説明

薄板プリント配線基板実装用保持冶具及び保持方法

【課題】薄板プリント配線基板の着脱が容易で、部品実装工程及びリフロー工程に使用する治具において、洗浄工程による接着剤の形態劣化及び使用回数制限等を解決し、生産性向上を図る。
【解決手段】プレート状の治具1に円柱状等の小型永久磁石3を適数埋設し、表面に薄板プリント配線基板7を納置し、その上に薄形磁性体金属板8を納置して、永久磁石の磁力を利用して薄板プリント配線基板7を保持する薄板プリント配線基板実装用保持治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板プリント配線基板に電子部品を実装する作業工程の際、薄板プリント配線基板を保持するための、薄板プリント配線基板保持冶具及び薄板プリント配線基板の保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板プリント基板の表面実装工程及びリフロー工程において、プレート状の冶具の表面に薄板プリント配線基板を固定するための、繰り返し着脱可能な接着剤層を形成した冶具により、薄板プリント配線基板を保持搬送する方法が多く利用されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、前記の従来技術では、表面実装工程及びリフロー工程の際、または薄板プリント配線基板着脱の際に汚れが接着剤に付着して接着力が弱まるため、使用する度に洗浄しなければならない。その繰り返し行われる洗浄により、形成された接着剤が磨り減ってしまう現象が生じ、使用回数が数百回程度で使用不可能となることが懸念されている。
【0004】
また、前記の従来技術は、フレキシブル基板等の薄板プリント配線基板での使用に適した技術分野であるが、高温下(250度から260度)での連続使用時に接着剤層の粘着性が劣化し、正確な位置出しの繰り返し精度に疑問がのこる。
【特許文献1】特開2001−144430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前途の課題を踏まえ、簡易に繰り返し薄板プリント配線基板の着脱が可能で、電子部品の表面実装工程及びリフロー工程において、使用可能回数を増大させ、正確な位置出しの繰り返し精度を確保する。また、電子部品の実装工程の効率化及び生産性の向上を目的とした、薄板プリント配線基板を保持搬送するための薄板プリント配線基板実装用保持冶具及び薄板プリント配線基板保持方法を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本考案の実装用薄板プリント配線基板保持冶具は、薄板プリント配線基板と薄板プリント配線基板を磁石の磁力で圧着させる薄形磁性体金属板を、凹設した納置面で保持するプレート状の冶具である。冶具の裏面に自動工具交換機能を備えた工作機械等を用い、小型永久磁石を適数埋設するためのザグリ加工を凹設し、冶具の表面に薄板プリント配線基板及び薄形磁性体金属板の外形及び形状に沿って前記工作機械等を用い、薄板プリント配線基板及び薄形磁性体金属板を納置するための溝を凹設する。また、その溝及び薄板プリント配線基板を納置する溝の下部の冶具に、薄板プリント配線基板を薄板プリント配線基板実装用保持冶具から抜脱するための穴を貫設する。これにより、冶具から薄板プリント配線基板の着脱が可能となる。
【0006】
また、プレート状の冶具としては、アミドイミド樹脂やエボキシ樹脂、ガラス繊維等を含んだ耐熱半導電樹脂板、チタン合金、アルミニウム合金、ステンレス材等が用いられる。
【0007】
本発明の薄板プリント配線基板保持方法は、工作機械等を用いプレート状の冶具の裏面にザグリ加工を適数凹設し円柱形等の小型永久磁石を、耐熱性の接着剤、圧入、カシメ等の方法で埋設し、プレート状の冶具の表面に薄板プリント配線基板及び薄形磁性体金属板の外形及び形状に沿って、工作機械等を用いて溝を凹設し、先に薄板プリント配線基板、次に薄形磁性体金属板を納置したとき、適数の小型永久磁石の磁力が薄形磁性体金属板を強く吸引し、薄板プリント配線基板を保持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、接着剤等を使用する方法図2とは異なり、高温化においての繰り返しの使用でも、汚れの付着、機能の劣化、洗浄工程時の接着剤等の剥離、等の形態の変化も避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の薄板プリント配線基板実装用保持冶具は、図1に示すように、プレート状の冶具1の裏面に適数の円柱形等の小型永久磁石3を埋設するためのザグリ加工2を凹設し、耐熱性の接着剤、圧入、カシメ等により小型永久磁石3を埋設する、プレート状の冶具1の表面には薄板プリント配線基板7を納置するためのザグリ加工4を凹設し、薄形磁性体金属板8を納置するためのザグリ加工6を凹設する形態から成る。薄形磁性体金属板8にはクリームハンダや電子部品実装時の逃げ穴9が加工してある、プレート状の冶具1は耐熱性である、アミドイミド樹脂やエボキシ樹脂、ガラス繊維等を含んだ半導電積層板(例えば、ニッカン工業株式会社製ニカプレート)やチタン合金、アルミニウム合金、ステンレス材等の板状である。
【0010】
プレート状の冶具1の裏面に適数の円柱形等の小型永久磁石3を埋設するためのザグリ加工を施し凹部2を形設する、プレート状の冶具1の表面に薄板プリント配線基板7を納置するためのザグリ加工を施し凹部4を形設する、また薄形磁性体金属板8を納置するためのザグリ加工を施し凹部6を形設する。さらに、ザグリ加工を施したプレート状の冶具1及び薄板プリント配線基板7を納置した下部に基板抜脱用押し穴5を貫設する。
【0011】
薄板プリント配線基板実装用保持冶具を用いた薄板プリント配線基板の保持方法は、図2に示すように、裏面に適数の円柱形等の小型永久磁石3を埋設したプレート状の冶具1の表面に、薄板プリント配線基板7を納置するための凹部4と薄形磁性体金属板8を納置するための凹部6にそれぞれ薄板プリント配線基板7、薄形磁性体金属板8の順で納置することにより適数の小型永久磁石3の磁力が薄形磁性体金属板8を強く吸引し、薄板プリント配線基板7を保持固定する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、需要層が広く、品質の長期安定も可能なため利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【00013】
【図1】本考案の薄板プリント配線基板実装用保持冶具の構成図(例として薄板プリント配線基板3面付け)である。
【図2】本考案の薄板プリント配線基板実装用保持冶具の断面図である。
【図3】従来の接着剤層を形成したプリント基板実装用保持冶具の断面図である。
【符号の説明】
【00014】
1 プレート状の冶具
2 円柱形等の小型永久磁石納置用凹部
3 円柱形等の小型永久磁石
4 薄板プリント配線基板納置用凹部
5 基板抜脱用押し穴
6 薄形磁性体金属板納置用凹部
7 薄板プリント配線基板
8 薄形磁性体金属板
9 クリームハンダ、電子部品実装時等の逃げ穴
20 接着剤等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート状の冶具の裏面から円柱形等の小型永久磁石を適数埋設し、表面に薄板プリント配線基板を納置し、その薄板プリント配線基板を全て覆い隠す、薄形磁性体金属板を納置して、永久磁石の磁力を利用し、薄板プリント配線基板を基板納置面で保持する為の冶具であって、前記基板納置面が、薄板プリント配線基板実装用保持冶具。
【請求項2】
プレート状の冶具は、アミドイミド樹脂やエボキシ樹脂、ガラス繊維等を含んだ半導電樹脂板である請求項1に記載の薄板プリント配線基板実装用保持冶具。
【請求項3】
プレート状の冶具は、チタン合金である請求項1に記載の薄板プリント配線基板実装用保持冶具。
【請求項4】
プレート状の冶具は、アルミニウム合金である請求項1に記載の薄板プリント配線基板実装用保持冶具。
【請求項5】
プレート状の冶具は、ステンレス材である請求項1に記載の薄板プリント配線基板実装用保持冶具。
【請求項6】
前記プレート状の冶具の裏面に、円柱形等の小型永久磁石を適数埋設し、表面に薄板プリント配線基板と、薄板プリント配線基板押え用の薄形磁性体金属板を納置するための、凹部を形設した請求項1乃至5のいずれかに記載の薄板プリント配線基板実装用保持冶具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−29568(P2011−29568A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188729(P2009−188729)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(300072613)株式会社大成 (2)
【Fターム(参考)】