説明

蛍光ベースの応用で使用される磁性ミクロスフェア

ミクロスフェア、ミクロスフェアのポピュレーション、およびミクロスフェアを形成する方法が提供される。蛍光特性と磁気特性を示すように構成された1つのミクロスフェアは、コア・ミクロスフェア、およびコア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料を含む。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が、磁性材料によって覆われる。ミクロスフェアはまた、磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層をも含む。蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアの1つのポピュレーションは、ミクロスフェアの2つ以上のサブセットを含む。ミクロスフェアの2つ以上のサブセットは、異なる蛍光特性および/または磁気特性を示すように構成される。2つ以上のサブセットの個々のミクロスフェアは、上述されたように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、蛍光ベースの応用で使用される磁性ミクロスフェアに関する。ある実施形態は、コア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料を含み、かつ磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層を含むミクロスフェアに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の記述や例は、それらがこのセクションに含まれるということによって、従来の技術であると見なされるべきではない。
【0003】
磁性ミクロスフェアは、腫瘍の高体温処置;生体系の対象位置への治療物質の指向性供給;細胞、ポリヌクレオチド、たんぱく質の隔離;生体分子の臨床的分析を含む、広範囲な応用において現在使用されている。そのような目的に適切なミクロスフェアは、いくつかの異なる構成においていくつかの販売元から入手可能である。これらのミクロスフェアは、しばしば、感磁性の物質を含み、かつ有機ポリマーまたはシリカなどの球状基質材料を含む。ミクロスフェアは、基質によって囲まれた磁気コア;基質にわたって分散した小さい磁性粒子;球状基質の外面上の磁気コーティングなど、いくつかの構成を有する。これらのミクロスフェア構成の例は、それぞれ利点と欠点を有し、適切な構成の選択は、ミクロスフェアの意図した用途に依拠する。
【0004】
多くの目的について、適切なミクロスフェアは、強磁性ではなく、常磁性または超常磁性を示す。そのようなミクロスフェアは、磁場がない場合、無視可能な磁性を有するが、磁場を加えることにより、ミクロスフェア内で磁気ドメインの整列が誘起され、それによりミクロスフェアは場の源に引き付けられる。場が除去されるとき、磁気ドメインはランダムな向きに戻り、したがって粒子間の磁気による引力または斥力は存在しない。超常磁性の場合、このようにドメインがランダムな向きに戻るのはほぼ瞬間的である一方、常磁性材料は、磁場の除去後ある時間ドメインの整列を維持する。このようにドメインの整列を維持することにより、外部磁場がない場合、ミクロスフェアは凝集する可能性があり、これはしばしば望ましくない。強磁性材料は、永久的に整列したドメインを有し、したがってそのような磁性材料を含むミクロスフェアは容易に凝集する。
【0005】
また、磁性材料に関連付けられた基質材料はミクロスフェアの意図した使用法に応じて変更され、シリカやポリマー・ラテックスが、最も一般的に使用される基質材料である。両材料とも、ほぼ一様な磁性ミクロスフェアを広範な直径において創出するために使用することができる。磁性シリカ・ミクロスフェアは、しばしば、ポリスチレンなどの有機ポリマーから作成されたミクロスフェアより広い温度範囲にわたって安定であり、両材料とも、酸溶媒または芳香族溶媒など、ある環境では分解することがある。さらに、シリカ・ミクロスフェアは、しばしばラテックス・ミクロスフェアより密であり、これは、磁性ミクロスフェア基質の選択について重要な考慮事項である。
【0006】
磁性ミクロスフェアの重要で増大する使用法は、生物学的アッセイの分野である。たんぱく質やオリゴヌクレオチドに対するアッセイは、ミクロスフェアの表面上において実施され、その際、ミクロスフェアが、ミクロスフェアの特徴が測定される前に、反応混合物から磁気的に分離される。測定前にアッセイ・ミクロスフェアを隔離することにより、対象外の分子の測定妨害が低減され、その結果より精確な結果が生成される。
【0007】
生理学的アッセイの磁性ミクロスフェアに対する関心が増大するのと同時に、蛍光ミクロスフェアに対して実施されるアッセイが開発されている。ミクロスフェアの表面に結合された、またはミクロスフェアに組み込まれた蛍光ラベルまたは蛍光材料を使用することにより、異なる染料放出スペクトルおよび/または信号強度に基づいて区別可能なミクロスフェアのいくつかのセットを準備することが可能になる。生理学的アッセイでは、これらのミクロスフェアの蛍光と光散乱を、フローサイトメトリまたは撮像システムによって測定することができ、その測定結果は、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているLeeらへの米国特許第5948627号に記載されているように、ミクロスフェアのサイズと蛍光、さらに研究されているアッセイ・システムに関連する蛍光(たとえば、「捕獲サンドイッチ」アッセイの蛍光でラベル付けされた抗体)を決定するために使用することができる。ミクロスフェアに組み込まれている複数の染料の濃度を変化させることによって、数百またはさらに数千の区別可能なミクロスフェアのセットを作成することができる。アッセイでは、各ミクロスフェアのセットは、異なる対象に関連付けることができ、それにより、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているChandlerらへの米国特許第5981180号に記載されているように、単一容器において単一サンプルについていくつかの試験を実施することが可能になる。
【0008】
蛍光で区別可能なミクロスフェアは、ミクロスフェアを磁気応答性にすることによって改良することが可能である。蛍光磁性ミクロスフェアを形成する方法の例が、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているWangらへの米国特許第5283079号に記載されている。Wangらによって記載された方法は、蛍光コア・ミクロスフェアを磁性ポリマーや追加のポリマーでコーティングすること、またはコア・ミクロスフェアを磁性モノマー、染料モノマー、重合可能モノマーと混合すること、さらにコーティングされたミクロスフェアを作成するために重合を開始することを含む。これらの方法は、蛍光磁性ミクロスフェアを合成する比較的簡単な手法であるが、Chandlerらへの米国特許第5981180号に記載されているような比較的大規模な多重アッセイにおいて使用される多数の正確に着色されたミクロスフェアを創出するのには適していない。
【0009】
Wangらの方法のこの限定は、ほとんどの蛍光染料分子が、遊離基開始重合中に生成される遊離基種による攻撃に対して極度に鋭敏であるということによる。これらの遊離基が比較的少数の染料分子でさえ不活性化する場合、ミクロスフェアにおいて染料の正確な量を達成することはできない。さらに、Wangらの方法が非蛍光磁性ミクロスフェアを合成するために使用され、ミクロスフェアの着色が、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているChandleらへの米国特許第6514295号に記載されている溶媒膨潤方法を使用して試行される場合、比較的大量の磁性材料が着色中にミクロスフェアから放出されるが、その理由は、磁性材料がミクロスフェアに化学的に結合されないからである。特にミクロスフェアにおける磁性材料の物理的捕捉は、膨潤プロセスによって妨害され、磁性材料は溶液に放出される。
【0010】
蛍光磁性ミクロスフェアはまた、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているChandlerらへの米国特許第6268222号にも記載されている。この方法では、ナノスフェアが、ポリマー・コア・ミクロスフェアに結合され、蛍光材料や磁性材料は、コア・ミクロスフェアまたはナノスフェアのいずれかに関連付けられる。この方法は、所望の特徴を有するミクロスフェアを作成するが、ナノスフェア‐ミクロスフェア結合は、厳しい反応条件下において劈開しやすい可能性がある。ミクロスフェアとミクロスフェアに結合されてそれらを囲むコーティングが、この関連付けを改良するために使用されることが可能であるが、再び、このコーティングを形成するために遊離基開始剤を使用することにより、ミクロスフェアの蛍光放出プロファイルを損なうことがある。
【0011】
蛍光磁性ミクロスフェアのより望ましい構成は、磁気応答性ミクロスフェアであり、これは、Chandlerらへの米国特許第6514295号に記載されているような確立された技法を使用して着色することができる。一般的には、この方法は、ミクロスフェアを膨潤させ、それにより蛍光材料がミクロスフェアの中に泳動するのを可能にする溶媒を使用する。これらの着色溶媒は、1つまたは複数の有機溶媒を含む。したがって、ミクロスフェアは、有機溶媒の組成の完全性を失わずに、有機溶媒に対して耐性がなくてはならない。さらに、自由な磁鉄鉱は、いくつかの生理学的反応を妨害する。したがって、比較的少量の磁鉄鉱でさえ失いやすいミクロスフェアは、許容可能ではない。それゆえ、磁性ミクロスフェアは、磁性材料がミクロスフェアに堅固に結合され、それにより膨潤プロセス中の磁性材料の損失を防止するように構築されるべきである。
【0012】
磁性ミクロスフェアが、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているWangらへの米国特許第5091206号、Sutorへの第5648124号、およびWangらへの第6013531号に記載されている。しかし、Wangらへのこれらの特許において開示された方法によって作成されたミクロスフェアは、有機溶媒に配置されるとき、磁性材料を失う可能性があるが、その理由は、磁性材料が化学的に固定されていないからである。これらの特許のそれぞれにおいて、磁性材料のかなり小さい粒子が、ポリマー・シェルを外部コーティングとして有して、ポリマー・コア・ミクロスフェアの上にコーティングされる。磁性粒子は、粒子のサイズを最小限にするように合成され、処理される。Fe34などのいくつかの磁性材料は、粒子のサイズが減少するにつれ、強磁性から常磁性、さらに超磁性に進行する。したがって、可能な最小サイズを有する磁鉄鉱粒子が、生成されたミクロスフェアが残磁性をほとんど示さないようにミクロスフェアを形成するために使用される。
【0013】
しかし、生成されたミクロスフェアがまた、コア・ミクロスフェアにおける染料物質から蛍光信号を放出するように構成される場合、ミクロスフェアコアの表面上における磁性粒子の層の厚さは、重要な考慮事項になる。たとえば、ほとんどの磁性物質は光学的に不透明であるので、ミクロスフェアコアの表面上における磁性粒子の比較的厚いコーティングにより、過剰な光散乱または光子透過の遮断が生じる。磁気構成要素が最小限の粒子サイズを有するように設計されるこれらの特許の方法を使用すると、磁気含有量は、磁気構成要素を通る光透過を可能にするように限定されなければならない。実際、7μmの直径および5%の磁気含有量を有する磁性ミクロスフェアを提供するために、コア・ミクロスフェアの全表面は、15nmの厚さを有する磁鉄鉱の層でコーティングされなければならない。この厚さにより、著しくより低い蛍光信号が得られる。磁性粒子のいくつかがより大きい場合でさえ、Sutorによって記載されているように、比較的多数のより小さい磁性粒子が存在することにより、ミクロスフェアの放出プロファイルに強い影響を及ぼす。Sutorの発明の1つの目的は、既知の微粒子より材料のグラムあたり多くの電磁単位(EMU)を有する磁気応答微粒子を提供することである。
【0014】
また、以前に使用された方法は、外部コーティングの準備において表面活性剤や安定剤を使用する。多くの目的について、これらの分子がミクロスフェアの表面上に存在することは許容可能である。しかし、生物学的アッセイに使用されるとき、表面活性剤は、生体分子をミクロスフェアの表面に結合する効率について、望ましくない妨害や変化をもたらすことがある。洗浄手続きが、ミクロスフェアの表面に関連付けられた表面活性剤と安定剤の量を減少させることが可能であるが、表面活性剤と安定剤を完全に除去することは極度に困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、ミクロスフェア内外に光が透過するのを著しく妨害せずに、重量で約2%より多くの磁気応答性材料を含むミクロスフェアを形成する方法を提供するのは、既存の技法に対する著しい改良である。この磁気応答性材料が、ミクロスフェアに強く関連付けられ、それにより着色中に磁気応答性材料の損失が低減され、磁気応答性材料が対象生体分子と相互作用するのを実質的に防止するためにポリマーによって囲まれる場合、さらに改良される。さらに、以前に使用された方法は、最外ポリマー層が表面活性剤と安定剤がない状態で形成される場合、改良することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ミクロスフェア、ミクロスフェアのポピュレーション、ミクロスフェアを形成する方法の様々な実施態様の以下の記述は、付加の請求項の主題を限定すると決して解釈されるべきではない。
【0017】
実施態様は、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアに関する。ミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアとコア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料を含む。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が磁性材料によって覆われる。さらに、ミクロスフェアは、磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層を含む。
【0018】
一実施態様では、コア・ミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアの表面に結合された1つまたは複数の官能基を含む。他の実施態様では、ミクロスフェアは、1つまたは複数の蛍光色素を含む。異なる実施態様では、ミクロスフェアは、2つ以上の異なる蛍光色素を含む。いくつかの実施態様では、ミクロスフェアに含まれた蛍光色素は、ポリマー層だけでなくコア・ミクロスフェアにも組み込まれる。
【0019】
いくつかの実施態様では、磁性材料は、約10nmから約1000nmのサイズを有する粒子を含む。好ましい実施態様では、磁性材料は、約50nmから約300nmのサイズを有する粒子を含む。いくつかの実施態様では、磁性材料は磁鉄鉱の単結晶を含む。他の実施態様では、磁性材料は粒子の凝集物を含む。たとえば、磁性材料は、凝集物が上記の範囲の1つのサイズを有するように、上述されたものより小さい粒子の凝集物とすることが可能である。他の実施態様では、磁性材料は混合金属磁性材料を含む。追加の実施態様では、ミクロスフェアは、ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基を含む。
【0020】
一実施態様では、ミクロスフェアは、ポリマー層の外面に結合された追加の磁性材料、および追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を含む。磁性材料とポリマーの交互層が、ミクロスフェアについて所望の磁気含有量が達成されるまで、ミクロスフェアにおいて繰り返されることが可能であることが容易に理解されるであろう。このようにして、ミクロスフェアは、1つまたは複数の磁性材料/ポリマー層を含むことが可能であり、そのそれぞれは、コア・ミクロスフェアの表面の約50%未満が磁性材料で覆われるように構成される。
【0021】
1つのそのような実施態様では、磁性材料と追加の磁性材料はほぼ同じ組成を有する。異なる実施態様では、磁性材料と追加の磁性材料は異なる組成を有する。他の実施態様では、磁性材料と追加の磁性材料の少なくとも一方は、混合金属磁性材料を含む。他のそのような実施態様では、ポリマー層と追加のポリマー層はほぼ同じ重合可能材料で形成される。他の実施態様では、ポリマー層と追加のポリマー層は異なる重合可能材料で形成される。いくつかの実施態様では、ミクロスフェアは、追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基を含む。上述されたミクロスフェアの実施態様のそれぞれは、本明細書において記述されるようにさらに構成されることが可能であり、本明細書において記述される方法実施態様により形成されることが可能である。
【0022】
上述されたミクロスフェアの実施態様は、蛍光特性と磁気特性を有する現在使用されているミクロスフェアに対して、いくつかの利点を提供する。たとえば、上述されたミクロスフェアは、ミクロスフェア内外への光の透過を著しく妨害せずに、磁性材料の重量で約2%より多くを含む。具体的には、約50%を超えるコア・ミクロスフェアの表面が磁性材料によって覆われるとき、ミクロスフェアの蛍光放出は著しく影響を受ける(すなわち、蛍光放出は著しくより低くなる)ことが判明している。さらに、磁性材料は、磁性材料が着色中にミクロスフェアから放出されないように、本明細書においてさらに記述されるようにミクロスフェアに強く関連付けることができる。磁化されたコア・ミクロスフェアはまた、ポリマー層でコーティングされ、これにより磁性材料と対象の生体分子の間の相互作用が実質的に防止される。さらにポリマー層は、表面活性剤や安定剤がない状態で形成することが可能である。
【0023】
他の実施態様は、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアのポピュレーションに関する。ポピュレーションは、異なる蛍光特性、異なる磁気特性、または異なる蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアの2つ以上のサブセットを含む。2つ以上のサブセットにおける個々のミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアとコア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料を含む。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が、磁性材料によって覆われる。個々のミクロスフェアはまた、磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層をも含む。上述された個々のミクロスフェアとそのポピュレーションは、本明細書において記述されるようにさらに構成することが可能である。
【0024】
追加の実施態様は、磁気特性を示すミクロスフェアを形成する方法に関する。方法は、磁性材料がコア・ミクロスフェアの表面に結合されてコア・ミクロスフェアを形成するように、コア・ミクロスフェアを磁性材料と組み合わせることを含む。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が磁性材料によって覆われる。また、方法は、1つまたは複数の重合可能材料が、磁化コア・ミクロスフェアを囲むポリマー層を形成し、それにより、磁気特性を示すミクロスフェアを形成するように、磁化コア・ミクロスフェアを1つまたは複数の重合可能材料と組み合わせることも含む。
【0025】
一実施態様では、方法は、磁性粒子をサイズによって第1群と第2群に分離することを含む。第1群の磁性粒子の大部分は、約10nm以上のサイズを有する。第2群の磁性粒子の大部分は、約10nm以下のサイズを有する。1つのそのような実施態様では、コア・ミクロスフェアと組み合わされた磁性材料は、第1群の磁性粒子を含む。他の実施態様では、方法は、追加の磁性材料がポリマー層の外面に結合させて追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を形成するように、形成されたミクロスフェアを追加の磁性材料に組み合わせることを含む。
【0026】
いくつかの実施態様では、方法は、蛍光色素が形成ミクロスフェアの中に泳動するように、溶媒を含む蛍光色素において形成ミクロスフェアを膨潤させることを含む。そのような方法はまた、形成ミクロスフェアが収縮し、それにより形成ミクロスフェアにおいて蛍光色素を捕捉するように、溶媒を含む蛍光色素の1つまたは複数の特性を変化させることをも含む。異なる実施態様では、方法は、コア・ミクロスフェアを磁性材料と組み合わせる前に、1つまたは複数の蛍光色素をコア・ミクロスフェアに組み込むことを含む。他の実施態様では、方法は、1つまたは複数の官能基をポリマー層の外面に結合することを含む。上述された方法の実施態様のそれぞれは、本明細書において記述されるあらゆる他のステップを含むことが可能である。
【0027】
本発明の他の利点が、好ましい実施態様の以下の詳細な記述の利益を有し、かつ付加の図面を参照する際に、当業者には明らかになることが可能である。
【0028】
本発明は、様々な修正や代替の形態が可能であるが、その特定の実施態様が、図面において例示として示され、本明細書において詳細に記述されることが可能である。図面は、縮尺調整されていない。しかし、図面やそれに対する詳細な記述は、開示される特定の用語に本発明を限定することを意図せず、対照的に、本発明は、付加の請求項によって確定される本発明の精神および範囲内にあるすべての修正、等価、代替を網羅することを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書において記述されるミクロスフェアの実施形態は、分子反応のビヒクルとして作用することが可能である。本明細書において記述されるミクロスフェアの実施形態が使用されることが可能であるそのような分子反応、ならびに実験、測定、およびアッセイの例が、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって組み込まれているFultonへの米国特許第5736330号、Chandlerらへの米国特許第5981180号、Chandlerらへの米国特許第6449562号、Chandlerらへの米国特許第6524793号、Chandlerへの米国特許第6592822号、およびChandlerらへの米国特許第6939720号に記載されている。本明細書において使用される「ミクロスフェア」という用語は、球状の形態にある、またはない複合構造として一般的に定義することが可能である。「ミクロスフェア」、「粒子」、「ビード」という用語は、通常、当業者によって交換可能に使用される。したがって、本明細書において使用される「ミクロスフェア」という用語は、本明細書において記述される実施形態の範囲を変更せずに、「粒子」または「ビード」という用語によって置き換えることが可能である。
【0030】
図1は、本明細書において記述されるミクロスフェアとポピュレーションの実施形態と共に、測定、実験、アッセイを実施するために使用することが可能であるシステムの一例を示す。本明細書において記述される図は縮尺調整されて描かれていないことに留意されたい。具体的には、図の要素のいくつかの縮尺は、要素の特徴を強調するために大きく誇張されている。さらに、同じ参照符号が、同様に構成することが可能である要素を示すために、図において使用される。
【0031】
図1において、システムは、ミクロスフェア10が通って流れるキュベット12の断面を通る平面に沿って示されている。キュベットは、フローサイトメトリにおいて使用されるような水晶または融合シリカのキュベットとすることが可能である。しかし、あらゆる他の適切なタイプのビューイング・チャンバまたは供給チャンバを、測定のためにサンプルを供給するの使用することができる。マイクロスフェア10は、本明細書において記述される実施形態により構成することが可能である。
【0032】
システムは、光源14を含む。光源14は、レーザなど、当技術分野において既知の任意の適切な光源を含むことが可能である。光源は、青い光または緑の光など、1つまたは複数の波長を有する光を放出するように構成することが可能である。光源14は、ミクロスフェアがキュベットを通って流れる際、ミクロスフェアを照明するように構成される。照明により、ミクロスフェアは、1つまたは複数の波長または波長帯域を有する蛍光を放出する。いくつかの実施形態では、システムは、光源からミクロスフェアまたは流れの経路の上に光を集束させるように構成された1つまたは複数のレンズ(図示せず)を含んでもよい。システムはまた、2つ以上の光源を含むことも可能である。一実施形態では、光源は、異なる波長または波長帯域(たとえば、青い光および緑の光)を有する光でミクロスフェアを照明するように構成することが可能である。いくつかの実施形態では、光源は、異なる方向からミクロスフェアを照明するように構成することが可能である。
【0033】
ミクロスフェアから前方に散乱された光は、フォールディング・ミラー18または他の適切な光方向付け構成要素によって検出システム16に向けられる。代替として、検出システム16は、前方散乱光の経路に直接配置することが可能である。このようなフォールディング・ミラーまたは他の光方向付け構成要素をシステムが含まなくてもよい。一実施形態では、前方散乱光は、図1に示されたように、光源14による照明の方向から約180°の角度にミクロスフェアによって散乱された光である。前方散乱光の角度は、光源からの入射光が検出システムの感光性表面に当たらないように、照明の方向から正確に180°でなくてもよい。たとえば、前方散乱光は、照明の方向から180°より小さい角度または180°より大きい角度にミクロスフェアによって散乱された光(たとえば約170°、約175°、約185°、または約190°の角度に散乱された光)とすることが可能である。
【0034】
照明の方向から約90°の角度にミクロスフェアによって散乱された光は集束される。一実施形態では、この散乱光は、1つまたは複数のビームスプリッタまたは2色性ミラーによって2つ以上の光ビームに分離される。たとえば、照明の方向に対して約90°の角度に散乱された光はビームスプリッタ20によって2つの異なる光ビームに分離される。2つの異なる光ビームは、4つの異なる光ビームを作成するように、ビームスプリッタ22、24によって再び分離される。光ビームのそれぞれは、1つまたは複数の検出器を含むことが可能である異なる検出システムに向けられる。たとえば、4つの光ビームの1つは、検出システム26に向けられる。検出システム26は、ミクロスフェアによって散乱された光を検出するように構成されている。
【0035】
検出システム16および/または検出システム26によって検出された散乱光は、一般的には、光源によって照明されるミクロスフェアの容積に比例する。したがって、検出システム16および/または検出システム26の出力信号は、ミクロスフェアの直径またはサイズを決定するために使用できる。さらに、検出システム16および/または検出システム26の出力信号は、互いに付着している、またはほぼ同時に照明ゾーンを通過している2つ以上のミクロスフェアを識別するために使用される。したがって、そのようなミクロスフェアを、他のサンプル・ミクロスフェアや較正ミクロスフェアから区別することが可能である。
【0036】
他の3つの光ビームは、検出システム28、30、32に向けられる。検出システム28、30、32は、ミクロスフェアによって放出された蛍光を検出するように構成されている。検出システムのそれぞれは、異なる波長または異なる波長範囲の蛍光を検出するように構成させてもよい。たとえば、検出システムの1つを、緑の蛍光を検出するように構成する。他の検出システムを、黄‐橙の蛍光を検出するように構成し、他の検出システムを、赤の蛍光を検出するように構成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、スペクトル・フィルタ34、36、38が、検出システム28、30、32にそれぞれ結合される。スペクトル・フィルタは、検出システムが検出するように構成されるもの以外の波長の蛍光を遮断するように構成されている。さらに、1つまたは複数のレンズ(図示せず)が、検出システムのそれぞれに光学的に結合されてもよい。レンズを、散乱光または放出蛍光を検出器の感光性表面の上に集束させるように構成させる。
【0038】
検出器の出力電流は、検出器に当たる蛍光に比例し、電流パルスとなる。電流パルスは、電圧パルスに変換され、ローパスフィルタでろ過され、次いでアナログ・デジタル(A/D)変換器によってデジタル化される。デジタル信号プロセッサ(DSP)などのプロセッサ40が、パルスの下の面積を積分して、蛍光の大きさを表す数字を提供する。図1に示されたように、プロセッサ40が、伝送媒体42を介して検出システム26に結合されている。伝送媒体42は、当技術分野において既知の任意の適切な伝送媒体を含む。プロセッサ40はまた、伝送媒体42とA/D変換器などの1つまたは複数の他の構成要素(図示せず)を介して間接的に検出システム26に結合されてもよい。プロセッサを、同様にしてシステムの他の検出システムに結合することが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態では、ミクロスフェアによって放出された蛍光に応答する出力信号は、ミクロスフェアの識別に使用され、さらにミクロスフェアの表面で行われている、または行われた反応を決定するために使用される。たとえば、検出システムのうちの2つの出力信号が、ミクロスフェアの識別を決定するために使用され、他の検出システムの出力信号が、ミクロスフェアの表面で行われている、または行われた反応を識別するために使用される。したがって、検出システムとスペクトル・フィルタの選択を、ミクロスフェアに組み込まれた、または結合された染料のタイプ、ならびに/あるいは測定されている反応(すなわち、反応に関与する反応物に組み込まれた、または結合された染料)に応じて変更することが可能である。
【0040】
サンプル・ミクロスフェアの識別を決定するために使用される検出システム(たとえば、検出システム28、30)は、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、光電子倍増管(PMT)、または他の光検出器などである。ミクロスフェアの表面で行われている、または行われた反応を識別するために使用される検出システム(たとえば検出システム32)は、PMT、APD、または他の形態の光検出器であってもよい。システムを、本明細書において記述されるようにさらに構成することが可能である。
【0041】
図1のシステムは、異なる染料の特徴を有するミクロスフェアを区別するために2つの異なる検出ウィンドウを有する2つの検出システムを含むように示されているが、システムは、3つ以上のそのような検出ウィンドウを含むことが可能であることを理解されたい(すなわち、3つの検出ウィンドウ、4つの検出ウィンドウなど)。そのような実施形態では、システムは、追加のビームスプリッタや他の検出ウィンドウを有する追加の検出システムを含むであろう。さらに、スペクトル・フィルタおよび/またはレンズが、追加の検出システムのそれぞれに結合されてもよい。
【0042】
他の実施形態では、システムは、ミクロスフェアの表面で反応する異なる材料を区別するように構成された2つ以上の検出システムを含む。異なる反応物材料は、ミクロスフェアの染料の特徴とは異なる染料の特徴を有することが可能である。
【0043】
図1に示されたシステムはまた、ミクロスフェアの1つまたは複数の磁気特性を測定するために使用することができるいくつかの他の構成(図示せず)を含むことも可能である。たとえば、システムは、ミクロスフェアを磁気的かつ光学的に刺激するように構成することが可能である。ミクロスフェアは、外部磁場をミクロスフェアに加えることによって磁気的に刺激することが可能である。外部磁場を、当技術分野において既知の任意の適切なデバイスを使用してミクロスフェアに加えることが可能である。システムはまた、ミクロスフェアの磁場を検出するために使用することができる当技術分野において既知の任意の適切な磁気検出器を含むことも可能である。磁気検出器によって検出されるミクロスフェアの誘導磁気によって生じる磁場は、ミクロスフェアの磁化に比例し、ミクロスフェアの磁化は、加えられた磁場に比例する。検出されたミクロスフェアの磁場は、ミクロスフェアの識別、および/またはミクロスフェアの表面で行われている、もしくは行われた反応を決定するために使用することができる。
【0044】
測定可能な磁気特性を示すミクロスフェアは、非磁性ミクロスフェアに対して利点を提供する。たとえば、ミクロスフェアの磁気特性は、特に磁性材料が試薬などの他の材料に曝されることから保護され(たとえば、本明細書において記述されるようにポリマー層によって)、かつ磁気ラベルが測定システムによって光ブリーチングを受けないので、時間の経過にわたってほぼ安定とすることが可能である。さらに、実質的な磁気背景は、ミクロスフェアを使用することによって分析されているサンプルに通常存在しない。このように、サンプルは、ミクロスフェアの磁気特性の測定において雑音に寄与しない。さらに、磁場を加えることと検出は、水溶性試薬または医用生体材料によって遮断されない。さらに、磁性は、ミクロスフェアを遠隔的に操作するために使用することが可能である(たとえば、サンプルの特定の検体を隔離するために)。さらに、バイオテクノロジの応用に適切ないくつかの比較的鋭敏な磁場検出デバイスが市販されており、本明細書において記述されるシステムのいずれかに組み込むことができる。
【0045】
本明細書において記述されるミクロスフェアとポピュレーションの実施形態と共に、測定、実験、アッセイを実施するために使用することが可能であるシステムの追加の例が、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているChandlerらへの米国特許第5981180号、Chandlerへの米国特許第6046807号、Chandlerへの米国特許第6139800号、Chandlerへの米国特許第6366354号、Chandlerへの米国特許第6411904号、Chandlerらへの米国特許第6449562号、Chandlerらへの米国特許第6524793号に記載されている。本明細書において記述されるシステムは、これらの特許に記載されているようにさらに構成することが可能である。さらに、本明細書において記述されるミクロスフェアとポピュレーションの実施形態の測定を実施するために使用することができるシステムには、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれている2005年9月21日に出願されたRothによる米国特許出願番号60/719010、2005年11月16日に出願されたPhillipsによる米国特許出願番号11/305805において記述および図示されたシステムがある。これらの特許や特許出願に記載されたシステムは、システムがミクロスフェアの1つまたは複数の磁気特性を測定することができるように、上述されたような構成要素を含む。
【0046】
一実施形態によれば、磁気特性を示すミクロスフェアを形成する方法は、磁性材料がコア・ミクロスフェアの表面に結合して磁化(または「磁気応答性」)コア・ミクロスフェアを形成するように、コア・ミクロスフェアを磁性材料と組み合わせることを含む。本明細書において記述される実施形態において使用するのに適切なコア・ミクロスフェアは、いくつかの市販元から入手可能であり、選択された磁性材料に結合する任意の材料で形成することが可能である。コア・ミクロスフェアと磁性材料の間の結合は、共有結合、イオン結合、静電結合、または当技術分野において既知のあらゆる他の適切な結合のタイプとすることが可能である。コア・ミクロスフェアに使用することができるいくつかの適切な材料には、非限定的に、スチレン、ジビニルベンゼン、シリカ、またはアクリルアミドのポリマーがある。コア・ミクロスフェアのサイズ(たとえば、コア・ミクロスフェアの場合は直径)は、ミクロスフェアが使用される測定システムおよび/または方法に基づいて選択することが可能である。コア・ミクロスフェアの適切なサイズは、直径が1μmから100μmの範囲であるが、他のサイズも同様に機能する。また、コア・ミクロスフェアのサイズがより一様であるので、染料(たとえば、蛍光染料蛍光体)の取り入れや磁性材料の結合もより一様になることにも留意されたい。
【0047】
一実施形態では、コア・ミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアの表面に結合された1つまたは複数の官能基を含む。表面の官能基は、アミン、チオール、カルボキシル酸、ヒドラジン、塩化物、アルコール、アルデヒド、これらの任意の組合わせなど、いくつかの異なる反応部分から選択することができる。官能基のこのリストは、官能性の完全なリストであることを意味せず、ミクロスフェアの官能基は、当技術分野において既知のあらゆるその他を含むことが可能である。1つまたは複数の官能基は、コア・ミクロスフェアの形成中にコア・ミクロスフェアの表面に結合させることが可能である(たとえば、1つまたは複数の官能基を含む1つまたは複数の重合可能材料と重合することによって)。代替として、1つまたは複数の官能基は、コア・ミクロスフェアが形成された後、コア・ミクロスフェアの表面に付加させることも可能である。1つまたは複数の官能基のそのような付加は、当技術分野において既知の任意の適切な方法を使用して実施することが可能である。
【0048】
一実施形態では、上述されたようにコア・ミクロスフェアを磁性材料と組み合わせることは、磁気応答性材料を含む溶液でコア・ミクロスフェアの溶液を処置することを含む。一実施形態では、方法は、磁性粒子をサイズによって第1群と第2群に分離することを含む。第1群の磁性粒子の大部分は、約10nm以上のサイズを有する。第2群の磁性粒子の大部分は、約10nm以下のサイズを有する。1つのそのような実施形態では、コア・ミクロスフェアと組み合わされた磁性材料は、第1群の磁性粒子を含む。1つのそのような実施形態では、コア・ミクロスフェアと組み合わされた磁性材料は、第2群の磁性材料を含まない。このようにして、磁気応答性材料は、コア・ミクロスフェアを処置するために使用される溶液から比較的微細な粒子を排除するために、コア・ミクロスフェアを処置する前に処置される。
【0049】
磁性粒子のサイズの選択は、たとえば、より大きな粒子をより小さい粒子から分離するために、ろ過または遠心分離が続く磁性材料の部分酸消化によって実施することができる(しかしこのステップは随意選択である)。より大きな粒子は、コア・ミクロスフェアに結合させるために保持され、より微細な粒子は破棄される。磁性粒子の反復洗浄が有利であることが示されているが、その理由は、反復洗浄により、より微細な粒子がバルクな磁鉄鉱溶液からより効率的に除去されるからである。より微細な粒子(たとえば、約10nmより小さい粒子、または約20nmより小さい粒子)のみを除去するために使用することができる他の方法はまた、本明細書において記述される実施形態に適切な磁性粒子を提供するために使用することもできる。次いで、洗浄された磁性粒子は、コア・ミクロスフェアと組み合わせる前に、好ましくはアルコール溶媒中に再懸濁させられる。アルコール溶媒が再懸濁に好ましいが、その理由は、水溶性溶媒と磁性材料が反応することにより、水酸化物や他の還元種が磁性材料の表面上に生成される可能性があり、そのいくらかは蛍光を発することが知られており、これは、本明細書において記述されるミクロスフェアとポピュレーションの実施形態を使用することが可能である多くの応用には望ましくないからである。
【0050】
本明細書において記述される実施形態のいくつかの利点が、磁性材料を合成した後およびコア・ミクロスフェアに結合させる前に磁性材料を処理することによって提供される。本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているWangらへの米国特許第5283079号や、Sutorへの米国特許第5648124号に記載されているような従来の方法は、粒子のサイズを最小限に抑え、かつ最も微細な粒子を隔離する技法を使用する。たとえば、未加工の磁鉄鉱は、しばしば酸で部分的に消化され、磁鉄鉱は、すべての粒子サイズを保持する磁気デカンテーションによって、または最も小さい粒子のみの保持を保証する上澄みの遠心分離と保持によって、溶液から隔離される。しかし、本明細書において記述される実施形態において使用される磁性材料は、そのような微細粒子を含まないことが好ましい。
【0051】
これらの最も小さい磁性粒子をほぼ排除することにより、比較的高い磁鉄鉱含有量を有するミクロスフェアを形成し、一方、磁性材料によるコア・ミクロスフェアの表面被覆を最小限に抑えることが可能になる。たとえば、比較的小さい磁性粒子がコア・ミクロスフェアの表面に結合される場合、粒子は、コア・ミクロスフェア表面全体にほぼわたって比較的薄い層を有効に形成し、これにより、低い磁気応答性を有し、かつ粒子による光の吸収のためにコアから光を放出する能力をほとんど有さないミクロスフェアが得られる。1つの特定の例では、7μmの直径のミクロスフェアの表面を5nmの直径の磁鉄鉱で完全にコーティングすることにより、わずかに1%の磁鉄鉱含有量を有するミクロスフェアが提供される。さらに、このミクロスフェア内外への光子の透過は、磁鉄鉱によって厳密に阻止される。
【0052】
したがって、好ましい実施形態では、コア・ミクロスフェアの表面全体が磁性粒子によって覆われないように、より大きな粒子または粒子のクラスタが、コア・ミクロスフェアの表面にわたって分散される。したがって、ミクロスフェアは、比較的大きなサイズの粒子のために比較的高い磁気含有量を有し、かつ磁性粒子によるコア・ミクロスフェアの部分表面被覆のために比較的高い光透過を有することになる。たとえば、より小さい粒子をほぼ排除し、かつ約10nmから約1000nm、より好ましくは約50nmから約300nmの範囲のサイズを有する粒子またはクラスタを保持するように磁鉄鉱を処理することによって、約5%の磁鉄鉱含有量を有し、コア・ミクロスフェアのわずかに約20%の表面が磁性材料によって覆われているミクロスフェアを形成することが可能である。したがって、本明細書において記述される実施形態により形成されるミクロスフェアは、表面を覆う程度または磁性粒子による光の妨害に関係なく、磁気含有量を最大にすることを目的とするWangらおよびSutorによって開示された方法などの方法によって形成される磁性ミクロスフェアより、高い磁気含有量を有し、光透過性を有する。
【0053】
上述されたようにコア・ミクロスフェアを処置することにより、図2に示されたように、コア・ミクロスフェア46の表面に結合された磁性材料44を含む磁化コア・ミクロスフェアが作成される。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が、磁性材料44によって覆われることが好ましい。すなわち、磁性材料は、コア・ミクロスフェアの表面の一部にのみ結合され、それにより、表面は、磁性材料によって部分的に覆われることになる。コア・ミクロスフェアへの磁性材料のそのような結合は有利である。その理由は、約50%を超えてコア・ミクロスフェアの表面を磁性材料によって覆うことは、蛍光着色コア・ミクロスフェアからの蛍光の放出に著しい影響を与える(すなわち低減する)ことが示されているからである。
【0054】
磁性材料44は粒子を含む。一実施形態では、磁性材料44は、約10nmから約1000nmのサイズ(たとえば、直径)を有する粒子を含む。好ましい実施形態では、磁性材料は、約50nmから約300nmのサイズを有する粒子を含む。磁性粒子のサイズは、コア・ミクロスフェアのサイズや、磁性粒子によるコア・ミクロスフェアの選択された表面被覆、ミクロスフェアの選択された磁気含有量に基づいて選択される。一般的には、磁性粒子は、磁性粒子によって表面を完全に覆わずに、複数の磁性粒子をコア・ミクロスフェアの表面に結合されるように、コア・ミクロスフェアのサイズより小さいサイズを有することが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、磁性材料は、磁鉄鉱の単結晶を含む。異なる実施形態では、磁性材料は、粒子の凝集物を含む。凝集物を形成する粒子は磁鉄鉱の単結晶より小さいkともある。さらに、凝集物を形成する粒子は、凝集物自体が上述されたような範囲のサイズを有してもよい。他の実施形態では、磁性材料は、混合金属磁性材料を含む。
【0056】
磁性材料は、強磁性、反磁性、常磁性、または超常磁性など、いくつかの形態を取ることが可能である。これらの形態の中で、最後の2つは、本明細書において記述される実施形態に最も有用であり、超常磁性は常磁性のサブクラスなので、それらはこの議論では同じように扱われる。通常使用される磁性材料は、鉄酸化物磁鉄鉱Fe34である。そのような磁鉄鉱が、比較的小さい粒子サイズを作成する方法によって準備されるとき、磁鉄鉱は常磁性である。1つのそのような方法は、水酸化ナトリウムなどの比較的強い塩基を有する鉄塩の溶液を加熱することを含む。異なる特性を有する混合磁性材料を形成するために、コバルトやマンガンなどの1つまたは複数の他の2価金属を鉄塩に追加することができる。これらの混合金属化合物の多くは、磁性ミクロスフェアを形成するために使用することができる。他の磁性金属酸化物も、本明細書において記述された実施形態において使用するのに適している。いくつかの実施形態が磁鉄鉱に関して本明細書において記述されたが、あらゆる他の適切な磁性材料を、本明細書における実施形態で使用することが可能である。
【0057】
方法の実施形態はまた、1つまたは複数の重合可能材料がコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層を形成し、それにより磁気特性を示すミクロスフェアを形成するように、磁化コア・ミクロスフェアを1つまたは複数の重合可能材料と組み合わせることをも含む。たとえば、磁鉄鉱をコア・ミクロスフェアの表面に結合させた後、ポリマーの保護層が、磁化コア・ミクロスフェアの上にわたって形成される。このようにして、磁化「コーティングされた」コア・ミクロスフェアは、ポリマー材料でコーティングされる。ポリマー層は、磁性材料が形成されたミクロスフェアが、その後のステップ(たとえば着色)、または使用中(たとえばアッセイ)に曝される可能性がある溶媒、反応物、検体など外部環境と接触するのを防止する(または少なくとも実質的に低減する)ために、障壁を提供するように構成されている。たとえば、図3に示されたように、ポリマー層48が、磁性材料44とコア・ミクロスフェア46を囲む。ポリマー層48が磁性材料とコア・ミクロスフェアを完全に囲むように図3に示されているが、実際には、ポリマー層は、磁化コア・ミクロスフェアを完全に囲まなくてもよい。しかし、ポリマー層は、磁性材料と、ポリマー層の外面と接触する他の材料との接触をポリマー層が実質的に防止するように形成されることが好ましい。
【0058】
このポリマー層は、水またはアルコールなどの適切な溶媒に磁化コア・ミクロスフェアを懸濁させ、重合開始剤や可能であれば適宜他の分子と共にスチレン、アクリル酸、または当技術分野において既知な他の適切な重合可能分子の1つまたは複数のモノマーを懸濁液に追加することによって形成させることができる。必要ではないが、モノマー混合物が、磁鉄鉱に配位結合し、かつ非限定的にアクリル酸またはビニルピリジンなどの他のモノマーと共重合することができる種を含むことが好ましい。このようにポリマー層を磁鉄鉱に配位結合することにより、ポリマー層と磁化コア・ミクロスフェアの間により強い結合が形成される。開始剤は、遊離基形成化合物、酸化還元対、または当技術分野において既知のあらゆる他の適切な開始剤とすることが可能である。開始剤が存在しない場合、重合は、超音波または光化学による開始など、当技術分野において既知の任意の適切な方法によって誘起させることができる。本明細書において記述される実施形態には必要ではないが、ポリマー層は、表面活性剤やポリマー安定剤がない状態で形成されることが好ましい。
【0059】
上述されたように、1つまたは複数の官能基(図示せず)が、コア・ミクロスフェア46の表面に結合される。追加または代替として、ミクロスフェアは、ポリマー層48の外面に結合された1つまたは複数の官能基(図示せず)を含む。具体的には、いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数の官能基をポリマー層の外面に結合させることを含む。1つまたは複数の官能基は、1つまたは複数の重合可能材料の重合中にポリマー層の外面に結合される(たとえば、1つまたは複数の官能基を含む1つまたは複数の重合可能材料を使用することによって)。代替として、1つまたは複数の官能基は、ポリマー層が形成された後、ポリマー層の外面に付加させることができる。そのような付加は、当技術分野において既知の任意の適切な方法を使用して実施することが可能である。ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基は、上述された官能基のいずれかを含む。さらに、1つまたは複数の官能基がコア・ミクロスフェアの表面やポリマー層の外面に結合される場合、コア・ミクロスフェアの表面に結合された1つまたは複数の官能基は、ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基とほぼ同じ、または異なるとすることが可能である。
【0060】
一実施形態では、ミクロスフェアは1つまたは複数の蛍光色素(図示せず)を含む。他の実施形態では、ミクロスフェアは2つ以上の異なる蛍光色素(図示せず)を含む。本明細書において記述されるミクロスフェアの実施形態に適切な蛍光色素の例が、参照によって本明細書に組み込まれている特許に記載されている。蛍光色素は、コア・ミクロスフェア、ポリマー層、またはコア・ミクロスフェアとポリマー層の両方に含むことが可能である。
【0061】
一実施形態では、方法は、コア・ミクロスフェアを磁性材料と組み合わせる前に、1つまたは複数の蛍光色素をコア・ミクロスフェアに組み込むことを含む。したがって、蛍光色素は、ポリマー層が形成される前にコア・ミクロスフェアに組み込まれる。追加または代替として、1つまたは複数の蛍光色素が、コア・ミクロスフェアの表面に付加されてもよい。蛍光色素は、ポリマー層が形成される前にコア・ミクロスフェアの表面に付加されてもよい。
【0062】
追加または代替として、蛍光色素は、ポリマー層に組み込む、および/またはポリマー層の外面に付加することが可能である。このようにして、蛍光色素は、ポリマー層が形成された後、ミクロスフェアに組み込むことが可能である。ポリマー層に組み込まれたおよび/またはポリマー層の外面に付加された蛍光色素は、コア・ミクロスフェアに組み込まれるおよび/またはコア・ミクロスフェアの表面に付加される蛍光色素と同じものまたは異なるものとすることが可能である。たとえば、異なる蛍光色素が、異なるステップにおいてコア・ミクロスフェアの表面とポリマー層の外面に付加されてもよい。他の例では、同じ蛍光色素が、同じステップにおいてコア・ミクロスフェアとポリマー層に組み込まれてもよい。蛍光色素は、当技術分野において既知の任意の適切な方法を使用して、コア・ミクロスフェアの表面および/またはポリマー層に組み込まれるおよび/または付加されてもよい。
【0063】
一実施形態では、方法は、形成されたミクロスフェアの中に蛍光色素が泳動するように、溶媒を含む蛍光色素において形成されたミクロスフェアを膨潤させることを含む。そのような方法はまた、形成されたミクロスフェアが収縮し、それにより形成ミクロスフェアにおいて蛍光色素を捕捉するように、溶媒を含む蛍光色素の1つまたは複数の特性を変化させることも含む。上述されたように蛍光色素をミクロスフェアに組み込むために使用することができる方法の例が、本明細書において完全に述べられているかのように参照によって本明細書に組み込まれているChandlerらへの米国特許第6514295号、Chandlerらへの米国特許第6599331号、Chandlerらへの米国特許第6632526号、およびChandlerらへの米国特許第6929859号に示されている。溶媒を含む蛍光色素は、1つまたは複数の蛍光色素あるいは2つ以上の異なる蛍光色素を含むことが可能である。蛍光色素は、コア・ミクロスフェアおよびおそらくはポリマー層において捕捉する。たとえば、蛍光色素がポリマー層において捕捉されるか否かは、蛍光色素の特徴(コア・ミクロスフェアの特徴と、形成されたミクロスフェアが使用される測定システムおよび/または方法とに基づいて選択することが可能である)、染料溶媒の特徴、およびポリマー層の特徴に非常に依拠する。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、追加の磁性材料がポリマー層の外面に結合するように、形成されたミクロスフェアを追加の磁性材料と組み合わせることを含む。そのような実施形態はまた、追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を形成することを含む。1つのそのような実施形態では、追加の磁性材料50が、図4に示されたようにポリマー層48の外面に結合される。そのような実施形態では、図5に示されたように、追加のポリマー層52が、追加の磁性材料50を囲む。ポリマー層52は、上述されたように追加の磁性材料を「囲む」ことが可能である。このようにして、形成されたミクロスフェアは、随意選択で形成されたミクロスフェアの磁気含有量を増大させるために、図4に示されたようにポリマー層48の外面に結合された磁性材料50で光学的にコーティングし、次いで他のポリマー・コーティング(たとえば、図5に示された追加のポリマー層52)によってコーティングされる。このプロセスは、形成されたミクロスフェアに所望のレベルの光/蛍光透過性と磁気特性を提供するために、必要に応じて繰り返すことができる。
【0065】
磁性材料50は、上述された磁性材料のいずれかを含むことが可能である。磁性材料50はまた、上述されたように形成することも可能である。さらに、磁性材料44、50は、ほぼ同じ組成または異なる組成を有することが可能である。追加のポリマー層52は、上述された重合可能材料のいずれかで形成されてもよい。追加のポリマー層52はまた、上述されたように形成させることも可能である。さらに、ポリマー層48と追加のポリマー層52は、ほぼ同じ重合可能材料または異なる重合可能材料で形成されてもよい。さらに、図4、5に示されたように、ポリマー層48の外面は、磁性材料50によって部分的にのみ覆われる。たとえば、形成されたミクロスフェアの光透過/蛍光放出特性が追加の磁性材料50によって大きく低減されないように、約50%以下のポリマー層48が、追加の磁性材料によって覆われる。
【0066】
上述されたように、1つまたは複数の官能基(図示せず)が、コア・ミクロスフェア46の表面および/またはポリマー層48の外面に結合されてもよい。追加または代替として、ミクロスフェアは、追加のポリマー層52の外面に結合された1つまたは複数の官能基(図示せず)を含むことが可能である。具体的には、いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数の官能基を追加のポリマー層の外面に結合させすることを含む。1つまたは複数の官能基は、1つまたは複数の重合可能材料の重合中に追加のポリマー層の外面に結合される(たとえば、1つまたは複数の官能基を含む1つまたは複数の重合可能材料を使用することによって)。代替として、1つまたは複数の官能基は、追加のポリマー層が形成された後、追加のポリマー層の外面に付加されてもよい。1つまたは複数の官能基のそのような付加は、当技術分野において既知の任意の適切な方法を使用して実施することが可能である。追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基は、上述された官能基のいずれかを含むことが可能である。さらに、1つまたは複数の官能基がコア・ミクロスフェアの表面と追加のポリマー層の外面に結合される場合、コア・ミクロスフェアの表面に結合された1つまたは複数の官能基は、追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基とほぼ同じまたは異なるとすることが可能である。1つまたは複数の官能基が、ポリマー層と追加のポリマー層の外面に結合される場合、ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基は、追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基とほぼ同じまたは異なるとすることが可能である。
【0067】
上述されたように、蛍光色素を、コア・ミクロスフェアおよび/またはポリマー層48に組み込むことが可能であり、および/またはコア・ミクロスフェアの表面および/またはポリマー層48の外面に付加することが可能である。追加または代替として、蛍光色素を、追加のポリマー層に組み込むおよび/または追加のポリマー層の外面に付加することが可能である。追加のポリマー層に組み込まれたおよび/または追加のポリマー層の外面に付加された蛍光色素は、コア・ミクロスフェアに組み込まれるおよび/またはコア・ミクロスフェアの表面に付加される蛍光色素と同じまたは異なるとすることが可能である。追加のポリマー層に組み込まれたおよび/または追加のポリマー層の外面に付加された蛍光色素も、ポリマー層に組み込まれるおよび/またはポリマー層の外面に付加される蛍光色素と同じまたは異なるとすることが可能である。蛍光色素は、当技術分野において既知の任意の適切な方法を使用して、追加のポリマー層の外面に組み込むおよび/または付加することが可能である。上述された実施形態の方法のそれぞれは、本明細書において記述されるあらゆる他の方法のあらゆる他のステップを含むことが可能である。
【0068】
図3は、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されるミクロスフェアの一実施形態を示す。ミクロスフェアは、上述されたように構成することが可能であるコア・ミクロスフェア46を含む。一実施形態では、コア・ミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアの表面に結合された1つまたは複数の官能基(図示せず)を含む。1つまたは複数の官能基は、本明細書において記述される官能基のいずれかを含むことが可能である。
【0069】
ミクロスフェアはまた、コア・ミクロスフェア46の表面に結合された磁性材料44をも含む。磁性材料は、本明細書において記述された磁性材料のいずれかを含むことが可能であり、本明細書において記述されたように構成されることが可能である。たとえば、一実施形態では、磁性材料は、約10nmから約1000nmのサイズ(たとえば直径)を有する粒子を含む。好ましい実施形態では、磁性材料は、約50nmから約300nmのサイズを有する粒子を含む。他の実施形態では、磁性材料は、磁鉄鉱の単結晶を含む。他の実施形態では、磁性材料は粒子の凝集物を含む。いくつかの実施形態では、磁性材料は、混合金属磁性材料を含む。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が磁性材料によって覆われることが好ましい。
【0070】
ミクロスフェアは、磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層48をさらに含む。ポリマー層は、上述されたように構成される。一実施形態では、ミクロスフェアは、ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基(図示せず)を含む。これらの1つまたは複数の官能基は、本明細書において記述された官能基のいずれかを含むことが可能である。さらに、官能基がコア・ミクロスフェアの表面とポリマー層の外面に結合される場合、コア・ミクロスフェアの表面に結合された官能基は、ポリマー層の外面に結合された官能基と同じまたは異なるとすることが可能である。
【0071】
一実施形態では、ミクロスフェアは、ポリマー層の外面に結合された追加の磁性材料、および追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を含む。たとえば、図5に示されたように、ミクロスフェアは、ポリマー層48の外面に結合された追加の磁性材料50、および追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層52を含むことが可能である。追加の磁性材料は、本明細書において記述された磁性材料のいずれかを含むことが可能である。さらに、追加の磁性材料を、本明細書において記述されたように構成することが可能である。たとえば、磁性材料と追加の磁性材料の組合わせは、コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下を覆うことが好ましい。一実施形態では、磁性材料と追加の磁性材料は、ほぼ同じ組成を有する。代替実施形態では、磁性材料と追加の磁性材料は、異なる組成を有する。他の実施形態では、磁性材料と追加の磁性材料の少なくとも一方は、混合金属磁性材料を含む。
【0072】
追加のポリマー層52は、本明細書において記述された重合可能材料のいずれかで形成されることが可能である。さらに、追加のポリマー層は、本明細書において記述されたように構成されてもよい。さらに、一実施形態では、ポリマー層と追加のポリマー層は、ほぼ同じ重合可能材料で形成される。代替実施形態では、ポリマー層と追加のポリマー層は、異なる重合可能材料で形成される。
【0073】
一実施形態では、ミクロスフェアは、追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基(図示せず)を含む。これらの1つまたは複数の官能基は、本明細書において記述された官能基のいずれかを含むことが可能である。さらに、官能基がコア・ミクロスフェアの表面と追加のポリマー層の外面に結合される場合、コア・ミクロスフェアの表面に結合された官能基は、追加のポリマー層の外面に結合された官能基と同じまたは異なるとすることが可能である。さらに、官能基がポリマー層と追加のポリマー層の外面に結合される場合、ポリマー層の外面に結合された官能基は、追加のポリマー層の外面に結合された官能基と同じまたは異なるとすることが可能である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ミクロスフェアは、1つまたは複数の蛍光色素を含む。他の実施形態では、ミクロスフェアは、2つ以上の異なる蛍光色素を含む。たとえば、一実施形態では、1つまたは複数の蛍光色素(図示せず)あるいは2つ以上の異なる蛍光色素(図示せず)が、コア・ミクロスフェアの表面に結合される、および/またはコア・ミクロスフェアに組み込まれることが可能である。コア・ミクロスフェアの表面に結合されたおよび/またはコア・ミクロスフェアに組み込まれた蛍光色素は、本明細書において記述された蛍光色素のいずれかを含むことが可能である。他の実施形態では、1つまたは複数の蛍光色素(図示せず)あるいは2つ以上の異なる蛍光色素(図示せず)が、ポリマー層の外面に結合される、および/またはポリマー層に組み込まれることが可能である。ポリマー層の外面に結合されたおよび/またはポリマー層に組み込まれた蛍光色素は、本明細書において記述された蛍光色素のいずれかを含むことが可能である。他の実施形態では、1つまたは複数の蛍光色素(図示せず)あるいは2つ以上の異なる蛍光色素(図示せず)が、追加のポリマー層の外面に結合されるおよび/または追加のポリマー層に組み込まれることが可能である。追加のポリマー層の外面に結合されたおよび/または追加のポリマー層に組み込まれた蛍光色素は、本明細書において記述された蛍光色素のいずれかを含むことが可能である。さらに、蛍光色素は、コア・ミクロスフェア、ポリマー層、追加のポリマー層、またはそのいくつかの組合わせの表面に付加する、または組み込むことが可能である。上述されたミクロスフェアの実施形態のそれぞれは、本明細書において記述されたようにさらに構成することが可能である。
【0075】
本明細書において記述されるミクロスフェアの実施形態は、他の現在使用されているミクロスフェアに対していくつかの利点を提供する。たとえば、上述されたミクロスフェアは、ミクロスフェア内外への光の透過を著しく妨害せずに、磁性材料の重量で約2%を超えて含むことができる。具体的には、コア・ミクロスフェアの表面が約50%を超えて磁性材料によって覆われる場合、ミクロスフェアの蛍光放出は、著しく影響を受ける。(すなわち、蛍光放出は著しくより低い)。さらに磁性材料は、ミクロスフェアの磁気含有量が着色動作中低減されないように、本明細書においてさらに記述されたようにコア・ミクロスフェアの表面に強く関連付けることができる。磁化コア・ミクロスフェアはまた、ポリマー層によって実質的に囲まれ、これにより、磁性材料が、対象の生体分子および形成ミクロスフェアと接触する他の材料と相互作用することが実質的に防止される。さらに、ポリマー層は、表面活性剤と安定剤がない状態で形成することが可能である。したがって、本明細書において記述されたミクロスフェアの実施形態が生物学的アッセイにおいて使用されるとき、表面活性剤と安定剤によって生じる可能性がある生体分子をミクロスフェア表面に効率的に結合する際の望ましくない干渉と変化が排除される。上述されたミクロスフェアの実施形態はまた、本明細書において記述される他の実施形態のすべての利点をも有する。
【0076】
本明細書において記述されたミクロスフェアは、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアのポピュレーションに含まれる。たとえば、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアのポピュレーションの一実施形態は、ミクロスフェアの2つ以上のサブセットを含む。ミクロスフェアの2つ以上のサブセットは、異なる蛍光特性、異なる磁気特性、または異なる蛍光特性と磁気特性を示すように構成される。サブセットの蛍光特性および/または磁気特性は、測定するときに蛍光特性および/または磁気特性を使用して、サブセットを互いに区別することができるように(たとえば、ミクロスフェアが属するサブセットを決定するために)、サブセットにわたって実質的に異なり、かつサブセット内で実質的に一様であることが好ましい。
【0077】
2つ以上のサブセットの個々のミクロスフェアは、本明細書において記述されたように構成することが可能である。たとえば、個々のミクロスフェアは、コア・ミクロスフェアを含む。磁性材料が、コア・ミクロスフェアの表面に結合される。コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が、磁性材料によって覆われることが好ましい。個々のミクロスフェアはまた、磁性材料とコア・ミクロスフェアを囲むポリマー層をも含む。個々のミクロスフェアとポピュレーションは、本明細書において記述されたようにさらに構成することが可能である。ミクロスフェアのポピュレーションのこの実施形態は、本明細書において記述された他の実施形態のすべての利点を有する。
【0078】
以下の例は、本発明の実施形態を限定すると見なされるべきではなく、単に例示のために本明細書に含まれる。
【0079】
例1:磁鉄鉱の準備
0.2モルの塩化鉄(III)六水化物と0.1モルの塩化鉄(II)四水化物が、オーバーヘッド撹拌で3ネック丸底フラスコにおいて400mlの脱イオン水に溶解された。この混合物を連続的に撹拌しながら、90℃に加熱した。520mlの6N NaOHが、1時間にわたり1滴ずつ追加された。反応は、24時間続くことが可能であった。
【0080】
例2:磁鉄鉱とポリマーのコーティング
官能性カルボキシル化表面修飾された10.2gの市販のポリスチレン・コア・ミクロスフェアが、全容積が100mlのメタノールに懸濁された。12.4mlの準備された磁鉄鉱溶液が、脱イオン水で洗浄され、続いて1MのHCLにおいて2回洗浄され、最後にメタノールで2回洗浄された。各洗浄ステップには、より大きな磁鉄鉱粒子をより小さな磁性粒子から分離するために、約4000×gにおける遠心分離が続いた。磁鉄鉱は、全容積が100mlのメタノールに再懸濁された。磁鉄鉱とコア・ミクロスフェアは組み合わされ、3時間混合することが可能であった。次いで、この混合物は、脱イオン水で4回洗浄され、次いで全容積が375mlの水に再懸濁され、500mlの3ネック丸底フラスコに装填された。12.6gの蒸留スチレン、0.768gの蒸留ジビニルベンゼン、0.173gのベンゾイル過酸化物、および1.47gのアクリル酸の混合物が準備され、500mlの3ネック丸底フラスコに装填された。次いで、反応混合物は、24時間60℃に加熱された。コーティングされたミクロスフェアは、メタノール、テトラヒドロフランで洗浄され、次いでメタノールで3回さらに洗浄され、水で1回洗浄され、最後に脱イオン水に再懸濁された。
【0081】
本発明の様々な態様のさらなる修正や代替実施形態が、本記述を考慮して当技術者に明らかになることが可能である。たとえば、蛍光特性と磁気特性を示すように構成されるミクロスフェアとミクロスフェアのポピュレーションが提供される。したがって、本記述は、例示であると解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方式を当業者に教示することを目的とする。本明細書において図示および記述された本発明の形態は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本発明の本記述の利益を有した後、当業者にはすべて明らかであるように、要素と材料が、本明細書において図示され、記述されたものの代用とされることが可能であり、部分およびプロセスが反転されることが可能であり、本発明のある特徴が、独立して使用されることが可能である。付加の請求項において記述される本発明の精神と範囲から逸脱せずに、本明細書に記述される要素について変更が行われることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本明細書において記述されるミクロスフェアとポピュレーションの実施形態と共に、測定、実験、およびアッセイを実施するために使用することが可能であるシステムの一例を示す概略図である。
【図2】コア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料を含む磁化コア・ミクロスフェアの一実施形態の断面図を示す概略図である。
【図3】ポリマー層によって囲まれた図2の磁化コア・ミクロスフェアを含むミクロスフェアの一実施形態の断面図を示す概略図である。
【図4】ポリマー層の外面に結合された追加の磁性材料を含む、図3のミクロスフェアの一実施形態の断面図を示す概略図である。
【図5】追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を含む、図4のミクロスフェアの一実施形態の断面図を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアであって、
コア・ミクロスフェアと、
前記コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が覆われるように、前記コア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料と、
前記磁性材料と前記コア・ミクロスフェアを囲むポリマー層と
を備える、ミクロスフェア。
【請求項2】
前記コア・ミクロスフェアが、前記コア・ミクロスフェアの前記表面に結合された1つまたは複数の官能基を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項3】
前記ミクロスフェアが、1つまたは複数の蛍光色素を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項4】
前記ミクロスフェアが、2つ以上の異なる蛍光色素を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項5】
前記磁性材料が、約10nmから約1000nmのサイズを有する粒子を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項6】
前記磁性材料が、約50nmから約300nmのサイズを有する粒子を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項7】
前記磁性材料が、磁鉄鉱の単結晶を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項8】
前記磁性材料が、粒子の凝集物を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項9】
前記磁性材料が、混合金属磁性材料を備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項10】
前記ポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基をさらに備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項11】
前記ポリマー層の外面に結合された追加の磁性材料と前記追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層をさらに備える請求項1に記載のミクロスフェア。
【請求項12】
前記磁性材料と前記追加の磁性材料が、ほぼ同じ組成を有する請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項13】
前記磁性材料と前記追加の磁性材料が、異なる組成を有する請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項14】
前記ポリマー層および前記追加のポリマー層が、ほぼ同じ重合可能材料で形成される請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項15】
前記ポリマー層と前記追加のポリマー層が、異なる重合可能材料で形成される請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項16】
前記磁性材料と前記追加の磁性材料の少なくとも一方が、混合金属磁性材料を備える請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項17】
前記追加のポリマー層の外面に結合された1つまたは複数の官能基をさらに備える請求項11に記載のミクロスフェア。
【請求項18】
蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアのポピュレーションであって、
異なる蛍光特性、異なる磁気特性、または異なる蛍光特性と磁気特性を示すように構成されたミクロスフェアの2つ以上のサブセットを備え、2つ以上のサブセットの個々ミクロスフェアが、
コア・ミクロスフェアと、
前記コア・ミクロスフェアの前記表面の約50%以下が覆われるように、前記コア・ミクロスフェアの表面に結合された磁性材料と、
前記磁性材料と前記コア・ミクロスフェアを囲むポリマー層と
を備える、ミクロスフェアのポピュレーション。
【請求項19】
磁気特性を示すミクロスフェアを形成する方法であって、
前記コア・ミクロスフェアの表面の約50%以下が覆われるように磁性材料がコア・ミクロスフェアの表面に結合して、磁化コア・ミクロスフェアを形成するように、前記コア・ミクロスフェアを前記磁性材料と組み合わせるステップと、
1つまたは複数の重合可能材料が、前記磁化コア・ミクロスフェアを囲むポリマー層を形成し、それにより、磁気特性を示す前記ミクロスフェアを形成するように、前記磁化コア・ミクロスフェアを前記1つまたは複数の重合可能材料と組み合わせるステップと
を備える、方法。
【請求項20】
磁性粒子をサイズによって第1群と第2群に分離することをさらに備え、前記第1群の前記磁性粒子の大部分が約10nm以上のサイズを有し、前記第2群の前記磁性粒子の大部分が約10nm以下のサイズを有し、前記コア・ミクロスフェアと組み合わされた前記磁性材料が前記第1群の磁性粒子を備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
追加の磁性材料が前記ポリマー層の外面に結合し、前記追加の磁性材料を囲む追加のポリマー層を形成するように、前記形成されたミクロスフェアを前記追加の磁性材料と組み合わせるステップをさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項22】
蛍光色素が前記形成ミクロスフェアの中に泳動するように、溶媒を含む前記蛍光色素において前記形成ミクロスフェアを膨潤させるステップと、前記形成ミクロスフェアが収縮し、それにより前記形成ミクロスフェアにおいて前記蛍光色素を捕捉するように、溶媒を含む前記蛍光色素の1つまたは複数の特性を変化させるステップとをさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記コア・ミクロスフェアを前記磁性材料と組み合わせる前に、1つまたは複数の蛍光色素を前記コア・ミクロスフェアに組み込むステップをさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項24】
1つまたは複数の官能基を前記ポリマー層の外面に結合するステップをさらに備える請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−528973(P2008−528973A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552333(P2007−552333)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/002257
【国際公開番号】WO2006/079016
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(504187249)ルミネックス・コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】