説明

薬剤払出装置

【課題】ブリスター包装体の収容量を多くし、ブリスター包装体がたとえ湾曲していたとしてもスムーズに払い出す。
【解決手段】装置本体1と、ブリスター包装体4を重ねた状態で収容される収容容器2と、収容したブリスター包装体4を払い出させる払出部材3とを備える。収容容器2は、一端側底面に形成される、ブリスター包装体4を取り出すための取出口13と、収容したブリスター包装体4を一端側に向かって付勢する付勢手段12とを備える。払出部材3は、ブリスター包装体4の側縁部をガイドするガイド部36を備え、ブリスター包装体4を収容容器2の一端側に向かって付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブリスター包装体を払い出すための薬剤払出装置として、グリップユニットによりブリスター包装体を搬送し、カッター機構により切断して必要量の包装シートを取り出すことができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ブリスター包装体を払い出すための他の薬剤払出装置として、薬剤カセット内に収容されたブリスター包装体を、吸着部材により吸着して取り出すことができるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、ブリスター包装体を払い出すための他の薬剤払出装置として、逆鉤状の作用部を備えた引掛部材を無端ベルトによって先送りすることにより、積層されたPTP包装剤の最下部に位置するものの後端に作用部を引っ掛けて排出できるようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された薬剤払出装置では、ブリスター包装体の端数のみならず、1枚全体を取り出す場合であっても、グリップユニットを使用しており、取出効率が悪いという問題がある。また、ブリスター包装体が上下方向に積層されるので、高さ方向の占有スペースが増大し、収容する量及び種類が制約されるという問題もある。
【0006】
特許文献2に記載された薬剤払出装置では、ブリスター包装体の端数を払い出すことはできない。
【0007】
また、ブリスター包装体は複数個が輪ゴム等で束ねられた状態で納品されるため、湾曲することがあるが、前記いずれの特許文献に記載された薬剤払出装置であっても、湾曲したブリスター包装体を適切に払い出すための構成を備えていない。
【0008】
さらに、特許文献3に記載された薬剤払出装置では、ブリスター包装体は上下方向に積層させた状態で収容されている。このため、前記特許文献1と同様に、高さ方向の占有スペースが増大し、収容する量及び種類が制約されるという問題がある。また、ブリスター包装体をその長手方向に排出する構造を採用しているため、排出時間がかかるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2818759号公報
【特許文献2】特開2006−109859号公報
【特許文献3】特開2009−297466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、ブリスター包装体の収容量を多くし、ブリスター包装体がたとえ湾曲していたとしてもスムーズに払い出すことのできる薬剤払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
薬剤払出装置を、
装置本体と、
薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体が重ねた状態で収容される収容容器と、
前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、
を備えた構成とし、
前記収容容器は、一端側に形成される、ブリスター包装体を取り出すための取出口と、収容したブリスター包装体を前記取出口に向かって付勢する付勢手段と、を備え、
前記払出部材は、ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイド部を備え、該ガイド部を介して前記ブリスター包装体を前記収容容器の一端側に向かって付勢可能としたものである。
【0012】
この構成により、真っ直ぐなブリスター包装体は勿論のこと、先頭に位置する、湾曲したブリスター包装体であっても、その側縁部を払出部材のガイド部によってガイドすることができ、しかもこのブリスター包装体を収容容器の一端側に向かって付勢することが可能である。したがって、前記払出部材により、ブリスター包装体をその変形度合いの違いに拘わらず、取出口を介してスムーズに払い出すことが可能となる。
【0013】
前記払出部材は、前記ブリスター包装体を前記収容容器の一端側に向かって付勢可能な弾性片を備え、該弾性片の先端部に、前記ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイド部を備えるのが好ましい。
【0014】
この構成により、先端部にガイド部を備えた弾性片という簡単かつ安価なものとすることができる。弾性片自身がブリスター包装体に対して付勢力を作用させるので、別途、付勢手段を設ける必要もない。なお、ガイド部は、例えば、弾性片の先端部分の一部を切り起こすだけで形成することができ、加工も非常に簡単である。
【0015】
前記付勢手段は、前記ブリスター包装体に当接して前記収容容器の一端側に向かって押圧し、かつ、前記ブリスター包装体の押圧方向とは直交する方向への位置ずれを抑制する押出パッドを備えるのが好ましい。
【0016】
この構成により、収容容器内のブリスター包装体を安定した状態で一端側に向かって押圧することができる。特に、残留するブリスター包装体が2枚となった場合であっても、先頭のブリスター包装体を払い出す際に一緒に最後のブリスター包装体が払い出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0017】
前記収容容器は、前記付勢手段によって付勢されるブリスター包装体の側縁部をガイドし、前記ブリスター包装体の前記払出方向の位置を規制する押え片を備えるのが好ましい。
【0018】
この構成により、収容容器内のブリスター包装体を、順次、一端側へと移動させる際、位置ずれを修正しつつ取出口へと向かわせることができるので、その後の払出動作をスムーズに行わせることが可能となる。
【0019】
前記収容容器は、一端側に向かって押圧されたブリスター包装体に対し、前記取出口が押圧方向とは直交する方向に形成され、前記取出口の近傍に、前記ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイドプレートを備え、
前記ガイドプレートは、前記ブリスター包装体を押圧方向に向かうに従って徐々に前記取出口とは反対方向にガイド位置を変更させる湾曲部と、該湾曲部に連続し、前記取出口側に向かって傾斜する傾斜部とを備えるのが好ましい。
【0020】
この構成により、湾曲部で隣接ブリスター包装体の押圧方向に直交する方向への位置をずらせ、さらに傾斜部で先頭のブリスター包装体のみを分離して取出口へと向かわせることができる。このため、先頭のブリスター包装体のみをスムーズに取出口から払い出すことが可能となる。
【0021】
戦記収容容器は、前記付勢手段による付勢方向に位置する一端側の内端面に、前記ブリスター包装体の湾曲形状に対して干渉を回避する方向に窪んだ湾曲面を備えるのが好ましい。
【0022】
この構成により、ブリスター包装体が大きく湾曲していたとしても、湾曲面の存在により、ブリスター包装体の側縁部の位置を払出部材のガイド部によってガイド可能な位置に修正することができる。
【0023】
前記収容容器は、前記付勢手段による付勢方向の先頭に位置するブリスター包装体を、前記払出部材による払出方向とは反対方向に向かって移動させるガイド面を備えるのが好ましい。
【0024】
この構成により、先頭のブリスター包装体のみを、それに続く他のブリスター包装体と確実に分離することができる。したがって、払出部材による払出動作をスムーズに行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、払出部材にガイド部を設け、ブリスター包装体の側縁部をガイドすると共に、ブリスター包装体を収容容器の一端側に向かって付勢するようにしたので、ブリスター包装体が湾曲しているか否かに拘わらず、確実に払い出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る薬剤払出装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1から外装パネルを除去した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のカセット装着部に装着されるカセットの斜視図である。
【図4】図3から開閉扉を端数払出位置に回動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図4を異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
【図6】図4の開閉扉側の拡大斜視図である。
【図7】図4の開閉扉及び把持部材を示す部分斜視図である。
【図8】図4の開閉扉を開閉させるための駆動機構を示す斜視図である。
【図9】図1の払出部材のうち、支持板に取り付けた把持部材、切断部材、及び、回収部材を示す斜視図である。
【図10】図1の払出部材のうち、支持板に取り付けた把持部材、第1払出部材、及び、第2払出部材を示す斜視図である。
【図11】図10の第2払出部材の押下部を示す正面図である。
【図12】図11の押下部によりカセットから真っ直ぐな端数用ブリスター包装体を払い出す払出動作を示す概略側面図である。
【図13】図11の押下部によりカセットから湾曲した端数用ブリスター包装体を払い出す払出動作を示す概略側面図である。
【図14】図9に示す切断部材による端数の切断方法の一例を示す説明図である。
【図15】本実施形態に係る薬剤払出装置のブロック図である。
【図16】本実施形態に係る薬剤払出装置の制御部材による薬剤の払出処理を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態に係る薬剤払出装置の制御部材による薬剤の払出処理を示すフローチャートである。
【図18】図11の押下部によりカセットから一度に2枚のブリスター包装体を払い出す払出動作を示す概略側面図である。
【図19】他の実施形態に係る薬剤払出装置の払出部材による払出状態を示す概略説明図である。
【図20】第6の実施形態に係るカセット及び押下部を示す斜視図である。
【図21】図20から開閉扉を90°回転させた状態を示す斜視図である。
【図22】図21のカセットの先頭部分を異なる角度から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図23】図22の押出部材を示す斜視図である。
【図24】図22からカセットの一部を除去した状態を示す斜視図である。
【図25】図21のカセットの先頭部分の拡大斜視図である。
【図26】図21のカセットの先頭部分の拡大側面図である。
【図27】図20の押下部を示す拡大一部分解斜視図である。
【図28】図20の押下部を反対側から見た状態を示す斜視図である。
【図29】図27の押下部のローラ部を示す一部分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
(1.構成)
図1は、本実施形態に係る薬剤払出装置の概略斜視図、図2は、外装パネル6を取り外した状態を示す図である。この薬剤払出装置は、装置本体1に、収容容器である複数のカセット2を格子状に隙間なく装着し、払出部材3により各カセット2から複数の薬剤が包装されたブリスター包装体4(図12参照)を順次払い出すように構成されている。そして、一連のブリスター包装体4の払出処理は、図示しないホストコンピュータ等から入力される処方データに基づいて制御部材100(図15参照)にて実行される。
【0029】
(1−1.装置本体1)
装置本体1は、図1及び図2に示すように、枠体5の周囲に外装パネル6を取り付けて略直方体形状としたもので、下方領域には、図示しないトレイを搬送するための搬送装置7が設けられ、背面側半部の上方領域はカセット装着部8となっている。ここでは、搬送装置7として、ローラコンベアが使用されているが、ベルトコンベア、プッシャー等、種々の搬送手段を使用することができる。カセット装着部8は、左右方向に所定間隔で配置した支持パネルの対向面8aに取付部材8bを設けたもので、この取付部材8bにカセット2を挿入して装着できるように構成されている。
【0030】
(1−2.カセット2)
カセット2は、図3から図6に示すように、上面が開口する略直方体形状のカセット本体9と、このカセット本体9の前面に配置される開閉扉10とを備える。
【0031】
カセット本体9の底面には、図3に示すように、ガイド溝11が形成されている。カセット本体9内には、ガイド溝11に沿って押出部材12が往復移動可能に配置されている。また、押出部材12は、図示しない定加重バネ(コンストン)によって、その位置の違いに拘わらず、カセット本体9内に収容したブリスター包装体4を開閉扉10側に向かって一定荷重で付勢可能となっている。
【0032】
また、カセット本体9の底面前端部には、図5に示すように、先頭のブリスター包装体4を取出可能とする取出口13が形成されている。取出口13は、底面前端部の中央に回動可能に設けた閉鎖片(図示せず)によってその一部が閉鎖され、先頭のブリスター包装体4の落下が防止されている。閉鎖片はスプリング(図示せず)によって閉鎖方向に付勢されている。
【0033】
カセット本体9の前板9aには、図5に示すように、内面側中央部に上下に延びる凹所14が形成されている。この凹所14は、後述するように、先頭のブリスター包装体4を取り出す際に押下部30を移動可能とするための逃がしである。
【0034】
また、カセット本体9の前板9aには、図12(a)に示すように、内面側両側部(図5に示す凹所14の両側)に、上下方向の中央部で最も前方側に向かって窪んだ湾曲面9bを形成するのが好ましい。この構成により、カセット本体9内に収容されたブリスター包装体4が、たとえ湾曲していたとしても、湾曲面9bによって前板9aとの当接位置を前方側とすることができる。つまり、ブリスター包装体4が湾曲している場合であっても、その上縁の位置をあまり前板9aから離れることのないように修正することができる。したがって、湾曲したブリスター包装体4であっても、後述する払出部材3の押下部30によりスムーズに押し下げることが可能となる。
【0035】
カセット本体9の底面には、図12(a)に示すように、前方部両側(幅方向の2箇所)にガイドプレート48を設けるのが好ましい。ガイドプレート48は、前記前板9aに向かって徐々に上方側に突出する第1湾曲面49aを備えている。また、第1湾曲部49aから先端部分には凸状に形成された第2湾曲面49b(案内面)が設けられている。第2湾曲面49bは、そこを摺接するブリスター包装体4を取出口13に導くと共に、このブリスター包装体4が短手方向に湾曲していれば、真っ直ぐとなるような方向に力を作用させる。ガイドプレート48は、幅方向(図12(a)中、紙面に垂直な方向)に位置を調整可能になっている。これにより、ガイドプレート48をブリスター包装体4の薬剤を収容する複数のポケット部の間に位置決めすることができる。また、ガイドプレート48は、前板9aとの間にブリスター包装体4のシート部(後述するようにカバーフィルムを貼着した平坦な部分)が1枚だけ通過可能な僅かな隙間を設けて取り付けられている。これにより、取出口13の近傍に位置するブリスター包装体4の下縁部を確実に支持でき、ブリスター包装体4が重なって払い出されたり、詰りが発生したりすることが防止される。また、前記閉鎖片等も不要とすることが可能となる。
【0036】
カセット本体9の両側面は、図4に示すように、前面からさらに前方へと突出するガイド面部9cを有する。各ガイド面部9cには、対向位置に係止孔9dがそれぞれ形成され、開閉扉10の凹部10aに取り付けた係止突部(図示せず)がそれぞれ係脱可能となっている。そして、開閉扉10を閉鎖位置に回動させると、係止孔9dに係止突部(図示せず)が係止し、開閉扉10を閉鎖位置に位置決め可能である。また、一方のガイド面部9cにはガイド孔9eが形成され、後述する駆動機構37のガイドピン46が係脱可能となっている。
【0037】
カセット本体9には、図12(a)に示すように、ブリスター包装体4(PTP(Press Through Package)シート)が複数枚積層されて横向きに収容されている。ブリスター包装体4は、詳細については図示しないが、薬剤を収容する複数のポケット部を備え、このポケット部を塞ぐようにカバーフィルムを貼着した構成である。ブリスター包装体4の積層方向は、カバーフィルム側がカセット本体9の前方側に向かう方向としている。
【0038】
開閉扉10は、図6に示すように、カセット本体9の前面下端に、支軸10aを中心として回動可能に取り付けられている。開閉扉10は、支軸10aに回動可能に取り付けた軸受部15と、この軸受部15から延びる前面部16と、この前面部16の前端縁から直角方向に突出するガイド受部17とからなる。
【0039】
軸受部15は、その一端側に、後述する払出部材3の回動ピン43が係脱する操作孔15aが形成された端面15bが一体化されている。前面部16は平板状で、その一方の側縁中央部には切欠部18が形成されている。この切欠部18を利用して、後述する把持部材24によりブリスター包装体4の端数を把持することが可能となっている。ガイド受部17は、ブリスター包装体4の端数(残余)の側縁部(下縁部)が当接して位置決めされる基準面17aを有する。ガイド受部17のU字形に折り曲げられた先端縁は断面円形に形成され、その両端部には凹部10aがそれぞれ形成され、そこには、開閉扉10を閉鎖位置に位置させた際に、前記ガイド面9aの係止孔9bに係止される係止突部(図示せず)が設けられている。
【0040】
開閉扉10は、操作孔15aに払出部材3の回動ピン43を係合させてカセット本体9の前端側に回動した通常払出位置(図3)と、この閉鎖位置から180度回動した端数払出位置(図4)とに位置決め可能となっている。開閉扉10が端数払出位置に回動した際、基準面17aにブリスター包装体4の下縁を当接させることにより、基準面17aに対してブリスター包装体4が位置決めされるようにしている。
【0041】
支軸10aには保持片19が回動可能に取り付けられている。
保持片19は、支軸10aに取り付けたコイルスプリング(図示せず)によって前面部16側(図6中、矢印a方向で示す。)に付勢されている。これにより、前面部16と保持片19の間に、ブリスター包装体4を挟み込んで保持することが可能となっている。保持片19には、一端側下端部に磁性材料からなる被吸引部20が一体化されている。そして、被吸引部20が後述する磁石52(図7参照)によって吸引されると、保持片19が前面部16に対してほぼ平行となるように、図6中、矢印b方向に回動し、ブリスター包装体4の保持状態が解除されるようになっている。このとき、ブリスター包装体4がその下縁部を基準面17aに当接させることにより上下方向に位置決めされる。
【0042】
また、前記カセットの前面には、図示しないが、磁性部及び発光部が設けられている。この磁性部は、カセット装着部8からカセット2を引き出す際、後述する支持板21側に設けた電磁石部(図示せず)に吸引される。発光部には、装置本体1側に設けたLED(図示せず)からの光が照射されるようになっている。LEDにより発光部を照射するのは、例えば、薬品の欠品や異常を報知する場合である。これによれば、カセット2側には電気部品や配線を不要とすることができ、構成を簡略化して安価に製作することが可能となる。
【0043】
(1−3.払出部材3)
払出部材3は、図8から図10に示すように、支持板21に、第1払出部材22、第2払出部材23、把持部材24、切断部材25、及び、回収部材26を設けたものである。支持板21は、図2に示すように、装置本体1の前面左右に配置した垂直レール27に対して昇降可能な水平レール28に往復移動可能に設けられている。
【0044】
第1払出部材22は、図10に示すように、モータ22aの回転軸に設けたギア22bにラック29を噛合させ、モータ39を正逆回転駆動することにより、ラック29に腕部31を介して一体化した押下部30を昇降させるようにしたものである。
【0045】
押下部30は、ラック29から水平方向に延びる腕部31の先端に上端部をネジ止めされて下方に向かって延びている。押下部30は、図11及び図12に示すように、前面板32の背面に背面部33が一体化されている。前面板32と背面部33との間には隙間が形成され、その両側上方部には弾性片34がそれぞれ固定されている。背面部33は、両側部の下端位置が前面板32の下端位置よりも上方に位置し、そこには弾性片34の下端部が露出している。弾性片34は、固定位置から下方に向かうに従って徐々に背面部33側へと傾斜する直線部34aと、背面部33から下方側に露出した部分で前面板32側へと湾曲する湾曲部34bとで構成されている。湾曲部34bからは係止片35が突出している。係止片35は、弾性片34の一部を切り起こすことにより形成してもよいし、別途小片を接着等で一体化することにより形成してもよい。そして、湾曲部34bと係止片35とでガイド部36が構成されている。ガイド部36は、後述するように、ブリスター包装体4の湾曲状態の如何に拘わらず、確実にその上端縁部をガイドし、押し下げることができるようにするためのものである。特に、ブリスター包装体4の側縁部が弾性片34側に湾曲するように変形している場合には、ブリスター包装体4が弾性片34に付勢されて変形を抑制するようにして押下することができる。また、湾曲部34bからの係止片35の突出寸法は、ブリスター包装体4のシート部の厚み分とほぼ同じとするのが好ましい。これにより、前述のように押し下げようとするブリスター包装体4が湾曲し、隣接する次のブリスター包装体4に接近することになったとしても、係止片35がこのブリスター包装体4と干渉することがない。このように、前記押下部30の構成によれば、ブリスター包装体4の押下動作をスムーズに行わせることが可能となる。
なお、前記弾性片34は2つ設けるようにしたが1つで構成することも可能である。
【0046】
第2払出部材23は、図8に示すように、電磁石部(図示せず)及び駆動機構37を備える。
【0047】
電磁石部は、通電により励磁し、前進位置で、カセット2の磁性部を吸引し、後退することによりカセット装着部8からカセット2を薬品取出位置に引き出すためのものである。
【0048】
駆動機構37は、断面略L字形の取付プレート38に設けたモータ39の駆動力をギアを介して回動ピン43に伝達するように構成され、カセット2のサイズに応じて幅方向にスライド移動可能となっている。ここでは、サイズの異なる3種類のカセット2に対応して3箇所のガイド位置と、1箇所の退避位置とに位置決めすることができるようになっている。
【0049】
駆動機構37の詳細は次の通りである。
すなわち、モータ39の回転軸には駆動ギア40が設けられ、この駆動ギア40には中間ギア41が噛合し、この中間ギア41には従動ギア42が噛合している。従動ギア42の端面には回動ピン43を有する従動プレート44が一体化されている。回動ピン43は、その先端部分を開閉扉10の軸受部15に形成した操作孔15aに係脱可能となっている。また、取付プレート38には、カセット本体9のガイド孔9eに位置決めされるガイドピン46が一体化されている。ガイドピン46の先端は円錐状に形成され、ガイド孔9eへの侵入を容易としている。ガイドピン46をガイド孔9eに位置させ、回動ピン43を操作孔45内に位置させた状態で、モータ39を正逆回転駆動すると、ギアを介して従動プレート44すなわち回動ピン43が回動する。これにより、開閉扉10はガイドピン46によって位置決めされた状態で、支軸10aを中心として、通常払出位置及び端数払出位置にそれぞれ回動する。なお、モータ39から従動プレート44に至るまでの動力伝達経路のいずれかに(例えば、従動ギア42の回転軸に)トルクリミッター等を設けるようにするのが好ましい。これにより、駆動機構37により開閉扉10を閉鎖位置に回動させる際、カセット本体9側に必要以上の負荷が作用せず、損傷することを防止することができる。
【0050】
把持部材24は、図7及び図10に示すように、一対の把持片47を備える。把持片47は、支持板21の前方部に水平方向に往復移動可能に設けられている。そして、モータ24aの駆動力が、その回転軸に設けたピニオン(図示せず)を介して、各把持片47から延びる腕部47a(一方は図示せず)の対向面に形成したラック(図示せず)に伝達されることにより開閉する。また、各把持片47の一端部(自由端部)はクランク状に屈曲して、互いに対向する把持部50を構成している。把持部50には貫通孔がそれぞれ形成され、一方の把持片47に設けた光センサ51により前記貫通孔を介してブリスター包装体4が挟持されているか否かを検出できるようになっている。また、一方の把持片47には磁石52(ここでは、ネオジウム磁石を使用)が設けられている。この磁石52は、開閉扉10の保持片19に設けた被吸引部20を吸引し、この保持片19を回動させて前面部16から離間させるためのものである。
【0051】
切断部材25は、図9に示すように、支持台53に、隙間54を挟んで接離可能な一対の切断刃55(図14参照)を取り付けたものである。支持台53は、一端面を位置調整部材である扇状の回動プレート56に固定されている。回動プレート56は、外周縁にギアが形成されている。ギアには、モータ56aの回転軸に設けたギアが噛合している。そして、モータ56aを駆動することにより、ギアを介して回動プレート56が正逆回転する。これにより、切断刃55が回動プレート56と共に回動し、把持部材24によって把持されたブリスター包装体4に対する切断位置を変更する。ここでは、切断部材25を水平位置(図9)と垂直位置の2箇所に位置決めして使用している。また、切断部材25は図示しない昇降機構を備えており、切断刃55による切断位置を調整することができるようになっている。これにより、複数列あるブリスター包装体4を最小1錠単位の端数で切断することが可能である。なお、支持台53の隙間に挿入されたブリスター包装体4の位置ずれを防止するための押え部材(図示せず)を設け、切断時の衝撃によるブリスター包装体4の位置ずれ(飛び跳ね等)を防止するのが好ましい。
【0052】
回収部材26は、図9に示すように、案内通路57と回収容器58とを備える。案内通路57は、直線部57aと傾斜部57bとから構成され、直線部52aにはカセット2の取出口13から落下するブリスター包装体4が通過し、傾斜部52bには切断部材25によって切断された端数のブリスター包装体4が通過して直線部52aに合流する。回収容器58は3つの貯留部(図示せず)を有し、案内通路57を介して供給されたブリスター包装体4を、搬送装置7によって搬送される図示しないトレイ内の仕切られた各区画内へと移送する。
【0053】
(2.動作)
次に、前記構成からなる薬剤払出装置の動作について、図16及び図17のフローチャートに従って説明する。
【0054】
図示しないホストコンピュータ等から処方データが入力されれば(ステップS1)、入力された処方データに基づいて、払出部材3を該当する薬剤のブリスター包装体4が収容されたカセット2へと移動させる(ステップS2)。そして、ブリスター包装体4を1シート全体で払い出すのか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、処方データに含まれる薬剤の数量が、ブリスター包装体4の1シート当たりの薬剤の数量よりも多いか否かで判断すればよい。またこのとき、ブリスター包装体4を何枚払い出すのかを演算しておく。この演算は、前者の数量が後者の数量の何倍になるのかで判断すればよい。ブリスター包装体4を複数枚払い出す場合、端数として余った数を、後述するステップS10以降の処理で払い出す。
【0055】
ブリスター包装体4を1シート全体で払い出す場合(ステップS3:YES)、支持板21を移動させ、電磁石部を励磁する。これにより、カセット2の磁性部が吸引されるので、支持板21を後退させ、カセット2を薬品払出位置に位置決めする(ステップS4)。この状態で、図12(a)に示すように、払出部材3の押下部30により先頭に位置するブリスター包装体4を押し下げ可能な状態となる。そこで、モータ22aを駆動してギア22b及びラック29を介して押下部30を下方に移動させると(ステップS5)、図12(b)に示すように、押下部30の弾性片34の湾曲部34bがブリスター包装体4の上縁部に当接する。そして、弾性片34の直線部34aが押下部30の背面部33に当接して背面側への撓みが制限されることにより、ブリスター包装体4の押し下げ動作を確実なものとすることができる。さらに、押下部30を下方に移動させると、図12(c)に示すように、弾性片34が弾性変形し、ブリスター包装体4の上縁部がガイド部36によってガイドされる。これにより、先頭に位置するブリスター包装体4のみが取出口13を介してカセット2からスムーズに排出される。また、先頭に位置するブリスター包装体4が取出口13から排出された場合、定加重バネによって付勢された次のブリスター包装体4は背面部33に当接し、弾性片34に干渉することがない。したがって、押下部30をスムーズに上方へと移動させれば、スムーズに図12(a)に示す初期状態に復帰させることができる。
【0056】
ところで、ブリスター包装体4は、複数枚が輪ゴム等で束ねられた状態で納品されることが多い。このため、ブリスター包装体4は、カセット本体9内にセットした状態で、垂直面に対して短手方向に湾曲することがある。押下部30は、前述のように、弾性片34の下端部にガイド部36が形成されている。したがって、押し下げようとするブリスター包装体4が、たとえ図13(a)に示すように湾曲していたとしても、押圧部30を下方に移動させて行くと、図13(b)から(c)に示すように、ガイド部36によって先頭のブリスター包装体4の上縁部を必ずガイドすることができる。しかも、弾性片34の持つ弾性力によって、ブリスター包装体4は湾曲形状を矯正される方向に付勢される。したがって、湾曲したブリスター包装体4であっても、カセット2から取出口13を介してスムーズに排出することができる。排出されたブリスター包装体4は、案内通路57を介して回収容器58へと回収される。押下部30は次のブリスター包装体4を押し下げるために、一旦上昇させる(ステップS6)。
【0057】
そして、1シート全体で払い出すブリスター包装体4の枚数が、処方データに基づいて算出した所定枚数になったか否かを判断する(ステップS7)。
所定枚数になっていなければ、ステップS5に戻って押下部30を降下させる押下動作(ステップS5)と、上昇させる復帰動作(ステップS6)を繰り返す。
所定枚数になっていれば、ブリスター包装体4の払出が終了したと判断し、電磁石部を前進させてカセット2をカセット装着部8内に収容する(ステップS8)。そして、回収容器58(払出部材3)を図示しないトレイへと移動させる(ステップS9)。
【0058】
ブリスター包装体4を端数で払い出す場合(ステップS3:NO)、回動ピン43により開閉扉10を180度回動させて端数払出位置に位置決めする(ステップS10)。そして、開閉扉10に端数のブリスター包装体4が保持されているか否か(端数保持?)を判断する(ステップS11)。
【0059】
開閉扉10に端数のブリスター包装体4が保持されていなければ(ステップS11:YES)、前記同様にして押下部30により先頭に位置するブリスター包装体4を押し下げ、取出口13を介して排出する(ステップS12)。排出されたブリスター包装体4は、コイルスプリングによって前面板32側に付勢された保持片19によって、前面板32と保持片19との間に挟持される。
【0060】
開閉扉10に端数のブリスター包装体4が保持されていれば、その薬剤の数量N1が処方データで払出を希望する数量N2以上であるか否かを判断する(ステップS13)。N1≧N2であれば、後述するステップS16〜S30を実行する。N1<N2であれば、把持部材24で端数のブリスター包装体4を把持して回収容器58へと払い出した後(ステップS14)、残りの端数分を算出し(ステップS15)、この残りの端数分について、後述するステップS16〜S30を実行する。
【0061】
端数分の払出では、開閉扉10に把持部材24を接近させる(ステップS16)。そして、把持片47を離間させ、ブリスター包装体4を把持可能な位置まで移動させると、把持部材24の近傍に設けた磁石52が保持片19に設けた被吸引部20を吸引し、図7に示すように、保持片19が前面部16から離間する方向に回動する。ブリスター包装体4は、保持片19による保持を失って、その下端縁をガイド受部17に当接させるまで落下する。これにより、ブリスター包装体4を、開閉扉10のガイド受部17の基準面17aに対し、鉛直方向には常に同じ位置に位置決めすることができる。つまり、把持部材24によりブリスター包装体4を把持する直前に、必ずこのブリスター包装体4の位置決めを行うことができる。但し、磁石52による保持片19の回動は、切断部材25による切断後に行う等、その時期は特に限定されない。なお、ブリスター包装体4は、押下部30によってカセット2の取出口13を介して鉛直下方に排出されるので、水平方向には殆ど位置ずれすることはない。
【0062】
そこで、把持部材24を駆動し、ガイド受部17に形成された切欠部18を介して、把持片47によりブリスター包装体4の耳の部分を把持する(ステップS17)。このとき、光センサ51での検出信号に基づいて、ブリスター包装体4の耳の部分を検出し、把持片47によりブリスター包装体4を確実に把持されていることを確認する。そして、把持部材24を水平移動させて切断部材25の切断位置へと位置させる(ステップS18)。切断部材25では、ブリスター包装体4の端数に応じて回動位置を変更する。
【0063】
ブリスター包装体4のポケット部が偶数列(2列あるいは4列)である場合、端数が偶数であるか否かを判断する(ステップS19)。
端数が偶数であれば(ステップS19:YES)、切断部材25を90度回動した垂直位置とし(ステップS20)、把持部材24の位置を調整することにより切り離される部分が所望数量となるように位置決めする(ステップS21)。これにより、切断部材25でブリスター包装体4を横方向に切断すると(ステップS22)、希望する端数分だけ案内通路57を介して回収容器58へと回収される。
【0064】
端数が奇数であれば(ステップS15:NO)、前述のようにしてブリスター包装体4を横方向に切断した後(ステップS23〜S25)、残余のブリスター包装体4から残る1つ分を切断する。この場合、残余のブリスター包装体4を幅方向に縁から半分だけ横方向に切断した後(ステップS26)、回動プレート56を90度回転させて水平位置とし(ステップS27)、さらに半分だけを縦方向に切断するようにすればよい(ステップS28)。
【0065】
また、このように、ブリスター包装体4を横方向と縦方向とで半分ずつ切断する場合、切断箇所の境界部分でうまく分離できないことも想定される。そこで、図14(a)に示す横方向の切断後に、一旦、図14(b)に示すように、切断刃55を所定寸法開放する(ステップS29)。このときの開放寸法は、切断刃55同士の間隔がブリスター包装体4のシート部の厚みよりも広く、ポケット部を含めた全体の厚みを超えないものとする。そして、図14(c)から(d)に示すように、把持部材24を水平方向に移動させると(ステップS30)、切断箇所の境界部分でうまく分離できていない場合であっても強制的に切り離すことが可能となる。なお、図14では、2薬剤分を切断する場合の説明図となっているが、1薬剤分であっても同様である。
【0066】
なお、ブリスター包装体4のポケット部が奇数列(3列)である場合、端数が偶数の場合と奇数の場合とで、前述とは逆の処理を行うようにすればよい。
【0067】
このようにして端数を切断された残りのブリスター包装体4は、把持部材24を移動させて開閉扉10のガイド受部17へと搬送する(ステップS31)。そして、把持部材24による把持状態を解除することにより、残余のブリスター包装体4をガイド受部17に設けた保持片19で挟持しておく(ステップS32)。この場合、前記同様、磁石52の働きにより開閉扉10の保持片19が前面部16から離間し、隙間が形成される。したがって、把持部材24を移動させるだけで、ブリスター包装体4をスムーズに前面部16と保持片19の間に位置させることができる。このため、把持部材24による把持状態を解除し、この把持部材24を移動させれば、保持片19がコイルスプリングの付勢力によって回動し、前面部16との間にブリスター包装体4を挟持することができる。また、ブリスター包装体4が挟持されれば、保持片19による支持位置を座標データとして残余の数量(ポケット部の数)と共に記憶しておき、次回の払出の際、このデータに基づいて把持部材24を移動させ、残余のブリスター包装体4を払い出すようにすればよい。そして、ガイド受部17に保持している残余のブリスター包装体4がなくなれば、前記同様にして、新たなブリスター包装体4をカセット2からガイド受部17へと排出し、切断するようにすればよい。
【0068】
なお、押下部30による押出方向は、鉛直下方に限らず、水平方向であってもよい。また、ブリスター包装体4の押出方向は、短手方向に限らず、長手方向であっても構わない。長手方向に押し出す場合、下方側にブリスター包装体4の耳の部分(ポケット部側と切り離し可能な平板状の部分)を位置させるようにすればよい。ブリスター包装体4を長手方向に押し出す場合、ブリスター包装体4の収容方向を90度回転させて、その長手方向を鉛直方向に向かわせることにより、押下部30によりブリスター包装体4の短辺側を押し下げるようにすればよいし、押下部30を90度回転させ、ブリスター包装体4を水平方向に押し出すようにしてもよい。これによれば、ブリスター包装体4の長辺の両端部を押す場合のようにバランスが崩れることがなく、ブリスター包装体4をスムーズに排出することができる。
【0069】
また、ブリスター包装体4から端数分を切断する場合、偶数分であれば横方向に切断し、奇数分であれば、偶数分を横方向に切断した後、残る1薬剤分を切断するようにしたが、その切断方法はこれに限られるものではない。例えば、2列のブリスター包装体4から2薬剤を切断する場合、図14に示すように、一方の列から2薬剤分を切断するようにすることも可能である。
【0070】
また、図18に示すように、2枚のブリスター包装体4を同時に払出可能な構成としてもよい。この場合、ブリスター包装体4の錠剤収容部の突出側同士を互いに当接させるようにするのが好ましい。特に、ブリスター包装体4間で、突出部分(ポケット部)同士の位置をずらせて抱き合わせるようにすれば、2枚のブリスター包装体4を一体的に移送しやすくなる。通常、製薬メーカーから納品される場合には、ブリスター包装体4はこのような2枚抱き合わせの状態で箱に収容されている。このため、ブリスター包装体4を納品された箱から取り出してそのままの形態でセットすることができる。
【0071】
ブリスター包装体4をこのような形態でセットする場合、押下部30は、底面によって2枚のブリスター包装体4を押し下げ可能な構成とするだけでよい。図18では、押下部30を平板状とすることにより、その底面で、位置をずらせて重なりあったポケット部を押し下げるようにしている。また、カセット2の取出口13の間隔を2枚のブリスター包装体4が通過可能な値とする。これにより、図18(a)に示す状態から押下部30を下動させると、その底面で2枚のブリスター包装体4が押し下げられ、図18(b)に示すように、取出口13から排出される。そして、図18(c)に示すように、2枚のブリスター包装体4が取出口13から完全に排出された状態では、カセット2内で前方側へと付勢されたブリスター包装体4のうち、先頭に位置する次のブリスター包装体4が押下部30の内面に当接する。したがって、押下部30の内面には、突起や突条を設けてブリスター包装体4との接触面積を小さくすることにより、押下部30と共にブリスター包装体4が一緒に上動しにくい構成とするのが好ましい。また、カセット2の上面には、次のブリスター包装体4の上動を阻止する天井部を形成しておくのが好ましい。
【0072】
図18に示すように、押下部30でブリスター包装体4を払い出すようにしたタイプのカセット2を使用する場合、端数分のみ(1枚のみを含む)を図4等に示す前述のタイプのカセット2から払い出すようにすればよい。すなわち、これら2種類のカセット2に同種のブリスター包装体4をそれぞれ収容しておき、図18に示すタイプのカセット2から2枚ずつ高速で払い出し、端数分のみ(1枚のみを含む)を図4等に示すカセット2から払い出すようにすればよい。これにより、作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0073】
さらに、前記実施形態では、作動部として把持部材24に設けた磁石52の吸引力により非接触で保持片19を回動させるようにしたが、磁石52に代えて係止片等を保持片19に当接させて直接回動させる構成とすることも可能である。また、保持部として板状の保持片19を使用したが、ブリスター包装体4を保持できるのであれば、その形態は自由である。
【0074】
(3.他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内に於いて、種々の変更が可能である。
【0075】
(3−1.第2の実施形態)
前記実施形態では、回動プレート56を回動させることにより把持部材24に把持したブリスター包装体4に対する切断部材25の位置を変更するようにしたが、把持部材24を回動させたり、切断部材25と把持部材24の双方を回動させたりすることにより、切断部材25に対する把持部材24に把持したブリスター包装体4の位置を変更するようにしてもよい。
【0076】
(3−2.第3の実施形態)
押下部30は、次のような構成とすることも可能である。
【0077】
すなわち、弾性片34に代えて、板材と、この板材を付勢する付勢部材とを備えた構成とするようにしてもよい。板材としては、樹脂製であるのが好ましいが、金属製等であっても構わない。また、付勢部材には、ウレタンゴム、コイルスプリング等、種々のものを使用することができる。板材と付勢部材で構成することにより、板バネを使用する場合に比べて耐久性を向上させることが可能となる。
【0078】
(3−3.第4の実施形態)
また、払出部材3は、板バネで形成した保持片19に代えて、ローラ部材で構成するようにしてもよい。例えば、図19に示すように、ローラ部材60として回転軸の周囲にゴム製のローラを一体化し、回転駆動可能としたものが使用できる。また、カセット本体9の前板9aに上下方向に切欠61(あるいは開口部)を形成し、この切欠61を介して先頭に位置するブリスター包装体4にローラ部材60を押し付ける。そして、ローラ部材60を回転駆動することにより、このブリスター包装体4を取出口13を介して下方に排出する。
【0079】
(3−4.第5の実施形態)
端数のブリスター包装体4を、開閉扉10を180度回動させた状態で、そのガイド受部17に保持するようにしたが、開閉扉10を回動させることなく、端数のブリスター包装体4を収容可能な収容部を形成するだけとしてもよい。収容部へのブリスター包装体4の移送は、把持部材24により行うようにすればよい。
【0080】
(3−5.第6の実施形態)
カセット2や押下部30は図20から図28に示す構成としてもよい。
【0081】
カセット2は、図20及び図21に示すように、前記第1実施形態と同様に、カセット本体61と開閉扉62とで構成されている。
【0082】
カセット本体61は、図22に示すように、前板61aの上端両側部からカセット本体61内に向かって突出する一対の押え片(第1押え片63及び第2押え片64)と、各押え片63、64の内側にそれぞれ配置されるガイド部65a、65bと、を備える。第1押え片63は、基部側の切欠き部分に一方のガイド部65aが配置されている。また、第1押え片63は、カセット本体61内に向かって水平方向に突出する第1水平部63aと、第1水平部63aから斜め下方に向かうその先端部分で水平方向に延びる第2水平部63bと、第2水平部63bから斜め上方に向かい、その後水平方向に延びる案内部63cとで構成されている。第2押え片64は、前記第1押え片63と同様な第1水平部64aと第2水平部64bとを備え、案内部64cは斜め上方に延びる傾斜部分のみで構成されている。ガイド部65a、65bは、背面を前板61aに固定され、前面には前記第1実施形態と同様な湾曲面65c(図24参照)を有し、湾曲したブリスター包装体4をガイドする。
【0083】
カセット本体61内には、図22、詳しくは図23に示すように、前後方向に移動可能に押出部材66が配置されている。押出部材66は、前記第1実施形態とほぼ同様な構成であるが、次の点で相違している。
【0084】
すなわち、押出部材66は、ブリスター包装体4を押す前方側に、カセット本体61の幅方向に延びる押出板67を備え、その両端部には摩擦係数の大きな材料(例えば、ウレタンゴム等)からなる押出パッド68が取り付けられている。押出パッド68はブリスター包装体4に圧接し、その位置ずれを防止する。特に、カセット本体61内のブリスター包装体4の残量が2枚となったときに、先頭の1枚目を払い出す際、2枚目が一緒に払い出されることを有効に阻止する。
【0085】
カセット本体61の底面側には、図24に示すように、幅方向に延びる支持プレート69が配置され、そこには所定間隔で、一対のガイドプレート70が取り付けられている。支持プレート69には長穴69aが形成され、各ガイドプレート70の取付位置をカセット本体61の幅方向に調整できるようになっている。これにより、薬剤によって相違するブリスター包装体4の幅寸法に応じて各ガイドプレート70の位置を調整し、ブリスター包装体4をガイドプレート70の間にガイドすることが可能となる(詳しくは、ブリスター包装体4のシート部がガイドプレート70によってガイドされる。)。各ガイドプレート70は、支持プレート69に位置決めされる取付台71と、そこから延びるガイド片72とで構成されている。ガイド片72は、先端に向かうに従って徐々に上方側へと湾曲する第1湾曲部73と、その先端部分に形成される、斜め下方に向かってにカットされた傾斜部74と、傾斜部74から下方側に延びる第2湾曲部75とで構成されている。第2湾曲部75は、下端に向かうに従って徐々に前方(前板61a側)へと突出し、最も接近した位置では、前板61aとの隙間が、ブリスター包装体4のシート部のみが通過可能な寸法となっている。これにより、カセット本体61から先頭の1枚目のブリスター包装体4を払い出す際、2枚目のブリスター包装体4が一緒に払い出されてしまうことを防止することが可能となっている。
【0086】
さらに、カセット本体61の前面には、図21及び図26に示すように、突条部材76が設けられている。突条部材76は、筒状で、突出面が横断面円弧状の湾曲面となっている。突条部材76は、合成ゴム等の弾性材料で形成されており、ブリスター包装体4に圧接可能となっている。そして、カセット本体61の前面側に開閉扉62を閉鎖した状態では、ブリスター包装体4の下端側が後述する保持片82によって保持され、上端側が突条部材76によって保持されることになる。したがって、開閉扉62には切欠部80が形成されているにも拘わらず、ブリスター包装体4を確実に保持可能となっている。特に、切欠部80を介して指が挿入されることによって保持片82が開放したとしても、ブリスター包装体4を保持した状態に維持することが可能である。
【0087】
開閉扉62は、図26に示すように、前記第1実施形態と同様に、前面部77と、この前面部77の前端縁から直角方向に延びるガイド受部78とで構成されている。前面部77の内面には、ガイド受部78に沿って溝部79が形成され、溝部79の近傍には切欠部80の反対側に突部81が形成されている。
【0088】
開閉扉62は、保持片82を備えている。保持片82は、合成樹脂材料を平面視矩形板状に成形加工したものである。保持片82の一方の長辺(側縁部)には、断面略C字形の軸受部83が2箇所に形成されている。保持片82は、軸受部83を弾性変形させて前面部77の下端部に設けた支軸84に回転可能に装着することにより回動可能に取り付けられる。保持片82には、前記軸受部83を形成された側縁部を除く3辺が突出し、その内側に凹所85が形成されている。凹所85の中央部分には、前記両軸受部83の間に、前記支軸84に取り付けたスプリング86の一部が係止されている。これにより、保持片82は、開閉扉62の前面部77に圧接し、これらの間にブリスター包装体4を保持可能となっている。保持片82の一端側の角部には案内ガイド部87が形成されている。案内ガイド部87は、平面視円弧状の円弧縁から徐々に前面部77側へと膨出する湾曲面で構成されている。また、保持片82の他端側の角部には磁性材料からなる被吸引板88が取り付けられている。
【0089】
押下部30は、図27及び図28に示すように、本体プレート89と、本体プレート89の下方側両側部に設けられる押下片90と、本体プレート89の下方側中央部に設けられるローラ部91とを備える。
【0090】
本体プレート89は、図27に示すように、表裏面のうち、裏面が平面で構成され、表面には上端部を除く両側に窪みがそれぞれ形成されることにより突条部92が形成されている。突条部92は、中央部に厚み寸法の大きな厚肉部93が形成され、そこから下方部分は下端に向かうに従って徐々に裏面側に薄くなるように傾斜する傾斜部94が形成されている。傾斜部94の先端は、本体プレート89の下端からさらに突出している。厚肉部93には、本体プレート89の表裏面を連通する矩形状の開口部95が形成されている。また、本体プレート89の裏面中央部には、図28に示すように、上下に延びる凹部96が形成され、そこには係止片97が固定されている。係止片97は、下端から幅狭の係止部98を突出させ、この係止部98が後述するローラ部91の係止ギア部103の各ギア106に係止可能となっている。
【0091】
押下片90は、図27に示すように、合成樹脂材料からなる短冊状の板材で構成されている。各押下片90は、前記本体プレート89の突条部92の両側に形成される窪み部分にそれぞれ配置されている。各押下片90は、突条部92の上方部分に支軸99を中心として回動可能に支持され、スプリング100によって前方へと付勢されている(図示しないが、押下片90にはスプリング100の一端側が配置される凹部が形成されている。)。各押下片90の中間部分には、表面側の両側部に凹部101a、101bがそれぞれ形成されている。一方の凹部101a(突条部92側)には、突条部92から突出する突起92aが位置し、押下片90の回動範囲が規制されている。なお、他方の凹部101bは、左右の各押下片90を共通の部品とするためのものである。各押下片90の下端部は、係止片90aと、徐々に裏面側へと屈曲し、さらにその先端部分は下方側に延びる薄肉部102とを備える。
【0092】
ローラ部91は、図29に示すように、外周面に係止ギア部103を備えた筒状体104と、係止ギア部103の両側に配置される一対の回転ローラ105とで構成されている。ローラ部91は、前記本体プレート89の突条部92に形成した開口部95内に配置され、筒状体104をそこに設けた支軸104aに回転可能に支持されている。係止ギア部103は、筒状体104の周方向の一方に向かって傾斜する複数のギア106で構成されている。各ギア106には、前記本体プレート89に設けた係止片97の係止部98が係止し、ローラ部91を周方向の一方にのみ回転可能とする(ワンウェイクラッチと同様の働きをする。)。回転ローラ105は、筒状体104の外周に一体的に回転可能となるように装着される。但し、必要以上の力が作用することにより、筒状体104との位置がずれて空回りするようになっている。ここでは、空回り時に回転ローラ105に作用する力は、回転ローラ105が接触するブリスター包装体4を損傷させない程度としている。
【0093】
前記構成によれば、カセット2からブリスター包装体4を払い出す場合、押下部30を初期位置から降下させると、カセット2の先頭に位置する先頭(1枚目)のブリスター包装体4の上縁が、押下片90に形成した係止片90aに係止して押し下げられる。この場合、ブリスター包装体4が湾曲していたとしても、押下片90がスプリング100によって付勢された状態で回動可能に設けられているため、その上縁に対して係止片90aを確実に係止させることができる。これにより、1枚目のブリスター包装体4がカセット2の開口部95を介して払い出される。このとき、次(2枚目)のブリスター包装体4には回転ローラ105のみが接触し、しかもこの回転ローラ105は2枚目のブリスター包装体4の平面を転動する。このため、押下部30を降下させているにも拘わらず、2枚目のブリスター包装体4には下方側に向かう力が作用しにくい。また、ガイドプレート70によって前板との間に形成される隙間は、前述の通り、ブリスター包装体4が1枚だけ通過可能な値に設定されている。したがって、2枚目のブリスター包装体4は、押し下げている1枚目のブリスター包装体4と共に下方側には移動しにくく、開口部95から排出されることがない。
【0094】
また、押下部30を上昇させる場合、2枚目のブリスター包装体4には、回転ローラ105のみが接触する。このとき、回転ローラ105は、筒状体104の係止ギア部103のいずれかのギア106に本体プレート89の係止片97の係止部98が係止することにより回転を阻止される。したがって、2枚目のブリスター包装体4には回転ローラ105を介して上向きの力が作用する。このため、2枚目のブリスター包装体4が1枚目のブリスター包装体4を払い出す際、たとえ払出方向に位置ずれしていたとしても、上方側へと位置を修正される。この場合、回転ローラ105からブリスター包装体4に無理な力が作用した場合には、筒状体104に対して回転ローラ105が空回りするため、ブリスター包装体4を損傷させることがない。また、ブリスター包装体4の上方側への移動は、カセット本体61に設けた第1押え片63及び第2押え片64の各第1水平部によって規制される。
【0095】
押下部30が初期位置に復帰すれば、押出部材66によってカセット本体61内のブリスター包装体4が前方へと移動する。このとき、先頭側のブリスター包装体4は、その下縁をガイド片72の第1湾曲部73に沿って移動させ、ブリスター包装体4間で上下方向に位置がずれる。そして、先頭の1枚目のブリスター包装体4のみが第1湾曲部73を乗り越えて傾斜部74に至り、第2湾曲部75へと移動する。この場合、前記第1実施形態と同様に、ブリスター包装体4が湾曲していても、前板に固定したガイド部65a、65bには湾曲面65cが形成されているため、先頭の1枚目のみがカセット本体61から払出可能な位置へと移動する。そして、ブリスター包装体4は、第2湾曲面75を通過する際、湾曲面65cとは反対側に湾曲し、湾曲形状が平坦となるように矯正される。また、ガイドプレート65と、ガイド片72との位置関係は、ブリスター包装体4がシート部を湾曲させなければ通過できないように設定されている。すなわち、図25に示すように、ガイドプレート65の内側下端位置と、ガイド片72の傾斜部74と第2湾曲部75との境界位置とが互いにオーバーラップするように配置されている。これにより、押下部30によって押し下げられない限り、ブリスター包装体4の排出が防止される。また、押下部30によって押し下げられた場合でも、ブリスター包装体4の2枚同時排出(重送)が防止される。
以下、前記同様にして、押下部30を昇降させることにより、ブリスター包装体4を必要な枚数だけ払い出す。
【0096】
カセット2からブリスター包装体4の端数を払い出す場合、開閉扉62を開放して端数払出位置に位置させる。開閉扉62に保持しているブリスター包装体4がなければ、前記同様にして、押下部30を降下させることによりカセット本体61からブリスター包装体4を1枚だけ端数払出位置に位置する開閉扉62内へと供給する。開閉扉62では、保持片82が前面部77へと付勢されている。したがって、供給されたブリスター包装体4は、保持片82と開閉扉62の前面部77との間に挟持される。保持片82の角部には案内ガイド部87が形成されており、ブリスター包装体4の挟持範囲が狭くなっているが、前面部77には突部81が形成され、保持片82との挟持圧が高められている。したがって、挟持範囲が狭くなっているにも拘わらず、ブリスター包装体4の挟持状態は、他の部分とほぼ同じとなる。この結果、ブリスター包装体4は、保持片82と前面部77との間に傾くことなく適切に保持される。
【0097】
保持片82と前面部77との間に保持されたブリスター包装体4は、前記第1実施形態と同様に、把持部材24を駆動し、切欠部80とは反対側へと移動させ、切断部材25により端数分を切断して払い出す。端数分を切断されたブリスター包装体4は、把持部材24により元の位置へと移動させる。ブリスター包装体4は端数を切断する際、変形したり、把持部材24に対して傾いたりするが、保持片82には案内ガイド部87が形成されているため、保持片82と前面部77との間へとスムーズに移動する。
【0098】
ブリスター包装体4から端数の払出が完了すれば、開閉扉62を端数払出位置から閉鎖位置へと回動させる。このとき、端数のブリスター包装体4には、カセット本体61に設けた突条部材76が圧接し、ブリスター包装体4は開閉扉62との間に挟持される。また、ブリスター包装体4は、一方の列のポケット部が開閉扉62の溝部79内に位置し、そこで幅方向への位置ずれが防止される。このため、開閉扉62を閉鎖位置に移動させた状態、ブリスター包装体4の保持状態を安定させることができる。
【0099】
(他の実施形態)
薬剤払出装置は、次のような構成とすることも可能である。
すなわち、薬剤払出装置を、装置本体と、薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体が重ねた状態で収容される収容容器と、前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、を備え、前記払出部材は、前記ブリスター包装体を前記収容容器の取出口から取り出す際、次のブリスター包装体に当接して回転するローラ部を備えた構成としたものである。
【0100】
この構成により、収容容器から先頭のブリスター包装体を取り出す際、次のブリスター包装体にはローラ部が転動し、取出方向に大きな摩擦力を発生させることがない。したがって、先頭のブリスター包装体のみをスムーズに取り出すことができる。
【0101】
前記払出部材は、前記ブリスター包装体を前記収容容器の取出口から取り出した後、取出方向とは逆方向に移動する際、次のブリスター包装体に当接するローラ部の回転を阻止するロック機構を備えるのが好ましい。
【0102】
この構成により、払出部材を元の位置に復帰させる際、ロック機構によってローラ部が回転を阻止されるので、次のブリスター包装体との間の摩擦力が大きくなる。したがって、次のブリスター包装体を確実に元の位置へと復帰させて次の払出動作に備えることができる。
【0103】
また、薬剤払出装置を、装置本体と、薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体が重ねた状態で収容される収容容器と、前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、を備え、前記収容容器は、一端側に向かって押圧されたブリスター包装体に対し、押圧方向とは直交する方向に取出口が形成され、前記取出口の近傍に、前記ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイドプレートを備え、前記ガイドプレートは、前記ブリスター包装体を押圧方向に向かうに従って徐々に前記取出口とは反対方向にガイド位置を変更させる湾曲部と、該湾曲部に連続し、前記取出口側に向かって傾斜する傾斜部とを備えた構成としたものである。
【0104】
この構成により、湾曲部で隣接ブリスター包装体の押圧方向に直交する方向への位置をずらせ、さらに傾斜部で先頭のブリスター包装体のみを分離して取出口へと向かわせることができる。このため、先頭のブリスター包装体のみをスムーズに取出口から払い出すことが可能となる。
【0105】
また、薬剤払出装置を、装置本体と、薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体が重ねた状態で収容される収容容器と、前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、を備え、前記収容容器は、前記取出口からブリスター包装体を払出可能とする払出位置と、前記取出口から払い出されたブリスター包装体を保持可能な端数払出位置とに回動可能な開閉扉を備え、前記開閉扉は、前記端数払出位置で、前記取出口から払い出されたブリスター包装体を前記開閉扉の一部に圧接することにより保持する保持片を備え、前記保持片は、前記ブリスター包装体を出し入れする位置に、前記ブリスター包装体を搬出する方向に向かって前記ブリスター包装体から徐々に離れるように形成される案内ガイド部を有する構成としたものである。
【0106】
この構成により、保持片によって開閉扉に保持したブリスター包装体から端数を切断するために、開閉扉から出し入れする際、切断等によりブリスター包装体が変形したとしても、案内ガイド部の存在によりブリスター包装体をスムーズに出し入れすることができる。
【0107】
前記収容容器は、前記開閉扉が払出位置に回動した際、保持したブリスター包装体に圧接して位置決めするガイド部を備えるのが好ましい。
【0108】
この構成により、開閉扉に保持したブリスター包装体の位置ずれを確実に防止することができ、次回の端数の払い出しの際、開閉扉からのブリスター包装体の出し入れをスムーズに行わせることが可能となる。
【0109】
前記開閉扉は、前記払出位置に回動した際、前記ガイド部に対向する位置に凹部を形成されているのが好ましい。
【0110】
この構成により、開閉扉に保持したブリスター包装体の位置ずれをより一層確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0111】
1…装置本体
2…カセット(収容容器)
3…払出部材
4…ブリスター包装体
5…枠体
6…外装パネル
7…搬送装置
8…カセット装着部
9…カセット本体
9a…ガイド面
9b…湾曲面
9c…ガイド面部
9d…係止孔
9e…ガイド孔
10…開閉扉
11…ガイド溝
12…押出部材
13…取出口
14…凹所
15…軸受部
16…前面部
17…ガイド受部
18…切欠部
19…保持片
20…被吸引部
21…支持板
22…第1払出部材
23…第2払出部材
24…把持部材
25…切断部材
26…回収部材
27…垂直レール
28…水平レール
29…ラック
30…押下部
31…腕部
32…前面板
33…背面部
34…弾性片
35…係止片
36…ガイド部
37…駆動機構
38…取付プレート
39…モータ
40…駆動ギア
41…中間ギア
42…従動ギア
43…回動ピン
44…従動プレート
45…操作孔
46…ガイドピン
47…把持片
48…ガイドプレート
49a…第1湾曲面
49b…第2湾曲面
50…把持部
51…光センサ
52…磁石
53…支持台
54…固定刃
55…可動刃
56…回動プレート
57…案内通路
58…回収容器
61…カセット本体
62…開閉扉
63…第1押え片
64…第2押え片
65…ガイド部
66…押出部材
67…押出板
68…押出パッド
69…支持プレート
70…ガイドプレート
71…取付台
72…ガイド片
73…第1湾曲部
74…傾斜部
75…第2湾曲部
76…突条部材
77…前面部
78…ガイド受部
79…溝部
80…切欠部
81…突部
82…保持片
83…軸受部
84…支軸
85…凹所
86…スプリング
87…案内ガイド部
88…被吸引板
89…本体プレート
90…押下片
91…ローラ部
93…厚肉部
94…傾斜部
95…開口部
96…凹部
97…係止片
98…係止部
99…支軸
100…スプリング
101…凹部
102…薄肉部
103…係止ギア部
104…筒状体
105…回転ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
薬剤が個別に包装される複数のブリスター包装体が重ねた状態で収容される収容容器と、
前記装置本体に移動可能に設けられ、前記収容容器まで移動して、収容したブリスター包装体を払い出させる払出部材と、
を備え、
前記収容容器は、一端側に形成される、ブリスター包装体を取り出すための取出口と、収容したブリスター包装体を前記取出口に向かって付勢する付勢手段と、を備え、
前記払出部材は、ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイド部を備え、該ガイド部を介して前記ブリスター包装体を前記収容容器の一端側に向かって付勢可能であることを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項2】
前記払出部材は、前記ブリスター包装体を前記収容容器の一端側に向かって付勢可能な弾性片を備え、該弾性片の先端部に、前記ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイド部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記ブリスター包装体に当接して前記収容容器の一端側に向かって押圧し、かつ、前記ブリスター包装体の押圧方向とは直交する方向への位置ずれを抑制する押出パッドを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出装置。
【請求項4】
前記収容容器は、前記付勢手段によって付勢されるブリスター包装体の側縁部をガイドし、前記ブリスター包装体の前記払出方向の位置を規制する押え片を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項5】
前記収容容器は、一端側に向かって押圧されたブリスター包装体に対し、前記取出口が押圧方向とは直交する方向に形成され、前記取出口の近傍に、前記ブリスター包装体の側縁部をガイドするガイドプレートを備え、
前記ガイドプレートは、前記ブリスター包装体を押圧方向に向かうに従って徐々に前記取出口とは反対方向にガイド位置を変更させる湾曲部と、該湾曲部に連続し、前記取出口側に向かって傾斜する傾斜部とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項6】
戦記収容容器は、前記付勢手段による付勢方向に位置する一端側の内端面に、前記ブリスター包装体の湾曲形状に対して干渉を回避する方向に窪んだ湾曲面を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項7】
前記収容容器は、前記付勢手段による付勢方向の先頭に位置するブリスター包装体を、前記払出部材による払出方向とは反対方向に向かって移動させるガイド面を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。

【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−236003(P2012−236003A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200988(P2011−200988)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2011−539206(P2011−539206)の分割
【原出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】