説明

薬剤、軟膏基剤および可溶化剤/分散剤を含む、眼科用軟膏組成物

【課題】
眼科用薬物を含む半固体眼科用組成物、特に対応する軟膏を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】
(1)眼科用薬剤、例えばスタウロスポリン誘導体、(2)軟膏基剤および(3)ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油、12個から20個の炭素原子を有するアルコールおよび該成分の2個またはそれ以上の混合物から選択される該薬剤を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬を含む、半固体眼科用組成物、特に軟膏を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用薬物を含む半固体眼科用組成物、特に対応する軟膏に関する。
【背景技術】
【0002】
半固体眼科用組成物および特に軟膏は、例えば、皮膚または目への局所投与に適した薬剤の形の一つである。しかしながら、軟膏内に疾病または疾患を有効に処置するのに十分な薬物の量を包含することが困難であることがしばしばある。同様に、軟膏製剤は、軟膏中の1個またはそれ以上の成分が眼組織にあまり耐容性でないため、しばしば眼に局所投与できない。例えば、EP−A−0474126には、油性軟膏基剤中の薬物アスコマイシンと、有効量の薬物を該基剤に溶解させるための低級アルキレンカーボネートまたはアルカンジカルボン酸エステルを含む軟膏が記載されている。しかしながら、該軟膏は、目への投与には適していない。
【0003】
本発明により、ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油(Cremophor(登録商標)EL)、12個から20個の炭素原子を含むアルコールまたは該成分の2個またはそれ以上の混合物が、油性で炭化水素成分を含む軟膏基剤中に、有効量の眼科用薬物、特にアスコマイシンおよびスタウロスポリン誘導体を分散および/または溶解させるのに優れた賦形剤であり、得られた軟膏が皮膚や眼組織に非常に耐容性であることが判明した。
【発明の概要】
【0004】
本発明の半固体組成物中に包含される眼科用薬物、特にスタウロスポリン誘導体は、組成物を患者の眼表面、特に鞏膜に局所投与した場合、患者の脈絡膜および/または網膜を容易に標的とできることがさらに驚くべきことに判明した。
【0005】
したがって、本発明の第一の対象は、
(1)眼科用薬物、
(2)軟膏基剤および
(3)ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油、12個から20個の炭素原子を有するアルコールおよび該成分の2個またはそれ以上の混合物から選択される、該薬物を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬
を含む、半固体眼科用組成物、特に軟膏である。
【0006】
適切な軟膏基剤は、
(a)天然蝋、例えば、白色および黄色蜜蝋、カルナウバ蝋、羊毛蝋(羊毛脂)、精製ラノリン、無水ラノリン、
(b)石油蝋、例えば、硬パラフィン、微結晶性蝋、
(c)炭化水素、例えば、液体パラフィン、白色および黄色軟パラフィン、白色ワセリン、黄色ワセリン、または
(d)これらの組み合わせ
のような、眼科的に許容される油性および脂肪基剤を含む。
【0007】
上記の油性および脂肪基剤は、例えば、英国薬局方、2001年版、または欧州薬局方第3版により詳細に記載されている。
【0008】
軟膏基剤は、組成物の総重量を基にして約50から約95、好ましくは70から90重量%の量で存在し得る。
【0009】
好ましい軟膏基剤は
(a)上記のような1個またはそれ以上の天然蝋、好ましくは羊毛蝋(羊毛脂)、および
(c)上記のような1個またはそれ以上の炭化水素、好ましくは軟パラフィンまたはワセリン(より好ましくは液体パラフィンとの併用である)
の1個またはそれ以上の組み合わせを含む。
【0010】
上記軟膏基剤の具体的実施態様は、例えば
(a)5から17重量部の羊毛脂、および
(c1)50から65重量部の白色ワセリンならびに
(c2)20から30重量部の液体パラフィン
を含む。
【0011】
眼科用薬物を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬は、ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油、12個から20個の炭素原子を有するアルコールおよび該成分の2個またはそれ以上の混合物から選択される。試薬は好ましくは全半固体眼科用組成物の1から20%、より好ましくは1から10重量%の量で使用する。
【0012】
12個から20個の炭素原子を有するアルコールは、特にステアリルアルコール(C1837OH)、セチルアルコール(C1633OH)およびこれらの混合物を含む。好ましいのは、実質的にステアリルアルコールとセチルアルコールから成る固体アルコールの混合物である、いわゆるセトステアリルアルコールであり、好ましくはステアリルアルコールが40重量%より少なくなく、ステアリルアルコールとセチルアルコールの合計が少なくとも90重量%となり、組成物は80重量%より少なくないセチルステアリルアルコールと乳化剤、特にナトリウムセトステアリルスルフェートおよび/またはナトリウムラウリルスルフェートを、好ましくは乳化剤の7重量%より少なくない量で含む。
【0013】
ポリエトキシ化ひまし油は、天然または水素化ひまし油とエチレングリコールの反応生成物である。このような生成物は既知の方法で、例えば、天然または水素化ひまし油またはそのフラクションと、酸化エチレンの、例えば、約1:30から約1:60のモル比での反応と、所望により生成物からのポリエチレングリコール成分の除去により、例えば、ドイツ特許1,182,388および1,518,819の記載にしたがって得られ得る。特に適しており、かつ好ましい生成物は、分子量(蒸気オスモメトリーによる)=約1630、鹸化価=約65−70、酸価=約2、ヨウ素価=約28−32およびn25=約1.471を有する、商品名Cremophor(登録商標)ELで市販されている生成物である。この範疇での使用にまた適しているのは、例えば、以下の特性を有する水素化ひまし油と酸化エチレンの反応産物であるNikkol(登録商標)HCO-6である:酸価=約0.3;鹸化価=約47.4;ヒドロキシ価=約42.5、pH(5%)=約4.6;色素APHA=約40;m.p.=約36.0℃;凝固点=約32.4℃.;HO含量(%、KF)=約0.03。
【0014】
ポリ(エチレン−グリコール)は、本発明にしたがい眼科用薬剤を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるためのもっとも好ましいタイプの試薬である。適切なポリ(エチレン−グリコール)は、典型的に一般式H−(OCH−CH)OH(ここで、数字nは典型的に4から230の範囲であり、平均分子量約200から約10000である)の重合化合物の混合物である。好ましくはnは約6から約22の数字であり、平均分子量は約300から約1000の範囲、より好ましくはnは約6から約13の範囲であり、平均分子量は約300から約600、もっとも好ましくはnは約8.5から約9の値であり、相対的分子量は約400である。適切なポリ(エチレン−グリコール)は、例えば平均分子量約200、300、400、600,1000、1500、2000、3000、4000、6000、8000および10000の、市販されているポリ(エチレン−グリコール)である。
【0015】
ポリ(エチレン−グリコール)、特に前段落に記載の好ましいタイプのものは、好ましくは全半固体眼科用組成物の1から10、より好ましくは1から5重量%の量で使用する。
【0016】
本発明の組成物のとりわけ好ましい実施態様は、ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油および好ましくは該成分の混合物から選択される、薬剤を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬を含む。
【0017】
適切な眼科用薬物は、例えば、眼窩領域および眼の付属器官の処置のための、および網膜および脈絡膜疾患の処置のための、例えば加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)を含むがこれらに限定されないヒト網膜および/または脈絡膜(chorodial)血管新生疾患の処置および/または予防のための、緑内障、炎症、例えば、眼瞼炎の処置のための、そして、細菌、真菌またはウイルス感染の処置のための薬物である。
【0018】
眼科用薬物は、例えば、本発明の組成物中に、組成物の総重量を基にして約0.01から約10、好ましくは5重量%まで、例えば、約0.1から約4重量%、例えば、0.1から2重量%、例えば、約0.3から約1重量%までの量で存在する。
【0019】
本発明の目的のための眼科用薬物は、例えば、以下の式
【化1】

〔式中、
Rはメチルまたはエチルであり;
はクロロまたはフルオロであり;
は水素またはフルオロであり;
は水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシまたはヒドロキシであり;
は水素またはフルオロであり;そして
はクロロ、フルオロ、トリフルオロメチルまたはメチルである。〕
のCOX−2阻害剤、
眼科的に許容されるその塩;または
眼科的に許容されるそのプロドラッグエステル
を含む。
【0020】
このタイプの化合物は、例えば、US特許6,310,099に記載され、特に5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸を含む。
【0021】
本発明の目的のための眼科用薬物はさらに、例えば、以下の式
【化2】

〔式中、
nは0から2であり、
RはHまたは低級アルキルであり;
Xはイミノ、オキサまたはチアであり;
Yはアリールであり;そして
Zは非置換または置換ピリジルである。〕
の化合物または1個またはそれ以上のN原子が酸素原子を持つ場合、定義の化合物のN−オキサイド、
または眼科的に許容されるその塩
を含む。
【0022】
このタイプの化合物は、例えば、US特許6,271,233に記載され、例えば、1−(4−メチルアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−アニリノ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−ベンジルアミノ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−メトキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)−フタラジン;1−(3−ベンジルオキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−メトキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(2−メトキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−トリフルオロメチルアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−フルオロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−ヒドロキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−ヒドロキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−アミノアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3,4−ジクロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−ブロモアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−クロロ−4−メトキシアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(4−シアノアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;1−(3−メチルアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン;そして好ましくは1−(3−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン、ならびに該化合物の一つの眼科的に許容される塩を含む。
【0023】
本発明の目的のための好ましい眼科用薬物は、アスコマイシン、特にスタウロスポリン誘導体、とりわけ下記の式(I)のもの、またはその眼科的に許容される塩である。
【0024】
本発明での使用に好ましいアスコマイシンは、FK506または、FK506の基本構造を保持し、少なくとも生物学的特性(例えば免疫学的特性)の一つが変化しているFK506の誘導体、アンタゴニスト、アゴニストまたはアナログを含み、これは例えば、EP−A−474126;EP−A−427680の実施例66aに記載の33−エピ−クロロ−33−デスオキシ−アスコマイシン(以後化合物Aと呼ぶ);EP−A−569337の実施例6dおよび71に記載の{[1E−(1R,3R,4R)]1R,4S,5R,6S,9R,10E,13S,15S,16R,17S,19S,20S}−9−エチル−6,16,20−トリヒドロキシ−4−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−シクロヘキシル)−1−メチルビニル]−15,17−ジメトキシ−5,11,13,19−テトラメチル−3−オキサ−22−アザ−トリシクロ[18.6.1.0(1,22)]ヘプタコス−10−エン−2,8,21,27−テトラオン(以後化合物Bと呼ぶ);そしてEP−A−626385の実施例8に記載の、5,6−デヒドロ−アスコマイシンとしても既知の、{1R,5Z,9S,12S−[1E(1R,3R,4R)],13R,14S,17R,18E,21S,23S,24R,25S,27R}17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−シクロヘキシル)−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[22.3.1.0(4,9)]オクタコサ−5,18−ジエン−2,3,10,16−テトラオン(以後化合物Cと呼ぶ);WO97/08182の実施例1に記載であり、式Iの化合物である、イミダゾリルメチルオキシアスコマイシン(以後化合物Dと呼ぶ);Transplantation 65(1998)10-18, 18-26。11頁、図1に記載の、インドリル−ASCまたはL−732531としても既知の32−O−(1−ヒドロキシエチルインドール−5−イル)アスコマイシン(以後化合物Eと呼ぶ);またはJ. Inv. Derm. 112(1999), 729-738、730頁、図1に記載の、ABT−281としても既知である、(32−デオキシ−32−エピ−N1−テトラゾリル)アスコマイシン(以後化合物Fと呼ぶ)などである。
【0025】
FK506、化合物A、B、C、D、EおよびFは好ましいアスコマイシンであり、より好ましいのは化合物A、BおよびC、特に化合物Aである。特に好ましいのは化合物Aである。
【0026】
本発明は、より特にはスタウロスポリン誘導体、とりわけ式(I)
【化3】

〔式中、
RはヒドロカルビルラジカルR°またはアシルラジカルAcである。〕
のスタウロスポリン、またはその眼科的に許容されるその塩のための眼科用薬剤として有用である。
【0027】
適切なヒドロカルビルラジカルは、炭素原子の最大合計数が好ましくは30個、とりわけ18個の非環式、炭素環式および炭素環式−非環式ヒドロカルビルラジカルである。さらに適切なヒドロカルビルラジカルはヘテロ環式ラジカルおよびヘテロ環式−非環式ラジカルである。ヒドロカルビルラジカル(R°)は、飽和または不飽和および置換または非置換であり得る。適切なアシルラジカルは、所望により官能基を修飾されているカルボン酸および有機スルホン酸、および所望によりエステル化されているリン酸、例えば、ピロ−またはオルト−リン酸である。
【0028】
好ましい非環式ヒドロカルビルラジカルは、C−C20−アルキルラジカル;ヒドロキシ基が1位以外の任意の位置である、C−C20−ヒドロキシアルキルラジカル;シアノ−[C−C20]−アルキルラジカル;カルボキシ基を有するカルボキシ−[C−C20]−アルキルラジカル;および遊離結合手が二重結合と同一炭素原子上にはないC−C20−アルケニルラジカルを含む。例示的に、非環式ヒドロカルビルラジカルは低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチル;低級アルケニル、例えば、プロペニル、2−または3−メタリルおよび2−または3−ブテニル;低級アルカジエニル、例えば、1−ペンタ−2,4−ジニル;および低級アルキニル、例えば、プロパルギルまたは2−ブチニルのラジカルである。好ましい炭素環式ヒドロカルビルラジカルは、単、二または多環式シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2,2,2]オクチル、2−ビシクロ(bycyclo)[2,2,1]ヘプチルおよびアダマンチル;シクロアルケニル;シクロアルカンジエニル;および対応するアリールである。アリールラジカルはフェニル、ナフチル(例えば、1−または2−ナフチル)、ビフェニリル(例えば、4−ビフェニリル)、アンスリル、フルオレニル、アズレニルおよび、1個またはそれ以上の飽和環を有するそれらの芳香族性アナログのラジカルである。好ましい炭素環式−非環式ラジカルは、1個またはそれ以上の炭素環式ラジカルを持つ非環式ラジカルである。ヘテロ環式ラジカルおよびヘテロ環式−非環式ラジカルは、芳香族性特性を有する、単環式、二環式、多環式、アザ−、チア−、オキサ−、チアザ−(thaza-)、オシアザ−、ジアザ−、トリアザ−、およびテトラアザ−環式ラジカルを含む。
【0029】
所望により官能基を誘導されていてもよいカルボン酸(Ac)に由来する例示的アシルラジカルは、式Z−C(=W)−(式中、Wは酸素、硫黄、またはイミノであり、Zは水素、ヒドロカルビルR°、ヒドロカルビルオキシR°Oまたはアミノである)を有する。好ましくは、Wは酸素または硫黄であり、Zは所望によりハロゲン、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてもよいC−Cアルキル、特にC−Cアルキルである。さらに好ましいZは各々非置換であるか、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、メチレンジオキシ、シアノで置換されているフェニル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニルまたはベンゾイミダゾリルおよび/またはそれらの塩である。好ましいAcアシルラジカルは、式R°−CO−(式中、R°は水素、ベンゾイルまたはヒドロカルビルラジカル、例えば、所望により、カルボキシ基、シアノ基、エステル基、アミノ基またはハロゲンで置換されているC−C19アルキルラジカルである)である。好ましいAcアシル(acryl)ラジカルの他のグループは、式R°−O−CO−を有する。好ましいAcアシル(acryl)ラジカルのさらに別のグループは、式
【化4】

〔式中、
およびRは独立して水素および非置換非環式C−Cヒドロカルビル、好ましくはC−CアルキルおよびC−Cアルケニルから選択される。〕
を有する。RおよびRは独立して最大10個の炭素原子を有する単環式アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり得、各々所望によりC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲンおよび/またはニトロで置換されている。このグループの特に望ましいラジカルは、Rとしての水素、および、Rとしての所望により置換されているC−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニルまたはベンゾイミダゾリルである。
【0030】
有機スルホン酸(Ac)に由来する例示的アシルラジカルは、式R°−SO−(式中、R°はヒドロカルビルラジカルである)を有する。好ましくは、スルホン酸アシルラジカルのR°は、各々非置換であるかC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、メチレンジオキシ、シアノにより置換されているC−Cアルキル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニルまたはベンゾイミダゾリルおよび/またはその塩である。
【0031】
所望によりエステル化されているリン酸(Ac)に由来する例示的アシルラジカルは、式
【化5】

〔式中、
およびRは独立して水素、非置換非環式C−Cヒドロカルビル、好ましくはC−CアルキルおよびC−Cアルケニルから選択される。〕
を有する。RおよびRは、独立して、最大10個の炭素原子を有する単環式アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり得、各々所望によりC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲンおよび/またはニトロで置換されている。
【0032】
さらに適切なスタウロスポリン誘導体は、式中、Rがグリシン、フェニルグリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ロイシン、セリン、バリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジンおよびアスパラギンから選択されるα−アミノ酸またはその塩である、式(I)のスタウロスポリンを含む。本発明の適切なスタウロスポリン誘導体は、さらに詳細に、Caravatti et al.の米国特許5,093,330に記載されている。該特許におけるスタウロスポリン誘導体の記載は、引用して本明細書に包含させる。
【0033】
本発明のための、特に好ましい式(I)のスタウロスポリン誘導体は:
N−(3−カルボキシプロピオニル)−スタウロスポリン、N−ベンゾイル−スタウロスポリン、N−トリフルオロアセチル−スタウロスポリン、N−メチルアミノチオカルボニル−スタウロスポリン、N−フェニルカルバモイル−スタウロスポリン、N−(3−ニトロベンゾイル)−スタウロスポリン、N−(3−フルオロベンゾイル)−スタウロスポリン、N−tert−ブトキシカルボニル−スタウロスポリン、N−(4−カルボキシベンゾイル)−スタウロスポリン、N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−スタウロスポリン、N−アラニル−スタウロスポリン、N−エチル−スタウロスポリン、N−カルボキシメチル−スタウロスポリン、N−[(tert.−ブトキシカルボニルアミノ)−アセチル]−スタウロスポリン、N−(2−アミノアセチル)−スタウロスポリンおよびそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0034】
特に好ましいのは、PKC412またはCGP41251としても既知の、式(I)のN−ベンゾイル−スタウロスポリンである。
【0035】
本発明の組成物はさらに防腐剤を含み得る。適切な防腐剤は以下のものを含む:
・例えば、ベンズアルコニウムクロライド(N−ベンジル−N(C−C18−アルキル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド)、ベンズオキソニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、セトリミド(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、セパゾニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ドミフェンブロミド(Bradosol(登録商標))などの4級アンモニウム化合物
・以下の式:
【化6】

〔式中、
【化7】

は、そのヒドロキシル基n個をシクロデキストリン化合物から除去することにより由来するn価残基である;
nは0より大きい数であり、該化合物の分子あたり、式
【化8】

の置換基の平均数を示し;
hは0または1であり;
は、アルキレン、ヒドロキシアルキレン、ハロゲノアルキレン、単環式アラルキレン、シクロアルキレンおよびフェニレンから選択される2価基であり;
、RおよびRは、互いに独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルおよびシクロヘテリルから選択される基であり;
m−は、m倍陰性に荷電したアニオンであり;
mは1より大きい整数であり;そして
kはn/mである。〕
を有する、例えば、米国特許3,453,257(数h=1)または米国特許5,241,059(数h=0)のような、4級化(quaternized)シクロデキストリン化合物(QACD化合物)、
【0036】
・例えば、チオメルサール(thiomersal)、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀のようなチオサリチル酸のアルキル−水銀塩、
・例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなパラベン、
・例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエチルアルコールのようなアルコール、
・例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニドのようなビグアニド誘導体、
・過ホウ酸ナトリウム、
・既知であり、商品名Germal(登録商標)IIで市販されている、イミダゾリジニルウレア、
・ソルビン酸、
・既知であり、商品名Purite(登録商標)として市販の安定化オキシクロロ複合体、
・例えば、既知であり、商品名Polyquart(登録商標)としてHenkel KGaAから市販されているポリグリコール−ポリアミン縮合樹脂、
・有効量の痕跡量の得られる過酸化水素、例えば、過ホウ酸ナトリウム四水和物を提供するための過酸化水素源から産生される安定化過酸化水素、および/または
・このような成分の2個またはそれ以上の混合物。
【0037】
好ましい防腐剤は4級アンモニウム化合物、特にベンズアルコニウムクロライド、セトリミドおよびフェニルエチルアルコールであり、本発明の目的のための特に好ましい防腐剤である。適当な場合、十分量の防腐剤を眼科用組成物に添加し、細菌や真菌によりもたらされる使用中の二次汚染に対する防御を確実にし、例えば、ベンズアルコニウムクロライドおよび/またはセトリミドが約0.001−0.02%で存在し、またはフェニルエチルアルコールが約0.05から5重量%、好ましくは0.1から2重量%、例えば0.1から約1重量%の量で存在する。
【0038】
本発明の組成物はさらに羊毛脂以外の1個またはそれ以上の適切な界面活性剤または乳化剤を含む。
【0039】
本発明の組成物は、さらに
・ジナトリウム−エチレンジアミンテトラアセテート、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、
・既知であり、商品名Dequest(登録商標)として、Monsanto Company, St. Louisから市販されているものなどようなホスホン酸またはホスホネート基、好ましくは有機ホスホネート、特にアミノトリ(低級アルキレンホスホン酸)を有するキレート化剤、
・例えば、既知であり、商品名Cavamax(登録商標)またはCavasol(登録商標)として、Wacker Chemieから市販されているような、シクロデキストリン、例えば、α−、β−またはγ−シクロデキストリン、例えば、アルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化またはアルキルオキシカルボニル−アルキル化誘導体、またはモノ−またはジグリコシル−α−、β−またはγ−シクロデキストリン、モノ−またはジマルトシル−α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはパノシル−シクロデキストリン、
・これらの成分の2個またはそれ以上の混合物
のような錯化剤を含み得る。
【0040】
本発明の組成物は、さらに、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンまたは、アルファ−トコフェロールまたはアルファ−酢酸トコフェロールのような天然または合成ビタミンE誘導体のような抗酸化剤を含み得る。
【0041】
本発明の組成物は、さらに、チオウレア、チオソルビトール、ジオクチル・スルホコハク酸ナトリウムまたはモノチオグリセロールのような安定化剤を含み得る。
【0042】
本発明の組成物はまた酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩およびTRIS(トロメタミン)緩衝液のような緩衝液も含み得る。トロメタミンおよびホウ酸塩緩衝液が好ましい緩衝液である。添加する緩衝液の量は、例えば、生理学的に耐容性のpH範囲を確実にし、かつ維持するのに必要なものである。pH範囲は典型的に5から9、好ましくは6から8.5およびより好ましくは6.5から8.2の範囲である。
【0043】
賦形剤は、上記で特定の機能を引用して記載しており、任意の特定の賦形剤が別のまたは複数の機能を有し得、例えば、シクロデキストリンまたはシクロデキストリンの混合物は、例えば、安定化剤、錯化剤および/または可溶化剤として作用し得ることは明らかであろう。
【0044】
賦形剤の特性、特定化および特徴付けは、例えば、Fiedler, H.P.;1996;Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete;Editio Cantor Verlag Aulendorf(Germany), and Kibbe, A.H.;2000;Handbook of Pharmaceutical Excipients, a joint publication of Pharmaceutical Press, London(UK), and American Pharmaceutical Association, Washington(US)のような標準テキストならびに製造者のパンフレットに記載され、その内容を本明細書に引用して包含させる。
【0045】
本発明の組成物は、さらに、組成物の総重量を基にして10重量%より少ない量の水を含み得る。
好ましくは、本発明の組成物は香料または着色剤のような成分を含まない。
【0046】
本発明の組成物の好ましい実施態様は、
(1)眼科用薬物、特に上記式(I)のスタウロスポリン誘導体、より詳細にはPKC412、
(2)好ましくは
(a)1個またはそれ以上の天然蝋、好ましくは羊毛蝋(羊毛脂)、および
(c)1個またはそれ以上の炭化水素、好ましくは軟パラフィンまたはワセリン(より好ましくは液体パラフィンとの併用である)
の組み合わせを含み軟膏基剤
(3)ポリ(エチレン−グリコール)およびポリ(エチレン−グリコール)とポリエトキシル化ひまし油の混合物から選択される薬物を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬、および所望により
(4)防腐剤、特にフェニルエチルアルコールおよびまた所望により
(5)抗酸化剤、特に天然または合成ビタミンE誘導体
を含み、または好ましくは本質的にこれらから成る。
【0047】
特に好ましいのは、
(1)0.1から4、好ましくは0.4から1.5%の式(I)のスタウロスポリン誘導体、特にPKC412;
(2)本質的に
(a)5から17%の羊毛脂、
(c1)50から65%の白色ワセリンおよび
(c2)20から35%の液体パラフィン
の組み合わせから成る軟膏基剤;
(3)本質的に所望によりポリエトキシル化ひまし油と併用したポリ(エチレン−グリコール)から成る、1から10%の薬剤を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬;
(4)0.01から2%の防腐剤、特にフェニルエチルアルコールならびに
(5)0.01から2%の抗酸化剤、特に天然または合成ビタミンE誘導体、
を含む、またはより好ましくは本質的にこれらから成る組成物である(ここで、すべてのパーセンテージは成分(1)から(5)の総重量に関し、合計で100までであるパーセンテージの組み合わせのみ可能である)。
【0048】
眼科用薬物は、例えば、媒体中に分散し、または溶解し、または部分的に分散しかつ部分的に溶解し得る。したがって、眼科用薬物は、例えば、媒体中の懸濁液であり、または部分的に懸濁している。しかしながら、好ましくは、眼科用薬物は、媒体中に、少なくとも部分的に溶解している。
【0049】
薬剤が媒体中に懸濁している場合、薬剤は好ましくは微粉形で使用する。このような懸濁液は、固体眼科用薬剤、例えば、スタウロスポリン誘導体またはアスコマイシンの、直径5ミクロンから、例えば10ミクロンから約90ミクロンまで、好ましくは約25ミクロンまでの粒子を含み得る。このような薬剤粒子は、慣用法で、例えば、すりつぶしや粉砕により製造し得る。活性剤が異なる多形体または偽多形体で存在する場合、懸濁タイプの製剤には熱力学的安定形を好ましくは使用する。
【0050】
本発明の組成物は、例えば、5℃から30℃の温度で数ヶ月、例えば、1から12ヶ月、30℃の温度サイクル試験のような負荷条件下の慣用試験で示されるように、安定である。
【0051】
本発明の眼科用組成物は、慣用法で、例えば、好ましくはガンマ線照射した眼科用薬剤、例えば、スタウロスポリン誘導体またはアスコマイシンとポリ(エチレン−グリコール)および/またはポリエトキシル化ひまし油および/または12個から20個の炭素原子を有するアルコールを、必要に応じて加熱下および/または超音波処理下、例えば0.5時間から6時間混合し、所望により、例えば防腐剤および/または抗酸化剤のようなさらなる賦形剤を添加し、得られた組成物を融解した軟膏基剤と混合し、混合物を、例えば0.2ミクロンフィルターを通すような濾過により滅菌し、その後撹拌下に室温まで冷却することにより製造し得る。もちろん、融解した軟膏基剤と薬剤を含む部分的組成物を、軟膏とするために合わせる前に別々に滅菌することも可能である。
【0052】
本発明の半固体組成物、特に軟膏は、皮膚、例えば眼瞼の皮膚、または目の窩(clu du
sac of the eye)中に、または目の表面に、特に角膜、鞏膜および/または結膜に、眼科用薬剤を局所投与するのに特に有用である。
【0053】
前記のような、スタウロスポリン誘導体を含む本発明の組成物は、ヒト眼血管新生疾患の処置および/または予防に、より特にはヒト網膜および/または脈絡膜(chorodial)血管新生疾患の処置および/または予防に特に有用である。スタウロスポリン誘導体を含む本発明の半固体組成物または軟膏の使用のための特に興味深い適応は、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)の処置および/または予防である。
【0054】
他の態様において、本発明は、したがって、ヒト眼血管新生疾患の処置および/または予防に、より特にはヒト網膜および/または脈絡膜血管新生疾患の処置および/または予防に、もっとも好ましくは加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、および/または増殖性糖尿病性網膜症(PDR)の処置および/または予防に使用するための、上記に定義しかつ上記のようにスタウロスポリン誘導体を含む組成物を提供する。
【0055】
他の態様において、本発明は、ヒト眼血管新生疾患を処置および/または予防する、より特にはヒト網膜および/または脈絡膜血管新生疾患を処置および/または予防する、もっとも好ましくは加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、および/または増殖性糖尿病性網膜症(PDR)を処置および/または予防する方法であり、上記に定義しかつスタウロスポリン誘導体を含む組成物を、必要とする患者の眼表面、例えば鞏膜に局所投与することを含む方法を提供する。
【0056】
より具体的に、該方法は本発明の半固体組成物中に含まれるスタウロスポリン誘導体を、患者の眼表面、特に鞏膜に局所投与し、それにより該患者の脈絡膜および/または網膜を標的とすることを含む。
【0057】
他の態様において、本発明は、スタウロスポリン誘導体を、必要とする患者の眼表面、例えば、鞏膜に局所投与し、それにより該患者の脈絡膜および/または網膜を標的とする医薬の製造における、上記で定義しかつスタウロスポリン誘導体を含む組成物の使用を提供する。
【0058】
別の態様において、本発明は、処置を必要とする患者における、ヒト眼血管新生疾患を処置および/または予防する、より特にはヒト網膜および/または脈絡膜血管新生疾患を処置および/または予防する、もっとも好ましくは加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、および/または増殖性糖尿病性網膜症(PDR)を処置および/または予防するための医薬の製造における、上記で定義しかつスタウロスポリン誘導体を含む組成物の使用を提供する。
【0059】
アスコマイシンを含む本発明の半固体組成物、特に対応する軟膏はまた種々の薬理学的作用を有し、例えば、炎症性疾患、とりわけ眼瞼炎、例えば、慢性眼瞼炎、例えば、脂漏性眼瞼炎またはアレルギー性眼瞼炎の処置に有用である。
【0060】
他の態様において、本発明は、したがって、炎症性疾患、とりわけ眼瞼炎、例えば、慢性眼瞼炎、例えば、脂漏性眼瞼炎またはアレルギー性眼瞼炎の処置に使用するための、上記で定義しかつアスコマイシンを含む組成物を提供する。
【0061】
他の態様において、本発明は、炎症性疾患、とりわけ眼瞼炎、例えば、慢性眼瞼炎、例えば、脂漏性眼瞼炎またはアレルギー性眼瞼炎を処置する方法であり、上記で定義しかつアスコマイシンを含む組成物を、必要とする患者の皮膚に局所投与することを含む方法を提供する。
【0062】
別の態様において、本発明は、例えば、必要とする患者の眼瞼の皮膚または目の窩中、または眼表面に局所投与するための医薬の製造における、上記で定義しかつアスコマイシンを含む組成物の使用を提供する。
【0063】
さらに別の態様において、本発明は、炎症性疾患、とりわけ眼瞼炎、例えば、慢性眼瞼炎、例えば、脂漏性眼瞼炎またはアレルギー性眼瞼炎の処置のための医薬の製造における、上記で定義しかつアスコマイシンを含む組成物の使用を提供する。
【0064】
本発明の組成物の有用性は、下記のような標準臨床試験で観察できる。
一つの動物試験は、3匹のアルビノラットでの修飾したドレイズ試験を含み、該方法において、50マイクロリットルの本発明の組成物を、眼瞼または眼表面に1回滴下した後の眼耐容性を、投与15分後、その後1日、2日および7日に示す。耐容性は以下のパラメーターを考慮した目視評価を基にした:まばたきまたは目を部分的に/完全に閉じることにより評価した不快感、不快感の継続時間、分泌物、結膜の赤み(眼結膜および眼球結膜)、結膜浮腫(膨張)、角膜および関連する角膜の領域の不透明度、および刺激による病理学的影響。
【0065】
本発明の組成物が有効であり、十分耐容性であることが判明した。
投与すべき眼科用薬剤および組成物の正確な量は、例えば、対象の標的疾患、種、年齢、体重および身体的状態、処置の所望の期間および薬理学的データ、例えば、薬剤の放出速度に依存する。大型哺乳類、例えばヒトで、処置すべき眼組織へのまたは眼表面への、0.01から5重量%濃度の薬剤の1日1回または数回の局所投与で、特にアスコマイシンまたはスタウロスポリン誘導体を投与する場合、十分な結果がえら得る。
【0066】
以下の実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0067】
実施例1
本発明の典型的防腐剤非添加(unpreserved)軟膏は下記のようである:
【表1】

1)量は重量/重量%(%w/w)
2)式中、Rがベンゾイル残基である式(I)のスタウロスポリン誘導体
3)H(OCH−CH)OH(式中、nが約8.5から約9の値である)のポリ(エチレン−グリコール)(平均相対的分子量約400)。
【0068】
製造は下記のように行い得る:
スタウロスポリン誘導体を、加熱および超音波処理下にポリ(エチレン−グリコール)に溶解し、この溶液を羊毛脂、白色ワセリン、液体パラフィンを含む融解した軟膏基剤と激しく混合する。得られた液体組成物を次いで、室温になるまで撹拌する。
【0069】
実施例2から7(防腐剤添加(preserved)軟膏)
【表2】

【表3】

*フェニルエチルアルコールは、例えば、0.01%のベンズアルコニウムクロライドまたはセトリミドと容易に置換できる。
【0070】
製造法
1. 液体パラフィンを媒体ビン(media bottle)に秤量する。液体パラフィン中の気泡を、30分、または全気泡が除去するまで真空脱気することにより除く。
2. 白色ワセリンと羊毛脂を、約70℃に加温した攪拌プレート上で融解する。
3. 液体パラフィン、白色ワセリン、羊毛脂を約70℃で、15分または成分が均一に混合するまで穏やかに混合し、パート1を作る。
4. PKC412を45℃に維持した水浴中で超音波処理することにより、PKC412をPEG400またはPEG4000に溶解する。PKC412が完全に溶解するまで、約4時間かかる。これがパート2である。
5. アルファ−トコフェロールと、フェニルエチルアルコールまたはベンズアルコニウムクロライドまたはセトリミドを、PKC412含有PEG(パート2)に添加する。これがパート3である。
6. 溶解したPKC412(パート3)をパート1に添加し、45分または均一な分散が得られるまで混合する。
7. PKC412軟膏は、ここでいつでも滅菌する状態になっている。
8. PKC412軟膏を、融解した軟膏を0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌できる。
9. あるいは、濾過滅菌工程を、パート1を0.2ミクロンフィルターを通して濾過し、続いてパート2を0.2ミクロンフィルターを通して濾過し、その後滅菌パート1とパート2を併せてPKC412軟膏を形成することにより達成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)眼科用薬剤、
(2)軟膏基剤、および
(3)ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ひまし油、12個から20個の炭素原子を有するアルコールおよび該成分の2個またはそれ以上の混合物から選択される、該薬剤を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための試薬
を含む、半固体眼科用組成物、特に軟膏。

【公開番号】特開2012−87146(P2012−87146A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14297(P2012−14297)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2004−522555(P2004−522555)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】