説明

薬剤包装装置

印刷手段5により包装紙7に所定の情報を印刷し、該包装紙7に薬剤供給手段2,3により薬剤を供給し、シール手段8によりシールを施して1包分ずつ包装する。シール手段8は、包装紙7を搬送する搬送部39を備える。印刷手段5からシール手段8に至る搬送経路の途中に、包装紙7に接触して該包装紙7の張力が一定値に維持されるように移動する移動手段12と、移動手段12の移動位置を検出する位置検出手段33とを設ける。そして、搬送部39により包装紙7を搬送し、位置検出手段33が移動手段12の所定の移動位置を検出した後、印刷手段5による印刷を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、薬剤包装装置に関するものである。
【背景技術】
従来、薬剤包装装置として、薬剤の包装紙に患者名、薬剤名、用法等を印刷する2つのプリンタヘッドを設け、このプリンタヘッド間に包装紙との接触により回転する検出ローラと、この検出ローラの回転量から包装紙の送り量を検出するエンコーダとを設け、該エンコーダの検出結果に基づいてプリンタヘッドを作動させ、包装紙に印刷をすることができるようにしたものがある(例えば、日本特許第2579010号公報参照)。
しかしながら、前記薬剤包装装置では、包装紙の送り量を検出するようにしているだけである。このため、印刷開始時、プリンタヘッドとその下流側のヒートシール部との間の包装紙に弛みがあると、印刷位置とヒートシール位置との間の寸法を所定値とすることができず、所望位置に印刷できないという問題がある。
【発明の開示】
そこで、本発明は、包装紙の所望位置に正確に印刷することのできる薬剤包装装置を提供することを課題とする。
本発明は、印刷手段により包装紙に所定の情報を印刷し、該包装紙に薬剤供給手段により薬剤を供給し、シール手段によりシールを施して1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シール手段は、包装紙を搬送する搬送部を備え、
前記印刷手段から前記シール手段に至る搬送経路の途中に、前記包装紙に接触して該包装紙の張力が一定値に維持されるように移動する移動手段と、
該移動手段の移動位置を検出する位置検出手段とを設け、
前記搬送部により包装紙を搬送し、前記位置検出手段が前記移動手段の所定の移動位置を検出した後、前記印刷手段による印刷を開始させるようにしたものである。
この構成により、移動手段の移動位置すなわち包装紙との接触位置と、印刷手段による印刷位置との間の寸法を所定値とすることができ、印刷位置に対するシール位置の位置ずれを防止することが可能となる。
前記移動手段は、回転及び移動自在なローラと、該ローラを移動させて前記包装紙を一定力で付勢して前記包装紙の弛みを解消する付勢手段とで構成すればよい。
また、前記ローラは、ガイドレールに沿って昇降する昇降台に取り付けられ、前記包装紙を押し上げるテンションローラであり、前記付勢手段は前記昇降台を上昇させる方向に付勢するスプリングであることが好ましい。
さらに、前記位置検出手段は、前記昇降台の降下位置を検出することが好ましい。
また、本発明は、印刷手段により包装紙に所定の情報を印刷し、該包装紙に薬剤供給手段により薬剤を供給し、シール手段によりシールを施して1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シール手段は、包装紙を搬送する搬送部を備え、
前記印刷手段から前記シール手段に至る搬送経路の途中に、前記包装紙に作用する張力を検出する張力検出手段を配設し、
前記搬送部により包装紙を搬送し、前記張力検出手段が前記包装紙の所定の張力を検出した後、前記印刷手段による印刷を開始させるようにしたものである。
この構成により、包装紙に弛みのない一定張力が作用した状態で、印刷手段による印刷を開始させることができ、印刷位置に対して常に一定位置でシールを行うことが可能となる。
本発明によれば、検出張力が予め設定した所定値となった後、搬送部による包装紙の搬送位置に基づいて、印刷手段による印刷を開始させるようにしたので、搬送位置と印刷位置との位置関係を常に一定寸法に維持することができ、所望位置に正確に印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施形態に係る薬剤包装装置の斜視図である。
図2は、図1の印刷ユニット及び包装ユニットを示す斜視図である。
図3は、図1の印刷ユニットの正面図である。
図4は、図3の部分拡大正面図である。
図5は、図4の拡大左側面図である。
図6は、図5のテンションローラ近傍の拡大図である。
図7は、(a)は図1の包装ユニットの平面図、(b)はその正面図である。
図8は、包装紙の搬送経路を示す概略説明図である。
図9は、包装ユニットの部分正面図である。
図10は、(a)は本実施形態における送りヒートシール部と縦ヒートシール部の接続部分付近の部分拡大図、(b)は従来のヒータローラにおける送りヒートシール部と縦ヒートシール部の接続部分付近の部分拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る薬剤包装装置を示す。この薬剤包装装置は、装置本体1の上方側に、本発明に係る薬剤供給手段である錠剤供給部2、及び、散薬供給部3を備え、下方側に、印刷ユニット5(印刷手段)、及び、包装ユニット8を備えている。
錠剤供給部2は、格子状に形成された各ボックス内に、予め、1包分の錠剤を手撒きにより収容し、順次、各ボックスの底板を開放することにより、包装ユニット8に供給するようにしたものである。
散薬供給部3は、ホッパー4を介して投入した散薬を図示しない分配皿の外周環状溝に供給し、散薬掻出装置(図示せず)により1包分ずつ掻き出して、順次、包装ユニット8に供給するようにしたものである。
印刷ユニット5は、図2乃至図4に示すように、ロール6に巻回した包装紙7を巻き戻し、患者名、薬剤名、用法等の印刷を施した後、包装ユニット8へと搬送するようにしたものである。包装紙7は、ガイド部9によって水平方向に方向変換され、その上面側で熱転写部(プリンタヘッド)10によってインクリボン11のインクを熱転写される。印刷された包装紙7は、テンションローラ12を通過し、第1ローラ13で上方に方向変換され、ガイド片14によってガイドされて上昇し、第2ローラ15で斜め下方に方向変換されて包装ユニット8へと向かう。
前記インクリボン11は、図3及び図4に示すように、第1ロール16に巻回されており、順次、巻き戻されて第2ロール17に巻回される。各ロール16,17は筒状で、周囲4箇所のガイド軸18の両端部に固定した保持プレート19に内筒16a,17bを保持され、インクカートリッジ20を構成する。下方側ガイド軸18から延びるアーム部21の先端には補助ローラ22が回転自在に取り付けられている。
前記インクカートリッジ20は、各ロール16,17の内筒16a,17aに側板23から突出する軸部24a,24bをそれぞれ挿通し、軸部24a,24bの先端にナット等を螺合することにより、側板23に取り付けられる。そして、軸部24bを図示しないモータ(インクリボン搬送部)を駆動して回転することにより、第1ロール16に巻回したインクリボン11を第2ロール17に巻き取ることが可能である。このとき、インクリボン11は、熱転写部10とガイド部9との間に位置決めし、付勢ローラ25によって弛みを除去する。付勢ローラ25は、支軸26aを中心として回動自在に設けたアーム部材26の先端に回転自在に設けられている。アーム部材26は、一端部を装置本体1側に取り付けた取付片43に係止したスプリング27によって支軸26aを中心として、図4中、時計回り方向に付勢されている。
前記テンションローラ12(本発明の移動手段)は、図5及び図6に示すように、昇降台28から延設される支持部29に回転自在に取り付けられている。昇降台28には、テンションローラ12の上方側に包装紙7が挿通する通路を構成するためのカバー30を設けられている。そして、昇降台28は、所定間隔で立設したガイドレール31に沿って昇降自在に設けられ、スプリング32によって上方に付勢されている。昇降台28は、内蔵したマグネット44を、側方に配置したセンサ33(本発明の位置検出手段)で検出されることにより、降下位置を特定される。また、昇降台28は、包装紙7を挿通しやすいように、係止凹部28aに側板23に設けた板バネからなる係止片45を係止することにより、最下位置に位置決めされる。
包装ユニット8は、前記印刷ユニット5で印刷した包装紙7を、2つ折り、あるいは、予め2つ折りにした状態で、本発明に係るシール手段であるシール部34にて、長手方向に所定間隔でシールし、形成された袋部に、前記錠剤供給部2又は前記散薬供給部3から供給される薬剤を包装ホッパー35を介して導入し、残る1辺をシールするようにしたものである。
前記シール部34は、斜め下方に向かう包装紙7に対応して傾斜した状態で取り付けられている。シール部34では、図7に示すように、装置本体1の側板23の背面側に設けたモータ37により直動ギア38a及び間欠ギア38bを介して一対の送りローラ39が間欠的に回転駆動する。これにより、送りローラ39間に挟持された包装紙7が間欠的に搬送される。
図9をさらに参照すると、送りローラ39に対して包装紙7の送り方向上流側に、一対のヒータローラ41,42と、ヒータローラ41,42に対して包装紙7をV字状に開いた状態で供給するための規制板50が配設されている。各ヒータローラ41,42は、円板状の送りヒートシール部51と、下端に前記送りヒートシール部51と同径のローラ部55が一体に形成された薄い矩形板状の縦ヒートシール部52とを備えている。送りヒートシール部51,51は、前記モータ37により、ギア40a,40b等を介して回転駆動される。ここでは、モータ37には、ステッピングモータを使用し、印加電圧のパルスを変更することにより搬送量を調整している。両ヒータローラ41,42の送りヒートシール部51,51間で包装紙7の両側縁部がシールされる。縦ヒートシール部52は送りヒートシール部51,51とは別の回転駆動機構により回転駆動される(ただし、送りヒートシール部51と縦ヒートシール部52の回転軸は一致している)。縦ヒートシール部52は互いに対向する一対のヒートシール面52aを備えている。両ヒータローラ41,42の縦ヒートシール部52は、前述の通り、送りヒートシール部51,51とは別駆動されるため、回転速度を変更することにより、ヒートシール面52a間で形成する包装紙7の搬送方向に沿うシール間隔を自由に設定することができる。
次に、図10(a)を参照して、縦ヒートシール部52の上端付近の構造について説明している。なお、送りヒートシール部51及び縦ヒートシール部52には包装紙7の送り方向に延びる細溝53が比較的狭い間隔で設けられている。縦ヒートシール部52の上端付近のヒートシール面52aには送りヒートシール部51に向けて円弧状に外向きに広がる拡径部52bが形成されている。また、この拡径部52bと送りヒートシール部51の端面との間には厚みの薄い円板状のヒートシール導入部54が設けられている。図10(b)を参照すると、従来のこの種のヒートローラ41’,42’では縦ヒートシール部52’のヒートシール面52a’の拡径部52b’が直接送りヒートシール部51’の端面に接していた。かかる図10(b)の構造であると、送りヒートシール部51’と縦ヒートシール部52’が接する部分付近で包装紙に作用する張力が不均一となり、送りヒートシール部51’と縦ヒートシール部52’に対して包装紙のずれが生じ、結果的にシール完了後の包装紙に皺が生じていた。これに対して、図10(a)のように拡径部52bと送りヒートシール部51の端面との間に円板状のヒートシール導入部54を設けたので、送りヒートシール部51と縦ヒートシール部52が接する部分付近で包装紙7に作用する張力が均一となり、円滑にヒータローラ41,42間に包装紙7を導入することができるので、前述の皺の発生を防止することができる。
次に、前記薬剤包装装置の動作を説明する。
包装処理を開始する前の状態であれば、包装ユニット8のヒータローラ41,42と、印刷ユニット5の熱転写部10との間で、包装紙7に弛みが発生していることがある。この弛みは、図8の2点鎖線で示すように、付勢されたテンションローラ12が上方に移動することによって解消される。この場合、シール部34と熱転写部10との距離が、解消された弛み量によって変化する。
そこで、まず、送りローラ39を回転駆動し、包装紙7を搬送する。これにより、包装紙7に作用する張力が増大し、これに伴ってテンションローラ12がスプリング32による付勢力に抗して降下する。そして、センサ33(図6参照)によりテンションローラ12が降下位置まで降下したことが検出されれば、熱転写部10を加熱して包装紙7への印刷を開始する。つまり、包装紙7に作用する張力を一定値として包装紙7への印刷を行うことができ、シール部34と熱転写部10との間に位置する包装紙7の寸法を常に同一とすることが可能となる。
続いて、所定の印刷を施された包装紙7が包装ユニット8へと搬送されれば、ヒータローラ41,42が回転することにより、2つ折り状態で搬送されて来た包装紙7をシールして袋状とする。そして、処方箋データに従って錠剤供給部2又は散薬供給部3から薬剤を供給し、包装ホッパー35を介して包装紙7へと導入する。その後、前記ヒータローラ41,42の回転を続行することにより、包装紙7の残る部分をシールして1包分の包装を完了する。
このように、前記薬剤包装装置によれば、包装処理を開始する際、必ず、テンションローラ12を降下させてセンサ33にて検出してから印刷を開始するようにしている。したがって、包装紙7に作用する張力を一定値とし、シール部34と熱転写部10との寸法を正確に一定寸法に維持することができ、所望の位置に確実に印刷することが可能となる。
なお、前記実施形態では、テンションローラ12を昇降可能な構成し、その位置を検出することにより、包装紙7の印刷位置とシール位置とを一定寸法に維持するように構成したが、例えば、包装紙7に作用する張力を検出する張力検出手段を設け、この張力検出手段で検出される張力が所定値となってから、熱転写部10による印刷を開始するようにしてもよい。張力検出手段としては、包装紙7に当接し、その張力の違いにより回動角度を変更するアーム等が挙げられるが、その構成については何等限定されるものではない。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷手段により包装紙に所定の情報を印刷し、該包装紙に薬剤供給手段により薬剤を供給し、シール手段によりシールを施して1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シール手段は、包装紙を搬送する搬送部を備え、
前記印刷手段から前記シール手段に至る搬送経路の途中に、前記包装紙に接触して該包装紙の張力が一定値に維持されるように移動する移動手段と、
該移動手段の移動位置を検出する位置検出手段とを設け、
前記搬送部により包装紙を搬送し、前記位置検出手段が前記移動手段の所定の移動位置を検出した後、前記印刷手段による印刷を開始させるようにしたことを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
前記移動手段は、回転及び移動自在なローラと、該ローラを移動させて前記包装紙を一定力で付勢して前記包装紙の弛みを解消する付勢手段とで構成したことを特徴とする請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記ローラは、ガイドレールに沿って昇降する昇降台に取り付けられ、前記包装紙を押し上げるテンションローラであり、前記付勢手段は前記昇降台を上昇させる方向に付勢するスプリングであることを特徴とする請求項2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、前記昇降台の降下位置を検出することを特徴とする請求項3に記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
印刷手段により包装紙に所定の情報を印刷し、該包装紙に薬剤供給手段により薬剤を供給し、シール手段によりシールを施して1包分ずつ包装するようにした薬剤包装装置において、
前記シール手段は、包装紙を搬送する搬送部を備え、
前記印刷手段から前記シール手段に至る搬送経路の途中に、前記包装紙に作用する張力を検出する張力検出手段を配設し、
前記搬送部により包装紙を搬送し、前記張力検出手段が前記包装紙の所定の張力を検出した後、前記印刷手段による印刷を開始させるようにしたことを特徴とする薬剤包装装置。

【国際公開番号】WO2004/089758
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505197(P2005−505197)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004250
【国際出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】