説明

蛍光プローブ

【課題】本発明が解決すべき課題は、レポータージーンアッセイシステムや特定の酵素を発現している微生物の検出システムなどにおいて酵素の基質となり、酵素反応前後における蛍光強度の差が顕著に大きい集合体を含む蛍光プローブを提供することにある。また、本発明は、当該集合体の製造方法と、当該集合体の原料化合物であるロドール誘導体を提供することも目的とする。
【解決手段】本発明に係る蛍光プローブは、下記式(I)で表されるロドール誘導体からなる集合体を含むことを特徴とする。


[式中、Aは置換基としてニトロ基等を有するC6-12アリール基を示し;Xは置換基を有していてもよいC6-12アリール基を示し;R1〜R2は、独立してC1-6アルキル基を示し;R3〜R8は置換基を示し;R9〜R10は水素原子などを示し;nは、0または1を示す]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光プローブ、その製造方法、およびその原料化合物であるロドール誘導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の酵素に対して応答する基質部分と蛍光発色部分を有する蛍光プローブは、様々な生命現象などを可視化するためのツールとして有用であり、β−ガラクトシダーゼやアルカリホスファターゼなど、様々な酵素に対する蛍光プローブが既に開発されている。
【0003】
かかる蛍光プローブは、例えば、細胞の形質転換を確認するために用いられる。具体的には、目的遺伝子と共にレポーター遺伝子を細胞へ導入し、レポーター遺伝子に対応する蛍光プローブを作用させ、蛍光発色の有無により形質転換細胞を特定する。かかるレポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの遺伝子が知られている。
【0004】
最近、特定の酵素と蛍光プローブの組み合せを使う技術として、レポータージーンアッセイシステムが開発されている。当該技術は、ある受容体により刺激されるプロモーターの下流にレポーター遺伝子を導入し、レポーター遺伝子の発現による蛍光プローブの発色の有無、蛍光強度や蛍光波長の変化などにより、受容体に対するリガンドの活性を試験するものである。
【0005】
さらに蛍光プローブは、特定の酵素を発現している微生物の検出システムにも適用されている。
【0006】
上記技術において、より明確な結果を得るには、レポーター遺伝子から発現する酵素により代謝される化合物の酵素反応前後における蛍光強度が大きく異なることが好ましい。そこで、例えばニトロレダクターゼ遺伝子をレポーター遺伝子として用いるシステムにおいて、酵素反応前後で蛍光強度が変化する蛍光プローブとして、特許文献1〜3に示す化合物が開発されている。これら一連の技術から、下記化合物が、レポータージーンアッセイシステムにおけるニトロレダクターゼの蛍光プローブとして市販されている。
【0007】
【化1】

【0008】
また、特許文献1には、蛍光化合物であるフルオレセインの水酸基をp−ニトロベンジルエーテル化した下記化合物が開示されている。
【0009】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/100417号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0317674号明細書
【特許文献3】特表2003−522333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した様に、レポータージーンアッセイシステムなどにおいてニトロレダクターゼの基質となり、酵素反応前後で蛍光強度が変化する蛍光化合物は既に開発されている。
【0012】
しかし本発明者らによる実験的知見によれば、上記市販化合物の酵素反応前後における蛍光強度の比は10未満であるなど、公知の蛍光化合物の蛍光強度差は全く満足できるものではない。
【0013】
そこで本発明が解決すべき課題は、レポータージーンアッセイシステムや特定の酵素を発現している微生物の検出システムなどにおいて酵素の基質となり、酵素反応前後における蛍光強度の差が顕著に大きい集合体を含む蛍光プローブを提供することにある。また、本発明は、当該集合体の製造方法と、当該集合体の原料化合物であるロドール誘導体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、蛍光化合物であるロドールの誘導体を水に添加したところ集合体を形成し、当該集合体は蛍光性をほとんど示さない一方で、レダクターゼの基質になって解砕されつつ蛍光性のロドール誘導体に還元されるため、代謝前後での蛍光強度差が極めて大きいことを見出して、本発明を完成した。
【0015】
本発明に係る蛍光プローブは、下記式(I)で表されるロドール誘導体からなる集合体を含むことを特徴とする。
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、
Aは、置換基としてニトロ基またはC2-7アシルオキシ基を有するC6-12アリール基を示し;
Xは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC6-12アリール基を示し;
1〜R2は、独立してC1-6アルキル基を示し;
3〜R8は、独立して水素原子、または、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基を示し(但し、R1とR3および/またはR2とR4は、互いに結合してC2-3アルキレン基を形成してもよい);
9〜R10は、独立して水素原子またはC1-6アルキル基を示し;
nは、0または1を示す]
【0018】
本発明において「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1〜6の直鎖状または分枝鎖状の1価脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基などを挙げることができ、C1-4アルキル基がより好ましく、C1-2アルキル基がより好ましく、メチル基がより好ましい。
【0019】
「C1-6アルコキシ基」とは、炭素数が1〜6の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素オキシ基を意味する。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基等であり、好ましくはC1-4アルコキシであり、より好ましくはC1-2アルコキシであり、最も好ましくはメトキシである。
【0020】
「C2-7アシルオキシ基」とは、上記C1-6アルキル基に置換されたカルボニルオキシ基を意味する。例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、イソアミルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基などを挙げることができ、C2-4アシルオキシ基がより好ましく、C2-3アシルオキシ基がより好ましく、アセチルオキシ基がより好ましい。
【0021】
「C6-12アリール基」は、炭素数が1〜6の芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基等であり、好適にはフェニル基である。なお、AがC6-12アリール基であり且つ置換基を有する場合には、置換基は−(CR9=CR10n−基に結合している芳香族環に結合していることが好ましく、また、その置換位置はオルト位またはパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0022】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができ、塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0023】
本発明に係るロドール誘導体において、特に−(CR9=CR10n−A基は、使用する酵素や検出対象である酵素の基質として適するものを選択すればよい。例えば、対象酵素がニトロレダクターゼの場合、Aとしてはニトロフェニル基が好ましく、p−ニトロフェニル基がより好ましい。対象酵素がエステラーゼの場合、AとしてはC2-7アシルオキシフェニル基が好ましく、p−C2-7アシルオキシフェニル基がより好ましく、p−アセチルオキシフェニル基がさらに好ましい。
【0024】
A上の置換基の置換位置としては、パラ位またはオルト位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0025】
また、本発明に係るロドール誘導体における置換基の種類や数は特に制限されないが、上述したとおりAの置換基は対象酵素により適宜選択すればよい。A以外の置換基に関しては、その種類や数により酵素反応前後における蛍光強度比や酵素反応速度などを調節したりすることが可能であり得るが、製造コストなどの問題から、A以外の置換基の数としては1以上、3以下が好ましく、1以上、2以下がより好ましく、さらに好ましくは1とする。
【0026】
3〜R8としては、より好ましくは、電子吸引性基であるハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基、またはエレクトロンリッチなハロゲン原子、C1-6アルコキシ基およびC2-7アシルオキシ基である。
【0027】
上記集合体の大きさは、体積平均粒子径で10nm以上、1000nm以下であることが好ましい。当該体積平均粒子径が10nm未満であると、疎水環境が十分に形成されず、蛍光性のロドール誘導体が蛍光性をほとんど示さないラクトン化合物に変換されないおそれがあり得る。一方、当該体積平均粒子径が1000nmを超えると、集合体が水中で沈降したり、細胞に十分に取り込まれなくなるおそれがあり得る。
【0028】
上記蛍光プローブは、さらに水系溶媒を含む集合体分散液であることが好ましい。上記集合体は水系溶媒中で安定に存在し、また、当該分散液であれば、そのまま使用することが可能である。
【0029】
本発明に係るロドール誘導体集合体の製造方法は、下記式(I)または(I’)で表されるロドール誘導体を水系溶媒に添加する工程を含むことを特徴とする。
【0030】
【化4】

[式中、各基の定義は上述したものと同様とする]
【0031】
なお、ロドール誘導体(I)と(I’)は互いに平衡の関係にあり、極性環境では(I’)の構造が主となるが、疎水性環境ではラクトン化し、(I)の構造が主となる。また、ロドール誘導体(I’)は、酸性環境においては−CO2-基が−CO2H基に、塩基性環境においてはR12+=基がR12N−基となり得るが、これら化合物も本発明範囲に含まれるものとする。
【0032】
本発明に係るロドール誘導体集合体の製造方法では、水の塩濃度を調節することにより集合体の体積平均粒子径を容易に調節することが可能である。
【0033】
本発明に係るロドール誘導体は、上記式(I)または(I’)で表されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る集合体は、水中で安定であり、また、蛍光化合物であるロドールの誘導体から形成されるものでありながら蛍光性をほとんど示さない一方で、酵素の基質となり、解砕されつつ蛍光性のロドール誘導体に還元される。よって、酵素反応前後での蛍光強度差が極めて大きいので、酵素を用いたレポータージーンアッセイや、特定の酵素を発現している微生物の検出システムなどにおける蛍光プローブとして利用できる。また、本発明に係る集合体は、本発明に係るロドール誘導体を水に添加するのみという非常に簡便な方法で製造できる。従って本発明は、従来の蛍光プローブにとって代わり得るものとして、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明に係る集合体に酵素を作用させた場合における吸収スペクトルの経時的変化を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明に係る集合体に酵素を作用させた場合における蛍光スペクトルの経時的変化を示すグラフである。
【図3】図3は、各蛍光プローブの酵素反応前における蛍光強度(I0)に対する蛍光強度測定値の比の経時的変化を示すグラフである。図3(2)は、図3(1)中、酵素反応開始から約30分間の部分を拡大したものである。
【図4】図4は、本発明に係る蛍光プローブの酵素反応前における蛍光強度(I0)に対する蛍光強度測定値の比の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る集合体の原料であるロドール誘導体は、下記スキームにより製造することができる。
【0037】
【化5】

[式中、A、X、R1〜R10およびnは、上記と同義を示し、Halは脱離基として用い得るクロロ基、ブロモ基またはヨード基を示す]
【0038】
上記工程では、溶媒中、好適には触媒の存在下、ロドール誘導体(II)と−(CR9=CR10n−A基を含むハロゲン化合物を縮合させる。原料化合物であるロドール誘導体(II)は、市販のものがあればそれを用いればよいし、或いは当業者公知の方法により市販化合物から合成することが可能である。また、上記スキーム中ではロドール誘導体(II)をカルボキシ体として記載しているが、等価であるラクトン体や、−CO2-基が−CO2H基、R12+=基がR12N−基である化合物も同様に用いることができる。ハロゲン化合物も同様であり、市販のものがあればそれを用いればよいし、或いは当業者公知の方法により市販化合物から合成することができる。
【0039】
使用できる溶媒は、原料化合物に対して適度な溶解性を示し、且つ反応を阻害しないものであれば特に制限されない。例えば、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒などを用いることができる。また、溶媒の使用量は適宜調整すればよいが、通常、原料化合物と触媒の総量が0.005mg/mL以上、1mg/mL以下程度とすることができ、0.01mg/mL以上、0.1mg/mL以下程度がより好ましい。
【0040】
反応に用い得る触媒は、原料化合物などに応じて適宜選択すればよいが、例えば、酸化銀(I)などの金属酸化物;水素化ナトリウムなどの水素化金属;ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機アミンなどを用いることができる。
【0041】
ロドール誘導体(II)とハロゲン化合物は、ほぼ等モル用いてもよいが、一方が入手し難いような場合には、反応を促進するために他方を過剰に用いてもよい。通常、ロドール誘導体(II)に対して、ハロゲン化合物を1.1倍モル以上、5倍モル以下程度用い、より好ましくは1.2倍モル以上、2.5倍モル以下程度用いる。
【0042】
触媒の使用量は適宜調整すればよいが、例えば、ロドール誘導体(II)またはハロゲン化合物のうち少ない方に対して1.1倍モル以上、5倍モル倍以下程度とすることができ、より好ましくは1.5倍モル以上、3倍モル以下程度とすることができる。
【0043】
具体的な反応条件としては、特に制限されないが、例えば、ロドール誘導体(II)とハロゲン化合物と触媒を溶媒に添加した上で、攪拌しつつ加熱すればよい。反応温度は適宜調整すればよいが、例えば、常温以上、150℃以下程度とすることができ、50℃以上、90℃以下がより好ましい。また、使用する溶媒の還流温度で反応させることもできる。反応時間も特に制限されず、例えば、予備実験などで決定したり、薄層クロマトグラフィー(TLC)などで、原料化合物のうち少なくとも一方の消失が確認できるまでとすればよいが、通常は1時間以上、36時間以下程度とすることができる。
【0044】
反応終了後は、当業者公知の方法により目的化合物であるロドール誘導体(I)を精製すればよい。例えば、反応液を常温まで放冷し、触媒などの不溶成分を濾別した後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーなどで精製したり、或いは再結晶すればよい。
【0045】
本発明に係る集合体は、本発明に係るロドール誘導体を水系溶媒に添加することにより簡便に調製することが可能である。本発明に係るロドール誘導体は、水溶性が低いために、水に添加すると凝集して自ら疎水性環境を形成し、ラクトン環を有するロドール誘導体(I)からなる集合体となる。この際、あくまで推定ではあるが、水と接触可能な表面付近の化合物のみが蛍光性のロドール誘導体(I’)として存在し、大部分が非蛍光性のロドール誘導体(I)であるので、集合体全体ではほとんど蛍光性を示さないと考えられる。
【0046】
ロドール誘導体は、いったん溶媒に溶解した上で、溶液として水系溶媒に添加することが好ましい。かかる溶液の溶媒は、ロドール誘導体を溶解できるものであれば特に制限されないが、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル類;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;ピリジンなどのヘテロアリール類などを挙げることができる。
【0047】
水系溶媒とは、水、または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒をいう。即ち、集合体の形成のために用いる水系溶媒は、集合体が形成される範囲で水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。水溶性有機溶媒としては、ロドール誘導体の溶解に用いる溶媒として例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0048】
水としては、精製水、純水、超純水、蒸留水など、特に制限なく使用できるが、水道水や井戸水など不純物を比較的多く含むものは使用しないことが好ましい。
【0049】
本発明に係る集合体は極性環境で形成されるため、水系溶媒における水溶性有機溶媒の割合が過剰になると、集合体が形成されないか、形成されても安定性が低下するおそれがあり得る。よって、ロドール誘導体の溶解に水溶性有機溶媒を使う場合であっても、水系溶媒における最終的な水溶性有機溶媒の割合を0.1容量%以上、10容量%以下とすることが好ましく、0.5容量%以上、5容量%以下とすることがより好ましく、0.5容量%以上、2容量%以下とすることがさらに好ましい。
【0050】
また、集合体の形成のために用いる「水系溶媒」は、塩を含むものであってもよい。かかる塩としては、例えば、トリス−塩酸、グリシン塩酸塩、クエン酸−クエン酸ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム−リン酸水素二ナトリウム、グリシン−水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウムなど、緩衝能を有するものを挙げることができる。その他、HEPESやMOPSなどのグッドバッファーを用いてもよい。
【0051】
集合体の大きさは、体積平均粒子径で10nm以上、1000nm以下であることが好ましい。当該体積平均粒子径が10nm未満であると、疎水環境が十分に形成されず、蛍光性のロドール誘導体が蛍光性をほとんど示さないラクトン化合物に変換されないおそれがあり得る。一方、当該体積平均粒子径が1000nmを超えると、集合体が水中で沈降したり、細胞に十分に取り込まれなくなるおそれがあり得る。
【0052】
集合体の大きさは、溶媒中の塩濃度で調節することが可能である。即ち、塩濃度が高いほど集合体は大きくなる傾向があり、塩濃度が低いほど集合体は小さくなる傾向がある。集合体の大きさと塩濃度との関係は、使用するロドール誘導体の種類や濃度、また、塩の種類などにより異なるため、具体的な塩濃度は予備実験などにより決定することが好ましい。但し、一般的には、集合体の体積平均粒子径で10nm以上、1000nm以下とするには、塩濃度を1mM以上、1M以下程度とすることが好ましく、5mM以上、200mM以下程度とすることがより好ましく、10mM以上、100mM以下程度とすることがさらに好ましい。
【0053】
本発明に係る集合体は、例えば、本発明に係るロドール誘導体の溶液を緩衝液などに添加してよく混合するなど、非常に簡便に製造することが可能である。得られた集合体分散液は、そのまま或いはゲルカラムにより溶媒を適切なものに置換した上で酵素反応などに使用することもできるし、いったん遠心分離やゲルカラムなどで集合体を単離した後、酵素反応に用いることもできる。
【0054】
本発明に係る集合体は、ほとんど蛍光性を示さない。その一方で、酵素により−CH2−(CR9=CR10n−A基が脱離し、蛍光性のロドール誘導体が遊離して強い蛍光を発するようになる。例えば、Aにニトロ基が置換している場合、当該ニトロ基がレダクターゼによりアミノ基に還元され、生じた孤立電子対の電子がアリール基や−(CR9=CR10)−基の共役系を移動し、−CH2−(CR9=CR10n−A基を脱離させる。また、Aにアシルオキシ基が置換している場合には、エステラーゼによりアシル基が除去され、生じた−OH基または−O-基上の電子が同じく−CH2−(CR9=CR10n−A基を脱離させる。よって本発明の集合体は、その前駆体として対象酵素の基質化合物となるロドール誘導体を選択することにより、レポータージーンアッセイや形質転換の確認、対象酵素を特異的または過剰発現している微生物や組織の検出などにおいて、蛍光プローブとして利用することができる。
【0055】
本発明の集合体を用いる場合には、対象試料などに本発明の集合体を単に添加するのみでもよいが、事前に分散液としておくと利便性が高い。より詳しくは、水中で集合体を調製した場合には、反応液をそのまま用いてもよい。しかし、溶媒中に水溶性有機溶媒を添加した場合には、レダクターゼが有機溶媒により変性して活性が低下するおそれがあるため、例えば、ゲルカラムにより溶媒を適切なものに置換した上で、分散液とすることが好ましい。当該分散液の濃度としては、0.001質量%以上、0.5質量%以下程度が好適である。
【0056】
酵素の還元作用により本発明の集合体から生じた代表的なロドール誘導体は、吸収光波長が517nmであり、蛍光波長が551nmである。よって、蛍光プローブとして用いる際には、470nm以上、530nm以下程度の波長の光を含む光を照射し、540nm以上、620nm以下程度の光の強度を測定すればよい。
【0057】
使用する酵素の種類は特に制限されないが、例えば、NAD(P)H:キノンレダクターゼ、DT−ジアフォラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、NADPH:シトクローム P450 レダクターゼ、フェレドキシン:NADP+レダクターゼ、NADH:ユビキノンレダクターゼなどのレダクターゼ;ブタ肝臓由来のエステラーゼやウサギ肝臓由来のエステラーゼなど、EC3.1.1.1のエステラーゼなどを用いることができる。好適には、ニトロ基の還元能に優れるニトロレダクターゼを用いることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0059】
実施例1 本発明に係るロドール誘導体の合成
【0060】
【化6】

【0061】
(1) N,N−ジメチルロドール
2−[4−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−安息香酸(301.8mg,1.24mmol)、レゾシノール(167.5mg,1.2倍モル)および塩化亜鉛(II)(254.8mg)をトルエン(4mL)に添加し、オイルバス中、160℃で3時間加熱撹拌した。反応液に酢酸エチルを添加し、飽和食塩水で3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥後、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ジクロロメタン=1/2→2/:1)により精製し、純水物ではないが、オレンジ色固体であるN,N−ジメチルロドールを得た(収量:59.5mg)。
1H-NMR(400MHz,CD3OD):δ3.08(s,6H),6.60(dd,1H,J=8.78),6.67(s,2H),6.73-6.75(m,3H),7.24(d,1H,J=7.32),7.57-7.77(m,3H),8.06(d,1H,J=7.32)
FAB-MS(m/z)[(M+H)+] 理論値(C22H18NO4):359.12,実測値:360
【0062】
(2) 本発明に係るロドール誘導体
窒素雰囲気下、上記(1)で得られたN,N−ジメチルロドール(59.5mg,0.17mmol)、酸化銀(I)(77.6mg,2.0倍モル)、4−ニトロ臭化ベンジル(53.6mg,1.5倍モル)を含むテトラヒドロフラン溶液(5mL)を、撹拌しながら17時間加熱還流した。次いで、反応液を空冷した後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール/ジクロロメタン=0/1→1/50)により精製し、目的化合物を得た(収量:5.7mg(0.012mmol),収率:6.8%)を得た。なお、「PNB」は、p−ニトロベンジル基を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ2.98(s,6H),5.19(s,2H),6.41(dd,1H,J=2.72,6.34,2.26Hz),6.47(d,1H,J=2.26Hz),6.60(d,1H,J=9.05Hz),6.64(dd,1H,J=2.26,6.34,2.72Hz),6.70(d,1H,J=8.60Hz),6.79(d,1H,J=2.26Hz),7.16(d,1H,J=7.24Hz),7.58-7.65(m,4H),8.00(d,1H,J=7.24Hz),8.25(d,2H,J=8.60Hz)
FT-IR(KBr):3446,3082,2896,2816,1764,1635,1616,1522,1506,1428,1347,1286,1247,862,822,761,737,693,520cm-1
FAB-MS(m/z)[(M+H)+] 理論値(C29H22N2O6):495.1542,実測値:495.1549
元素分析(C29H22N2O6) C:70.44,H:4.48,N:5.67(理論値) C:70.17,H:4.66,N:5.63(実測値)
【0063】
比較例1〜4
【0064】
【化7】

【0065】
特許文献1(国際公開第2006/100417号パンフレット)に記載の実施例に従って、フルオレセインのモノp−ニトロベンジルエーテル(比較例1)、フルオレセインのジp−ニトロベンジルエーテル(比較例2)、ロドールのp−ニトロベンジルエステル(比較例3)を合成した。
【0066】
また、上記実施例1と同様にして、一般的な蛍光色素であるSNARFのp−ニトロベンジルエーテル(比較例4)を合成した。
【0067】
実施例2 集合体の製造
上記実施例1で合成したロドール誘導体をジメチルスルホキシドに溶解し、2mM溶液とした。当該ロドール誘導体の終濃度が5μMとなるように、当該溶液を50mMトリス塩酸緩衝液(3mL,pH7.0)に加え、ピペットマンを用いてよく攪拌した。ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製,DLS)を用い、得られた集合体の体積基準の粒度分布を測定したところ、体積平均粒子径は123.4±29.3nmであった。
【0068】
また、上記比較例1〜4のフルオレセイン誘導体、ロドール誘導体およびSNARF誘導体も同様に処理した。その結果、比較例1〜3のフルオレセイン誘導体とロドール誘導体は緩衝液に完全に溶解してしまい、集合体は全く観察されなかった。一方、比較例4のSNARF誘導体では、集合体の形成が確認できた。その体積平均粒子径を上記と同様に測定したところ、276.8±60.4nmであった。
【0069】
実施例3 酵素反応前後における蛍光強度変化の測定
上記実施例2と同様に、各化合物の5μMトリス塩酸緩衝液溶液を調製し、さらに濃度500μMとなるようにNADPHを添加した。当該液に、大腸菌由来のニトロレダクターゼ(Sigma−Aldrich製,N9284)を終濃度が2U/mLとなるように添加し、1分または10分ごとに吸収スペクトルと蛍光スペクトルを測定した。本発明集合体を基質とした場合の吸収スペクトルの経時的変化を図1に、蛍光スペクトルの経時的変化を図2に示す。また、酵素反応前における蛍光強度(I0)に対する蛍光強度測定値(I)の比を表1と図3に示す。なお、図3(2)は、図3(1)中、酵素反応開始から約30分間の部分を拡大したものである。
【0070】
【表1】

【0071】
上記結果のとおり、本発明に係る集合体をレダクターゼの基質にしたところ、その他の蛍光色素誘導体に比して、代謝前後の蛍光強度比が飛び抜けて大きい。特に、実施例1の本発明集合体と比較例1の公知化合物の構造は、置換基が水酸基かジメチルアミノ基であるという違いのみであるにも関わらず、その蛍光強度比の違いは約9倍にも及んでいる。また、比較例4のSNARF誘導体は集合体を形成したものの、酵素反応前後における蛍光強度差は大きいものではなかった。その理由としては、本発明に係るロドール誘導体は水系溶媒中で蛍光性をほとんど示さない集合体を形成でき、且つ形成された集合体の表面付近のロドール誘導体から速やかにレダクターゼの基質となり、集合体は解砕されつつ蛍光性のロドール誘導体が遊離することが考えられる。また、比較例4のSNARF誘導体の集合体を基質とした場合の酵素反応速度は遅かったが、本発明集合体を基質とした場合の酵素反応速度は、十分に速かった。
【0072】
よって、本発明に係る集合体は、レダクターゼを用いたレポータージーンアッセイなどの蛍光プローブとして非常に有用であることが明らかにされた。
【0073】
実施例4 本発明に係るロドール誘導体の合成
【0074】
【化8】

【0075】
(1) 7’−クロロ−N,N−ジメチルロドール
2−[4−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−安息香酸(303.4mg,1.24mmol)、4−クロロレゾシノール(269.2mg,1.5倍モル)および塩化亜鉛(242.3mg,1.5倍モル)をトルエン(4mL)に加え、オイルバス中、165℃で5時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄した後に、水層を酢酸エチルで4回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール/ジクロメタン=0/1→1/5)で精製し、赤色固体である7’−クロロ−N,N−ジメチルロドールを得た(収量:26.5mg,収率:3%)。
FAB-HRMS(m/z)[(M+H)+] 理論値(C22H17NO4Cl):394.0847,実測値:394.0843
【0076】
(2) 本発明に係るロドール誘導体
窒素雰囲気下、上記(1)で得られた7’−クロロ−N,N−ジメチルロドール(15.2mg,0.04mmol)、酸化銀(I)(17.9mg,2.0倍モル)、4−ニトロ臭化ベンジル(13.0mg,1.5倍モル)を含むテトラヒドロフラン溶液(5mL)を、撹拌しながら20時間加熱還流した。次いで、反応液を空冷した後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール/ジクロロメタン=0/1→1/20)により精製した。目的化合物が含まれている画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物が含まれている画分を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=2/1)により精製し、目的化合物を得た(収量:1.1mg,収率:5%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ2.99(s,6H),5.30(s,2H),6.41-6.46(m,2H),6.59(d,1H,J=9.06Hz),6.78(s,1H),6.80(s,1H),7.17(d,1H,J=7.25Hz),7.52-7.71(m,4H),8.04(d,1H,J=7.70Hz),8.29(d,2H,J=8.61Hz)
FT-IR(KBr):2923,1759,1633,1613,1526,1412,1349,1284,1252,1182,1109,1086,1061,989,860,814,734,704cm-1
FAB-HRMS(m/z)[(M+H)+] 理論値(C29H22ClN2O6):3529.1166,実測値:529.1170
【0077】
実施例5
上記実施例4で製造した本発明に係るロドール誘導体を用い、上記実施例2と同様にして集合体を調製した。得られた集合体の体積基準の粒度分布を測定したところ、体積平均粒子径は316.6±64.3nmであった。得られた集合体分散液を用い、上記実施例3と同様の条件で酵素反応を行った。実施例1に係る集合体の結果と共に、結果を表2と図4に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
上記結果のとおり、実施例4のロドール誘導体からなる集合体は、実施例1の集合体に比べ、酵素反応速度こそ劣るものの、酵素反応前後における蛍光強度比はさらに向上した。このように、適切な置換基を適切な位置に導入することによって、より優れた効果が得られる可能性があることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるロドール誘導体からなる集合体を含むことを特徴とする蛍光プローブ。
【化1】

[式中、
Aは、置換基としてニトロ基またはC2-7アシルオキシ基を有するC6-12アリール基を示し;
Xは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC6-12アリール基を示し;
1〜R2は、独立してC1-6アルキル基を示し;
3〜R8は、独立して水素原子、または、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基を示し(但し、R1とR3および/またはR2とR4は、互いに結合してC2-3アルキレン基を形成してもよい);
9〜R10は、独立して水素原子またはC1-6アルキル基を示し;
nは、0または1を示す]
【請求項2】
集合体の体積平均粒子径が10nm以上、1000nm以下である請求項1に記載の蛍光プローブ。
【請求項3】
さらに水を含む請求項1または2に記載の蛍光プローブ。
【請求項4】
下記式(I)または(I’)で表されるロドール誘導体を水系溶媒に添加する工程を含むことを特徴とするロドール誘導体の集合体の製造方法。
【化2】

[式中、
Aは、置換基としてニトロ基またはC2-7アシルオキシ基を有するC6-12アリール基を示し;
Xは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC6-12アリール基を示し;
1〜R2は、独立してC1-6アルキル基を示し;
3〜R8は、独立して水素原子、または、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基を示し(但し、R1とR3および/またはR2とR4は、互いに結合してC2-3アルキレン基を形成してもよい);
9〜R10は、独立して水素原子またはC1-6アルキル基を示し;
nは、0または1を示す]
【請求項5】
水系溶媒の塩濃度を調節することにより集合体の体積平均粒子径を調節する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
下記式(I)または(I’)で表されることを特徴とするロドール誘導体。
【化3】

[式中、
Aは、置換基としてニトロ基またはC2-7アシルオキシ基を有するC6-12アリール基を示し;
Xは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC6-12アリール基を示し;
1〜R2は、独立してC1-6アルキル基を示し;
3〜R8は、独立して水素原子、または、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-7アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群より選択される1以上の置換基を示し(但し、R1とR3および/またはR2とR4は、互いに結合してC2-3アルキレン基を形成してもよい);
9〜R10は、独立して水素原子またはC1-6アルキル基を示し;
nは、0または1を示す]

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−162486(P2011−162486A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27884(P2010−27884)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2009年9月13日に日本化学会 生体機能関連化学部会 バイオテクノロジー部会発行の「第24回生体機能関連化学シンポジウム、第12回バイオテクノロジー部会シンポジウム 講演要旨集」、ならびに2009年8月21日にエルゼビア社サイエンス・ダイレクト発行の電子ジャーナルにおいて発表、ホームページのアドレス:[http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6TF8−4X24VK5−1&_user=10&_coverDate=10%2F01%2F2009&_alid=1208538934&_rdoc=1&_fmt=high&_orig=search&_cdi=5220&_sort=r&_docanchor=&view=c&_ct=1&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=435f7097e7a0be625adb1461e4875cac]
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構、地域イノベーション創出総合支援事業、重点地域研究開発推進プログラム「シーズ発掘試験」、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】