査やモニタリングによれば、それらが問題を引き起こす前にこれらの強度低下を特定することができる。強度低下を生じている構成部が特定されると、安全性に関する問題や付随的な損害が生じる前にそれらの交換を行うことができる。
【0029】
一具体例として、タービンのケーシングにおける閉鎖溶接が挙げられる。従来の道具を用いてこの重要な溶接部のモニターを行うことは、非常に困難で時間を要し、またその結果も不正確なものであった。
【0030】
これはタービンのケーシングにおける重要な溶接部であり、大きな力を受けるため、頻繁に検査される必要がある。上述したように、そのような特定の幾何学的形状および狭い空間に従来の検査装置を使用することは困難である。
【0031】
これらのタービンが保守のために機能しないと、多大な生産費用の損失が生じる。例えば、タービンが公益事業会社のための電力を発電するために用いられている場合、その公益事業会社は、それらのタービンのケーシングの保守の間、グリッドから電気を買わなければならなくなる。グリッドから購入される電気は、タービンにより発電される生産される電気よりも遙かに高価であり、保守期間が長くなると甚大なコスト高をもたらす。従って、タービンの導管の溶接部を正確に素早く検査するために最適化された装置は、公益事業会社に対して費用損失の多大な削減をもたらすことになる。
【0032】
多くのタービンは同様の溶接部を有しており、またそれらタービンの多くは同様の形状を有している。それらのタービンはいずれも、大きな作動力に晒されており、各々が頻繁に検査される必要がある。それゆえ、効率的かつ精密に狭い空間内の溶接部を検査するために設計された薄型の検査装置は、これらのタービンを検査する人々に対して非常に高い価値をもたらす。
【0033】
重要であり定期的な検査を要する溶接部は数多く存在する。それらのうちのいくつかは、狭い空間内の混雑した場所に位置している。従来技術にかかる検査装置は、それらの大きさおよび画像の取得方式が適さず、使用が非常に困難である。これらの従来技術にかかる装置の多くは、その装置の直下を検査するので、上記の目的には適さず、利用することができないのである。
【0034】
[角度付きビーム]
【0035】
本発明は、混雑した狭い場所において溶接された接続部を検査するために最適化されている。それは、調整可能なプローブを有し、距離が離れた塊状の対象物を検査する能力を有する薄型のデザインを採用することによって実現される。それは、装置から離れる方向に角度の付いたビームを用いて検査データを取得する。この装置には、そのデータを取得するために、内側で反射し角度の付けられたビームを放つ構造が採用されている。それゆえ、装置は検査される部分に隣接した位置に置かれればよく、その真上に置かれる必要はない。これは、狭い空間におけるデータの獲得を非常に容易にする。
【0036】
図1は、本発明において採用される角度の付けられたビームの位置関係を示している。超音波(US)のビームは、USのアレイ1400を始点とする矢印によって示されており、USのアレイ1400の複数の送信機1410から送信される。USのアレイ1400には位相配列技術が採用されており、送信機1410の相対的な送信の出力を変えることによりUSのビームの方向を変えることができる。
【0037】
USのビームは構造物10を通り抜けて最初の接触面15に到達する。この接触面は、構造物の内側面と内側の空間との間の面である。この接触面はUSのビームを反射する面であり、例えば金属と気体の境界もしくは金属と液体の境界である。USのビームのほとんどは、その後、金属溶接部13を通り抜けて二番目の接触面17に到達する。二番目の接触面は、構造物10の外側面と構造物10の上の空間との間の面である。
【0038】
入射するUSのビームの一部は物体19に当たる。物体19は、例えば溶接部におけるギャップや、純粋な金属とはかなり異質な超音波伝導性を有する他の素材である。USのビームの一部は、符号「A」の付された矢印によって示されるように、反射して戻ってくる。これらの反射したUSの光線は、接触面15に反射してUSのアレイ1400の受信機1450によって受信される。
【0039】
[画像再構成]
【0040】
超音波ビームは、超音波のアレイ1400の受信機1450によって受け取られ、その後に処理を行う制御装置に送られる。制御装置は、分析対象の構造物10の幾何学的な形状に従い予めアップデートされている。制御装置は、反射された超音波の信号を受信機1450から収集し、構造物10の内側にある物体の画像を再構成する。均質な金属と、相対的に密度が低い他の物体との間の接触面が画像を生成するので、再構成された画像により気泡、腐食、その他の特性が容易に特定可能となる。この画像の再構成は、既知である従来の画像生成の手法により行われる。
【0041】
図2は、本発明の一具体例にかかる検査用スキャナ1000の斜視図である。これには、薄型のデザインが採用されている。狭い部分の検査を行うためには、装置のサイズは小さい程よい。しかしながら、検査装置は容易に操作できる程の十分な大きさがなければならない。タービンの閉鎖のために施される溶接部のほとんどは、検査に利用できる隙間領域として約3インチの空間を有していることが分かっている。それゆえ、その高さが3インチより小さい装置が便利である。
【0042】
ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200は、図3のホイール(1140,1240)の上に乗った状態で転がる。ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200は、プローブ・ホルダ・アセンブリ1110によって互いに連結されている。
【0043】
プローブ・ホルダ・アセンブリ1110は、各々、ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200のスライドスロット1112,1212に挿入されるスライド1111,1211を有している。
【0044】
1以上のロッキングノブ1230の締め付けにより、ホイール・フレーム・アセンブリ1200に対する任意の調整位置においてスライド1211をプローブホルダーに固定することができる。ホイール・フレーム・アセンブリ1100に関しても同様の構成が採用されているが、この図には示されていない。
【0045】
ブレーキボタン1610(必須ではない)の採用により(図3の1240の)ホイールの固定が行われ、装置を現在位置に留め置くことができる。
【0046】
プローブ・ホルダ・アセンブリ1110は、超音波のアレイ1400を有している。超音波のアレイ1400は、(図1の1410の)送信機の各々の相対的な出力の大きさを調整することにより様々な角度で超音波ビームを放出可能な位相配列の超音波送受波器用のアレイである。この構成が採用されていることにより、検査対象の塊状の構造物10の全体をUSのビームによりスキャンすることが可能となる。超音波のアレイ1400はまた、反射した超音波信号を受け取る(図1の1450の)受信機を有する。
【0047】
このスキャンの方法によれば、塊状の構造物の内部から縁部の表面に至るまで、その構造をくまなく検査することができる。そのため、塊状の構造物10の内部の欠損のみならず表面付近の腐食に関してもその探知が可能である。
【0048】
超音波のアレイ1400によって受け取られる信号は、信号ケーブル1570を通して処理装置へと引き渡される。処理装置は、探知された信号から画像を再構築する。
【0049】
図3は、図2に示した一具体例にかかる検査用スキャナの一部断面図を含む後側部分の正面図である。ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200がホイール1140,1240の上に乗った状態で、構造物10の表面上を転がりながら移動する。構造物10は、検査対象の溶接部13を有する金属の構造物である。
【0050】
好ましい態様において、溶接部13が検査されている間、ホイール1140,1240は磁力を帯びることで、ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200を構造物10に対し固定するように構成されてもよい。またそれに代えて、検査用スキャナ1000の表面に磁気装置1300を設けてもよい。また別の代替的な具体例において、溶接部13の検査の間、構造物10に対して本発明にかかる装置をユーザが単純に保持するようにしてもよい。
【0051】
超音波のアレイ1400は、プローブ・ホルダ・アーム1115によって運ばれる。プローブ・ホルダ・アームは、プローブ・ホルダ・アセンブリ1110の一部分である。プローブ・ホルダ・アーム1115は、超音波のアレイ1400が構造物10の外側表面に沿って下降したり上昇したりすることを可能にする。
【0052】
プローブ・ホルダ・アセンブリ1110は、スライドスロット1112,1212の各々に沿ってスライドするスライド1111,1211を有しており、超音波のアレイ1400が検査用スキャナ1000の中心位置から移動可能となっている。位置決めの後、例えばネジ構造のロッキングノブ1230がスライド1211に対して側面のクランプパッド1233を押し付けるように締め付けられることで、プローブ・ホルダ・アセンブリ1110および超音波のアレイ1400に対するホイール・フレーム・アセンブリ1200の位置の固定が可能である。
【0053】
ロッキングノブ1130は、ホイール・フレーム・アセンブリ1100に関して同様の機能を提供する。ブレーキボタン1610は、ホイール1240を固定することで、動作中の検査用スキャナ1000を構造物10の上の現在位置に留め置く役割を果たす。
【0054】
図4は、図2および図3に示した一具体例にかかる検査用スキャナの背面図である。障害物21のため、従来の検査装置は構造物10上の溶接部13を検査することが困難である。通常は、それら従来の検査装置は、本発明にかかる検査装置と比較して、その高さが著しく高いためである。また、従来技術にかかる装置は、検査用のビームを真下に放出するように設計されているため、検査対象の部分の真上に配置される必要がある。さらに、従来技術にかかる装置は、それらの送受波器が検査される領域に対して運搬装置よりも接近することを可能にする位置調整機構を備えていない。
【0055】
本発明にかかる薄型の(高さの低い)デザインが障害物21の下の空間においていかに適合性が高いか、という点は明らかである。それに加えて、USのアレイ1400は、この図に示されるように、溶接部13に向かって延伸可能である。ロッキングノブ1230はネジ込まれるとスライド1211を押圧し、アレイ1400を所定の望ましい位置において保持する。
【0056】
また、USのアレイ1400は、符号「B」の付された矢印によって示されるように、ビームを溶接部13に向かって斜め方向に送信する。これにより、本発明にかかる装置から発せられるビームの到達範囲が狭い空間の奥にまで広がる。
【0057】
なお、図4には、ブレーキボタン1610が機能し、検査用スキャナ1000を所定の場所に保持するようにホイール1240に対して押圧された状態のブレーキ部材1600が示されている。
【0058】
図5は、図2乃至図4に示される一具体例にかかる検査用スキャナを上から見た場合の平面図である。図5は、一対のプローブ・ホルダ・アーム1115によって運ばれるUSのアレイ1400を示している。これらは、キャリアーピボット1117を介してプローブ・ホルダ・アセンブリ1110に対し回動可能に取り付けられている。
【0059】
この具体例において、プローブ・ホルダ・アセンブリ1110は、ホイール・フレーム・アセンブリ1100,1200に対して、ホイール1140,1240が装置を転がす方向に対して垂直な方向にスライド可能である。この図面において、プローブ・ホルダ・アセンブリ1110は、フレーム1100の左側方向に延伸する。これは、USのアレイ1400がより小さく狭い空間へと入っていくことを可能にする。また、USのアレイ1400が送信するビームの伝達経路の幾何学的な形状によって、USのビームは、USのアレイ1400の左端をさらに越えて窮屈な空間へと放出される。
【0060】
別の使用状況において、検査用スキャナをスキャン対象の空間の内部に配置することもできるが、その場合、ユーザは検査用スキャナ1000に彼らの腕を伸ばして到達することが物理的に不可能となる。この場合には、代替的な一具体例が有用となる。すなわち、検査用スキャナ1000がホイールモータ(図3において1143として透視的に示されている)を有しているならば、検査用スキャナ1000は構造物10に接触された後、磁気を帯びたホイール1140,1240によって構造物の周りに保持されつつ、移動することができる。ホイールモータに対しユーザにより操作されるコントローラから、望ましくは無線接続により、信号の送信が行われることで、ホイールモータの制御が行われる。
【0061】
また、別の代替的な具体例にかかる装置は、スライドモータ(図4において1215として透視的に示されている)を備える。スライドモータ1215はスライド1211に対し作動し、プローブ・ホルダ・アセンブリ(図5の1010)およびUSのアレイ1400を延伸および収縮する。スライドモータは、ユーザによって操作されるコントローラによって無線で制御されてもよい。
【0062】
以上、本発明の例示的な具体例に関して説明を行ったが、上述したものに加え、様々な他の変形、省略、および付加が、本発明の技術的思想の範囲内において行われ得るということが当業者によって理解されるべきである。したがって、それら様々な他の具体例は、添付の請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10…構造物、1000…検査用スキャナ、1010…プローブ・ホルダ・アセンブリ、1100…ホイール・フレーム、1110…プローブ・ホルダ・アセンブリ、1111…スライド、1115…プローブ・ホルダ・アーム、1130…ロッキングノブ、1140…ホイール、1143…ホイールモータ、1200…ホイール・フレーム、1211…スライド、1215…スライドモータ、1230…ロッキングノブ、1240…ホイール、1250…エンコーダ、13…溶接部、1300…磁気装置、1400…超音波のアレイ、1410…送信機、1450…受信機、15…接触面、1570…信号ケーブル、1600…ブレーキシステム、1610…ブレーキボタン、19…物体、21…障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状の構造物[10]を検査するために超音波のビームを送受信する従来技術よりも薄型のデザインを有する検査用スキャナ[1000]であって、
1以上のホイール・フレーム[1100]と、
前記ホイール・フレーム[1100]から離れる方向に角度の付けられた複数の超音波のビームによって前記塊状の構造物[10]をスキャンし、反射して戻ってくる複数の超音波の信号を受け取り、前記ホイール・フレーム[1100]に取り付けられ、前記ホイール・フレーム[1100]により運ばれる超音波(US)のアレイ[1400]と、
前記ホイール・フレーム[1100]を移動させるために前記ホイール・フレーム[1100]に取り付けられ、前記構造物[10]の表面に沿って順方向もしくは逆方向に回転することで前記ホイール・フレーム[1100]を移動させるホイール[1140]と、
前記ホイール[1140]の回転および前記構造物[10]上の位置をモニターし、受け取られた複数の超音波の信号の各々が前記構造物[10]上における前記超音波のアレイ[1400]の位置を特定可能なように前記受け取られた複数の超音波の信号に応じたエンコーダ信号を送信するエンコーダ[1250]と
を備える検査用スキャナ[1000]。
【請求項2】
USのアレイ[1400]を移動させるために調整可能であり、ホイール・フレーム[1100]の移動を伴わずにUSのアレイ[1400]を様々な場所まで延伸するように移動可能であり、その結果、検査対象の塊状の構造物[10]に応じた調整が可能なプローブ・ホルダ・アセンブリ[1100]を備える
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項3】
前記ホイール[1140]は、前記検査用スキャナ[1000]の前記構造物[10]に対する位置を保持するために帯磁する
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項4】
前記検査用スキャナ[1000]の前記構造物[10]に対する位置を保持するための磁気装置[1300]を備える
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項5】
前記超音波のアレイ[1400]が、各々、超音波の出力の大きさを調整することで溶接部[13]をスキャンするために望ましい方向へ前記超音波のビームを向ける複数の送信機[1410]を有する
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項6】
検査用スキャナは、高さの最大値が3インチである
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項7】
リモートコントローラから信号が受け取られた場合に前記ホイール[1140]を回転させて前記検査用スキャナ[1000]を移動させるための、前記ホイール[1140]に取り付けられたホイールモータ[1143]を備える
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項8】
リモートコントローラから信号が受け取られる場合に前記超音波のアレイ[1400]を異なる位置に移動させるための、前記プローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]に取り付けられたスライドモータ[1215]を備える
請求項1に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項9】
塊状の構造物[10]を検査するための従来技術よりも薄い検査用スキャナ[1000]であって、
フロント・ホイール・フレーム[1100]と、
リア・ホイール・フレーム[1200]と、
前記フロント・ホイール・フレーム[1100]と前記リア・ホイール・フレーム[1200]の各々が有するスライドスロット[1112,1212]によって受容され、側面に沿って延伸する2個1対のスライド[1111,1211]を有し、前記ホイール・フレーム[1100,1200]に対してスライド可能なプローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]と、
前記プローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]から離れるように角度を付けられた超音波のビームによって前記塊状の構造物[10]をスキャンする超音波(US)のアレイ[1400]と、
前記構造物[10]に沿って順方向もしくは逆方向に検査用スキャナ[1000]を移動させるように回転可能な、ホイール・フレーム[1100,1200]に取り付けられたホイール[1140,1240]と、
前記ホイール[1140,1240]の回転および前記構造物[10]上の位置をモニターし、受け取られた複数の超音波の信号の各々が前記構造物[10]上における前記超音波のアレイ[1400]の位置を特定可能なように前記受け取られた複数の超音波の信号に応じたエンコーダ信号を送信するエンコーダ[1250]と
を備える検査用スキャナ[1000]。
【請求項10】
検査用スキャナ[1000]は、高さの最大値が3インチである
請求項9に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項11】
前記超音波のアレイ[1400]は、前記プローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]に枢動可能に取り付けられており、付勢装置によって前記構造物[10]に対し付勢される
請求項9に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項12】
前記付勢装置はスプリング[1119]である
請求項11に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項13】
リモートコントローラから信号が受け取られた場合に前記ホイール[1140,1240]を回転させて前記検査用スキャナ[1000]を移動させるための、前記ホイール[1140,1240]に取り付けられたホイールモータ[1143]を備える
請求項9に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項14】
リモートコントローラから信号が受け取られた場合に前記超音波のアレイ[1400]を異なる位置に移動させるための、前記プローブ・ホルダ・アセンブリ[1110]に取り付けられたスライドモータ[1215]を備える
請求項9に記載の検査用スキャナ[1000]。
【請求項15】
前記超音波のアレイ[1400]が、各々、超音波の出力の大きさを調整することで前記塊状の構造物[10]をスキャンするために望ましい方向へ前記超音波のビームを向ける複数の送信機[1410]を有する
請求項9に記載の検査用スキャナ[1000]。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−514757(P2012−514757A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545544(P2011−545544)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/020960
【国際公開番号】WO2010/101670
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】