説明

薬剤包装装置

【課題】薬剤包装装置において錠剤収容枡間の隔壁の寸法を最小化する。
【解決手段】錠剤収容部22は隔壁24a,24bによって互いに区切られて1包分の前記錠剤をそれぞれ収容する複数の錠剤収容枡21を備える。錠剤収容部22の下方には錠剤収容枡21に対応する錠剤払出枡42が形成された可動の払出部材36が配置されている。錠剤収容部22と払出部材36の間にシャッタ部材34,35が配置されている。シャッタ部材34,35は無開口状である。シャッタ部材34,35は、すべての錠剤収容枡21の下端開口21bを閉鎖して上面に錠剤を保持する保持位置と、平面視で錠剤収容枡21のいずれからも離れて下端開口21bを開放し、錠剤収容枡21内の錠剤を錠剤払出枡42に下端開口21bを介して落下させる退避位置との間で移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭義の錠剤、カプセル剤、及び丸剤のような非粉末形態の固形薬剤を包装する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋に示された情報に基づいて錠剤を1回服用分ずつ包装シートで包装する薬剤包装装置が種々提供され、病院、調剤薬局等の医療機関で使用されている。この種の薬剤包装装置には、包装対象である錠剤がいわゆる手撒作業で供給されるものがある(例えば特許文献1,2参照)。具体的には、装置の上面側に複数の錠剤収容枡がマトリクス状に配置されており、作業者はこれらの錠剤収容枡に錠剤を手作業で投入する。投入完了後、錠剤収容枡の底に配置されたシャッタが開放し、個々の錠剤収容枡内の錠剤は可動の錠剤払出部に設けられた対応する錠剤払出枡に落下する。錠剤払出枡内の錠剤は順次包装装置に供給される。
【0003】
特許文献1に記載の薬剤包装装置における前述のシャッタは、2枚のシャッタ板(シャッタ部材)からなる。個々のシャッタ板には錠剤払出枡に対応する複数の開口がマトリクス状に配置されており、開口間には錠剤収容枡の底部を形成する仕切部が設けられている。錠剤収容枡の開放時には、2枚のシャッタ板の開口が錠剤収容枡と一致し、2枚のシャッタ板の仕切部が錠剤収容枡を仕切る隔壁の背後に退避する。従って、錠剤収容枡間の隔壁には、少なくともシャッタを退避させることができる程度の寸法(平面視での幅)が確保されている必要がある。しかし、ある程度の寸法の隔壁を確保しなければならないという条件下では、錠剤収容枡全体の寸法の大型化を回避しようとすれば個々の錠剤収容枡の容量を小さくせざるを得ない。逆に、この条件下で錠剤収容枡の容量を十分に確保しようとすれば、錠剤収容枡全体の寸法を大きくせざるを得ず、薬剤包装装置が大型化する。
【0004】
特許文献2に記載の薬剤包装装置における前述のシャッタも、同様に開口と仕切部を備える2枚のシャッタ板(シャッタ部材)からなる。開放時には、まず2枚のシャッタ板の開口をマトリクス状に配置された錠剤収容枡のうちの1列置きの錠剤収容枡群と一致させ、続いて2枚のシャッタ板の開口が一致した状態を維持したままでさらに移動させて他の1列置きの錠剤収容枡群と開口を一致させて錠剤を落下させる。この方式のシャッタであれば、シャッタ板の仕切部を錠剤収容枡間の隔壁の背後に退避させる必要はない。しかし、2枚のシャッタ板に正確な形状、寸法、及び位置で複数の開口を形成する必要があり、シャッタ板の加工には高精度が要求される。また、シャッタの開閉動作の際には、2枚のシャッタ板を正確に位置決めされた状態で移動させる必要があり、シャッタ板の駆動機構には高い位置決め精度が要求される。言い換えれば、シャッタ板の位置決め精度の許容度が低い。
【0005】
【特許文献1】特開2004−83097号公報
【特許文献2】特開2004−115059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シャッタ部材の加工の容易性と、開閉動作時のシャッタ部材の位置決め精度についての十分な許容度を確保しつつ、錠剤収容枡間の隔壁の寸法を最小化し、それによって錠剤収容枡の容量の大型化や薬剤包装装置の小型化を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここでいう錠剤との用語は、狭義の錠剤に限定されず、カプセル剤や丸剤のような他の非粉末形態の固形薬剤も含む。
【0008】
本発明は、錠剤を1包分ずつ供給する錠剤供給部と、前記錠剤供給部から供給される前記錠剤を1包分ずつ包装する包装部とを備え、前記錠剤供給部は、隔壁によって互いに区切られ、上端開口と下端開口をそれぞれ有し、かつ前記上端開口から投入される1包分の前記錠剤をそれぞれ収容する複数の錠剤収容枡が少なくとも1つの並設方向に沿って設けられた錠剤収容部と、前記錠剤収容部の下方に配置され、対応する前記錠剤収容枡から落下する前記錠剤をそれぞれ収容する複数の錠剤払出枡が設けられ、かつ前記錠剤払出枡毎に前記錠剤を取り出して前記包装部に送る払出部材と、無開口状であり、前記錠剤収容部と前記払出部材との間に配置され、かつ前記錠剤収容枡の前記下端開口を閉鎖して上面に前記錠剤を保持する保持位置と、平面視で複数の前記錠剤収容枡のいずれからも離れて前記錠剤収容枡の前記下端開口を開放し、前記錠剤収容枡内の前記錠剤を対応する前記錠剤払出枡に前記下端開口を介して落下させる退避位置との間で、前記並設方向に移動可能である少なくとも1つのシャッタ部材と、シャッタ部材を前記保持位置と前記退避位置との間で往復移動させるシャッタ駆動機構とを備える、薬剤包装装置を提供する。
【0009】
シャッタ部材は複数の開口間に仕切部が設けられた構造ではなく無開口状である。そして、このシャッタ部材が、錠剤収容枡の下端開口を閉鎖する保持位置と平面視で複数の錠剤収容枡のいずれからも離れた退避位置との間で往復移動する。従って、錠剤収容枡の下端開口開放時にシャッタ部材の仕切部を退避させるために、錠剤収容枡間の隔壁の寸法(平面視での幅)を大きく設定する必要がない。言い換えれば、シャッタ部材の仕切部を退避させる機能を持たせる必要がなく、錠剤収容枡間の隔壁の寸法(平面視での幅)を最小化でき、その結果、錠剤収容部(錠剤収容枡全体)の寸法(平面視での面積)を小型化できる。錠剤収容部を小型化することで薬剤包装装置全体としても装置の小型化を実現できる。また、隔壁の寸法を最小化することにより、錠剤収容部(錠剤収容枡全体)の寸法(平面視での面積)を大型化させることなく、個々の錠剤収容枡の平面視での寸法を大きくして容量を増加させることができる。
【0010】
シャッタ部材は無開口状であり、錠剤払出枡の下端開口に対応した複数の開口をシャッタ部材に形成する必要がない。この点でシャッタ部材を形成するための加工が容易である。
【0011】
無開口状のシャッタ部材を錠剤収容枡の下端開口を閉鎖する保持位置と平面視で複数の錠剤収容枡のいずれからも離れた退避位置との間で往復移動させればよいので、開閉動作時のシャッタ部材の位置決めに高精度は要求されない。言い換えれば、開閉動作時のシャッタ部材の位置決め精度について十分な許容度を確保できる。
【0012】
具体的には、前記シャッタ部材は、前記シャッタ駆動機構によって駆動されて前記保持位置と前記退避位置との間で前記並設方向に往復移動する駆動シャッタ部材と、前記駆動シャッタ部材に対して上側又は下側に位置し、かつ前記保持位置にあるときに平面視で前記駆動シャッタ部材に対して前記並設方向の前記退避位置側に位置し、前記保持位置から前記退避位置に向けて移動する途中の前記駆動シャッタ部材が上側又は下側に重なった状態で係合し、それによって前記駆動シャッタ部材と共に前記退避位置まで移動する、少なくとも一つの従動シャッタ部材とを含む。
【0013】
この構成によれば、退避位置では駆動シャッタ部材と従動シャッタ部材は互いに重ね合わされた状態にあるので、退避位置として薬剤包装装置内に確保する必要がある領域の平面視での面積を縮小でき、より効果的に薬剤包装装置を小型化できる。
【0014】
さらに、具体的には、前記錠剤供給部は、前記従動シャッタ部材を前記退避位置から前記保持位置に向けて前記並設方向に弾性的に付勢する弾性付勢手段を備える。
【0015】
駆動側シャッタ部材がシャッタ駆動機構によって退避位置から保持位置に戻されると、従動シャッタ部材も弾性付勢手段の付勢力により退避位置から保持位置に戻る。
【0016】
代案としては、無開口状のシャッタ部材を1個のみ設け、この単一のシャッタ部材をシャッタ駆動機構で保持位置と退避位置の間で往復移動させてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の薬剤包装装置によれば、シャッタ部材の加工の容易性と、開閉動作時のシャッタ部材の位置決め精度についての十分な許容度を確保しつつ、錠剤収容枡間の隔壁の寸法を最小化し、それによって錠剤収容枡の容量の大型化や薬剤包装装置の小型化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態にかかる薬剤包装装置1を示す。
【0019】
(全体構成)
この薬剤包装装置1は、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、包装ユニット4、包装済の薬剤が排出される薬剤排出部5を備える。錠剤供給ユニット2と散薬供給ユニット3はハウジング6の上面側に設けられている。一方、包装ユニット4はハウジング6内の収容室7に配置されている。ハウジング6の前面開口は薬剤排出部5を除いて片開き扉型の開閉可能なカバー8で開閉可能に覆われている。このカバー8を開放すれば、収容室7内の包装ユニット4に作業者がアクセスできる。カバー8の形態は特に限定されず、両開き等の他の形態でもよい。
【0020】
ハウジング6の上面には、図2に示すコントロールパネル9が設けられている。図3を併せて参照すると、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、及び包装ユニット4の動作は、コントロールパネル9からの入力と後述する手撒支援のための封鎖カバー(手撒支援部材)25の開閉を検出するためのカバーセンサ27,28、並びにその他のセンサ29,30の入力に基づいて、コントローラ11,12,13によってそれぞれ制御される。
【0021】
(錠剤供給ユニット)
以下、図1〜図8を参照して錠剤供給ユニット2について説明する。まず、図4A〜図4C及び図5を参照すると、錠剤供給ユニット2は、複数の錠剤収容枡21がマトリクス状に設けられた固定の錠剤収容部22(本実施形態ではハウジング6の上面側の一部を構成する)と、個々の錠剤収容枡21に手撒で供給された1包分の錠剤を自動的に順次取り出して包装ユニット4に供給する錠剤払出部23とを備える。ハウジング6の上面には、錠剤供給収容部22の横(図1において右側)に隣接する位置に、ノート型PC等の情報機器を載置するための受け台部10が設けられている。この受け台部10に載置された情報機器は、薬剤包装装置1の各種調整作業等の際にコントローラ11〜13に接続される。
【0022】
図1、図6、及び図7を参照すると、錠剤収容部22には、同一形状の錠剤収容枡21が平面視で2つの並設方向にそれぞれ複数個並設され、マトリクス状の配置を構成している。具体的には、錠剤収容部22には、同一形状の錠剤収容枡21が前後方向(列方向)に4列、横方向(行方向)に7行で合計28個設けられている。錠剤収容部22は、列方向(前後方向)に延びて行方向に隣接する錠剤収容枡21間を区切る複数の第1の隔壁24aと、行方向(横方向)に延びて列方向に隣接する錠剤収容枡21を区切る複数の第2の隔壁24bとを備え、これら第1及び第2の隔壁24a,24bによって個々の錠剤収容枡21が区画されている。個々の錠剤収容枡21は上下両端が開口している。上端開口21aは、作業者が手作業で錠剤収容枡21に錠剤を投入するための開口として機能する。上端開口21aとは反対側に位置する下端開口21bは、錠剤収容枡21内に収容された錠剤が錠剤払出部23へ送られる際に通過する開口として機能する。
【0023】
図1及び図6を参照すると、錠剤収容部22は、概ねシート状ないしは板状で必要に応じて最も後側の列の錠剤収容枡21を閉鎖するための封鎖カバー25と、同様に概ねシート状ないしは板状の保護カバー26を備える。封鎖カバー25と保護カバー26は錠剤収容部22の上面に回動可能に取り付けられている。具体的には、最も後側の錠剤収容枡21の列よりもさらに後側に、2個のピン機構(回動支持機構)100A,100Bが設けられており、このピン機構100A,100Bによって封鎖カバー25と保護カバー26の基端側が回動自在に支持されている。封鎖カバー25は保護カバー26よりも手前側に配置されており、封鎖カバー25と保護カバー26の両方を閉鎖した際に、保護カバー26よりも下側に位置する。
【0024】
以下、錠剤払出部23について説明する。
【0025】
図4A〜図4C及び図5を参照すると、錠剤供給ユニット2の錠剤払出部23は、駆動シャッタ板(駆動シャッタ部材)34、従動シャッタ(従動シャッタ部材)35、払出部材36、及び固定板37を備える。払出部材36は錠剤収容部22の下方に配置されている。錠剤収容部22と払出部材36の間に駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35が配置されている。錠剤収容部22と払出部材36との間には後述する駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35の移動可能とするために最小限必要な上下方向の隙間が設けられている。固定板37は払出部材36の下方に配置されている。
【0026】
図5を参照すると、矢印Mで示すように、駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35は、錠剤収容枡21の配置の行方向(図において左右方向)に往復移動可能である。
【0027】
駆動シャッタ板34は、合計28個(4列7行)の錠剤収容枡21のうち図において左側の4行の錠剤収容枡21の下端開口21bを閉鎖するための本体34aを備える。この本体34aは無開口状である。具体的には、本体34aは、錠剤収容枡21の下端開口21bを開放するための開口等の開口ないし穴が形成されていない単なる矩形板状である。本体34aの移動方向Mの寸法は、4行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定されている。また、本体34aの移動方向Mと直交する方向の寸法は、4列分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定されている。本体34aの移動方向Mと直交する方向(錠剤収容枡21の配置の行方向)の両側部全体に、上方へ突出して先端が外側に屈曲した形状のガイド突条34bが設けられている。また、本体34aの移動方向Mの一端(図において右側)には、本体34aから移動方向Mに延びて先端が下向きに屈曲した形状の係合片34cが設けられている。
【0028】
従動シャッタ板35は、合計28個の錠剤収容枡21のうち図において右側の3行の錠剤収容枡21の下端開口21bを閉鎖するための本体35aを備える。この本体35aは、駆動シャッタ板34の本体34aと同様に無開口状であり、錠剤収容枡21の下端開口21bを開放するための開口等が形成されていない単なる矩形板状である。本体35aの移動方向Mの寸法は、3行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定されている。また、本体35aの移動方向Mと直交する方向の寸法は、4列分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定されている。本体35aの移動方向Mと直交する方向の両側部全体に、駆動シャッタ板34のガイド突条34bと同様の形状のガイド突条35bが設けられている。また、本体35aの移動方向Mの一端(図において右側)には、駆動シャッタ板34の係合片34bと同様の形状の係合片35cが設けられている。
【0029】
駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35は、特にいずれの本体34a,35も無開口の単なる矩形板状である点で形状が非常に簡易である。そのため、駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35は、いずれも簡単な加工で製造できる。例えば、金属板に打抜加工と屈曲加工を施すだけで、駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35を製造できる。
【0030】
図4A〜図4Cを併せて参照すると、錠剤収容部22と払出部材36との間の隙間内において、従動シャッタ板35は駆動シャッタ板34よりも上側に配置されている(駆動シャッタ板34は従動シャッタ板35よりも下側に配置されている)。
【0031】
駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35は、図4Aに示すように平面視で錠剤収容部22の錠剤収容枡21の下方に位置する保持位置と、図4Cに示すように平面視で錠剤収容部22のすべての錠剤収容枡21から離れて位置する退避位置との間で移動方向Mに沿って往復移動可能である。図4Bは、保持位置と退避位置の間の中間位置での駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35を示す。
【0032】
図4Aに示す保持位置では、従動シャッタ板35は平面視で駆動シャッタ板34に対して移動方向Mの退避位置側(図において右側)に位置している。この保持位置では、錠剤収容部22のすべての錠剤収容枡21の下端開口21bが駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35の本体34a,35aによって閉鎖される。個々の錠剤収容枡21内に収容された錠剤は本体34a,35aの上面で保持される。詳細には、4列7行で合計28個の錠剤収容枡21(図6を併せて参照)のうち、平面視で最も左側の行から4行目までのすべての列の錠剤収容枡21の下端開口21bが駆動シャッタ板34の本体34aによって閉鎖され、5行目から7行目までのすべての列の錠剤収容枡21の下端開口21bが従動シャッタ板35の本体35aによって閉鎖される。
【0033】
図4Bに示す退避位置では、駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35は、ハウジング6内の錠剤収容部22の図において右側の領域、すなわちハウジング6の受け台部10の下側の領域に位置している。この領域に駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35の両方が位置することで、錠剤収容部22のすべての錠剤収容枡21の下端開口21bは開放された状態にある。下端開口21bが開放されることで、錠剤収容枡21内に収容されていた錠剤は下端開口21bを介して払出部材36の対応する錠剤払出枡42(後に詳述する)へ落下する。
【0034】
駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35の本体34a,35aはいずれも、複数の開口間に仕切部が設けられた構造ではなく無開口状である。そして、これら駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35が、錠剤収容枡21の下端開口21bを閉鎖する保持位置と平面視で複数の錠剤収容枡21のいずれからも離れた退避位置との間で移動方向M(錠剤収容枡21の配置の行方向)に沿って往復移動する。従って、錠剤収容枡21の下端開口21bの開放時にシャッタ板の仕切部を退避させるために、行方向に隣接する互いに隣接する錠剤収容枡21間を仕切る隔壁24aの平面視での幅T(図4A〜図4C及び図7参照)を大きく設定する必要がない。言い換えれば、シャッタ板の仕切部を退避させる機能を持たせる必要がなく、行方向に隣接する互いに隣接する錠剤収容枡21間を仕切る隔壁24aの幅Tを最小化できる。隔壁24aの幅Tを最小化することで、錠剤収容枡21の配置の行方向についての錠剤収容部22(錠剤収容枡21全体)の長さを最小化でき、従って錠剤収容部22(錠剤収容枡21全体)の平面視での面積を小型化できる。錠剤収容部22を小型化することで薬剤包装装置1全体としても装置の小型化を実現できる。また、隔壁24aの寸法を最小化することにより、錠剤収容部22(錠剤収容枡21全体)の寸法(平面視での面積)を大型化させることなく、個々の錠剤収容枡21の平面視での寸法を大きくして容量を増加させることができる。
【0035】
また、無開口状の本体34a,35aを備える駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35を錠剤収容枡21の下端開口21bを閉鎖する保持位置と平面視でいずれの錠剤収容枡21からも離れた退避位置との間で往復移動させればよいので、錠剤収容枡21の下端開口21bの開閉動作時に駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35の位置決めに高精度は要求されない。言い換えれば、駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35の位置決め精度について十分な許容度を確保できる。
【0036】
図4Bに示す退避位置では、従動シャッタ板35は平面視で駆動シャッタ板34に重ね合わされた状態にある。そのため、退避位置としてハウジング6内に確保する必要がある領域の平面視での面積をより効果的に縮小できる。特に本実施形態では、前述のように情報機器の受け台部10の下側の領域を駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35の退避位置としている点で、ハウジング6内の空間を効率的に利用されている。
【0037】
以上のように、本実施形態の薬剤包装装置1が備える錠剤供給ユニット3は、錠剤収容枡21の下端開口21bを開閉するためのシャッタとして駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35を採用したことにより、シャッタ板の加工の容易性と、開閉動作時のシャッタ板の位置決め精度についての十分な許容度を確保しつつ、錠剤収容枡21間の隔壁24aの幅Tを最小化し、それによって錠剤収容枡21の容量の大型化や薬剤包装装置1全体としての装置の小型化を実現できる。
【0038】
駆動シャッタ板34は、図4A〜図4C及び図5に模式的に示すモータ及びモータの回転を直線往復運動に変換して伝える伝動機構等を含む駆動装置(シャッタ駆動機構)80機械的に連結されている。駆動シャッタ板34はこの駆動装置80で直接的に駆動されることにより保持位置と退避位置との間で移動方向Mに沿って往復移動する。一方、従動シャッタ板35は、図4A〜図4C及び図5において付勢方向を示す矢印として示すばね()81により退避位置から保持位置へ向かう向き(図において右向き)に移動方向Mに沿って弾性的に付勢されている。
【0039】
駆動シャッタ板34は、駆動装置80で駆動されて保持位置から退避位置に向かって移動する途中で従動シャッタ板35の下側に滑り込み平面視で従動シャッタ板35の下側に重なった状態となる。この状態では、駆動シャッタ板34の係止片34cが従動シャッタ板35の係止片35cに対して保持位置側(図において左側)から当たって係止される。その結果、従動シャッタ板35は駆動シャッタ板34に押され、駆動シャッタ板34と共に退避位置まで移動する。駆動シャッタ板34は駆動装置80で駆動されることにより、保持位置から退避位置に向けて移動方向Mに沿って移動する。従動シャッタ板35はばね81によって保持位置に向けて弾性的に移動しているので、駆動シャッタ板34が退避位置から保持位置に向けて移動するに追従して保持位置に向けて移動する。以上のように、駆動シャッタ板34は駆動装置80で駆動されることによりそれ自体が移動方向Mの往復移動を行うのに対し、従動シャッタ板35は駆動シャッタ板34に従動することで移動方向Mの往復移動を行う。駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35の保持位置と退避位置の間で移動の詳細については、後述する。
【0040】
払出部材36はピニオンラック機構及びモータを含む駆動装置82によって錠剤収容枡21の配置の行方向に往復移動可能である。払出部材36には、錠剤収容部22の錠剤収容枡21に対応して4列7行で合計28個の錠剤払出枡42が設けられている。錠剤払出枡42は上下両端が開口している。個々の錠剤払出枡42の下端側の開口は、開閉可能な底板43が配置されている。底板43は一端がピン44によって払出部材36に対して揺動自在に支持され、他端側には開放用の錘45が内蔵されている。
【0041】
固定板37の上面には錠剤払出枡42の底板43が載せられ、それによって底板43が閉鎖位置で保持される。また、固定板37の図4A〜図4C及び図5において右側の端部には、錠剤収容枡21及び錠剤払出枡42の列数(本実施形態では4列)と同一数の段37a〜37dが設けられている。隣接する段37a〜37d間の段差は、錠剤収容枡21及び錠剤払出枡42の行方向の形成ピッチを錠剤払出枡21及び錠剤払出枡42の列数で除した値に相当する。
【0042】
次に、図8のフローチャートを参照して錠剤供給ユニット2の動作を説明する。まず、ステップS1でコントロールパネル9の錠剤ボタン9a(以下、ボタン、LED等に関しては図2を参照。)が選択され、ステップS2で錠剤ボタン9aに対応するLEDが点灯する。次に、ステップS3で「分3」と「分4」のいずれかが選択される。具体的には、「分3」を選択する場合には、ステップS4で封鎖カバー25が手動操作で閉鎖位置に設定され、ステップS5で4列の錠剤収容枡21を使用することを示すLED9bは消灯する。また、「分4」を選択する場合には、ステップS6で封鎖カバー25が手動操作で開放位置に設定され、ステップS7でLED9bが点灯する。
【0043】
続いて、ステップS8において包数の設定を行い、ステップS9において設定する包数が21包以下であれば、ステップS10において後述するV枡51の仕切板52を設定する包数に対応する位置に移動する。仕切板52の位置はセンサで検出されて錠剤供給ユニット2のコントローラ11に出力される。指定された包数はステップS11でコントロールパネル9の包数表示部9cに表示される。一方、ステップS9において設定する包数が21包以上であれば、ステップS12においてV枡51の仕切板52の包数を最大値である21包に設定し、ステップS13でコントロールパネル9の包数表示部9cに包数として「21」が表示される。ステップS14においてコントロールパネル9の錠剤ボタン9aを押す毎に包数表示部9cに包数として「22」から錠剤供給ユニット2の最大の包数である「28」までの包数が順に表示さる。
【0044】
次に、ステップS15において、手撒作業により上端開口21aから錠剤を投入して個々の錠剤収容枡21に収容させる。この際、最も右側の行の最も前側(手前側)の列の錠剤収容枡21から列方向に後側(奥側)に順に錠剤を投入する。
【0045】
手撒作業終了後、ステップS16においてコントロールパネル9のスタートボタン9dを選択すると、ステップS17において錠剤払出部23が動作し、錠剤収容部22から図示しない搬送路を介して1包分ずつ錠剤が包装ユニット4のホッパ67へ送られ、包装ユニット4において分包処理が実行される。
【0046】
以下、ステップS17の分包処理における錠剤払出部23の動作を詳説する。まず、スタートボタン9dが選択される前、すなわち非作動時には、錠剤払出部23は図4Aに示す状態にある。すなわち、駆動シャッタ板34及び従動シャッタ板35は保持位置にあり、無開口状であるこれら本体34a,35aによって個々の錠剤収容枡21の下端開口21bが閉鎖されている。
【0047】
スタートボタン9dが選択され、かつ封鎖カバー25が正確に閉鎖位置か開放位置に設定されており不安定な状態でも、カバーセンサ27,28の故障でもなければ、駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35が保持位置(図4A)から退避位置(図4C)まで移動し、錠剤収容枡21の下端開口21bが開放される。開放の順序としては、7行の錠剤収容枡21(図6参照)のうち駆動シャッタ板34により閉鎖されている左側から1行目から4行目までの錠剤収容枡21が順に開放され、それに続いて従動シャッタ板35により閉鎖されている左側から5行目から7行目までの錠剤収容枡21が順に開放される。以下、詳細に説明する。
【0048】
駆動装置80により駆動シャッタ板34が退避位置に向けて図において右向きに移動方向Mに沿って移動する。駆動シャッタ板34の退避位置に向かう移動により、7行の錠剤収容枡21(図6参照)のうち、まず平面視で最も左側の行の錠剤収容枡21の下端開口21aが開放される。具体的には、平面視で最も左側の行の錠剤収容枡21の下端開口21aから駆動シャッタ板34の本体34aが離れる。その結果、最も左側の行の錠剤収容枡21に収容されている錠剤は、払出部材36の対応する錠剤払出枡42(上下方向に対向する錠剤収容枡42)に開口端21aを介して落下する。駆動シャッタ板34がさらに退避位置に向けて移動するのに伴い、左側から2行目、3行目、及び4行目の順で錠剤収容枡21の開口端21aが開放され、個々の錠剤収容枡21内に収容されていた錠剤が対応する錠剤払出枡42へ落下する。この時点では、従動シャッタ板35は移動を開始していない。
【0049】
駆動シャッタ板34は退避位置に向けて移動するのに伴い、退避位置側(右側)の端部から従動シャッタ板35の下側に滑り込む。駆動シャッタ板34が4行の錠剤収容枡21に相当する距離(1個の錠剤収容枡21の行方向の幅Wの4倍に相当する距離)だけ移動すると、図4Bに示すように、駆動シャッタ板34が従動シャッタ板35に対して平面視で下側に重なった状態となり、駆動シャッタ板34の係止片34cが従動シャッタ板35の係止片35cに対して保持位置側(図において左側)から当たって係止される。従動シャッタ板35はばね81によって保持位置に向かう向き(図において左向き)に弾性的に付勢されているので、駆動シャッタ板34が退避位置に向けてさらに移動すると、係止片35cが駆動シャッタ板34の係止片34cによって退避位置に向けて右向きに押される。その結果、従動シャッタ板35は駆動シャッタ板34と共に退避位置に向けて図において右向きに移動する。従動シャッタ板35が退避位置に向けて移動するのに伴い、7行の錠剤収容枡21(図6参照)のうち左側から5行目、6行目、7行目の順で錠剤収容枡21の開口端21aから従動シャッタ板35の本体35aが離れて開放され、個々の錠剤収容枡21内に収容されていた錠剤が対応する錠剤払出枡42へ落下する。
【0050】
以上の動作により、駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35が図4Cに示す退避位置まで移動し、左側から1行目から7行目までのすべてについて錠剤収容枡21の下端開口21bが開放され、錠剤収容枡21内に収容されていた錠剤が下端開口21bを介して落下し、払出部材36の対応する錠剤払出枡42に収容される。
【0051】
駆動シャッタ板34が退避位置から保持位置に向けて移動すると、ばね81によって付勢されている従動シャッタ板35は駆動シャッタ板34に従動して退避位置から保持位置へ移動する。
【0052】
次に、駆動装置82によって駆動された払出部材36が図において右方向に移動し、錠剤払出枡42の底板43が移動方向前側のものから順に段37a〜37dの前方の落下口48に達し、下方から支持がなくなることで開放する。その結果、個々の錠剤払出枡42内の錠剤が順次ホッパ67内に供給される。つまり、1包分毎に錠剤供給ユニット2から包装ユニット4に錠剤が供給される。なお、「分4」の場合には、払出部材36は常に前述の段差の対応する量だけ右方向に間欠的に移動するが、「分3」の場合には、最も上側の列に対応する錠剤払出枡42内には錠剤は収容されていないので、3個目、6個目、9個目、12個目、15個目・・・の錠剤払出枡42が落下口48に達した後の次の間欠移動では払出部材36の移動量は段差の2倍に設定される。
【0053】
(散薬供給ユニット)
散薬供給ユニット3は、手作業で散薬が供給され、この散薬を自動的に1包分ずつに分割して順次包装ユニット4に供給するものである。
【0054】
図1を参照すると、散薬供給ユニット3は、ハウジング5の上面に開口した断面が概ねV字状の細長い枡(V枡51)を備える。V枡51の底部は開閉可能である。また、V枡51の下側には複数の分割容器(図示せず)が配置されている。V枡51内に投入された散薬は底部が開放すると分割容器へ落下して所定量に分割される。分割容器の底部も開閉可能である。分割容器の底部を順次開放することにより、個々の分割容器内の散薬がホッパ67へ落下して1包分毎に包装ユニット4へ供給される。また、V枡51内には散薬の分割数を調整するための可動の仕切板52が配置されている。
【0055】
散薬供給ユニット3の構成は、散薬を1包分ずつ包装ユニット4に供給できる限り、特に限定されない。例えば、散薬供給ユニット3は、ホッパに投入された散薬を分配皿の外周環状溝に供給し、掻出し装置によって外周環状溝から1包分ずつ掻き出した散薬を順次包装ユニット4に供給するものでもよい。
【0056】
(包装ユニット)
図9を参照すると、包装ユニット4は、シート供給部63、展開ガイド65、ホッパ67、ヒートシール部68、及び印刷部69を備える。シート供給部63は、予め長手方向に沿って二つ折りされた細長い包装シート61を巻回したロール62から包装シート61を巻き出して供給する。展開ガイド65は、シート供給部63により供給される包装シート61を展開して開口する。ホッパ67には錠剤供給ユニット2及び散剤供給ユニット3から薬剤が供給される。ホッパ67の導入口67aを介して包装シート61の開口から薬剤が導入される。ヒートシール部68は、導入された薬剤を閉じ込めるように包装シート61をシールする。印刷部69は、包装シート61の経路のうちシート供給部63と展開ガイド65の間に配置されており、包装シート61に患者名、薬剤名、用法等の情報を印刷する。
【0057】
(第2実施形態)
図10から図12に示す本発明の第2実施形態に係る錠剤供給ユニット2の錠剤払出部23は、1枚の駆動シャッタ板34と2枚の従動シャッタ板35,35’を備える。駆動シャッタ板34は、移動方向Mの寸法を2行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(1個の錠剤収容枡21の行方向の幅Wの2倍に相当する長さに設定している)点を除いて第1実施形態のものと同様であり、駆動装置80によって移動方向Mに沿って往復移動する。一方の従動シャッタ板35は、移動方向Mの寸法を2行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(幅Wの2倍に相当する長さに設定している)点を除いて第1実施形態のものと同様である。他方の従動シャッタ板35’は第1実施形態のものと同様に、移動方向Mの寸法を3行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(幅Wの3倍に相当する長さに設定している)。従動シャッタ板35,35’はそれぞればね81,81’によって退避位置から保持位置に向かう向きに移動方向Mに沿って弾性的に付勢されている。駆動シャッタ板34よりも上側に従動シャッタ板35が配置され、従動シャッタ板35の上側に従動シャッタ板35’が配置されている。
【0058】
保持位置(図12の「ステップ1」)では、7行の錠剤収容枡21(図6参照)のうち最も左側の行と2行目の錠剤収容枡21の下側開口端21bが駆動シャッタ板34の本体34aで閉鎖され、3行目と4行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが従動シャッタ板35の本体35aで閉鎖され、5行目から7行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが従動シャッタ板35’の本体35a’で閉鎖される。
【0059】
保持位置の駆動シャッタ板34が退避位置に向けて2行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの2倍に相当する距離)だけ移動すると(図12の「ステップ2」)、最も左側の行と2行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが順に開放されて払出部材36の対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。また、この状態で、従動シャッタ板35の下側に駆動シャッタ板34が重なって係止片34cに係止片35cが図において左側から当たるので、従動シャッタ34が駆動シャッタ35と共に移動を開始する。
【0060】
図12の「ステップ2」の状態から、従動シャッタ板35と共に駆動シャッタ板34が2行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの2倍に相当する距離)だけ移動すると(図12の「ステップ3」)、左側から3行目と4行目の錠剤収容枡21が順に開放されて対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。また、この状態で、従動シャッタ板35’の下側に従動シャッタ板35と駆動シャッタ板34が重なり、係止片35cが係止片35c’に図において左側から当たる。その結果、従動シャッタ板35’が駆動シャッタ板34と共に移動を開始する。
【0061】
図12の「ステップ3」の状態から、従動シャッタ板35,35’と共に駆動シャッタ板34が3行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの3倍に相当する距離)だけ移動して退避位置に到達すると(図12の「ステップ4」)、左側から5行目から7行目の錠剤収容枡21が順に開放されて対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。
【0062】
以上のように、保持位置から退避位置へ移動する際に、3枚のシャッタ板が順次重なっていく。つまり、まず駆動シャッタ板34が従動シャッタ板35に重なり、この重なり状態を維持したままで、従動シャッタ板35が従動シャッタ板35’に重なる。
【0063】
駆動シャッタ板34が退避位置から保持位置に向けて移動すると、ばね81,81’によって付勢されている従動シャッタ板35,35’は駆動シャッタ板34に従動して退避位置から保持位置へ移動する。
【0064】
本実施形態では、2枚の従動シャッタ板35,35を設けて退避位置では3枚のシャッタ板(1枚の駆動シャッタ板34と2枚の従動シャッタ板35,35’)が重なるようにしているので、退避位置としてハウジング6内に確保する必要がある領域の平面視での面積をより効果的に縮小できる。
【0065】
第2実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。
【0066】
(第3実施形態)
図13から図15に示す本発明の第3実施形態に係る錠剤供給ユニット2の錠剤払出部23は、1枚の駆動シャッタ板34と2枚の従動シャッタ板35,35’を備える。駆動シャッタ板34は、移動方向Mの寸法を2行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(1個の錠剤収容枡21の行方向の幅Wの2倍に相当する長さに設定している)点を除いて第1実施形態のものと同様であり、駆動装置80によって移動方向Mに沿って往復移動する。一方の従動シャッタ板35は、移動方向Mの寸法を3行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(幅Wの3倍に相当する長さに設定している)。また、従動シャッタ板35は保持位置(図15の「ステップ1」)側、すなわち図において右側の端部から2行の錠剤収容枡21に相当する位置(幅Wの2倍に相当する位置)に係止片35を備えている。他方の従動シャッタ板35’は移動方向Mの寸法を2行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(幅Wの2倍に相当する長さに設定している)。また、従動シャッタ板35’は保持位置側の端部に係止片35’を備えている。従動シャッタ板35,35’はそれぞればね81,81’によって退避位置から保持位置に向かう向きに移動方向Mに沿って弾性的に付勢されている。従動シャッタ板35の下側に駆動シャッタ板34と従動シャッタ板35’が配置されている。
【0067】
保持位置(図15の「ステップ1」)では、7行の錠剤収容枡21のうち最も左側の行と2行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが駆動シャッタ板34の本体34aで閉鎖され、3行目から5行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが従動シャッタ板35の本体35aで閉鎖され、6行目と7行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが従動シャッタ板35’の本体35a’で閉鎖される。
【0068】
保持位置の駆動シャッタ板34が退避位置に向けて2行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの2倍に相当する距離)だけ移動すると(図15の「ステップ2」)、最も左側の行と2行目の錠剤収容枡21の下端開口21bが順に開放されて払出部材36の対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。また、この状態で、従動シャッタ板35の下側に駆動シャッタ板34が重なって係止片34cに係止片35cが図において左側から当たるので、従動シャッタ板35が駆動シャッタ板34と共に移動を開始する。
【0069】
図15の「ステップ2」の状態から、従動シャッタ板35と共に駆動シャッタ板34が1行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの1倍に相当する距離)だけ移動すると(図15の「ステップ3」)、左側から3行目の錠剤収容枡21が開放されて対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。また、この状態で、従動シャッタ板35’の上側に従動シャッタ板35が部分的に重なり、係止片35cが係止片35c’に図において左側から当たる。その結果、従動シャッタ板35’が駆動シャッタ板34と共に移動を開始する。
【0070】
図15の「ステップ3」の状態から、従動シャッタ板35,35’と共に駆動シャッタ板34が4行の錠剤収容枡21に相当する距離(幅Wの4倍に相当する距離)だけ移動して退避位置に到達すると(図15の「ステップ4」)、左側から4行目から7行目の錠剤収容枡21が順に開放されて対応する錠剤払出枡42に錠剤が落下する。
【0071】
以上のように、保持位置から退避位置へ移動する際に、3枚のシャッタ板が一つに集約された後にさらに退避位置へ移動する。つまり、まず駆動シャッタ板34が従動シャッタ板35に重なり、この重なり状態を維持したままで従動シャッタ板35が従動シャッタ板35’に部分的に重なる。
【0072】
駆動シャッタ板34が退避位置から保持位置に向けて移動すると、ばね81,81’によって付勢されている従動シャッタ板35,35’は駆動シャッタ板34に従動して退避位置から保持位置へ移動する。
【0073】
第3実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
図16に示す本発明の第4実施形態に係る錠剤供給ユニット2の錠剤払出部23は、駆動装置80で往復駆動される1枚の駆動シャッタ板34を備えるが、従動シャッタ板は備えていない。駆動シャッタ板34は、移動方向Mの寸法を7行分の錠剤収容枡21の下端開口21bを塞ぐことができるように設定している(1個の錠剤収容枡21の行方向の幅Wの7倍に相当する長さに設定している)点を除いて第1実施形態のものと同様である。
【0075】
保持位置では、最も左側の行から7行目までの錠剤収容枡21の下端開口21bが駆動シャッタ板34の本体34aによって閉鎖されている。駆動装置80によって駆動シャッタ板34が保持位置から退避位置へ移動方向Mに沿って移動するのに伴い、最も左側の行から7行目までの錠剤収容枡21の下端開口21bが順に開放されていく。
【0076】
第4実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる薬剤包装装置の外観を示す前面側から見た斜視図。
【図2】コントロールパネルの正面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる薬剤包装装置の構成を示すブロック図。
【図4A】シャッタが閉鎖された状態の錠剤供給ユニットの部分断面図。
【図4B】シャッタ開放中の錠剤供給ユニットの部分断面図。
【図4C】シャッタが開放された状態の錠剤供給ユニットの部分断面図。
【図5】第1実施形態における錠剤払出部の分解斜視図。
【図6】錠剤収容部を示す斜視図。
【図7】図5の部分拡大図。
【図8】錠剤供給ユニットの動作を説明するためのフローチャート。
【図9】包装ユニットを側面上方から見た斜視図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る錠剤ユニットの錠剤払出部の分解斜視図。
【図11】第2実施形態における錠剤払出部が備えるシャッタの斜視図。
【図12】第2実施形態における錠剤払出部のシャッタの動作を説明するための模式図。
【図13】本発明の第3実施形態に係る錠剤ユニットの錠剤払出部の分解斜視図。
【図14】第3実施形態における錠剤払出部が備えるシャッタの斜視図。
【図15】第3実施形態における錠剤払出部のシャッタの動作を説明するための模式図。
【図16】本発明の第4実施形態に係る錠剤ユニットの錠剤払出部の分解斜視図。
【符号の説明】
【0078】
1 薬剤包装装置
2 錠剤供給ユニット
3 散薬供給ユニット
4 包装ユニット
5 薬剤排出部
6 ハウジング
7 収容室
8 カバー
9 コントロールパネル
10 受け台部
21 錠剤収容枡
21a 上端開口
21b 下端開口
22 錠剤収容部
23 錠剤払出部
24a,24b 隔壁
25 封鎖カバー
26 保護カバー
27,28 カバーセンサ
27a,28a 磁性体
27b,28b センサ本体
29,30 センサ
34 駆動シャッタ板
34a 本体
34b ガイド突条
34c 係合片
35,35’ 従動シャッタ板
35a,35a’ 本体
35b,35b’ ガイド突条
35c,35c’ 係止片
36 払出部材
37 固定板
37a,37b,37c,37d 段
42 錠剤払出枡
43 底板
44 ピン
45 錘
60 保持フレーム
60a 正面側保持部
60b 側面側保持部
61 包装シート
62 ロール
63 シート供給部
65 展開ガイド
67 ホッパ
67a 導入口
68 ヒートシール部
69 印刷部
71 保持フレーム
80 駆動装置
81 ばね
82 駆動装置
100A,100B ピン機構
101,102 包数表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を1包分ずつ供給する錠剤供給部と、前記錠剤供給部から供給される前記錠剤を1包分ずつ包装する包装部とを備え、
前記錠剤供給部は、
隔壁によって互いに区切られ、上端開口と下端開口をそれぞれ有し、かつ前記上端開口から投入される1包分の前記錠剤をそれぞれ収容する複数の錠剤収容枡が少なくとも1つの並設方向に沿って設けられた錠剤収容部と、
前記錠剤収容部の下方に配置され、対応する前記錠剤収容枡から落下する前記錠剤をそれぞれ収容する複数の錠剤払出枡が設けられ、かつ前記錠剤払出枡毎に前記錠剤を取り出して前記包装部に送る払出部材と、
無開口状であり、前記錠剤収容部と前記払出部材との間に配置され、かつ前記錠剤収容枡の前記下端開口を閉鎖して上面に前記錠剤を保持する保持位置と、平面視で複数の前記錠剤収容枡のいずれからも離れて前記錠剤収容枡の前記下端開口を開放し、前記錠剤収容枡内の前記錠剤を対応する前記錠剤払出枡に前記下端開口を介して落下させる退避位置との間で、前記並設方向に移動可能である少なくとも1つのシャッタ部材と、
シャッタ部材を前記保持位置と前記退避位置との間で往復移動させるシャッタ駆動機構と
を備える、薬剤包装装置。
【請求項2】
前記シャッタ部材は、
前記シャッタ駆動機構によって駆動されて前記保持位置と前記退避位置との間で前記並設方向に往復移動する駆動シャッタ部材と、
前記駆動シャッタ部材に対して上側又は下側に位置し、かつ前記保持位置にあるときに平面視で前記駆動シャッタ部材に対して前記並設方向の前記退避位置側に位置し、前記保持位置から前記退避位置に向けて移動する途中の前記駆動シャッタ部材が上側又は下側に重なった状態で係合し、それによって前記駆動シャッタ部材と共に前記退避位置まで移動する、少なくとも一つの従動シャッタ部材と
を含む、請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記錠剤供給部は、前記従動シャッタ部材を前記退避位置から前記保持位置に向けて前記並設方向に弾性的に付勢する弾性付勢手段をさらに備える、請求項2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記シャッタ部材を1個のみ備える、請求項1に記載の薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−18335(P2010−18335A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182562(P2008−182562)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】