説明

薬剤収納容器およびこれを用いた包装体

【課題】嵩張らず、外観を自由に設計することができ、個別でも、複数個を繋げても使用できる薬剤収納容器を提供する。
【解決手段】気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器1であって、2つの収納部7a、7bとそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層9を有し、一方の収納部は背面側に凹部5を有し、他方の収納部は背面側に凸部6を有し、2つの収納部は接続部4によって接続されており、凹部および凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であり、凹部と凸部は相互に嵌合可能な形状であることを特徴とする薬剤収納容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防虫剤、芳香剤等の揮散性薬剤や、吸湿剤、悪臭吸着剤等の吸着性薬剤を収納するための容器およびこれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防虫剤等の揮散性薬剤を収納する容器としては、昇華性の薬剤の固形物や揮発性の薬剤を含浸した担体を収納する通気性のプラスチック容器が用いられている。従来、これらの目的に使用する容器としては、使い勝手を良くするためにさまざまな工夫を加えたものが提案されてはいるが、いずれも、通気性を持たせるために壁面をかご状の構造としたり、あるいは壁面に丸孔やスリット状の通気口を設けた箱構造の本体に、洋服箪笥のハンガーロッドに吊り下げるためのフックを設けたものが一般的である(特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3-40149号公報
【特許文献2】特開平9-172935号公報
【特許文献3】特開2001-197999号公報
【特許文献4】特開2003-250414号公報
【特許文献5】特開2008-30828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプラスチック製の箱構造の容器は、機能性を重視するあまり、いずれも嵩張ったり、無骨な形状であったりしてファッション性に欠けるものであり、少なくとも若い女性の感性に訴えるものではなかった。また1個1個が独立した形状であるので、例えば大きな洋服収納庫などで、複数個の防虫剤を使用する必要があるような場合には、ハンガーロッドに横に並べてぶら下げるために、無駄なスペースが必要となるという問題があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、嵩張らず、外観を自由に設計することができ、個別でも、複数個を繋げても使用できる薬剤収納容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器であって、2つの収納部とそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層を有し、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他方の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって接続されており、前記凹部および前記凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であり、前記凹部と前記凸部は相互に嵌合可能な形状であることを特徴とする薬剤収納容器である。
【0007】
また請求項2に記載の発明は、気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器であって、2つの収納部とそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層を有し、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他方の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって折り曲げ可能に接続されており、該接続部を折り曲げることにより前記凹部と前記凸部は嵌合可能であり、前記凹部および前記凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であることを特徴とする薬剤収納容器である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、前記凹部および凸部の形状が、垂直軸に対して30°傾いた軸に対しても線対称であることを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤収納容器である。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、前記2つの収納部のいずれかの収納部の前記接続部と対向する端部に吊り下げ用の孔またはフックを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤収納容器である。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、前記気体透過層が、表面に印刷層を有する穿孔フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤収納容器である。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、前記収納部を形成する容器本体が、気体を透過しない材質であり、前記気体透過層が、気体を透過しない材質の封止フィルムによって覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤収納容器である。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の薬剤収納容器に揮散性または吸着性の薬剤を収納したことを特徴とする包装体である。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤収納容器に揮散性または吸着性の薬剤を収納し、全体を、気体を透過しない袋に収納したことを特徴とする包装体である。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、薬剤収納容器の、2つの収納部に種類の異なる薬剤を収納したことを特徴とする請求項7に記載の包装体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る薬剤収納容器は、2つの収納部とそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層を有するので、気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器として利用できる。
【0016】
また、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他方の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって接続されており、前記凹部および前記凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であり、前記凹部と前記凸部は相互に嵌合可能な形状であるから、単体でも使用できるし、複数個を鎖状に連結して使用することもできる。
【0017】
また、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって折り曲げ可能に接続されており、接続部を折り曲げることにより前記凹部と前記凸部は嵌合可能である場合には、そのままの状態でも2つ折りにしてもいずれの状態でも使用することができる。
【0018】
凹部および凸部の形状が、垂直軸に対して30°傾いた軸に対しても線対称である場合には、複数の容器を繋げて使用する場合に、30°傾けて繋げることが可能となり、大きな輪のように繋げて使用することができる。
【0019】
2つの収納部のいずれかの収納部の接続部と対向する端部に吊り下げ用の孔またはフックを有する場合には、この孔にひもを通したりフックを利用して洋服ハンガーの首やハンガーロッド等に引っ掛けて使用することが容易に可能となる。
【0020】
気体透過層が、表面に印刷層を有する穿孔フィルムである場合には、自由な印刷表現により、意匠性の高い薬剤収納容器とすることが可能となる。
【0021】
収納部を形成する容器本体が、気体を透過しない材質であり、前記気体透過層が、気体を透過しない材質の封止フィルムによって覆われている場合には、使用前の保存あるいは販売の段階において、外包装が不要となるため、販売時に直接的なアピール効果が期待できる。
【0022】
薬剤収納容器の、2つの収納部に種類の異なる薬剤を収納した場合には、例えば防虫剤と芳香剤のように機能の異なる薬剤を組み合わせて使用することができるため、相乗効果により新しい機能を付加した製品を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係る薬剤収納容器の一実施態様を示した平面模式図である。
【図2】図2は、図1のAA断面を示した断面模式図である。
【図3】図3は、図2に示した薬剤収納容器に薬剤を収納した包装体の断面模式図である。
【図4】図4は、図3に示した包装体を接続部で折り曲げて凹部と凸部を嵌合させた状態を示した模式図である。
【図5】図5は、図4のBB断面を示した断面模式図である。
【図6】図6は、図3に示した包装体3個を接続部で折り曲げずに繋げた状態を示した模式図である。
【図7】図7は、本発明に係る薬剤収納容器の気体透過層と封止フィルムの一実施態様を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に従って、本発明に係る薬剤収納容器について詳細に説明する。図1は、本発明に係る薬剤収納容器の一実施態様を示した平面模式図であり、図2は、図1のAA断面を示した断面模式図である。
本発明に係る薬剤収納容器1は、2つの収納部7a、7bとそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層9を有し、一方の収納部7aは背面側に凹部5を有し、他の収納部7bは背面側に凸部6を有し、2つの収納部7a、7bは接続部4によって折り曲げ可能に接続されている。
【0025】
このように、本発明に係る薬剤収納容器1は、収納部7aを有し、背面側に凹部5を有する第1面2と、収納部7bを有し、背面側に凸部6を有する第2面3とが、接続部4によって接続された構造を有している。
【0026】
それぞれの収納部は、気体を透過する気体透過層9によって覆われているので、例えば収納部に収納する薬剤が防虫剤であれば、気化する防虫成分は、気体透過層9を透過して容器外に拡散する。また薬剤が吸湿剤であれば、容器外の水蒸気が気体透過層9を透過して、吸湿剤に吸収される。このように、ここでいう気体とは、少なくとも収納部に収納した薬剤が発散する気体あるいは、吸収しようとする気体である。またここでいう気体を透
過しないという意味は、あくまで実用的なレベルにおいて透過しないという意味であって、厳密な物理化学的なレベルにおいてではない。
【0027】
収納部に収納する薬剤としては、防虫剤、殺虫剤、防黴剤、殺菌剤、芳香剤等で、有効成分が気体として揮散する薬剤か、あるいは逆に吸湿剤、異臭吸着剤等、特定の気体を吸収する薬剤を収納することができる。
【0028】
接続部4を折り曲げることにより凹部5と凸部6は嵌合可能であり、凹部5および凸部6の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸23、24および水平軸21に対して対称な形状であることを特徴とする。これらの特徴を有するために、本発明に係る薬剤収納容器1は、図4、図5に示したように、接続部4を折り曲げて第1面2と第2面3とを背中合わせに嵌合させて単独で使用することもできるし、図6に示したように1つ目の容器の凸部に2つ目の容器の凹部を嵌合させ、2つ目の容器の凸部に3つ目の容器の凹部を嵌合させるといった具合に、複数の容器を鎖状に繋げて使用することもできるという特徴を有している。
【0029】
本発明に係る薬剤収納容器の形状としては、図1に示されたような6角形を基本とした形状に限らず、四角形、八角形等の正多角形や、菱形を基準とした形状や、円形、楕円形などの形状を用いることができる。
【0030】
図1、図2に示した実施態様においては、凹部5と凸部6を嵌合させた時に不用意に外れないように、係止突起8が設けられている。また第1面2の、接続部4と対向する端部に吊り下げ用孔15が設けられている。この薬剤収納容器1は、この孔にひもを通すなどして、吊り下げて使用することができる。図示しないが、吊り下げ用孔15の替りに、フックを設けて、引っ掛けるようにしても良い。
【0031】
図3は、図2に示した容器に薬剤を収納した包装体の断面模式図である。
本発明に係る薬剤収納容器は、2つの収納部を有するので、それぞれの収納部に薬剤13と薬剤14を独立して収納することができる。薬剤13と薬剤14は、同一の種類の薬剤でも勿論良いが、異なる薬剤とすることもできる。異なる薬剤の組み合わせは任意であり、例えば防虫剤と芳香剤、防虫剤と乾燥剤、乾燥剤と異臭吸着剤といったように、さまざまな組み合わせによって、新しい機能を付加することができる。ただし、相反する機能をもった薬剤の組み合わせや、マイナスの相乗効果を生じるような組み合わせは、避けるべきである。
【0032】
図3に示した実施態様においては、気体透過層9の外側が封止フィルム10によって覆われている。封止フィルム10を、気体を透過しない材質とすることにより、薬剤を収納した包装体の保存性を高めることができる。収納部を形成する容器本体の材質を気体を透過しない材質とした場合には、使用前の未開封の状態の包装体は、そのままでも保存性を発揮するので、気体を透過しない材質によって作られた外袋等に収納する必要がなくなる。
【0033】
薬剤収納容器の気体透過層9が、封止フィルム10によって覆われていない場合や、容器本体の材質が、気体を透過するような材質である場合には、未使用の包装体は、気体を透過しない材質によって作られた外袋等に収納して保存する必要がある。
【0034】
図4は、図3に示した包装体を接続部4で折り曲げて凹部5と凸部6を嵌合させた状態を示した模式図であり、図5は、図4のBB断面を示した断面模式図である。
図4は、2つに折り曲げて重ねた包装体を第2面3の正面から見た状態を示している。気体透過層9の表面には、花の図柄が印刷されており、気体透過層9は、透明な封止フィル
ム10によって覆われている。2つの収納部は、重なった状態であるため、後側の第1面2は、吊り下げ用孔15の設けられた端部がわずかに見えるだけである。
【0035】
図5に示したように、第1面2と第2面3とは、それぞれの凹部と凸部が嵌合して、背中合わせになっており、それぞれの収納部には、薬剤13と薬剤14が収納されている。それぞれの収納部は、気体透過層9によって覆われており、さらに封止フィルム10によって覆われて密閉されている。
【0036】
図6は、既に説明したように、図3に示した包装体3個を接続部4を折り曲げずに繋げた状態を示した模式図である。3個のうち2個は、正面を向いているが、1個は、裏面を向いているので、接続部4しか見ることができない。図6では、気体透過層9を覆っていた封止フィルム10を除去して、使用段階に入った状態を示している。このように本発明に係る薬剤収納容器は、設置する空間の大きさに応じて必要な個数をいくつでも繋げて使用することができるという特徴を有している。
【0037】
この実施態様においては、凹部5および凸部6の形状が6角形を基本としたものであり、垂直軸に対して30°傾いた軸に対しても線対称であるから、2つの容器を繋げる際に、30°ないしは60°傾けて繋げることができる。このためこの実施態様の容器は、環状に繋げたり、さまざまな形状に繋げて使用することが可能である。
【0038】
図7は、本発明に係る薬剤収納容器の気体透過層9と封止フィルム10の一実施態様を示した断面模式図である。
図7に示した実施態様においては、気体透過層9の表面に印刷層11が設けられており、印刷層11の表面を封止フィルム10が覆い、封止フィルム10には、さらに注意書12が印刷されている。注意書12の内容は、使用時に封止フィルムを剥離除去する旨の記載等である。気体透過層9が透明なフィルムである場合には、印刷層11を気体透過層9の裏面に設けても良い。封止フィルム10が透明な材質である場合には、同様にして注意書12を封止フィルム10の裏面に設けても良い。
【0039】
本発明に係る薬剤収納容器の容器本体は、熱可塑性樹脂シートを真空成形法や真空圧空成形法によって成形して作製することができる。真空成形法や真空圧空成形法は、複数の層を持った肉薄の容器を作製するのに適した方法であり、本発明に係る収納容器を作製する方法としては好適に使用できる。しかし本発明に係る薬剤収納容器は、熱可塑性樹脂を射出成形法によって成形して作製することもできる。どのような方法を採用するかは、目的とする容器の形状や大きさや要求品質によって決定される。
【0040】
容器本体の材質としては、収納する薬剤が揮散性の薬剤である場合には、揮散成分に対して耐性を有するものである必要がある。一般的な材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等が挙げられる。
【0041】
これらの材質は、適宜組み合わせて使用することもできる。一例としては、非晶性PET樹脂(APET)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂またはPP樹脂/接着剤/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂の積層シートなどである。
【0042】
気体透過層9の材質としては、揮散成分の気体あるいは吸収しようとする気体に対して耐性を有することは、容器本体と同様であり、収納する薬剤に応じて適宜選択される。気体透過層9としては、紙、不織布、布のように、無数の微細孔を有する素材の他、フィルムに細孔を穿孔した穿孔フィルムが使用できる。穿孔フィルムの場合には、穿孔加工に先
立って、表面に精密な印刷を施すことができる。
【0043】
気体透過層9に用いられるフィルムの材質としては、PP、PEなどのポリオレフィン系樹脂、またはその共重合体樹脂の未延伸フィルムを使用することができる。具体的には、LDPE樹脂、LLDPE樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、アイオノマー樹脂、PP樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMMA)樹脂などの未延伸フィルムを使用することができる。
【0044】
気体透過層9に用いるフィルムには、小孔、細孔、スリットなどの通気孔を設けることなく、気化した物質がフィルムを透過する素材を用いても良く、例えば直鎖型低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂等のフィルムを用いることができる。
【0045】
気体透過層9を容器本体の収納部7周辺のフランジ部分に接着させる方法としては、熱融着法が好適に使用できる。熱融着法としては、ヒートシール方式や超音波シール方式が用いられる。
【0046】
封止フィルム10としては、気体を透過しない材質であり、対象となる気体に対して耐性を有するものであることが必要である。封止フィルム10の材質としては、容器本体に用いた材質と同様の熱可塑性樹脂の他、アルミニウム箔や無機化合物蒸着フィルム等のガスバリア性の素材を単独または組み合わせて使用することができる。
【0047】
封止フィルム10は、気体透過層9に対して、剥離可能に接着しても良いし、別個の層として、周縁部だけシールして気体透過層9を覆っても良い。
以下実施例に基づき、本発明に係る薬剤収納容器について、具体的に説明する。
【実施例1】
【0048】
縦78mm、横169mm、厚さ0.5mmのPETシートを図1、2に示した薬剤収納容器1の形状を有する金形に合せ、真空成形法により薬剤収納容器の第1面と第2面が一端同士で繋がった、2連結の薬剤収納容器のブランクを作製した。薬剤収納容器の背面側には、第1面の内側面と第2面の外側面のそれぞれに係止突起8を設け、第1面と第2面の2つの容器を合せたときに嵌合するように構成した。
【0049】
次に、直径45mm、厚さ2mmの円形のパルプ紙にエンペントリンを900mg含浸させることによって、薬剤を保持させた担体を作製した。また気体透過層9として、無延伸ポリプロピレン(CPP)/接着剤/ポリエチレン(PE)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる積層シートに印刷を施し、さらに小孔を穿孔したシートを準備した。また封止フィルム10として、PET/接着剤/アルミニウム箔からなる積層シートを準備した。
【0050】
上記担体を上記薬剤収納容器のブランクの第1面と第2面の表面側の収納部に収納し、その上面に気体透過層9、封止フィルム10を順次積層し溶着した後、所定の形状に型抜きを行い、図1、3に示されるような薬剤収納容器を用いた包装体を得た。
【0051】
この包装体は、封止フィルムを除去することにより、衣類の防虫剤としての機能を長期間に亘って発揮し、デザイン的にも衣類収納ケースに掛けても違和感のないものであり、単体としてもまた繋げて鎖状としても使用でき、使い勝手の良い防虫剤となった。
【符号の説明】
【0052】
1・・・薬剤収納容器
2・・・第1面
3・・・第2面
4・・・接続部
5・・・凹部
6・・・凸部
7a、7b・・・収納部
8・・・係止突起
9・・・気体透過層
10・・・封止フィルム
11・・・印刷層
12・・・注意書
13、14・・・薬剤
15・・・吊り下げ用孔
21・・・水平軸
22、23・・・垂直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器であって、2つの収納部とそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層を有し、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他方の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって接続されており、前記凹部および前記凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であり、前記凹部と前記凸部は相互に嵌合可能な形状であることを特徴とする薬剤収納容器。
【請求項2】
気体揮散性または気体吸着性の薬剤を収納する容器であって、2つの収納部とそれぞれの収納部を覆い、気体を透過する気体透過層を有し、一方の収納部は背面側に凹部を有し、他方の収納部は背面側に凸部を有し、2つの収納部は接続部によって折り曲げ可能に接続されており、該接続部を折り曲げることにより前記凹部と前記凸部は嵌合可能であり、前記凹部および前記凸部の形状は、正面から見てそれぞれの垂直軸および水平軸に対して線対称な形状であることを特徴とする薬剤収納容器。
【請求項3】
前記凹部および凸部の形状は、垂直軸に対して30°傾いた軸に対しても線対称であることを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤収納容器。
【請求項4】
前記2つの収納部のいずれかの収納部の前記接続部と対向する端部に吊り下げ用の孔またはフックを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤収納容器。
【請求項5】
前記気体透過層は、表面に印刷層を有する穿孔フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤収納容器。
【請求項6】
前記収納部を形成する容器本体は、気体を透過しない材質であり、前記気体透過層は、気体を透過しない材質の封止フィルムによって覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤収納容器。
【請求項7】
請求項6に記載の薬剤収納容器に揮散性または吸着性の薬剤を収納したことを特徴とする包装体。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤収納容器に揮散性または吸着性の薬剤を収納し、全体を、気体を透過しない袋に収納したことを特徴とする包装体。
【請求項9】
薬剤収納容器の、2つの収納部に種類の異なる薬剤を収納したことを特徴とする請求項7に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−25941(P2011−25941A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171138(P2009−171138)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】