説明

薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物

【課題】覚醒剤等の薬物及び依存形成薬物による中毒、禁断症及び致死を抑制する医薬等の機能性組成物を開発する。
【解決手段】1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を有効成分として含む薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アヘン、コカイン、大麻などの天然物質、またはヘロイン、バルビタール類、覚醒剤などの薬物及び依存形成薬物を常用していると、やめられなくなり、薬物依存状態に陥り、これらを手に入れるために生きる目的の大半が費やされるようになってしまう。そのうえ残忍な犯罪の源を作ったりさらには国勢を左右するような大事件にまで発展することさえある。このような薬物及び依存形成薬物の問題と、飲酒や喫煙という、生活に深く密着した嗜好品の常用との間には本質的には同様な底流が潜んでいる。
【0003】
WHOでは薬物依存を形成する薬物及び依存形成薬物を9タイプに分類している。即ち、1.アルコール類、2アンフェタミン類、3.バルビツール酸誘導体類、4.大麻類、5.コカイン類、6.幻覚発現薬類、7.カート類、8.オピエート類、9.有機溶剤類である。これら9タイプに属する依存形成薬物及び依存形成薬物はすべて精神依存を示し、これに身体依存が伴うものはオピエート、バルビツール酸誘導体およびアルコールの3タイプである。これらの薬物及び依存形成薬物のうち現在臨床で使用可能なものはオピエート、バルビツール酸誘導体、コカイン、アンフェタミンタイプに属している薬物である。
【0004】
アンフェタミン類は、一般に覚せい剤といわれるもので、アンフェタミン、メタンフェタミン等の中枢神経興奮薬がある。アンフェタミン類のアンフェタミンやメタンフェタミン等の中枢神経興奮薬は、種々の薬理作用を有している。しかし、メタンフェタミンやアンフェタミンには依存性があるため、覚醒剤取締法によってその使用が厳しく規制されている。
【0005】
アンフェタミン類は、交感神経興奮作用を有し、気分を高揚させ、疲労感を減じる。また、呼吸中枢を刺激し、視床下部に作用して食欲減少作用を示す。アンフェタミンは、精神病、神経症、抑うつ状態を誘発する。さらに動物に大量に与えると、無目的にある行為を反復する常同行動を誘発する。反復連用で食欲減退作用などには耐性を生じるが、自発運動や常同行動誘発の感受性は増加する(逆耐性現象)。ヒトが乱用した場合、効果が切れると激しい疲労感、憂鬱感等の中毒、禁断症及び致死が発生する。さらに繰り返し使用すると、中枢神経に異常をきたし、幻覚、妄想など妄想型結合失調症に似た覚醒剤結合失調症を生じる。また体重減少、抜け歯など、身体的な中毒、禁断症及び致死も表れ、大量に摂取すると死亡する。
【0006】
メタンフェタミンは、わが国ではヒロポンとして知られており、中枢神経、特に大脳に強い刺激作用を有し、また、血管及び平滑筋を作用点とする交感神経興奮薬で、覚醒アミンの1種である。アンフェタミンに比べて、中枢神経興奮作用がより強く、心血管系への末梢刺激作用は弱い。血管運動神経虚脱または血圧低下の血圧回復時に静注または筋注する。また、メタンフェタミンの使用により覚醒剤結合失調症に近似の症状を呈するので、分裂病の病因研究に用いられている。
【0007】
本発明者らは、高用量のメタンフェタミン(20mg/kg)をddY系雄性マウス(5週令)1群7匹の皮下に投与することにより、30分から1時間をピークにした、胸の皮を激しく引っ張るもしくは噛むといった自傷行動を観察した。
このような自傷行動は統合失調症でも認められ、ヒトのLesch−Nyhan syndrome、Tourette’s syndrome 及びCornelia de Lange syndrome等の自傷のモデルとされている。また、覚醒剤投与時ならびにフラッシュバック発現時に、爪剥ぎ行動などの自傷行動が発現することも知られている。
これまでに、中枢神経興奮薬により自傷行動が発現すること、及び自傷モデルの妥当性について幾つかの報告がなされている(非特許文献1〜3を参照)。また、メタンフェタミンの神経毒性についても報告されている(非特許文献4または5を参照)。
また、マウスにおいてモルヒネとメタンフェタミンの併用で致死率が上昇するが、これは薬物乱用による多臓器不全による死亡のモデルになるといえる(非特許文献6を参照)。
【非特許文献1】Int.J.Neuroscience,18(2000)521−530
【非特許文献2】Pharmacol.Biochem.Behavior,17(1982)613−617
【非特許文献3】Pharmacol.Biochem.Behavior,63(1999)361−366
【非特許文献4】日本神経精神薬理学雑誌、22:35−47(2002)
【非特許文献5】Journal of Pharmacological Sciences,92,178−195(2003)
【非特許文献6】Foremsic Science International、37,19−26、1988
【0008】
WHOが分類するあへん類は、ヘロイン、あへん等のいわゆる麻薬がある。ヘロインはあへんから作られ、ヘロインは心身への影響が非常に強く、医学的な使用も禁止されている。中枢神経を抑制し、落ちついた気分と多幸感を増幅させる。中毒、禁断症及び致死としては、悪寒や嘔吐、多量に摂取すると呼吸困難、昏睡を経て死に至る。コカイン類は、覚せい剤と同じように興奮作用があり、作用が迅速で、悪寒や嘔吐等の禁断中毒症状も強く、大量摂取すると、けいれん、呼吸困難から死に至る。大麻類はマリファナともいわれ、通常大麻草の葉を乾燥させたものを、吸煙によって摂取する。感覚異常、興奮状態を呈する。大麻の中毒症状は、無動機症候群といい無気力状態に陥る。乱用すると幻覚、妄想等の中毒、禁断症及び致死が現れ、精神異常をきたす。また、生殖器異常、不妊、染色体異常などが発生する。LSD類は、微量でも異常感をきたす幻覚剤で、色彩感覚が変化し、幻聴が起こり、空間が歪んだり、感覚異常、精神異常をきたす。向精神薬類は、中枢神経に作用し鎮静剤系と興奮剤系に大別される。一般に睡眠薬や精神安定剤といわれる。ハルシオン等の、鎮静剤系の向精神薬などの中毒、禁断症及び致死が社会問題化している。シンナー等の有機溶剤の依存性薬物の中毒症状も問題が深刻化しており、急激な酩酊状態となり、大量摂取で呼吸困難から死に至る。依存症も強く、情緒不安定、無気力、精神異常などを発生する。脳萎縮、手足のしびれ、視力障害の他、成長期の青少年にあっては、骨や筋肉の発育を阻害し、体重を激減させる。また、長期の使用により多臓器不全をともない死に至る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、現状では上述のような中毒、禁断症及び致死を抑制することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アスコルビン酸類、トコフェロール類のような抗酸化ビタミン類を用いることにより、自傷行動や中毒死等の依存性薬物の中毒、禁断症及び致死をほぼ完全に抑制することができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を有効成分として含む薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物を提供する。
また、本発明は、1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を用いることを特徴とする自傷行動,中毒死等の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死の抑制方法を提供する。
さらに、本発明は、薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の製造における1種または2種以上の抗酸化ビタミン類の使用を提供する。
加えて、本発明は、1種または2種以上の抗酸化ビタミン類及び使用説明書を含む自傷行動を抑制するための医薬等の機能性組成物キットを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物は、これまでに適切な処置手段のなかった自傷行動、中毒死等の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死の抑制に極めて優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において「1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を有効成分として含む薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物」とは、1種または2種以上の抗酸化ビタミン類及び医薬等の機能性組成物上許容しうる担体を含む、自傷行動、中毒死等の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死を抑制するための医薬等の機能性組成物組成物を意味する。
また、本発明において、「担体」とは医薬等の機能性組成物品製造の技術分野で周知である任意の添加剤を意味する。そのような担体として、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、分散剤、補助剤、甘味剤、着色剤、風味剤、緩衝剤、防腐剤、保存剤、結合剤、安定化剤、滑沢剤、潤滑剤、着香料、pH調整剤、界面活性剤等が例示され、目的とする剤形に応じて必要なものを選択することができる。
【0013】
本発明において「抗酸化ビタミン類」とは、アスコルビン酸類、トコフェロール類、リポ酸類、カロチノイド類、ユビキノン、グルタチオン、メラトニンから選択される一種又は二種以上の化合物であれば良く、さらに好ましくは、アスコルビン酸類、トコフェロール類、リポ酸類、カロチノイド類から選択される一種又は二種以上の化合物であれば良い。
本発明に使用できるアスコルビン酸類としては、アスコルビン酸及びそれらの誘導体及びそれらの塩類であれば良く、以下に掲げるものが使用できる。
L−アスコルビン酸及びジヒドロアスコルビン酸、L−アスコルビン酸及びジヒドロアスコルビン酸のエステル、L−アスコルビン酸及びジヒドロアスコルビン酸のアミド、これらの塩並びにこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であれば良く、その例としては、以下の化学構造式で示されるアスコルビン酸類、及びこれらの塩並びにこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物のうち分子内にL−アスコルビン酸2−o−エステル又はL−アスコルビン酸2−o−アミドの構造を含むものであればよい。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中R1は、アスコルビン酸分子の2位の炭素に結合し、R2は3位の炭素に、R3は5位の炭素に、R5は6位の炭素にそれぞれ結合する。R1、R2、R3およびR4は各々水酸基、リン酸基、ピロリン酸基、トリリン酸基、ポリリン酸基、O−グルコシル基、硫酸基、分岐および不飽和結合を含んでも良いアシルオキシ基、アルキルオキシ基またはヒドロキシアルキルオキシ基であり、R1とR2、およびR3とR4は、アセタールまたはケタールとして酸素原子を介し同一炭素原子に結合しても良い。ただしR1、R2は同時に水酸基ではない。)
【0016】
本発明に使用できるアスコルビン酸類の塩類としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ゲルマニウム、マンガン、亜鉛、ビスマス、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジペンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、はジシクロヘキシルアミン等の塩であることが好ましい。とりわけ、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等のアルカリ土類金属が好ましい。これらの塩は、1種または2種以上混合して、または組み合わせて、または複合塩として使用してもよい。
【0017】
さらに具体的には、本発明に使用できるアスコルビン類としては、以下の化合物、及びこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
L−アスコルビン酸−2−リン酸及びその塩類、L−アスコルビン酸−2−リン酸のNa塩又はK塩又はCa塩又はMgZn塩又はZn塩又はCaK等、アスコルビン酸−2−リン酸−6−脂肪酸、 L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−(2’−ヘキシルデカン酸)エステル又は L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−(2’−ブチルヘキサン酸)エステル又は L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−(2’−ヘプチルウンデカン酸)エステル又は L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、 L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−ステアリン酸又はこれらの化合物のNa塩又はK塩又はCa塩又はMgZn塩又はZn塩又はCaK塩又はこれらの複合塩が使用できる。さらに、アスコルビン酸−2−グルコシド、アスコルビン酸−2−グルコシド−6−パルミチン酸、アスコルビン酸−2−グルコシド−6−ステアリン酸、アスコルビン酸−2−グルコシド−6−脂肪酸、アスコルビン酸−2−ポリグルコシド、アスコルビン酸−2−グルコシド−2−ジグルコシド、アスコルビン酸−2,3,5,6テトライソパルミチン酸、アスコルビン酸−6−パルミチン酸、アスコルビン酸−2,6−ジパルミチン酸、アスコルビン酸−2,6−ジステアリン酸。
【0018】
本発明に使用できるトコフェロール類としては、α型、β型、γ型及びδ型トコフェロールのD及びL体及びDL型、α型、β型、γ型及びδ型トコトリエノールのD及びL及びDL型、トコフェロール結合タンパク、トコフェロール及びトコトリエノール及びそのエステル化合物及びその塩類から選択される少なくとも1種の化合物であればよい。さらに本発明のレドックス制御物質として使用できるものとしては、上記のトコフェロール又はトコトリエノールのエステル、又は/及びアミド、又は/及びこれらの塩、又は/及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。
その誘導体の具体例としては、酢酸エステル、パルミチン酸エステルなどの脂肪酸エステル、グルコシド等の糖エステル、トリリン酸やリン酸などのリン酸エステル、ジメチルグリシンなどのアミノ酸エステルおよびこれらの塩類や複合物や混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。
【0019】
カロチノイド類としてはβ−カロチン、α−カロチン、アスタキサンチン、レチノール、レチノイン酸、トレチノイン、リコピン、ルテイン、クリプトキサンチン等のカロチノイド及びそのエステル化合物及びその塩類や複合物や混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。
【0020】
リポ酸類としては、αリポ酸、ジヒドロリポ酸、リポアミド、ピルビン酸脱水素酵素複合体、プロテインX、及びそのエステル化合物及びその塩類や複合物や混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。
【0021】
本発明において用いられる抗酸化ビタミン類において光学異性体が存在する場合は、それぞれの光学異性体、およびそれらの混合物(ラセミ体等)は全て本発明に含まれる。本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物としてはいずれを用いてもよい。
本発明において用いられる抗酸化ビタミン類が水溶性の塩の場合は遊離の形で用いてもよいが、酸との塩の形で用いることもできる。塩を形成する酸としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、燐酸などの無機酸、および酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トロフルオロ酢酸などの有機酸が挙げられる。
【0022】
本発明の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の対象となる薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死のうち、薬物投与時に誘発される自傷行動は、病態時、特に、統合失調症、Lesch−Nyhan syndrome、Tourette’s syndrome 及びCornelia de Langesyndromeなどにおいて誘発される自傷行動に対しても抑制効果を有する。さらに薬物乱用による多臓器不全の抑制剤としての有効性をも示す。
【0023】
本発明の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の対象となる本発明の効果を発現することができる薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死とは、以下の薬物中毒症状や禁断症状でありこれらの中毒、禁断症及び致死を緩和させる働きがある。その具体的としては、悪寒、嘔吐、体重減少、骨や筋肉の発育阻害、抜け歯、抜け毛、色素沈着、疲労感、憂鬱感、けいれん、手足のしびれ、視覚異常、情緒不安定、無気力、幻覚、妄想、感覚異常、自傷行動、精神異常、中枢神経異常、生殖器異常、不妊、染色体異常、脳萎縮、呼吸困難、昏睡、中毒死である。
【0024】
本発明の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の対象となる薬物及び依存形成薬物は、自傷行動や中毒死等の中毒、禁断症及び致死を誘発する薬物であればその種類は特に限定されないが、例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン等の覚せい剤類、エフェドリンなどコカイン等の覚せい剤類似薬類、アヘン、モルヒネ、コデインなど天然の麻薬製鎮痛薬類及びヘロインやフェンタニール等の半合成及び合成の麻薬製鎮痛薬類、メタカロンなど一般中枢抑制薬 鎮痛催眠薬類、抗不安睡眠導入薬類、シンナーなどの有機溶剤、エタノール等のアルコール類、LSD(リゼルギン酸)、MDMA、メスカリン等の幻覚発現薬類、マリファナ、THC等の大麻類、バルビツール酸、ベンゾジアゼピン等の睡眠抗不安薬類、塩酸メチルエフェドリン、リン酸ジドコデイン等の咳止薬類、カフェイン等の中枢神経興奮薬が挙げられる。
【0025】
本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物は、一般的に、注射剤として投与される。しかし、経口で、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤の形態で投与することもできる。さらに、投与は直腸から、例えば、座薬として投与してもよい。
【0026】
本発明の架物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の投与量は、対象となる患者(ヒト)またはヒト以外の動物の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができる。例えば、ヒトに対する非経口投与(静注、筋注、皮下注)の場合の体重1kg当りの1日量は、0.01〜500mg/kg/dayの用量で使用される。また経口投与の場合は、例えば、0.05〜2500mg/kg/dayの用量で使用される。さらに、座薬の場合には、例えば、0.001〜20mg/kg/dayの用量で使用される。本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の投与期間は、対象となる患者(ヒト)またはヒト以外の動物の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができるが、軽度の場合は1週間から12ヶ月、重症の場合は1年から症状が収まるまでの間継続して使用することができる。また、癌等の他の疾患でモルヒネ等を常用しなくてはならない患者の場合は中毒、禁断症及び致死が発生する以前より投与を開始するが依存性薬物投与時に同時に投与するとより効果的である。
【0027】
本発明の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の効果メカニズムは不明であるが、薬物及び依存形成薬物の長期使用者のほとんどが生体内臓器の過酸化が促進されていることから中毒、禁断症及び致死抑制組成物が生体内臓器や脳内の限定された部位である種の活性酸素種を産生又は維持させやすくすることにより様々な中毒、禁断症及び致死状が発現されるものと推定され、本発明の中毒、禁断症及び致死抑制組成物の主成分がこれらの活性酸素種を消去又は減少させるため中毒、禁断症及び致死が抑制されるものと考えられる。
【0028】
本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物は、通常、有効成分以外の薬理学的に許容できる担体を含有し、公知の製剤学的方法により製剤化され機能性食品、機能性飼料、機能性化粧品、医薬等の機能性組成物組成物として、経口または非経口的に投与することができる。
【0029】
例えば、経口投与用製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤が挙げられ、非経口投与用製剤としては注射剤を挙げることができる。
非経口的組成物としては、本発明の化合物は、滅菌した発熱性物質を含有していない水、滅菌した過酸化物を含有していないエチルオレエート、脱水アルコール、ポリプロピレングリコールおよびこれらの混合物のような在来の注射できる液状担体を使用して投与することができる。
固体または液状の薬学的組成物としては、本発明の化合物は、固体または液状形態の在来の相溶性担体と組み合わせて経口的に投与することができる。これらの経口的に投与される薬学的組成物は、結合剤たとえばシロップ、アラビヤゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントゴム、ポリビニルピロリドンおよびこれらの混合物のような在来の成分を含有することができる。
【0030】
組成物はさらに、ラクトース、マンニトール、澱粉、燐酸カルシウム、ソルビトール、メチルセルロース、およびこれらの混合物のような充填剤を含有することができる。
これらの経口的組成物は、また、潤滑剤例えばステアリン酸マグネシウム、高分子の重合体例えばポリエチレングリコール、高分子の脂肪酸例えばステアリン酸、シリカまたは固体製剤の崩壊を容易にする添加剤例えば澱粉および湿潤剤例えば硫酸ラウリルナトリウムを含有することができる。
錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントゴム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳酸またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状単体を含有することができる。
【0031】
固体または液状の形態は、風味料、甘味料および/またはアルキルp−ヒドロキシベンゾエートのような防腐剤を含有することができる。液状形態は、更に、懸濁剤、例えばソルビトール、グルコース、または他の糖シロップ、メチル−ヒドロキシメチル−またはカルボキシメチルセルロースおよびゼラチン、乳化剤例えばレシチンまたはソルビトールモノオレエートおよび在来の濃化剤を含有することができる。液状組成物は、例えばゼラチンカプセルに封入することができる。
好適には、本発明の薬学的組成物は、単位使用形態にある。このような形態においては、製剤は活性成分の適当な量を含有する単位投与量に再分割する。単位使用形態は製剤の不連続な量を含有する包装を有する、包装された製剤となすことができる。例えば、包装は錠剤、カプセルおよび粉剤、バイアルまたはアンプル形態をとり得る。単位使用形態は、カプセル、カシエーまたは錠剤それ自体であってもまたはこれらの包装された形態の任意の適当なものであってもよい。
【0032】
注射溶液に対する適当な製剤的補助剤は、安定剤、可溶化剤、緩衝剤、粘度調整剤および抗酸化剤を含有することができる。これらの補助剤の例は、エタノール、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、酒石酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤および高分子のポリエチレンオキシド粘度調整剤を包含することができる。これらの薬学的処方物は、筋肉内的、腹腔内的または静脈内的に注射することができる。注射のための無菌組成物は、注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80、HCO−50と併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油が挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填されるか、シリンジに充填し、そのまま使用できるようにすることも可能である。
【0033】
本発明の製剤に添加可能な材料例(例えば、油分、高級アルコール、脂肪酸、粉体、色素、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等)を以下に列挙するが、もちろん本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0034】
油分の例
エステル系の油相成分:トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12−18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油;アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、杏仁油、ココナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油等の植物油およびその硬化油;ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンレドックス制御TVゴム等が挙げられる。フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0035】
高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2−エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0036】
脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0037】
粉体・着色剤の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素;黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素;ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子;黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料;タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料;雲母チタン等のパール顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩;シリカ、アルミナ等の無機粉体;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン;ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。
なお、これらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていても良く、また事前に表面処理されていなくても構わない。
【0038】
界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0040】
高分子化合物の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28−1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28−2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T−ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA,BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP,BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート・イソボニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BF goodレドックス制御ich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(パミュレン、BF goodレドックス制御ich社製)等のアニオン性高分子化合物;ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMEレドックス制御、NSC社製)等の両性高分子化合物;ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロース又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0041】
生理活性成分の例
生理活性成分としては、生体に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗酸化剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、ビタミン剤、アミノ酸、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。具体的には、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤等が副剤として添加できる。
【0042】
酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキス等の酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0043】
溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0044】
本発明の剤型としては、特に限定はなく、二層状、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固形状、シート状、パウダー状等従来公知の剤型を使用することができるものである。
【試験例1】
【0045】
ddy系雄性マウス(5週令)1群7匹を個別に測定ケージに入れ、1時間以上馴化(habituation)を行った後、メタンフェタミンを20mg/kg皮下投与し、各マウスの行動を観察した。具体的には、メタンフェタミン皮下投与30分前に100mg/kg,300mg/kg,1000mg/kgの3濃度で昭和電工製のL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム(APS)を各々投与し、メタンフェタミン投与後15分毎に3分間自傷行動を測定し、スコアリングした。コントロール群として生理食塩水のみを投与し、APS区とメタンフェタミン誘発自傷行動の程度を比較した。
結果を図1に示す。図1からAPSを投与するとメタンフェタミン誘発自傷行動を抑制することが確認された。なお、図1において、各記号は次の意味を有する。
APS:L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム
Veh:生理食塩水
Time after administration(min):メタンフェタミン投与後の時間(分)
SIB score:自傷行動スコア
3:3分間激しい自傷行動が認められる。
2:3分間中1分以上自傷行動が認められる。
1:自傷行動が認められる。
0:自傷行動が認められない。
*P<0.05
**P<0.01 vs. Vehicle:生理食塩水群
【試験例2】
【0046】
BALC/C系雄性マウス(5週令)1群7匹を個別に測定ケージに入れ、1時間以上馴化(habituation)を行った後、メタンフェタミンを20mg/kgとモルヒネ20mg/kgを同時に皮下投与し、48時間にわたりマウスの生存率の変化を観察した。具体的には、メタンフェタミンとモルヒネ皮下投与30分前に300mg/kgの濃度で昭和電工製のL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム(APS)をマウスに投与し、その後のマウスの生存率の変化をスコアリングした。コントロール区として生理食塩水のみを投与し、APS投与区と生存率を比較した。
結果を図2に示す。図2からAPSを投与すると生存率が長時間維持されメタンフェタミンとモルヒネ皮下投与による生存率の低下を抑制することが確認された。なお、図2において、各記号は次の意味を有する。
APS:L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム
Veh:生理食塩水
Time after administration(min):メタンフェタミンとモルヒネ投与後の時間(分)
Survival rate(%): マウスの生存率
*P<0.05
**P<0.01 vs. Vehicle:生理食塩水群
【試験例3】
【0047】
ddy系雄性マウス(5週令)1群7匹を個別に測定ケージに入れ、1時間以上馴化(habituation)を行った後、メタンフェタミンを20mg/kg皮下投与し、各マウスの行動を観察した。具体的には、メタンフェタミン皮下投与30分前に12.5mg/kg,50mg/kg,200mg/kgの3濃度で昭和電工製のトコフェリルジメチルグリシン塩酸塩(TDMG)を各々投与し、メタンフェタミン投与後15分毎に3分間自傷行動を測定し、スコアリングした。コントロール区として生理食塩水のみを投与し、APS区とメタンフェタミン誘発自傷行動の程度を比較した。
結果を図3に示す。図3からTDMGを投与するとメタンフェタミン誘発自傷行動を抑制することが確認された。なお、図1において、各記号は次の意味を有する。
TDMG:トコフェリルジメチルグリシン塩酸塩
Veh:生理食塩水
Time after administration(min):メタンフェタミン投与後の時間(分)
SIB score:自傷行動スコア
3:3分間激しい自傷行動が認められる。
2:3分間中1分以上自傷行動が認められる。
1:自傷行動が認められる。
0:自傷行動が認められない。
*P<0.05
**P<0.01 vs. Vehicle:生理食塩水群
【試験例4】
【0048】
BALC/C系雄性マウス(5週令)1群7匹を個別に測定ケージに入れ、1時間以上馴化(habituation)を行った後、メタンフェタミンを20mg/kgとモルヒネ20mg/kgを同時に皮下投与し、48時間にわたりマウスの生存率の変化を観察した。具体的には、メタンフェタミンとモルヒネ皮下投与30分前に300mg/kgの濃度で昭和電工製のトコフェリルジメチルグリシン塩酸塩(TDMG)をマウスに投与し、その後のマウスの生存率の変化をスコアリングした。コントロール区として生理食塩水のみを投与し、TDMG投与区と生存率を比較した。
結果を図2に示す。図2からTDMGを投与すると生存率が長時間維持されメタンフェタミンとモルヒネ皮下投与による生存率の低下を抑制することが確認された。なお、図2において、各記号は次の意味を有する。
TDMG:トコフェリルジメチルグリシン塩酸塩
Veh:生理食塩水
Time after administration(min):メタンフェタミンとモルヒネ投与後の時間(分)
Survival rate(%): マウスの生存率
*P<0.05
**P<0.01 vs. Vehicle:生理食塩水群
【0049】
上述のように、本発明の薬剤組成物は、1種もしくはそれ以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む薬剤組成物として、目的とする投与経路に応じ、適当な任意の形態にして投与することができる。投与経路は非経口的経路であっても経口的経路であってもよい。
【0050】
実施例1
以下の組成で本発明の組成物に配合する有効成分混合物(以下重量%で表示)のゲル状組成物を作成した。この有効成分混合物は、水溶液やオイルに分散させることができ、ローション剤、クリーム剤、オイル剤、ゲル剤等に分散させることができた。これらの水溶製剤、乳化剤、オイル剤、ゲル剤は、医薬品、化粧品として内服剤、外用剤として使用することができた。
アスコルビン酸−2−リン酸Na 15%
アスコルビン酸−2−リン酸Mg 17%
アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸 5%
アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸 3%
γ−トコフェロール 7%
α−トコフェロール 8%
δ−トコフェロール 5%
アスタキサンチン 5%
β−カロチン 6%
α−リポ酸 4%
ジヒドロリポ酸 6%
ユビキノン 4%
グルタチオン 7%
メラトニン 3%
グリセリン 9%
サーファクチン 1%
【0051】
製剤被覆錠剤:
以下の組成に従い本発明の錠剤を作成した。有効成分(実施例1の組成物)を、ラクトースと、均一な混合物となるまで混合する。コーンスターチ50mgを適量の水と混和しコーンスターチペーストを形成させる。次いで、このものを上記均一混合物と混合し、湿った均一な塊とする。得られた湿った塊に、残りのコーンスターチ25mgを加え、均一な顆粒が得られるまで混合する。次いで、この顆粒を1/4インチのステンレススチール製スクリーンを用い、適切な製粉機で篩過する。次いで、粉砕した顆粒を適切な乾燥機で所望の湿分含量となるまで乾燥する。次に、乾燥顆粒を1/4メッシュのステンレススチール製スクリーンを用い、適切な製粉機で篩過する。それから、ステアリン酸マグネシウムを混合し、得られた混合物を打錠して所望の形状、厚み、硬度および崩壊度の錠剤とした。本状剤は医薬品は勿論のこと機能性食品、機能性飼料用添加錠剤としても使用できる。
以下の数字は1錠当たりの重量(mg)
実施1の組成物 5
ラクトース 104
コーンスターチ 75
ステアリン酸マグネシウム 1
水 30ml(千錠当たりの重量。製造中に水は蒸発する。
【0052】
この錠剤を標準の水性または非水性技術で被覆した。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.5mgを脱イオン化水25mg中に溶解できる。この溶液中に、タルク1.88mg、二酸化チタン0.5mg、黄色酸化鉄0.1mg、および赤色酸化鉄0.02mgの水性懸濁液(10mg)を混ぜ込む。
被覆用懸濁液を錠剤に噴霧し、被覆錠を一夜45℃で乾燥し被覆錠剤を得た。
実施例2製剤カプセル剤:
【0053】
以下の処方に従い有効成分(実施例1のゲル状組成物)、ラクトース、およびコーンスターチを均一になるまで混合し;得られた粉末に、次いでステアリン酸マグネシウムを混合する。得られた混合物を適切な大きさの、二分割型硬ゼラチンカプセル内に封入しカプセル剤を得た。
実施1の組成物 25
ラクトース 149.5
コーンスターチ 25
ステアリン酸マグネシウム 0.5
圧縮重量 200
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物は広範囲の薬物及び依存形成薬物の自傷行動や中毒死等に対しても有効である。特に、ドパミン神経系の異常時に誘発される自傷行動や中毒死の抑制薬として有用であることから、臨床上の応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】メタンフェタミン誘発自傷行動に対するアスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム投与の効果を示すグラフである。
【図2】メタンフェタミンとモルヒネの同時投与における生存率に対するアスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム投与の効果を示すグラフである。
【図3】メタンフェタミン誘発自傷行動に対するトコフェリルジメチルグリシン塩酸塩投与の効果を示すグラフである。
【図4】メタンフェタミンとモルヒネの同時投与における生存率に対するトコフェリルジメチルグリシン塩酸塩投与の効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を有効成分として含む薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。
【請求項2】
1種または2種以上の抗酸化ビタミン類を有効成分として含む依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。
【請求項3】
抗酸化ビタミン類がアスコルビン酸類、トコフェロール類、カロチノイド類、リポ酸類から選択される1種または2種以上の化合物である、請求項1及び2記載の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。
【請求項4】
薬物及び依存形成薬物がアルコール類、アンフェタミン類、バルビツール酸誘導体類、大麻類、コカイン類、幻覚発現薬類、カート類、オピエート類、有機溶剤類から選択される1種または2種以上の化合物である、請求項1から3記載の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。
【請求項5】
薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死が自傷行動、中毒死、悪寒、嘔吐、体重減少、骨や筋肉の発育阻害、抜け歯、抜け毛、色素沈着、疲労感、憂鬱感、けいれん、手足のしびれ、視覚異常、情緒不安定、無気力、幻覚、妄想、感覚異常、自傷行動、精神異常、中枢神経異常、生殖器異常、不妊、染色体異常、脳萎縮、呼吸困難、昏睡から選択される中毒、禁断症及び致死である請求項1から4記載の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。
【請求項6】
中毒、禁断症及び致死抑制組成物が医薬品、機能性食品、機能性飼料、機能性化粧品から選択される請求項1から5記載の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物
【請求項7】
請求項3のアスコルビン酸類、トコフェロール類、カロチノイド類、リポ酸類が、これらのエステル類、又はアミド類、又は、これらの塩並びにこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物から選択される、請求項1から6記載の薬物及び依存形成薬物の中毒、禁断症及び致死抑制組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−193499(P2006−193499A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35090(P2005−35090)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(502294769)株式会社アイ・ティー・オー (9)
【出願人】(505052065)
【出願人】(505053073)
【Fターム(参考)】