説明

薬用材料及び薬用材料製造方法

【課題】 倦怠感を解消し、肝機能を改善すると共に、肝機能障害の予防に有用な薬用材料を提供することを目的とする。
【解決手段】 田七人参、ウコン、結晶セルロースを配合して所定時間混合して第1の混合剤とし、続いて前記第1の混合剤に黄精と甘草を添加して更にショ糖脂肪酸エステルとマリアアザミを均一倍散して添加して所定時間混合して第2の混合剤とし、前記第2の混合剤に適量のエタノールを添加して混合整粒し、整粒剤を乾燥させて製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体機能を向上させることができる薬用材料及びその薬用材料の製造方法に関し、例えば健康食品としても使用できる薬用材料及びその薬用材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりもあり、従来の対処療法を基本とする西洋医学のみならず、病気に対する抵抗力を高めたり、体質改善を図って病気にかかりにくい体質にすることができることから、東洋医学の生薬を基本とした処方が注目されてきつつある。
【0003】
生薬を処方したこの種のものは副作用も少なくでき、薬剤としてのみならず、健康食品として、あるいはペットの健康管理のために種々の物が登場してきている。
【0004】
特に、近年のストレス社会、運動不足の状況などから、高血圧症や糖尿病、肝臓疾患が増加する傾向が続いている。
【0005】
これらの状況から、各種の健康食品などが登場してきており、肝機能の改善を目的としたものとして、例えば特許文献1は田七、人参エキス、マリアアザミ及びウコンエキスを含有させた肝機能賦活剤を経口剤あるいは食品補助剤として用いていた。
【0006】
あるいは、特許文献2は、マリアアザミ、ウコン、田七人参、甘草、紅参及びえびす草からなる6種の植物それぞれの抽出物又は乾燥物を含有させた健康食品としていた。
【0007】
また、特許文献3は、田七及び杜仲混合物の熱湯抽出エキスをペットや家畜用の飼料に混入させて高カロリー飼料による動物の高血圧症や糖尿病を防いでいた。
【特許文献1】特開平11‐189539号公報
【特許文献2】特開2003−135023号公報
【特許文献1】特開平11‐289995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の滋養強壮剤、あるいは健康食品の類においては、複合的に肝機能向上に効果のあるといわれるこれらの植物類を単に組み合わせたのみで、効果の高いものは少なく、単品の植物の粉末あるいはエキスから得られる作用効果の域をでることは少ないのが現状であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記従来技術の課題を解決することを目的としてなされたもので、身体機能を向上させる薬用材料及び薬用材料製造方法、例えば、倦怠感を解消し、肝機能を改善すると共に、肝機能障害の予防に有用な薬用材料及び薬用材料製造方法を提供することにある。係る目的を達成する一手段として、例えば本発明に係る一発明の実施の形態例は以下の構成を備える。
【0010】
即ち、田七人参、ウコン、黄精、甘草、マリアアザミの各濃縮エキスを混合してなる薬用材料とすることを特徴とする。
【0011】
そして例えば、各成分の濃縮エキス粉末を混合して服用することを特徴とする。あるいは、田七人参の濃縮エキス粉末を全体の50重量%〜83重量%、ウコン濃縮エキス粉末を10重量%から重量40%、黄精濃縮粉末エキスを3重量%〜10重量%、甘草濃縮エキス粉末を3重量%〜10重量%、マリアアザミ濃縮エキス粉末を1重量%〜30重量%を配合して服用することを特徴とする。
【0012】
また例えば、更に、賦形剤として結晶セルロースとショ糖脂肪酸エステル及びとうもろこし蛋白を添加して顆粒状に整粒して服用することを特徴とする。あるいは、田七人参エキス約60重量%、ウコンエキス約12重量%、甘草エキス約5重量%、黄精エキス約5重量%、マリアアザミエキス約1重量%、結晶セルロース約12.2重量%、ショ糖脂肪酸エステル約3重量%、とうもろこし蛋白約1.8重量%を配合して整粒することを特徴とする。
【0013】
または、田七人参、ウコン、結晶セルロースを配合して所定時間混合して第1の混合剤とし、続いて前記第1の混合剤に黄精と甘草を添加して更にショ糖脂肪酸エステルとマリアアザミを均一倍散して添加して所定時間混合して第2の混合剤とし、前記第2の混合剤に適量のエタノールを添加して混合整粒し、整粒剤を乾燥させて製造する薬用材料の製造方法とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、身体機能を向上させる薬用材料及び薬用材料製造方法、例えば、倦怠感を解消し、肝機能を改善すると共に、肝機能障害の予防に有用な薬用材料及び薬用材料製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る一発明の実施の形態例は、田七人参の濃縮エキスを主体とし、これにウコン濃縮エキス、甘草濃縮エキス、黄精濃縮エキス、及びマリアアザミ濃縮エキスを配合したものであり、滋養強壮作用効果を奏する薬用材料を実現している。更に、服用の容易化を図るため、他に結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、とうもろこし蛋白を配合している。
【0017】
本実施の形態例に使用されている生薬の主な特徴を以下に説明する。
【0018】
田七人参は、ウコギ科の多年生草木で主に中国雲南省に産し、三七人参とも呼ばれている。薬用人参の数倍のステロイドサポニンやフラボノイド等を含み、古来より主に強壮薬として用いられてきた。田七人参の強壮作用は、朝鮮人参と同様、副腎機能、特にコルチコステロイドや男性ホルモンの産生によるものである。また、この田七人参は、ほとんど全ての体内出血に効果がある。
【0019】
ウコンは、ショウガ科のクルクマ属の植物であり、ターメリッツクとも呼ばれ、カレー粉原料等にも使用されており、古来インドや中国等で消化器や肝臓の疾患に対する伝統的な治療薬として用いられてきた。
【0020】
甘草は、マメ科の植物であり、古代より中国、ヨーロッパで数千年前から薬用として多用されており、生薬治療においては喘息、関節炎、口の潰瘍、神経性胃潰瘍等の諸症状に最も効果があり、抗炎症薬としての価値も高い。近年、その成分のグリテルリチンは、肝臓で有害物質と結合して対外に排出されやすくするなど解毒作用を高める効果があることが確認されている。
【0021】
黄精は、ユリ科の植物であり、古来より滋養強壮剤として用いられてきており、近年肝臓の脂肪蓄積を防ぐ作用が確認されている。
【0022】
マリアアザミは、和名はキク科のオオアザミであり、その種子は、ヨーロッパにおいて2000年以上も前から民間薬として、肝臓、胆嚢、脾臓、消化管の疾患や、母乳不足等に対して広く利用されてきている。マリアアザミにおける活性主体は、3種のフラボノリグナンの混合物(シリマリン)であり、抽出成分であるシリマリンが肝機能障害。肝細胞再製作用がある。
【0023】
中医学では、薬の良さは、原材料20%、製造方法20%、処方60%といわれるように、処方、即ち生薬の配合の技術が重要視されている。本実施の形態例では、最も優れた配合を模索し、以下の処方を発見した。
【0024】
即ち、田七人参、ウコン、マリアアザミの原料を5倍から10倍の濃縮エキスに加工し、更に5倍から10倍に濃縮した甘草、黄精を加えることにより、黄精の持つ肝臓の脂肪蓄積を防ぐ作用と、甘草の持つ肝臓での解毒作用との相乗効果により、体内での吸収率が高まり、より速やかに肝機能に作用する。
【0025】
以上の各生薬成分は、抽出エキス乾燥物、抽出エキス水、抽出エキス粉末等のエキス成分を抽出したものを用いることができるが、特に効果を向上できる点で、抽出エキス粉末が好ましい。このことから、本実施の形態例では濃縮エキス粉末を用いている。
【0026】
濃縮エキスは、所定の植物の全部又は一部から抽出溶媒によって有効成分を抽出したもの(溶媒抽出物)又はその濃縮物をいい、液状物であると固形物であるとを問わない。
【0027】
また、各生薬成分の植物の全部又は一部をそのまま乾燥して粉末状にした乾燥粉末等であっても良く、各植物それぞれの全体、種子、根又は茎の抽出エキス又は乾燥粉末を用いることができ、よい効果の得られる部分を確実に用いればよい。
【0028】
更に、生薬の抽出物又は乾燥物は、マリアアザミの種子、ウコンの根及び茎、田七人参の根、甘草の根、紅参の全体、及びエビス草の種子それぞれの抽出エキス又は乾燥粉末であることが、効果の向上の点で好ましい。
【0029】
以上の各生薬の具体的な混合比率は、田七人参の濃縮エキス粉末を好ましくは全体の50重量%〜83重量%、ウコン濃縮エキス粉末を好ましくは10重量%から重量40%、黄精濃縮粉末エキスを好ましくは3重量%〜10重量%、甘草濃縮エキス粉末を好ましくは3重量%〜10重量%、マリアアザミ濃縮エキス粉末を好ましくは1重量%〜30重量%を配合する。
【0030】
これにより、肝機能数値、特にGPT数値、GTO数値を副作用無く速やかに正常値に近づけることができる。
【0031】
以上の各成分を粉末、顆粒化して混合し、カプセル重量320mg、1カプセル内の内容量270mgのカプセル内に充填することにより、錠剤に比べ、賦形剤の量も少なく、服用しやすく、より迅速に体内に吸収されるようにしている。
【0032】
しかし、以上の例に限定されるものではなく、錠剤状に整形しても良いことは勿論である。更に、水に溶いてドリンク剤として服用しても良く、顆粒、粉末剤の形態で服用しても良い。
【0033】
錠剤、顆粒状として使用する場合には、生薬のそれぞれの抽出物又は乾燥物に加えて、賦形剤を配合し、固形化した錠剤になるように整形する。なお、賦形剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、セルロース、乳糖、パインファイバー、デキストリン、パインデックスなどを用いることができる。これらを単独又は2種以上の混合物として用いればよい。他に、蛋白質等を添付して栄養補助を行っても良い。
【0034】
本実施の形態例では、総量の10%以下の賦形剤を添加して顆粒状の整形し、カプセル内に充填して服用するようにしている。一カプセルあたりの重量は、使用態様等に応じて所望の重量に適宜決定できる。の、本実施の形態例では、賦形剤として、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、とうもろこし蛋白を用いている。
【0035】
さらに、前記した各種成分(抽出物又は乾燥物、必要により賦形剤)以外に、食品に使われる一般的な原料を添加することができる。本実施の形態例において、内容量270mgのカプセル内に充填する際の最も好ましい配合を以下に示す。
【0036】
田七人参エキス163mg、ウコンエキス32mg、甘草エキス13mg、黄精エキス13mg、マリアアザミエキス3mgとし、他に賦形剤として結晶セルロース33mg、ショ糖脂肪酸エステル8mgを配合し、他にとうもろこし蛋白を5mg配合している。以上の配合が各成分の効能を最も効率良く引き出せる配合である。
【0037】
以上の配合からなる本実施の形態例カプセル製品の整合方法を図1のフローチャート以下に説明する。図1は本実施の形態例の形態例の薬用材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、工程1において田七人参エキス、ウコンエキス、結晶セルロースを配合し、高速混合攪拌造粒機に入れる。続く工程2で高速混合攪拌造粒機にて約3分間攪拌混合する。
【0039】
次に、工程3において、混合剤に黄精エキスと甘草エキスを加える。更に、工程4において、ショ糖脂肪酸エステルとマリアアザミ(シリマリン)を均一倍散し、倍散後に上記混合剤に更に加える。そして工程5において、高速混合攪拌造粒機にて約3分間攪拌混合する。
【0040】
更に工程6において、とうもろこし蛋白に適量のエタノールを加え、工程5で混合した上記混合剤に添加する。そして工程7において、高速混合攪拌造粒機を駆動して10分間混合し、造粒する。
【0041】
そして工程8において、高速混合攪拌造粒機から造粒物を取り出し、乾燥させる。乾燥が終了すると工程9において例えば16メッシュのふるいにより整粒し、整粒不良品を除外する。
【0042】
これでカプセルに詰める原料が製造されてことになる。このため、工程10において、1カプセルに詰める分量を計量し、工程11で予め用意したカプセル内に充填する。以上の工程10及び工程11は連続して、かつ継続的に行われる。
【0043】
製造されたカプセルは続く工程12でその重量がチェックされ、所定の許容範囲内にない場合には不良品として除外する。
【0044】
続いて工程13でカプセル10個を1シートとするPTP加工を行う。その後、工程14で6シートを1単位としてピロー包装し、工程15でピロー包装2袋毎に箱詰めしシュリングする。その後工程16で12箱を専用中入れ段ボールに入れ、中入れ段ボール8箱を更に搬送用段ボールに入れる。
【0045】
以上のようにして製造された本実施の形態例のカプセル詰めされた製品は、以下に示す顕著な薬用効果が得られるため、疾患の治療の為に用いることができるほか、副作用が無いため、少量を継続的に服用することにより、健康促進、自然治癒力の向上などを図ることができ、薬用材料のみならず健康食品として用いることができる。
【0046】
更に、人間への服用例に限定されるものではなく、動物に服用させても同じような効果を得ることができ、服用量を投与する動物の大きさ、種類に応じて与えることにより、動物の健康促進、自然治癒力の向上に効果が認められ、ペット用としても用いることができる。
【0047】
平成8年より16年の間に肝臓疾患を発症し現在も継続的な治療を継続している20代から60代の10名の被検者に常時服用薬の使用を中止してもらい、本実施の形態例の上記方法で製造した製品を1日10カプセル服用してその効果を確認した。
【0048】
服用開始1ヶ月後、2ヶ月後にそれぞれ血液生化学検査(GTO,GPT,LDR,γ―GTP,LAP)の測定を行い、検査結果を観察した。そして、2ヶ月後に被検者を問診した。
【0049】
検査の結果を図2に示す。図2は本実施の形態例製品服用結果を説明するための図である。図2に示すように、本実施の形態例製品を服用することにより、3番及び8番の方を除き顕著な肝機能改善効果が確認された。特に重要なことは、図2に示すような効果が得られるにもかかわらず、ほとんど副作用が確認されておらず、安全であることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る一発明の実施の形態例の形態例の薬用材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本実施の形態例製品服用結果を説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
田七人参、ウコン、黄精、甘草、マリアアザミの各濃縮エキスを混合してなることを特徴とする薬用材料。
【請求項2】
各成分のそれぞれの濃縮エキス粉末を混合して服用することを特徴とする請求項1記載の薬用材料。
【請求項3】
田七人参の濃縮エキス粉末を全体の50重量%〜83重量%、ウコン濃縮エキス粉末を10重量%から重量40%、黄精濃縮粉末エキスを3重量%〜10重量%、甘草濃縮エキス粉末を3重量%〜10重量%、マリアアザミ濃縮エキス粉末を1重量%〜30重量%を配合して服用することを特徴とする請求項2記載の薬用材料。
【請求項4】
更に、賦形剤として結晶セルロースとショ糖脂肪酸エステル及びとうもろこし蛋白を添加して顆粒状に整粒して服用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薬用材料。
【請求項5】
田七人参エキス約60重量%、ウコンエキス約12重量%、甘草エキス約5重量%、黄精エキス約5重量%、マリアアザミエキス約1重量%、結晶セルロース約12.2重量%、ショ糖脂肪酸エステル約3重量%、とうもろこし蛋白約1.8重量%を配合して整粒することを特徴とする請求項4記載の薬用材料。
【請求項6】
田七人参、ウコン、結晶セルロースを配合して所定時間混合して第1の混合剤とし、続いて前記第1の混合剤に黄精と甘草を添加して更にショ糖脂肪酸エステルとマリアアザミを均一倍散して添加して所定時間混合して第2の混合剤とし、前記第2の混合剤に適量のエタノールを添加して混合整粒し、整粒剤を乾燥させて製造することを特徴とする薬用材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−104084(P2006−104084A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290116(P2004−290116)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(504143614)ファーメックス・ジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】