説明

薄肉容器及びレフィル容器

【課題】本発明は樹脂成形される薄肉容器及びレフィル容器に関し、所定の強度を維持しつつ軽量化を図ることを課題とする。
【解決手段】首部25と容器本体23とが樹脂により一体成形されてなる薄肉容器において、前記容器本体23の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmとし、前記首部25の肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmとし、前記容器本体23の肩部23a及び底部23bに形成された湾曲部の半径Rを前記容器本体23の直径Lに対して0.25L≦R≦0.75Lとする。また、樹脂としてポリプロピレンを用いる。また、首部25と容器本体23を射出延伸式ブロー成形により形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄肉容器及びレフィル容器に係り、特に樹脂成形される薄肉容器及びレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外容器の内部に内容器となるレフィル容器を収納できるようにした二重容器が知られている。この二重容器は、外容器に対してレフィル容器を交換することが可能であるため、外容器の再利用が可能となる。よって、外から見られる外容器に対してのみ外観性の向上を図ればよく、内設されるレフィル容器は廃棄されるレフィル容器となる。このため、レフィル容器は容器の減量化を図ることができ、地球環境への負荷の軽減を図ることができる。
【0003】
ここで、二重容器の一例として、内容物を定量吐出することができるディスペンサー容器を例に挙げて説明する。従来の二重容器構造のディスペンサー容器は、ディスペンサー(定量吐出ポンプ)を外容器にねじ締めにより取り付ける際、この螺着力によりレフィル容器も外容器に固定する構造のものが多い(特許文献1参照)。
【0004】
このディスペンサー容器においてレフィル容器を交換する場合、先ずディスペンサーを回してディスペンサーを外容器から取り外す。これにより、レフィル容器も外容器に対して取り外し可能な状態となり、使用済みのレフィル容器を外容器から取り外して廃棄を行う。続いて、新品であるレフィル容器を外側容器の装着位置に位置決めし、この状態を維持しつつディスペンサーを外容器にねじ止めする。以上のようにして、外容器に対するレフィル容器の取り替え処理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−084620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、内容器となるレフィル容器は、所定の強度を維持した上で軽量化及び肉薄化を図ることが望ましい。これにより、廃棄されるレフィル容器の全体としての容積を少なくすることができ、省資源化及び省エネルギー化により寄与することができる。
【0007】
このようにレフィル容器の軽量化及び肉薄化を図る場合、レフィル容器の首部及び容器本体を含めその全体を均一に肉薄化することは比較的容易に行いうる。しかしながら、レフィル容器はその首部を係止されることにより外容器に装着されるため、必然的に首部の肉厚を厚くして強度を高める必要がある。
【0008】
従来においては、首部の肉厚を外容器の装着に足る強度を実現できる肉厚にすると、容器本体の肉厚が厚くなってしまい省資源化に反することとなる。一方、容器本体の肉厚を内容物の保持を行いうる最小の肉厚とした場合には、これに引きずられて首部の肉厚も薄くなり、外容器との装着に足る強度を実現することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、所定の強度を維持しつつ軽量化を図りうる薄肉容器及びレフィル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、第1の観点からは、
首部と容器本体とが樹脂により一体成形されてなる薄肉容器において、
前記容器本体の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmとし、
前記首部の肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmとし、
前記容器本体の肩部及び底部に形成された湾曲部の半径Rを前記容器本体の直径Lに対して0.25L≦R≦0.75Lとしたことを特徴とする薄肉容器により解決することができる。
【発明の効果】
【0011】
開示の薄肉容器は、首部の剛性を維持しつつ容器本体の薄肉化及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である薄肉容器を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である薄肉容器をレフィル容器として用いた二重容器の断面図である。
【図3】図3は、図2に示す二重容器の分解図である。
【図4】図4は、図2に示す二重容器の外容器及び仮止め部材を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図6】図6は、図2に示す二重容器にディスペンサーを装着した状態を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態である薄肉容器の製造方法を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の効果を説明するための図である。
【図9】図9は、容器本体の肉厚を変化させたときの強度及び重さの変化を示す実験結果である。
【図10】図10は、首部の肉厚を変化させたときの剛性及び重さの変化を示す実験結果である。
【図11】図11は、容器本体の肩部及び底部の湾曲部の半径Rを変化させたときの強度及び重さの変化を示す実験結果である。
【図12】図12は、図1に示す薄肉容器の第1の変形例を示す断面図である。
【図13】図13は、図1に示す薄肉容器の第2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例である肉薄容器12を示す断面図である。この肉薄容器12は、図2乃至図6に示されるように、二重容器10の内容器として使用されるものである。よって、以下の説明においては、肉薄容器12をレフィル容器12というものとする。
【0015】
このレフィル容器12は樹脂成型品であり、大略すると容器本体23と首部25とを一体的に形成した構成とされている。また、レフィル容器12の材料となる樹脂は、ポリプロピレン(PP)を用いている。
【0016】
先ず、説明の便宜上、レフィル容器12が装着される二重容器10について説明する。図2乃至図6は、本発明の一実施例であるレフィル容器12を内容器とする二重容器10を説明するための図である。
【0017】
二重容器10は、外容器11、レフィル容器12、仮止め機構13、及び回転防止機構14等により構成されている。本実施形態では、二重容器10及びレフィル容器12としてディスペンサー90が装着される化粧品容器を例に挙げて説明するが、本発明の適用は化粧品容器に限定されるものではなく、他のものを内容物とする各種容器に対しても適用可能である。尚、各図において、X1で示す方向を上方向とし、X2で示す方向を下方向とする。
【0018】
外容器11は略円筒形状を有し、本実施形態では樹脂により形成されている。しかしながら、外容器11の材質は樹脂に限定されるものではなく、他の材料(例えば、ガラス,陶器等)を用いることも可能である。この外容器11は、筒状本体16、底部開口17、上端部18、回転防止溝19、及び固定用凹部20を有している。
【0019】
筒状本体16は円筒形状を有しており、本実施形態では下端部が開口されて底部開口17を形成している。後述するレフィル容器12は、底部開口17から筒状本体16内に装入される。本実施形態では、筒状本体16の下端に底部開口17を形成したままの構成であるが、底部開口17を塞ぐ底蓋を設ける構成としてもよい。
【0020】
また筒状本体16は、使用後廃棄されるレフィル容器12と異なり、廃棄されずに長期にわたり使用されるものである。このため、筒状本体16は、その外周部分に外観性を向上させるための意匠を施す構成としてもよい。
【0021】
筒状本体16の上端部18は環状とされており、その内部に開口部21が形成されている。レフィル容器12の装着部24は、この開口部21に装入されると共に上端部18に装着される。
【0022】
上端部18の内径は、筒状本体16よりも小さい。よって、筒状本体16と上端部18との間には、後述する仮止め部材30が固定される固定用凹部20が形成される(図4参照)。また、上端部18の内周面の直径は、レフィル容器12に取り付けられる蓋体22の直径よりも大きく設定されている。
【0023】
上端部18の開口部21と面する内周面には、複数の回転防止溝19が形成されている。この回転防止溝19は、レフィル容器12の外容器11に対する装着脱方向(図中、X1,X2方向)に延在するよう形成されている。また回転防止溝19は、図5に示すように、上端部18の内周面に等ピッチで多数形成されている。更に、各回転防止溝19の下端部には、テーパ部19aが形成されている(図3、図4参照)。
【0024】
仮止め部材30はばね性を有する材料(金属或いは樹脂等)により形成されており、図4に示されるように外容器11の固定用凹部20に固定される。この仮止め部材30は、固定部31及びフック爪32を有している。固定部31は環状形状を有し、固定用凹部20に固定される部位である。固定部31の固定用凹部20に対する固定は、例えば接着剤を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
フック爪32は、固定部31より下方(X2方向)に向け片持ち梁状に延出している。前記のように仮止め部材30はばね性を有する材料により形成されており、よってフック爪32は固定部31に対して弾性変形可能な構成となっている。また、仮止め部材30が固定用凹部20に固定された状態で、フック爪32は外容器11に形成された上端部18の内側に位置している。このフック爪32は、レフィル容器12に形成された鍔部27と共に仮止め機構13を構成する。
【0026】
次に、主に図1及び図2を用いて、レフィル容器12について説明する。前記した外容器11は、いわゆる外装容器であり内容物が全て排出された後も使用し続けるものである。これに対してレフィル容器12は、内容物が排出された後は新品に取り替えが行われる容器である。
【0027】
このレフィル容器12は、容器本体23と首部25とが樹脂により一体成形された構成を有している。本実施形態では、レフィル容器12の材料としてポリプロプレンを用いている。ポリプロプレンは、強度が高く、吸湿性がなく、また薬品に強い性質を有するため、レフィル容器12の材料として良好である。しかしながら、レフィル容器12の材料は、ポリプロプレンに限定されるものではない。
【0028】
容器本体23は薄肉のチューブ形状を有し、内部に内容物(本実施形態では化粧品)が充填される。この容器本体23は、本実施形態では容器本体23の肉厚tは、その全体にわたり均一の厚さとされている(首部25は除く)。また容器本体23の肩部23a及び底部23bは、湾曲形状とされている。具体的には、容器本体23の肩部23a及び底部23bは、断面が半径Rの円形状とされている(図1参照)。また、容器本体23の肩部23aと底部23bとの間に位置する胴部23cは円筒形状を有し、その直径はLとされている。
【0029】
首部25には、ねじ部26、鍔部27、及び回転防止用爪28等が形成されている。この首部25、ねじ部26、鍔部27、及び回転防止用爪28は、レフィル容器12を外容器11に装着するための装着部24として機能する。
【0030】
首部25は容器本体23に対して肉厚wが容器本体23の肉厚tよりも厚く、よって容器本体23に対して高い剛性を有するよう構成されている(これについては、後に詳述する)。この首部25の内側には開口部29が形成され、容器本体23内の内容物は開口部29から取り出される。ねじ部26は、開口部29を封止する蓋体22が螺着されると共に、後述するディスペンサー90が螺着される。
【0031】
鍔部27は、装着部24の下部において外側に向け環状に延出した構成とされている。この鍔部27の外径は、外容器11の上端部18の内径よりも大きく設定されている。従って、レフィル容器12を外容器11に挿入した場合、鍔部27は上端部18と当接する。
【0032】
回転防止用爪28は、鍔部27の上部に複数形成されている。本実施形態では、図5に示すように、回転防止用爪28は90°間隔で4個設けられている。個々の回転防止用爪28は板状の突片であり、下辺が鍔部27と一体的に接合され、内側の側辺が首部25と一体的に接合された構成となっている。この回転防止用爪28は、外容器11の上端部18に形成された回転防止溝19と係合可能な構成となっている。
【0033】
仮止め機構13は、仮止め部材30に形成された仮止め爪32と、レフィル容器12に形成された鍔部27とを有している。前記のように、レフィル容器12が外容器11に挿入された際、鍔部27は上端部18に対して大径であるため上端部18に当接する。この当接直前において、鍔部27は仮止め爪32の突出部分を乗り越え、鍔部27が下縁部18aと当接すると同時に仮止め爪32は鍔部27と係合し、これを係止する。
【0034】
この際、仮止め爪32はばね性を有する材料により形成されており、かつ片持ち梁状である。このため仮止め爪32は、鍔部27が仮止め爪32を乗り越える際に外側に弾性変形し、乗り越えた時点で元の状態に弾性復元する。
【0035】
この係止状態では、鍔部27の上面は上端部18の下縁部18a(図4に図示する)と当接し、また鍔部27の下面は仮止め爪32と係合し係止された状態となる。従って、レフィル容器12は仮止め機構13により外容器11に仮止めされた状態となる。
【0036】
ここで、仮止めされた状態とは、ディスペンサー90によりレフィル容器12が外容器11に本固定される前までの状態をいう。また仮止め状態では、仮止め爪32の鍔部27を係止する係止力以上の力でレフィル容器12を引き抜いた場合にはレフィル容器12を外容器11から取り出せるものの、この係止力以下の外力が印加された場合にはレフィル容器12は外容器11に係止(保持)された状態を維持する。
【0037】
回転防止機構14は、上端部18に形成された回転防止溝19と、鍔部27上に形成された回転防止用爪28とを有している。レフィル容器12が外容器11に挿入された際、回転防止用爪28と上端部18は対峙した状態となるが、回転防止溝19は上端部18の内壁に多数形成されているため、回転防止用爪28はいずれかの回転防止溝19と係合する。
【0038】
回転防止溝19及び回転防止用爪28は、上下方向(X1,X2方向)に延在している。このため、図2及び図5に示すように回転防止溝19と回転防止用爪28が係合すると、外容器11に対するレフィル容器12の回転は規制される。よって、外容器11或いはレフィル容器12に回転方向に力が印加されても、外容器11内でレフィル容器12が相対的に回転するようなことはない。
【0039】
続いて、上記構成とされた二重容器10において、外容器11にレフィル容器12を装着する操作、及び外容器11からレフィル容器12を離脱させる操作について説明する。
【0040】
レフィル容器12を外容器11に装着するには、図3に示すように、レフィル容器12を底部開口17から外容器11の筒状本体16内に挿入する。蓋体22の外形は、上端部18の内径よりも小さく設定されている。よって、蓋体22を含め首部25は、外容器11の上端部18(開口部21)内に挿入される。この挿入に伴い、回転防止用爪28が上端部18と対峙した状態となる。
【0041】
しかしながら、前記のように回転防止用爪28の内周面には多数の回転防止溝19が形成されているため、回転防止用爪28はこの回転防止用爪28内に進行し、これにより回転防止用爪28は回転防止溝19と係合した状態となる。このように、回転防止機構14を構成する回転防止用爪28と回転防止溝19とが係合することにより、外容器11内におけるレフィル容器12の回転が防止される。
【0042】
回転防止用爪28と回転防止溝19とが係合した状態で、更にレフィル容器12を外容器11に挿入すると、鍔部27が仮止め部材30の仮止め爪32(具体的には、内側に突出した部分)に当接する。この状態で更にレフィル容器12を挿入すると、ばね性を有する材料よりなり片持ち梁状の仮止め爪32は外側に弾性変形する。これにより、鍔部27は仮止め爪32を乗り越える。
【0043】
そして、鍔部27が仮止め爪32を乗り越えた状態で、鍔部27の上面は上端部18の下縁部18aと当接し、仮止め爪32は鍔部27の下面と係合し鍔部27を係止する。このように仮止め機構13を構成する仮止め爪32が鍔部27を係止することにより、レフィル容器12は外容器11に仮止めされた状態となる。
【0044】
上記のようにレフィル容器12が外容器11に仮止めされると、レフィル容器12から蓋体22が取り外され、続いてディスペンサー90が装着される。図6は、ディスペンサー90がねじ部26に螺着された状態(この状態を装着状態という)を示している。装着状態において、ディスペンサー90のキャップ91は、ねじ部26への螺着力によりその下端部91aが外容器11の天板部11aを押圧している。この押圧力により、相対的に首部25(レフィル容器12)は上方向(X1方向)に付勢される。
【0045】
また、レフィル容器12が上方向に付勢されることにより、レフィル容器12に設けられている鍔部27は上端部18の下縁部18aに押圧される。このように、ディスペンサー90がねじ部26に螺着されることにより、外容器11とレフィル容器12は確実に固定される。即ち、ディスペンサー90が取り外されるまで、外容器11とレフィル容器12は固定された状態を維持される(この状態を本固定状態という)。この本固定状態において、ディスペンサー90を用いて容器本体23に充填されている内容物の定量吐出処理が行われる。
【0046】
一方、使用済みのレフィル容器12を取り替えるには、先ずディスペンサー90を回転し、レフィル容器12(装着部24)のねじ部26からディスペンサー90を取り外す。この際、前記のように回転防止機構14の回転防止用爪28は回転防止溝19に係合した状態を維持しているため、外容器11に対してレフィル容器12が回転するようなことはなく、容易かつ操作性よくディスペンサー90をねじ部26から取り外すことができる。
【0047】
また、ディスペンサー90が取り外された状態において、レフィル容器12は仮止め機構13により外容器11に仮止めされた状態を維持している。よって、ディスペンサー90を取り外したときに、直ちにレフィル容器12が外容器11から外れて落下してしまうようなことはない。
【0048】
この仮止め状態からレフィル容器12を外容器11から取り外すには、レフィル容器12を下方(X2方向)に強く引き抜く処理を行う。これにより、ばね性を有する材料よりなり片持ち梁状の仮止め爪32は外側に向け弾性変形し、仮止め爪32による鍔部27の係止は解除される。これにより、仮止め機構13による仮止めは解除され、レフィル容器12を外容器11から取り外すことができる。また、レフィル容器12を外容器11に対してX2方向に引き抜く際、回転防止用爪28も上端部18から離脱し、回転防止機構14による回転防止も解除される。
【0049】
上記のように、本実施形態による二重容器10は、外容器11に対するレフィル容器12の装着操作、及び外容器11からレフィル容器12を取り外す操作を容易に行うことができる。また、外容器11に対するレフィル容器12の仮止めは、単にレフィル容器12の装着部24を外容器11の上端部18に挿入すればよいため、この仮止め処理も容易に行うことができる。
【0050】
ここで、上記のような二重容器10に用いられるレフィル容器12の構成について、更に詳しく説明する。
【0051】
前記したようにレフィル容器12は、容器本体23と首部25とがポリプロピレンにより一体的に形成された構成とされている。本実施形態では、後述するようにレフィル容器12の成形方法として射出延伸式ブロー成形(二軸延伸ブロー成形)を用いることにより、容器本体23の肉厚tを薄く形成している。具体的には、本実施形態では容器本体23の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmとなるよう成形している。
【0052】
仮に容器本体23の肉厚tを0.05mm未満に設定すると、容器本体23の強度が著しく低下してしまい、内容物(化粧品)を充填する容器として用いることができなくなる。逆に、容器本体23の肉厚tが0.3mmを超えた厚さになると、同一の内容量とした場合に容器本体23の重量が増加してしまう。また、容器本体23の肉厚tを0.3mmを超えた厚さとした上で、重量を肉厚tが0.3mm以下のものと同等の重量にしようとした場合には、必然的に容器本体23に対する内容物の充填量が減ってしまう。これに対して本実施形態の容器本体23は、その肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmの範囲(本実施形態では、0.21mm)に設定しているため、容器としての信頼性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0053】
一方、前記したように首部25にはねじ部26、鍔部27、及び回転防止用爪28等の仮止め機構13及び回転防止機構14の構成要素が形成されている。これらが容易に変形するとレフィル容器12を外容器11に装着することができなくなるため、首部25は仮止め及び回転防止を行うに足る剛性を有する必要がある。本実施形態では、首部25の肉厚wを容器本体23の肉厚tに対して厚くすることにより、剛性を持たせた構成としている。具体的には、首部25の肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmに設定している。
【0054】
仮に、容器本体23の肉厚tに対して首部25の肉厚wを5tmm未満に設定すると、首部25の剛性(強度)が著しく低下してしまい、レフィル容器12の外容器11に対する仮止め及び回転防止ができなくなってしまう。逆に、首部25の肉厚wが4.0 mmを超えた厚さになると、首部25の重量が増加し、結果としてレフィル容器12の重量が増加してしまう。これに対して本実施形態の首部25は、その肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmに設定しているため、レフィル容器12の外容器11に対する仮止め及び回転規制を図りつつ軽量化を図ることができる。
【0055】
次に、上記構成とされたレフィル容器12の製造方法について説明する。図7は、レフィル容器12の製造方法を説明するための図である。
【0056】
本実施形態では、レフィル容器12の製造方法として射出延伸式ブロー成形法を用いたことを特徴としている。射出延伸式ブロー成形法によりレフィル容器12を製造するには、先ず図7(A)に示すような射出成形機50を用意する。この射出成形機50は、その先端部分に射出成形用金型51が配設されている。
【0057】
射出成形機50は、加熱シリンダ52の内部に押し出しスクリュー53を有している。材料ホッパー54に装填された材料55(ポリプロピレン)は、加熱シリンダ52内で加熱溶融した後、押し出しスクリュー53が回転することにより射出成形用金型51に送られる。
【0058】
射出成形用金型51は、射出成形機50に固定された既定ダイスプレート56と、この既定ダイスプレート56に対して移動可能な構成とされた移動ダイスプレート57との間に配設されている。射出成形機50から射出された溶融樹脂は、射出成形用金型51内に導入される。樹脂が射出成形用金型51内に導入されると、その後冷却処理が実施され、溶融樹脂は硬化する。これにより、射出成形用金型51の内部にプリフォーム60が形成される。
【0059】
その後、射出成形用金型51を射出成形機50から取り外し、内部から成形されたプリフォーム60を取り出す。この射出成形において、肉厚が容器本体23の肉厚tよりも厚い部分である首部25、ねじ部26、鍔部27、回転防止用爪28等が形成される。
【0060】
この時のプリフォーム60の首部25の肉厚は、0.5mm≦w≦4.0mmとなるよう設定されている。尚、プリフォーム60は、その全体にわたり略同一の肉厚(0.5mm≦w≦4.0mm)となるよう成形されている。
【0061】
上記のようにプリフォーム60が成形されると、図7(B)に示すように、プリフォーム60に対してヒータ61を用いて再び加熱処理が実施される。この加熱処理が終了すると、プリフォーム60はブロー成形用金型62に装着される。この際、プリフォーム60の首部25より下の部分がブロー成形用金型62内に装着される。
【0062】
ブロー成形用金型62は、キャビティの上部に湾曲部62aが形成され、底部にも湾曲部62bが形成されている。この湾曲部62a,62bの半径R1は、ブロー成形用金型62により形成しようとする容器本体23の直径Lに対して0.25L≦R1≦0.5Lであるよう設定されている。
【0063】
続いて図7(D)に示すように、プリフォーム60の上部開口部から延伸ロッド63が挿入され、プリフォーム60を下方に延伸させると共に、側部に設けられた小孔から空気をブローすることにより、プリフォーム60を側方に対しても延伸させる。延伸されたプリフォーム60は、プリフォーム60のキャビティと接触し、キャビティに沿った形状に成形される。図7(E)は、延伸処理(ブロー成形処理)が終了し、レフィル容器12が形成された状態を示している。
【0064】
上記した延伸処理(ブロー成形処理)に伴い、プリフォーム60の胴部分の肉厚は漸次薄くなり、レフィル容器12が形成された状態において、その肉厚tは肩部23a及び底部23bを含めて0.05mm≦t≦0.3mmの範囲の厚さ(本実施形態では、0.21mm)となる。
【0065】
上記したように、本実施形態ではブロー成形用金型62のキャビティの上端部及び下端部に湾曲部62a,62bを形成すると共に、この湾曲部62a,62bの半径を容器本体23の直径Lに対して0.25L≦R1≦0.75Lであるよう設定している。仮に、ブロー成形用金型のキャビティの上端部及び下端部を湾曲形状とせず断面直角或いはこれに近い角度を有した形状とした場合、この上端部及び下端部における肉厚は他の部位に比べて厚くなってしまい、容器本体と同一の肉厚とすることができなくなる。
【0066】
しかしながら、本実施形態のように湾曲部62a,62bの半径を容器本体23の直径Lに対して0.25L≦R1≦0.75Lに設定することにより、ブロー成形用金型62により形成されるレフィル容器12の容器本体23(肩部23a及び底部23bを含む)の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmの範囲の厚さで均一に形成することができる。
【0067】
上記のようにブロー成形用金型62内でレフィル容器12が形成されると、図7(F)に示すように、レフィル容器12がブロー成形用金型62から離型される。以上の工程を経ることにより、レフィル容器12が製造される。
【0068】
図8は、上記のように製造されたレフィル容器12を、従来から知られている他の構造のレフィル容器と比較した結果を示している。同図において、Bは押し出し式ブロー成形により形成されたレフィル容器(以下、B容器という)、Cは胴体部分がフィルムから作られたレフィル容器(以下、C容器という)、Dは複数の薄膜をラミネートすると共に口栓を設けた口栓付きパウチタイプのレフィル容器(以下、D容器という)である。また、Aは本実施形態に係るレフィル容器12である。
【0069】
いずれの容器A〜Dも、内部に充填される容量を同一となるよう製造し、それぞれの容器A〜Dの重量を測定した。その結果、本実施形態に係るレフィル容器12が約5gであったのに対し、容器B〜Dは約10gであった。よって、本実施形態に係るレフィル容器12は、従来の他の容器B〜Dに対して軽量化を図ることができた。
【0070】
次に、図9乃至図11を用いて、本実施形態に係るレフィル容器12の効果を実証する実験を行った結果について説明する。
【0071】
図9は、容器本位23の肉厚tを変化させたときのレフィル容器12の強度及び重さを示している。本実験では容器本位23の直径L、肩部23a及び底部23bに形成された湾曲部の半径R、及び内容積は同一とし、容器本位23の肉厚tを変化させたレフィル容器12を作製し、これに対して強度及び重さを測定した。
【0072】
ここで、強度試験は作製したレフィル容器に内容物を充填し、これを所定の高さから落下させ、その際に破損が発生するか否かで判定を行った。強度の判定は、破損が発生した場合には「×」、破損が発生しなかった場合には「○」、更に破損が発生せずかつ変形等の発生も少なかった場合には「◎」とした。また重さの判定は、図8に示した従来の各種レフィル容器の平均重さ(容積は同一とする)を基準とし、これと同等の重さの場合には「×」、軽量化が図られている場合には「○」、軽量化が大きく図られている場合には「◎」とした。
【0073】
図9より、容器本体23の厚さtが0.05mm未満であると、重さに関しては軽量化が図れるが、強度が十分に得られないことがわかる。また、容器本体23の厚さtが0.3mmを超えると、逆に強度は十分に得られるが、軽量化が図れないことがわかる。従って、本実験結果より、容器本体23の厚さtを0.05mm≦t≦0.3mmとすることにより、十分な強度を実現できると共に軽量化を図りうるレフィル容器を実現できることが実証された。
【0074】
図10は、容器本位23の首部25の肉厚wを変化させたときのレフィル容器12の重さ、及び首部25の剛性を示している。実験条件は、基本的には図9を用いて説明した実験と同じである。また、剛性の判定は、作製した各種レフィル容器の首部にディスペンサー90を装着することで行い、この時に首部の剛性が低いために装着操作性が不良であった場合には「×」、装着が可能であった場合は「○」、装着操作性が極めて良好であった場合には「◎」とした。尚、重さの判定は、図9に示した実験と同じ判定を行った。
【0075】
図10より、首部25の厚さwが0.5mm未満であると、重さに関しては軽量化が図れるが、剛性が低くディスペンサーの装着操作性が低下してしまうことがわかる。また、首部25の厚さwが4.0mmを超えると、逆に剛性は十分に得られるが、軽量化が図れないことがわかる。従って、本実験結果より、首部25の厚さwを0.5mm≦w≦4.0mmとすることにより、ディスペンサー90やキャップ等が装着されると共に外容器11に挿入される首部25の剛性を高めることができると共に軽量化を図りうるレフィル容器を実現できることが実証された。
【0076】
図11は、容器本位23の肩部23a及び底部23bの湾曲部の半径Rを変化させたときのレフィル容器12の強度及び重さを示している。実験条件及び判定方法は、基本的には図9を用いて説明した実験と同じである。また、図11(A)は容器本体23の直径Lを30mmとしたときの実験結果であり、図11(B)は容器本体23の直径Lを40mmとしたときの実験結果であり、図11(C)は容器本体23の直径Lを50mmとしたときの実験結果である。
【0077】
図11(A)〜(B)に示されるように、容器本位23の直径Lを変化させても、湾曲部の半径Rを変化に伴う強度及び重さの変化は、略同様に発生する。そして図11(A)〜(B)に示されるいずれの場合であっても、湾曲部の半径Rが0.25×L未満であると、重さに関しては軽量化が図れるが、強度が十分に得られないことがわかる。また、湾曲部の半径Rが0.75×Lを超えると、逆に強度は十分に得られるが、軽量化が図れないことがわかる。従って、本実験結果より、曲部の半径Rを容器本体23の直径Lに対して0.25L≦R≦0.75Lとすることにより、十分な強度を実現できると共に軽量化を図りうるレフィル容器を実現できることが実証された。
【0078】
図12は、前記したレフィル容器12の第1の変形例であるレフィル容器42を示している。尚、図12において、図1に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0079】
本変形例に係るレフィル容器42は、その肩部23a及び容器本体23bの半径R2を、図1に示したレフィル容器12の肩部23a及び容器本体23bの半径Rに比べて小さくしたものである(R2<R)。このように、肩部23a及び容器本体23bの半径は上記の0.25L≦R≦0.75Lの範囲内であれば適宜選択が可能であり、図12に示すような底の扁平部分が広い形状に成形することも可能である。この実施形態によれば、レフィル容器42を自立させることも可能である。
【0080】
図13は、第2の変形例であるレフィル容器72を示している。図13(A)はレフィル容器72の平面図であり、図13(B)はレフィル容器72の正面図である。尚、図13においても、図1に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
前記した第1実施形態に係るレフィル容器12は、断面形状を円形状とした。これに対して本変形例に係るレフィル容器72は、容器本体73の断面形状を多角形とすると共にリブ74が形成された構成とされている。本変形例では、容器本体73を断面八角形とした例を示している。また、本変形例に係るリブ74は、多角形が有する各頂点部分に形成され、この頂点部にフィレット又は面取りを形成した構成とされている。尚、容器本体73の肉厚は、0.14mmとしている。
【0082】
本変形例のように容器本体73の断面形状を多角形形状とすることにより、容器本体73の剛性を高めることができる。更に、本変形例では各頂点部にリブ74が形成されているため、更に容器本体73の剛性を高めることができる。
【0083】
上記のように本変形例では多角形として容器本体73の断面形状を八角形とした。しかしながら、容器本体73の断面形状は八角形に限定されるものではない。しかしながら、三角形や四角形のように辺の数が少ない多角形では、必然的に肉厚が厚くなりレフィル容器72の重量が増大することとなる。また、二十角形や三十角形等になるとその断面形状は図1に示した円形状に近似してゆき、剛性を高める効果が低減する。よって、容器本体73の多角形として何角形を選定するかは、容器本体73に要求される強度及び軽さに基づき適宜選定することが望ましい。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0085】
10 二重容器
11 外容器
12,42,72 レフィル容器
13 仮止め機構
14 回転防止機構
19 回転防止溝
20 固定用凹部
23,73 容器本体
23a 肩部
23b 底部
24 装着部
25 首部
27 鍔部
28 回転防止用爪
30 仮止め部材
31 固定部
32 フック爪
50 射出成形機
51 射出成形用金型
52 加熱シリンダ
53 押し出しスクリュー
54 材料ホッパー
55 材料
60 プリフォーム
61 ヒータ
62 ブロー成形用金型
62a 内壁
62b 内壁
63 延伸ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部と容器本体とが樹脂により一体成形されてなる薄肉容器において、
前記容器本体の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmとし、
前記首部の肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmとし、
前記容器本体の肩部及び底部に形成された湾曲部の半径Rを前記容器本体の直径Lに対して0.25L≦R≦0.75Lとしたことを特徴とする薄肉容器。
【請求項2】
前記樹脂がポリプロピレンである請求項1記載の薄肉容器。
【請求項3】
前記首部と前記容器本体とが射出延伸式ブロー成形されてなる請求項1又は2記載の薄肉容器。
【請求項4】
首部と容器本体とが樹脂により一体成形されると共に、外容器に装着されて使用されるレフィル容器であって、
前記容器本体の肉厚tを0.05mm≦t≦0.3mmとし、
前記首部の肉厚wを0.5mm≦w≦4.0mmとし、
前記容器本体の肩部及び底部に形成された湾曲部の半径Rを前記容器本体の直径Lに対して0.25L≦R≦0.75Lとし、
かつ、前記首部に前記外容器に装着された際に該外容器に係止される係止部を設けたことを特徴とするレフィル容器。
【請求項5】
前記樹脂がポリプロピレンである請求項4記載のレフィル容器。
【請求項6】
前記首部と前記容器本体とが射出延伸式ブロー成形されてなる請求項4又は5記載のレフィル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−241505(P2010−241505A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27109(P2010−27109)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】