説明

薬剤霧化器

【課題】貯留された薬剤を無駄なく使用することができる薬剤霧化器を提供する。
【解決手段】薬剤霧化器101の霧化器本体11を下部カバー12と上部カバー13で構成し、下部カバー12の下周壁15に上部カバー13の上周壁14を嵌着する。上部カバー13の被係合部22を下部カバー12の係合部21に係合し、上部カバー13の上動を規制する。下部カバー12に薬剤容器61を収容し、薬剤容器61と下部カバー12底面間にコイルスプリング111を配置して薬剤容器61を上方へ付勢する。コイルスプリング111の付勢力によって薬剤容器61の芯材65の給液部71を上部カバー13に設けられた振動板43へ向けて付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の薬剤を霧化する薬剤霧化器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤を霧化する薬剤霧化器としては、図5に示すような超音波噴霧装置801が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この超音波噴霧装置801は、液状の薬剤811を貯留する貯液槽812を備えており、該貯液槽812には、転倒防止ガイド813が設けられている。該転倒防止ガイド813には、スプリング814が収容されており、該スプリング814上には、ガイドパイプ815が挿入されている。該ガイドパイプ815内には、保液材816が収容されており、該保液材816上端に設定された給液部817は、振動板818に当接されている。該振動板818は、圧電振動子819に支持されており、該圧電振動子819からの振動が伝達されるように構成されている。
【0004】
前記スプリング814の付勢力によって前記保液材816の前記給液部817が圧接された前記振動板818には、複数の小孔が設けられており、当該振動板818を前記圧電振動子819で振動することによって、前記保液材816で吸い上げられた前記薬剤811を前記振動板818の小孔を介して霧化できるように構成されている。
【特許文献1】特開平6−320083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の超音波噴霧装置801にあっては、薬剤811を吸い上げた保液材816を振動板818に圧接する構造上、前記保液材816をスプリング814で押し上げるように構成されており、前記保液材816と貯液槽812の底面821との間には、前記スプリング814が配置されている。
【0006】
このため、前記貯液槽812内の薬剤811が減少し、その液面831が前記スプリング814で付勢された前記保液材816より低くなると、当該薬剤811を前記保液材816で吸い上げることができなくなる。
【0007】
すると、薬剤811が貯液槽812内に残存するにも関わらず薬剤811が霧化されず、前記貯液槽812の底部の薬剤811が無駄になるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、貯留された薬剤を無駄なく使用することができる薬剤霧化器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の薬剤霧化器にあっては、容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、前記振動板を前記容器体の上部を覆う上部カバーに設けるとともに、前記振動板を前記容器体より延出した前記芯材の上部に配置して、前記上部カバーの重量を前記振動板を介して前記芯材の前記給液部に加えた。
【0010】
すなわち、容器体より延出した芯材の給液部に当接する振動板は、前記容器体の上部を覆う上部カバーに設けられており、該上部カバーの重量は、前記振動板を介して前記芯材の前記給液部に加えられている。
【0011】
このため、前記上部カバーに設けられた前記振動板には、前記上部カバーの重量が加えられ、前記振動板は、当該振動板の自重と前記上部カバーの重量とからなる重力によって前記容器体より延出した前記芯材の前記給液部に付勢される。
【0012】
また、請求項2の薬剤霧化器においては、前記容器体を収容する上方に開口した容器状の下部カバーと、該下部カバーに取り付けられる下方に開口した容器状の前記上部カバーとを備え、前記上部カバーの周壁を前記下部カバーの周壁に嵌合した状態で前記上部カバーに設けられた前記振動板を前記下部カバーに収容された前記容器体の前記芯材の上部に位置決めするとともに、前記上部カバーの前記振動板が前記芯材の前記給液部に接した状態で前記下部カバーに対する前記上部カバーの下方へ移動を許容した。
【0013】
すなわち、前記容器体を下部カバーに収容し、該下部カバーの周壁に前記上部カバーの周壁を嵌合して取り付けた際には、前記上部カバーに設けられた前記振動板が、前記下部カバーに収容された前記容器体の前記芯材の上部に位置決めされる。
【0014】
このとき、前記上部カバーの前記振動板が前記芯材の前記給液部に接した状態で前記下部カバーに対する前記上部カバーの下方へ移動を許容されており、前記上部カバーに設けられた前記振動板に前記上部カバーの重量が加えられた状態で、前記振動板は、当該振動板の自重と前記上部カバーの重量とからなる重力によって前記容器体より延出した前記芯材の前記給液部に付勢される。
【0015】
また、本発明の請求項3の薬剤霧化器にあっては、容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、前記容器体から延出した前記芯材の前記給液部が前記振動板へ向けて付勢されるように前記容器体を付勢する付勢手段を備えている。
【0016】
すなわち、容器体は、付勢手段によって付勢されており、この付勢手段の付勢力によって当該容器体から延出した芯材の給液部が振動板へ向けて付勢されている。
【0017】
これにより、前記振動板には、前記付勢手段による付勢力によって前記芯材の前記給液部が付勢される。
【0018】
さらに、請求項4の薬剤霧化器においては、前記容器体を収容するケース状の霧化器本体を備え、該霧化器本体の天部側に前記振動板を設けるとともに、前記霧化器本体の底部側に前記容器体を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段を設けた。
【0019】
すなわち、霧化器本体の天部側には、前記振動板が設けられており、前記霧化器本体の底部側には、前記容器体を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段が設けられている。
【0020】
このため、前記容器体を霧化器本体に収容した状態において、前記容器体は、前記天面側に付勢され、当該容器体より延出した芯材の前記給液部は、天部側に設けられた前記振動板に付勢される。
【0021】
加えて、請求項5の薬剤霧化器では、前記付勢手段を、前記霧化器本体の底面と前記容器体との間に設けられたコイルスプリングで構成した。
【0022】
すなわち、前記霧化器本体の底部側に設けられた前記付勢手段は、前記霧化器本体の底面と前記容器体との間に設けられたコイルスプリングで構成されており、前記容器体は、このコイルスプリングによって天面側に設けられた前記振動板へ向けて付勢される。
【0023】
また、請求項6の薬剤霧化器においては、前記芯材を弾性を有する部材で構成するとともに、該芯材の基端を前記容器体の底面に当接し、当該芯材を撓ませた状態で前記底面と前記振動板との間に配置した。
【0024】
すなわち、前記芯材は、基端が前記容器体の底面に当接されるとともに、撓んだ状態で前記容器体の底面と振動板との間に配置されている。
【0025】
このとき、前記芯材は、弾性を有する部材で構成されており、該芯材には、復元力が生ずる。そして、この復元力は、当該芯材を伸長する方向に働き、先端部に設定された給液部を、前記振動板に付勢する付勢力として作用する。
【0026】
そして、本発明の請求項7の薬剤霧化器にあっては、容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、前記容器体から延出した前記芯材の一端が前記容器体の底面に当接した状態で、前記給液部を前記振動板へ向けて付勢する異なる二以上の付勢手段を備えている。
【0027】
すなわち、容器体より延出した芯材の給液部は、その一端が前記容器体の底面に当接した状態において、当該給液部を付勢する異なる二以上の付勢手段によって振動板へ向けて付勢される。
【0028】
これにより、前記容器体より延出した前記芯材の前記給液部は、前記振動板に付勢される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明の請求項1の薬剤霧化器にあっては、上部カバーに設けられた振動板に前記上部カバーの重量を加えることにより、前記振動板を、当該振動板の自重と前記上部カバーの重量とからなる重力によって容器体より延出した芯材の給液部に付勢することができる。
【0030】
これにより、芯材と容器体の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材の前記給液部を前記振動板に圧接することができる。このため、芯材が容器体の底面から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記容器体に収容された薬剤の液面が低下した場合であっても、前記芯材による薬剤の吸い上げを確実に行うことができる。
【0031】
したがって、前記容器体に収容された前記薬剤を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0032】
そして、前記芯材を付勢する為のスプリングを廃止し、簡単な構成で上記問題点を解決できるため、低コスト化を図ることができる。
【0033】
また、請求項2の薬剤霧化器においては、前記容器体を下部カバーに収容し、該下部カバーの周壁に前記上部カバーの周壁を嵌合して取り付けた状態において、前記上部カバーに設けられた前記振動板を、前記下部カバーに収容された前記容器体の前記芯材の上部に位置決めすることができる。
【0034】
このとき、前記上部カバーの前記振動板が前記芯材の前記給液部に接した状態で前記下部カバーに対する前記上部カバーの下方へ移動が許容されており、前記上部カバーに設けられた前記振動板に前記上部カバーの重量が加えられた状態で、前記振動板を、当該振動板の自重と前記上部カバーの重量とからなる重力によって、前記容器体より延出した前記芯材の前記給液部に確実に付勢することができる。
【0035】
そして、本発明の請求項3の薬剤霧化器にあっては、容器体を付勢する付勢手段の付勢力によって、当該容器体から延出した芯材の給液部を、振動板へ向けて付勢することができる。これにより、芯材と容器体の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材の前記給液部を前記振動板に圧接することができる。
【0036】
このため、芯材が容器体の底面から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記容器体に収容された薬剤の液面が低下した場合であっても、前記芯材による薬剤の吸い上げを確実に行うことができる。
【0037】
したがって、前記容器体に収容された前記薬剤を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0038】
また、前記付勢手段は、前記容器体の外部に配置される。このため、前記芯材を付勢する為のスプリングを容器体内に配置する構造上、前記容器体に収容された薬剤に応じて前記スプリングの材質を定めなければならなかった従来と比較して、前記付勢手段の材質の選定が容易となる。
【0039】
さらに、請求項4の薬剤霧化器においては、霧化器本体の天部側に前記振動板を設け、前記霧化器本体の底部側に、前記容器体を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段を設けることによって、前記容器体を霧化器本体に収容した状態において、前記容器体を、前記天面側に付勢することができ、当該容器体より延出した芯材の前記給液部を、天部側に設けられた前記振動板に付勢して圧接することができる。
【0040】
加えて、請求項5の薬剤霧化器では、前記霧化器本体の底部側に設けられた前記付勢手段を、前記霧化器本体の底面と前記容器体との間に設けられたコイルスプリングで構成することにより、前記容器体を、このコイルスプリングによって天面側に設けられた前記振動板へ向けて付勢して圧接することができる。
【0041】
これにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0042】
また、請求項6の薬剤霧化器においては、容器体内の薬剤を吸い上げる芯材を撓ませた状態で前記容器体の底面と振動板との間に配置することによって、当該芯材が伸長方向する方向に作用する復元力を、先端部に設定された給液部を前記振動板に圧接する付勢力として利用することができる。
【0043】
このため、芯材と容器体の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材先端部の給液部を前記振動板に圧接することができる。これにより、スプリング等の別部材が不要となり、低コスト化を図ることができる。
【0044】
そして、前記芯材を撓ませた状態で、当該芯材の基端を前記容器体の底面に当接した状態に維持することができる。このため、芯材が容器体の底面から離れて配置される従来と比較して、前記容器体に収容された薬剤の液面が低下した場合であっても、前記芯材による薬剤の吸い上げを確実に行うことができる。
【0045】
したがって、前記容器体に収容された前記薬剤を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0046】
そして、本発明の請求項7の薬剤霧化器にあっては、容器体より延出した芯材の給液部は、その一端が前記容器体の底面に当接した状態において、当該給液部を付勢する異なる二以上の付勢手段によって振動板へ向けて付勢され、前記容器体より延出した前記芯材の前記給液部を、前記振動板に付勢することができる。
【0047】
これにより、芯材と容器体の底面との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材の前記給液部を前記振動板に圧接することができる。このため、芯材が容器体の底面から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記容器体に収容された薬剤の液面が低下した場合であっても、前記芯材による薬剤の吸い上げを確実に行うことができる。
【0048】
したがって、前記容器体に収容された前記薬剤を、最後まで無駄なく使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(第1の実施の形態)
【0050】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる薬剤霧化器1を示す図であり、該薬剤霧化器1は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の液状の薬剤2を霧化する装置である。
【0051】
この薬剤霧化器1の霧化器本体11は、上面が開口した容器状の下部カバー12と、下面が開口した容器状の上部カバー13とによって構成されている。該上部カバー13の上周壁14は、前記下部カバー12の下周壁15より大径に形成されており、該下部カバー12の前記下周壁15に前記上部カバー13の前記上周壁14を外嵌した状態で嵌着できるように構成されている。
【0052】
前記下部カバー12の前記下周壁15の中途部には、外側に突出する係合部21が設けられており、前記上部カバー13の前記上周壁14の下縁部には、内側に突出する被係合部22が設けられている。該被係合部22は、前記上部カバー13を前記下部カバー12に嵌着した状態で、該下部カバー12に設けられた前記係合部21を乗り越えて該係合部21の下部に配置されるように構成されており、前記係合部21と前記被係合部22とが係合することによって、前記上部カバー13が前記下部カバー12に係脱自在に取り付けられるように構成されている。これにより、前記上部カバー13は、前記下部カバーに対して上方への移動が規制される一方、下方への移動は許容されるように構成されている。
【0053】
前記上部カバー13の天面31には、噴霧口32が中央部に開設されており、当該上部カバー13の前記上周壁14からは、前記天面31に沿って延在する支持片33,33が前記噴霧口32へ向けて延出している。この支持片33,33と前記天面31との間には、霧化装置34の周縁部が挟持された状態で固定されており、当該霧化装置34は、前記噴霧口32の下部に配置されている。
【0054】
すなわち、前記霧化装置34は、図2に示すように、プラスチックやゴム等によってリング状の形成された支持体41,41を介して、前記天面31及び前記支持片33に挟持されており、前記支持体41,41に支持された円形リング状の圧電振動子42と、該圧電振動子42に支持された円形板状の振動板43と、前記圧電振動子42に駆動電圧を供給する図外の制御部とによって構成されている。
【0055】
前記圧電振動子42は、円形リング状の圧電素子51を中心に構成されており、該圧電素子51の上面には、円形リング板状の第1電極52が積層されている。また、前記圧電素子51の下面には、円形リング板状の第2電極53が積層されており、前記制御部からの駆動電圧が前記第1及び第2電極52,53に供給された際に、前記圧電素子51が振動するように構成されている。
【0056】
この圧電素子51の前記第2電極53の内縁部には、前記振動板43の周縁部が接着剤によって接着されており、前記圧電素子51からの振動が伝達され、当該振動板43が振動するように構成されている。この振動板43は、リング状に形成された前記圧電振動子42中央部の開口部を閉鎖するとともに、前記上部カバー13の前記噴霧口32の下部に配置されるように構成されており、当該振動板43には、上下に貫通する複数の小孔が設けられている。
【0057】
前記下部カバー12には、図1に示したように、容器体としての薬剤容器61を交換自在に収容できるように構成されており、該薬剤容器61は、前記下部カバー12の底面を基準面66として当該薬剤容器61の上部を覆う前記上部カバー13に対する高さ位置が位置決めされるとともに、該上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態で、前記上部カバー13に対する前記薬剤容器61の固定位置が位置決めされるように構成されている。
【0058】
前記薬剤容器61には、前記薬剤2が収容されており、当該薬剤容器61の首部62に設けられた開口部は、蓋部63で閉鎖されている。該蓋部63の中央部には、内部に連通する連通穴64が設けられており、該連通穴64には、芯材65が挿通されている。当該芯材65は、前記連通穴64にガイドされており、垂直に起立した状態が維持されている。これにより、前記上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態において、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43を、前記下部カバー12に収容された前記薬剤容器61の前記芯材65の上部に位置決めできるように構成されている。
【0059】
前記芯材65は、ポリエステル等の繊維が接着剤等で収束結合されて棒状に形成されており、当該芯材65は、所定の剛性に設定されている。この芯材65には、液体の吸い上げる為の毛細管が形成されており、前記薬剤容器61内の薬剤2を当該芯材65の上端まで吸い上げられるように構成されている。
【0060】
この芯材65の上端部には、該芯材65より大径の給液部71が設けられている。該給液部71も、ポリエステル等の繊維が接着剤等で収束結合されて形成されており、円柱状に形成された多孔質体によって構成されている。これにより、前記芯材65で吸い上げられた前記薬剤2を、さらに吸い上げるとともに、当該給液部71に保持できるように構成されている。
【0061】
前記芯材65は、垂直に起立して当該芯材65の下端を前記薬剤容器61の底面81に当接した状態で、上端部に設けられた前記給液部71が前記上部カバー13に設けられた前記霧化装置34の前記振動板43下面に当接する長さに設定されており、前記芯材65の前記給液部71を前記振動板43に当接した状態で、前記上部カバー13が前記下部カバー12に対して下方へ移動できるように余裕代85が設定されている。
【0062】
また、前記振動板43には、当該振動板43が設けられた前記上部カバー13の重量が加えられており、該上部カバー13の重量と前記振動板43の自重とが当該振動板43を介して、前記芯材65の前記給液部71に加えられるように構成されている。
【0063】
そして、前記芯材65の前記給液部71が前記霧化装置34の前記振動板43下面に圧接された状態で該振動板43を振動することによって、前記芯材65で吸い上げられ前記給液部71に保持された前記薬剤2を、前記振動板43の前記小孔を介して霧化できるように構成されている。
【0064】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記薬剤容器61より延出した芯材65の給液部71に当接する振動板43は、前記薬剤容器61の上部を覆う上部カバー13に設けられており、該上部カバー13の重量は、前記振動板43を介して前記芯材65の前記給液部71に加えられている。このため、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43には、前記上部カバー13の重量が加えられ、この振動板43を、当該振動板43の自重と前記上部カバー13の重量とからなる重力によって、前記芯材65の前記給液部71に付勢することができる。
【0065】
これにより、前記芯材65と薬剤容器61の底面81との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材65の前記給液部71を前記振動板43に圧接することができ、芯材65が薬剤容器61の底面81から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記薬剤容器61に収容された薬剤2の液面91が低下した場合であっても、前記芯材65による薬剤2の吸い上げを確実に行うことができる。
【0066】
したがって、前記薬剤容器61に収容された前記薬剤2を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0067】
また、前記芯材65を付勢する為のスプリングを廃止することができるため、低コスト化を図ることができる。
【0068】
また、前記薬剤容器61を前記下部カバー12に収容し、該下部カバー12の下周壁15に前記上部カバー13の上周壁14を嵌合して取り付けた状態で、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43を、前記下部カバー12に収容された前記薬剤容器61の前記芯材65の上部に位置決めすることができる。
【0069】
このとき、前記上部カバー13の前記振動板43が前記芯材65の前記給液部71に接した状態で前記下部カバー12に対する前記上部カバー13の下方へ移動を許容することによって、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43に前記上部カバー13の重量が加えられた状態で、当該振動板43を、確実に前記芯材65の前記給液部71に付勢することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
【0071】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様又は同等の部分に付いては、同符号を付して説明する。
【0072】
すなわち、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の液状の薬剤2を霧化する薬剤霧化器101の霧化器本体11は、上面が開口した容器状の下部カバー12と、下面が開口した容器状の上部カバー13とによってケース状に形成されている。該上部カバー13の上周壁14は、前記下部カバー12の下周壁15より大径に形成されており、該下部カバー12の前記下周壁15に前記上部カバー13の前記上周壁14を外嵌した状態で嵌着できるように構成されている。
【0073】
前記下部カバー12の前記下周壁15の上端部には、外側に突出する係合部21が設けられており、前記上部カバー13の前記上周壁14の下縁部には、内側に突出する被係合部22が設けられている。該被係合部22は、前記上部カバー13を前記下部カバー12に嵌着した状態で、該下部カバー12に設けられた前記係合部21を乗り越えて該係合部21の下部に配置されるように構成されており、前記係合部21と前記被係合部22とが係合することによって、前記上部カバー13が前記下部カバー12に係脱自在に取り付けられるように構成されている。これにより、前記上部カバー13は、前記下部カバーに対して上方への移動は規制される一方、下方への移動は許容されるように構成されている。
【0074】
前記上部カバー13の天面31には、噴霧口32が中央部に開設されており、当該上部カバー13の前記上周壁14からは、前記天面31に沿って延在する支持片33,33が前記噴霧口32へ向けて延出している。この支持片33,33と前記天面31との間には、霧化装置34の周縁部が挟持された状態で固定されており、当該霧化装置34は、前記噴霧口32の下部に配置されている。
【0075】
すなわち、前記霧化装置34は、第1の実施の形態の説明で使用した図2に示したように、プラスチックやゴム等によってリング状の形成された支持体41,41を介して、前記天面31及び前記支持片33に挟持されており、前記支持体41,41に支持された円形リング状の圧電振動子42と、該圧電振動子42に支持された円形板状の振動板43と、前記圧電振動子42に駆動電圧を供給する図外の制御部とによって構成されている。
【0076】
前記圧電振動子42は、円形リング状の圧電素子51を中心に構成されており、該圧電素子51の上面には、円形リング板状の第1電極52が積層されている。また、前記圧電素子51の下面には、円形リング板状の第2電極53が積層されており、前記制御部からの駆動電圧が前記第1及び第2電極52,53に供給された際に、前記圧電素子51が振動するように構成されている。
【0077】
この圧電素子51の前記第2電極53の内縁部には、前記振動板43の周縁部が接着剤によって接着されており、前記圧電素子51からの振動が伝達され、当該振動板43が振動するように構成されている。この振動板43は、リング状に形成された前記圧電振動子42中央部の開口部を閉鎖するとともに、前記上部カバー13の前記噴霧口32の下部に配置されるように構成されており、当該振動板43には、上下に貫通する複数の小孔が設けられている。
【0078】
前記下部カバー12には、図3に示したように、容器体としての薬剤容器61を交換自在に収容できるように構成されており、前記上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態で、前記上部カバー13に対する前記薬剤容器61の固定位置を位置決めできるように構成されている。また、前記薬剤容器61と前記下部カバー12の底面が構成する基準面66との間には、付勢手段としてのコイルスプリング111が配置されており、前記薬剤容器61は、上方へ向けて付勢されている。
【0079】
前記薬剤容器61には、前記薬剤2が収容されており、当該薬剤容器61の首部62に設けられた開口部は、蓋部63で閉鎖されている。該蓋部63の中央部には、内部に連通する連通穴64が設けられており、該連通穴64には、芯材65が挿通されている。当該芯材65は、前記連通穴64にガイドされており、垂直に起立した状態が維持されている。これにより、前記上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態において、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43を、前記下部カバー12に収容された前記薬剤容器61の前記芯材65の上部に位置決めできるように構成されている。
【0080】
前記芯材65は、ポリエステル等の繊維が接着剤等で収束結合されて棒状に形成されており、当該芯材65は、所定の剛性に設定されている。この芯材65には、液体の吸い上げる為の毛細管が形成されており、前記薬剤容器61内の薬剤2を当該芯材65の上端まで吸い上げられるように構成されている。
【0081】
この芯材65の上端部には、該芯材65より大径の給液部71が設けられている。該給液部71も、ポリエステル等の繊維が接着剤等で収束結合されて形成されており、円柱状に形成された多孔質体によって構成されている。これにより、前記芯材65で吸い上げられた前記薬剤2を、さらに吸い上げるとともに、当該給液部71に保持できるように構成されている。
【0082】
前記芯材65は、垂直に起立して当該芯材65の下端を前記薬剤容器61の底面81に当接した状態で、上端部に設けられた前記給液部71が前記上部カバー13に設けられた前記霧化装置34の前記振動板43下面に当接するように構成されており、前記芯材65の前記給液部71が前記振動板43に当接した状態で、当該薬剤容器61が前記コイルスプリング111で付勢されることによって、この付勢力により前記芯材65の前記給液部71が前記振動板43へ向けて付勢されるように構成されている。
【0083】
なお、前記振動板43には、当該振動板43が設けられた前記上部カバー13の重量が加えられており、前記コイルスプリング111による付勢力が仮に低下した場合であっても、前記上部カバー13の重量と前記振動板43の自重とが当該振動板43を介して、前記芯材65の前記給液部71に加えられるように構成されている。
【0084】
そして、前記芯材65の前記給液部71が前記霧化装置34の前記振動板43下面に圧接された状態で該振動板43を振動することによって、前記芯材65で吸い上げられ前記給液部71に保持された前記薬剤2を、前記振動板43の前記小孔を介して霧化できるように構成されている。
【0085】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記薬剤容器61より延出した芯材65の給液部71に当接する振動板43は、前記薬剤容器61の上部を覆う上部カバー13に設けられており、該上部カバー13の重量は、前記振動板43を介して前記芯材65の前記給液部71に加えられている。このため、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43には、前記上部カバー13の重量が加えられ、この振動板43を、当該振動板43の自重と前記上部カバー13の重量とからなる重力によって、前記芯材65の前記給液部71に付勢することができる。
【0086】
これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、本実施の形態にあっては、前記霧化器本体11の下部カバー12に収容された薬剤容器61は、コイルスプリング111からなる付勢手段によって上方へ向けて付勢されており、この付勢手段の付勢力によって当該薬剤容器61から延出した芯材65の給液部71が振動板43へ向けて付勢されている。
【0088】
これにより、前記薬剤容器61を付勢する付勢手段の付勢力によって、当該薬剤容器61から延出した前記芯材65の前記給液部71を、前記振動板43へ向けて付勢することができ、前記芯材65と薬剤容器61の底面81との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材65の前記給液部71を前記振動板43に圧接することができる。
【0089】
このため、前記芯材65が薬剤容器61の底面81から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記薬剤容器61に収容された薬剤2の液面91が低下した場合であっても、前記芯材65による薬剤2の吸い上げを確実に行うことができる。
【0090】
したがって、前記薬剤容器61に収容された前記薬剤2を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0091】
また、前記付勢手段は、前記薬剤容器61の外部に配置される。このため、前記芯材65を付勢する為のスプリングを薬剤容器61内に配置する構造上、前記薬剤容器61に収容された薬剤2に応じて前記スプリングの材質を定めなければならなかった従来と比較して、前記付勢手段の材質の選定が容易となる。
【0092】
また、前記霧化器本体11の天部側に前記振動板43を設け、前記霧化器本体11の底部側に、前記薬剤容器61を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段を設けることによって、前記薬剤容器61を霧化器本体11に収容した状態において、前記薬剤容器61を前記天面側に付勢することができ、当該薬剤容器61より延出した前記芯材65の前記給液部71を、天部側に設けられた前記振動板43に付勢して圧接することができる。
【0093】
そして、前記霧化器本体11の底部側に設けられた前記付勢手段を、前記霧化器本体11の底面が構成する基準面66と前記薬剤容器61との間に設けられたコイルスプリング111で構成することにより、前記薬剤容器61を、このコイルスプリング111によって天面側に設けられた前記振動板43へ向けて付勢して圧接することができる。
【0094】
これにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0095】
(第3の実施の形態)
【0096】
図4は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、第2の実施の形態と同様又は同等の部分に付いては、同符号を付して説明する。
【0097】
すなわち、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の液状の薬剤2を霧化する薬剤霧化器1201の霧化器本体11は、上面が開口した容器状の下部カバー12と、下面が開口した容器状の上部カバー13とによってケース状に形成されている。該上部カバー13の上周壁14は、前記下部カバー12の下周壁15より大径に形成されており、該下部カバー12の前記下周壁15に前記上部カバー13の前記上周壁14を外嵌した状態で嵌着できるように構成されている。
【0098】
前記下部カバー12の前記下周壁15の上端部には、外側に突出する係合部21が設けられており、前記上部カバー13の前記上周壁14の下縁部には、内側に突出する被係合部22が設けられている。該被係合部22は、前記上部カバー13を前記下部カバー12に嵌着した状態で、該下部カバー12に設けられた前記係合部21を乗り越えて該係合部21の下部に配置されるように構成されており、前記係合部21と前記被係合部22とが係合することによって、前記上部カバー13が前記下部カバー12に係脱自在に取り付けられるように構成されている。これにより、前記上部カバー13は、前記下部カバーに対して上方への移動は規制される一方、下方への移動は許容されるように構成されている。
【0099】
前記上部カバー13の天面31には、噴霧口32が中央部に開設されており、当該上部カバー13の前記上周壁14からは、前記天面31に沿って延在する支持片33,33が前記噴霧口32へ向けて延出している。この支持片33,33と前記天面31との間には、霧化装置34の周縁部が挟持された状態で固定されており、当該霧化装置34は、前記噴霧口32の下部に配置されている。
【0100】
すなわち、前記霧化装置34は、第1の実施の形態の説明で使用した図2に示したように、プラスチックやゴム等によってリング状の形成された支持体41,41を介して、前記天面31及び前記支持片33に挟持されており、前記支持体41,41に支持された円形リング状の圧電振動子42と、該圧電振動子42に支持された円形板状の振動板43と、前記圧電振動子42に駆動電圧を供給する図外の制御部とによって構成されている。
【0101】
前記圧電振動子42は、円形リング状の圧電素子51を中心に構成されており、該圧電素子51の上面には、円形リング板状の第1電極52が積層されている。また、前記圧電素子51の下面には、円形リング板状の第2電極53が積層されており、前記制御部からの駆動電圧が前記第1及び第2電極52,53に供給された際に、前記圧電素子51が振動するように構成されている。
【0102】
この圧電素子51の前記第2電極53の内縁部には、前記振動板43の周縁部が接着剤によって接着されており、前記圧電素子51からの振動が伝達され、当該振動板43が振動するように構成されている。この振動板43は、リング状に形成された前記圧電振動子42中央部の開口部を閉鎖するとともに、前記上部カバー13の前記噴霧口32の下部に配置されるように構成されており、当該振動板43には、上下に貫通する複数の小孔が設けられている。
【0103】
前記下部カバー12には、図4に示したように、容器体としての薬剤容器61を交換自在に収容できるように構成されており、前記上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態で、前記上部カバー13に対する前記薬剤容器61の固定位置を位置決めできるように構成されている。また、前記薬剤容器61と前記下部カバー12の底面が構成する基準面66との間には、付勢手段としてのコイルスプリング111が配置されており、前記薬剤容器61は、上方へ向けて付勢されている。
【0104】
前記薬剤容器61には、前記薬剤2が収容されており、当該薬剤容器61の首部62に設けられた開口部は、蓋部63で閉鎖されている。該蓋部63の中央部には、内部に連通する連通穴64が設けられており、該連通穴64には、芯材65が挿通されている。当該芯材65は、前記連通穴64にガイドされており、前記芯材65は、前記連通穴64によって、当該連通穴64より延出した部分が上方へ向けて延出した状態で上下方向へスライドできるように支持されている。
【0105】
これにより、前記上部カバー13の前記上周壁14を前記下部カバー12の前記下周壁15に嵌合した状態において、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43を、前記下部カバー12に収容された前記薬剤容器61の前記芯材65の上部に位置決めできるように構成されている。
【0106】
前記芯材65は、ポリアセタール、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を所定形状のダイスによって細線状に押出形成されており、当該芯材65には、所定の弾性及び剛性が付与されている。これにより、この芯材65を湾曲させた状態では、直線状に戻る復元力が働くように構成されている。
【0107】
また、前記芯材65には、液体の吸い上げる為の毛細管が形成されており、前記薬剤容器61内の薬剤2を当該芯材65の上端まで吸い上げられるように構成されている。
【0108】
この芯材65の上端部には、該芯材65より大径の給液部71が設けられている。該給液部71は、ポリエステル等の繊維を接着剤で収束結合して形成されており、円柱状に形成された多孔質体によって構成されている。これにより、前記芯材65で吸い上げられた前記薬剤2を、さらに吸い上げるとともに、当該給液部71に保持できるように構成されている。
【0109】
上記芯材65は具体的な例としては、例えば実開昭63−166243号公報に記載されている吸い上げ芯を挙げることができる。また、他にも、実開昭57−128842号公報の吸い上げ芯を用いることも可能である。
【0110】
前記芯材65の下端から前記給液部71の上端まで長さ寸法は、前記薬剤容器61の底面81から前記霧化装置34の前記振動板43下面までの離間距離Rより長く設定されている。これにより、前記薬剤容器61に挿入された前記芯材65の下端を前記薬剤容器61の前記底面81に当接する一方、前記芯材65の前記給液部71の上端を前記霧化装置34の前記振動板43下面に当接させ、前記芯材65を前記底面81と前記振動板43との間に配置した状態で、当該芯材65が湾曲するように構成されており、前記芯材65の下端が前記薬剤容器61の角部側へ移動した場合であっても、その湾曲状態が維持される長さに設定されている。
【0111】
なお、前記薬剤容器61の底面81に前記芯材65の下端を位置決め固定する位置決め手段を設けても良く、この場合には、前記芯材65の湾曲状態を確実に形成することができる。
【0112】
また、前記芯材65は、前記給液部71が前記振動板43に当接した状態で前記薬剤容器61が前記コイルスプリング111で付勢されることによって、この付勢力によっても前記芯材65の前記給液部71が前記振動板43へ向けて付勢されるように構成されている。
【0113】
さらに、前記振動板43には、当該振動板43が設けられた前記上部カバー13の重量が加えられており、前記コイルスプリング111による付勢力が仮に低下し、かつ湾曲した芯材65が直線状に戻ろうとする復元力が低下した場合であっても、前記上部カバー13の重量と前記振動板43の自重とが当該振動板43を介して前記芯材65の前記給液部71に加えられることにより、前記振動板43と前記芯材65に設けられた前記給液部71との圧接状態が維持されるように構成されている。
【0114】
そして、前記芯材65の前記給液部71が前記霧化装置34の前記振動板43下面に圧接された状態で、該振動板43を振動されることによって、前記芯材65で吸い上げられ前記給液部71に保持された前記薬剤2を前記振動板43の小孔を介して霧化できるように構成されている。
【0115】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記薬剤容器61より延出した芯材65の給液部71に当接する振動板43は、前記薬剤容器61の上部を覆う上部カバー13に設けられており、該上部カバー13の重量は、前記振動板43を介して前記芯材65の前記給液部71に加えられている。このため、前記上部カバー13に設けられた前記振動板43には、前記上部カバー13の重量が加えられ、この振動板43を、当該振動板43の自重と前記上部カバー13の重量とからなる重力によって、前記芯材65の前記給液部71に付勢することができる。
【0116】
これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
また、前記霧化器本体11の下部カバー12に収容された薬剤容器61は、コイルスプリング111からなる付勢手段によって上方へ向けて付勢されており、この付勢手段の付勢力によって当該薬剤容器61から延出した芯材65の給液部71が振動板43へ向けて付勢されている。
【0118】
これにより、前記薬剤容器61を付勢する付勢手段の付勢力によって、当該薬剤容器61から延出した前記芯材65の前記給液部71を、前記振動板43へ向けて付勢することができ、前記芯材65と薬剤容器61の底面81との間にスプリング等を設けること無く、前記芯材65の前記給液部71を前記振動板43に圧接することができる。
【0119】
このため、前記芯材65が薬剤容器61の底面81から離れて配置されてしまう従来と比較して、前記薬剤容器61に収容された薬剤2の液面91が低下した場合であっても、前記芯材65による薬剤2の吸い上げを確実に行うことができる。
【0120】
したがって、前記薬剤容器61に収容された前記薬剤2を、最後まで無駄なく使用することができる。
【0121】
また、前記付勢手段は、前記薬剤容器61の外部に配置される。このため、前記芯材65を付勢する為のスプリングを薬剤容器61内に配置する構造上、前記薬剤容器61に収容された薬剤2に応じて前記スプリングの材質を定めなければならなかった従来と比較して、前記付勢手段の材質の選定が容易となる。
【0122】
また、前記霧化器本体11の天部側に前記振動板43を設け、前記霧化器本体11の底部側に、前記薬剤容器61を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段を設けることによって、前記薬剤容器61を霧化器本体11に収容した状態において、前記薬剤容器61を前記天面側に付勢することができ、当該薬剤容器61より延出した前記芯材65の前記給液部71を、天部側に設けられた前記振動板43に付勢して圧接することができる。
【0123】
そして、前記霧化器本体11の底部側に設けられた前記付勢手段を、前記霧化器本体11の底面が構成する基準面66と前記薬剤容器61との間に設けられたコイルスプリング111で構成することにより、前記薬剤容器61を、このコイルスプリング111によって天面側に設けられた前記振動板43へ向けて付勢して圧接することができる。これにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0124】
このうように、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0125】
加えて、本実施の形態にあっては、前記芯材65は、その下端が前記薬剤容器61の底面81に当接されるとともに、撓んだ状態で前記薬剤容器61の底面81と前記振動板43との間に配置されている。また、前記芯材65は、弾性を有する部材で構成されており、当該芯材65を伸長する方向に働く復元力を、前記芯材65上端部の前記給液部71を前記振動板43に付勢する付勢力として利用することができる。
【0126】
これにより、前記芯材65上端部の前記給液部71が前記振動板43に圧接された状態を、確実に形成することができる。
【0127】
なお、前記第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、付勢手段としてコイルスプリング111を用いたものについて説明したが、これに限られず、板バネ、空気バネ、スポンジ、ゴム等も用いてもかまわない。
【0128】
また、第3の実施の形態では、前記振動板43及び前記上部カバー13の重量と、前記コイルスプリング111による付勢力と、前記芯材65の弾性力とによって、前記給液部71を前記振動板43に圧接する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0129】
例えば、第2の実施の形態のように、前記振動板43及び前記上部カバー13の重量と、前記コイルスプリング111の付勢力とによる組み合わせの他に、前記振動板43及び前記上部カバー13の重量と前記芯材65の弾性力との組み合わせや、前記コイルスプリング111の付勢力と前記芯材65の弾性力との組み合わせ等によって構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す模式図である。
【図2】同実施の形態の要部を示す拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す模式図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す模式図である。
【図5】従来の超音波噴霧装置を示す図である。
【符号の説明】
【0131】
1 薬剤霧化器
2 薬剤
11 霧化器本体
12 下部カバー
13 上部カバー
14 上部周壁
15 下部周壁
34 霧化装置
43 振動板
61 薬剤容器
65 芯材
71 給液部
81 底面
101 薬剤霧化器
111 コイルスプリング
201 薬剤霧化器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、
前記振動板を前記容器体の上部を覆う上部カバーに設けるとともに、前記振動板を前記容器体より延出した前記芯材の上部に配置して、前記上部カバーの重量を前記振動板を介して前記芯材の前記給液部に加えたことを特徴とする薬剤霧化器。
【請求項2】
前記容器体を収容する上方に開口した容器状の下部カバーと、該下部カバーに取り付けられる下方に開口した容器状の前記上部カバーとを備え、
前記上部カバーの周壁を前記下部カバーの周壁に嵌合した状態で前記上部カバーに設けられた前記振動板を前記下部カバーに収容された前記容器体の前記芯材の上部に位置決めするとともに、前記上部カバーの前記振動板が前記芯材の前記給液部に接した状態で前記下部カバーに対する前記上部カバーの下方へ移動を許容したことを特徴とする請求項1記載の薬剤霧化器。
【請求項3】
容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、
前記容器体から延出した前記芯材の前記給液部が前記振動板へ向けて付勢されるように前記容器体を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする薬剤霧化器。
【請求項4】
前記容器体を収容するケース状の霧化器本体を備え、
該霧化器本体の天部側に前記振動板を設けるとともに、前記霧化器本体の底部側に前記容器体を前記天部側へ向けて付勢する前記付勢手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の薬剤霧化器。
【請求項5】
前記付勢手段を、前記霧化器本体の底面と前記容器体との間に設けられたコイルスプリングで構成したことを特徴とする請求項4記載の薬剤霧化器。
【請求項6】
前記芯材を弾性を有する部材で構成するとともに、該芯材の基端を前記容器体の底面に当接し、当該芯材を撓ませた状態で前記底面と前記振動板との間に配置したことを特徴とする請求項1から5にいずれかの項記載の薬剤霧化器。
【請求項7】
容器体より延出した芯材の給液部を振動板に当接し、前記容器体から前記芯材の前記給液部に吸い上げた薬剤を前記振動板の振動で霧化する薬剤霧化器において、
前記容器体から延出した前記芯材の一端が前記容器体の底面に当接した状態で、前記給液部を前記振動板へ向けて付勢する異なる二以上の付勢手段を備えたことを特徴とする薬剤霧化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−203225(P2007−203225A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26442(P2006−26442)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】