説明

蛍光ランプ、光源装置、表示装置、及び蛍光ランプの点灯方法

【課題】蛍光ランプにおいて、発光効率の向上を図る。
【解決手段】蛍光ランプ1の、ガラス管2の外径を5.0mm以下とし、螺旋状のコイル部4aの芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積を、1mm以上50mm未満とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプと、この蛍光ランプを備える光源装置、この光源装置を備える表示装置、及び蛍光ランプの点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイをはじめとする、所謂フラットパネルディスプレイと呼称される表示装置においては、光出力に寄与する光学素子(液晶素子など)が、自発光素子ではなく、外部から与えられる光を変調する受動型素子であるため、この光学素子とは別に、照明となる光源装置が設けられている。
この光源装置は、一般に、高輝度化、高効率化、大型化に有利とされる直下(ダイレクト)方式と、小型化、薄型化、低消費電力化に有利とされるエッジライト(サイドライト)方式との2種類がある。
【0003】
直下方式は、ディスプレイ面(表面)に対向する背面(裏面)に、複数のランプによる光源装置が設けられた構造を有する。このため、光源装置からの光をより直接的に利用できるが、その反面、薄型化が困難で、消費電力も大きい。
一方、エッジライト方式は、ディスプレイ面に対向する背面に、例えばアクリル製板状の導光部(ライトガイド)が配置され、この導光部の端部(ディスプレイの側面側)に光源装置が設けられた構造を有する。導光部で光が拡散されるため、薄型化や低消費電力化が図られる反面、画面サイズが大きくなるにつれ、導光部などの重量も増大する。なお、このエッジライト方式は更に、光源装置の位置が背面側であるバックライトタイプと、光源装置の位置が表面側で、光学素子における反射または半透過(反射と透過のハイブリット)により生じる反射光を利用するフロントライトタイプとに分類される。
【0004】
ところで、近年では、携帯電話などの小型の表示装置のみならず、大型の表示装置においても、薄型化が進む傾向にある。冷陰極型の蛍光ランプは発光効率が低いため、大型の表示装置に組み込まれると、消費電力の増大が問題となるのみならず、点灯電圧が高いため、管長を長くすることも困難になる。
このため、冷陰極型に比べて、高発光効率(低消費電力)で、管長を長くするのにも適した熱陰極型の蛍光ランプが注目されている。
【0005】
しかし、熱陰極型の蛍光ランプについては、寿命が短いことが指摘されている。このため、長寿命化を目的として、様々な提案がなされている。
例えば、蛍光管(蛍光ランプのガラス管)の内径を大きめにとり(例えば9.6mm)、電子放出物質の表面積を増大させる(例えば50mm〜200mm)ことによって、電極の予熱なしでの点灯を可能とし、長寿命化を図る手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、例えば、電子放出物質にアルカリ土類金属のタンタル酸塩を用い、陰極輝点(ホットスポット)の温度を1100℃から1300℃になるようフィラメントに予熱電流を流す点灯方法により長寿命化を図る手法も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、これらの手法は、比較的大型の蛍光ランプでは可能であるものの、より小さい蛍光管に対して、例えばガラス管の外径が5.0mm以下である場合などには、適切でなくなるおそれがある。
例えば、特許文献1に記載された手法に基づいて、蛍光管の外径が5.0mm以下の場合に電子放出物質の表面積を50mm以上にしようとすると、電極の長さ(ガラス管の管軸に沿う長手方向の寸法)を増大せざるを得なくなる。電極自体は、発光しない所謂無効発光部分であるため、例えばディスプレイ面の周囲の枠(狭額縁)の幅よりも電極が大きくなると、実質的なディスプレイ面の面積が減少してしまう。また、例えば、特許文献2に記載された手法に基づく場合には、電極の形状が(管軸ではなく)管径を長手方向とする一軸上のコイル形状となっているために、蛍光管の外径とランプ電流とが、それぞれ、15mm以上、200mA以上に、ならざるを得ないと考えられる。
【0007】
一方で、より小さい蛍光管(例えば外径5.0mm以下)において、比較的低いランプ電流(例えば100mA以下)で点灯させることを考慮した手法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、このような蛍光管において、特許文献2に記載されている手法のように予熱電流を適正値にすると、陰極輝点が発生しなくなる。これは、ランプ電流が大きい場合には、電極から放出される熱電子が不足した状態であるため、電極がイオン衝撃を受け、2次電子でランプ電流が補われることにより、そのイオン衝撃を受けて温度上昇した個所が陰極輝点として観測されるためである。すなわち、特許文献2に記載されている手法は、この輝点温度を適正化してイオン衝撃と温度上昇による電子放出物質の蒸発もともに最小限に抑えるものである。
【0008】
これに対し、より小さい蛍光管において、比較的低いランプ電流で点灯させる場合には、ある予熱電流以上ではランプ電流すべてを電極からの熱電子放射でまかなえるため、陰極輝点が生成しないと考えられる。すなわち、より小さい蛍光管(例えば外径5.0mm以下)において、比較的低いランプ電流(例えば100mA以下)で点灯させる場合には、陰極輝点の生成ではなく、別の観点で長寿命化のための最適化を図る必要がある。特に、より小さい蛍光管においては、蛍光ランプを構成するコイル(フィラメント)の単位面積あたりの電流密度が高くなる傾向が強く、これが短寿命化につながるおそれがある。また、電極の形状等によっても、許容できる電流密度に変化が生じてしまう。
【特許文献1】特開平1-35848号公報
【特許文献2】特開平6-111762号公報
【特許文献3】特開2005-235749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、より小さい蛍光管を有しながらも、長寿命化が図られた蛍光ランプと、この蛍光ランプを備える光源装置、この光源装置を備える表示装置、及び長寿命化を可能とする蛍光ランプの点灯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蛍光ランプは、ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光源装置は、蛍光ランプを備える光源装置であって、前記蛍光ランプが、 ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る表示装置は、蛍光ランプを備える表示装置であって、前記蛍光ランプが、 ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る蛍光ランプの点灯方法は、ガラス管の内部に不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプの点灯方法であって、前記蛍光ランプは、前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であり、前記蛍光ランプの点灯を、高周波インバーターによって前記電極に対し継続的に予熱電流を流した後、ランプ電流100mA以下で開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る蛍光ランプによれば、ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であることから、発光効率の向上が図られる。
【0015】
本発明に係る光源装置によれば、蛍光ランプの、ガラス管の外径が5.0mm以下であり、芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積が1mm以上50mm未満であることから、蛍光ランプの発光効率向上により、高輝度化及び省電力化の少なくとも一方が図られる。
【0016】
本発明に係る表示装置によれば、蛍光ランプの、ガラス管の外径が5.0mm以下であり、芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であることから、蛍光ランプの発光効率向上により、高輝度化及び省電力化の少なくとも一方が図られる。
【0017】
本発明に係る蛍光ランプの点灯方法によれば、蛍光ランプの、ガラス管の外径が5.0mm以下であり、芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積が1mm以上50mm未満であり、前記蛍光ランプの点灯を、高周波インバーターによって前記電極に対し継続的に予熱電流を流した後、ランプ電流100mA以下で開始することから、蛍光ランプの長寿命化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
<蛍光ランプの実施の形態、及び蛍光ランプの点灯方法の実施の形態>
最初に、本発明に係る蛍光ランプの実施の形態、及び蛍光ランプの点灯方法の実施の形態を説明する。
図1A及び図1Bは、それぞれ、本実施形態に係る蛍光ランプの概略断面図と、この蛍光ランプの要部の概略断面図である。
【0020】
本実施形態に係る蛍光ランプ1は、図1Aに示すように、熱陰極型の蛍光ランプであり、断面円筒型の細長いガラス管2の両端に、電極3が設けられている。
本実施形態において、ガラス管2は、前述した表示装置の薄型化にも対応できる太さとして、外径5.0mm以下のものを用いる。なお、電極3(特にコイル部)を内部に設ける必要があることから、外径は少なくとも1.4mm以上とする。
ガラス管2の内面には、所定の範囲で蛍光体2aが塗布されており、ガラス管2の内部には、アルゴン(Ar)あるいはネオン(Ne)等の不活性ガス(希ガス)と、発光物質である水銀(Hg)とが封入されている。
【0021】
電極3は、図1Bに示すように、コイル部4aとこのコイル部4aから繋がる第1のリード部4bおよび第2のリード部4cとからなるヒータ4を備える。
本実施形態において、ヒータ4は、タングステン(W)と、レニウム−タングステン合金(Re−W)との少なくとも一方を含む芯線を有する。中でも、レニウム−タングステンを主たる材料とする芯線は、加熱時の強度に優れることから、特に好ましい。
【0022】
また、ヒータ4を覆う電子放出物質3aの例としては、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)からなる3元アルカリ土類金属酸化物が挙げられる。なお、電子放出物質3aとしては二元のバリウム酸化物でも良い。あるいは、一般的に熱陰極型蛍光ランプ用の電子放出物質として知られているように上述したアルカリ土類金属酸化物に酸化ジルコニウムを1〜5重量%程度添加しても良い。
なお、ガラス管2の外径が5.0mm以下である本実施形態において、芯線の、電子放出物質が被着されている被着面積は、1mm以上50mm以下とすることが好ましい。50mmよりも大きい場合には、前述したように電極の長さ(コイル部4aの長さ)を増大させる必要が生じるために狭額縁の幅に収めることが困難となる一方、1mm未満の場合には電流密度が極端に高くなって短寿命化につながるおそれがあるからである。
【0023】
図2A及び図2Bは、それぞれ、本実施形態に係る蛍光ランプ1の、電極3の構成を示す、先端側から見た斜視図、及び後端側から見た斜視図である。また、図2Cは、この電極3に設けられるヒータ4(コイル4a)の概略構成図である。
【0024】
本実施形態に係る蛍光ランプ1において、電極3は、図2Aに示すように、ヒータ4を支持する第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bとを備える。第1のヒータタブ5aは第1の接続部材であって、ヒータ4の第1のリード部4bの後端側が溶接により接続される。第2のヒータタブ5bは第2の接続部材であって、第2のリード部4cの後端側が溶接により接続される。
第1のヒータタブ5aおよび第2のヒータタブ5bは例えばステンレス(SUS304)等による板材である。なお、後述する製造方法で説明するが、電極3の製造時には第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bは一体物で接続補強部材として機能し、製造工程中に分離される。
【0025】
また、電極3は、図2Bに示すように、第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bを介して第1の導入線6aと第2の導入線6b(図1B参照)に接続される。第1の導入線6aと第2の導入線6bはガラス管2の両端に備えられ、互いが略平行で、ガラス管2の端部を外部から内部へと貫通している。
第1の導入線6aのガラス管2の内部へ延びている部分の先端側に第1のヒータタブ5aが溶接により接続され、第2の導入線6bのガラス管2の内部へ延びている部分の先端側に第2のヒータタブ5bが溶接により接続される。
【0026】
このように、第1の導入線6aおよび第2の導入線6bに支持される電極3は、ヒータ4のコイル部4aがガラス管2の管軸を長手方向とする配置となる。このため、放電によって生じるイオンは主にコイル部4aの先端に衝突することになり、コイル部4aの側面ではイオンの衝突による電子放出物質3aの飛散が発生しにくい構成となる。
また、電極3はコイル部4aの後端側から延びる2本のリード部でヒータ4を導入線に支持するので、ヒータ4にはテンションが掛からない構成であり、断線が発生しにくい構成となる。
【0027】
更に、本実施形態では、電極3にスリーブ7を備えることで電子放出物質3aの飛散や蒸発を防ぐ。スリーブ7は飛散防止部材の一例で、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)等で構成され、両端が開口した円筒形状を有する。
スリーブ7は内側にヒータ4のコイル部4aが略平行となる向きで挿入され、スリーブリード8によって第1のヒータタブ5aに取り付けられる。これにより、スリーブ7はコイル部4aの先端側と後端側を開放した形態でコイル部4aの周囲を覆う。
なお、スリーブリード8は第1のヒータタブ5aおよび第2のヒータタブ5bと同様に例えばステンレス(SUS304)で構成される。また、本例では第1のヒータタブ5aにスリーブリード8を固定することとしたが、第2のヒータタブ5bに固定してもよい。
【0028】
ここで、スリーブ7の内径はヒータ4のコイル部4aの外径より大きく、スリーブ7の内側にヒータ4のコイル部4aを略平行となる向きで挿入したときに、スリーブ7にコイル部4aが接触しないように構成される。
また、スリーブ7の外径はガラス管2の内径より小さく、スリーブ7とガラス管2が接触しないように構成される。
【0029】
更に、スリーブ7の開口端面7aより、コイル部4aの先端部が突出しない位置関係となるように、スリーブ7の取付位置が設定される。なお、スリーブ7とヒータ4の位置関係は、スリーブ7の開口端面7aよりコイル部4aの先端部が内側に入り込んでいる位置関係が望ましいが、スリーブ7の開口端面7aとコイル部4aの先端部が同一面に位置していても良い。
【0030】
また、スリーブ7の長さをコイル部4aの長さより長くし、コイル部4aの側面全体がスリーブ7で覆われる形状とする。
なお、上述したガラス管2の内面の蛍光体2aの塗布範囲は、電極3のスリーブ7の開口端面7aより若干外側となる位置までとする。この蛍光体2aが塗布された範囲が蛍光ランプ1の発光部分となる。
【0031】
本実施形態において、ヒータ4を構成する芯線は、例えば図2Cに示すように、より細かい螺旋構造が、互いに非接触とされながら、全体として螺旋状に配置された構成を有している。
すなわち、本実施形態において、ヒータ4のコイル部4aは、二重螺旋形状(所謂ダブルヘリカル形状)の芯線によって、より大まかには略円筒型の、コイル部4aとして形成されている。コイル部4aの後端からは、図2Bに示したように、2本のリード部4b,4cが外部へ向けて延在している。
このように、コイル部4aを二重螺旋形状とすると、コイル部4aを形成する芯線の実質全長が長くなるため、コイル部4aの表面積を増加させることができる。これにより、コイル部4aに塗布される電子放出物質3aの量を増やすことができる。
【0032】
なお、図示しないが、コイル部4aは、三重螺旋形状を有する、所謂トリプルヘリカル形状とされていてもよい。また、コイル部4aは、芯線を単純に螺旋状に巻いたシングルヘリカル形状でも良い。ただし、ヒータ4を三重螺旋形状とすると、コイル部4aの直径が大きくなるので、ガラス管2の細径化とコイル部4aの実質長の確保とを共にを図るためには、ヒータ4は二重螺旋形状とすることが望ましい。
いずれの螺旋形状をとる場合にも、芯線の全体的形状(つまりコイル部4aの全体的形状)は、例えば図2Cにおける縦方向を長手方向とするように、ガラス管2の管軸を長手方向として配置される。
【0033】
このような蛍光ランプ1の具体的構成例としては、外径2.0mm,内径1.6mmのガラス管2の内壁に紫外線で励起される蛍光体が塗布され、ガラス管2の両端に、電子放出物質3aを被着したRe−Wの芯線からなるコイル形状の電極3が封着されることによって、不活性ガス及び水銀が、所定の圧力(例えば25〜40Torr)及び量(例えば2〜3mg)で封入された例を挙げることができる。
また、電極3の具体的構成例としては、Re−Wによる芯線に関して、芯線径0.017mm、1次マンドレル径(図2C中のa)0.08mm、1次ターン数170ターン、2次マンドレル径(図2C中のb)0.4mm、1次ピッチ(図2C中のc)0.04mm、2次ピッチ(図2C中のd)0.6mmとした、外径0.65mm,全長1.9mmのコイル部4aを有する構成を挙げることができる。この構成による場合、芯線の少なくとも一部に電子放出物質3aがディッピングおよび吹付け塗布されることにより、外径0.9mmのダブルヘリカルのコイル部4aが構成される。
【0034】
図3は、本実施形態に係る蛍光ランプの一例で測定した、電子放出能力の温度依存性を示す説明図である。なお、この測定において、電子放出物質の表面積は4.6mmとした。
図3の結果より、この蛍光ランプについては、ランプ電流10mArmsで使用する場合、電極における平均電流密度は0.12A/cmであるが、これを得るためには、600℃における電子放出能力が必要であることが明らかとなった。
【0035】
図4は、本実施形態に係る蛍光ランプの一例における、コイル芯線の材料変化に応じた、Rh/Rcと芯線温度との関係を示す説明図である。なお、Rhはコイルに予熱電流を流したときのコイルの抵抗値、Rcは室温でのコイルの抵抗値を示す。タングステン(W)の芯線においても、レニウム−タングステン合金(Re−W)の芯線においても、温度上昇に伴って抵抗値が高くなる。
【0036】
従って、図3の測定を行った例における電極形状とランプ電流の場合、例えばレニウム−タングステン合金においては、予熱条件としてRh/Rcは2.7以上に設定すれば、温度として600℃以上にでき、熱電子でランプ電流をまかなえることになる。
一方、一般に電子放出物質はBaO−SrO−CaOの3元共晶酸化物からなるが、この電子放出物質については、極端に高温になるとBaOが経時的に蒸発し枯渇してしまうため、短寿命化の要因となる。したがって、実用上問題ない範囲は800℃以下であり、Rh/Rcは3.3以下となる。
【0037】
したがって、芯線がレニウム及びタングステンによる合金を含む場合には、予熱電流の値を2.7≦(Rh/Rc)≦3.3の範囲で選定することが好ましいと考えられる。
なお、この芯線がレニウム及びタングステンによる合金を含む場合と同様に、芯線が単体のタングステンを含む場合についても、予熱電流の値を、3.8≦(Rh/Rc)≦4.8の範囲で選定することが好ましいと考えられる。
【0038】
次に、本発明に係る蛍光ランプの点灯方法の実施の形態を説明する。
本実施形態では、前述した実施形態に係る蛍光ランプ1を用いる場合を例として、説明を行う。
【0039】
まず、本実施形態に係る蛍光ランプ1の基本動作について説明する。
動作としては、まず、各電極3を構成するヒータ4のリード部4b,4c間に電圧を印加するために、第1の導入線6a及び第2の導入線6bの間に例えば5V程度の電圧を印加し、予熱電流によって電子放出物質3aを加熱する。これにより、電子放出物質3aから熱電子が放出される。加熱後、両電極3の間に、インバーターを用い、高周波で例えば300V程度の電圧を印加する。なお、管径(外径)5.0以下では、ランプ電流を100mA以上にしても輝度が飽和してしまうため、ランプ電流は100mA以下となる。
【0040】
電圧印加により、電子放出物質3aから電子が放出され電極3の間でアーク放電が発生する。なお、電極3の間でアーク放電が発生した後は、両電極3の間に例えば100V程度の電圧を印加するとともに、各電極3に例えば2V程度の電圧を印加することによって予熱電流を継続的に流す。
電子放出物質3aから放出された電子は、アーク放電によって加速され、水銀原子に衝突し、水銀原子を励起する。励起された水銀原子は紫外線を放出する。この紫外線が蛍光体2aによって可視光に変換されることにより、蛍光ランプ1が発光する。
【0041】
なお、放電中に生じたイオンは電極3に衝突し、電子放出物質3aを飛散させる要因となるが、コイル部4aがガラス管2の管軸に沿った方向を長手方向として配置されるので、イオンは主にコイル部4aの先端部に衝突する。このため、コイル部4aの側面の大部分では電子放出物質3aの飛散が抑えられる。一方、コイル部4aはスリーブ7に挿入され、スリーブ7の開口端面7aがコイル部4aの先端部より突出していることから、コイル部4aの先端部へのイオンの衝突も低減される。これにより、長期間にわたって電子放出物質3aの枯渇を抑えることができる。従って、電極3は長期間にわたり電子を放出でき、蛍光ランプ1の長寿命化を図ることができる。
【0042】
電子放出物質3aは、ヒータ4の加熱により蒸発するが、仮にスリーブ7を備えない場合には、蒸発した電子放出物質3aはガラス管2の内面に蒸着してしまう。これに対して、コイル部4aがスリーブ7に挿入される形態とすることにより、ヒータ4から蒸発した電子放出物質3aはスリーブ7の内面に蒸着する。ヒータ4が加熱されることでスリーブ7も加熱され、スリーブ7に付着している電子放出物質3aからも電子が放出されるため、電極3の長寿命化によって、蛍光ランプ1の長寿命化を図ることができる。
【0043】
また、ヒータ4がスリーブ7に挿入されていることにより、熱輻射の発生を図ることができるため、ヒータ4の所望の温度までの加熱を低電圧で行うことができる。例えば、予熱時に印加する電圧を例えば5V程度から例えば3V程度にまで下げることができる。なお、コイル部4aとスリーブ7が接触している場合には、ヒータ4aの温度低下が招来されるおそれがあるため、コイル部4aとスリーブ7とを非接触とする構成が、より好ましい。
【0044】
次に、前述の基本動作を踏まえて、本実施形態に係る蛍光ランプ1の、具体的な点灯方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る蛍光ランプの点灯方法の説明に供する、蛍光ランプ点灯回路の一例を示すブロック図である。
【0045】
本実施形態において、蛍光ランプ点灯回路14は、蛍光ランプ1と、蛍光管点灯回路15と、点灯スイッチ16と、フィラメント予熱回路17とを有する。
点灯スイッチ15は、点灯装置のスイッチであり、動作により直流電圧が出力される。フィラメント予熱回路17は、蛍光ランプ1の両端のコイル(フィラメント)にそれぞれ接続されており、点灯スイッチ16により作動し、交流電圧(Vf)を発生させ、それぞれのコイル(フィラメント)に予熱電流(If)を流す。
【0046】
図6は、本実施形態に係る蛍光ランプにおける、予熱電流の変化に応じた、ランプ電流とRh/Rcとの関係を示す説明図である。
前述した、図3の測定を行った例における電極形状の場合、Rc=21.4Ω、ランプ電流10mArmsで、ランプ点灯時、予熱条件として、高周波インバーターによって交流電圧(Vf)を3.6V印加すると、予熱電流(If)は58mA流れることが確認できた。したがって、Rhは62Ωとなるため、Rh/Rcは2.9となる。このRh/Rcの値は、図4の結果より、665℃に相当する。
【0047】
このように、蛍光ランプ1の点灯を、高周波インバーターによって電極に対して継続的に予熱電流を流し、その後、ランプ電流100mA以下で点灯することにより、長寿命化が実現できる。
なお、これらの(Rh/Rc)によれば、本例の場合、適切な予熱電流として52〜64mAの予熱電流を得ることができる。
【0048】
ここで、前述した蛍光ランプ1の製造方法について、図7〜図9を参照して説明する。
【0049】
まず、第1の巻線工程として、図7Aに示すように、例えばレニウム−タングステンの芯線(線材)9をモリブデンの芯線10に巻き付け、細かい螺旋構造を得る。続いて、第2の巻線工程として、図7Bに示すように芯線9が巻かれた芯線10を、前述した細かい螺旋構造よりも大きな螺旋状に巻くことにより、二重螺旋による略円筒型のコイル部4aを形成し、コイル部4aの後端から2本のリード部4b,4cが延びる形状とする。
ここで、コイル部4aでは、隣接する芯線9同士が接触しない形状とする。これらの巻線工程で、芯線10により形状が保持されたヒータ4が作成される。なお、この巻線工程には、熱処理により芯線9の歪みを取る工程が含まれていても良い。
【0050】
その後、ヒータタブ溶接工程を行う。この工程では、図7Cに示すように、ヒータ4を、第1及び第2のヒータタブ5a及び5bからなる、接続補強部材のヒータタブ5に溶接する。
ここで、第1のヒータタブ5a及び第2のヒータタブ5bは、それぞれL字型の断面形状で、L字型の短辺側が連結部5cでつながり、第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bが一体となっている。また、第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bとの間には分離溝が設けられているが、後述する切断によるまではこの分離は完全とはされていないために、第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bとは一部でつながった状態にある。
【0051】
このヒータタブ溶接工程では、一体となっているヒータタブ5の第1のヒータタブ5aに、ヒータ4の第1のリード部4bの後端側を溶接する。また、第2のヒータタブ5bにヒータ4の第2のリード部4cの後端側を溶接する。
これにより、ヒータ4とヒータタブ5とが一体となったヒータアッセンブリ11が作成される。このヒータタブ溶接工程では、ヒータ4は芯線10により形状が保持されているので、型崩れが発生しない。
【0052】
ヒータタブ溶接工程の後、溶解工程を行う。
この工程では、図7Dに示すように、レニウム−タングステンの芯線9が巻かれたモリブデンの芯線10を溶解する。例えば、ヒータアッセンブリ11を硫酸と硝酸の混酸溶液中に浸してモリブデンの芯線10を溶解する。ここで、レニウム−タングステンおよびステンレスは混酸溶液中で溶解しないので、ヒータ4とヒータタブ5はそのまま残る。
なお、ヒータ4はモリブデンの芯線10が溶解することで外力に対して強度が弱くなるが、ヒータ4は第1のリード部4bと第2のリード部4cが一体構造のヒータタブ5で支持されていることでヒータアッセンブリ11全体として十分な強度が保持され、作業中に型崩れが発生しない。
【0053】
溶解工程の後、塗布工程を行う。
この工程では、図8Aに示すようにヒータ4に電子放出物質3aを塗布する。本例では3元のバリウム酸化物である(Ba,Sr,Ca)COをヒータ4に塗布する。
電子放出物質3aの塗布は、例えば吹き付け法によって行うことができる。吹き付け法では、例えばヒータアッセンブリ11を回転させながらヒータ4に電子放出物質3aの吹き付けを行うことで、コイル部4aの内側まで均一な密度で電子放出物質3aを塗布することができる。
【0054】
また、電子放出物質3aの塗布はディップ法でもよい。すなわち、電子放出物質3aを入れた槽にヒータアッセンブリ11のヒータ4を浸すことで、コイル部4aに電子放出物質3aを塗布することができる。
ここで、ヒータ4に塗布した(Ba,Sr,Ca)COは、製造工程中の加熱で(Ba,Sr,Ca)Oに変化する。なお、コイル部4aに塗布された電子放出物質3aの膜厚は30〜60μm程度が望ましい。
【0055】
塗布工程の後、スリーブ溶接工程を行う。
この工程では、まず、図8Bに示すようにスリーブ7にスリーブリード8を溶接する。これにより、スリーブ7とスリーブリード8とが一体となったスリーブアッセンブリ12が作成される。このスリーブアッセンブリ12に熱処理を行い汚れや歪みを取る工程を加えても良い。
続いて、図8Cに示すように、電子放出物質3aの塗布が終了したヒータアッセンブリ11とスリーブアッセンブリ12とを接続する。具体的には、まず、スリーブ7にヒータ4のコイル部4aを挿入する。このとき、スリーブリード8を第1のヒータタブ5aに位置合わせした状態で、コイル部4aの側面がスリーブ7の内面に接触しないように位置合わせを行う。また、コイル部4aの先端がスリーブ7の開口端面7aより内側となるように位置合わせを行う。そして、スリーブリード8を第1のヒータタブ5aに溶接によって接続する。これにより、ヒータアッセンブリ11とスリーブアッセンブリ12が一体となる。
【0056】
スリーブ溶接工程の後、導入線溶接工程を行う。
この工程では、図9Aに示すように、スリーブアッセンブリ12の取り付けまで終了したヒータアッセンブリ11を第1の導入線6aおよび第2の導入線6bに接続する。
具体的には、まず、第1の導入線6aと第2の導入線6bはステムガラス13によって一体となっている。なお、第1の導入線6aと第2の導入線6bは互いが接触しないように所定の間隔を開けて略平行にステムガラス13に支持されている。そして、第1の導入線6aと第1のヒータタブ5aを溶接によって接続し、第2の導入線6bと第2のヒータタブ5bを溶接によって接続する。
【0057】
ところで、ヒータ4の第1のリード部4bと第2のリード部4cの間隔と、ステムガラス13で支持されている第1の導入線6aと第2の導入線6bの間隔が異なる場合、リード部と導入線を直接接続しようとすると、曲げ加工が必要となる。
これに対して、第1のヒータタブ5aおよび第2のヒータタブ5bを介してリード部と導入線を接続することで、曲げ加工は不要となる。また、板状のヒータタブにリード部と導入線を溶接することでアライメントを容易にする。また、接続強度が向上する。
【0058】
導入線溶接工程の後、切断工程を行う。
この工程では、前述したヒータタブ5の連結部5cをレーザ等で切断する。ヒータタブ5は第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bの間に予め分離溝が形成されているので、切断前まで残っていた連結部を切断すると、第1のヒータタブ5aと第2のヒータタブ5bの間は隙間が形成された状態となり、両者は電気的に独立する。
以上の工程により、図9Bに示すように電極3が完成する。
【0059】
<光源装置、及び表示装置の実施の形態>
本発明に係る光源装置及び表示装置の、実施の形態を説明する。
なお、本実施形態では、蛍光ランプを備える光源装置が、バックライトとして表示装置を構成する場合を例として、説明を行う。
【0060】
図10に、本実施形態に係る光源装置を有する表示装置の概略構成図を示す。
この、本実施形態に係る表示装置21は、光源装置22及び光学装置23を有する。
【0061】
本実施形態において、光源装置22は、液晶装置を有する光学装置23の背面に設けられる、直下方式のバックライト装置である。
この光源装置22の、樹脂による導光部26内には、前述した蛍光ランプ1が設けられている。
また、本実施形態において、光源装置22の、光学装置23に対向する最近接部には、拡散シート29が設けられている。この拡散シート29は、青色光源や各蛍光体からの光を、光学装置23側へ面状に均一に導くものである。光源装置22の裏面側には、リフレクタ24が設けられている。また、必要に応じて、リフレクタ24と同様のリフレクタ25が、導光部26の側面にも設けられる。
なお、本実施形態に係る光源装置22において、導光部26を構成する樹脂は、エポキシ、シリコーン、ウレタンのほか、様々な透明樹脂を用いることができる。また、発光体6を構成する青色光源の形状も、サイドエミッタータイプや砲弾タイプなど、様々な種類のものから適宜選択して用いることができる。
【0062】
一方、本実施形態において、光学装置23は、光源装置22からの光に対して変調を施すことにより所定の出力光を出力する液晶装置である。
この光学装置23においては、光源装置22に近い側から、偏向板30と、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)用のガラス基板31及びその表面のドット状電極32と、液晶層33及びその表裏に被着された配向膜34と、電極35と、電極35上の複数のブラックマトリクス36と、このブラックマトリクス36間に設けられる画素に対応した第1(赤色)カラーフィルタ37a,第2(緑色)カラーフィルタ37b,第3カラーフィルタ37cと、ブラックマトリクス36及びカラーフィルタ37a〜37cとは離れて設けられるガラス基板38と、偏向板39とが、この順に配置されている。
ここで、偏向板30及び39は、特定の方向に振動する光を形成するものである。また、TFTガラス基板31とドット電極32及び電極35は、特定の方向に振動している光のみを透過する液晶層33をスイッチングするために設けられるものであり、配向膜34が併せて設けられることにより、液晶層33内の液晶分子の傾きが一定の方向に揃えられる。また、ブラックマトリクス36が設けられていることにより、各色に対応するカラーフィルタ37a〜37cから出力される光のコントラストの向上が図られている。なお、これらのブラックマトリクス36及びカラーフィルタ37a及び37cは、ガラス基板38に取着される。
【0063】
本実施形態に係る表示装置21は、その光源装置22において、蛍光ランプの発光効率が向上することにより、高輝度化及び省電力化の少なくとも一方が図られる。
なお、本実施形態に係る表示装置21においては、蛍光ランプ1のコイル部がガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置されており、いることからガラス管2の細径化が可能になるため、蛍光ランプ1が直下方式バックライトに用いられた場合でも、表示装置21のディスプレイの薄型化を図ることができる。また、コイル部4aは十分な量の電子放出物質3aを塗布できる長さを確保できることから、ガラス管2を細径化しても長寿命化を図ることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る蛍光ランプによれば、蛍光ランプの発光効率向上及び長寿命化が図られる。
また、本実施形態に係る光源装置、表示装置、及び蛍光ランプの点灯方法によれば、蛍光ランプの発光効率上昇により、高輝度化及び省電力化の少なくとも一方が図られる。
【0065】
なお、前述の実施の形態では直下方式の例を説明したが、エッジライト方式の光源装置及び表示装置は、薄型化の点では有利であるため、(例えばノート型の)パソコン用ディスプレイなどに用いられる傾向にある一方、設けられる蛍光ランプの数が直下方式に比べて極端に少ない。
したがって、エッジライト方式の光源装置及び表示装置において、本実施形態に係る蛍光ランプが設けられる場合には、この少ない蛍光ランプの性能向上が装置全体の性能向上に直結するため、特に有効であると考えられる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、説明で挙げた使用材料及びその量、処理時間及び寸法などの数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法形状及び配置関係も概略的なものである。すなわち、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0067】
例えば、前述の実施の形態では、直下方式の場合を例として説明を行ったが、本実施形態に係る光源装置及び表示装置はこれに限られず、エッジライト方式とすることもできる。なお、このエッジライト方式は、光源装置の位置が背面側であるバックライトタイプであっても良いし、光源装置の位置が表面側で、光学素子における反射または半透過(反射と透過のハイブリット)により生じる反射光を利用するフロントライトタイプであっても良い。
【0068】
また、例えば、本実施形態では、蛍光ランプによって光源装置及び表示装置が構成される場合を例として説明を行ったが、本実施形態に係る蛍光ランプによって、例えばスキャナなど、蛍光ランプを備える他の電子機器を構成することもできるなど、本発明は、種々の変形及び変更をなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】A,B それぞれ、本発明に係る蛍光ランプの一例の構成を示す、概略断面図と、要部の概略断面図である。
【図2】A〜C それぞれ、本発明に係る蛍光ランプの電極の一例の構成を示す、先端側から見た斜視図と、後端側から見た斜視図と、この電極に設けられるコイルの概略構成図である。
【図3】本発明に係る蛍光ランプの一例における、電子放出能力の温度依存性を示す説明図である。
【図4】本発明に係る蛍光ランプの一例における、コイル芯線線質の変化に応じた、Rh/Rcと芯線温度との関係を示す説明図である。
【図5】本発明に係る蛍光ランプの点灯方法の一例の説明に供する、蛍光ランプ点灯回路のブロック図である。
【図6】本発明に係る蛍光ランプの一例における、予熱電流の変化に応じた、ランプ電流とRh/Rcとの関係を示す説明図である。
【図7】A〜D 本発明に係る蛍光ランプの、製造方法の一例の説明に供する工程図(その1)である。
【図8】A〜C 本発明に係る蛍光ランプの、製造方法の一例の説明に供する工程図(その2)である。
【図9】A,B 本発明に係る蛍光ランプの、製造方法の一例の説明に供する工程図(その3)である。
【図10】本発明に係る光源装置及び表示装置の、一例の構成を示す、概略構成図である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・蛍光ランプ、2・・・ガラス管、2a・・・蛍光面、3・・・電極、3a・・・電子放出物質、4・・・ヒータ、4a・・・コイル部、4b・・・第1のリード部、4c・・・第2のリード部、5・・・ヒータタブ、5a・・・第1のヒータタブ、5b・・・第2のヒータタブ、6a・・・第1の導入線、6b・・・第2の導入線、7・・・スリーブ、7a・・・開口端面、8・・・スリーブリード、9・・・芯線(線材)、10・・・芯線、11・・・ヒータアッセンブリ、12・・・スリーブアッセンブリ、13・・・ステムガラス、14・・・蛍光ランプ点灯回路、15・・・蛍光管点灯回路、16・・・点灯スイッチ、17・・・フィラメント予熱回路、21・・・表示装置、22・・・光源装置、23・・・光学装置、24・・・リフレクタ、25・・・リフレクタ、26・・・導光部、29・・・拡散シート、30・・・偏向板、31・・・TFTガラス基板、32・・・ドット電極、33・・・液晶層、34・・・配向膜、35・・・電極、36・・・ブラックマトリクス、37a・・・第1カラーフィルタ、37b・・・第2カラーフィルタ、37c・・・第3カラーフィルタ、38・・・ガラス基板、39・・・偏向板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、
前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、
前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、
前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満である
ことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記芯線が、前記螺旋状よりも細かい螺旋構造によって、前記螺旋状の配置を構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記芯線が、レニウム(Re)及びタングステン(W)による合金を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
蛍光ランプを備える光源装置であって、
前記蛍光ランプが、
ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、
前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、
前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、
前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満である
ことを特徴とする光源装置。
【請求項5】
蛍光ランプを備える表示装置であって、
前記蛍光ランプが、
ガラス管の内部に、不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプであって、
前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、
前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、
前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
ガラス管の内部に不活性ガス及び水銀が封入された蛍光ランプの点灯方法であって、
前記蛍光ランプは、前記ガラス管の両端部に設けられる電極が、前記ガラス管の管軸を長手方向として螺旋状に配置された芯線を有し、前記芯線の少なくとも一部に、電子放出物質が被着され、
前記ガラス管の外径が、5.0mm以下であり、
前記芯線の、前記電子放出物質が被着されている被着面積が、1mm以上50mm未満であり、
前記蛍光ランプの点灯を、高周波インバーターによって前記電極に対し継続的に予熱電流を流した後、ランプ電流100mA以下で開始する
ことを特徴とする蛍光ランプの点灯方法。
【請求項7】
前記芯線が、タングステンを含み、
前記予熱電流の値を、3.8≦(Rh/Rc)≦4.8となる範囲で選定する
ことを特徴とする請求項6に記載の蛍光ランプの点灯方法。
(ただし、Rhはコイルに予熱電流を流したときのコイルの抵抗値、Rcは室温でのコイルの抵抗値。)
【請求項8】
前記芯線が、レニウム及びタングステンによる合金を含み、
前記予熱電流の値を、2.7≦(Rh/Rc)≦3.3となる範囲で選定する
ことを特徴とする請求項6に記載の蛍光ランプの点灯方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−53117(P2008−53117A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229593(P2006−229593)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】