説明

薄膜キャパシタ及びその製造方法、電子装置並びに回路基板

【課題】キャパシタ誘電体膜が水素や水分により還元されるのをより確実に防止し得る薄膜キャパシタ及びその製造方法、並びに、その薄膜キャパシタを用いた電子装置及び回路基板を提供する。
【解決手段】支持基板10上に形成され、第1のキャパシタ電極14と;第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜16と;キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20と、第1のキャパシタ電極又は第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26a、26bと、引き出し電極に接続された外部接続用電極34a、34bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜キャパシタ及びその製造方法、電子装置並びに回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路配線基板上に実装されたLSI(Large Scale Integrated circuit)等の近傍には、電源電圧変動や高周波ノイズによる誤動作を防止すべく、デカップリングキャパシタが実装される。
【0003】
デカップリングキャパシタは、回路配線基板と別個の基板を用いて構成されており、回路配線基板上に適宜実装される。
【0004】
近時では、LSI等の高速化や低消費電力化に伴って、デカップリングキャパシタの特性を向上することが求められている。また、LSI等の小型化に伴い、デカップリングキャパシタの小型化が要請されている。
【0005】
そこで、デカップリングキャパシタの小型化の要請を満たしつつ、静電容量を向上する技術が提案されている。
【0006】
提案されているキャパシタを図35を用いて説明する。図35は、提案されているキャパシタを示す断面図である。
【0007】
図22に示すように、シリコン基板110上には、シリコン酸化膜112が形成されている。シリコン酸化膜112上には、例えば膜厚100nmのPt膜より成るキャパシタ電極(下部電極)114が形成されている。キャパシタ電極114上には、例えば、高誘電体であるBaSr1−XTiO膜(以下、「BST膜」ともいう)より成る膜厚100nmのキャパシタ誘電体膜116が形成されている。キャパシタ誘電体膜116上には、膜厚100nmのPtより成るキャパシタ電極(上部電極)118が形成されている。こうして、キャパシタ電極114とキャパシタ誘電体膜116とキャパシタ電極118とを有するキャパシタ部120が構成されている。
【0008】
キャパシタ部120が形成されたシリコン基板110上には、絶縁性バリア膜122が形成されている。絶縁性バリア膜122は、水素や水分がキャパシタ部120に達するのを防止するためのものである。
【0009】
即ち、薄膜キャパシタを製造する際や使用する際に、水素や水分がキャパシタ誘電体膜116に達すると、キャパシタ誘電体膜116を構成する酸化物が水素により還元され、キャパシタ部120の電気的特性の劣化を招いてしまう虞がある。図22に示す薄膜キャパシタでは、キャパシタ部120を覆うように絶縁性バリア膜122を形成することにより、水素や水分がキャパシタ誘電体膜116に達するのを抑制している。
【0010】
絶縁性バリア膜122上には、例えば樹脂より成る保護膜130が形成されている。保護膜130及び絶縁性バリア膜122には、キャパシタ電極114に達する開口部132aとキャパシタ電極(上部電極)118に達する開口部132bとが形成されている。開口部132a、132b内には、外部接続用電極134a、134bが埋め込まれている。外部接続用電極134a、134b上には、半田バンプ136が形成されている。
【0011】
キャパシタ部120のキャパシタ電極114は、外部接続用電極134a及び半田バンプ136を介して、例えば回路配線基板(図示せず)の電源線に電気的に接続される。また、キャパシタ部120のキャパシタ電極118は、外部接続用電極134b及び半田バンプ136を介して、例えば回路配線基板(図示せず)の接地線に電気的に接続される。
【0012】
図22に示す薄膜キャパシタによれば、キャパシタ誘電体膜116の材料として高誘電体が用いられており、キャパシタ誘電体膜116が100nm程度と薄く形成されているので、静電容量の向上を図ることができる。しかも、半導体プロセスを利用して製造することができるため、微細に形成することができ、インダクタンスの低減を図ることも可能である。従って、提案されている薄膜キャパシタによれば、電源電圧変動をより確実に防止することができ、高周波ノイズを十分に除去することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−97289号公報
【特許文献2】特開2000−228499号公報
【特許文献3】特許第3157734号公報
【特許文献4】特開平9−293869号公報
【特許文献5】特開2002−110931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、外部接続用電極134a、134bを介して水素や水分がキャパシタ誘電体膜116に達するのを防止することができなかった。このため、キャパシタ誘電体膜116がある程度還元されてしまい、必ずしも十分に良好な電気的特性が得られない場合があった。
【0015】
本発明の目的は、キャパシタ誘電体膜が水素や水分により還元されるのをより確実に防止し得る薄膜キャパシタ及びその製造方法、並びに、その薄膜キャパシタを用いた電子装置及び回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一観点によれば、支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有することを特徴とする薄膜キャパシタが提供される。
【0017】
また、本発明の他の観点によれば、支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極を形成する工程と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極を形成する工程とを有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の更に他の観点によれば、回路基板と、前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有する薄膜キャパシタと、前記回路基板に実装された半導体素子とを有することを特徴とする電子装置が提供される。
【0019】
また、本発明の更に他の観点によれば、回路基板と、前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタと、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有する薄膜キャパシタと、前記薄膜キャパシタ上に実装され、前記外部接続用電極及び前記貫通電極を介して前記回路基板に電気的に接続された半導体素子とを有することを特徴とする電子装置が提供される。
【0020】
また、本発明の更に他の観点によれば、薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有しており、前記外部接続電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されていることを特徴とする回路基板が提供される。
【0021】
また、本発明の更に他の観点によれば、薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有しており、前記貫通電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されていることを特徴とする回路基板が提供される。
【0022】
また、本発明の更に他の観点によれば、支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを有することを特徴とする薄膜キャパシタが提供される。
【0023】
また、本発明の更に他の観点によれば、支持基板上に形成された、第1のキャパシタ電極と、前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、前記第1の導電性バリア膜上に形成されたキャパシタ誘電体膜と、前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極と、前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、前記第1のキャパシタ電極上及び前記第2のキャパシタ電極上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを有することを特徴とする薄膜キャパシタが提供される。
【0024】
また、本発明の更に他の観点によれば、支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成するとともに、前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように絶縁膜を形成する工程と、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、絶縁膜に埋め込む工程とを有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法が提供される。
【0025】
また、本発明の更に他の観点によれば、支持基板上に、第1のキャパシタ電極を形成する工程と、前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成する工程と、前記第1の導電性バリア膜上に、キャパシタ誘電体膜を形成する工程と、前記キャパシタ誘電体膜上に、前記第2のキャパシタ電極を形成する工程と、前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、前記第1の導電性バリア膜上及び前記第2の導電性バリア膜上に絶縁膜を形成する工程と、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、前記絶縁膜に埋め込む工程とを有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、キャパシタ電極と外部接続用電極とが導電性バリア膜より成る引き出し電極を介して接続されているため、外部接続用電極を介して浸入する水素や水分がキャパシタ電極に達するのを引き出し電極において十分に遮断することができる。このため、本発明によれば、水素や水分がキャパシタ部に達するのを確実に防止することができ、水素や水分によりキャパシタ誘電体膜が劣化するのを防止することができる。従って、本発明によれば、電気的特性の劣化や信頼性の低下を防止し得る薄膜キャパシタ、並びに、その薄膜キャパシタを用いた電子装置及び回路基板を提供することができる。
【0027】
本発明によれば、第1のキャパシタ電極上に水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜が形成されており、第2のキャパシタ電極上に水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜が形成されており、第1の外部接続用電極が第1の導電性バリア膜を介して第1のキャパシタ電極に電気的に接続されており、第2の外部接続用電極が第2の導電性バリア膜を介して第2の外部接続用電極に接続されているため、第1の外部接続用電極及び第2の外部接続用電極を介して水素や水分がキャパシタ誘電体膜に達するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図3】本発明の第1実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図4】本発明の第1実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図5】本発明の第2実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図7】本発明の第2実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図8】本発明の第2実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図9】本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図11】本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図12】本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図13】本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図14】本発明の第4実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態による薄膜キャパシタを示す工程断面図(その1)である。
【図16】本発明の第4実施形態による薄膜キャパシタを示す工程断面図(その2)である。
【図17】本発明の第4実施形態による薄膜キャパシタを示す工程断面図(その3)である。
【図18】本発明の第5実施形態による電子装置を示す断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態による電子装置を示す断面図である。
【図20】本発明の第7実施形態による回路基板を示す断面図である。
【図21】本発明の第8実施形態による回路基板を示す断面図である。
【図22】本発明の第9実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図23】本発明の第9実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図24】本発明の第9実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図25】本発明の第9実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図26】本発明の第10実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図27】本発明の第10実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図28】本発明の第10実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図29】本発明の第11実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図30】本発明の第11実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図31】本発明の第11実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図32】本発明の第12実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。
【図33】本発明の第12実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図34】本発明の第12実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図35】提案されている薄膜キャパシタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。図1(a)は、図1(b)のA−A′線断面図である。
【0030】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタについて図1を用いて説明する。
【0031】
図1に示すように、支持基板10上には、絶縁膜12が形成されている。支持基板10の材料としては、例えば半導体基板、より具体的にはシリコン基板が用いられている。絶縁膜12としては、例えば、シリコン酸化膜が形成されている。絶縁膜12は、支持基板10と後述するキャパシタ部20とを絶縁するためのものである。
【0032】
絶縁膜12上には、密着層(図示せず)が形成されている。密着層としては、例えば、厚さ100nmの酸化チタン(TiO)層が形成されている。
【0033】
密着層上には、膜厚100nmの白金(Pt)より成るキャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14には、絶縁膜12に達する開口部15が形成されている。
【0034】
キャパシタ電極14上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、多結晶のBaSr1−XTiO膜(以下、「BST膜」ともいう)がキャパシタ誘電体膜16として用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。キャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に形成された開口部15に対応するように開口部17が形成されている。開口部17の直径は、開口部15の直径より大きくなっている。
【0035】
キャパシタ誘電体膜16上には、膜厚100nmのPtより成るキャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18には、開口部15、17に対応するように、開口部19が形成されている。開口部19の直径は、開口部17の直径より大きくなっている。
【0036】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部が構成されている。
【0037】
キャパシタ部20が形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜22が形成されている。絶縁性バリア膜22は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜22は、後述する保護膜30を硬化(キュア)させる際や、外部接続用電極34a、34bを電気めっき法で形成する際に生じる水素ガス等がキャパシタ部20に達するのを、後述する絶縁性バリア膜28及び導電性バリア膜26a、26bと相俟って防止するためのものである。絶縁性バリア膜22としては、例えばキャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いる。本実施形態では、キャパシタ誘電体膜16としてBST膜が用いられているため、絶縁性バリア膜22として非晶質のBST膜を用いる。絶縁性バリア膜22の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0038】
本実施形態において絶縁性バリア膜22として非晶質膜を用いているのは、以下のような理由によるものである。即ち、多結晶膜には、結晶粒どうしの間に隙間、即ち、結晶粒界が存在するため、水素や水分が結晶粒どうしの隙間を通り抜けやすい。これに対し、非晶質膜には結晶粒界が存在しないため、水素や水分は非晶質膜を通り抜けにくい。このため、本実施形態では、絶縁性バリア膜22として非晶質膜を用いている。
【0039】
また、本実施形態において絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いているのは、以下のような理由によるものである。即ち、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16の材料と異なる材料を用いた場合には、絶縁性バリア膜22の熱膨張係数とキャパシタ誘電体膜16の熱膨張係数との相違に起因して、キャパシタ部20にストレスが加わる虞がある。これに対し、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いた場合には、絶縁性バリア膜22の熱膨張係数とキャパシタ誘電体膜16の熱膨張係数とが等しいため、キャパシタ部20にストレスが加わるのを防止することができる。このため、本実施形態では、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いている。
【0040】
なお、ここでは、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いる場合を例に説明したが、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と異なる材料を用いることも可能である。
【0041】
絶縁性バリア膜22には、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bとが形成されている。開口部24bと外部接続電極34bとの間の距離は例えば5μm以上に設定されている。開口部24bと外部接続用電極34bとの間の距離を5μm以上に設定するのは、後述するように、外部接続用電極34bを介して浸入する水素や水分がキャパシタ部20に達するのを引き出し電極26bにより確実に防止するためである。
【0042】
開口部24a内における絶縁膜12上及びキャパシタ電極14上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26aが形成されている。また、絶縁性バリア膜22上及び開口部24b内には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26bが形成されている。即ち、引き出し電極26bは、開口部24bを介してキャパシタ電極18に接続されている。引き出し電極26a、26bを構成する導電性バリア膜としては、例えば非晶質のTaSiN膜が用いられている。引き出し電極26a、26bの膜厚は、例えば100nm程度とする。
【0043】
本実施形態において、引き出し電極26a、26bとして非晶質膜を用いているのは、以下のような理由によるものである。即ち、多結晶膜の場合には、結晶粒どうしの間に隙間、即ち、結晶粒界が存在するため、水素や水分が結晶粒どうしの隙間を通り抜けやすい。これに対し、非晶質膜には結晶粒界が存在しないため、水素や水分は非晶質膜を通り抜けにくい。このため、本実施形態では、引き出し電極26a、26を構成する導電性バリア膜として非晶質膜を用いている。
【0044】
絶縁性バリア膜22上及び引き出し電極26a、26b上には、絶縁性バリア膜28が更に形成されている。絶縁性バリア膜28の材料としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム(アルミナ、Al)膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。絶縁性バリア膜28は、後述する保護膜30を硬化させる際や、外部接続用電極34a、34bを電気めっき法で形成する際に生じる水素ガス等が、キャパシタ部20に達するのを、絶縁性バリア膜22及び導電性バリア膜26a、26bと相俟って防止するためのものである。
【0045】
なお、本実施形態において絶縁性バリア膜28として非晶質膜を用いているのは、絶縁性バリア膜22として非晶質膜を用いている上述した理由と同様である。
【0046】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミド樹脂より成る保護膜30が形成されている。保護膜30の厚さは、例えば2μm程度とする。
【0047】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが形成されている。
【0048】
開口部32a、32b内には、チタン(Ti)膜と銅(Cu)膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。かかる積層膜は、密着層として機能する。
【0049】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、ニッケル(Ni)より成る外部接続用電極(パッド電極)34a、34bが形成されている。
【0050】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0051】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0052】
本実施形態による薄膜キャパシタは、キャパシタ電極14、18が水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26a、26bに接続されており、キャパシタ電極14、18から引き出された引き出し電極26a、26bに外部接続用電極34a、34bが接続されていることに主な特徴がある。
【0053】
外部接続用電極とキャパシタ電極との間に単に導電性のバリア膜を挟んだ場合には、外部接続用電極を介して浸入する水素や水分が導電性バリア膜を通ってキャパシタ部に達するまでの距離は、導電性バリア膜の膜厚に相当する距離である。導電性バリア膜の膜厚は、通常は100nm程度と薄い。このため、外部接続用電極とキャパシタ電極との間に単に導電性バリア膜を挟んだ場合には、引き出し電極を介して浸入する水素や水分を導電性バリア膜により十分に遮断し得ず、水素や水分がキャパシタ誘電体膜に達し、電気的特性の劣化や信頼性の低下等を招いてしまう虞がある。
【0054】
これに対し、本実施形態では、キャパシタ電極14、18と外部接続用電極26a、26bとが導電性バリア膜より成る引き出し電極26a、26bを介して接続されているため、外部接続用電極34a、34bを介して浸入する水素や水分が導電性バリア膜26a、26bを通ってキャパシタ電極14、18に達するまでの距離は、外部接続用電極34a、34bと引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所と、キャパシタ電極14、18と引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所との間の距離である。キャパシタ電極14、18と外部接続用電極34a、34bとを引き出し電極26a、26bを介して接続する場合には、外部接続用電極34a、34bと引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所と、キャパシタ電極14、18と引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所との間の距離は、数μm〜数百μm程度と十分に大きく設定することが可能である。このため、本実施形態のように、キャパシタ電極14、18と外部接続用電極34a、34bとを導電性バリア膜より成る引き出し電極26a、26bを介して接続した場合には、外部接続用電極34a、34bを介して浸入する水素や水分は引き出し電極26a、26bにおいて十分に遮断される。このため、本実施形態によれば、水素や水分がキャパシタ部20に達するのを確実に防止することができ、水素や水分によりキャパシタ誘電体膜16が劣化するのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、電気的特性の劣化や信頼性の低下を防止し得る薄膜キャパシタを提供することができる。
【0055】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図2乃至図4を用いて説明する。図2乃至図4は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0056】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。支持基板10としては、例えば半導体基板を用いる。より具体的には、支持基板10として例えばシリコン基板を用い、絶縁膜12として例えばシリコン酸化膜が形成されている。
【0057】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置(図示せず)の成膜室内に導入する。スパッタリング装置としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0058】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0059】
次に、全面に、スパッタリング法により、キャパシタ電極(下部電極)を形成するための導電膜14を形成する。導電膜14としては、例えばPt膜を形成する。導電膜14の膜厚は、例えば100nmとする。
【0060】
次に、全面に、スパッタリング法により、キャパシタ誘電体膜16を形成する。キャパシタ誘電体膜16としては、例えば多結晶のBST膜を形成する。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。
【0061】
次に、全面に、スパッタリング法により、キャパシタ電極(上部電極)を形成するための導電膜18を形成する。導電膜18としては、例えばPt膜を形成する。導電膜18の膜厚は、例えば100nmとする(図1(a)参照)。
【0062】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0063】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜をキャパシタ電極(上部電極)18(図1参照)の平面形状にパターニングする。
【0064】
次に、イオンミリング法により、フォトレジスト膜をマスクとして導電膜18をパターニングする(図2(b)参照)。これにより、キャパシタ誘電体膜16に達する開口部19が形成されたキャパシタ電極(上部電極)18が形成される。
【0065】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜をキャパシタ誘電体膜16(図1参照)の平面形状にパターニングする。
【0066】
次に、イオンミリング法により、フォトレジスト膜をマスクとしてキャパシタ誘電体膜16をパターニングする(図2(c)参照)。こうして、キャパシタ誘電体膜16に導電膜14に達する開口部17が形成される。
【0067】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜をキャパシタ電極(下部電極)14(図1参照)の平面形状にパターニングする。
【0068】
次に、イオンミリング法により、フォトレジスト膜をマスクとして導電膜14をパターニングする。これにより、絶縁膜12に達する開口部15が形成されたキャパシタ電極(下部電極)14が形成される。
【0069】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される(図2(d)参照)。
【0070】
なお、本実施形態において、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16及びキャパシタ電極18をベタ状に連続して成膜した後に、キャパシタ電極18、キャパシタ電極16、及びキャパシタ電極14を順次パターニングするのは、以下のような理由によるものである。
【0071】
即ち、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16及びキャパシタ電極18を成膜する毎にパターニングした場合には、パターニングの際に生じるダストやバリの影響により、キャパシタ部20の製造歩留りや信頼性が低下する虞がある。これに対し、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16及びキャパシタ電極18をベタ状に連続して成膜した後に、キャパシタ電極18、キャパシタ誘電体膜16、及びキャパシタ電極14を順次パターニングする場合には、ダストやバリに起因して製造歩留りや信頼性が低下して虞がない。このため、本実施形態では、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16及びキャパシタ電極18をベタ状に連続して成膜した後に、キャパシタ電極18、キャパシタ誘電体膜16、及びキャパシタ電極14を順次パターニングする。
【0072】
次に、全面に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜22を形成する。絶縁性バリア膜22としては例えば非晶質のBST膜を形成する。絶縁性バリア膜22の膜厚は、例えば50nmとする。
【0073】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ電極14及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bとを、絶縁性バリア膜22に形成する。開口部24aは、キャパシタ電極14の内縁部、即ち、キャパシタ電極14のうちの開口部15の周縁部を露出するように形成する(図3(a)参照)。
【0074】
次に、全面に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜を形成する。かかる導電性バリア膜としては、例えば非晶質のTaSiN膜を形成する。導電性バリア膜の膜厚は、例えば100nmとする。
【0075】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電性バリア膜をパターニングする。こうして、開口部24a内における絶縁膜12上及びキャパシタ電極14上に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26aが形成される。また、絶縁性バリア膜22上及び開口部24b内に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26bが形成される(図3(b)参照)。
【0076】
次に、全面に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム(アルミナ)膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図3(c)参照)。
【0077】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、保護膜30を形成する。保護膜30としては、例えば感光性ポリイミド樹脂より成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば2μm程度とする。
【0078】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する(図4(a)参照)。
【0079】
次に、開口部32a、32b内に露出している絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図4(b)参照)。
【0080】
次に、例えばスパッタリング法により、Ti膜(図示せず)とCu膜(図示せず)とを順次積層することにより積層膜を形成する。かかる積層膜は、密着層(図示せず)として機能するものである。また、かかる積層膜は、後工程で電気めっきを行う際にシード層としても機能する。
【0081】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0082】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、外部接続用電極(パッド電極)34a、34bを形成するためのものである。
【0083】
次に、電気めっき法により、開口部32a、32b内及び開口部32a、32bの周囲における保護膜30上に、例えばNiより成る外部接続用電極34a、34bを形成する。
【0084】
次に、電気めっき法により、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0085】
次に、外部接続用電極34a、34bの周囲に露出している積層膜をウエットエッチングにより除去する。
【0086】
次に、リフロー装置を用いて半田バンプ36を溶融させ、半田バンプ36を半球状に成形する。
【0087】
次に、ダイシングにより、支持基板10を所定のサイズに切断する。
【0088】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図4(c)参照)。
【0089】
(評価結果)
本実施形態による薄膜キャパシタの評価結果について説明する。
【0090】
図22に示す提案されている薄膜キャパシタについて単位面積当たりの静電容量を測定したところ、5μF/cmであった。
【0091】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて単位面積当たりの静電容量を測定したところ、5μF/cmであった。
【0092】
これらのことから、本実施形態による薄膜キャパシタにおける単位面積当たりの静電容量は、図22に示す提案されている薄膜キャパシタにおける単位面積当たりの静電容量と同様であることがわかる。
【0093】
また、図22に示す提案されている薄膜キャパシタについて絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約50MΩであった。
【0094】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて10GΩ以上であった。
【0095】
これらのことから、本実施形態によれば、絶縁抵抗の極めて高い薄膜キャパシタを実現し得ることが分かる。
【0096】
また、図22に示す提案されている薄膜キャパシタについて、PCBT試験(Pressure Cooker Bias Test)を行ったところ、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約1MΩであった。なお、PCBT試験の条件は、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0097】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて、PCBT試験を行ったところ、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約1GΩであった。なお、PCBT試験の条件は、提案されている薄膜キャパシタに対するPCBT試験の条件と同様に、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0098】
これらのことから、本実施形態によれば、電気的特性の劣化を著しく抑制し得ることが分かる。
【0099】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図5乃至図8を用いて説明する。図5は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。図5(a)は、図5(b)のA−A′線断面図である。図1乃至図4に示す第1実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0100】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタを図5を用いて説明する。
【0101】
本実施形態による薄膜キャパシタは、キャパシタ電極14に形成された開口部15aの内側に外部接続用電極34bが形成されていることに主な特徴がある。
【0102】
図5に示すように、支持基板10の表面には、絶縁膜12が形成されている。
【0103】
絶縁膜12上には、例えばTiOより成る密着層(図示せず)が形成されている。
【0104】
密着層上には、キャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14としては、例えば膜厚100nmのPtが形成されている。キャパシタ電極14には、絶縁膜12に達する開口部15、15aが形成されている。
【0105】
キャパシタ電極14上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜16として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。キャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に達する開口部17、17aが開口部15、15aに対応するように形成されている。開口部17、17aの直径は、開口部15、15aの直径より大きくなっている。
【0106】
キャパシタ誘電体膜16上には、キャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。キャパシタ電極18には、キャパシタ誘電体膜16に達する開口部19、19aが形成されている。開口部19は、開口部15、17に対応するように形成されている。開口部19aは、開口部15a、17aに対応するように形成されている。開口部19、19aの直径は、開口部17、17aの直径より大きくなっている。
【0107】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が構成されている。
【0108】
キャパシタ部20が形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜22が形成されている。絶縁性バリア膜22は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜22としては、例えば、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いる。ここでは、絶縁性バリア膜22として非晶質のBST膜を用いる。絶縁性バリア膜22の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0109】
なお、ここでは、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いる場合を例に説明したが、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16と異なる材料を用いてもよい。
【0110】
絶縁性バリア膜22には、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bと、絶縁膜12を露出する開口部24cとが形成されている。
【0111】
絶縁膜12上及びキャパシタ電極14の内縁部上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26aが形成されている。また、絶縁性バリア膜22上、開口部24b、24c内には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26cが形成されている。引き出し電極26a、26bを構成する導電性バリア膜としては、例えばTaSiN膜が用いられている。引き出し電極26a、26bの厚さは、例えば100nm程度とする。
【0112】
絶縁性バリア膜22上及び引き出し電極26a、26b上には、絶縁性バリア膜28が更に形成されている。絶縁性バリア膜28の材料としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0113】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の膜厚は、例えば2μm程度とする。
【0114】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、引き出し電極26aに達する開口部32aが形成されている。また、保護膜30及び絶縁層28には、引き出し電極26bに達する開口部32bが形成されている。
【0115】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。積層膜は、密着層として機能する。
【0116】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0117】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0118】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0119】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、キャパシタ電極14に形成された開口部15、15aの内側に外部接続用電極34a、34bが設けられていることに主な特徴がある。
【0120】
本実施形態によれば、キャパシタ電極14に形成された開口部15、15aの内側に外部接続用電極34a、34bが設けられているため、薄膜キャパシタを回路基板(図示せず)等にボンディングする際にキャパシタ部20にストレスが加わるのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、更なる信頼性の向上を実現することができる。
【0121】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図6乃至図8を用いて説明する。図6乃至図8は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0122】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、表面に例えばシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0123】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置の成膜室内に導入する。スパッタリング装置(図示せず)としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0124】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0125】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0126】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0127】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する(図6(a)参照)。
【0128】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0129】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜18をパターニングする。これにより、キャパシタ誘電体膜16に達する開口部19、19aが形成されたキャパシタ電極18が形成される(図6(b)参照)。
【0130】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ誘電体膜16をパターニングする。これにより、キャパシタ誘電体膜16に開口部17、17aが形成される(図6(c)参照)。
【0131】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜14をパターニングする。これにより、絶縁膜12に達する開口部15、15aが形成されたキャパシタ電極14が形成される(図6(d)参照)。
【0132】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される。
【0133】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、絶縁性バリア膜22を形成する。絶縁性バリア膜22としては、例えば膜厚50nmの非晶質のBST膜を形成する。
【0134】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bと、絶縁膜12を露出する開口部26cとを、絶縁性バリア膜22に形成する(図7(a)参照)。
【0135】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜を形成する。かかる導電性バリア膜としては、例えば膜厚100nmの非晶質のTaSiN膜を形成する。
【0136】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電性バリア膜をパターニングする。こうして、絶縁膜12上及びキャパシタ電極14の内縁部上に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26aが形成される。また、絶縁性バリア膜22上及び開口部24b、24c内に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26cが形成される(図7(b)参照)。
【0137】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図7(c)参照)。
【0138】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば2μm程度とする。
【0139】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する(図8(a)参照)。
【0140】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図8(b)参照)。
【0141】
次に、例えばスパッタリング法により、Ti膜とCu膜とを順次積層してなる積層膜(図示せず)を形成する。かかる積層膜は、密着層として機能する。また、かかる積層膜は、後工程で電気めっき法により外部接続用電極34a、34bを形成する際にシード層としても機能する。
【0142】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0143】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、外部接続用電極34a、34bを形成するためのものである。
【0144】
次に、電気めっき法により、開口部34a、34b内に、例えばNiより成る外部接続用電極34a、34bを形成する。
【0145】
次に、電気めっき法により、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0146】
次に、外部接続用電極34a、34bの周囲に露出している積層膜をウエットエッチングにより除去する。
【0147】
次に、リフロー装置を用いて半田バンプ36を溶融させ、半田バンプ36を半球状に成形する。
【0148】
次に、ダイシングにより、支持基板10を所定のサイズに切断する。
【0149】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図8(c)参照)。
【0150】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図9乃至図13を用いて説明する。図9は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図及び平面図である。図9(a)は、図9(b)のA−A′線断面図である。図1乃至図8に示す第1又は第2実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0151】
本実施形態による薄膜キャパシタは、キャパシタ電極18上にキャパシタ誘電体膜38が更に形成されており、かかるキャパシタ誘電体膜38上にキャパシタ電極40が更に形成されており、キャパシタ電極40とキャパシタ電極14とが電気的に接続されていることに主な特徴がある。
【0152】
図9に示すように、キャパシタ電極18上には、キャパシタ誘電体膜38が形成されている。キャパシタ誘電体膜38の材料としては、例えばキャパシタ誘電体膜16の材料と同様に、高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜38として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜38の膜厚は、例えば100nmとする。
【0153】
キャパシタ誘電体膜38上には、キャパシタ電極40が形成されている。キャパシタ電極40としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。キャパシタ電極40は、後述する引き出し電極26dを介してキャパシタ電極14に電気的に接続されている。
【0154】
こうして、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16、キャパシタ電極18、キャパシタ誘電体膜38及びキャパシタ電極40を有するキャパシタ部20aが構成されている。
【0155】
キャパシタ部20aが形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28が形成されている。絶縁性バリア膜28は、キャパシタ部20aを覆うように形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えばキャパシタ誘電体膜16、38と同一の材料より成る非晶質膜を用いる。ここでは、キャパシタ誘電体膜28として非晶質のBST膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0156】
なお、ここでは、絶縁性バリア膜28の材料として、キャパシタ誘電体膜16、38と同一の材料より成る非晶質膜を用いる場合を例に説明したが、絶縁性バリア膜28の材料として、キャパシタ誘電体膜166、38と異なる材料を用いてもよい。
【0157】
絶縁性バリア膜22には、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bと、絶縁膜12の表面を露出する開口部24cと、キャパシタ電極40の一部を露出する開口部24dとが形成されている。
【0158】
開口部24d内、絶縁性バリア膜22上、キャパシタ電極14の内縁部上、及び絶縁膜12上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26dが形成されている。また、キャパシタ電極18の内縁部上、絶縁性バリア膜22上、及び絶縁膜12上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26cが形成されている。引き出し電極26c、26dを構成する導電性バリア膜としては、例えば酸化イリジウム(IrO)膜が用いられている。引き出し電極26c、26dの膜厚は、例えば100nm程度とする。
【0159】
絶縁性バリア膜22上及び引き出し電極26c、26d上には、絶縁性バリア膜28が更に形成されている。絶縁性バリア膜28の材料としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0160】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の厚さは、例えば2μm程度とする。
【0161】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、引き出し電極26c、26dに達する開口部32a、32bが形成されている。
【0162】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。かかる積層膜は、密着層として機能する。積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0163】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0164】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0165】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、キャパシタ電極18上にキャパシタ誘電体膜38が更に形成されており、かかるキャパシタ誘電体膜38上にキャパシタ電極40が更に形成されており、キャパシタ電極40とキャパシタ電極14とが引き出し電極26dにより電気的に接続されていることに主な特徴がある。
【0166】
本実施形態によれば、キャパシタ電極14、40とキャパシタ電極16とが対向する総面積を大きくすることができるため、より静電容量の大きい薄膜キャパシタを提供することができる。
【0167】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図10乃至図13を用いて説明する。図10乃至図13は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0168】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、例えば、表面にシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0169】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置(図示せず)の成膜室内に導入する。スパッタリング装置としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0170】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0171】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0172】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0173】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する。
【0174】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜38を形成する。
【0175】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜40を形成する(図10(a)参照)。
【0176】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0177】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜40をパターニングする。こうして、キャパシタ誘電体膜38に達する開口部41、41aが形成されたキャパシタ電極40が形成される(図10(b)参照)
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ誘電体膜38をパターニングする。こうして、導電膜18に達する開口部41、41aが、キャパシタ誘電体膜38に形成される(図10(c)参照)。
【0178】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜18をパターニングする。こうして、キャパシタ誘電体膜16に達する開口部19、19aが形成されたキャパシタ電極18が形成される(図10(d)参照)
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ誘電体膜16をパターニングする。こうして、導電膜14に達する開口部17、17aが、キャパシタ誘電体膜16に形成される(図11(a)参照)。
【0179】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜14をパターニングする。これにより、絶縁膜12に達する開口部15、15aが形成されたキャパシタ電極14が形成される(図11(b)参照)
こうして、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16、キャパシタ電極18、キャパシタ誘電体膜38及びキャパシタ電極40を有するキャパシタ部20aが形成される。
【0180】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚50nmの非晶質のBST膜より成る絶縁性バリア膜22を形成する。
【0181】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極18の一部を露出する開口部24bと、絶縁膜12を露出する開口部24cと、キャパシタ電極40の一部を露出する開口部24dとを、絶縁性バリア膜22に形成する(図11(c)参照)。
【0182】
次に、全面に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜を形成する。かかる導電性バリア膜としては、例えば膜厚100nmの非晶質の酸化イリジウム(IrO)膜を形成する。
【0183】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電性バリア膜をパターニングする。こうして、開口部26a内における絶縁膜12上及びキャパシタ電極14の内縁部上に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26dが形成される。また、キャパシタ電極18の内縁部上、絶縁性バリア膜22上及び絶縁膜12上に、導電性バリア膜より成る引き出し電極26cが形成される(図12(a)参照)。
【0184】
次に、全面に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図12(b)参照)。
【0185】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば2μm程度とする。
【0186】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する(図12(c)参照)。
【0187】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される。
【0188】
次に、例えばスパッタリング法により、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜を形成する。
【0189】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0190】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部を形成する。かかる開口部は、外部接続用電極34a、34bを形成するためのものである。
【0191】
次に、電気めっき法により、開口部32a、32b内に、例えばNiより成る外部接続用電極34a、34bを形成する。
【0192】
次に、電気めっき法により、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0193】
次に、Cu膜及びTi膜より成る積層膜をウエットエッチングにより除去する。
【0194】
次に、リフロー装置を用いて半田バンプ36を溶融させ、半田バンプ36を半球状に成形する。
【0195】
次に、ダイシングにより、支持基板10を所定のサイズに切断する。
【0196】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図13(b)参照)。
【0197】
(評価結果)
本実施形態による薄膜キャパシタの評価結果について説明する。
【0198】
図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、上述したように、単位面積当たりの静電容量は5μF/cmであった。
【0199】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて単位面積当たりの静電容量を測定したところ、9μF/cmであった。
【0200】
これらのことから、本実施形態によれば、単位面積当たりの静電容量の大きい薄膜キャパシタを実現し得ることが分かる。本実施形態において単位面積当たりの静電容量の大きい薄膜キャパシタが得られるのは、キャパシタ電極18の上方及び下方にそれぞれキャパシタ電極14、30が形成されているためである。
【0201】
また、図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、上述したように、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約50MΩであった。
【0202】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて10GΩ以上であった。
【0203】
これらのことから、本実施形態によれば、絶縁抵抗の極めて高い薄膜キャパシタを実現し得ることが分かる。
【0204】
また、図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約1MΩであった。なお、PCBT試験の条件は、上述したように、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0205】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて、PCBT試験を行ったところ、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約1GΩであった。なお、PCBT試験の条件は、提案されている薄膜キャパシタに対するPCBT試験の条件と同様に、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0206】
これらのことから、本実施形態によれば、電気的特性の劣化を著しく抑制し得ることが分かる。
【0207】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図14乃至図17を用いて説明する。図14は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。図1乃至図13に示す第1乃至第3実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0208】
本実施形態による薄膜キャパシタは、インターポーザとして機能するものである。インターポーザとは、例えば回路基板等と半導体素子(LSI)等との間に設けられるものである。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、薄膜キャパシタとは、インターポーザをも含むものとする。
【0209】
図14に示すように、支持基板10上には、絶縁膜12が形成されている。
【0210】
絶縁膜12上には、例えば膜厚100nmの酸化チタン(TiO)より成る密着層が形成されている。
【0211】
密着層上には、例えば膜厚100nmのPtより成るキャパシタ電極14が形成されている。キャパシタ電極14には、絶縁膜12に達する開口部13、13aが形成されている。
【0212】
キャパシタ電極12上には、例えば膜厚100nmのBSTより成るキャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ誘電体膜14に達する開口部15、15aが形成されている。開口部15、15aは、開口部13、13aに対応するように形成されている。
【0213】
キャパシタ誘電体膜16上には、例えば膜厚100nmのPtより成るキャパシタ電極18が形成されている。キャパシタ電極18には、キャパシタ誘電体膜16に達する開口部19、19aが形成されている。開口部19、19aは、開口部13、13aに対応するように形成されている。
【0214】
キャパシタ電極18上には、例えば膜厚100nmのBSTより成るキャパシタ誘電体膜38が形成されている。キャパシタ誘電体膜38には、キャパシタ電極18に達する開口部39、39aが形成されている。開口部39、39aは、開口部13、13aに対応するように形成されている。
【0215】
キャパシタ誘電体膜38上には、例えば膜厚100nmのPtより成るキャパシタ電極40が形成されている。キャパシタ電極40は、引き出し電極26dを介してキャパシタ電極14に電気的に接続されている。キャパシタ電極40には、キャパシタ誘電体膜38に達する開口部41、41aが形成されている。開口部41、41aは、開口部13、13aに対応するように形成されている。
【0216】
こうして、キャパシタ電極14、キャパシタ誘電体膜16、キャパシタ電極18、キャパシタ誘電体38膜及びキャパシタ電極40を有するキャパシタ部20aが構成されている。
【0217】
キャパシタ部20aが形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜22が形成されている。絶縁性バリア膜22は、キャパシタ部20aを覆うように形成されている。絶縁性バリア膜22としては、例えばキャパシタ誘電体膜16と同一の材料より成る非晶質膜を用いる。ここでは、絶縁性バリア膜22として、例えば膜厚50nmの非晶質のBST膜を用いる。
【0218】
なお、ここでは、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16、38と同一の材料より成る非晶質膜を用いる場合を例に説明したが、絶縁性バリア膜22の材料として、キャパシタ誘電体膜16、38と異なる材料を用いてもよい。
【0219】
絶縁性バリア膜22には、キャパシタ電極14の内縁部及び絶縁膜12を露出する開口部24aと、キャパシタ電極40の一部を露出する開口部24dと、絶縁膜12を露出する開口部24cと、キャパシタ電極18の内縁部を露出する開口部24bとが形成されている。
【0220】
開口部24d内、絶縁性バリア膜22上、キャパシタ電極14の内縁部上、及び絶縁膜12上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極26dが形成されている。また、キャパシタ電極18の内縁部上、絶縁性バリア膜22上、及び絶縁膜12上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極24cが形成されている。引き出し電極26c、26dを構成する導電性バリア膜としては、例えば膜厚100nmの酸化イリジウム(IrO)膜が用いられている。
【0221】
絶縁性バリア膜22上及び引き出し電極26c、26d上には、絶縁性バリア膜28が更に形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えば膜厚50nmの非晶質の酸化アルミニウム膜が用いられている。
【0222】
絶縁性バリア膜28上には、例えば膜厚2μmの感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。
【0223】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、引き出し電極26c、26dに達する開口部32a、32bが形成されている。
【0224】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。
【0225】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、例えばNiより成る部分電極34a、34bが形成されている。部分電極34a、34bは、貫通電極54a、54bの一部を構成するものである。
【0226】
部分電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0227】
支持基板10及び絶縁膜には、引き出し電極26c、26dに達する貫通孔42a、42bが形成されている。
【0228】
貫通孔42a、42b内及び支持基板10の下面側(キャパシタ部20aが形成されている側とは反対側の面)には、例えば樹脂より成る絶縁膜44が形成されている。
【0229】
絶縁膜12及び絶縁膜44には、引き出し電極26c、26dに達する貫通孔46a、46bが形成されている。
【0230】
開口部46a、46b内における引き出し電極26c、26dの下面側(部分電極34a、34bに接する側とは反対側)には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜48が形成されている。
【0231】
絶縁膜44及び導電性バリア膜48が形成された貫通孔内には、例えばNiより成る部分電極50a、50bが形成されている。部分電極50a、50bは、貫通電極54a、54bの一部を構成するものである。部分電極34aと部分電極54aとにより貫通電極54aが構成されている。また、部分電極34bと部分電極54bとにより貫通電極54bが構成されている。
【0232】
部分電極50a、50bの下面側(導電性バリア膜48に接する面とは反対側)には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ52が形成されている。
【0233】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタ4が構成されている。
【0234】
本実施形態による薄膜キャパシタは、例えば回路基板(図示せず)とLSI(図示せず)との間に設けられる。薄膜キャパシタを回路基板とLSIとの間に設ければ、LSIとキャパシタ部20aとの間のインダクタンスを極めて小さくすることが可能となる。このため、本実施形態によれば、電源電圧変動や高周波ノイズ等をより確実に除去することが可能となる。
【0235】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図15乃至図17を用いて説明する。図15乃至図17は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す工程断面図である。
【0236】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する工程から、部分電極34a、34b上に半田バンプ36を成形する工程までは、図10(a)乃至図13(b)に示す第3実施形態による薄膜キャパシタの製造方法と同様であるので、説明を省略する(図15(a)参照)。
【0237】
次に、支持基板10の表面側(保護膜30、半田バンプ36等が形成されている面側)を、例えば粘着テープ(図示せず)を用いて図示しない台座(保持基板)に接着する。かかる粘着テープとしては、例えばUVテープを用いる。UVテープとは、接着時には強力な接着力を有し、紫外線(UV)を照射すると粘着力が急激に弱くなる性質を有する粘着テープである。
【0238】
次に、例えばバックグラインダを用い、支持基板10の厚さが50μm程度になるまで、支持基板10の裏面側(キャパシタ部20a等が形成されている面とは反対側の面)を研磨する(図15(b)参照)。
【0239】
次に、スピンコート法により、支持基板10の裏面側にフォトレジスト膜を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜をパターニングする。これにより、貫通孔42a、42b(図15(c)参照)を形成するための開口部がフォトレジスト膜に形成される。
【0240】
次に、フォトレジスト膜をマスクとし、絶縁膜12をエッチングストッパとして、支持基板10をウエットエッチングすることにより、貫通孔42a、42bを形成する。エッチング液としては、例えばフッ酸と硝酸とを混合溶液を用いる。貫通孔42a、42bの直径は、例えば100μm程度とする。貫通孔42a、42bのピッチは、例えば250μm程度とする(図15(c)参照)。
【0241】
次に、スピンコート法により、支持基板10の裏面側に例えばエポキシ樹脂を塗布する。この後、熱処理を行うことによりエポキシ樹脂を硬化させる。こうして、エポキシ樹脂より成る絶縁膜44が形成される(図16(a)参照)。
【0242】
次に、例えばArFエキシマレーザを用い、絶縁膜44に貫通孔46aを形成する。貫通孔46aの直径は、例えば70μm程度とする。この際、貫通孔46a内に露出する絶縁膜12も除去される(図16(b)参照)。
【0243】
次に、支持基板10の裏面側に、スパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜を形成する。かかる導電性バリア膜としては、例えば膜厚200nmの非晶質のTaSiN膜を形成する。
【0244】
次に、イオンミリングにより、支持基板10の裏面側と貫通孔46a、46bの側面とに存在している導電性バリア膜を除去する。こうして、貫通孔46a、46b内における引き出し電極26c、26dの下面側に、導電性バリア膜48が形成される(図16(c)参照)。
【0245】
次に、例えばスパッタリング法により、支持基板の裏面側に、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜を形成する。かかる積層膜は、密着層として機能する。また、かかる積層膜は、後工程で電気めっきを行う際にシード層としても機能する。
【0246】
次に、全面に、スピンコート法により、支持基板10の裏面側に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0247】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、部分電極50a、50bを形成するためのものである。
【0248】
次に、電気めっき法により、開口部内に、例えばNiより成る部分電極50a、50bを形成する。部分電極34aと部分電極50aとにより貫通電極54aが構成される。また、部分電極34bと部分電極50bとにより貫通電極54bが構成される。
【0249】
次に、電気めっき法により、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ52を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0250】
次に、Cu膜及びTi膜より成る積層膜をウエットエッチングにより除去する。
【0251】
次に、ダイシングにより、支持基板10を所定のサイズに切断する。
【0252】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図17参照)。
【0253】
(評価結果)
本実施形態による薄膜キャパシタの評価結果について説明する。
【0254】
図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、上述したように、単位面積当たりの静電容量は5μF/cm程度であった。
【0255】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて単位面積当たりの静電容量を測定したところ、8μF/cmであった。
【0256】
これらのことから、本実施形態によれば、単位面積当たりの静電容量の大きい薄膜キャパシタを実現し得ることが分かる。本実施形態において単位面積当たりの静電容量の大きい薄膜キャパシタが得られるのは、キャパシタ電極18の上方及び下方にキャパシタ電極14、40が形成されているため、キャパシタ電極18とキャパシタ電極14、40とが対向する総面積が大きくなるためである。
【0257】
また、提案されている薄膜キャパシタでは、上述したように、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約50MΩであった。
【0258】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて絶縁抵抗を測定したところ、絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて10GΩ以上であった。
【0259】
これらのことから、本実施形態によれば、絶縁抵抗の極めて高い薄膜キャパシタを実現し得ることが分かる。
【0260】
また、図22に示す提案されている薄膜キャパシタでは、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約1MΩであった。なお、PCBT試験の条件は、上述したように、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0261】
これに対し、本実施形態による薄膜キャパシタについて、PCBT試験を行ったところ、PCBT試験後における絶縁抵抗は、印加電圧1.5Vにおいて約10MΩであった。なお、PCBT試験の条件は、提案されている薄膜キャパシタに対するPCBT試験の条件と同様に、圧力を2気圧とし、温度を125℃とし、湿度を85%とし、印加電圧を3Vとし、試験時間を48時間とした。
【0262】
これらのことから、本実施形態によれば、電気的特性の劣化を著しく抑制し得ることが分かる。
【0263】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による電子装置を図18を用いて説明する。図18は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。図1乃至図17に示す第1乃至第4実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0264】
本実施形態による電子装置(キャパシタ内蔵パッケージ)は、上述した第1乃至第3実施形態のいずれかによる薄膜キャパシタ2が用いられていることに主な特徴がある。
【0265】
パッケージ基板(回路基板)55には、配線(図示せず)等が形成されている。パッケージ基板55の下面側には、ピン56が設けられている。ピン56は、本実施形態による電子装置を他の回路基板(図示せず)に実装する際に、かかる他の回路基板と本実施形態による電子装置とを電気的に接続するためのものである。かかるピン56は、パッケージ基板55に形成された配線に電気的に接続されている。パッケージ基板55の上面側及び下面側には、それぞれ複数の電極(図示せず)が設けられている。かかる電極は、パッケージ基板55に形成された配線等に電気的に接続されている。
【0266】
パッケージ基板55上には、LSI(半導体素子)58が実装されている。パッケージ基板55に形成された電極とLSI58に形成された電極(図示せず)とは、半田バンプ60を介して電気的に接続されている。パッケージ基板55とLSI58との隙間には、アンダーフィル剤62が充填されている。
【0267】
LSI58が実装されたパッケージ基板55上には、LSI58を囲むように、フレーム64が設けられている。
【0268】
LSI58上には、サーマルコンパウンド66、即ち、熱伝導性グリースが塗布されている。
【0269】
サーマルコンパウンド66が塗布されたLSI58上には、放熱板68が設けられている。
【0270】
一方、パッケージ基板55の下面側には、上述した第1乃至第3実施形態のいずれかによる薄膜キャパシタ2が実装されている。薄膜キャパシタ2の電極34a、34bとパッケージ基板55の電極とは、半田バンプ36を介して電気的に接続されている。薄膜キャパシタ2は、アンダーフィル剤70により覆われている。
【0271】
こうして、本実施形態による電子装置(キャパシタ内蔵パッケージ)が構成されている。
【0272】
本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高い薄膜キャパシタ2が用いられているため、電気的特性が良好で信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0273】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による電子装置を図19を用いて説明する。図19は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。図1乃至図18に示す第1乃至第5実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0274】
本実施形態による電子装置(キャパシタ内蔵パッケージ)は、上述した第4実施形態による薄膜キャパシタ4が用いられていることに主な特徴がある。
【0275】
パッケージ基板(回路基板)70には、配線(図示せず)等が形成されている。パッケージ基板70の上面側及び下面側には、それぞれ複数の電極(図示せず)が設けられている。かかる電極は、パッケージ基板70に形成された配線等に電気的に接続されている。パッケージ基板70に形成された電極には、半田バンプ72が形成されている。半田バンプ72は、本実施形態による電子装置を他の回路基板(図示せず)に実装する際に、かかる他の回路基板と本実施形態による電子装置とを電気的に接続するためのものである。
【0276】
パッケージ基板70上には、上述した第4実施形態による薄膜キャパシタ4が実装されている。薄膜キャパシタ4は、インターポーザとして機能するものである。薄膜キャパシタ4に形成された貫通電極54a、54b(図14参照)と、パッケージ基板70に形成された電極(図示せず)とは、半田バンプ52を介して電気的に接続されている。
【0277】
薄膜キャパシタ4上には、LSI(半導体素子)58が実装されている。薄膜キャパシタ4に形成された貫通電極54a、54b(図14参照)とLSI58に形成された電極(図示せず)とは、半田バンプ36を介して電気的に接続されている。
【0278】
パッケージ基板70上には、パッケージ基板70と薄膜キャパシタ4との隙間、及び、薄膜キャパシタ4とLSI58との隙間を埋めるように、アンダーフィル剤が充填されている。
【0279】
薄膜キャパシタ4及びLSI58が実装されたパッケージ基板70上には、薄膜キャパシタ4及びLSI58を囲むようにフレーム64が設けられている。
【0280】
LSI58上には、サーマルコンパウンド66、即ち、熱伝導性グリースが塗布されている。
【0281】
サーマルコンパウンド66が塗布されたLSI58上には、放熱板68が設けられている。
【0282】
こうして、本実施形態による電子装置(キャパシタ内蔵パッケージ)が構成されている。
【0283】
本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高い薄膜キャパシタ4が用いられているため、電気的特性が良好で信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0284】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による回路基板を図20を用いて説明する。図20は、本実施形態による回路基板を示す断面図である。なお、図20は、本実施形態による回路基板74上にLSI58が実装されている状態を示している。図1乃至図19に示す第1乃至第6実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0285】
本実施形態による回路基板(キャパシタ内蔵基板)は、第1乃至第3実施形態のいずれかによる薄膜キャパシタ2が内蔵されていることに主な特徴がある。
【0286】
図20に示すように、本実施形態による回路基板は、樹脂層76と、所定の形状にパターニングされた配線層78とを、交互に積層することにより形成されている。
【0287】
樹脂層76には、上述した第1乃至第3実施形態のいずれかによる薄膜キャパシタ2が埋め込まれている。
【0288】
薄膜キャパシタ2は、樹脂層76に埋め込まれたビア80及び半田バンプ82を介して、LSI58の電子回路(図示せず)に電気的に接続されている。また、樹脂層76に埋め込まれた配線78は、ビア80及び半田バンプ82を介して、LSI58の電子回路(図示せず)に電気的に接続されている。
【0289】
こうして、本実施形態による回路基板(キャパシタ内蔵基板)74が構成されている。
【0290】
本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高い薄膜キャパシタ2が埋め込まれているため、電気的特性が良好で信頼性の高い回路基板74を提供することができる。
【0291】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による回路基板を図21を用いて説明する。図21は、本実施形態による回路基板を示す断面図である。なお、図21は、本実施形態による回路基板84上にLSI58が実装されている状態を示している。図1乃至図20に示す第1乃至第7実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0292】
本実施形態による回路基板(薄膜キャパシタ内蔵基板)は、第4実施形態のいずれかによる薄膜キャパシタ4が内蔵されていることに主な特徴がある。
【0293】
図21に示すように、本実施形態による回路基板84は、樹脂層76と、所定の形状にパターニングされた配線層78とを、交互に積層することにより構成されている。
【0294】
樹脂層76には、上述した第4実施形態による薄膜キャパシタ4が埋め込まれている。
【0295】
樹脂層76に埋め込まれた配線78は、樹脂層に埋め込まれたビア80、薄膜キャパシタ4の貫通電極54a、54b(図14参照)及び半田バンプ82を介して、LSI58に電気的に接続されている。
【0296】
こうして、本実施形態による回路基板(薄膜キャパシタ内蔵基板)84が構成されている。
【0297】
本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高い薄膜キャパシタ4が埋め込まれているため、電気的特性が良好で信頼性の高い回路基板84を提供することができる。
【0298】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図22乃至図25を用いて説明する。図22は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。図1乃至図21に示す第1乃至第8実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0299】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタを図22を用いて説明する。
【0300】
本実施形態による薄膜キャパシタは、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜86a、86bがキャパシタ電極14、18上にそれぞれ形成されており、かかる導電性バリア膜86a、86bを介して外部接続用電極34a、34bがキャパシタ電極14、18にそれぞれ電気的に接続されていることに主な特徴がある。
【0301】
図22に示すように、支持基板10の表面には、絶縁膜12が形成されている。
【0302】
絶縁膜12上には、例えばTiOより成る密着層(図示せず)が形成されている。
【0303】
密着層上には、キャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14としては、例えば膜厚100nmのPtが形成されている。
【0304】
キャパシタ電極14上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜16として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。
【0305】
キャパシタ誘電体膜16上には、キャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に達する開口部19が形成されている。
【0306】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が構成されている。
【0307】
開口部19内におけるキャパシタ電極14上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜86aが形成されている。また、キャパシタ電極16上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜86bが形成されている。導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとは、同一導電膜をパターニングすることにより形成したものである。導電性バリア膜86a、86bとしては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜86a、86bの材料としてIrO膜を用いているのは、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜86a、86bの膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0308】
本実施形態において、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを同一導電膜により構成しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、導電性バリア膜86a、86bの材料として用いられているIrO膜は、水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れている一方、内部応力が非常に大きい。このため、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを別個の工程で複数層形成した場合には、キャパシタ部20に大きなストレスが加わり、膜の剥がれ等の問題が生ずる虞がある。本実施形態では、後述するように、全面に導電性バリア膜86を形成し(図23(d)参照)、この後、導電性バリア膜86をパターニングすることにより、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを形成するため(図24(a)参照)、キャパシタ部20に大きなストレスが加わるのを防止することができ、膜の剥がれ等の問題が生ずるのを防止することができる。
【0309】
導電性バリア膜86a、86b上には、導電膜88a、88bが形成されている。かかる導電膜88a、88bは、保護膜30をエッチングして開口部32a、32bを形成する際に導電性バリア膜86a、86bまでもがエッチング除去されるのを防止するためのものである。導電性バリア膜86a、86bがエッチング除去されないため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜86a、86bにより十分に防止することが可能となる。
【0310】
導電性バリア膜86aと導電膜88aとにより導電層90aが構成されている。導電性バリア膜86bと導電膜88bとにより導電層90bが構成されている。
【0311】
キャパシタ部20、導電層90a及び導電層90bが形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28が形成されている。絶縁性バリア膜28は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0312】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の膜厚は、例えば5μm程度とする。
【0313】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、導電層90aに達する開口部32aが形成されている。また、保護膜30及び絶縁層28には、導電層90bに達する開口部32bが形成されている。
【0314】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。積層膜は、密着層として機能する。
【0315】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0316】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0317】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0318】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、キャパシタ電極14、18上に水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜86a、86bがそれぞれ形成されており、かかる導電性バリア膜86a、86bを介して外部接続用電極34a、34bがキャパシタ電極14、18にそれぞれ電気的に接続されていることに主な特徴がある。
【0319】
本実施形態によれば、導電性バリア膜86a、86bを介して外部接続用電極34a、34bがキャパシタ電極14、18にそれぞれ電気的に接続されているため、外部接続用電極34a、34bを介して水素や水分がキャパシタ誘電体膜16に達するのを防止することができる。
【0320】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図23乃至図25を用いて説明する。図23乃至図25は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0321】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、表面に例えばシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0322】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置の成膜室内に導入する。スパッタリング装置(図示せず)としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0323】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0324】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0325】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0326】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する(図23(a)参照)。
【0327】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0328】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電膜18及びキャパシタ誘電体膜16をパターニングする。これにより、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16に開口部19が形成される(図23(b)参照)。
【0329】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される。
【0330】
次に、図23(c)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜86を形成する。かかる導電性バリア膜86としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する。
【0331】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、導電膜88を形成する。かかる導電膜88としては、例えば膜厚50nmのAu膜又はIr膜を形成する。こうして、導電性バリア膜86と導電膜88とから成る積層膜90が構成される(図23(d)参照)。
【0332】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜90をパターニングする。こうして、開口部19内におけるキャパシタ電極14上に、積層膜90より成る導電層90aが形成される。また、キャパシタ電極18上に、積層膜90より成る導電層90bが形成される(図24(a)参照)。
【0333】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図24(b)参照)。
【0334】
次に、図24(c)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば5μm程度とする。
【0335】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する。
【0336】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図24(d)参照)。
【0337】
次に、例えばスパッタリング法により、Ti膜とCu膜とを順次積層してなる積層膜(図示せず)を形成する。かかる積層膜は、密着層として機能する。また、かかる積層膜は、後工程で電気めっき法により外部接続用電極34a、34bを形成する際にシード層としても機能する。
【0338】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0339】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、外部接続用電極34a、34bを形成するためのものである。導電性バリア膜86a、86b上に導電膜88a、88bが形成されているため、開口部32a、32bを形成する際に導電性バリア膜86a、86bまでもがエッチング除去されるのを防止することができる。導電性バリア膜86a、86bがエッチング除去されるのを防止することができるため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜86a、86bにより十分に防止することが可能となる。
【0340】
導電性バリア膜86aと導電膜88aとにより導電層90aが構成されている。導電性バリア膜86bと導電膜88bとにより導電層90bが構成されている。
【0341】
次に、電気めっき法により、開口部34a、34b内に、例えばNiより成る外部接続用電極34a、34bを形成する。
【0342】
次に、電気めっき法により、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0343】
次に、外部接続用電極34a、34bの周囲に露出している積層膜をウエットエッチングにより除去する。
【0344】
次に、リフロー装置を用いて半田バンプ36を溶融させ、半田バンプ36を半球状に成形する。
【0345】
次に、ダイシングにより、支持基板10を所定のサイズに切断する。
【0346】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図25参照)。
【0347】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを同一導電膜86により形成することに主な特徴がある。
【0348】
導電性バリア膜86a、86bとして用いられているIrO膜は、上述したように、水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れている一方、内部応力が非常に大きい。このため、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを別個の工程で複数層形成した場合には、キャパシタ部20に大きなストレスが加わり、膜の剥がれ等の問題が生ずる虞がある。本実施形態では、全面に導電性バリア膜86を形成し、この後、導電性バリア膜86をパターニングすることにより、導電性バリア膜86aと導電性バリア膜86bとを形成するため、導電性バリア膜86は1層のみ形成すればよい。形成すべき導電性バリア膜86が1層のみでよいため、キャパシタ部20に過度のストレスが加わるのを防止することができ、膜の剥がれ等の問題が生ずるのを防止することができる。
【0349】
また、本実施形態による半導体装置の製造方法は、導電性バリア膜86a、86b上に導電膜88a、88bを形成することにも主な特徴の一つがある。
【0350】
本実施形態によれば、導電性バリア膜86a、86b上に導電膜88a、88bを形成するため、開口部32a、32bを形成する際に導電性バリア膜86a、86bまでもがエッチング除去されるのを防止することができる。本実施形態によれば、導電性バリア膜86a、86bがエッチング除去されるのを防止することができるため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜86a、86bにより十分に防止することが可能となる。
【0351】
[第10実施形態]
本発明の第10実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図26乃至図28を用いて説明する。図26は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。図1乃至図25に示す第1乃至第9実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0352】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタを図26を用いて説明する。
【0353】
本実施形態による薄膜キャパシタは、キャパシタ電極(下部電極)14上に導電性バリア膜92が形成されており、キャパシタ電極(上部電極)18上に導電性バリア膜92と別個の導電性バリア膜94が形成されており、更に、キャパシタ電極(下部電極)14とキャパシタ誘電体膜16との間に導電性バリア膜92が存在していることに主な特徴がある。
【0354】
図26に示すように、支持基板10の表面には、絶縁膜12が形成されている。
【0355】
絶縁膜12上には、例えばTiOより成る密着層(図示せず)が形成されている。
【0356】
密着層上には、キャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14としては、例えば膜厚100nmのPtが形成されている。
【0357】
キャパシタ電極14上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92が形成されている。導電性バリア膜92としては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜92の材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜92の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0358】
導電性バリア膜92上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜16として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。
【0359】
キャパシタ誘電体膜16上には、キャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。
【0360】
キャパシタ電極18上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94が形成されている。導電性バリア膜94としては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜94の材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜94の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0361】
導電性バリア膜94、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に達する開口部19が形成されている。
【0362】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が構成されている。
【0363】
キャパシタ部20が形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28が形成されている。絶縁性バリア膜28は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0364】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の膜厚は、例えば5μm程度とする。
【0365】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、導電性バリア膜92に達する開口部32aが形成されている。また、保護膜30及び絶縁層28には、導電性バリア膜94に達する開口部32bが形成されている。
【0366】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。積層膜は、密着層として機能する。
【0367】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0368】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0369】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0370】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、キャパシタ電極(下部電極)14上に導電性バリア膜92が形成されており、キャパシタ電極(上部電極)18上に導電性バリア膜92と別個の導電性バリア膜94が形成されており、更に、キャパシタ電極(下部電極)14とキャパシタ誘電体膜16との間に導電性バリア膜92が存在していることに主な特徴がある。
【0371】
本実施形態によれば、外部接続用電極34a、34bとキャパシタ電極14、18との間に導電性バリア膜92、94が存在しているため、外部接続用電極34a、34bを介して外部から浸入する水素や水分がキャパシタ電極14、18に達するのを防止することができる。しかも、本実施形態によれば、導電性バリア膜92がキャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16との間に存在しているため、水素や水分がキャパシタ電極14に達したとしても、キャパシタ電極14からキャパシタ誘電体膜16に水素や水分が達するのを、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16との間に存在する導電性バリア膜92により防止することができる。
【0372】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図27及び図28を用いて説明する。図27及び図28は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0373】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、表面に例えばシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0374】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置の成膜室内に導入する。スパッタリング装置(図示せず)としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0375】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0376】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0377】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92を形成する。かかる導電性バリア膜92としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する。
【0378】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0379】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する。
【0380】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94を形成する。かかる導電性バリア膜94としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する(図27(a)参照)。
【0381】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0382】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電性バリア膜94、導電膜18及びキャパシタ誘電体膜16をパターニングする。これにより、導電性バリア膜94、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16に開口部19が形成される(図27(b)参照)。
【0383】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される。
【0384】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図27(c)参照)。
【0385】
次に、図27(d)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば5μm程度とする。
【0386】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する。
【0387】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図28(a)参照)。
【0388】
この後の半導体装置の製造方法は、図25を用いて上述した第9実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0389】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図28(b)参照)。
【0390】
[第11実施形態]
本発明の第11実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図29乃至図31を用いて説明する。図29は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。図1乃至図28に示す第1乃至第10実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0391】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタを図29を用いて説明する。
【0392】
本実施形態による薄膜キャパシタは、導電性バリア膜92上に更に導電膜96が形成されていることに主な特徴がある。
【0393】
図29に示すように、支持基板10の表面には、絶縁膜12が形成されている。
【0394】
絶縁膜12上には、例えばTiOより成る密着層(図示せず)が形成されている。
【0395】
密着層上には、キャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14としては、例えば膜厚100nmのPtが形成されている。
【0396】
キャパシタ電極14上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92が形成されている。導電性バリア膜92としては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜92の材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜92の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0397】
導電性バリア膜92上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜16として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。
【0398】
キャパシタ誘電体膜16上には、キャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。
【0399】
キャパシタ電極18上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94が形成されている。導電性バリア膜94としては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜94の材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜94の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0400】
導電性バリア膜94上には、導電膜96が形成されている。かかる導電膜96は、保護膜30をエッチングして開口部32bを形成する際に導電性バリア膜94までもがエッチング除去されるのを防止するためのものである。導電性バリア膜94がエッチング除去されないため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜94により十分に防止することが可能となる。
【0401】
導電性バリア膜94と導電膜96とにより積層膜98が構成されている。
【0402】
積層膜98、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に達する開口部19が形成されている。
【0403】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が構成されている。
【0404】
キャパシタ部20が形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28が形成されている。絶縁性バリア膜28は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0405】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の膜厚は、例えば5μm程度とする。
【0406】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、導電性バリア膜92に達する開口部32aが形成されている。また、保護膜30及び絶縁層28には、導電性バリア膜94に達する開口部32bが形成されている。
【0407】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。積層膜は、密着層として機能する。
【0408】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0409】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0410】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0411】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、導電性バリア膜92上に更に導電膜96が形成されていることに主な特徴がある。本実施形態によれば、導電性バリア膜94上に導電膜96が更に形成されているため、保護膜30をエッチングして開口部32bを形成する際に導電性バリア膜94までもがエッチング除去されるのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、水素又は水分の拡散をより確実に導電性バリア膜94により防止することが可能となる。
【0412】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図30及び図31を用いて説明する。図30及び図31は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0413】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、表面に例えばシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0414】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置の成膜室内に導入する。スパッタリング装置(図示せず)としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0415】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0416】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0417】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92を形成する。かかる導電性バリア膜92としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する。
【0418】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0419】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する。
【0420】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94を形成する。かかる導電性バリア膜94としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する。
【0421】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、導電膜96を形成する。かかる導電膜96としては、例えば膜厚50nmのAu膜又はIr膜を形成する。こうして、導電性バリア膜94と導電膜96とから成る積層膜98が構成される(図30(a)参照)。
【0422】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0423】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜98、導電膜18及びキャパシタ誘電体膜16をパターニングする。これにより、積層膜98、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16に開口部19が形成される(図30(b)参照)。
【0424】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される。
【0425】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図30(c)参照)。
【0426】
次に、図30(d)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば5μm程度とする。
【0427】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、絶縁性バリア膜28に達する開口部32a、32bを、保護膜30に形成する。本実施形態では、導電性バリア膜94上に導電膜96が更に形成されているため、開口部32bを形成する際に導電性バリア膜94までもがエッチング除去されるのを防止することができる。
【0428】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図31(a)参照)。
【0429】
この後の半導体装置の製造方法は、図25を用いて上述した第9実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0430】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図31(b)参照)。
【0431】
本実施形態によれば、導電性バリア膜94上に導電膜96が更に形成されているため、開口部32bを形成する際に導電性バリア膜94までもがエッチング除去されるのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、水素又は水分の拡散をより確実に導電性バリア膜94により防止することが可能となる。
【0432】
[第12実施形態]
本発明の第12実施形態による薄膜キャパシタ及びその製造方法を図32乃至図34を用いて説明する。図32は、本実施形態による薄膜キャパシタを示す断面図である。図1乃至図31に示す第1乃至第11実施形態による薄膜キャパシタ等及びその製造方法等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0433】
(薄膜キャパシタ)
まず、本実施形態による薄膜キャパシタを図32を用いて説明する。
【0434】
本実施形態による薄膜キャパシタは、導電性バリア膜94上に導電膜96bが形成されているのみならず、導電性バリア膜92a上にも導電膜96aが形成されていることに主な特徴がある。
【0435】
図32に示すように、支持基板10の表面には、絶縁膜12が形成されている。
【0436】
絶縁膜12上には、例えばTiOより成る密着層(図示せず)が形成されている。
【0437】
密着層上には、キャパシタ電極(下部電極)14が形成されている。キャパシタ電極14としては、例えば膜厚100nmのPtが形成されている。
【0438】
キャパシタ電極14上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92a、92bが形成されている。導電性バリア膜92a、92bとしては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜92a、92bの材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜92a、92bの膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0439】
導電性バリア膜92b上には、キャパシタ誘電体膜16が形成されている。キャパシタ誘電体膜16の材料としては、例えば高誘電率材料が用いられている。より具体的には、キャパシタ誘電体膜16として、多結晶のBST膜が用いられている。キャパシタ誘電体膜16の膜厚は、例えば100nmとする。
【0440】
キャパシタ誘電体膜16上には、キャパシタ電極(上部電極)18が形成されている。キャパシタ電極18としては、例えば膜厚100nmのPt膜が形成されている。
【0441】
キャパシタ電極18上には、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94が形成されている。導電性バリア膜94としては、例えばIrO膜が用いられている。本実施形態において、導電性バリア膜94の材料としてIrO膜を用いているのは、上述したように、IrO膜は水素や水分の拡散を防止する機能が非常に優れているためである。導電性バリア膜94の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0442】
導電性バリア膜94上には、導電膜96bが形成されている。かかる導電膜96bは、保護膜30をエッチングして開口部32bを形成する際に導電性バリア膜94までもがエッチング除去されるのを防止するためのものである。導電性バリア膜94がエッチング除去されないため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜94により十分に防止することが可能となる。
【0443】
導電性バリア膜92a上には、導電膜96aが形成されている。かかる導電膜96aは、保護膜30をエッチングして開口部32aを形成する際に導電性バリア膜92aまでもがエッチング除去されるのを防止するためのものである。導電性バリア膜92aがエッチング除去されないため、水素又は水分の拡散を導電性バリア膜92aにより十分に防止することが可能となる。
【0444】
導電性バリア膜92aと導電膜96aとにより積層膜(導電層)98aが構成されている。また、導電性バリア膜94と導電膜96bとにより積層膜(導電層)98bが構成されている。
【0445】
積層膜98b、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16には、キャパシタ電極14に達する開口部19が形成されている。
【0446】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が構成されている。
【0447】
キャパシタ部20が形成された支持基板10上には、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28が形成されている。絶縁性バリア膜28は、キャパシタ部20を覆うように形成されている。絶縁性バリア膜28としては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いる。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする。
【0448】
絶縁性バリア膜28上には、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30が形成されている。保護膜30の膜厚は、例えば5μm程度とする。
【0449】
保護膜30及び絶縁性バリア膜28には、導電膜96aに達する開口部32aが形成されている。また、保護膜30及び絶縁層28には、導電膜96bに達する開口部32bが形成されている。
【0450】
開口部32a、32b内には、Ti膜とCu膜とを順次積層して成る積層膜(図示せず)が形成されている。積層膜は、密着層として機能する。
【0451】
積層膜が形成された開口部32a、32b内には、Niより成る外部接続用電極34a、34bが形成されている。
【0452】
外部接続用電極34a、34b上には、例えばSn−Ag系の材料より成る半田バンプ36が形成されている。
【0453】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが構成されている。
【0454】
本実施形態による薄膜キャパシタは、上述したように、導電性バリア膜94上に導電膜96bが形成されているのみならず、導電性バリア膜92a上にも導電膜96aが形成されていることに主な特徴がある。
【0455】
本実施形態によれば、導電性バリア膜94上に導電膜96bが形成されているのみならず、導電性バリア膜92a上にも導電膜96aが形成されているため、保護膜30をエッチングして開口部32a、32bを形成する際に、導電性バリア膜94がエッチング除去されるのを防止し得るのみならず、導電性バリア膜92aがエッチング除去されるのも防止することができる。従って、本実施形態によれば、水素又は水分の拡散をより確実に導電性バリア膜92a、94により防止することが可能となる。
【0456】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を図33及び図34を用いて説明する。図33及び図34は、本実施形態による薄膜キャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
【0457】
まず、表面に絶縁膜12が形成された支持基板10を用意する。より具体的には、表面に例えばシリコン酸化膜12が形成されたシリコン基板10を用意する。
【0458】
次に、かかる支持基板10をスパッタリング装置の成膜室内に導入する。スパッタリング装置(図示せず)としては、例えば、マルチターゲット型のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。
【0459】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiOより成る密着層(図示せず)を形成する。
【0460】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜14を形成する。
【0461】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜92を形成する。かかる導電性バリア膜92としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する。
【0462】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmの多結晶のBST膜より成るキャパシタ誘電体膜16を形成する。
【0463】
次に、全面に、スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのPtより成る導電膜18を形成する。
【0464】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜94を形成する。かかる導電性バリア膜94としては、例えば膜厚50nmのIrO膜を形成する(図33(a)参照)。
【0465】
この後、スパッタリング装置の成膜室内から支持基板10を取り出す。
【0466】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、導電性バリア膜94、導電膜18及びキャパシタ誘電体膜16をパターニングする。これにより、導電性バリア膜94、キャパシタ電極18及びキャパシタ誘電体膜16に開口部19が形成される(図33(b)参照)。
【0467】
こうして、キャパシタ電極14とキャパシタ誘電体膜16とキャパシタ電極18とを有するキャパシタ部20が形成される。
【0468】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、導電膜96を形成する。かかる導電膜96としては、例えば膜厚50nmのAu膜又はIr膜を形成する。こうして、導電性バリア膜94と導電膜96とから成る積層膜98が構成される(図33(c)参照)。
【0469】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜98をパターニングする。こうして、導電性バリア膜92aと導電膜96aとから成る積層膜98aが構成される。また、導電性バリア膜94と導電膜96bとから成る積層膜98bが構成される(図33(d)参照)。本実施形態では、導電性バリア膜92a、94上に導電膜96a、96bが更に形成されているため、開口部32a、32bを形成する際に導電性バリア膜92a、94までもがエッチング除去されるのを防止することができる。
【0470】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜28を形成する。絶縁性バリア膜28としては、例えば非晶質の酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁性バリア膜28の膜厚は、例えば50nm程度とする(図34(a)参照)。
【0471】
次に、図34(b)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、例えば感光性ポリイミドより成る保護膜30を形成する。保護膜30の厚さは、例えば5μm程度とする。
【0472】
次に、開口部32a、32b内に露出する絶縁性バリア膜28をエッチング除去する。こうして、引き出し電極26a、26bに達する開口部32a、32bが、保護膜30及び絶縁性バリア膜28に形成される(図34(c)参照)。
【0473】
この後の半導体装置の製造方法は、図25を用いて上述した第9実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0474】
こうして本実施形態による薄膜キャパシタが製造される(図34(b)参照)。
【0475】
本実施形態によれば、導電性バリア膜94上に導電膜96bが形成されているのみならず、導電性バリア膜92a上にも導電膜96aが形成されているため、保護膜30をエッチングして開口部32a、32bを形成する際に、導電性バリア膜94がエッチング除去されるのを防止し得るのみならず、導電性バリア膜92aがエッチング除去されるのも防止することができる。従って、本実施形態によれば、水素又は水分の拡散をより確実に導電性バリア膜92a、94により防止することが可能となる。
【0476】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0477】
例えば、上記実施形態では、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜として非晶質膜を用いる場合を説明したが、導電性バリア膜の膜質は非晶質に限定されるものではない。例えば、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜として、微結晶より成る多結晶膜、即ち微結晶膜を用いてもよい。より具体的には、結晶粒径が50nm以下の微結晶より成る多結晶膜を、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜として用いてもよい。微結晶より成る多結晶膜は、結晶粒どうしの隙間、即ち、結晶粒界が極めて狭いため、水素や水分が結晶粒どうしの隙間を通り抜けにくい。従って、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜として微結晶より成る多結晶膜をとして用いた場合にも、水素や水分の拡散を十分に防止することが可能である。
【0478】
また、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料は、上記実施形態において示した材料に限定されるものではない。例えば、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、IrOなどの酸化物を用いてもよい。また、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、TiNやTaSiN等の窒化物を用いてもよい。また、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、TiC、SiC等の炭化物を用いてもよい。また、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、導電性のダイヤモンドライクカーボン等を用いてもよい。即ち、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、導電性の炭素膜を用いてもよい。また、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として、CoSiやTaSi等のシリサイド(珪化物)を用いてもよい。また、このような材料の複合物を、引き出し電極26a〜26dを構成する導電性バリア膜の材料として用いてもよい。
【0479】
また、上記実施形態では、引き出し電極26a〜26dの材料として、導電性バリア膜、即ち、水素や水分の拡散を防止する機能が高い材料を用いたが、水素や水分の拡散を防止する機能が必ずしも十分に高くない材料を、引き出し電極26a〜26dの材料として用いることも可能である。外部接続用電極34a、34bとキャパシタ電極14、18とを引き出し電極26a、26bを用いて接続すれば、外部接続用電極34a、34bと引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所と、キャパシタ電極14、18と引き出し電極26a、26bとが接続されている箇所との間の距離を十分に大きく設定することができるため、外部接続用電極34a、34bを介して浸入する水素や水分を引き出し電極26a、26bにおいて十分に遮断することが可能なためである。例えば、引き出し電極26a〜26dの材料として、Cu、Au、Al、Ni、W(タングステン)等の通常の金属を用いた場合にも、使用条件によっては十分なバリア効果が得ることが可能である。
【0480】
また、上記実施形態では、絶縁性バリア膜22、28として非晶質膜を用いる場合を説明したが、絶縁性バリア膜22、28の膜質は非晶質に限定されるものではない。例えば、微結晶より成る多結晶膜、即ち微結晶膜を、絶縁性バリア膜22、28として用いてもよい。より具体的には、結晶粒径が50nm以下の微結晶より成る多結晶膜を絶縁性バリア膜22、28として用いてもよい。微結晶より成る多結晶膜は、上述したように、結晶粒どうしの隙間、即ち、結晶粒界が極めて狭いため、水素や水分が結晶粒どうしの隙間を通り抜けにくい。従って、微結晶より成る多結晶膜を絶縁性バリア膜22、28として用いた場合にも、水素や水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜22、28を構成することが可能である。
【0481】
また、絶縁性バリア膜22、28の材料は、上記実施形態で示した材料に限定されるものではない。例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、BaSrTiO(BST)、SrTiO(STO)等の酸化物を絶縁性バリア膜22、28の材料として用いてもよい。また、絶縁性のダイヤモンドライクカーボン等を絶縁性バリア膜22、28の材料として用いてもよい。即ち、絶縁性の炭素膜を絶縁性バリア膜22、28として用いてもよい。また、このような材料の複合物を絶縁性バリア膜22、28の材料として用いてもよい。
【0482】
また、上記実施形態では、キャパシタ誘電体膜16、38としてBST膜を用いる場合を例に説明したが、キャパシタ誘電体膜16、38の材料はBST膜に限定されるものではない。他のあらゆる誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として適宜用いることが可能である。
【0483】
例えば、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物(ペロブスカイト酸化物)を主成分とする誘電体膜を、キャパシタ誘電体膜16、38として広く用いることが可能である。より具体的には、例えば、BaSrTiO(BST)、SrTiO(STO)、BaZrTiO、BaTiSnO等のBaTiO系等のペロブスカイト酸化物を、キャパシタ誘電体膜16、38の材料として用いてもよい。また、PbMnNbO−PbTiO(PMN−PT)等のPb系のペロブスカイト酸化物を、キャパシタ誘電体膜16、38の材料として用いてもよい。
【0484】
また、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等の酸化物をキャパシタ誘電体膜16、38の材料として用いてもよい。また、Ta、Nb、Hf、Y、Al等の金属を二種類以上含む複合酸化物をキャパシタ誘電体膜16、38の材料として用いてもよい。また、このような材料の混合物をキャパシタ誘電体膜16、38の材料として用いてもよい。
【0485】
また、上記実施形態では、多結晶の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いる場合を例に説明したが、キャパシタ誘電体膜16、38の膜質は多結晶に限定されるものではない。例えば、単結晶の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いてもよい。単結晶の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いれば、比誘電率が極めて高いキャパシタ部20、20aを構成することが可能である。また、非晶質の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いてもよい。非晶質の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いれば、リーク特性の良好なキャパシタ部を構成することが可能である。また、結晶質と非晶質との混合相の誘電体膜をキャパシタ誘電体膜16、38として用いてもよい。
【0486】
また、上記実施形態では、キャパシタ電極14、18、40の材料としてPtを用いる場合を例に説明したが、キャパシタ電極14、18、40の材料はPtに限定されるものではない。例えば、Ir、Ru、Rh等の他の貴金属をキャパシタ電極14、18、40の材料として用いてもよい。貴金属は、酸化しにくく、しかも電気抵抗が低いため、キャパシタ電極14、18、40の材料として適している。また、SrRuO、LaNiO、LaSrCoO等の導電性酸化物を、キャパシタ電極14、18、40の材料として用いてもよい。また、AlTiN等の導電性窒化物をキャパシタ電極14、18、40の材料として用いてもよい。また、TiC等の導電性炭化物をキャパシタ電極14、18、40の材料として用いてもよい。また、Cu、Ni等をキャパシタ電極14、18、40の材料として用いてもよい。
【0487】
また、上記実施形態では、保護膜30の材料としてポリイミド樹脂を用いる場合を例に説明したが、保護膜30の材料はポリイミド樹脂に限定されるものではない。例えば、エポキシ樹脂等の他のあらゆる樹脂を保護膜30の材料として適宜用いてもよい。また、酸化アルミニウム膜、シリコン酸化膜等を保護膜30として用いてもよい。また、窒化物や、酸窒化物等を保護膜30の材料として用いてもよい。また、他の絶縁材料を保護膜30の材料として適宜用いてもよい。また、このような絶縁材料の混合物を保護膜30の材料として用いてもよい。また、複数の絶縁膜を積層して成る積層膜を保護膜30として用いてもよい。これら保護膜30には、例えばエッチングを行うことにより引き出し電極26a〜26dに達する開口部32a、32bを形成することが可能である。また、保護膜30として感光性の材料を用いる場合には、保護膜30に対して露光、現像等を行うことにより、引き出し電極26a〜26dに達する開口部32a、32bを形成することが可能である。
【0488】
また、上記実施形態では、支持基板10としてシリコン基板を用いる場合を例に説明したが、支持基板10はシリコン基板に限定されるものではない。例えば、ガラス基板を支持基板10として用いてもよい。また、酸化アルミニウム等より成るセラミックス基板を支持基板10として用いてもよい。また、モリブデン(Mo)やタングステン(W)等より成る金属基板を支持基板10として用いてもよい。また、エポキシ樹脂等より成る樹脂基板を支持基板10として用いてもよい。また、このような材料の複合材料を支持基板10の材料として用いてもよい。
【0489】
また、第9乃至第12実施形態では、導電性バリア膜86a、86bの材料としてIrO膜を用いる場合を例に説明したが、導電性バリア膜86a、86bの材料はIrO膜に限定されるものではない。他のあらゆる導電性バリア膜86a、86bを適宜用いてもよい。ただし、水素や水分の拡散を防止する機能ができるだけ高い材料を導電性バリア膜86a、86bの材料として用いることが好ましい。水素や水分の拡散を防止する機能が高い材料としては、IrOの他に、例えばRuO等の酸化物、TiN、TiSiN、TaSiN、NbSiN等の窒化物、TiC、SiC等の炭化物、カーボン等を挙げることができる。
【0490】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、
前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、
前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記2)
付記1記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部及び前記引き出し電極を覆うように形成され、水素又は水分の拡散を防止する絶縁性バリア膜を更に有する
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記3)
付記1又は2記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1のキャパシタ電極、前記キャパシタ誘電体膜及び前記第2のキャパシタ電極に開口部が形成されており、
前記引き出し電極は、前記開口部における前記第1のキャパシタ電極の内縁部から引き出されており、
前記外部接続用電極は、前記開口部内における前記引き出し電極上に形成されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記4)
付記1又は2記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1のキャパシタ電極、前記キャパシタ誘電体膜及び前記第2のキャパシタ電極に開口部が形成されており、
前記引き出し電極は、前記開口部における前記第2のキャパシタ電極の内縁部から引き出されており、
前記外部接続用電極は、前記開口部内における前記引き出し電極上に形成されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部は、前記第2のキャパシタ電極上に形成された他のキャパシタ誘電体膜と、前記他のキャパシタ誘電体膜上に形成された第3のキャパシタ電極とを更に有し、
前記第1のキャパシタ電極と前記第3のキャパシタ電極とが電気的に接続されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記6)
付記1記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部を覆うように形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の絶縁性バリア膜を更に有し、
前記引き出し電極は、前記第1の絶縁性バリア膜上に形成されており、前記第1の絶縁性バリア膜に形成された開口部を介して前記第2のキャパシタ電極に接続されており、
前記第1の絶縁性バリア膜及び前記引き出し電極を覆うように形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の絶縁性バリア膜を更に有し、
前記外部接続用電極は、前記第2の絶縁性バリア膜に形成された開口部を介して前記引き出し電極に接続されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極を更に有する
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記引き出し電極は、非晶質膜、又は、結晶粒径が50nm以下の微結晶より成る多結晶膜より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記9)
付記1乃至7のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記引き出し電極は、酸化物、窒化物、炭素、炭化物、珪化物、又は、これらの複合物より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記10)
付記1乃至9のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記絶縁性バリア膜は、非晶質膜、又は、結晶粒径が50nm以下の微結晶より成る多結晶膜より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記11)
付記1乃至10のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ誘電体膜は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を主成分とする誘電体膜より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記12)
支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極を形成する工程と、
前記引き出し電極に接続された外部接続用電極を形成する工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
(付記13)
付記12記載の薄膜キャパシタの製造方法において、
前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
(付記14)
回路基板と、
前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有する薄膜キャパシタと、
前記回路基板に実装された半導体素子と
を有することを特徴とする電子装置。
(付記15)
回路基板と、
前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタと、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有する薄膜キャパシタと、
前記薄膜キャパシタ上に実装され、前記外部接続用電極及び前記貫通電極を介して前記回路基板に電気的に接続された半導体素子と
を有することを特徴とする電子装置。
(付記16)
薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、
前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有しており、
前記外部接続電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されている
ことを特徴とする回路基板。
(付記17)
薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、
前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有しており、
前記貫通電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されている
ことを特徴とする回路基板。
(付記18)
支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、
前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、
前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、
前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記19)
付記18記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ誘電体膜及び前記第2のキャパシタ電極に第3の開口部が形成されており、
前記第1の導電性バリア膜は、前記第3の開口部内における前記第1のキャパシタ電極上に形成されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記20)
付記18又は19記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1の導電性バリア膜と前記第2の導電性バリア膜とは、同一導電膜より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記21)
付記18乃至20のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1の導電性バリア膜上に形成された第1の導電膜と、
前記第2の導電性バリア膜上に形成された第2の導電膜とを更に有し、
前記第1の外部接続用電極は、前記第1の導電膜に接続されており、
前記第2の外部接続用電極は、前記第2の導電膜に接続されている
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記22)
支持基板上に形成された、第1のキャパシタ電極と、
前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、
前記第1の導電性バリア膜上に形成されたキャパシタ誘電体膜と、
前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極と、
前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、
前記第1のキャパシタ電極上及び前記第2のキャパシタ電極上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記23)
付記22記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1の導電性バリア膜上又は前記第2の導電性バリア膜上に形成された導電膜を更に有する
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記24)
付記18乃至23のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記第1の導電性バリア膜及び前記第2の導電性バリア膜は、IrOより成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記25)
付記18乃至24のいずれかに記載の薄膜キャパシタにおいて、
前記キャパシタ誘電体膜は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を主成分とする誘電体膜より成る
ことを特徴とする薄膜キャパシタ。
(付記26)
支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成するとともに、前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、絶縁膜に埋め込む工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
(付記27)
支持基板上に、第1のキャパシタ電極を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜上に、キャパシタ誘電体膜を形成する工程と、
前記キャパシタ誘電体膜上に、前記第2のキャパシタ電極を形成する工程と、
前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜上及び前記第2の導電性バリア膜上に絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、前記絶縁膜に埋め込む工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
【符号の説明】
【0491】
10…支持基板
12…絶縁膜
14…キャパシタ電極
15、15a…開口部
16…キャパシタ誘電体膜
17、17a…開口部
18…キャパシタ電極
19、19a…開口部
20、20a…キャパシタ部
22…絶縁性バリア膜
24a、24b…開口部
26a〜26d…引き出し電極
28…絶縁性バリア膜
30…保護膜
32a、32b…開口部
34a、34b…外部接続用電極、部分電極
36…半田バンプ
38…キャパシタ誘電体膜
39、39a…開口部
40…キャパシタ電極
41、41a…開口部
42a、42b…貫通孔
44…絶縁膜
46…貫通孔
48…導電性バリア膜
50a、50b…部分電極
52…半田バンプ
54a、54b…貫通電極
55…パッケージ基板、回路基板
56…ピン
58…LSI
60…半田バンプ
62…アンダーフィル剤
64…フレーム
66…サーマルコンパウンド
68…放熱板
70…パッケージ基板、回路基板
72…半田バンプ
74…回路基板
76…樹脂層
78…配線層
80…ビア
82…半田バンプ
84…回路基板
86…導電性バリア膜
88…導電膜
90a、90b…導電層
92、92a、92b…導電性バリア膜
94…導電性バリア膜
96、96a、96b…導電膜
98a、98b…積層膜、導電層
110…シリコン基板
112…シリコン酸化膜
114…キャパシタ電極
116…キャパシタ誘電体膜
118…キャパシタ電極
120…キャパシタ部
122…絶縁性バリア膜
130…保護膜
132a、132b…開口部
134a、134b…外部接続用電極
136…半田バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、
前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、
前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
【請求項2】
支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極を形成する工程と、
前記引き出し電極に接続された外部接続用電極を形成する工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項3】
回路基板と、
前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有する薄膜キャパシタと、
前記回路基板に実装された半導体素子と
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項4】
回路基板と、
前記回路基板上に実装された薄膜キャパシタであって、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタと、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有する薄膜キャパシタと、
前記薄膜キャパシタ上に実装され、前記外部接続用電極及び前記貫通電極を介して前記回路基板に電気的に接続された半導体素子と
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項5】
薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、
前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極とを有しており、
前記外部接続電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されている
ことを特徴とする回路基板。
【請求項6】
薄膜キャパシタが内蔵された回路基板であって、
前記薄膜キャパシタは、支持基板上に形成された第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、前記第1又は前記第2のキャパシタ電極から引き出され、水素又は水分の拡散を防止する導電性バリア膜より成る引き出し電極と、前記引き出し電極に接続された外部接続用電極と、前記引き出し電極に電気的に接続され、前記支持基板を貫く貫通電極とを有しており、
前記貫通電極は、前記回路基板に形成された配線に電気的に接続されている
ことを特徴とする回路基板。
【請求項7】
支持基板上に形成され、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部と、
前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、
前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、
前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
【請求項8】
支持基板上に形成された、第1のキャパシタ電極と、
前記第1のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜と、
前記第1の導電性バリア膜上に形成されたキャパシタ誘電体膜と、
前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極と、
前記第2のキャパシタ電極上に形成され、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜と、
前記第1のキャパシタ電極上及び前記第2のキャパシタ電極上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタ。
【請求項9】
支持基板上に、第1のキャパシタ電極と;前記第1のキャパシタ電極上に形成されたキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された第2のキャパシタ電極とを有するキャパシタ部を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成するとともに、前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記キャパシタ部上に、前記第1の導電層及び前記第2の導電層を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して前記第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、絶縁膜に埋め込む工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項10】
支持基板上に、第1のキャパシタ電極を形成する工程と、
前記第1のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第1の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜上に、キャパシタ誘電体膜を形成する工程と、
前記キャパシタ誘電体膜上に、前記第2のキャパシタ電極を形成する工程と、
前記第2のキャパシタ電極上に、水素又は水分の拡散を防止する第2の導電性バリア膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜上及び前記第2の導電性バリア膜上に絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の導電性バリア膜を介して前記第1のキャパシタ電極に電気的に接続された第1の外部接続用電極と、前記第2の導電性バリア膜を介して第2のキャパシタ電極に電気的に接続された第2の外部接続用電極とを、前記絶縁膜に埋め込む工程と
を有することを特徴とする薄膜キャパシタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−138595(P2012−138595A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32164(P2012−32164)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2005−366789(P2005−366789)の分割
【原出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】