説明

薬物送達システム

ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤は、少なくとも1つの活性物質、患者への膣内投与において抗感染症薬の持続的な放出を提供する改良放出剤形を含み、ここで、その製剤は、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの抗感染症薬の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性治療薬、または送達システムにおいて界面活性特性を獲得する治療薬を安定化する、送達システムを対象とする。これらのシステムは、膣腔、ならびに他の粘膜性の体腔における使用に適している。本発明は更に、活性物質および/もしくは治療薬の改良放出、制御放出、持続放出または徐放性放出、ならびに、その送達システムの投与において効果をもたらすための最小限の投与回数を実証する調製品に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の1つの重要な態様は、疾患の予防、治療、緩和、診断および治癒、ならびに妊娠の予防のための女性生殖器系の処置である。通常、これは、活性物質の膣腔およびその周囲への送達を含む。このような物質の送達に影響を及ぼすシステムは、通常、ゲル、泡状物質、クリーム、坐薬、および溶解が速い錠剤の形態である。これらの送達システムは、処方または製造方法に関わらず、全身性吸収がより低い制御された状態で膣腔内に長時間、特に12時間以上に渡って、活性物質を送達する能力を確実には実証していない。これは、膣腔環境ならびにそこへ薬物を投与するために設計された既知の製剤が原因でありうる。
【0003】
膣腔は、それを疾患および感染の標的とする状態を受けやすいが、先述のように、活性物質をこの領域に長期間にわたって送達することは非常に難しい。膣腔は、その液体が4.5〜5.5の範囲の酸性pHをもたらす分泌腺を含む水性環境を呈する。膣の環境は、暖かく、湿度が高く、暗いため、細菌、菌類、酵母および他の微生物などの様々な微生物の増殖を助長する。それはまた、月経残渣および性交由来の精液の残渣の前庭である。膣腔の溝は望ましくない細菌、菌類、酵母および他の微生物、ならびに月経および性交由来の残渣の滞留を容易にする。膣腔はまた、性交の間またはタンポンの挿入の間などに、相当の物理的変形を受ける。
【0004】
医薬品としての性質を有する活性物質が、膣腔の状態および疾患の治療ならびに妊娠の予防における使用のために開発され、認可されている。これらは殺菌剤、抗生物質、殺精子剤等を含む。製薬上活性のある物質は開発されているが、現在利用可能な薬物送達システムの不備のため、これらの物質から最適な潜在的効果を実現することは困難であった。現在、膣内送達システムとして使用されるゲル、泡状物質、クリーム、坐薬および錠剤の大多数は、膣腔内への挿入後ほぼ即座に崩壊し、膣壁への最低限の生体接着力しか持つことができない。しばしば、これは、それらの水混和性および/または37℃(体温)でのそれらの物理的安定性の不足によるものと考えられる。更に、活性物質/治療薬自体の性質が、送達システムを劣化させる原因となり得る。これは、活性物質/治療薬が界面活性特性を有するか、または当技術分野において既知の様々な送達システムに置かれる際に界面活性特性を獲得するという事実に起因するのかもしれない。膣内送達システムの例は、米国特許第5,055,303号および第5,266,329号において見いだすことができ、これらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0005】
多くの既知のシステムは、それらがその活性物質を制御されない状態および急速な状態で速やかに放出するため、限定された効果を示す。更に、従来のシステムはまた、活性物質の比較的高い全身性吸収を引き起こすが、それは一つにはシステムの不安定性に起因しうる。この全身性吸収のレベルは、血漿中濃度対時間曲線において少なくとも約200 ng/mL. hrの曲線下面積(AUC)を生じる程度である。通常、AUCは更にずっと高く、例えば、少なくとも約300から4,500 ng/mL. hrほどである。更に、従来の剤形は、しばしば、正常な生理的機能であるわずかな膣分泌物とともに不快な漏出物および流出物として排出される。現在当技術分野において知られている1つの特定のリン酸クリンダマイシン膣剤は、Cleocin(登録商標)として販売され、Pharmacia & Upjohnにより製造されている。
【0006】
クリンダマイシンの薬理学は当技術分野において知られている。例えば、Aroutcheva, A.,ら、The inhibitory effect of clindamycin on Lactobacillus in vitro., Infectious diseases in Obstetrics and Gynecology, 9, 2001, (4), 239-44; およびMuli, F.,ら、Use of continuous-culture biofilm system to study the antimicrobial susceptibilities of Gardnerella vaginalis and Lactobacillus acidophilus., Antimicrobial agents and chemotherapy, 42, June 1998, (6) 1428-32を参照せよ(これらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)。
【0007】
クリンダマイシンの毒物学もまた当技術分野においてよく知られている。例えば、Gray, J.E.,ら、The Oral Toxicity of Clindamycin in Laboratory Animals., Toxicology and Applied Pharmacology 21, 1972, 516-531; およびBollert, J.A.,ら、Teratogenicity and Neonatal Toxicity of Clindamycin 2-Phosphate in Laboratory Animals., Toxicology and Applied Pharmacology 27, 322-329を参照せよ(これらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)。
【0008】
制御放出システムは、既定の方法で、活性物質を作用部位、活性部位、期待される活性部位、吸収部位または使用部位に送達する。これは、活性物質の所望のレベルを達成するために頻繁な投与のくり返しを必要とする従来の即時送達システムとは対照的である。制御放出システムの予想外の利点は、膣腔内での薬物レベルが一定のレベルもしくは制御されたレベルで維持されるので、薬物が従来のシステムより1日当たり少ない回数または治療期間中少ない回数で投与されることである。残念なことに、当技術分野において既知の制御放出システムは、状態を治療するために必要とされる総日数に影響を及ぼさない。
【0009】
本発明は、少なくとも数日の長期間、活性物質を制御された状態で膣腔内に送達するためのシステムを提供するので、有利である。膣内薬物送達システムは、容易に膣腔内に導入される、多相の液体または半固体の形態を取りうる。
【0010】
加えて、この送達システムの生体接着性によって、膣腔内に導入された物質は漏出せず、あるいは、この体腔からの不快な状態での漏出は減少する。従来のクリームおよび軟膏を用いた従来の膣内薬物送達と比較して、本発明の技術は、リン酸クリンダマイシンなどの活性物質の効果を得るために必要とされる投与回数を減少させる点において、更に有利である。従来のリン酸クリンダマイシン膣クリーム(Cleocin(商標)膣クリーム)は、治療に影響を及ぼすために7夜連続で毎晩投与する必要がある。本発明の技術は、同様の治療に影響を及ぼすためにわずか1回しか投与する必要がない。
【0011】
単回投与によって得られる利便性に関する利点に加えて、本発明の技術はまた、従来のクリーム製品に必要とされる7つのアプリケーターとは対照的に、治療を行うためにたった1つのアプリケーターしか必要としない点において、よりコスト効率の良い膣感染症の治療を提供することを特徴とする。更に、従来のクリームを用いた治療の総投与量のために必要とされる700 mgの活性物質(5.0グラムの2%で7回の適用)と比較して、本発明の技術にはわずか100 mgの活性物質(5.0グラムの2%の適用)しか必要としないため、活性のある薬物および賦形剤の大幅な節約も達成される。
【0012】
発明の概要
本発明の主題は、有効な量の少なくとも1つの活性物質、患者への膣内投与において活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形を含み、ここで、その製剤が、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択される、ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤を対象とする。
【0013】
本発明の主題は更に、界面活性特性を有する活性医薬品;1つの相が外部の脂質相を含み、他の相が内部の非脂質相を含む少なくとも2つの相を含む乳液(ここで、脂質相は連続的であり、非脂質相は乳液の容量の少なくとも70%からなる);リン脂質、非イオン性エステルおよびその混合物からなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を含み、そしてその安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加され、その安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加される、医薬製剤を対象とする。
【0014】
更に、本発明の主題は、有効な量の少なくとも1つの活性物質、患者への膣内投与において活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形を含み、ここで、その製剤が、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択され、ここでは、組成物が単回投与され、細菌性膣炎の治療において従来のクリンダマイシン膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等である、膣感染症の治療のための組成物を対象とする。
【0015】
更に、本発明の主題は、有効な量の少なくとも1つの活性抗細菌剤、患者への膣内投与のための改良放出剤形を含み、ここで、その活性抗細菌剤は抗真菌剤ではなく、その製剤が、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性抗細菌剤の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤を対象とする。
【0016】
本発明の主題の別の実施形態は、有効な量の少なくとも1つの活性抗細菌剤、患者への膣内投与のための改良放出剤形を含み、ここで、その活性抗細菌剤は抗真菌剤ではなく、抗真菌剤はブタコナゾールではなく、その製剤が、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性抗細菌剤の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤を対象とする。
【0017】
本発明の主題の更なる実施形態は、リン脂質、非イオン性エステルおよびその混合物からなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を添加することによって、クリンダマイシン製剤を安定化する方法を対象とし、ここで、その安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加され、その安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加される。
【0018】
本発明の主題の更なる実施形態は、それを必要とする患者に、膣の状態を治療するために有効な界面活性特性を有する活性医薬品を含む医薬製剤を単回投与することを含む、患者における膣感染症の再発を治療または予防する方法を対象とする。
【0019】
本発明の主題の更なる実施形態は、有効な量の少なくとも1つの活性物質、患者への膣内投与において活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形を含み、ここで、その製剤が、活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択され、ここで、投与は単回投与であり、細菌性膣炎の治療において従来のクリンダマイシン膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等である、膣内投与のための医薬製剤を投与することによって膣感染症を治療する方法を対象とする。
【0020】
更なる1つの実施形態は、少なくとも1つの活性物質を含む改良放出医薬製剤の膣粘膜組織部位への局所投与を含み、その製剤が膣腔において最大10日間の局所滞留を維持し、少なくとも1つの活性物質の全身性吸収が最小限に抑えられる、膣の状態を治療する方法を対象とする。
【0021】
また別の実施形態は、少なくとも1つの活性物質を含む改良放出医薬製剤の膣粘膜組織部位への局所投与を含み、その製剤が膣腔において最大7日間の局所滞留を維持し、少なくとも1つの活性物質の全身性吸収が最小限に抑えられる、膣の状態を治療する方法を対象とする。
【0022】
また更なる実施形態は、それを必要とする患者に、界面活性特性を有する活性医薬品を含む医薬製剤を投与することを含む、活性医薬成分製剤の副作用を減少させる方法を対象とする。
【0023】
細菌性膣炎の治療において膣内に使用するためのリン酸クリンダマイシンを含む、現在利用可能な製品では、共通の送達システムは半固体クリームである。その剤形は、連続的な水相および分散した非水相からなることが一般的である。活性のある薬物は水相に可溶化または分散されており、それによって微生物による損傷を緩和する必要のある表面と活性医薬成分の速やかな接触を可能にする。それはまた、これらの表面からの製品の希釈、洗浄および漏出を可能にし、そして、周囲の組織に感染しているそれらの生物の生活環に効果的な影響を与えるために必要とされる最適な接触時間を与えていない。この後、状態の緩和および治療を提供するために、1週間に3〜7回の製品の複数回投与が必要とされる。このシステムを用いて必要とされる活性医薬成分(API's)の反復投与は、全身性の取り込みの可能性を増加させ、また組織刺激の可能性も増加させる。
【0024】
微生物に対してより効果的になるようにAPIの接触時間を増加させ、同時に全身性の取り込みおよび刺激の可能性を減少させるために、複数回投与の減少は望ましい戦略である。必要用量を減少させるために、常在の体液および温度によって生じる希釈、洗浄または漏出による送達システムの物理的な損失を克服しなければならない。粘膜表面に接着し、水性の液体による洗浄に耐える一方で、同時に、全身性の取り込みを最小限に抑えるが感染生物の生活環を妨げるために十分な長さで感染した表面との接触を保つ速度で活性医薬成分のレベルを放出するシステムは、必要とされる投与回数を減少させる。
【0025】
制御された状態で吸収部位または作用部位に活性物質を放出し、膣表面に生体接着性のある膣内送達システムを提供する、このような性質のシステムが開発されている。活性物質をある部位に制御された状態で少なくとも3時間放出し、生体接着性のあるこのシステムは、脂質性の連続相および非脂質性の分散相または内相を有し、米国特許第5,266,329号に記載される。しかし、記載されたようなこのシステムは、界面活性様作用を示す化合物とともに用いられる場合、物理的に不安定になり、その生体接着性および洗浄に対する耐性の利点を失う。
【0026】
この不安定化を克服するために、1つの戦略はそのAPIの作用の影響を打ち消すかまたは緩和する界面活性剤を添加することである。標的とされる可能性のある機構は、分子構造、電荷、界面の方向性、表面エネルギーへの影響、両方の相への溶解度、界面で吸収される分子平衡のシフト、界面の分子集団の置換、濃度の変化であり得る。これらの変化は単独で、または組み合わせて考えられる。正確な機構は完全には理解されていないが、本発明の製剤が達成するのは、安定化の効果である。本発明者らの試みは、予想外にも、単独またはAPIの添加前に安定していた製剤との組み合わせのいずれかで使用される非イオン性界面活性剤およびリン脂質に集中した。
【0027】
リン脂質は、事前にリン酸クリンダマイシンによって不安定化されたシステムからの界面活性剤と併用すると物理的に安定になることが、予想外に発見された。
【0028】
これらの最初の製剤の物理的観察および最初に使用されたリン脂質の純度から、リン脂質の組成物は精製の必要があることが確認された。90%のレベルに精製されたホスファチジルコリンは最適な物理的特性を有する乳液を生じることが発見された。
【0029】
リン脂質を含む界面活性剤の組み合わせに加えて、界面活性剤は、単独または組み合わせのいずれかで、リン酸クリンダマイシンを含む所望の乳液を生じることが発見された。
【0030】
好ましい実施形態の説明
本発明の目的は、乳液の形態において界面活性様特性を有する既知の活性物質を安定化することである。本発明は、主として膣内送達システム、ならびに口腔、咽喉、鼻腔、外陰膣および直腸粘膜などの粘膜組織に有効な送達システムを対象とする。膣内送達の例では、そのシステムは、制御された状態で長期間にわたって膣腔内の特定の部位に薬剤を送達するそれらの能力を特徴とする。そのシステムは上皮組織に生体接着性があり、少なくとも2つの相からなる。そのシステムは、膣内環境において、それらの完全性を保持し、膣腔内において滞留時間を持続させるための物理的な安定性を示す。
【0031】
上記のように、膣腔は、細菌、菌類、酵母および微生物の増殖を助長する水性環境をもたらす。既知のシステムは、それらの水混和性、生体接着性の不足、または37℃の膣内環境における物理的安定性の不足のいずれかのために、このような状態の治療に対して最適な効果を示さない。本明細書において定義される場合、膣腔は、膣だけでなく、尿道口のような関連した女性の尿路の表面も含む。送達システムは、活性物質の正確な用量の安全かつ簡便な送達のために、活性物質を可溶化、懸濁、増粘、希釈、乳化、安定化、保存、保護、着色、矯味、形成して、許容されうる有効な調製品にするために働く不活性成分の組み合わせである。
【0032】
本明細書において用いられる場合、「活性物質」という用語は、抗真菌剤、抗細菌剤、抗菌剤、抗感染症薬、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択される物質を指す。
【0033】
抗細菌剤は、投与された際に、細菌増殖に対して治療上有効な効果を有する薬剤である。この効果はこのような増殖を遅延または阻害しうる。好ましい抗細菌剤は、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、それらの塩、クリンダマイシン塩基の複合体、およびそれらの混合物からなる群より選択される。抗細菌剤はまた、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、オルニダゾールおよびベンズニダゾールなどのニトロミダゾール系を含む。抗細菌活性を含む混合活性を有する他の化合物もまた、本発明での使用のための抗細菌剤と考えられる。これらは、フェンチコナゾール、シクロピロクス、エコナゾール、塩酸ブテナフィン、およびナフィミドンを含むがそれらに限定されない。
【0034】
本発明の更なる態様は、界面活性特性を有する活性物質とこのような特性を持たない活性物質との組み合わせの使用を含む。このような製剤の非限定的な例は、クリンダマイシンとブトコナゾールのような、抗細菌性活性物質および抗真菌性活性物質を含みうる。
【0035】
送達システムが活性物質を放出するだけでなく、それが制御された状態で最適な吸収部位または作用部位に薬剤を放出することが、本発明の製剤にとって不可欠である。すなわち、薬剤は、薬剤の固有な特性と一致した所望の応答を引き起こすために十分な量で、吸収部位または作用部位での吸収、薬理効果または他の効果のために利用可能にされ、それは所望の期間、適切なレベルでこの応答の維持を提供する。従って、本明細書に記載されるシステムは、受容体部位、作用部位、吸収部位、または使用部位での送達システムからの活性物質の制御放出、およびその部位での所望の効果の達成を特徴とする。本発明のシステムは、水に混和せず、膣腔における使用に害を及ぼさない。
【0036】
このシステムにおいて注目すべき点は、長期間の放出、改良放出、制御放出および/または持続放出が、長期間にわたり、少なくとも約24時間〜約96時間および7〜10日もの長い間、少ない投与回数によって達成され得るという事実である。いくつかの事例では、たった1回分の用量が何日もの治療期間にわたって投与され得る。用量は、1日1回、1日複数回の投与、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき等に投与されてもよく、本発明の範囲内である。あるいは、再発性の状態の治療のために、1日目および4日目の投与が実行可能である。
【0037】
このシステムの用量は活性医薬成分、すなわち、活性物質を長期間にわたって送達する能力を有するだけでなく、その活性物質は投与の間を通じて比較的低い血漿中濃度(C max)を維持する。例えば、2%クリンダマイシンの単回投与によって達成される血漿中濃度は約1.000〜約40.000 ng/mLでありうる。更に、時間に対する血漿中濃度(時間に対してng/ml)の比較において、曲線下面積(AUC)が測定されうるが、それは通常、約1,341. 76 ng/mL. hr以下に維持される。通常、AUCは600 ng/mL. hr以下であり、例えば、約25〜350 ng/mL. hrの間であり得る。本発明の製品によって示される血漿中濃度と曲線下面積の両方は、既知の製剤とは対照的に低減される。
【0038】
システムはユニットセル(unit cells)からなる。これらのユニットセルは、システムの基本的な分割できない連続した単位である。ユニットセルは内相および外相を有し、それはシステムの内相および外相に相当する。システムは、乳液、乳液/分散液、ダブルエマルション、乳液中の懸濁液、坐薬、泡状物質、クリーム、ovules、挿入物等のような従来の分類に記載されうる。システムは通常、媒体または、好ましくは容量で70%以上、より好ましくは75%以上の高い内相比率の乳液の形態である。送達システムは、5,000〜1,000,000センチポアズ、好ましくは100,000〜800,000センチポアズの範囲の粘度を有する液体または半固体である。膣腔に接着するために、システムはその完全性を維持するのに十分な粘度を有しなければならない。
【0039】
ユニットセルは、非連続性な非脂質性の内相を有する。相の非脂質性の性質は、それに水への混和性を与える。好ましくは、内相は、水、グリセリン、ソルビトール溶液またはその組み合わせを含む。通常、内相は高浸透圧であることが望ましい。内相は多相であってよく、溶液、懸濁液、乳液またはその組み合わせであってよく、それは少なくとも活性物質の一部を含む。また、内相は懸濁固形物、乳液、浸透圧増加剤、増量剤および希釈剤、ならびに香料、着色剤、矯味剤、およびバッファーを含みうる。
【0040】
少量の酸またはアルカリの添加の際における水素イオン濃度の変化に対する溶液の耐性を緩衝作用と呼ぶ。このような特性を有する溶液は、バッファー溶液として知られている。それは、予備的な酸性度および予備的なアルカリ度を有すると言われている。バッファー溶液は通常、弱酸およびそのナトリウム塩もしくはカリウム塩の混合物または弱塩基およびその塩の混合物を含む溶液からなる。その結果、バッファーは通常、酸およびその共役塩基の混合物である。
【0041】
等濃度の酸およびその塩を含む溶液、またはその酸の半中和溶液は、最大の緩衝能を有する。他の混合物もまたかなりの緩衝能を有するが、そのpHは半中和された酸とは若干異なる。
【0042】
適切な解離定数の酸(または塩基)が見いだされた場合、特定のpHのバッファー溶液の調製は比較的容易な方法である。pHの小さな変化は、次の等式に従い、塩濃度に対する酸濃度の比率の変化によって得られる。
pH = pka + log [塩]/[酸]
【0043】
膣腔は、その液体が4.5〜5.5の範囲の酸性pHをもたらす分泌腺を含む水性環境を呈する。従って、約4.5のpHを有するバッファー溶液を作製するために、およそこの値のpkaを有する酸が必要とされる。一塩基性の酢酸は、例えば4.74のpka値を有し、クエン酸からの最初の2つのイオン化プロトンは、それぞれ3.13および4.76の値を有する。乳酸は約3.9のpkaを有する別の例である。
【0044】
酸および塩の理論上の量は上記の等式から導くことができるが、多種類の溶解物の複雑な混合物である製剤では、所定量の酸(通常クエン酸または酢酸)を既知の濃度の水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液のいずれかを用いて、実際の製剤において所望のpH値が得られるまで滴定することが、より実践的である。
【0045】
ユニットセルはまた外相を有する。この相は脂質性であり、システムの連続相である。脂質性という用語は、以下の共通の特性、すなわち、水への不溶性、アルコール、エーテル、クロロホルムまたは他の脂溶性溶媒への可溶性を有し、グリース様の質感を呈する、中性脂肪、脂肪酸、ろう、リン脂質、ワセリン、一価(monoprotic)アルコールの脂肪酸エステル、および鉱物油を含む、有機化合物の群の任意のものに関連する。これらの送達システムでの使用に適した油の例は、5.6〜68.7センチストークスの粘度、好ましくは25〜65センチストークスの粘度を有する鉱物油、ならびに、ココナッツ、パーム核、ココアバター、綿実、ピーナッツ、オリーブ、パーム、ヒマワリ種子、ゴマ、トウモロコシ、ベニバナ、菜種、ダイズによって例示される植物油、および分画された短鎖(天然由来)脂肪酸の液体トリグリセリドである。この外相はまた、香料、着色剤、矯味剤、およびバッファーを含みうる。外相において特に興味深いのは、システムを安定化し、相分離を防ぎ、最終生成物にほとんどまたは全く色を与えないと思われるリン脂質または非イオン性エステルの使用である。精製型のレシチンは、この点において特に好ましい。特定の理論に制約されないが、精製レシチンは、特に油と水の界面を崩壊させうる界面活性特性を有する薬物を含むシステムにおいて安定性を与えるために、油と水の界面部分に存在するように作用しうると考えられる。この安定性は、界面内の分子間引力の増加、およびそれによって形成され界面活性剤から界面を保護する物理的障壁に起因しうる。精製レシチンは非常に高い割合のホスファチジルコリンを含み、その分子の荷電した末端は他のリン脂質と比較して大きい。ホスファチジルコリンの親水性によって、それらはシステム界面の水相側に部分的に可溶化される一方で、分子の脂質末端は油相に固定されることも可能である。従って、分子の大きな親水性末端は、界面活性特性を有する活性成分の吸収に対する障壁を提供しうる。好ましくは、精製レシチンは、約70%以上のホスファチジルコリンを含み、より好ましくは約80%以上のホスファチジルコリンを含む。精製レシチンは約96%ほどのホスファチジルコリンを含みうる。通常、食品用レシチンは許容可能ではないが、製剤が当業者に知られた方法によって改変される場合には、使用されうる。American Lecithin Company製のPhospholipon 90は、本発明に従った好ましい精製レシチンである。
【0046】
活性物質は、膣、尿路、頸部もしくは他の女性生殖器の任意の疾患の治療、予防、治癒または緩和、あるいは妊娠の誘発のために、審美的もしくは美容上の使用のために、診断目的のために、全身性の薬物治療のために、または子の性別判定のために認可されるか、あるいは使用される任意の物質でありうる。その物質は、膣表面の全体または一部への送達によって投与される場合に、有用性を持たなくてはならない。可能性のある物質は、それらの政府認可または一般的な使用の必要性の理由から、通常よく知られている。少なくとも活性物質の一部は、このシステムの放出特性を獲得するために、通常は内相に含まれなければならない。
【0047】
クリンダマイシンのような抗生物質を含む活性物質が活性物質の一部として使用される場合には、従来の治療期間または使用される物質の量は少なくとも25%減少することが見いだされた。通常、制御放出による薬物システムは、薬物を投与しなければならない1日あたりの回数を減少させる。しかし、それは治療期間全体には影響を及ぼさない。特定の活性物質については、本明細書に記載される薬物送達システムが治療期間を少なくとも25%減少させることが発見された。例えばガルドネレラ形態型の細菌性膣炎におけるクリンダマイシンを用いた試験は、この予想外の結果を実証した。この効果は他の抗細菌剤および抗真菌剤を用いて達成され得ると考えられる。従って、微生物の治療は、本発明のシステムを用いて、更により短い期間で、または実質的により少ない薬物によって達成され得る。
【0048】
隣接したユニットセルは共通の外相を有する。ユニットセルの外相はそのシステムの連続相を提供する。ユニットセルは乳化剤を使用してもよい。好ましくは、乳化剤は脂質相、すなわち外相に可溶性である。適切な乳化剤は、油混和性のものであり、食品、医薬品、および/または化粧品における使用に許容されうる界面活性化合物である。このような乳化剤の例は、脂肪酸もしくは脂肪酸エステルでエステル化されている低分子量ポリグリセロール、またはモノグリセリドおよびジグリセリド混合物単独、もしくはステアリン酸アルミニウムなどの金属せっけんを添加したモノグリセリドおよびジグリセリド混合物である。金属せっけんはいくつかの乳液の特性を改善すると思われる。
【0049】
このシステムは、従来のアプリケーターの使用または他の塗布方法もしくは噴霧方法によって膣腔内に導入され得る。このシステムは約37℃の生理的温度で変形可能であるが、それらは既知のシステムと同様には完全性を失わない。本発明の送達システムは、既知のシステムとは異なり、システムの挿入後の膣腔からの不快な漏出を特徴としない。本発明のシステムは長期間にわたって分解するので、非水性成分はゆっくりとした速度で膣腔から吸収または放出され、正常分泌の顕著な増加を引き起こさない。
【0050】
これらのシステムの特性は、膣内条件下でのそれら特有の完全性の結果である。このシステムは、活性物質の拡散、ユニットセルの崩壊、および/またはこれら2つの機構の組み合わせによって、膣腔に活性物質を放出する。この活性物質の放出は、システムの組成に応じて線形または非線形であり得る。放出速度に影響する要因は、それぞれの相に含まれる活性物質の割合、ならびに、乳液、ダブルエマルション、懸濁液などのシステムの種類、外膜の厚さ、外相中の乳化剤の量および性質、内相の浸透圧、内相のpH、外相膜を介した活性種の拡散率等である。膣腔の生理的環境の中で存在する、体液、酵素、pH、化学平衡、温度、および身体の動きによる剪断力を含む、すべての化学的な力ならびに物理的な力は、システムの分解速度に影響を及ぼす。これらの力は、他の既知のシステムと同様の速度ではこのシステムの完全性を破壊するとは考えられない。
【0051】
このシステムは、よく知られている連続処理またはバッチ処理によって調製されうる。従来の乳液を用いて処理する場合には、システムの成分に対して、ホモジナイザー、ミル、衝突面、超音波、振盪または振動の使用による剪断力が適用される。従来の乳液とは異なり、処理に用いられる過剰なエネルギーによって起こるシステムの破壊を防ぐために、混合による剪断は低レベルでなければならない。温度は通常、システムの調製において重要な要素ではない。用いられる温度は所望の最終生成物に依存する。相の混合は通常、室温で行われる。
【0052】
このシステムは、水相を油相中にポンピングすることにより、逆回転する攪拌子を備えたスウィープブレード(sweep blade)を有するプラネタリー方式ミキサーにおいて、内相を外相と混合することによって調製されうる。システムを調製する別の方法は、複数のインペラーを有する連続ミキサーの使用による。外相を最初に、混合槽の最も低いインペラーの水準に達するまで連続ミキサーに導入する。その後、2つの相は、そのインペラーまたは複数のインペラーが回転して成分が剪断されるように、ミキサーの底から適切な比率で同時に導入される。最終生成物はミキサーの上部から出てくる。インペラーまたは複数のインペラーの実際の速度は、2つの相の流れの流速が変化するように、産生される生成物に応じて変化する。いくつかの調製品では、両方の方法が用いられる。乳液は、逆回転する攪拌子を備えたスウィープブレードを有するプラネタリー方式ミキサーで調製されうる。乳液の粘度を増加させるために、乳液は連続ミキサーによって送り出される。
【0053】
活性医薬活性成分の溶解度などの特性に応じて、活性成分は水相または油相のいずれかに添加されうる。いずれの場合にも、活性成分はその治療上の性質および活性を保持するのに適切な相に添加されうる。活性成分が水と油の両方に可溶性である場合、または最低限に水および/もしくは油に可溶性である場合には、その活性成分は、最も物理的および化学的に安定な生成物を生じる相、あるいは、コスト効率の良い産生過程および/または簡易な産生過程をもたらす相に分散されうる。
【0054】
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明の主題をそれに限定するものと解釈されるべきではない。すべての重合体の分子量は平均分子量である。すべての割合は、他に示されない限り、調製された最終的な送達システムまたは製剤の重量パーセントに基づき、すべての合計は重量で100%と等しくなる。
【実施例】
【0055】
実施例1
本実施例は、本発明の主題による製剤の調製の実例を示す。
【0056】
重量%
精製水、USP 45.3
ソルビトール溶液 36.8
エデト酸二ナトリウム、USP 0.05
リン酸クリンダマイシン、USP 2.80
鉱物油、USP 7.00
オレイン酸ポリグリセリル-3 2.70
モノイソステアリン酸グリセロール 2.70
レシチン、Phospholipon 90G 1.00
疎水性二酸化ケイ素 1.00
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.40
メチルパラベン、NF 0.20
プロピルパラベン、NF 0.05
分析: 目標 結果
クリンダマイシン 20 mg/g 目標の104%
メチルパラベン 2.0 mg/g 目標の97.5%
プロピルパラベン 0.5 mg/g 目標の96.9%
粘度 処理中 860,000 cps
NB: 添加されるべき活性成分および水の量は、アッセイおよび原材料の水分含有量に基づいてバッチごとに計算される。
【0057】
一般的な調製方法(スケールアップ/提出用バッチ(Submission Batch))
水相の調製
1. 以下の品目を、蓋および変速ミキサーを備えたステンレス製の混合タンクに入れ、室温で、すべての固形物が溶解するまで混合する。クエン酸塩その他などのバッファーを使用する場合には、この時、水およびソルビトールを混合した後に、それらを溶液に添加し、溶解する。
精製水
ソルビトール溶液
エデト酸二ナトリウム
【0058】
2. この溶液にリン酸クリンダマイシンを添加し、溶解するまで混合する。
【0059】
油相の調製
3. 以下の品目を、スウィープブレードおよび変速ミキサーを備えたステンレス製の二重釜に入れ、70〜75℃で、すべての固形物が溶解するまで混合する。
鉱物油
オレイン酸ポリグリセリル-3
モノイソステアリン酸グリセリル
マイクロクリスタリンワックス
【0060】
4. ステップ3からの材料の一部を釜から出し、より小さなステンレス製容器に入れる。その後、Phospholipon 90Gを加えて、その混合物を80〜85℃で、Phoshpolipon 90Gが完全に溶解するまで撹拌する。
【0061】
5. Phospolipon 90Gが溶解した後、ステップ4からの溶液をステップ3の釜に戻し、メチルパラベンおよびプロピルパラベンを加えて、70〜75℃で溶解させる。
【0062】
6. 混合しながら疎水性二酸化ケイ素を釜に加えて混合し、最初の分散物を作製する。
【0063】
7. 混合しながら、ステップ6からの材料をコロイドミルから、逆回転ブレードおよびスウィープブレードを備えたステンレス製の二重釜に移す。
【0064】
相の混合
8. ステップ7からの油相を混合しながら、ステップ2からの水相を、相の添加が完了するまで、制御された方法で移送ポンプを用いて添加する。その後、混合を所定の期間続けて、予備的な乳液を作製する。
【0065】
9. 予備的な乳液はその後、最終的な粘度を達成するために、移送ポンプを用いて既定の流速および混合速度で第二の混合槽から移す。
【0066】
10. 材料はその後、個別のアプリケーターに包装するために、バルクコンテナに移す。
【0067】
実施例2
精製水、USP 41.978
ソルビトール溶液 39.600
エデト酸二ナトリウム、USP 0.0500
リン酸クリンダマイシン、USP 2.6900
鉱物油、USP 10.000
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30 5.0000
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.4250
メチルパラベン、NF 0.1800
プロピルパラベン、NF 0.0500
分析: 目標 結果
クリンダマイシン 20 mg/g 目標の76.8%
メチルパラベン 2.0 mg/g 目標の98.5%
プロピルパラベン 0.5 mg/g 目標の96.5%
粘度 初期 224,000 cps
NB: 添加されるべき活性成分および水の量は、アッセイおよび原材料の水分含有量に基づいてバッチごとに計算される。
【0068】
製剤は本明細書において提供される一般的な方法に従って調製された。
【0069】
実施例3
精製水、USP 45.23
ソルビトール溶液 30.00
エデト酸二ナトリウム、USP 0.250
リン酸クリンダマイシン、USP 2.690
鉱物油、USP 8.000
モノイソステアリン酸ソルビタン 8.000
モノステアリン酸ソルビタン 4.000
疎水性二酸化ケイ素 1.000
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.600
メチルパラベン、NF 0.180
プロピルパラベン、NF 0.050
分析: 目標 結果
クリンダマイシン 20 mg/g 目標の101%
メチルパラベン 2.0 mg/g 目標の99.9%
プロピルパラベン 0.5 mg/g 目標の100.7%
粘度 初期 400,000 cps
NB: 添加されるべき活性成分および水の量は、アッセイおよび原材料の水分含有量に基づいてバッチごとに計算される。
【0070】
製剤は本明細書において提供される一般的な方法に従って調製された。
【0071】
実施例4
実施例4の製剤は、クエン酸緩衝クリンダマイシン、クエン酸緩衝メトロニダゾール、および非緩衝メトロニダゾールを対象とする。これらの製剤は実施例1に記載の方法に従って調製され得る。
【0072】
このような製剤は、治療される患者に対して治療上有効な量を投与することが期待される。
【0073】
緩衝クリンダマイシン
精製水、USP 45.300
ソルビトール溶液、USP 36.100
エデト酸二ナトリウム、USP 00.050
無水クエン酸、USP 00.490
水酸化カリウム 00.240
リン酸クリンダマイシン、USP 2.800
鉱物油、USP 7.000
オレイン酸ポリグリセリル-3 2.700
モノイソステアリン酸グリセロール 2.700
レシチン、Phospholipon 90G 1.000
疎水性二酸化ケイ素 1.000
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.400
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
【0074】
緩衝メトロニダゾール
精製水、USP 42.810
ソルビトール溶液、USP 40.149
エデト酸二ナトリウム、USP 00.250
無水クエン酸、USP 00.490
水酸化カリウム 00.230
メトロニダゾール、USP 0.750
鉱物油、USP 8.032
モノイソステアリン酸ソルビタン 4.000
トリステアリン酸ソルビタン 1.426
疎水性二酸化ケイ素 1.013
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.600
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
【0075】
非緩衝メトロニダゾール
精製水、USP 42.810
ソルビトール溶液、USP 40.869
エデト酸二ナトリウム、USP 00.250
メトロニダゾール、USP 0.750
鉱物油、USP 8.032
モノイソステアリン酸ソルビタン 4.000
トリステアリン酸ソルビタン 1.460
疎水性二酸化ケイ素 1.013
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.600
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
マイクロクリスタリンワックス、NF 0.400
【0076】
実施例5
水 41.310
ソルビトール 70% 40.869
EDTA二ナトリウム、USP 00.250
メトロニダゾール 00.750
Gloria鉱物油、USP 8.032
硬化ヒマシ油 1.500
モノイソステアリン酸ソルビタン 4.000
モノステアリン酸ソルビタン 1.426
疎水性二酸化ケイ素 1.013
マイクロクリスタリンワックス 0.600
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
製剤は本明細書において提供される一般的な方法に従って調製された。
【0077】
実施例6
水 41.310
ソルビトール 70% 40.869
EDTA二ナトリウム、USP 00.250
メトロニダゾール 00.750
Gloria鉱物油、USP 8.032
蜜ろう、NF 1.500
モノイソステアリン酸ソルビタン 4.000
モノステアリン酸ソルビタン 1.426
疎水性二酸化ケイ素 1.013
マイクロクリスタリンワックス 0.600
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
製剤は本明細書において提供される一般的な方法に従って調製された。
【0078】
実施例7
水 41.881
ソルビトール 70% 35.869
EDTA二ナトリウム、USP 00.250
メトロニダゾール 00.750
Gloria鉱物油、USP 7.000
ワセリン 6.000
モノイソステアリン酸ソルビタン 5.000
モノステアリン酸ソルビタン 1.400
疎水性二酸化ケイ素 1.000
マイクロクリスタリンワックス 0.600
メチルパラベン、NF 0.200
プロピルパラベン、NF 0.050
製剤は本明細書において提供される一般的な方法に従って調製された。
【0079】
生物学的データ
クリンダマイシン膣クリーム2%として、実施例1の製剤を、Cleocin(登録商標)膣クリーム2%と比較した。12人の健康な女性は、期間中に2週間の洗浄を伴う、2処置、2期間、2つの順序でのランダム化交差試験による、実施例1および対照製剤の5 gmの単回投与を受けた。血漿中クリンダマイシン濃度の測定のための血液サンプルを、薬物投与前ならびに薬物投与1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、14、16、20、24、30、36、48、72、および96時間後に採取した。クリンダマイシンの血漿中濃度は、定量限界値0.2 ng/mLで有効なLC/MS/MS法を用いて測定された。
【0080】
両製剤の投与後の血漿中濃度および薬物動態パラメータは大きく異なっていた。薬物動態パラメータの変動係数は、実施例1および対照製剤について、88%〜154%および51%〜127%の範囲に及んだ。本発明のクリーム製剤の膣内投与後における平均血漿中クリンダマイシン濃度は、Cleocin(登録商標)の投与後のものより大幅に低く、Cmaxおよび曲線下面積の平均値も同様であった。本発明のクリーム製剤からのクリンダマイシンの生物学的利用能は、Cmax によるとCleocin(登録商標)によってもたらされるものの7.52%であり、AUCo-tまたはAUCによるとCleocin(登録商標)によってもたらされるものの12.4%であった。結果については図1を参照せよ。
【0081】
その結果は、本発明の膣クリーム2%の膣内投与後におけるクリンダマイシンへの全身性曝露がCleocin(登録商標)膣クリーム2%の投与後の約12%であったことを実証する。
【0082】
細菌性膣炎(BV)の患者において、実施例1の製剤、すなわちクリンダマイシン膣クリーム2%をCleocin(登録商標)膣クリーム2%と比較した。この研究は、540人の患者を含む、多施設でのランダム化された並行群での単純盲検を伴うものであった。
【0083】
この研究において、治療的治癒とは、4つすべてのAmselの診断基準の解決(正常な膣分泌物、膣のpH < 4.7、ウェットマウント標本上に<20%のクルーセル、および「におい」試験陰性)を伴うこと、ならびに研究の終点において4以下のNugentスコアを有することとして定義された。治療的治癒率は、この研究における患者に対する一次的効果であった。
【0084】
この研究の結果は、下記に示され、1)治療的治癒率(図2参照)ならびに2)一次的および二次的効果(図3参照)を含む。
【0085】
この研究の結果は、すべての解析集団に対する治療的治癒率(パープロトコール、改変された包括解析、および包括解析)に基づいて、実施例1の製剤(クリンダマイシン膣クリーム、2%)の単回投与が、細菌性膣炎の治療においてCleocin(登録商標)膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等であることを実証した。
【0086】
更なる効果率について、臨床的治癒、Nugent治癒、および治験責任医師による治癒率は、この研究における二次的効果を実証した。臨床的治癒は、研究の終点において4つすべてのAmselの診断基準の解決を伴うこととして定義された。Nugent治癒は、研究の終点において4以下のNugentスコアを有することとして定義された。治験責任医師による治癒は、研究の終点において以下の質問、すなわち「あなたの考えでは、その患者は現時点でBVの更なる治療の必要がありますか?」に対して「いいえ」と治験責任医師が答えることと定義された。その結果は図3に記載される。
【0087】
更に、この研究の結果は、すべての解析集団に対する臨床的治癒、Nugent治癒、および治験責任医師による治癒(パープロトコール、改変された包括解析、および包括解析)に基づいて、本発明の製剤の単回投与が、細菌性膣炎の治療においてCleocin(登録商標)膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等であることを実証した。
【0088】
本研究はまた、7日間にわたってCleocin(登録商標)膣クリーム、2%の投与を受けた1,325 人の患者のうちの2.7%と比較して、3日間にわたって本発明の製剤の投与を受けた600人の患者のうちの1.8%が、薬物関連の有害事象によって治療を中断したことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、既知の製剤と比較した、本発明の製剤の経時的な相対的生物学的利用能を示す。
【図2】図2は、既知の製剤と比較した、本発明の製剤の治療的治癒率を示す。
【図3】図3は、既知の製剤と比較した、本発明の製剤のプロトコール集団当たりの一次的効果および二次的効果を示す。
【図4】図4は、時間に対する平均血漿中クリンダマイシン濃度の線形プロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤であって、
有効な量の少なくとも1つの活性物質、
前記患者への膣内投与において前記活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形
を含み、
ここで、前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、
少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択される、医薬製剤。
【請求項2】
前記製剤が、活性物質として抗菌剤を含み、約100 mgの前記抗菌剤の総投与量を含む場合、約25〜約350 ng/mL. hrの曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記剤形が、
a. 1つの相が外部の脂質相を含み、他の相が内部の非脂質相を含む少なくとも2つの相からなる乳液(ここで、前記脂質相は連続的であり、前記非脂質相は前記乳液の容量の少なくとも70%からなる)、
b. リン脂質、非イオン性エステル、およびその混合物からなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を含み、
c.前記安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加され、前記安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加される、
請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記活性物質が、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、それらの塩、クリンダマイシン塩基の複合体、およびそれらの混合物からなる群より選択される抗菌剤である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記抗菌剤がリン酸クリンダマイシンである、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記抗菌剤が前記クリンダマイシンに基づき約5%w/w以下の量で存在する、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記抗菌剤が前記クリンダマイシンに基づき約2%w/w以下の量で存在する、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記抗菌剤が前記クリンダマイシンに基づき約1%w/w以下の量で存在する、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記活性物質が界面活性特性を有する、請求項1、3または4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤がエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ペニシリン系、セファロスポリン系、バシトラシン系、ポリミキシン系、メトロニダゾール系およびストレプトマイシン系からなる群より選択される、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
少なくとも1つの抗細菌剤を含み、更に抗真菌剤を含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項12】
更に酸緩衝相を含む、請求項1、3、4または10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記酸緩衝相が等浸透圧、高浸透圧、または低浸透圧である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記酸緩衝相が高浸透圧である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記酸緩衝相が弱酸およびその共役塩基、クエン酸、酢酸、クエン酸または酢酸の塩、およびそれらの混合物からなる群より選択される構成要素を含む、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記医薬製剤が約3〜約6のpHを有する、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記医薬製剤が約4〜約5のpHを有する、請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記医薬製剤が約4.5のpHを有する、請求項16または17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記医薬製剤が約4.5のpHを有する、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記血漿中濃度対時間曲線が約0.4 〜約100 ng/mLの最高濃度(Cmax)を有する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記Cmaxに達する時間が約0.5〜約90時間である、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記時間が約20〜約30時間である、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記時間が約26時間の平均時間である、請求項22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記活性物質が約10 ng/mL以下の血漿中濃度対時間曲線を生じる、請求項1、2または21のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記リン脂質がレシチン、精製レシチン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記主要な安定化界面活性剤が約95%以下のホスファチジルコリンを含む、請求項3または25に記載の医薬製剤。
【請求項27】
前記主要な安定化界面活性剤が約90%のホスファチジルコリンを含む、請求項3または25に記載の医薬製剤。
【請求項28】
前記補助的な安定化界面活性剤がオレイン酸ポリグリセロール-3、モノイソステアリン酸グリセロール、およびその混合物からなる群より選択される、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項29】
前記補助的な安定化界面活性剤が約2〜15%w/wの量で前記医薬製剤中に存在する、請求項3または28に記載の医薬製剤。
【請求項30】
前記製剤が単回投与で前記膣の状態の治療に影響を及ぼす、請求項1、2、4または10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤が複数回投与で前記膣の状態の治療に影響を及ぼす、請求項1、2、4または10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記活性物質が前記医薬製剤から長期間放出される、請求項1、2、4または10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項33】
医薬製剤が、
a. 界面活性特性を有する活性医薬品、
b. 1つの相が外部の脂質相を含み、他の相が内部の非脂質相を含む少なくとも2つの相を含む乳液(ここで、前記脂質相は連続的であり、前記非脂質相は前記乳液の容量の少なくとも70%からなる)、
c. リン脂質、非イオン性エステル、およびその混合物からなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を含み、
d.前記安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加され、前記安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加される、
医薬製剤。
【請求項34】
前記活性医薬品が抗真菌剤、抗細菌剤、抗菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択される、請求項33の医薬製剤。
【請求項35】
前記活性物質が抗菌剤である、請求項34に記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記抗菌剤がクリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、それらの塩、クリンダマイシン塩基の複合体、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項35に記載の医薬製剤。
【請求項37】
前記抗菌剤がリン酸クリンダマイシンである、請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項38】
前記抗菌剤がクリンダマイシンに基づき約5重量%以下の量で存在する、請求項35に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記抗菌剤がクリンダマイシンに基づき約2重量%以下の量で存在する、請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項40】
前記活性物質が50 ng/mL以下の血漿中濃度対時間曲線を生じる、請求項33または37に記載の医薬製剤。
【請求項41】
前記活性物質が界面活性剤である、請求項33、35または37のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項42】
前記製薬上許容されうる担体が更に、等浸透圧、高浸透圧または低浸透圧である酸緩衝相を含む、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項43】
前記緩衝相がクエン酸の塩、クエン酸のエステル、酢酸、クエン酸または酢酸の塩、酢酸のエステル、およびその混合物からなる群より選択される構成要素を含む、請求項42に記載の医薬製剤。
【請求項44】
前記活性物質がメトロニダゾールである、請求項33または42に記載の医薬製剤。
【請求項45】
前記医薬製剤が約4.5のpHを有する、請求項44に記載の医薬製剤。
【請求項46】
前記医薬製剤が約3〜約6のpHを有する、請求項42に記載の医薬製剤。
【請求項47】
前記医薬製剤が約4〜約5のpHを有する、請求項46に記載の医薬製剤。
【請求項48】
前記医薬製剤が約4.5のpHを有する、請求項42または47に記載の医薬製剤。
【請求項49】
血漿中濃度対時間曲線が約0.4 〜約100 ng/mLの最高濃度(Cmax)を有する、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項50】
前記Cmaxに達する時間が約0.5〜約90時間である、請求項49に記載の医薬製剤。
【請求項51】
前記時間が約20〜約30時間である、請求項50に記載の医薬製剤。
【請求項52】
前記時間が約26時間である、請求項51に記載の医薬製剤。
【請求項53】
前記製剤が約25.00〜約600.00 ng/mL.hrのAUCを有する、請求項49または50に記載の医薬製剤。
【請求項54】
Cmaxが約75.00 ng/mLである、請求項49または50に記載の医薬製剤。
【請求項55】
前記リン脂質または前記非イオン性エステルがレシチン、精製レシチン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項56】
前記主要な安定化界面活性剤が約95%以下のホスファチジルコリンを含む、請求項33または55に記載の医薬製剤。
【請求項57】
前記主要な安定化界面活性剤が約90%以下のホスファチジルコリンを含む、請求項33または55に記載の医薬製剤。
【請求項58】
前記主要な安定化界面活性剤が約75%以下のホスファチジルコリンを含む、請求項33または55に記載の医薬製剤。
【請求項59】
前記補助的な安定化界面活性剤がオレイン酸ポリグリセロール-3、モノイソステアリン酸グリセロール、およびその混合物からなる群より選択される、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項60】
前記補助的な安定化界面活性剤が約2〜15%w/wの量で前記医薬製剤中に存在する、請求項33または59に記載の医薬製剤。
【請求項61】
前記製剤が単回投与で前記膣の状態の治療に影響を及ぼす、請求項33または37に記載の医薬製剤。
【請求項62】
前記製剤が複数回投与で前記膣の状態の治療に影響を及ぼす、請求項33または37に記載の医薬製剤。
【請求項63】
前記活性物質が前記医薬製剤から長期間放出される、請求項33または37に記載の医薬製剤。
【請求項64】
膣感染症を治療するための組成物であって、
有効な量の少なくとも1つの活性物質、
前記患者への膣内投与において前記活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形
を含み、
ここで、前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、
少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択され、
前記組成物が単回投与され、細菌性膣炎の治療において従来のクリンダマイシン膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等である、組成物。
【請求項65】
ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤であって、
有効な量の少なくとも1つの活性抗細菌剤、
前記患者への膣内投与のための改良放出剤形
を含み、
ここで、前記活性抗細菌剤は抗真菌剤ではなく、
前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性抗細菌剤の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、医薬製剤。
【請求項66】
ヒト患者において膣の状態を治療する医薬製剤であって、
有効な量の少なくとも1つの活性抗細菌剤、
前記患者への膣内投与のための改良放出剤形
を含み、
ここで、前記活性抗細菌剤は抗真菌剤ではなく、
前記抗真菌剤はブタコナゾールではなく、
前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性抗細菌剤の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、医薬製剤。
【請求項67】
請求項1の生物学的評価項目を達成する製剤を前記患者に投与することを含む、前記膣の状態を治療するために治療上有効な量の医薬製剤を投与することによる、膣感染症の治療方法。
【請求項68】
前記製剤が、前記活性物質に基づき約100 mgの前記抗菌剤の総投与量を含む場合、約25〜約350 ng/mL. hrの曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記剤形が、
a. 1つの相が外部の脂質相を含み、他の相が内部の非脂質相を含む少なくとも2つの相を含む乳液(ここで、前記脂質相は連続的であり、前記非脂質相は前記乳液の容量の少なくとも70%からなる)、
b. リン脂質または非イオン性エステルからなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を含み、
c.前記安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤を含み、前記安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤を含む、
請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記活性物質が、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、それらの塩、クリンダマイシン塩基の複合体、およびそれらの混合物からなる群より選択される抗細菌剤である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗細菌剤がリン酸クリンダマイシンである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
膣感染症の治療方法であって、
それを必要とする患者に、界面活性特性を有する活性医薬製剤を含む治療上有効な医薬製剤を単回投与することを含み、
前記膣感染症の治療が前記単回投与により影響を受ける、治療方法。
【請求項74】
前記膣感染症が細菌性膣炎である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
リン脂質、非イオン性エステル、およびその混合物からなる群より選択される1以上の主要な安定化界面活性剤を添加することによって、クリンダマイシン製剤を安定化する方法であって、
ここで、前記安定化界面活性剤がリン脂質である場合には、1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加され、前記安定化界面活性剤が非イオン性エステルである場合には、任意選択で1以上の補助的な安定化界面活性剤が添加される方法。
【請求項76】
患者における膣感染症の再発を治療または予防する方法であって、
それを必要とする患者に、前記膣の状態を治療するために有効な界面活性特性を有する活性医薬品を含む医薬製剤を単回投与することを含む方法。
【請求項77】
膣内投与のための医薬製剤を投与することによる膣感染症の治療方法であって、
有効な量の少なくとも1つの活性物質、
前記患者への膣内投与において前記活性物質または複数の活性物質の放出の改良を提供する改良放出剤形
を含み、
ここで、前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じ、
少なくとも1つの活性物質が、抗細菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤、ホルモン剤、成長促進剤、サイトカイン、抗トリコモナス剤、抗原虫薬、抗マイコプラズマ剤、抗レトロウイルス薬、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、避妊薬、サルファ剤、スルホンアミド、スルホン、衛生剤、プロバイオティック剤、ワクチン剤、抗体薬、ペプチド薬、タンパク質薬、多糖類物質、核酸、プラスミド、リポソーム、糖質ポリマー、トランスジェニック細菌、酵母、化学療法薬、ステロイド剤、成長促進剤、性欲増進剤、アンドロゲン物質、キチン誘導体、pH調整剤などの環境改変剤、ならびにその混合物および組み合わせからなる群より選択され、
前記投与が単回投与であり、細菌性膣炎の治療において従来のクリンダマイシン膣クリーム、2%の7回の投与と統計的に同等である方法。
【請求項78】
少なくとも1つの活性物質を含む改良放出医薬製剤の膣粘膜組織部位への局所投与を含み、
前記製剤が膣腔において最大10日間の局所滞留を維持し、
少なくとも1つの活性物質の全身性吸収が最小限に抑えられる、
膣の状態を治療するための方法。
【請求項79】
少なくとも1つの活性物質を含む改良放出医薬製剤の膣粘膜組織部位への局所投与を含み、
前記製剤が膣腔において最大7日間の局所滞留を維持し、
少なくとも1つの活性物質の全身性吸収が最小限に抑えられる、
膣の状態を治療するための方法。
【請求項80】
前記製剤が、前記活性物質に基づいて約25μg〜約500 mgの各活性物質の総投与量を含む場合、約600 ng/mL. hr以下の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記製剤が、活性物質として抗菌剤を含み、約100 mgの前記抗菌剤の総投与量を含む場合、約25〜約350 ng/mL. hrの曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線(ng/mL対時間)を生じる、請求項79に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505927(P2007−505927A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527093(P2006−527093)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/030672
【国際公開番号】WO2005/027807
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506094116)ドラッグテック コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】