説明

蛍光プローブ

一酸化窒素や亜鉛イオンなどを特異的かつ効率的に捕捉して蛍光を発する蛍光プローブを提供する。
下記の一般式(I):
[化1]


〔R1及びR2は水素原子又は下記の式(A):
[化2]


〔X1〜X4は水素原子、アルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、m及びnは0又は1を示す)で表される基を示し;R3及びR4は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し;R5〜R12は水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又はC1-6アルキル基を示し;R13及びR14はC1-18アルキル基を示し;Z1は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R15)-(R15は水素原子又はC1-6アルキル基を示す)を示し;Y1及びY2は-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R16)(R17)-(R16及びR17はC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光プローブに関する。より具体的には一酸化窒素や亜鉛イオンなどを捕捉して蛍光を発する蛍光プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、それ自体はほとんど蛍光性を有しない特定のフルオレセイン誘導体が、中性条件下で一酸化窒素と容易に反応して高い蛍光強度を有するトリアゾール化合物を与え、該トリアゾール誘導体が 495 nm 程度の長波長の励起光により515 nm程度の強い蛍光を発することができることが報告された(小島ら、第16回メディシナルケミストリーシンポジウム、第5回医薬化学部会年会、講演要旨集第166-167 頁、演題番号2-P-26、社団法人日本薬学会発行、1996年10月23日)。このフルオレセイン誘導体を一酸化窒素測定試薬として用いると、汎用の蛍光顕微鏡に備えられた蛍光フィルターで励起光を容易に分光することができ、個々の細胞内の蛍光を測定することにより簡便に細胞内の一酸化窒素濃度を測定できる。もっとも、500nm付近の可視光領域の光は生体組織による吸収が大きいために、in vivoでの一酸化窒素のイメージングには不利であり、イメージングできる領域は表皮付近に限定されてしまうという問題もある。この理由から、生体組織の透過性が高い650nm〜950nm付近の近赤外光で励起可能なプローブの開発が望まれている。
【0003】
一方、亜鉛はヒトの体内において鉄に次いで含量の多い必須金属元素であり、細胞内のほとんどの亜鉛イオンは蛋白質と強固に結合して、蛋白質の構造保持や機能発現に関与している。また、細胞内にごく微量存在するフリーの亜鉛イオン(通常はμMレベル以下である)の生理的役割についても、種々の報告がある。特に、細胞死の一つであるアポトーシスには亜鉛イオンが深く関わっていると考えられており、アルツハイマー病の老人斑の形成を促進しているなどの報告もある。亜鉛イオンに対しても、高感度に亜鉛イオンを測定でき、細胞障害を引き起こすことのない亜鉛蛍光プローブとして国際公開WO 01/62755に記載された亜鉛蛍光プローブが提案されている。
【特許文献1】特許第3200024号
【特許文献2】国際公開WO 01/62755
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は一酸化窒素や亜鉛イオンなどを特異的かつ効率的に捕捉して蛍光を発する蛍光プローブを提供することにあり、生体の深部のイメージングを可能にする蛍光プローブを提供することが本発明の課題である。より具体的には、本発明の課題は、生体組織の透過性が高い650nm〜950nm付近の近赤外光で励起可能な蛍光プローブを提供することにある。
【0005】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、無蛍光性の下記の一般式(I)で表される化合物が一酸化窒素又は亜鉛イオンを極めて効率よく捕捉して蛍光性の物質に変化すること、及び該蛍光性物質を650nm〜950nm付近の近赤外光で励起すると極めて強い蛍光が得られることを見出した。また、この化合物を用いることによって生体内の深部組織中の一酸化窒素又は亜鉛イオンを極めて高感度に測定できることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
【化1】

〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は下記の式(A):
【化2】

〔式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基を示すが、R1及びR2が同時に水素原子であることはなく;R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R13及びR14はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z1は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R15)-(式中、R15は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y1及びY2はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R16)(R17)-(式中、R16及びR17はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物が提供される。この化合物(ただしX1、X2、X3、及びX4のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である化合物を除く)は金属イオンや一酸化窒素などを検出するための蛍光プローブとして有用である。
【0007】
この発明に包含される好ましい化合物として、下記の一般式(IA):
【化3】

〔式中、R21及びR22はそれぞれベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示し、該アミノ基のいずれか1つは置換基を有していてもよいアルキル基を1個有していてもよく;R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R33及びR34はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z21は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R35)-(式中、R35は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y21及びY22はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R36)(R37)-(式中、R36及びR37はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物が提供され、その好ましい態様によれば、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32が水素原子であり、R33及びR34がスルホ基で置換されたC1-6アルキル基であり、Z21が酸素原子であり、Y21及びY22が-C(CH3)2-である上記化合物が提供される。この本発明の別の態様によれば、上記一般式(IA)で表される化合物を含む一酸化窒素測定用試薬が提供される。
【0008】
また、本発明により、下記の一般式(IB):
【化4】

[式中、R41及びR42は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58- (式中、R58は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)で表される基を示すか、又はR41及びR42はベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基(置換基を有していてもよいC1-6アルキル基又はアミノ基の保護基を有していてもよい)及びニトロ基の組み合わせを示し;R43及びR44はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R53及びR54はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z41は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R55)-(式中、R55は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y41及びY42はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R56)(R57)-(式中、R56及びR57はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物が提供され、この発明の好ましい態様によれば、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52が水素原子であり、R53及びR54がスルホ基で置換されたC1-6アルキル基であり、Z41が酸素原子であり、Y41及びY42が-C(CH3)2-である上記化合物が提供される。
【0009】
別の観点からは、本発明により、一酸化窒素の測定方法であって、(a)上記一般式(IA)で示される化合物と一酸化窒素とを反応させる工程;及び、(b)上記工程(a)において生成する一般式(IB)の化合物[ただし、R41及びR42は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58- (式中、R58は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)で表される基を示す]を検出する工程を含む方法;及び上記一般式(IA)で表される化合物の一酸化窒素測定用試薬としての使用が提供される。
【0010】
また、本発明により、下記の一般式(IC):
【化5】

〔式中、R61及びR62はそれぞれ独立に水素原子又は下記の式(B):
【化6】

(式中、X61、X62、X63、及びX64はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基を示すが、R61及びR62が同時に水素原子であることはなく、R61及びR62が同時に式(B)で表される基を示す場合には、少なくとも片方の式(B)で表される基においてp又はqのうちのいずれか一方又は両方が1であり;R63及びR64はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、及びR72はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R73及びR74はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z61は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R75)-(式中、R75は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y61及びY62はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R76)(R77)-(式中、R76及びR77はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物が提供される。
【0011】
別の観点からは、上記一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)を含む亜鉛蛍光プローブ;及び上記一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)と亜鉛イオンとから形成される亜鉛錯体が提供される。この亜鉛蛍光プローブは、組織や細胞内の亜鉛イオンを測定するために用いることができる。
【0012】
さらに別の観点からは、本発明により、上記一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)を亜鉛蛍光プローブとして用いる方法;亜鉛イオンの測定方法であって、下記の工程:(a)上記一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)と亜鉛イオンとを反応させる工程、及び(b)上記工程(a)で生成した亜鉛錯体の蛍光強度を測定する工程を含む方法;並びに上記一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)の亜鉛蛍光プローブとしての使用が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化合物は一酸化窒素及び金属イオン(亜鉛イオンなど)と極めて効率よく反応して蛍光性物質を与える性質を有しており、該蛍光性物質は近赤外領域の光で励起することにより極めて強い蛍光を発することから、該化合物を蛍光プローブとして用いることにより、生体内の深部組織中の一酸化窒素や金属イオンを測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は一酸化窒素添加による化合物2の吸収スペクトル変化を示した図である。
【図2】図2は一酸化窒素添加による化合物2の蛍光スペクトル変化を示した図である。
【図3】図3は一酸化窒素供給化合物の添加による化合物4の蛍光強度変化を示した図である。
【図4】図4は化合物2が腎臓内部に負荷されたことが確認できる、腎外部から観察した腎内部の近赤外蛍光画像を示した図である。
【図5】図5は一酸化窒素供給化合物の添加による化合物2の蛍光強度の経時的変化を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書において、特に言及しない場合にはアルキル基は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよい。アルキル部分を有する他の置換基(アルコキシ基)のアルキル部分についても同様である。また、ある官能基について「置換基を有していてもよい」と言う場合には、置換基の種類、個数、置換位置は特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよい)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基若しくはそのエステル、スルホ基若しくはそのエステルなどを置換基として有していてもよい。また、本明細書においてアリール基という場合には、単環性又は多環性のアリール基のいずれであってもよいが、好ましくはフェニル基を用いることができる。
【0016】
一般式(I)において、R3及び/又はR4がC1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を示す場合には、それらの基はベンゼン環上の2-位及び5-位に結合することが好ましい。これらの基が存在すると量子収率や反応速度が向上し検出感度を高めることができる場合がある。R3及びR4が示すアルキル基としてはメチル基が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基が好ましい。R3及びR4がともに水素原子であることが好ましい。一般式(IA)におけるR23及びR24、一般式(IB)におけるR43及びR44、並びに一般式(IC)におけるR63及びR64についても同様である。
【0017】
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、又はR12が示すC1-6アルキル基としては、メチル基又はエチル基などが好ましく、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、又はR12が示すハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子などが好ましい。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、又はR12が示すスルホ基又はホスホ基は、それぞれエステルを形成していてもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12がすべて水素原子であってもよい。一般式(IA)におけるR25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32、一般式(IB)におけるR45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52、並びに一般式(IC)におけるR65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、及びR72についても上記のR5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12と同様である。
【0018】
R13及びR14はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基,tert-ペンチル基,1−メチルブチル基,2−メチルブチル基,1−エチルプロピル基,n-ヘキシル基,1−メチルペンチル基,2−メチルペンチル基,3−メチルペンチル基,4−メチルペンチル基,2,3−ジメチルブチル基,1,3−ジメチルブチル基,1,2−ジメチルブチル基,1−エチルブチル基,2−エチルブチル基,1−イソプロピルプロピル基,n-ヘプチル基,n-オクチル基,n-ノニル基,n-デシル基,n-ウンデシル基,n-ドデシル基,n-トリデシル基,n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、又はn-オクタデシル基などを挙げることができる。アルキル基としては、直鎖状のアルキル基が好ましい。R13及びR14が示すC1-18アルキル基上に存在可能な置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよい)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基若しくはそのエステル、又はスルホ基若しくはそのエステルなどを挙げることができるが、これらのうち、カルボキシ基又はスルホ基などが好ましい。R13及びR14の両者が無置換のC1-18アルキル基であってもよく、あるいはそれらのいずれか片方のC1-18アルキル基が置換基を有することも好ましい。一般式(IA)におけるR33又はR34、一般式(IB)におけるR53又はR54、並びに一般式(IC)におけるR73又はR74についても上記のR13及びR14と同様である。
【0019】
Z1は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R15)-を示し、R15は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す。Z1が酸素原子であることが好ましい。R15は水素原子又はメチル基などが好ましい。Y1及びY2はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R16)(R17)-を示し、R16及びR17はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す。Y1及びY2が-C(R16)(R17)-であることが好ましく、R16及びR17としてはメチル基が好ましい。一般式(IA)におけるZ21、R35、Y21、Y22、R36、及びR37、一般式(IB)におけるZ41、R55、Y41、Y42、R56、及びR57、並びに一般式(IC)におけるZ61、R75、Y61、Y62、R76、及びR77についても上記のZ1、R15、Y1、Y2、R16、及びR17と同様である。M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す。対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムなどの金属イオン、4級アンモニウム、あるいはグリシンなどのアミノ酸のイオンなどを挙げることができる。例えば、一般式(I)においてR13及びR14が示すC1-18アルキル基にカルボキシ基、スルホ基などが存在する場合、あるいはR5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちのいずれか1個以上がスルホ基又はホスホ基であり、対イオンとしてナトリウムイオンを用いる場合には、M-として2個以上の対イオンが必要になる場合がある。また、一般式(I)においてR13又はR14が示す一方のC1-18アルキル基に1個のカルボキシ基又はスルホ基などが存在する場合には、R14が結合する4級窒素原子上の陽電荷とカルボキシ基又はスルホ基のアニオンとが分子内ツビッターイオンを形成するので、電荷の中和に必要な対イオンが不必要になる場合もある。
【0020】
一般式(I)中の式(A)で表される基において、X1、X2、X3、及びX4が示すアルキル基としては、例えば、直鎖又は分枝鎖のC1-18 アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)を挙げることができる。該アルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基上の置換基の種類、個数、置換位置は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。もっとも、アルキル基上の置換基はこれらに限定されることはない。アルキル基上の置換基として好ましくは2-ピリジル基を例示でき、この場合にはアルキル基がメチル基であることが好ましい。
【0021】
X1、X2、X3、及びX4が示すアミノ基の保護基の種類は特に限定されないが、例えば、p-ニトロベンゼンスルホ基、トリフルオロアセチル基、トリアルキルシリル基などを適宜利用できる。アミノ基の保護基については、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons, Inc.)(1981年)などを参照することができる。
【0022】
一般式(I)で表される化合物において、R1及びR2の両方が式(A)で表される基であり、かつそれぞれの式(A)で表される基においてm及びnが0である場合が好ましく、この場合にX1及びX2がともに水素原子である場合が好ましい。また、上記の場合において、片方の式(A)で表される基においてX1及びX2がともに水素原子であり、他方の式(A)で表される基においてX1が水素原子であり、かつX2がアルキル基(例えばメチル基)であることが好ましい。また、一般式(I)で表される化合物において、R1及びR2が同時に式(A)で表される基を示し、かつ少なくとも片方の式(A)で表される基においてm又はnのうちのいずれか一方又は両方が1である場合、あるいは一般式(I)で表される化合物において、R1及びR2のいずれか一方が水素原子であり、他方が式(A)で表される基である場合には、式(A)で表される基において、X1ないしX4の4つの基、好ましくはX1及びX2が2-ピリジルメチル基であることが好ましい。この場合、上記一般式(I)で表される化合物において、mが0であり、nが1であり、かつX4が水素原子であることが好ましく、さらに上記の場合にX1及びX2がともに2-ピリジルメチル基であることが好ましい。
【0023】
上記一般式(IA) において、R21及びR22はそれぞれベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示す。R21及びR22が共に無置換のアミノ基であってもよいが、R21及びR22のうちのいずれかは1個のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は1個又は2個以上の置換基を有していてもよい。アミノ基上に置換するアルキル基としては、例えば、直鎖又は分枝鎖のC1-18 アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)を挙げることができ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などを用いることができる。アルキル基が置換基を有する場合の例としては、例えば、置換若しくは無置換のアリール基が置換したC1-6アルキル基(アラルキル基)などを挙げることができる。アリール置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、パラメトキシベンジル基、パラエトキシカルボニルベンジル基、パラカルボキシベンジル基などを用いることができる。
【0024】
上記の一般式(IB)において、R41及びR42は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58-基を示す。ここで、R58は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。該アルキル基としては、直鎖又は分枝鎖のC1-18アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)を挙げることができ、該アルキル基が置換基を有する場合の例として、例えば、置換若しくは無置換のアラルキル基を挙げることができる。該アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、パラメトキシベンジル基、パラエトキシカルボニルベンジル基、パラカルボキシベンジル基などを用いることができる。
【0025】
また、R41及びR42はベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基(1個の置換基を有していてもよい)及びニトロ基の組み合わせを示すが、R41及びR42のいずれか一方はアミノ基を示し、他方はニトロ基を示す。R41及びR42のいずれか一方が示すアミノ基は無置換であってもよいが、アルキル基、例えばC1-18 アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基を1個有していてもよい。該アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、置換若しくは無置換のアラルキル基などがアミノ基に置換していてもよい。また、該アミノ基はアミノ基の保護基、例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;トリメチルシリル基などのアルキルシリル基などを有していてもよい。ベンジル基などのアラルキル基を保護基として利用してもよい。
【0026】
一般式(IC)の式(B)で表される基において、X61、X62、X63、及びX64はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。X61、X62、X63、及びX64が示す置換基を有していてもよいアルキル基又はアミノ基の保護基については、X1、X2、X3、及びX4で説明したものと同様である。R61及びR62が同時に式(B)で表される基を示す場合には、少なくとも片方の式(B)で表される基においてp又はqのうちのいずれか一方又は両方が1である。上記一般式(IC)で表される化合物において、R61及びR62のいずれか一方が水素原子であり、他方が式(B)で表される基であることが好ましい。式(B)で表される基において、X61ないしX64の4つの基、好ましくはX61及びX62が2-ピリジルメチル基であることが好ましい。上記一般式(IC)で表される化合物において、pが0であり、qが1であり、かつX64が水素原子であることが好ましく、この場合にX61及びX62がともに2-ピリジルメチル基であることが好ましい。
【0027】
上記一般式(I)、一般式(IA)、一般式(IB)、又は一般式(IC)で表される本発明の化合物は1個または2個以上の不斉炭素を有している場合がある。従って、1個または2個以上の不斉炭素に基づく光学的に純粋な形態の任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、純粋な形態のジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物などはいずれも本発明の範囲に包含される。また、本発明の化合物は水和物や溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
【0028】
上記の一般式(IA)で表される化合物及び一般式(IB)で表される化合物(ただし、R41 及びR42 がベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基及びニトロ基の組み合わせを示す化合物)のうち、代表的化合物として、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32が水素原子であり、R33及びR34が1個のスルホ基を有するn-プロピル基であり、Z21が酸素原子であり、Y21及びY22が-C(CH3)2-であり、M-が1個のナトリウムイオンである式(IA)の化合物、及びR43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52が水素原子であり、R53及びR54が1個のスルホ基を有するn-プロピル基であり、Z41が酸素原子であり、Y41及びY42が-C(CH3)2-であり、M-が1個のナトリウムイオンである式(IB)の化合物の製造例を以下のスキームに示した。また、各合成ステップの詳細は本明細書の実施例に具体的に説明されている。また、一般式(IB)で示される化合物のうち、R41 及びR42 が互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58-基を示す化合物については、上記一般式(IA)で表される化合物と一酸化窒素とを反応させることにより製造可能である。この化合物は、後述のように強い蛍光性を有しており、一酸化窒素の測定に有用である。
【0029】
【化7】

【0030】
上記スキーム中の一般的な説明と実施例の具体的説明を参照することにより、一般式(IA)及び一般式(IB)に包含される化合物を容易に製造できることが当業者には理解されよう。また、式(B)で表される基を有する化合物の製造方法については、国際公開WO 01/62755 に詳細かつ具体的に説明されているので、当業者は上記刊行物を参照しつつ式(B)で表される基を有するフェノール誘導体を製造し、そのフェノール誘導体を上記のスキームに示された方法でシアニン化合物と反応させることにより、一般式(IC)で表される化合物を容易に製造することが可能である。
【0031】
本発明の一般式(IA)で表される化合物は、中性条件下において一酸化窒素と効率的に反応して、収率よく一般式(IB)の化合物(ただし、R41 及びR42 は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58-基を示す化合物)を生成する性質を有している。一般式(IA)で表される化合物自体は、中性条件下において650〜900 nm程度の励起光を照射した場合にはほとんど蛍光を発しないが、上記一般式(IB)の化合物は同じ条件下において極めて強い蛍光を発する性質を有している。従って、一般式(IA)で表される化合物を生体組織中や細胞内に取り込ませて一酸化窒素と反応させ、蛍光性の上記一般式(IB)の化合物を生成させてこの化合物の蛍光を測定することにより、生体組織中や細胞内の一酸化窒素を測定することができる。特に、本発明の一般式(IA)の化合物は一酸化窒素との反応性に優れており、また一般式(IB)の化合物は組織透過性に優れた近赤外領域の励起光で極めて強い蛍光を発するので、生体の深部組織における一酸化窒素を高感度かつ正確に測定できるという優れた特徴を有している。
【0032】
従って、本発明により提供される一酸化窒素の測定方法は、一般式(IA)で表される化合物と一酸化窒素とを反応させて一般式(IB)の化合物を生成させ、一般式(IB)の化合物(ただし、R41 及びR42 は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58-基を示す化合物)の蛍光を測定する工程を含んでいる。本明細書において「測定」という用語は、検出、定量、定性など種々の目的の測定を含めて最も広義に解釈されるべきである。上記反応は好ましくは中性条件下に行うことができ、例えば、pH 6.0〜8.0 の範囲、好ましくはpH 6.5〜7.8 の範囲、より好ましくはpH 6.8〜7.6 の範囲で行うことができる。もっとも、本発明の化合物を用いた一酸化窒素の測定は中性領域ないし弱酸性領域に限定されることはなく、例えば、胃の粘膜細胞など強酸性の条件においても測定が可能である。
【0033】
蛍光の測定は、従来公知の蛍光測定方法に準じて行うことができる(例えば、Wiersma, J.H., Anal. Lett., 3, pp.123-132, 1970; Sawicki, C.R., Anal. Lett., 4, pp.761-775, 1971; Damiani, P. and Burini, G., Talanta, 8, pp.649-652, 1986; Misko, T.P., Anal. Biochem. 214, pp.11-16, 1993 などの刊行物を参照)。本発明の一酸化窒素測定においては、例えば、励起光として650〜900 nm 程度の光を照射し、800 nm付近の蛍光を測定することが好ましい。このような波長の励起光を用いると、励起光が生体組織を減衰せずに透過して深部組織に到達し、その部位において高感度な測定が可能になる。
【0034】
また、特に高感度な測定が必要な場合には、上記の一酸化窒素の測定を酸素源の存在下に行ってもよい。酸素源としては、例えば、酸素、オゾン、又はオキシド化合物などを用いることが可能である。酸素としては、一般的には溶存酸素を用いることができるが、必要に応じて、反応系内に酸素ガスを導入するか、酸素発生用試薬(例えば、過酸化水素など)を添加してもよい。オキシド化合物としては N-O, S-O, P-Oなど容易に酸素原子が開裂されるオキシド結合を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、PTIO(2- フェニル-4,4,5,5- テトラメチルイミダゾリン-1- オキシル-3- オキシド: Maeda, H., et al., J. Leuk. Biol., 56, pp.588-592, 1994; Akaike, T., et al., Biochemistry, 32, pp.827-832, 1993)またはその誘導体(PTIOのフェニル基のp-位にカルボキシ基が導入されたカルボキシPTIOなど)、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリエチルアミンオキサイドなどを用いることができる。
【0035】
上記のオキシド化合物のうち、 PTIO 及びその誘導体(例えばカルボキシPTIOなど)は特に好ましい化合物であり、当業者に容易に入手可能な化合物である(東京化成株式会社、Organic Chemicals Catalog, 32, 1994 などに記載されている)。なお、オキシド化合物はそれ自体を反応試薬として用いてもよいが、リポソーム等に封入したものを用いることもできる。酸素源の量は特に限定されないが、少なくとも測定すべき一酸化窒素に対して 1μM 以上、好ましくは10〜30μM 、より好ましくは10〜20μM 程度の量であることが好ましい。生体試料などの測定では、試料中に10〜20μM 程度の量を添加することが好ましいが、一般的には、溶存酸素により必要量の酸素源が供給される。酸素源の量が極端に少ないと測定感度が低下する場合があり、酸素源の量が極端に多いと蛍光による発光に不都合を生じる場合がある。従って、測定すべき一酸化窒素の量を予試験若しくは公知の方法で予測して適宜の濃度範囲の酸素源を添加することが好ましい。反応は10〜25℃の温度範囲で行うことが可能である。なお、蛍光プローブを用いた一酸化窒素の測定方法に関しては特許第3200024号などに詳細に記載されているので、当業者は上記刊行物を参照しつつ、本発明の化合物を用いて高感度に一酸化窒素を測定することができる。
【0036】
また、上記一般式(IC)で表される本発明の化合物(アミノ基の保護基を有する化合物を除く)は、亜鉛蛍光プローブとして有用である。上記一般式(IC)で表される本発明の化合物は、それ自体は強い蛍光を発する性質を有していないが、亜鉛イオンを捕捉して亜鉛錯体を形成すると、強い蛍光を発するようになる。上記化合物は亜鉛イオンを特異的に捕捉することができ、極めて錯体形成が速やかであるという特徴を有している。また、形成された亜鉛錯体は、生体組織の透過性に優れた近赤外領域の励起光によって強い蛍光を発するという特徴がある。従って、上記一般式(IC)で表される本発明の化合物は、生細胞や生組織中、特に深部組織中の亜鉛イオンを生理条件下で測定するための亜鉛蛍光プローブとして極めて有用である。
【0037】
本発明の亜鉛蛍光プローブの使用方法は特に限定されず、従来公知の亜鉛プローブと同様に用いることが可能である。通常は、生理食塩水や緩衝液などの水性媒体、又はエタノール、アセトン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの水混合性の有機溶媒と水性媒体との混合物などに上記一般式(IC)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる一の物質を溶解し、細胞や組織を含む適切な緩衝液中にこの溶液を添加して、蛍光スペクトルを測定すればよい。本発明の亜鉛蛍光プローブを適切な添加物と組み合わせて組成物の形態で用いてもよい。例えば、緩衝剤、溶解補助剤、pH調節剤などの添加物と組み合わせることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。以下の実施例中、化合物番号は上記スキーム中の化合物番号に対応させてある。
【0039】
例1
化合物1の合成
39 mg の4-アミノ-3-ニトロフェノール (0.25 mmol)と10 mg のナトリウムハイドライド (60% in mineral oil) (0.25 mmol)を7 mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶かし、アルゴン下室温で10分間撹拌した。この間に67 mgの化合物A (0.10 mmol)を2 mlのDMFに溶かしておき、これを先の溶液に加え、アルゴン下室温で4時間撹拌した。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製して濃緑色の固体を得た。(収率70%)
1H NMR (CDCl3 300MHz); δ 1.05 (t, 6H, J = 7.3 Hz), 1.42 (s, 12H), 1.87 (m, 4H), 2.04 (m, 2H), 2.68 (t, 4H, J = 5.0 Hz), 3.99 (t, 4H, J = 7.2 Hz), 5.99 (d, 2H, J = 14.4 Hz), 6.90 (s, 2H), 7.05 - 7.40 (m, 9H), 7.66 - 7.72 (m, 2H), 7.92 (d, 2H, J = 14.4 Hz)
MS (FAB); 657 (M - I- )
【0040】
化合物2の合成
44 mgの化合物1(0.055 mmol)を2 mlのメタノールに溶かし、これに0.3 mlの濃塩酸を加え、更に250 mgの塩化スズ・2水和物 (1.1 mmol)を加えて、アルゴン下40℃で13時間撹拌した。室温に戻した後、pH 4となるまで水酸化ナトリウム水溶液を加え、溶液を減圧溜去した。得られた混合物を5 ml程度のメタノールに溶解してろ過した後に、溶液を減圧溜去した。これをシリカゲルクロマトグラフィーにて精製して濃緑色の固体を得た。(収率20%)
1H NMR (CD3OD 300MHz); δ 0.92 (t, 6H, J = 7.4 Hz), 1.31 (s, 12H), 1.74 (m, 4H), 1.92 (m, 2H), 2.61 (t, 4H, J = 6.0 Hz), 3.96 (t, 4H, J = 7.4 Hz), 6.02 (d, 2H, J = 14.1 Hz), 6.20 (dd, 1H, J = 8.4, 2.8 Hz), 6.45 (d, H, J = 2.8 Hz), 6.58 (d, 1H, J = 8.54 Hz), 7.08 - 7.15 (m, 4H), 7.24 - 7.30 (m, 4H), 7.98 (d, 2H, J = 14.1 Hz)
MS (FAB); 627 (M - I- )
【0041】
化合物3の合成
93 mgの4-アミノ-3-ニトロフェノール (0.60 mmol)と24 mgのナトリウムハイドライド (60% in mineral oil) (0.60 mmol)を16 ml のDMFに溶かし、アルゴン下室温で10分間撹拌した。この間に180 mgの化合物B (0.24 mmol)を5 mlのDMFに溶かしておき、これを先の溶液に加え、アルゴン下室温で4時間撹拌した。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製して濃緑色の固体を得た。(収率80%)
1H NMR (CD3OD 300MHz); δ 1.33 (s, 12H), 1.80 - 1.96 (m, 10H), 2.67 (t, 4H, J = 5.9 Hz), 2.78 (t, 4H, J = 7.0 Hz), 4.04 (t, 4H, J = 6.3 Hz), 6.12 (d, 2H, J = 14.3 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 7.08 - 7.31 (m, 9H), 7.61 (d, 1H, J = 2.9 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 14.3 Hz)
MS (FAB); 845 (M - Na+ + 2H+) , 867 (M + H+), 889 (M + Na+)
【0042】
化合物4の合成
100 mgの化合物3 (0.12 mmol)を4 mlのメタノールに溶かし、これに0.6 mlの濃塩酸を加え、更に450 mgの塩化スズ・2水和物(2.0 mmol)を加えて、アルゴン下40℃で13時間撹拌した。室温に戻した後、pH 7となるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてろ過した後に、溶液を減圧溜去した。得られた混合物を約10 mlのメタノールに溶かし、同様にろ過した後、溶液を減圧溜去した。これをシリカゲルクロマトグラフィーにて精製して濃緑色の固体を得た。(収率20%)
1H NMR (CD3OD 300MHz); δ 1.30 (s, 12H), 1.82 - 1.92 (m, 10H), 2.62 (t, 4H, J = 5.8 Hz), 2.77 (t, 4H, J = 6.7 Hz), 4.01 (t, 4H, J = 5.5 Hz), 6.05 (d, 2H, J = 14.2 Hz), 6.19 (dd, 1H, J = 8.4, 2.9 Hz), 6.45 ( d, 1H, J = 2.9 Hz), 6.58 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.06 - 7.28 (m, 8H), 7.97 (d, 2H, J = 14.2 Hz)
MS (FAB); 815 (M - Na+ + 2H+) , 837 (M + H+), 859 (M + Na+)
【0043】
化合物5の合成
2.0 gの4-アミノ-3-ニトロフェノール (13 mmmol)を100 mlのメタノールに溶かし、これに0.69 gの10%パラジウム炭素触媒(0.65 mmol)を少しずつ加えた。水素下室温で3時間撹拌した後、触媒を濾去し、濾液を減圧溜去して黒色の固体を得た。(収率92%)
1H NMR (CD3OD 300MHz); δ 6.07 (dd, 1H, J = 8.2, 2.7 Hz), 6.23 (d, 1H, J = 2.7 Hz), 6.56 (d, 1H, J = 8.2 Hz)
MS (EI); 124 (M+)
【0044】
化合物6の合成
500 mgの化合物5 (4.0 mmol)を150 mlの0.2規定塩酸水溶液に溶かし、0 ℃で撹拌しながら、280 mgの亜硝酸ナトリウム(4.0 mmol)を少しずつ加えた。室温で1.5時間撹拌した後、pH 3となるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた。適当量の酢酸エチルで抽出した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を減圧溜去して茶色の固体を得た。(収率80%)
1H NMR (CD3OD 300MHz); δ 6.88 (m, 2H), 7.64 (d, 1H, J = 9.7 Hz)
MS (EI); 135 (M+)
【0045】
化合物7の合成
34 mgの化合物6(0.25 mmol)と10 mgのナトリウムハイドライド(50% in mineral oil) (0.25mmol)を7 mlのDMFに溶かし、アルゴン下室温で10分間撹拌した。この間に74 mgの化合物B (0.10 mmol)を 2 mlのDMFに溶かしておき、これを先の溶液に加え、アルゴン下室温で6時間撹拌した。シリカゲルクロマトグラフィーで粗精製した後、高速液体クロマトグラフィーで精製して緑色の固体を得た。(収率40%)
1H NMR (DMSO-d6 300MHz); δ 1.17 (s, 12H), 1.70 - 1.97 (m, 8H), 2.48 (m, 4H), 2.76 (t, 4H, J = 6.0 Hz), 4.12 (t, 4H, J = 6.6 Hz), 6.25 (d, 2H, J = 14.2 Hz), 7.13 - 7.48 (m, 10H), 7.81 (d, 2H, J = 14.2 Hz), 8.06 (d, 1H, J = 9.0 Hz)
MS (FAB); 826 (M - Na+ + 2H+) , 848 (M + H+), 870 (M + Na+)
【0046】
例2:一酸化窒素添加によるトリアゾール体生成の確認
HPLCによる分析条件は全ての測定で同一であり、ODSカラムを用い、溶媒A を0.1% TFA / 水、 溶媒Bを0.1% TFA, 20% 水 / アセトニトリルとして溶媒の勾配をA / B = 50 / 50 -> 0 / 100とした。化合物4をpH 7.4の0.1 mMリン酸緩衝液に溶解してHPLCによる分析を行ったところ、保持時間は2.4分であった。この溶液に、一酸化窒素ガスを吹き込んだpH 7.4の0.1 mMリン酸緩衝液を少量ずつ加えて、その度にHPLCによる分析を行うと、保持時間2.4分のピークは減少し、新たに保持時間3.4分のピークが増加することが観察された。これとは別にトリアゾール体の合成標品である化合物7をpH 7.4の0.1 mMリン酸緩衝液に溶解してHPLCによる分析を行ったところ、保持時間は3.4分であり、先の測定で新たに現れたピークの保持時間と一致した。以上の結果により、化合物4が一酸化窒素と反応してトリアゾール体である化合物7が生成することが確認できた。
【0047】
例3:一酸化窒素添加による化合物2の蛍光スペクトル変化
化合物2を適量のメタノールに溶解し、吸収極大波長(766 nm)での吸光度が0.2になるように溶液を調製した。これとは別に、一酸化窒素ガスを吹き込んだメタノールを用意しておき、これを先の溶液に二回に分けて少量添加した。添加前、一回添加時、二回添加時の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルをそれぞれ測定した。図1に吸収スペクトルの変化の様子を示す。吸収スペクトルは一酸化窒素による影響をほとんど受けなかった。図2に蛍光スペクトルの変化の様子を示す。765 nmでの励起による極大蛍光波長はいずれも786 nmであったが、その蛍光強度は一酸化窒素添加前では330であったものが、一回添加で1000、二回添加で2100にまで増加した。つまり、化合物2が一酸化窒素と反応することで生成するトリアゾール化合物により、極大蛍光波長の蛍光強度は少なくとも6.4倍に増加することが分かった。
【0048】
例4:一酸化窒素供給化合物添加による化合物4の蛍光強度変化
一酸化窒素の供給源として自発的一酸化窒素発生剤であるNOC類(Hrabie, J.A., J. Org. Chem., 58, pp.1472-1476, 1993)のうちNOC-13(22℃、pH 7.4, 0.1Mリン酸緩衝液中での半減期 13.7分)を用い、反応液中に生成する一酸化窒素を化合物4と反応させた。反応溶媒としてpH 7.4の10 mMリン酸緩衝液を用い、化合物4、NOC-13共に5 μMとなるように調製し、37℃で蛍光強度の経時変化を測定した。図3に結果を示す。励起波長は765 nm、蛍光波長は790 nmで測定した。図中、1分のところでNOC-13のストックソリューションを加えた。経時的な蛍光強度の増大は、化合物4から一酸化窒素生成量に依存してトリアゾール体が生成していることを示している。
【0049】
例5:
化合物2の生体内組織深部観察への応用
化合物2が生体組織中においても一酸化窒素を捕捉でき、かつ、外部からの観察が可能であることを確認するため、ラットの摘出腎臓の内部を血管に蛍光プローブを灌流することにより染め、腎臓外部から実体蛍光顕微鏡を用いて腎臓内部の蛍光強度変化を観察した。
麻酔したラットの右腎大動脈から灌流液を流した後、速やかに右腎を摘出し、近赤外光領域に対応した実体蛍光顕微鏡のステージ上に設置した(励起フィルター:730 nm±23 nm, 蛍光フィルター:770 nm long-pass)。灌流液に替えて、化合物2の溶解液を右腎内に導入したところ、腎臓外部から弱い蛍光が測定でき、化合物2が腎臓内部に負荷されたことを確認した。腎外部から観察した腎内部の近赤外蛍光画像を図4に示す。腎臓内部に存在する糸球体周りの毛細血管に由来すると考えられる丸い構造が浮かび上がっている。その後、灌流液と一酸化窒素供給化合物(NOC13)の溶解液を交互に流しながら、20秒毎に蛍光画像を取得した。それぞれの画像の画面全体の蛍光強度の平均値を算出し、経時的な変化をみたところ、一酸化窒素供給化合物を投与している間のみ蛍光強度が増大していることを確認した(図5)。
以上の結果より、化合物2が生体組織環境中においても一酸化窒素を検出する能力を有し、また、近赤外域の蛍光を利用することで生体組織の内部観察を外部から行うことが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の化合物は一酸化窒素及び金属イオン(亜鉛イオンなど)と極めて効率よく反応して蛍光性物質を与える性質を有しており、該蛍光性物質は近赤外領域の光で励起することにより極めて強い蛍光を発することから、該化合物を蛍光プローブとして用いることにより、生体内の深部組織中の一酸化窒素や金属イオンを測定することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】

〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は下記の式(A):
【化2】

〔式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基を示すが、R1及びR2が同時に水素原子であることはなく;R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R13及びR14はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z1は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R15)-(式中、R15は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y1及びY2はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R16)(R17)-(式中、R16及びR17はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の一般式(I)で表される化合物(ただしX1、X2、X3、及びX4のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)を含む蛍光プローブ。
【請求項3】
下記の一般式(IA):
【化3】

〔式中、R21及びR22はそれぞれベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示し、該アミノ基のいずれか1つは置換基を有していてもよいアルキル基を1個有していてもよく;R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R33及びR34はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z21は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R35)-(式中、R35は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y21及びY22はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R36)(R37)-(式中、R36及びR37はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物。
【請求項4】
R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32が水素原子であり、R33及びR34がスルホ基で置換されたC1-6アルキル基であり、Z21が酸素原子であり、Y21及びY22が-C(CH3)2-である請求の範囲第3項に記載の化合物。
【請求項5】
請求の範囲第3項に記載の一般式(IA)で表される化合物を含む一酸化窒素測定用試薬。
【請求項6】
下記の一般式(IB):
【化4】

[式中、R41及びR42は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58- (式中、R58は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)で表される基を示すか、又はR41及びR42はベンゼン環上の隣接した位置に置換するアミノ基(置換基を有していてもよいC1-6アルキル基又はアミノ基の保護基を有していてもよい)及びニトロ基の組み合わせを示し;R43及びR44はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R53及びR54はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z41は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R55)-(式中、R55は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y41及びY42はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R56)(R57)-(式中、R56及びR57はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物。
【請求項7】
R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、及びR52が水素原子であり、R53及びR54がスルホ基で置換されたC1-6アルキル基であり、Z41が酸素原子であり、Y41及びY42が-C(CH3)2-である請求の範囲第6項に記載の化合物。
【請求項8】
一酸化窒素の測定方法であって、(a)請求の範囲第3項に記載の一般式(IA)で示される化合物と一酸化窒素とを反応させる工程;及び、(b)上記工程(a)において生成する請求の範囲第6項に記載の一般式(IB)の化合物[ただし、R41及びR42は互いに結合してベンゼン環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR58- (式中、R58は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)で表される基を示す]を検出する工程を含む方法。
【請求項9】
下記の一般式(IC):
【化5】

〔式中、R61及びR62はそれぞれ独立に水素原子又は下記の式(B):
【化6】

(式中、X61、X62、X63、及びX64はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアミノ基の保護基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基を示すが、R61及びR62が同時に水素原子であることはなく、R61及びR62が同時に式(B)で表される基を示す場合には、少なくとも片方の式(B)で表される基においてp又はqのうちのいずれか一方又は両方が1であり;R63及びR64はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基を示し;R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、及びR72はそれぞれ独立に水素原子、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R73及びR74はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-18アルキル基を示し;Z61は酸素原子、硫黄原子、又は-N(R75)-(式中、R75は水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;Y61及びY62はそれぞれ独立に-C(=O)-、-C(=S)-、又は-C(R76)(R77)-(式中、R76及びR77はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示す)を示し;M-は電荷の中和に必要な個数の対イオンを示す〕で表される化合物。
【請求項10】
請求の範囲第9項に記載の一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)を含む亜鉛蛍光プローブ。
【請求項11】
請求の範囲第9項に記載の一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)と亜鉛イオンとから形成される亜鉛錯体。
【請求項12】
亜鉛イオンの測定方法であって、下記の工程:(a)請求の範囲第9項に記載の一般式(IC)で表される化合物(ただし、X61、X62、X63、及びX64のいずれか1個又は2個以上がアミノ基の保護基である場合を除く)と亜鉛イオンとを反応させる工程、及び(b)上記工程(a)で生成した亜鉛錯体の蛍光強度を測定する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【国際公開番号】WO2005/080331
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510271(P2006−510271)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002753
【国際出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(595108044)
【Fターム(参考)】