説明

薬物送達デバイス用の組立体

薬物送達デバイス用の組立体はピストンロッド(5)を駆動するための第1の駆動部材(11)を含み、ここで組立体の第1の状態において、第1の駆動部材(11)は第2の駆動部材(12)に対して可動であり、そしてピストンロッド(5)は第1の駆動部材(11)が第2の駆動部材(12)に対して移動するとき、第1の駆動部材(11)に対して移動するように構成される。組立体は更に、第2の駆動部材(12)に対して第1の駆動部材(11)の動きが防止され、それにより薬物送達デバイスの設定及び送達動作のための駆動ユニット(11、12)を形成するように、組立体の第2の状態において第1の駆動部材(11)を第2の駆動部材(12)と連結するように構成されている連結部材(20)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬物送達デバイスは、カートリッジから例えばカニューレを経て薬物を送達するように操作可能である。薬物送達デバイスの駆動機構は、所定用量が送達されるように栓をカートリッジ中に押し込む。
【0002】
用量は可変又は固定であってよい。薬物送達デバイス又はその部材は使い捨て又は再使用可能であり得る。薬物送達デバイスが組み立てられ、又は薬物送達デバイスの部材、例えばカートリッジが交換されるとき、駆動機構の部材は薬物送達デバイスのカートリッジ又はハウジングに対して所定位置に位置していなくてよい。部材が所定位置に位置している場合、これは、薬物送達デバイスが組立後に初めて使用される場合には所定用量が送達されることを保証する。組立後、正しい量の用量の送達を保証するために互いに接触する必要がある薬物送達デバイスの部材間に内部ギャップがあってよい。ギャップは、駆動機構の部材間、又は駆動機構の部材例えばカートリッジ間に位置し得る。ギャップはすべての組立部材と関連する許容誤差の結果である。
【背景技術】
【0003】
従来の薬物送達デバイスでは、プライミング操作が、駆動機構の部材が他の部材に対してそれらの所定位置に移動することを保証するために行われる。
【0004】
当該薬物送達デバイスに不慣れな使用者は、初回用量を投与する前にそれらの薬物送達デバイスを不正確にプライミングすることができない可能性がある。これが起こる場合、使用者はプライミング液体を注射し、又は薬物の正しい容積が初回用量において送達されない可能性がある。これは、使い捨て薬物送達デバイスが組み立てられ、又は再使用可能な薬物送達デバイスのカートリッジが交換されているとき、通常ピストンロッドの末端とカートリッジの栓間に内部ギャップがあるからである。このギャップは全組立部材と関連する許容誤差の結果であり、その必要条件は組み立てた薬物送達デバイスにおいて軸方向に栓を前負荷しないことである。なぜなら前負荷はカートリッジ中の薬物を加圧する可能であるからである。
【0005】
本発明の目的は、使用者にデバイスを納入する前に本ギャップをなくすことで、それにより、使用者により初回用量の投与に先立ってプライミング操作の必要性をなくすことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この目的に対して、薬物送達デバイスが提供され、本組立体はピストンロッドを駆動するために第1の駆動部材を含む。組立体の第1の状態において、第1の駆動部材は第2の駆動部材に対して可動である。ピストンロッドは、第1の駆動部材が第2の駆動部材に対して移動する場合に、第1の駆動部材に対して移動するように構成される。組立体は、第2の駆動部材に対して第1の駆動部材の動きが防止され、それにより薬物送達デバイスの設定及び送達動作のための駆動ユニットを形成するように、組立体の第2の状態において第1の駆動部材を第2の駆動部材と連結するように構成される連結部材を更に含み、これは第1の駆動部材及び第2の駆動部材が設定及び送達動作中に互いに対して動かないことを意味する。
【0007】
この組立体は組立中に、好ましくはカートリッジを適合後に最終組立中にピストンロッドをカートリッジ栓と接触させるように調整することができる。これは組立体から許容ギャップを取り除き、そして薬物の第1の用量を送達する前に使用者によりなされるプライミング操作の必要性をなくす。互いに対する第1及び第2の駆動部材の動きは、設定及び送達動作前に計画する通常操作までの駆動部材の調整を可能にする。本発明の組立体の第1及び第2の駆動部材は、それらが互いに対して動かないように、設定及び送達動作中に連結される。言い換えれば、セットアップ段階である組立中に第1及び第2の駆動部材は調整することができ、そして設定及び送達動作中に第1及び第2の駆動部材は一体となって効果的に作動する。
【0008】
薬物送達デバイスはカートリッジ中に含まれる1つ又はそれ以上の用量の送達に好適である。その用量は固定又は可変である。薬物送達デバイスの1つの実施態様は、薬物を患者又は動物に注射するのに好適な注射器型についてである。薬物送達デバイスは再使用可能又は使い捨て可能である。1つの実施態様では、薬物送達デバイスはペン型薬物送達デバイスである。ペン型薬物送達デバイスは管状又は非管状形状を有する細長い形を有する。1つの実施態様は主に楕円体の形をしている。別の実施態様は主に立方体である。
【0009】
ハウジングは、薬物送達デバイスの安全で正しいそして簡単な取り扱いを可能にするように設計される外部又は内部ハウジング部材を含む。ハウジングは単体又はマルチパート部材である。ハウジングは薬物を含むように構成されるカートリッジを含む。カートリッジはハウジングの外側又は内側部材と固定又は係合し得る。多数の薬物の用量がカートリッジから投与し得る。カートリッジの別の実施態様は単回用量を送達するのに好適である。
【0010】
ピストンロッドは、薬物送達中にカートリッジの内壁に沿って栓を押し込むために可動であり、それにより薬物を送達する。
【0011】
駆動ユニットは、ピストンロッドを薬物送達中にハウジングに対して遠位方向において駆動するのに好適である。1つの実施態様では、駆動ユニットは、送達操作中に使用者によってもたらされる動きをピストンロッドに伝達する。駆動ユニットは、第1及び第2の駆動部材が互いに対して動かないように、設定及び送達動作中に連結される第1の駆動部材及び第2の駆動部材を含む。しかしながら、最終組立中に、第1の駆動部材は、ピストンロッドがこの動きによって栓に向いて押されるように、第2の駆動部材に対して可動である。
【0012】
連結部材は、それらが駆動ユニットを形成するように、第1及び第2の駆動部材を最終組立後に第2の状態において連結する。1つの実施態様では、駆動部材は、第1の駆動部材が第2の駆動部材に対して可動であるように、第1の状態において少なくとも1つの第1及び第2の駆動部材と係合する。
【0013】
組立体の第1の状態において、第1の駆動部材は第2の駆動部材に対して回転可動であり得る。第2の駆動部材に対して第1の駆動部材の回転運動はピストンロッドの軸方向運動をもたらし、それによりピストンロッドの位置を調整する。第1の駆動部材及びピストンロッドはねじ係合され、第1の駆動部材を回転させることにより栓に向いてピストンロッドのねじ込みを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの実施態様では、第1の駆動部材は少なくとも部分的に第2の駆動部材内に位置する。第1の駆動部材は内側駆動部材であり、そして第2の駆動部材は外側駆動部材である。この配置はコンパクトで省スペースである。第1及び第2の駆動部材は、第1の駆動部材が第2の駆動部材の内部で回転可動になるように、本質的に管状に形成し得る。
【0015】
組立体の第1の状態において、連結エレメントは第2の駆動部材に対して可動であってよく、それにより第1の駆動部材を第2の駆動部材に対して動かす。言い換えれば、第1の駆動部材は、連結エレメントが第2の駆動部材に対して移動する場合に、第2の駆動部材に対して移動する。連結エレメントは第1の駆動部材を回転させるための組立中に製作ライン上で操作される。
【0016】
1つの実施態様では、連結部材が第2の駆動部材に対して回転する場合に、第1の駆動部材が第2の駆動部材に対して回転するように、連結部材は第1のクラッチ手段を含み、そして第1の駆動部材は第1のクラッチ手段と連結するように構成される第2のクラッチ手段を含む。第1及び第2のクラッチ手段は回転を伝えるのに好適なクラッチ連結を形成する。言い換えると、第1の駆動部材は、連結部材が第1の状態において第2の駆動部材に対して回転するとき、第2の駆動部材に対して回転する。第1の駆動部材及び連結エレメントはそれらが同じ速度で回転するような方法で連結する。
【0017】
1つの実施態様では、連結部材が組立体の第1の状態において第2の駆動部材に対して回転可動であるように、第1の状態において、第2の駆動部材及び連結部材の1つは第2の駆動部材及び連結部材のもう1つの方と係合するように構成される。連結部材が組立体の第2の状態において第2の駆動部材に対して回転固定されるように、第2の状態において、第2の駆動部材及び連結部材の1つは第2の駆動部材及び連結部材のもう1つの方と係合するように構成される。第1の状態における係合に対して、停止手段及び戻り止め手段が提供されてよく、停止手段は例えば戻り止めスプラインと係合する円周トレンチとして形成されており、それにより第2の駆動部材に対して連結部材の回転運動を可能にする。
【0018】
第2の状態では、係合手段は組立体の第2の状態において回転運動を防止し得る。第2の駆動部材に対する第1の駆動部材の動きが組立体の第2の状態において防止されるように、第2の駆動部材及び連結部材の1つは、第2の駆動部材及び連結部材のもう1つの方によって含まれる第2の係合手段と係合するように構成される第1の係合手段を含んでよい。係合手段は連結エレメントに対する第2の駆動部材の回転運動が防止されるように連結することができる。係合手段はスナップ連結及びクランプ結合を形成し得る。連結部材は、第1及び第2の駆動部材が互いに対して動かないように第1の駆動部材とクラッチ連結になっている。
【0019】
連結部材が第2の駆動部材に対して好ましくは軸方向に移動するとき、組立体の状態は第1の状態から第2の状態へ変化する。状態の変化は連結部材の並進運動によって行われ得る。1つの実施態様では、連結エレメントが、ピストンロッドの位置の調整後第1の戻り止め位置から第2の戻り止め位置まで第2の駆動部材に対して軸方向に移動するとき、組立体の状態は変化する。好ましくは、状態の変化中の駆動部材に対する連結部材の動きは、調整中の互いに対して部材の動きと異なり、即ち1つの実施態様では状態変化が軸方向である間、調整は回転である。好ましくは、状態が組立中に変化すると、それは可逆的でなくなり、このことは使用者が連結部材を引き戻して部材を妨害することができないことを意味する。
【0020】
上述の組立体の1つの実施態様は、薬物送達デバイスの本体エレメントにおいて使用し得る。1つの実施態様では、薬物送達デバイスの本体エレメントは栓を含むカートリッジと連結するように構成される。組立体は本体エレメントのハウジングの内部に少なくとも部分的に位置し、ここでピストンロッドは、第1の駆動部材が第2の駆動部材に対して移動する場合には、栓に向いて移動するように構成される。
【0021】
本体エレメントは薬物送達デバイスの一部であり、本体エレメントはハウジング及び駆動機構を含む。本体エレメントはカートリッジ又はカートリッジホルダに連結することができる。あるいは本体エレメントはカートリッジホルダと一体的に形成される。
【0022】
1つの実施態様では、ピストンロッドは栓に向いて動きそして栓に隣接するように構成される。それにより、ピストンロッドは薬物送達デバイスの最初の使用前に栓上に位置している。初回用量は上述のようにピストンロッドの位置を調整後に注射用に使用することができる。
【0023】
1つの実施態様では、ハウジングは、組立体の第1の状態においてハウジングに対して第1及び第2の駆動部材の少なくとも1つの遠位運動を停止させるように構成される、停止部材を含む。駆動部材は、それが停止部材と係合するまでハウジングに対して遠位方向に変位し得る。この工程は、すべての機構許容誤差が正しく取られることを保証する。停止部材はハウジングの内部に突出している部材として形成し得る。
【0024】
1つの実施態様では、駆動ユニットはハウジングに対して遠位方向においてピストンロッドを動かすのに好適であり、それにより送達動作中にカートリッジに対して遠位方向において栓を動かす。駆動ユニットは第2の状態において互いに取り付けられる第1及び第2の駆動部材によって形成される。
【0025】
好ましくは、連結エレメントは駆動機構の設定及び送達動作を開始するためのボタンとして機能する。ボタンエレメントは、送達動作を開始するために使用者により、例えば送達動作中にハウジングに対してボタンを押すことにより可動になる。1つの実施態様では、ボタンはまた、例えばハウジングに対してボタンを回転することにより用量を設定するのにも好適である。このねじり−押し動作は組立体の第2の状態における設定及び送達に使用される。第1の状態において、ボタンは機構を調整するように移動する。しかしながら、調整はねじり−押しボタンに限定されず、ねじ込み駆動部材又はボタンを含んでよい他の実施態様に適用することができる。
【0026】
更に薬物送達デバイスを組み立てる方法が提供される。薬物送達デバイスは駆動機構を有する本体エレメントを含み、本体エレメントは栓を有するカートリッジと連結される。本方法は下記の工程を含む。第1の駆動部材は第2の駆動部材に対して動き、それによりピストンロッドを栓に向いて動かす。次いで第1の駆動部材は、第2の駆動部材に対する第1の駆動部材の動きが設定及び送達動作中に防止されるように、第2の駆動部材と連結する。
【0027】
本明細書で使用する用語「薬物」又は「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン3又はエキセンジン4、若しくはエキセンジン3又はエキセンジン4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0028】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0029】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインスリンである。
【0030】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0031】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0032】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0033】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0034】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、‘Remington's Pharmaceutical Sciences'17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0035】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0036】
他の特徴は、添付図面との関連において検討するとき、下記の詳細な説明から明らかになるものである。
【0037】
本発明の範囲は特許請求の範囲の内容によって規定される。本発明は具体的な実施態様に限定されるものではなく、種々の実施態様のエレメントのいずれの組み合わせをも含む。更に、本発明は特許請求の範囲のいずれの組み合わせ及び特許請求の範囲によって開示される機構のいずれの組み合わせをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】薬物送達デバイスの実施態様の本体エレメントの三次元切断図(cut-away view)を示す。
【図2】最終組立前の薬物送達デバイスの近位部の切欠き図を示す。
【図3】最終組立後の薬物送達デバイスの近位部の切欠き図を示す。
【図4】薬物送達デバイスの更なる実施態様の三次元切断図を示す。
【図5】薬物送達デバイスの更なる実施態様の詳細な三次元切断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、薬物送達デバイスの実施態様の本体エレメント1の三次元切断図を示し、本体エレメント1は薬物を投与するための駆動機構が位置している薬物送達デバイスの近位部である。本体エレメント1は、薬物送達デバイスの初回使用前の駆動機構を調整するのに好適な調整機構を含む。
【0040】
薬物送達デバイスはペン型薬物送達デバイスとして設計される。ペン型薬物送達デバイスは管状又は非管状形状を有する細長い形態を有する。
【0041】
1つの実施態様は主として楕円形の形状である。別の実施態様は主として立方体である。
【0042】
薬物送達デバイスは2つの主要部材、近位ハウジング3及び遠位ハウジング2(後者は図1に示されないが図2及び3に部分的に示される)を有するハウジングを含む。デバイスの遠位端は矢印51で表示され、薬物送達デバイスの投与端に最も近接している薬物送達デバイスのその終端を参照する。デバイスの近位端は、デバイスの投与端から最も離れたデバイスのその終端を参照する矢印50で表示される。本実施態様では、近位ハウジング3は本体エレメント1のハウジングである。
【0043】
薬物送達デバイスの1つの実施態様は、使い捨てである。別の実施態様は再使用可能であり、このことは薬物を含む少なくともカートリッジ4(図1に示されていない)は交換可能である。カートリッジの交換は遠位ハウジング2(図1に示されていない)又はその部材を近位ハウジング3から取り外し、カートリッジ4を交換し、そして遠位ハウジング2を近位ハウジング3に取り付けることによって行い得る。更なる実施態様では、遠位ハウジング3及びカートリッジ4は交換可能である。別の実施態様では(図に示されていない)、遠位及び近位ハウジング2、3は一体構造で形成される。カートリッジ4はハウジングの遠位端に位置する開口部を通して交換し得る。薬物送達デバイスは固定又は可変用量を送達するために設計され得る。
【0044】
遠位ハウジング2はカートリッジホルダとして機能する。遠位ハウジング2内には、多くの用量の注射用液状薬物を含む薬物カートリッジ4(図1に示されていない)が位置する。カートリッジ2(図1に示されていない)はカートリッジ4の近位端に位置する栓6(図1に示されていない)を有する。栓6はカートリッジ4の内側壁に沿って可動である。注射はカートリッジ4の遠位端に取り付けられた針によって行われ得る。使用中に、カートリッジホルダとして機能する遠位ハウジング2は、薬物送達デバイスの近位ハウジング3に恒久的に取り付けられる。
【0045】
近位ハウジング3は、近位ハウジング3の遠位端に又は近接して位置するナット部材9を含む。ナット部材9は近位ハウジング3に対して可動ではなく、そして近位ハウジング3により一体的に形成され得る。別の実施態様では、ナット部材9は遠位及び近位ハウジング2、3間に取り付けられる。ナット部材9は雌ねじとして設計される第1のねじ山10を有する。
【0046】
通常、管状形状を有する本体インサート27は、ハウジング1の内部に取り付けられる。本体インサート27は近位ハウジング3に対して可動ではない。本体インサート27の遠位端はラセン斜面(ramp)29として機能する。斜面29のピッチは第1のねじ山10と同一である。(斜面29は図5に明確に示される)
【0047】
駆動機構は、薬物送達デバイスの本体エレメント1内に実質的に位置する。駆動機構は、送達動作中にカートリッジ4の内部壁に沿って栓6を押すのに好適なピストンロッドとして機能する親ねじ5を含む。
【0048】
親ねじ5は薬物送達デバイスの主軸上にあり、そして初期に近位ハウジング3内に位置する。親ねじ5は、本質的に親ねじ5の表面上に形成される第2のねじ山7及び第3のねじ山8を備えた円筒形状である。第2及び第3のねじ山7、8は反対巻きに位置してよい。第2のねじ山7は、親ねじ5の近位部分に位置するラセン構造として形成される雄ねじである。本実施態様では、ラセン構造は親ねじ5の外側に位置するラセンスプラインを含む。第3のねじ山8は、親ねじ5の遠位部分に位置するラセン構造として形成される雄ねじである。本実施態様では、ラセン構造は親ねじの外側に形成されるラセントレンチを含む。本実施態様では、第3のねじ山8は親ねじ5の遠位端から伸び、そして第2のねじ山7は親ねじの近位端から伸びる。1つの実施態様では、それに沿って第2及び第3のねじ山7、8が伸びる範囲は重複する。別の実施態様では、それに沿って第2及び第3のねじ山7、8が伸びる範囲は重複しない。
【0049】
第3のねじ山8はナット部材9の第1ねじ山10とねじ係合している。このように、親ねじ5はナット部材9に対して軸方向に動き、そして親ねじ5が近位ハウジング3に対して回転する場合には、本体エレメント1が軸方向に移動する。
【0050】
ベアリング14は、ベアリング14と親ねじ5の間で相対的回転を可能にするジャーナルによって親ねじ5の遠位端に連結されるが、軸運動ではない。使用時に、ベアリング14はカートリッジ栓6(図1に示されていない)の近位面に隣接するように配置される。ベアリング14は、送達動作中親ねじ5により栓4へのトルクの伝達を防止する。
【0051】
駆動機構は、内側駆動スリーブ11として設計された第1の駆動部材、及び外側駆動スリーブ12として設計された第2の駆動部材を含む駆動ユニットを更に含む。内側駆動スリーブ11は薬物送達デバイスの主軸上にあり、そして本質的に管状形状である。第4のラセンねじ山13は内側駆動スリーブ11の内面上に形成される。第4のラセンねじ山13は親ねじ5の第2のねじ山7と係合する。
【0052】
外側駆動スリーブ12は薬物送達デバイスの主軸上にあり、そしてその近位端で放射状に拡大した外部に突出したバレル16を備えた本質的に管状形状である。外側駆動スリーブ12は近位ハウジング3と本体インサート27間に形成された駆動経路において係合する。一連のスプライン17は、外側駆動スリーブのバレル16で内部円筒面周りに放射状に配置される。
【0053】
第1及び第2の停止手段18,19はスプライン17に対して近位に位置する。第1の停止手段18はバレル16の内面において円筒形トレンチとして形成される。第2の停止手段19はバレル16の内面において円筒形トレンチとして形成され、第2の停止手段19は第1の停止手段18に対して近位に位置する。
【0054】
連結ラグ(lug)(図1に示されていない)は外側駆動スリーブ12の外側に位置する。設定動作中に、外側駆動スリーブ12は、連結ラグがラセン斜面29に沿ってスライドするようにラセン状に可動である。
【0055】
ボタン20は薬物送達デバイスの近位端に位置する。ボタン20は外側及び内側駆動スリーブ12、11を連結するのに好適な連結エレメントして機能する。ボタン20は、送達動作中に使用者によって押圧されるのに好適な近位面、及び本質的な管状形状を有してよい近位部材25を含む。ボタン20は外側駆動スリーブ12のバレル16に取り付けられる。ボタン20は第1及び第2の停止手段18,19と係合することができる戻り止め手段を有する。戻り止め手段は、ボタンの近位部材25の外面に位置している円筒形の戻り止めスプライン21を含む。第1の状態において、ボタン20は図1に示すように第1の戻り止め位置に停止しており、ここで戻り止めスプライン21は第2の停止手段19と係合する。第2の状態においてボタン20は第2の戻り止め位置に停止して、第1の戻り止め位置に対して遠位方向において軸方向に変位しており、ここで戻り止めスプライン21は第1の停止手段18と係合する。停止部材及び戻り止め部材は、第1及び第2の戻り止め位置においてボタン20を停止するのに好適な、別の仕方で設計されてよい。戻り止め部材は円筒形スプラインを含んでよい(図2及び3に示す)。
【0056】
ボタン20は、ボタンの近位部材25の外部円筒状表面周りに放射状に配置されるスプライン22のセットを有する。ボタン20が第2の戻り止め位置に位置する場合、ボタン20のスプライン22及び外側駆動スリーブのバレル16のスプライン17は係合する。ボタン20が第1の戻り止め位置に位置する場合、ボタンのスプライン22及びバレルのスプライン17は係合しない。
【0057】
ボタンの近位部材25は内側駆動スリーブ11の近位部材とクラッチ係合している。その近位端では、内側駆動スリーブ12は、ボタンの近位部材25上で適合クラッチ歯26と係合している正方形プロファイルクラッチ歯24を有する。このことはボタン20と内側駆動スリーブ11間の相対的軸運動を可能にするが、相対的回転運動を可能にしない。言い換えると、ボタン20は内側駆動スリーブ11に対して軸方向に可動し、ここでクラッチ係合は運動中に連結を外されない。
【0058】
ボタン20は、スプライン17、22の対合セットが係合しないように、図1に示される第1の戻り止め位置に初期に取り付けられる。この位置に取り付けたとき、ボタン20と外側駆動スリーブ12間の相対的回転が可能である。また、ボタン20は、相対的回転が可能ではないように内側駆動スリーブ11とクラッチ係合している。
【0059】
内側及び外側駆動スリーブ11、12は近位ハウジング3に位置している。ナット部材9は、内側及び外側駆動スリーブ11、12の遠位運動を防止する停止手段として機能する。
【0060】
図1に示される本体エレメント1はカートリッジを含む薬物送達デバイスの遠位部分(図に示されていない)へ組立中に取り付けられる。親ねじ5の終端とカートリッジ栓6(図1に示されていない)間には通常意図的なギャップ28(図1に示されていない)があ
る。このギャップ28はすべての組立部材に関連する許容誤差の結果である。
【0061】
ベアリング14とカートリッジ栓6間の軸許容誤差をなくすための最終組立中の駆動機構の調整は、図2及び3を参照してこのように記載することが可能となる。
【0062】
図2は、最終組立前の薬物送達デバイスの横切欠き図である。図3は、最終組立後の薬物送達デバイスの横切欠き図である。参照番号は図1のように同じ機構に関係している。
【0063】
薬物送達デバイス部分組立が、カートリッジ4の挿入及びハウジング部材2、3の閉鎖を意味する最終組立にもたらされるとき、本体エレメント1には図2に示すように構造中にボタン20、親ねじ5及び駆動機構が備えられる。ボタン20は第1の戻り止め位置に位置する。
【0064】
最終組立中に、カートリッジ4が先ずカートリッジホルダとして機能する薬物送達デバイスの遠位部材2に入れられ、次いで薬物送達デバイスの本体エレメント1へ連結され、例えば不可逆的にクリップされる。最終組立前にベアリング14とカートリッジの栓6間にはギャップ28がある。次いで駆動機構は、ベアリング14とカートリッジの栓6間にギャップ28がなくなるように調整される。これは自動化装置に用いて行うことができる。
【0065】
最終組立前に、ボタン20は図2に示されるように第1の戻り止め状態に位置する。外側駆動スリーブ12がナット部材9の近位面である、ハウジング1上のその停止面15を係合するまで、外側駆動スリーブ12は先ずハウジング1に対して遠位方向に変位する。この工程は、すべての機構許容誤差が正確に取られることを保証するのに重要である。外側駆動スリーブ12は、外側駆動スリーブのバレル16を把持し、そして近位ハウジング3に対してそれを遠位方向に押すことにより遠位方向において動き得る。あるいは、外側駆動スリーブ12は停止面15に向けさせられるが、ボタン20は第1の戻り止め位置にあるように、外側駆動スリーブ12は遠位方向においてボタン20をわずかに押すことにより遠位方向に移動する。
【0066】
ボタン20は次いで外側駆動スリーブ12に対して回転される。この動作は、外側駆動スリーブ12に対してボタン20とクラッチ連結している、内側駆動スリーブ11を回転させ、そしてそれによりベアリング14が栓6と接触するまで、ナット部材9の第1のねじ山10を通して親ねじ5を前進させる。これは例えばボタン20を回転させるのに使用される調整ツールのグリッパヘッド(図に示されていない)内の歪計によって検出することができる。調整ツールは、所定のレベルに達したときに、ベアリング14と栓6間の好適な接触を表すトルクフィードバックを測定するのに好適である。調整ツール(図に示されていない)の別の実施態様はベアリング14の位置を測定する。
【0067】
栓6に対してベアリング14の隣接後、ボタン20は次いで図3に示すように第2の戻り止め位置に押し込まれる。この動作はボタン20と外側駆動スリーブ12間に2セットのスプライン17、22を係合し、このようにそれらの回転を防止するようにロックする。内側駆動スリーブ11は既にボタン20とクラッチ係合していることから、この係合はまた内側駆動スリーブ12を効果的に外側駆動スリーブ13に回転的にロックする。このように、内側駆動スリーブ11及び外側駆動スリーブ12は、薬物送達デバイスの通常動作モードにおいて設定及び送達動作中に使用される駆動ユニットを形成する。駆動ユニット11、12は送達動作中に親ねじ5を駆動するのに好適である。
【0068】
駆動機構の調整はメーカーによって行ってよい。メーカーが薬物送達デバイスを調整する場合、使用者は駆動をプライミングする必要はなく、それ故プライミング液を誤って注射することはない。しかしながら、第2の戻り止め位置に位置しているボタン20は、薬物送達デバイスの使用準備ができていることを明瞭に示す。プライミング工程、例えば注射しない初回用量を送達する工程は必要ではない。
【0069】
最終調整後、薬物送達デバイスは設定及び送達動作のために使用することができる。
【0070】
設定動作中、バレル16又はボタン20は使用者によって把持され、連結斜面(図に示されていない)がラセン斜面29に沿ってスライドするように近位ハウジング3に対して回転的に動き、ボタン20及び内側及び外側駆動スリーブ11、12によって形成される駆動ユニットの近位端を近位ハウジング3から外へ軸方向に伸びるようにする。このラセン斜面29のピッチは第1ねじ山10と親ねじ5間のラセンインターフェースのピッチと同一であり、駆動ユニット11、12がそれを越えて回転することから親ねじ5の動きがないことを意味する。
【0071】
一旦、薬物送達デバイスが設定されると、使用者は、用量を設定するために近位ハウジング3に対して遠位方向においてボタン20を軸方向に押圧する。内側駆動スリーブ11と親ねじ5間のねじ係合は、親ねじ5をナット部材9によりそのねじ係合10、8を通して軸方向に回転させそして駆動させ、栓6を遠位方向に押し進めてこのように薬物を投与する。
【0072】
図4は、駆動機構の更なる実施態様を含む薬物送達デバイスの更なる実施態様の近位部分の三次元切り取り図を示す。本実施態様の組立体及び操作は上述のものと類似している。参照番号は同じ又は類似の機能を備えた機構を示す。しかしながら、複雑さを省き使用者操作に関する詳細を提供するために、内部部材は別にレイアウトされている。
【0073】
ボタン20は外側駆動スリーブ12の近位端を覆うのに好適なキャップとして形成される。図4に示されているボタン20は第1の戻り止め位置から第2の戻り止め位置まで可動である。停止及び戻り止め手段は上述のように形成され得る。
【0074】
本実施態様では、親ねじ5は、上述のように外側駆動スリーブ12と独立して内側駆動スリーブ11を回転させるボタン20の回転により、遠位方向に更に駆動される。内側駆動スリーブ11の近位端30は外側駆動スリーブ12から突出しそして本質的に傾斜しており(図5に明確に示す)、内側駆動スリーブの近位端30は、ボタン20の回転運動が内側駆動スリーブ11に伝達されるように、内側駆動スリーブの近位端30と適合するボタン20の空隙に位置している。
【0075】
その後、ボタン20は駆動スリーブ間でスプライン係合へと前方押圧され、内側及び外側駆動スリーブ11、12を合せて回転ロックし、そして駆動スリーブ11、12に対してボタン20の更なる回転を防止する。ボタン2の内面に位置するスプライン(図4に明確には示されていない)及び外側駆動スリーブ12の外側に位置するスプライン17(図4に明確には示されていない、図5に示す)は、ボタン2が第2の戻り止め位置に移動するときに係合する。
【0076】
通常の操作中、内側及び外側駆動スリーブ11、12は連結して設定及び送達動作の駆動ユニットを形成する。使用者は薬物送達デバイスを設定するためにボタン20を回転させる。ボタン20の回転は、外側駆動スリーブ12を回転させるようにし、近位ハウジング3の内側の本体インサート27によって形成されるラセン斜面29上のその遠位端で動作する。ボタン20は回転することから、この斜面29上の外側駆動スリーブ12の反応は、ボタン20を近位ハウジング3から軸方向に伸びるようにする。この斜面27のピッチは内側駆動スリーブ11と親ねじ5の間のラセンインターフェースのピッチと同一であり、駆動スリーブ11、12がそれを越えて回転することから親ねじ5の動きがないことを意味する。
【0077】
図5は、薬物送達デバイスは本体エレメント1の三次元切り出し詳細図を示す。薬物送達デバイスの本実施態様は、切り出し32を備えた遠位のバネ手段31及び近位のバネ手段33を有する外側駆動スリーブ12を含む。近位ハウジング3は、外側駆動スリーブ12の遠位端がそれに沿ってスライドすることができる斜面を形成しているラセン構造34を含む。これらの機構の機能は下記のとおりである。
【0078】
設定動作の終わりに、外側駆動スリーブ12の遠位端に位置する遠位のバネ手段30は、近位ハウジング3の内側のラセン構造34によって形成される放射状斜面を乗り越える(ride over)。この動作は用量が設定されているというフィードバックを使用者に提供し、そして斜面の形状は外側駆動スリーブ12が「逆回転」できず、効果的に用量を設定しないようにすることを保証する。設定動作中に、ボタン20は、外側駆動スリーブ12上に位置する近位のバネ手段33と本体インサート27の遠位縁29間の妨害の故に、使用者によって純粋に軸方向に引くことができない。このインターフェースはまたラセン状であり、近位方向において純粋に軸方向負荷下にあるときでも外側駆動スリーブ12の回転を推進する。
【0079】
薬物送達デバイスが設定されていると、使用者は、用量を投与するために遠位方向においてボタン20を軸方向に押圧する。内側駆動スリーブ11と親ねじ5間のねじ係合は、親ねじ5をナット部材9とのそのねじ係合を通して回転させそして駆動させ、栓6(図5に示されていない)上で遠位方向に押し込み、このようにして薬物を投与する。
【0080】
軸運動の終わりに、外側駆動スリーブ12上に位置する近位のバネ手段33は本体インサート27上の斜面下を通過し、用量が十分に投与されており、そして使用者が投与経路を軸方向に戻ってボタン20を引くことができないように、逆止機構を提供するように、それがまさに移動している(travel)というフィードバックを使用者に与え、そしていずれかの軸運動を次の用量を設定するようにさせる。外側駆動スリーブ12の遠位のバネ手段31上の切り出し32は、外側駆動スリーブ12の遠位端を軸方向に曲げ、外側駆動スリーブ12を、そしてそれ故に親ねじ5を、軸負荷がボタン20から取り除かれると、栓6の近位面から後退させるように動作する軸方向バネを誘導することを可能にする。
【0081】
また、実施態様は、本体インサート27にスプラインされそして外側駆動スリーブ12にねじ込みされる最後の用量ナット35(図4に示す)を含んでよい。デバイスが設定されると、本体インサート27に対する外側駆動スリーブ12の動きは、最後の用量ナットが外側駆動スリーブ12上のそのねじ山を前進的に下すようにする。最後の用量がデバイスで設定されていると、最後の用量ナット35はそのねじ山の端に達して、空のデバイスを設定する使用者による更なる試みを妨げる。
【0082】
薬物送達デバイスを調整するための本組立体は使い捨て可能な固定用量注射器に適用できるが、これに限定されるものではない。本組立体は可変用量の薬物送達デバイスにも使用することができる。
【0083】
他の実行例は特許請求の範囲内である。種々の実施態様のエレメントは、本明細書に具体的に記載されていない実行例を形作るのに組み合わせることが可能である。本発明の保護の範囲は上記明細書で与えられている実施例に限定されるものではない。本発明は各々の新しい特性及び各々の特性の組み合わせにおいて具体化され、この特徴又はこの特徴の組み合わせが特許請求の範囲中に又は実施例中に明確に記述されていなくても、特許請求の範囲中に記述されているいずれの特徴のすべての組み合わせを特に含む。
【0084】
参照番号
1 本体エレメント
2 遠位ハウジング
3 近位ハウジング
4 カートリッジ
5 親ねじ/ピストンロッド
6 栓
7 第2のねじ山
8 第3のねじ山
9 ナット部材
10 第1のねじ山
11 内側駆動スリーブ
12 外側駆動スリーブ
13 第4のねじ山
14 ベアリング
15 停止面
16 バレル
17 バレルスプライン
18 第1の停止手段
19 第2の停止手段
20 ボタン
21 戻り止め手段
22 ボタンスプライン
24 クラッチ歯
25 ボタンの近位部
26 クラッチ歯
27 本体インサート
28 ギャップ
29 斜面
30 内側駆動スリーブの近位端
31 遠位のバネ手段
32 切り出し
33 近位のバネ手段
34 ラセン構造
35 最終用量止め具
50 近位方向
51 遠位方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用の組立体であって、
組立体の第1の状態において、ピストンロッド(5)を駆動するための第1の駆動部材(11)は、第2の駆動部材(12)に対して可動であり、そしてピストンロッド(5)は、第1の駆動部材(11)が第2の駆動部材(12)に対して移動する場合に、第1の駆動部材(11)に対して移動するように構成される、該第1の駆動部材(11);及び
組立体の第2の状態において、連結部材(20)は、第1の駆動部材(11)を第2の駆動部材(12)と連結するように構成され、それにより第2の駆動部材(12)に対して第1の駆動部材(11)の動きが防止され、それにより薬物送達デバイスの設定及び送達動作のための駆動ユニット(11、12)を形成する、該連結部材(20);を含み、ここで第1の駆動部材(11)及び第2の駆動部材(12)が設定及び送達動作中に互いに対して動かない、上記組立体。
【請求項2】
組立体の第1の状態において、第1の駆動部材(11)は第2の駆動部材(12)に対して回転可動である、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
第1の駆動部材(11)及びピストンロッド(5)がねじ係合される(8、10)、請求項1又は2に記載の組立体。
【請求項4】
第1の駆動部材(11)が少なくとも部分的に第2の駆動部材(12)内に位置する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項5】
組立体の第1の状態において、連結エレメント(20)は第2の駆動部材(12)に対して可動で、それにより第1の駆動部材(11)を第2の駆動部材(12)に対して動かす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
連結部材(20)は第1のクラッチ手段(26)を含み、そして第1の駆動部材(11)は第1のクラッチ手段(26)と連結するように構成される第2のクラッチ手段(24)を含み、それにより連結部材(20)が第2の駆動部材(12)に対して回転するとき、第1の駆動部材(11)は第2の駆動部材(12)に対して回転する、請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
第1の状態において、第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)の1つは、第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)のもう1つの方と係合するように構成され、それにより連結部材(20)が組立体の第1の状態において第2の駆動部材(12)に対して回転可動であり、そして第2の状態において、第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)の1つは、第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)のもう1つの方と係合するように構成され、それにより連結部材(20)が組立体の第2の状態において第2の駆動部材(12)に対して回転固定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項8】
第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)の1つは、第2の駆動部材(12)及び連結部材(20)のもう1つによって形成される第2の係合手段(22)と係合するように構成される第1の係合手段(17)を含み、それにより第2の駆動部材(12)に対する第1の駆動部材(11)の動きが組立体の第2の状態において防止される請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
連結部材(20)が第2の駆動部材(12)に対して動くとき、組立体の状態が第1の状態から第2の状態に変化する、請求項7又は8に記載の組立体。
【請求項10】
栓(16)を含むカートリッジ(4)と連結するように構成される薬物送達デバイスの本体エレメント(1)であって、本体エレメント(1)は請求項1〜9のいずれか1項に記載の組立体を含んでなり、組立体は本体エレメント(1)のハウジング(3)の内部に少なくとも部分的に位置し、ここでピストンロッド(5)は、第1の駆動部材(11)が第2の駆動部材(12)に対して移動するとき、栓(6)に向って動くように構成される、上記本体エレメント(1)。
【請求項11】
ピストンロッド(5)が栓(6)に向って動き、栓(6)に隣接するように構成される、請求項10に記載の本体エレメント(1)。
【請求項12】
ハウジング(3)が、組立体の第1の状態においてハウジング(3)に対して第2の駆動部材(12)の遠位運動を停止させるように構成される停止部材(15)を含む、請求項10又は11に記載の本体エレメント(1)。
【請求項13】
駆動ユニット(11、12)が、ピストンロッド(5)をハウジング(3)に対して遠位方向に動かすのに適しており、それにより栓(6)をカートリッジ(4)に対して遠位方向に動かす、請求項10〜12のいずれか1項に記載の本体エレメント(1)。
【請求項14】
連結エレメント(20)が、ピストンロッド(5)を含む駆動機構の設定及び送達動作を開始するためのボタン(20)として機能する、請求項10〜13のいずれか1項に記載の本体エレメント(1)。
【請求項15】
駆動機構を有する本体エレメント(1)を含んでなり、本体エレメント(1)は栓(6)を有するカートリッジ(4)と連結される、薬物送達デバイスを組み立てる方法であって:
第1の駆動部材(11)を第2の駆動部材(12)に対して動かし、それによりピストンロッド(5)を栓(6)に向って動かす工程;及び
第1の駆動部材(11)を第2の駆動部材(12)と連結し、それにより第2の駆動部材(12)に対して第1の駆動部材(11)の動きが設定及び送達動作中に防止される工程;
を含んでなる、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−506461(P2013−506461A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531393(P2012−531393)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064422
【国際公開番号】WO2011/039229
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】