説明

薬物動態が制御された組成物

本発明は、食物作用を示す薬剤と少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含む製剤を調製することにより、かかる食物作用を示す薬剤の食物作用を低減する方法を包含する。また、本発明は、標的食物作用を有する製剤を調製する方法であって、(a)標的食物作用を測定する工程;及び(b)食物作用を示すAPIを、充分量の(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せと混合して、標的食物作用を有する製剤を製造する工程を含んでなる方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月6日に出願された米国仮特許出願第60/819,041号(発明の名称“Compositions with Controlled Pharmacokinetics”)に基づく利益を請求する。本出願は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、活性医薬成分の生体利用能(bioavailability)に対する食物の作用を低減する組成物、かかる組成物を作製する方法、及び、かかる組成物を用いて食物の作用を低減する方法を包含する。
【背景技術】
【0003】
ある特定の治療薬の経口投与時における吸収及び生体利用能が、数多くの因子に影響され得ることは一般に知られている。かかる因子の1つとして、消化(GI)管内における食物の存在が挙げられる。食物作用を示す薬剤化合物は多数報告されている。食物作用とは、絶食条件下と摂食条件下との吸収速度の差として規定することができる。食物作用は、製剤と消化管環境、薬物代謝、又はこれらの双方との間の相互作用に起因する。一部の薬剤においては、食物作用は薬剤の薬物動態に影響を与えない。このような場合は、摂食条件下及び絶食条件下の双方で薬剤を投与することが可能である。他の薬剤においては、食物作用は薬剤の薬物動態にとって極めて重要であり、薬剤を食物と一緒に摂取するか、或いは食物無しで摂取するかによって、薬剤の作用が大きな影響を受ける。従って本分野では、薬剤組成物の食物作用を制御又は低減する一般的な方法の開発が求められている。
【0004】
アトルバスタチンは、スタチン類と呼ばれる薬剤群の一員であり、本発明の一般概念を説明するための薬剤モデルとして使用できる。
【0005】
スタチン類は単独で、或いは[例えば、作用機構の異なる脂質低下剤(例えばフェノフィブレート、エゼチミベ、トルセトラピブ等)との、カルシウムイオン拮抗剤又はスローチャンネル遮断薬(例えばアムロジピン等)との、ACEインヒビター(例えばベナゼプリル等)との、或いは、例えばアスピリン等のサリチル酸塩、クロピドグレル、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又はオシノプリルとの]組み合わせで使用される。スタチン薬剤は、対象の血流中の低密度リポタンパク質(LDL)粒子濃度を低減するために使用されてきた。
【0006】
アトルバスタチンは米国特許第4,681,893号により開示されたと報じられている。アトルバスタチンはファイザー社(Pfizer, Inc.)により錠剤の形態で、商品名リピトール(Lipitor:登録商標)の下、HMG−CoA還元酵素インヒビターとして、また、高コレステロール血症及び高脂質血症の治療用に販売されている。リピトールには食物作用が見られることが報告されている。これは、アトルバスタチンの薬物動態が、食物摂取の影響を受けることを示している。朝食又は夕食後にアトルバスタチンを単回投与(10mg又は80mg)し、絶食したボランティアとの比較で食物の影響を見ると、Cmaxは低下し、Tmaxは長くなり、吸収度合はほとんど変化しないとの報告がある(Radulovie L.L. et al., J. CLIN. PHARM., 35: 990-4 (1995); Whitfield, L.R. et al., EUR. J. DRUG METAB. PARMACOKINET., 25: 97-101(2000))。アトルバスタチンを食事と一緒に摂取すると、その生体利用能が低下する(AUC9%低下、Cmax25%低下)との報告もある(Physician's Desk Reference, JuL 2004)。リピトールと生物学的に同等な製剤の開発でも、絶食条件下では摂食条件下に比べてCmax値が上昇し、(リピトールに対する)比も絶食条件下(Cmax比fast=Cmax試験fast/Cmax参照fast)では、摂食条件下(Cmax比fed=Cmax試験fed/Cmax参照fed)と比べて上昇することから、同等又はより大きな食物作用が観察されている。リピトールでは、アトルバスタチンの食物作用が、特定の成分、すなわち炭酸カルシウムの使用により制御されることが示唆されているが、その作用機序は明らかではなく、同様の組成物の開発を目指す製剤者が制御し得るものではない。
【0007】
生体利用能を増加及び減少させる等、生体利用能に影響を与える種々の手段が、文献に開示されている。しかし、これらの方法は、摂食条件下及び絶食条件下の双方で、生体利用能に影響を与える(増加又は減少させる)。結果として、食物作用の程度は実質的に変わらないことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、アトルバスタチン等の薬剤を含む製剤の開発における主要な課題の1つは、薬剤の生体利用能に対する食物の影響である。従って、かかる薬剤の投与時に直面する食物作用を、炭酸カルシウムを用いることなく有効に低減する、製剤及びその調製法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、食物作用を示す薬剤の投与に伴う食物作用を低減する方法及び組成物を包含する。ある実施態様によれば、食物作用が低減されている他は、その製剤のAPIの生体利用能は、そのAPIのFDA認可製剤と同等である。
【0010】
また、本発明は、摂食及び絶食条件下での薬剤の生体利用能を有効に制御する方法及び組成物を包含する。ある実施態様によれば、絶食条件に対する影響を最小限に抑えつつ、摂食条件下での生体利用能を制御するとともに、摂食条件に対する影響を最小限に抑えつつ、絶食条件下での生体利用能を制御する。例えば、ある実施態様によれば、摂食条件に対する影響を最小限に抑えつつ、絶食条件下での生体利用能を低下させ、及び/又は、絶食条件に対する影響を最小限に抑えつつ、摂食条件下での生体利用能を上昇させる。
【0011】
ある実施態様によれば、本発明は、標的食物作用を有する製剤を調製する方法であって、(a)標的食物作用を測定する工程;及び(b)食物作用を示すAPIを、充分量の(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せと混合して、標的食物作用を有する製剤を製造する工程を含んでなる方法を包含する。
【0012】
好適な実施態様によれば、標的食物作用を有する製剤を調製する方法は、(a)初期食物作用を示すAPIと、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤及び/又は(ii)少なくとも1つの親油性結合剤とを含んでなる製剤を提供する工程;(b)標的食物作用を測定する工程;並びに(c)製剤中の生分解性結合剤又は親油性結合剤の量を、標的食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる。
【0013】
別の好適な実施態様によれば、標的食物作用を有する製剤を調製する方法は、(a)食物作用を示すAPIと、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤及び/又は(ii)少なくとも1つの親油性結合剤とを含んでなる試験製剤の初期食物作用を測定する工程;(b)食物作用を示すAPIを含んでなる参照製剤の参照食物作用を測定する工程;並びに(c)試験製剤中の生分解性結合剤及び/又は親油性結合剤の量を、参照食物作用と生物学的に同等な相対食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる。
【0014】
ある実施態様によれば、製剤の相対食物作用は約0.8〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1、より好ましくは約1である。
【0015】
好適な実施態様によれば、製剤は生分解性結合剤を含む。例えば、消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤をを含む。生分解性結合剤は、消化管酵素により分解し得る結合剤を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、約1〜約7.5のpHで分解し得る結合剤を含むことが好ましく、約1.3〜約6.5、又は約1.2〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。
【0016】
生分解性結合剤は、少なくとも1つのタンパク質、脂質、又は多糖を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、ゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体、水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセロール、PEGエステル、又はデンプンの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
好適な実施態様によれば、製剤は親油性結合剤を含む。例えば、親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、又はこれらの双方である親油性結合剤を含む。親油性結合剤は約2〜約7のpHで分解することが好ましく、約1.3〜約6.5のpHで分解することがより好ましい。
【0018】
親油性結合剤は、エチルセルロース、又はエチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0019】
好適な実施態様によれば、製剤は、全部で約0.5〜約60重量%、好ましくは約0.5〜約40重量%、より好ましくは約1〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含む。また、使用される結合剤の種類によっては、製剤が、全部で約5〜約15重量%、又は約10〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含むことも好ましい。
【0020】
好適な実施態様によれば、製剤は、顆粒及び顆粒外成分を含む。生分解性結合剤又は親油性結合剤は、顆粒及び顆粒外成分中に存在することが好ましい。また、製剤が、少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤をさらに含むことも好ましい。製剤は、少なくとも1つの崩壊剤をさらに含むことが好ましい。
【0021】
別の好適な実施態様によれば、製剤は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つをさらに含む。
【0022】
別の好適な実施態様によれば、製剤は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0023】
ある実施態様によれば、食物作用を示すAPIは、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸、例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンを含む。
【0024】
また、ある実施態様は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸(好ましくは食物作用を示すもの)と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる医薬組成物を包含する。好適な3,5−ジヒドロキシ酸としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンが挙げられる。
【0025】
ある実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる。ここで、3,5−ジヒドロキシ酸により示される食物作用は、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一の3,5−ジヒドロキシ酸含有医薬組成物と比較して、例えば少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、又は少なくとも約100%低下している。
【0026】
別の実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、全部で約0.5〜60重量%の少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含む。
【0027】
ある実施態様によれば、医薬組成物の相対食物作用は、約0.8〜約1.25、約0.8〜約1、又は約1である。APIが示す食物作用は、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在下である他は同一のAPI含有医薬組成物と比較して低下していることが好ましい。
【0028】
製剤は、生分解性結合剤、例えば消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、消化管酵素により分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。生分解性結合剤は、約1〜約7.5のpHで分解し得る結合剤を含むことが好ましく、約1.3〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。
【0029】
ある好適な実施態様によれば、生分解性結合剤は、少なくとも1つのタンパク質、脂質、又は多糖を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、ゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体、水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセロール、ステアロイルマクロゴールグリセリド、又はデンプンの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0030】
別の実施態様によれば、製剤は親油性結合剤を含む。例えば、親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、又はこれらの双方である親油性結合剤を含む。親油性結合剤は、約2〜約7のpHで分解することが好ましく、約1.3〜約6.5のpHで分解することがより好ましい。
【0031】
ある好適な実施態様によれば、親油性結合剤は、エチルセルロース、又はエチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含む。
【0032】
好適な実施態様によれば、医薬組成物は、全部で約0.5〜約60重量%、好ましくは約0.5〜約40重量%、より好ましくは約1〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含む。また、使用される結合剤の種類によっては、製剤が、全部で約5〜約15重量%、又は約10〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含むことも好ましい。
【0033】
好適な実施態様によれば、製剤は、顆粒及び顆粒外成分を含む。別の好適な実施態様によれば、生分解性結合剤又は親油性結合剤は、顆粒及び顆粒外成分中に存在する。
【0034】
ある好適な実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤をさらに含む。別の好適な実施態様によれば、医薬組成物は少なくとも1つの崩壊剤をさらに含む。
【0035】
ある実施態様によれば、医薬組成物は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つを含む。
【0036】
また、本発明は、本発明の医薬組成物及び製剤であって、その相対食物作用が、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一のAPI含有医薬組成物と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、又は少なくとも約100%低下しているものを包含する。
【0037】
本発明は、本発明の方法により調製される製剤と、治療の必要な哺乳動物にこれらの製剤を投与することにより疾患を治療する方法とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1における模擬絶食条件(絶食モデル1)対摂食条件(摂食モデル1)下のインビトロ溶解速度。
【図2】実施例1及び2における模擬摂食条件(摂食モデル2)下での、ペプシン存在下及び不在下でのインビトロ溶解速度。
【図3】実施例3における模擬絶食条件(絶食モデル1)対摂食条件(摂食モデル1)下のインビトロ溶解速度。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、食物作用を示す薬剤の投与に伴う食物作用を、好ましくは食物作用低減用物質として炭酸カルシウムを必要とすることなく、有効に低減する方法及び製剤を包含する。具体的に、本発明は、食物作用を示す薬剤、特に絶食条件下での生体利用能と比較して摂食条件下での生体利用能の方が低い薬剤を対象とする。また、本発明は、上記薬剤により例示される薬剤混合品も包含する。この場合、混合物中の第2の薬剤は、同等の食物作用又は何らかの食物作用を示してもよく、示さなくてもよい。
【0040】
本明細書で使用される「食物作用」とは、絶食条件下での吸収速度と摂食条件下での吸収速度との差を意味し、本明細書ではCmaxfed/Cmaxfastとして定義される。すなわち、食物作用を示す場合とは、Cmaxfed/Cmaxfastが1より小さいか又は1より大きい場合である。
【0041】
「相対食物作用」という語は、Cmax比fed/Cmax比fastとして定義される。
【0042】
「Cmax比fed」という語は、試験製剤のCmaxfedを参照製剤のCmaxfedで割った値を意味する。同様に、「Cmax比fast」という語は、試験製剤のCmaxfastを参照製剤のCmaxfastで割った値を意味する。
【0043】
例えば、参照製剤(例えばリピトール(登録商標))と生物学的に同等な製剤は、相対食物作用が約0.8〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1、より好ましくは約1となるであろう。相対食物作用が1未満であれば、その製剤は参照製剤より食物作用が弱いことになる。相対食物作用が1より大きい製剤は、参照製品(例えばリピトール(登録商標))より食物作用が強いことになる。
【0044】
本明細書で使用される「食物作用のパーセント変化」という語句は、初期食物作用と1との差に基づいている。例えば、食物作用が1.2の場合、調整された食物作用が1.18であれば、10パーセント低下したと言うことができる。これは以下のように計算される。
1.2−[(1.2−1)×10%)]=1.2−0.02=1.18
【0045】
本明細書で測定量について使用される「約」という語は、測定を実施又は解釈する当業者が、測定の目的及び使用する測定器具の精度に応じた注意を払った場合に、通常予測される測定量の変動を意味する。
【0046】
薬剤の生体利用能は、その吸収速度に依存する。吸収速度は、投与される薬剤の種類、胃の内容物(存在する食物の種類と量)、製剤の溶解速度等の影響を受ける。今回、生分解性結合剤及び/又は親油性結合剤の使用により、絶食条件を模した溶解媒体中の製剤のインビトロ溶解速度が顕著に低下する一方で、摂食条件を模した分解酵素含有溶解媒体中の溶解速度に対する影響は最小であることが見出された。従って、生分解性結合剤及び/又は親油性結合剤の添加により、絶食条件下と摂食条件下の吸収速度の差を低減することができる。
【0047】
本発明に包含される好適な製剤によれば、典型的には、インビトロ溶解速度から明らかなように、模擬絶食条件下での生体利用能に及ぼす作用は、摂食条件下よりも大きい。従って、この新しい知見を用いれば、摂食条件下の生体利用能と絶食条件下の生体利用能とを、実質的に独立に制御することができる。結果として、本発明によれば、かかる食物作用を示す薬剤について、食物作用を低減することが可能となる。さらに、本発明によれば、既知の調製物の生物学的に同等な製剤について、摂食及び絶食条件下での生体利用能の制御が可能になる。
【0048】
従って、本発明は、かかる食物作用を示す薬剤の投与に伴う食物作用を、有効に制御する(例えば低下させる)方法及び製剤を包含する。ある実施態様によれば、本発明は、かかる食物作用を示す薬剤の食物作用を低減する方法であって、食物作用を示す薬剤と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる製剤を調製することにより、APIの食物作用を低下させる方法を包含する。
【0049】
ある実施態様によれば、本発明は、標的食物作用を有する製剤を調製する方法であって、(a)標的食物作用を測定する工程;及び(b)食物作用を示すAPIを、充分量の(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せと混合して、標的食物作用を有する製剤を調製する工程を含んでなる方法を包含する。
【0050】
本明細書において「充分量」という語は、所望の目的を達成するのに充分な量、例えば、標的食物作用を有する製剤の調製を達成するのに充分な量を意味する。
【0051】
好適な実施態様によれば、標的食物作用を有する製剤を調製する方法は、(a)初期食物作用を示すAPIを含んでなる製剤と、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤及び/又は(ii)少なくとも1つの親油性結合剤とを含んでなる製剤を提供する工程;(b)標的食物作用を測定する工程;及び(c)製剤中の生分解性結合剤又は親油性結合剤の量を、標的食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる。
【0052】
別の好適な実施態様によれば、標的食物作用を有する製剤を調製する方法は、(a)食物作用を示すAPIと、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤及び/又は(ii)少なくとも1つの親油性結合剤とを含んでなる試験製剤の初期食物作用を測定する工程;(b)食物作用を示すAPIを含んでなる参照製剤の参照食物作用を測定する工程;及び(c)試験製剤中の生分解性結合剤及び/又は親油性結合剤の量を、参照食物作用と生物学的に同等な相対食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる。
【0053】
ある実施態様によれば、調整製剤の相対食物作用は、約0.8〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1、より好ましくは約1である。
【0054】
通常、本発明での使用に好適な結合剤は、「絶食モード」に比べ「摂食モード」で優先的に分解されるものである。すなわち、以下で摂食モードを模して使用される媒体中での組成物の錠剤のインビトロ崩壊試験と、以下で絶食モードを模して使用される媒体中での組成物の錠剤の崩壊試験とを実施することにより、結合剤候補を含んでなる組成物を分析することができる。摂食モードの媒体中での崩壊時間が、絶食モードの媒体と比べて有意に速ければ、かかる結合剤は、本発明の好適な実施態様での使用に適した候補であることが分かる。
【0055】
生分解性結合剤は、消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、消化管酵素により分解し得る結合剤を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、約1〜約7.5のpHで分解し得る結合剤を含むことが好ましく、約1.3〜約6.5、又は約1.2〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。
【0056】
医薬製剤では通常、結合剤が使用される。その主な役割は、接着及び錠剤硬度(機械的強度)の付与にある。結合剤が違えば結合性も異なる。結合剤は通常、固有の充填率、硬化及び圧縮挙動を有し、これらによって薬剤の溶解速度に差が生じる。結合能は、結合剤の使用量、結合剤の性質、すなわち結合剤の単位重量当たりの結合数、及び結合剤の付加法、例えば、湿式及び乾式造粒法、噴霧乾燥法、又は混合法等により決定される。
【0057】
本発明の方法及び製剤は、少なくとも1つの生分解性結合剤、特に胃の酵素により分解し得る結合剤、又は親油性/疎水性結合剤の使用を含む。生分解性結合剤はポリマー性結合剤であるであることが好ましい。また、生分解性結合剤が、切断により分子量を減少させ得る酵素により分解可能であることも好ましい。かかる酵素の例としては、ペプシン、リパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼ、及びアミラーゼが挙げられる。特に好適な結合剤としては、酵素ペプシン及び/又はリパーゼにより分解可能なものが挙げられる。特に好適な結合剤としては、約1〜約7.5のpH(これは、胃内又はその末端で遭遇する)で分解可能なものが挙げられる。一方、親油性結合剤は、pHが約2〜約7、例えば約1.3〜約6.5の親油性媒体中で、より迅速な薬剤放出能を発揮する。
【0058】
適当な生分解性結合剤の例としては、タンパク質、例えばゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体(例えば、COZEEN、VPP)等、脂質、例えば水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール(Precirol ATO5)、ベヘン酸グリセロール(Compritol 888 ATO)、ステアロイルマクロゴールグリセリド(例えばGelucire50/13)等が挙げられる。また、生分解性結合剤としては、多糖、例えばデンプン及びその誘導体(例えばContramid)、例えばキトサン等も好ましい。
【0059】
親油性結合剤は、親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、或いはこれらの双方であることが好ましい。親油性結合剤は、エチルセルロース、又はエチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含むことが好ましい。親油性結合剤は、少なくとも1つのエチルセルロースを単独で含むか、或いは、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、HPMC、又はポロキサマー(例えば124)等、ゼインやコゼイン(COZEEN)等のタンパク質、脂質、例えば水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール(Precirol ATO5)、ベヘン酸グリセロール(Compritol 888 ATO)、又はステアロイルマクロゴールグリセリド(例えばGelucire50/13)等とともに含むことが好ましい。親油性結合剤は、エチルセルロースを単独で含むか、或いはポリマー、例えばポリエチレングリコール、HPMC、又はポロキサマー(例えば124)、ゼインやコゼイン等のタンパク質、脂質、例えば水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール(Precirol ATO5)、ベヘン酸グリセロール(Compritol 888 ATO)、又はステアロイルマクロゴールグリセリド(例えばGelucire50/13)とともに含むことがより好ましい。本発明の生分解性及び/又は親油性賦形剤は、結合剤としての使用の他に、コーティング剤、親油性マトリックス形成剤(AAPS、PharmSciTech、2003;4(3)、及びAAPS、PharmSciTech、2001;2(2))、乳化剤、滑剤、崩壊剤、希釈剤、可溶化剤(米国特許第6,923,988号)、又は安定剤として使用することもできる。これらの賦形剤の機能は、その濃度及び関連する調製法に依存する。さらに、条件によってはこれらの賦形剤を、持続放出結合剤及びマトリックス形成剤として用いることもできる。
【0060】
本発明の製剤は、約0.5〜約60重量%の生分解性結合剤又は親油性結合剤を含むことが好ましい。中でも製剤は、全部で約0.5〜40重量%、より好ましくは1〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含むことがより好ましい。また、使用される結合剤の種類によっては、製剤が、全部で約5〜15重量%、又は10〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含むことがより好ましい。
【0061】
好適な実施態様によれば、主に摂食条件下の胃内で結合剤の分解が生じるように、結合剤の性質及び量を調整する。摂食条件下の胃内は、ペプシン及びリパーゼの活性が上昇した、高親油性の環境を特徴とある。本発明での使用に適した結合剤は、特定の結合剤を含む錠剤組成物について、本明細書で摂食モードを模して使用される媒体中でのインビトロ崩壊試験と、以下で絶食モードを模して使用される媒体中での崩壊試験とを実施することにより、決定することができる。摂食モードの媒体での崩壊時間が絶食モードの媒体と比べて有意に短ければ、その結合剤が本発明での使用に適していることが分かる。
【0062】
製剤はさらに、少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤を含むことが好ましい。生体利用能を所望のとおりに調整するために、非生分解性結合剤や崩壊剤等の追加の賦形剤を加えてもよい。すなわち、生分解性結合剤及び/又は親油性結合剤の使用により食物作用は低下するが、適切な崩壊剤を適切な量加えることにより、絶食条件下及び摂食条件下の双方で生体利用能を上昇させることができる。同様に、非生分解性結合剤及び非親油性結合剤を加え、或いはその含量を上昇させることにより、摂食条件下及び絶食条件下の双方において生体利用能を低減することができる。
【0063】
従って、絶食条件への影響を最小に抑えつつ、摂食条件下の生体利用能を制御し、及び/又は、摂食条件への影響を最小に抑えつつ、絶食条件下の生体利用能を制御することができる。例えば、摂食条件への影響を最小に抑えつつ、絶食条件下での生体利用能を低減し、或いは、絶食条件への影響を最小に抑えつつ、摂食条件下での生体利用能を上昇させることができる。
【0064】
本発明は、生体利用能の制御が所望され、或いは必要とされる製剤に適しており、特に望ましからぬ食物作用を示す薬剤に適している。本発明は、食物作用を示す薬剤、好ましくは絶食条件下での生体利用能と比較して摂食条件下での生体利用能が低い薬剤に適している。食物作用を示す薬剤は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸を含むことが好ましい。薬剤は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0065】
好適な実施態様によれば、製剤は、顆粒及び顆粒外成分を含む。使用した結合剤は、顆粒及び顆粒外成分中に存在していてもよい。より好ましくは、生分解性結合剤又は親油性結合剤は、顆粒及び/又は顆粒外成分中に存在する。本発明の製剤は、乾燥混合、湿式造粒法、噴霧造粒法、又はこれらの組合せにより調製することができる。
【0066】
また、本発明の製剤は、特に生分解性又は親油性ではない他の賦形剤、例えば、アラビアゴム、アルギン酸、カーボマー(例えばカーボポル)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアールガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、Povidone PVP K-30、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、α化デンプン、及びアルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(例えば、AcDiSol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標)、Primoljel(登録商標))、コロイド性二酸化ケイ素、三珪酸マグネシウム、粉末セルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ミネラル油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛等を含有していてもよい。
【0067】
好適な実施態様によれば、製剤はさらに、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース(例えば、Avicel)、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、ポビドン(例えばPVP K-30)、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)(Eudragit(登録商標)E)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つを含む。別の好適な実施態様において調整製剤は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0068】
また、一部の実施態様は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸(好ましくは食物作用を示すもの)と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる医薬組成物を包含する。好適な3,5−ジヒドロキシ酸としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンが挙げられる。
【0069】
ある実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含有し、3,5−ジヒドロキシ酸が示す食物作用が、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一の3,5−ジヒドロキシ酸含有医薬組成物と比較して、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、又は少なくとも約100パーセント低下している。
【0070】
好適な実施態様によれば、医薬組成物は、その相対食物作用が約0.8〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1、より好ましくは約1である。APIが示す相対食物作用は、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一のAPI含有医薬組成物と比較して低下している。例えば、相対食物作用は、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一のAPI含有医薬組成物と比較して、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、又は少なくとも約100パーセント低下し得る。
【0071】
別の実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、全部で約0.5〜約60重量%の少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含有する。
【0072】
生分解性結合剤は、消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含むことが好ましい。生分解性結合剤は、消化管酵素により分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。生分解性結合剤は、約1〜約7.5のpHのpHで分解し得る結合剤を含むことが好ましく、約1.3〜約6.5、又は約1.2〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含むことがより好ましい。
【0073】
ある好適な実施態様によれば、生分解性結合剤は、少なくとも1つのタンパク質、脂質、又は多糖を含む。好ましくは生分解性結合剤は、ゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体、水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセロール、ステアロイルマクロゴールグリセリド、又はデンプンの少なくとも1つを含む。
【0074】
別の実施態様によれば、親油性結合剤は、親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、又はこれらの双方である。親油性結合剤は、約2〜約7のpHで分解することが好ましく、約1.3〜約6.5のpHで分解することがより好ましい。
【0075】
ある好適な実施態様によれば、親油性結合剤は、エチルセルロース、又はエチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含む。
【0076】
好適な実施態様によれば、医薬組成物は、約0.5〜約60重量%、好ましくは約0.5〜約40重量%、より好ましくは約1〜約25重量%の生分解性結合剤又は親油性結合剤を含む。また、使用される結合剤の種類によっては、製剤が、約5〜約15重量%、又は約10〜約25重量%の生分解性結合剤又は親油性結合剤を含有することも好ましい。
【0077】
別の好適な実施態様によれば、医薬組成物は、顆粒及び顆粒外成分を含有する。別の好適な実施態様によれば、生分解性結合剤又は親油性結合剤は、顆粒及び顆粒外成分中に存在する。
【0078】
ある好適な実施態様によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤をさらに含有する。別の好適な実施態様によれば、医薬組成物は少なくとも1つの崩壊剤をさらに含有する。
【0079】
ある実施態様によれば、医薬組成物は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つを含む。好ましくは医薬組成物は、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含有する。
【0080】
本発明は、本発明の方法で調製される製剤、及び、これらの製剤を治療の必要な哺乳動物に投与することにより疾患を治療する方法を包含する。
【0081】
本発明の製剤は固体剤形であることが好ましく、錠剤形態であることが好ましい。剤形(例えば錠剤)に圧縮成形される固体医薬組成物は、圧縮後に活性成分と他の賦形剤との結合を促進する機能を有する賦形剤を含有する。固体医薬組成物の結合剤としては、アラビアゴム、アルギン酸、カーボマー(例えばカーボポル)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、Povidone PVP K-30、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びデンプンが挙げられる。
【0082】
また、固体医薬組成物を圧縮成形する場合、組成物へ崩壊剤を加えてもよい。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標)、Primoljel(登録商標))、及びデンプンが挙げられる。
【0083】
圧縮前又は非圧縮の固体組成物の流動性を改良するために、また、圧縮及びカプセル充填時の用量精度を改善するために、流動促進剤を加えてもよい。適切な流動促進剤としては、コロイド性二酸化ケイ素、三珪酸マグネシウム、粉末セルロース、及びタルクが挙げられる。
【0084】
例えば、染料やパンチに対する製品の接着を低下させ、及び/又は、製品の放出を容易にするために、滑剤を加えてもよい。適切な滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、ミネラル油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0085】
製剤中に導入し得る他の賦形剤としては、保存剤及び/又は抗酸化剤が挙げられる。当業者には理解し得るように、医薬業界で通常使用されている他の任意の賦形剤を使用することが可能である。
【0086】
特定の好適な実施態様を参照して本発明を説明したが、当業者であれば本明細書を考慮することにより、他の実施態様についても明らかであろう。以下の実施例を参照しながら、本発明を更に規定する。以下の実施例は、本発明を構成する分析法や製造法を詳細に説明したものである。但し、当業者には明らかなように、本発明の範囲を逸脱することなく、材料や方法に多くの変更を加えることが可能である。
【実施例】
【0087】
以下の実施例は、生分解性結合剤としてゼラチンを含有し、生分解性/親油性結合剤として水素化ヒマシ油を含有するアトルバスタチン組成物を用いて、本発明の概念を例示するものである。組成物の試験は、USPパドル法を用いて37℃で絶食及び摂食条件を模したインビトロ溶解モデルにより行った。モデルは以下のように、親油性及び酵素含量により区別した。
【0088】
・絶食モデル1:パンクレアチン含有親水性媒体(リン酸緩衝液pH7.5、700ml、80rpm)。このモデルは、絶食条件下の小腸環境を模すことを目的とする。
・摂食モデル1:パンクレアチン含有疎水性−親油性媒体(水中油エマルジョン、pH6.0、700ml、80rpm)。このモデルは摂食条件下の小腸環境を模すことを目的とする。
・摂食モデル2:ペプシン含有疎水性媒体(ミルク、卵、HCl、ゴマ油、pH2.3、780ml)。このモデルは摂食条件下の胃内環境を模すことを目的とする。
【0089】
生分解性結合剤として使用される4%ゼラチンのみを有する製剤を、絶食及び摂食条件を模す溶解媒体中で試験したところ、食物作用に対するゼラチンの影響は観察されなかった(図1)。しかし、ペプシンを含有する摂食モデル(摂食モデル2)を使用してこの製剤を試験すると、製剤中のゼラチンが生分解性結合剤として機能することが明らかになった(図2)。摂食条件下、且つペプシンの存在下では、溶解速度に対する顕著な作用が観察された。すなわち、ゼラチン含量を増加させると、摂食条件の溶解速度は絶食条件と比べて上昇する。以下で例示されるように、水素化ヒマシ油含有組成物は、絶食条件では溶解が顕著に低下したのに対して、摂食条件を模した親油性媒体では、速い溶解が観察された。インビトロ試験で観察された挙動は、インビボ条件での試験でも反映されることが予測される。
【0090】
[実施例1]
ゼラチン製剤の調製
【表1】

【0091】
工程1:第I部の成分を高剪断ミキサーで完全に混合した。
工程2:第I部の混合物に顆粒化溶液1(溶融したビタミンE(TPGS)を含むアルコール95%)を加えて顆粒化した。生じた顆粒を流動床ドライヤー(Mini Glatt)で乾燥させ、0.8mm口径スクリーン(Frewitt振動造粒機)でサイズ分粒した。
工程3:工程2の顆粒を顆粒化溶液2(50〜60℃の水にゼラチンを溶解し、磁気スターラーで混合して調製した33%ゼラチン水溶液(w/w))で顆粒化した。高剪断ミキサーで混合しながら、工程2の乾燥顆粒にゼラチン溶液(50℃)を加えた。生じた顆粒を流動床ドライヤーで乾燥させ、1.5mm口径スクリーンでサイズ分粒した。
工程4:第II部の成分を工程3の顆粒と混合した。
工程5:第III部の成分を工程4の混合物と混合した。最終混合物を圧縮して錠剤にした。絶食及び摂食状態のGI条件を模した溶解媒体下で組成物を試験した。高剪断ミキサーと流動床ドライヤーとの組合せを使用したが、顆粒化及び乾燥のすべてを流動床ドライヤーで、或いは内部乾燥機構を有する高剪断ミキサーで行うことも可能である。
【0092】
結果(図1に示す)は、実施例1のゼラチンの量が、絶食条件下(絶食モデル1)でも摂食条件下(摂食モデル1)でも、溶解に対して大きな影響を与えないことを示す。摂食モードの胃の条件を模した溶解媒体(すなわち、パンクレアチン含有)(摂食モデル1、図1)で試験したところ、実施例1では絶食モードと同様の迅速な溶解を示した。すなわち、4%のゼラチンのみを含有する処方では、絶食条件と摂食条件とで有意差は観察されなかった。
【0093】
摂食モードの胃の条件を模した溶解媒体(すなわちペプシン含有)(摂食モデル2、図2)で試験したところ、実施例1の溶解は、ゼラチンを含まない比較例の従来処方と同様の速い溶解を示した(対照例2、リピトールと比較した摂食でのCmax113%)。従って、ゼラチンは摂食条件に対して「透明」である。これは、ゼラチンの添加が摂食モードで溶解速度に影響を与えないことを意味する。さらに、媒体からのペプチドの欠如では遅い溶解が観察されたため、実施例1の薬剤放出は酵素介在性であることがわかる(図2)。絶食状態の胃条件に含まれるペプシン濃度は有意に低いため、組成物中のゼラチンの含量が高いほど(例えば6パーセント超)、絶食実験では溶解が遅くなるはずであり、一方、高レベルのペプシンを含む摂食状態では、一定であると考えるのが妥当である。
【0094】
従って、絶食条件に対する摂食条件のインビボの利点を調べるために、生分解性結合剤含量(ゼラチン)の調整を行うべきである。例えば、摂食条件下の溶解/インビボ生体利用能に影響を与えることなく、絶食条件下の溶解/インビボ生体利用能が低下する閾値濃度を超えるまで、組成物中のゼラチン含量を上げることができる。これは、ゼラチン含有錠剤の溶解速度に対するペプシンの影響により説明できる。図2を参照。
【0095】
実施例2(対照)
ゼラチン非含有製剤の調製
【表2】

【0096】
工程1:第I部の成分を完全に混合した。
工程2:第I部の混合物を顆粒化溶液1(溶融したビタミンE(TPGS)を含む95%アルコールとトリス水溶液との混合物)を加えて顆粒化した。生じた顆粒を流動床ドライヤー(Mini Glatt)で乾燥させ、1.0mm口径スクリーン(Frewitt振動造粒機)でサイズ分粒した。
工程3:第II部の成分を工程2の顆粒と混合した。
工程4:第III部の成分を工程3の混合物と混合した。最終混合物を圧縮して錠剤にした。ペプシンを含む摂食状態(摂食モデル2)のGI条件を模した溶解媒体下で組成物を試験した(図2)。
【0097】
実施例3
水素化ヒマシ油製剤の調製
本実施例は、水素化ヒマシ油等の成分を使用することにより、摂食モードの溶解速度に影響を与えることなく、如何に絶食モードの溶解速度を低下させるかを例示する。
【表3】

【0098】
工程1:第I部の成分を完全に混合した。
工程2:第I部の混合物を顆粒化溶液1(溶融したビタミンE(TPGS)を含む95%アルコールとトリス水溶液との混合物)を加えて顆粒化した。生じた顆粒を流動床ドライヤー(Mini Glatt)で乾燥させ、1mm口径スクリーン(Frewitt振動造粒機)でサイズ分粒した。
工程3:第II部の成分を工程2の乾燥顆粒と混合した。
工程4:第III部の成分を工程3の混合物と混合した。
工程5:第IV部の成分を工程4の混合物と混合した。次に混合物を圧縮して錠剤にした(あるいは、混合物はカプセルに充填してもよい)。
【0099】
総錠剤の20重量%の水素化ヒマシ油を含む実施例3の組成物を、図3に示すように絶食状態(絶食モデル1)と摂食状態(給餌モデル1)のGI条件をシミュレートする溶解媒体中で試験した。
【0100】
図3は、水素化ヒマシ油の存在によって、絶食条件下の溶解性が顕著に低下することを示す。実施例3の絶食モードの溶解速度の低下は、食物作用を排除するのに必要と思われるものより大きいが、本実施例は、摂食モードの溶解速度に大きな影響を与えることなく、絶食モードの溶解速度を如何に操作できるかを示している。しかし、パンクレチンを含む親油性媒体の摂食条件を模した溶解媒体(摂食モデル1)で試験すると、溶解の迅速化が観察された。すなわち、結合剤としての水素化ヒマシ油の使用は、摂食条件と比較して絶食条件の溶解速度に大きな影響を与え、従って、食物作用が逆転する程度までの食物作用の低下が観察された。
【0101】
実施例4
アムロジピンを有するアトルバスタチンの水素化ヒマシ油製剤の調製
【表4】

【0102】
工程1:第I部の成分を完全に混合した。
工程2:第I部の混合物を顆粒化溶液1(溶融したビタミンE−TPGSを含む95%アルコールの混合物)を加えて顆粒化した。生じた顆粒をMini Glattで乾燥させ、Frewitt(1mm)で粉砕した。
工程3:第II部の成分を工程2の乾燥顆粒と混合した。
工程4:第III部の成分を工程3の混合物と混合した。
工程5:第IV部の成分を工程4の混合物と混合して最終組成物を生成し、混合物を圧縮して錠剤にした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的食物作用を有する製剤を調製する方法であって、(a)標的食物作用を測定する工程;及び(b)食物作用を示すAPIを、充分量の(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せと混合して、標的食物作用を有する製剤を製造する工程を含んでなる方法。
【請求項2】
(a)初期食物作用を示す活性医薬成分と、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せとを含んでなる製剤を提供する工程;(b)標的食物作用を測定する工程;及び(c)製剤中の生分解性結合剤、親油性結合剤、又はこれらの双方の量を、標的食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)食物作用を示す活性医薬成分と、(i)少なくとも1つの生分解性結合剤、(ii)少なくとも1つの親油性結合剤、又は(iii)これらの組合せとを含んでなる試験製剤の初期食物作用を測定する工程;(b)食物作用を示す活性医薬成分を含んでなる参照製剤の参照食物作用を測定する工程;及び(c)試験製剤の生分解性結合剤、親油性結合剤、又はこれらの双方の量を、参照食物作用と生物学的に同等な相対食物作用を有する調整製剤を製造するのに充分な量に調整する工程を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
調整製剤の相対食物作用が約0.8〜約1.25である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
調整製剤の相対食物作用が約0.8〜約1である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
調整製剤の相対食物作用が約1である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
製剤が、消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
製剤が、消化管酵素により分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
製剤が、約1〜約7.5のpHで分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
製剤が、約1.3〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
製剤が、少なくとも1つのタンパク質、脂質、又は多糖を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
製剤が、ゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体、水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセロール、PEGエステル、又はデンプンの少なくとも1つを含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
製剤が、親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、又はこれらの双方である親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
製剤が、約2〜約7のpHで分解する親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
製剤が、約1.3〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含む親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
製剤が、エチルセルロース、又はエチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含む親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
製剤が、全部で約0.5〜約60重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
製剤が、全部で約0.5〜約40重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
製剤が、全部で約1〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
製剤が、全部で約5〜約15重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
製剤が、全部で約10〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
製剤が、顆粒及び顆粒外成分を含んでなる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
生分解性結合剤又は親油性結合剤が、顆粒及び顆粒外成分中に存在することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
製剤が、少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤をさらに含んでなる、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
製剤が、少なくとも1つの崩壊剤をさらに含んでなる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
製剤が、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つをさらに含んでなる、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
製剤が、乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含んでなる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
食物作用を示す活性医薬成分が、少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
食物作用を示す活性医薬成分が、少なくとも1つのアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンを含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
食物作用を示す活性医薬成分が、アトルバスタチンを含む、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜30に記載の方法により調製される製剤。
【請求項32】
少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる医薬組成物であって、3,5−ジヒドロキシ酸により示される食物作用が、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一の3,5−ジヒドロキシ酸含有医薬組成物と比較して低下している組成物。
【請求項33】
少なくとも1つの3,5−ジヒドロキシ酸と、全部で約0.5〜60重量%の少なくとも1つの生分解性結合剤又は親油性結合剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項34】
3,5−ジヒドロキシ酸は、少なくとも1つのアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、又はロバスタチンである、請求項32又は33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
3,5−ジヒドロキシ酸がアトルバスタチンである、請求項32〜34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
相対食物作用が約0.8〜約1.25である、請求項32〜35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
相対食物作用が約0.8〜約1である、請求項32〜36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
相対食物作用が約1である、請求項32〜37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
3,5−ジヒドロキシ酸により示される食物作用が、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一の3,5−ジヒドロキシ酸含有医薬組成物と比較して少なくとも約10%低下している、請求項32〜38のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
消化管酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、又はアミラーゼの少なくとも1つにより分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
消化管酵素により分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
約1〜約7.5のpHで分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
約1.2〜約6.5のpHで分解し得る結合剤を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
少なくとも1つのタンパク質、脂質、又は多糖を含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
ゼラチン、ゼイン、ゼイン誘導体、水素化植物油、水素化ヒマシ油、パルミトステアリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセロール、ステアロイルマクロゴールグリセリド、又はデンプンの少なくとも1つを含む生分解性結合剤を含んでなる、請求項32〜44のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
親油性媒体に溶解するか、親油性媒体中で崩壊するか、又はこれらの双方である親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜45のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
約2〜約7のpHで分解する親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
約1.2〜約6.5のpHで分解可能な親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
エチルセルロース、エチルセルロースとポリエチレングリコールとの混合物、又はポロキサマーの少なくとも1つを含む親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜48のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
全部で約0.5〜約60重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項32、又は34〜49のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
全部で約0.5〜約40重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
全部で約1〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜51のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
全部で約5〜約15重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜52のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
全部で約10〜約25重量%の生分解性結合剤及び親油性結合剤を含んでなる、請求項32〜53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
顆粒及び顆粒外成分を含んでなる、請求項32〜54のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
生分解性結合剤又は親油性結合剤は、顆粒及び顆粒外成分中に存在する、請求項32〜55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
少なくとも1つの非生分解性結合剤又は非親油性結合剤をさらに含んでなる、請求項32〜56のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
少なくとも1つの崩壊剤をさらに含んでなる、請求項32〜57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムの少なくとも1つを含んでなる、請求項32〜58のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項60】
乳糖、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、炭酸マグネシウム、ビタミンE TPGS、ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(1:2:1)、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含んでなる、請求項32〜59のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
相対食物作用が、生分解性結合剤又は親油性結合剤が不在である他は同一の3,5−ジヒドロキシ酸含有医薬組成物と比較して、少なくとも約10%低下している、請求項32〜60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項62】
請求項31又は32〜61のいずれか1項に記載の製剤を、治療の必要な哺乳動物に投与することにより、疾患を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−542693(P2009−542693A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518389(P2009−518389)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/015593
【国際公開番号】WO2008/005543
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】