説明

薬局システム及び薬ケース

【課題】薬剤を処方された際の医師の診察内容を容易に確認可能とする。
【解決手段】医師端末1は、診察を識別する診察識別情報と、診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力し、診察の際に録音した音声の音声情報と、診察識別情報とを送信する。薬局端末2は、出力された処方情報に含まれる診察識別情報を記録した薬ケース5を発行するプリンタ3aを備える。サーバ装置4は、送信された音声情報と、診察識別情報とを診察情報DB41に記憶し、端末装置7からの診察識別情報の通知に応じて、その診察識別情報に対応した音声情報を端末装置7へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、薬局システム及び薬ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医師が処方した処方箋に基づいて薬剤を薬ケースに入れて処方する薬局システムでは、処方した薬剤の薬剤説明書を薬ケースにプリントアウトすることで、処方した薬剤の詳細を分かりやすくしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来技術では、薬ケースを見ることでその薬ケースに入れて処方された薬剤の詳細を確認できるが、薬剤を処方された際の医師の診察内容を確認することはできなかった。例えば、患者によっては、処方された薬剤の詳細よりも、診察時における医師のアドバイスを確認したいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、実施形態の薬局システムは、診察の際の音声を録音する録音手段、音声を録音した前記診察を識別する診察識別情報と、前記診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力する処方情報出力手段、前記診察の際に録音した音声の音声情報と、前記診察識別情報とを送信する送信手段を備える医師端末と、出力された前記処方情報に含まれる診察識別情報を記録した薬ケースを発行する発行手段を備える薬局端末と、送信された前記音声情報と、前記診察識別情報とを記憶する記憶手段、外部機器からの前記診察識別情報の通知に応じて、当該診察識別情報に対応した音声情報を前記外部機器へ送信する送信手段を備えるサーバ装置と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、別の実施形態の薬局システムは、診察の際の音声を録音する録音手段、音声を録音した前記診察を識別する診察識別情報と、前記診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力する処方情報出力手段、前記診察の際に録音した音声の音声情報と、前記診察識別情報とを送信する送信手段を備える医師端末と、出力された前記処方情報に含まれる診察識別情報と対応して送信された前記音声情報を記憶手段に記憶させた薬ケースを発行する発行手段を備える薬局端末とを有し、前記薬ケースは、前記記憶手段に記憶された前記音声情報の再生指示を受け付ける操作手段、前記再生指示に応じて記憶された前記音声情報の再生を行う音声再生手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また、実施形態の薬ケースは、診察の際に録音した音声の音声情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記音声情報の再生指示を受け付ける操作手段と、前記再生指示に応じて記憶された前記音声情報の再生を行う音声再生手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかる薬局システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第2の実施形態にかかる薬局システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる薬局システム及び薬ケースの詳細を説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる薬局システム100aの構成を示すブロック図である。図1に示すように、薬局システム100aは、医師端末1、薬局端末2、プリンタ3a、サーバ装置4、プリンタ3aにより印刷されることで発行される薬ケース5を有する構成である。
【0010】
医師端末1は、医師が診察時に使用するPC(Personal Computer)等の情報端末である。具体的には、医師端末1は、操作部10、表示部11、マイク12、通信部13、制御部14を備える構成である。
【0011】
操作部10は、キーボードやマウスなどであり、医師の操作を受け付ける。具体的には、操作部10は、電子カルテへの記載や、処方する薬剤の指定などを行うための、診察時における医師の操作を受け付ける。表示部11は、LCD(Liquid Crystal Display)などであり、制御部14の制御の下、各種情報の表示画面や、操作部10による操作時の操作画面などを表示する。マイク12は、周囲の音声を取得する音声入力装置であり、診察時の会話を取得する。通信部13は、制御部14の制御の下、薬局端末2やサーバ装置4などの外部機器と所定の通信プロトコルを用いたデータ通信を行う。
【0012】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを備え、医師端末1の動作を制御する。具体的には、CPUがROMやHDDに記憶されたプログラムをRAMに展開して順次実行することで、医師端末1の各部へ制御信号を出力する。また、制御部14は、CPUがプログラムを順次実行することで、録音部141、処方情報出力部142、送信部143としての機能を有している。
【0013】
録音部141は、診察の際にマイク12より取得した音声を録音する。具体的には、録音部141は、医師が診察を開始する際に操作部10より診察開始の操作指示を受け付けて、マイク12による音声の取得を開始する。取得した音声にかかる音声情報はHDDなどに一時記憶される。なお、音声情報は、WAVファイル等の各種機器で再生可能なファイルデータであってよい。次いで、録音部141は、医師が診察を終了する際に操作部10より診察終了の操作指示を受け付けて、マイク12による音声の取得を終了する。これにより、診察時の音声の音声情報がHDDに記憶される。
【0014】
処方情報出力部142は、録音部141により音声を録音した診察を識別する診察ID(診察識別情報)と、その診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力する。具体的には、処方情報出力部142は、録音部141により音声の録音を行った診察ごとにユニークな診察IDを発行する。そして、その診察の際には、処方する薬剤の薬剤名、分量、投薬方法などの薬剤情報の入力を操作部10より受け付ける。処方情報出力部142は、発行した診察IDと、受け付けた薬剤情報とを薬局への処方情報として通信部13を介して薬局端末2へ通知する。なお、処方情報は、処方箋としてプリンタなどで印字出力してもよい。この場合、患者は、印字された処方箋を薬局へ持参することで、処方情報の通知が行われることとなる。
【0015】
送信部143は、診察の際に録音した音声情報と、その診察の診察IDとを通信部13を介して薬局端末2やサーバ装置4などの外部機器へ送信する。具体的には、送信部143は、処方情報出力部142により処方情報が出力された際に、録音部141によりHDDに一時記憶された音声情報を読み出し、出力された処方情報に含まれる診察IDとともに外部機器への送信を行う。
【0016】
薬局端末2は、薬局に設けられたPC(Personal Computer)等の情報端末である。薬局端末2には、薬ケース5を発行するためのプリンタ3aが接続されている。プリンタ3aは、薬ケース5の表面への印字や、薬ケース5の表面へ添付するラベルへの印字などを行うプリンタ装置である。薬局端末2は、医師端末1より通知された処方情報に含まれる診察ID50をプリンタ3aより薬ケース5に印字することで、診察ID50の記録を行う。患者が処方箋を持参する場合には、処方箋に記載された処方情報をキーボードなどから入力し、入力された処方情報に含まれる診察ID50が薬ケース5に印字される。薬局では、処方情報に含まれる薬剤情報にかかる薬剤を、発行された薬ケース5に入れて処方する。
【0017】
なお、薬ケース5への診察ID50の記録は、診察ID50そのものを印字するだけでなく、バーコードや2次元コードに変換したものを印字してもよく、後述する端末装置7より入力可能な形態であれば何れであってもよい。また、本実施形態では、プリンタ3aより印字して記録する構成を例示するが、診察ID50の記録は、RFID(Radio Frequency IDentification)などにより薬ケース5に設けられた無線タグに記録する構成であってもよい。この場合、端末装置7では、薬ケース5の無線タグを読み取る読取装置により診察ID50の読み取りを行うこととなる。
【0018】
サーバ装置4は、インターネット等の通信ネットワーク(図示しない)を介し、医師端末1や端末装置7と通信可能に接続する情報機器である。なお、端末装置7に対しては、例えばウエブサーバとして、端末装置7からの要求に応じた情報提供を行う。具体的には、サーバ装置4は、制御部40、診察情報DB41、通信部42を備える構成である。
【0019】
制御部40は、CPU、ROM、RAM、HDDなどを備え、サーバ装置4の動作を制御する。診察情報DB41は、医師端末1より診察IDとともに送信された音声情報を、診察IDをキーとするレコードに記憶するデータベースである。したがって、診察情報DB41は、診察IDを指定することで、指定された診察IDにかかる音声情報を参照することができる。通信部42は、制御部40の制御の下、通信ネットワークを介して接続する医師端末1や端末装置7と、所定の通信プロトコルを用いたデータ通信を行う。なお、制御部40は、CPUがプログラムを順次実行することで、記録部401、送信部402、認証部403としての機能を有している。
【0020】
記録部401は、医師端末1より診察IDとともに送信された音声情報を通信部42より受信し、診察情報DB41の新たなレコードに記録する。送信部402は、通信部42を介して接続する外部機器である端末装置7より通知された診察IDに応じて、その診察IDに対応した音声情報を診察情報DB41より読み出す。次いで、送信部402は、読み出した音声情報をマイク12を介して端末装置7へ送信する。
【0021】
認証部403は、予め設定された認証データをもとに、通信部42を介して接続する端末装置7の認証を行う。具体的には、認証データは、パスワードや個人を特定可能な個人情報(例えば診察券などに記載する個人IDなど)であってよい。端末装置7では、認証部403で認証を行うため、パスワードや個人情報の入力を受け付けてサーバ装置4へ送信する。認証部403は端末装置7より送信された情報と認証データとを比較することで、端末装置7の認証を行う。送信部402では、認証部403により認証された端末装置7にのみ、上述した音声情報の送信を行う。これにより、診察時の音声である音声情報の秘匿性を高めることができる。
【0022】
端末装置7は、薬ケース5を保有する患者が使用するための、PC(Personal Computer)等の情報端末である。端末装置7は、CPU、ROM、RAM、HDD、キーボード、マウス、音声出力用のスピーカ、通信インタフェースなどを備えた一般的なPCであってよい。
【0023】
上述したとおり、薬ケース5には、音声を録音した診察を識別する診察ID50が記録されている。よって、患者は、診察時の会話を確認したい場合、サーバ装置4のウエブページを開いて、薬ケース5に記録されている診察ID50をサーバ装置4に通知し、端末装置7に記憶された音声情報をダウンロードする。このダウンロードした音声情報を端末装置7で再生することで、患者は、薬剤を処方された際の医師の診察内容を確認することができる。例えば、診察時に指導された薬剤の飲み方などの会話を確認できる。また、薬剤以外の医師のアドバイス、例えば「お風呂に入ってよいですよ」なども確認することができる。
【0024】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、診察時の音声の音声情報を薬ケースのICメモリに記憶させている。そして、薬ケースは、患者の操作指示に応じて記憶された診察時の音声を再生する。
【0025】
図2は、第2の実施形態にかかる薬局システム100bの構成を示すブロック図である。なお、薬局システム100bにおいて、第1の実施形態にかかる薬局システム100aと略同一の構成については同じ符号を付している。
【0026】
図2に示すように、薬局端末2には、ICメモリへのデータの読み書きを行う読取/書込装置3bが接続されている。薬ケース5aは、記憶部51、操作部52、音声再生部53、計時部54を備える構成である。
【0027】
記憶部51は、読取/書込装置3bによるデータの読み書きが可能なICメモリ等である。薬局端末2は、送信部143より診察IDとともに送信される音声情報の中で、医師端末1より通知された処方情報に含まれる診察IDに対応する音声情報511を読取/書込装置3bにより記憶部51に書き込む。すなわち、記憶部51には、薬ケース5aに入れて処方される薬剤について、診察の際に録音した音声の音声情報511が記憶される。
【0028】
また、音声情報511を書き込む際に、処方情報に含まれる薬剤情報をもとに、その薬剤情報が示す薬剤の投薬にかかる時刻情報512を記憶部51に書き込む。具体的には、薬剤情報には朝、昼、夕などを指定した投薬方法が記述されていることから、指定された投薬方法をもとに換算した投薬の時刻を時刻情報512として記憶部51に書き込む。例えば、投薬方法として朝、昼、夕が指定されている場合は、朝、昼、夕の時刻に該当する8:00、12:00、18:00を時刻情報512として記憶部51に書き込む。
【0029】
操作部52は、ユーザの操作を受け付ける操作ボタンなどである。具体的には、操作部52は、記憶部51に記憶された音声情報511の再生指示を受け付ける。音声再生部53は、音声再生回路、アンプ、スピーカなど(何れも図示しない)を備え、操作部52の再生指示に応じて記憶部51に記憶された音声情報511を読み出して再生する。計時部54は、水晶発振器などにより現在時刻を計時する回路である。
【0030】
第2の実施形態において、患者は、診察の際に処方された薬ケース5aの操作部52を操作して音声情報511を再生することで、その診察時における会話を確認することができる。
【0031】
また、音声再生部53は、計時部54により計時される現在時刻が時刻情報512が示す時刻に該当する場合、予め設定された報知音などによる音声報知を行う。この音声報知により、患者は、投薬の時刻を容易に知ることができる。
【符号の説明】
【0032】
100a、100b…薬局システム、1…医師端末、2…薬局端末、3a…プリンタ、3b…読取/書込装置、4…サーバ装置、5、5a…薬ケース、7…端末装置、10…操作部、11…表示部、12…マイク、13…通信部、14…制御部、40…制御部、41…診察情報DB、42…通信部、50…診察ID、51…記憶部、52…操作部、53…音声再生部、54…計時部、141…録音部、142…処方情報出力部、143…送信部、401…記録部、402…送信部、403…認証部、511…音声情報、512…時刻情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2010−68899公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診察の際の音声を録音する録音手段、
音声を録音した前記診察を識別する診察識別情報と、前記診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力する処方情報出力手段、
前記診察の際に録音した音声の音声情報と、前記診察識別情報とを送信する送信手段を備える医師端末と、
出力された前記処方情報に含まれる診察識別情報を記録した薬ケースを発行する発行手段を備える薬局端末と、
送信された前記音声情報と、前記診察識別情報とを記憶する記憶手段、
外部機器からの前記診察識別情報の通知に応じて、当該診察識別情報に対応した音声情報を前記外部機器へ送信する送信手段を備えるサーバ装置と、
を有することを特徴とする薬局システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記外部機器の認証を行う認証手段を更に備え、
前記送信手段は、前記認証手段により認証された外部機器へ、前記通知に応じた音声情報の送信を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の薬局システム。
【請求項3】
診察の際の音声を録音する録音手段、
音声を録音した前記診察を識別する診察識別情報と、前記診察で処方する薬剤を示す薬剤情報とを含む処方情報を出力する処方情報出力手段、
前記診察の際に録音した音声の音声情報と、前記診察識別情報とを送信する送信手段を備える医師端末と、
出力された前記処方情報に含まれる診察識別情報と対応して送信された前記音声情報を記憶手段に記憶させた薬ケースを発行する発行手段を備える薬局端末とを有し、
前記薬ケースは、
前記記憶手段に記憶された前記音声情報の再生指示を受け付ける操作手段、
前記再生指示に応じて記憶された前記音声情報の再生を行う音声再生手段を備えること、
を特徴とする薬局システム。
【請求項4】
前記発行手段は、前記処方情報に含まれる薬剤情報をもとに、当該薬剤情報が示す薬剤の投薬にかかる時刻情報を前記記憶手段に記憶させ、
前記薬ケースは、現在時刻を計時する計時手段を更に備え、
前記音声再生手段は、計時された現在時刻が記憶された前記時刻情報が示す時刻に該当する場合に音声報知を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の薬局システム。
【請求項5】
診察の際に録音した音声の音声情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記音声情報の再生指示を受け付ける操作手段と、
前記再生指示に応じて記憶された前記音声情報の再生を行う音声再生手段と、
を備えることを特徴とする薬ケース。
【請求項6】
現在時刻を計時する計時手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記診察で処方された薬剤の投薬にかかる時刻情報を記憶し、
前記音声再生手段は、計時された現在時刻が記憶された前記時刻情報が示す時刻に該当する場合に音声報知を行うこと、
を特徴とする請求項5に記載の薬ケース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−113550(P2012−113550A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262672(P2010−262672)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】