説明

蛍光ランプ、照明装置及び蛍光ランプの製造方法

【課題】バルブから口金の張り出し量を少なくすることができるランプ等を提供する。
【解決手段】ランプ1は、内面に蛍光体層が形成されたバルブ10と、このバルブ10の両端部に設けられた口金30とからなる。バルブ10は、電極22を有する板状のボタンステム20の外面と、ボタンステム20の周囲に設けられた端壁12とからなる端面を有している。口金30は、ボタンステム20を覆うように設けられ、かつ端壁12が外観視できる状態で設けられており、ボタンステム20の内面が、バルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面P1よりもバルブ10の内部側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ、照明装置及び蛍光ランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている蛍光ランプ(以下、単に「ランプ」という。)は、両端部に電極を備えた筒状のバルブの端部に、前記電極と電気的に接続する口金が設けられている。このようなランプは、電極と電気的に接続された口金ピンをバルブの端部からバルブの管軸の延伸する方向(以下、「管軸方向」ともいう。)の外方へと延出させている。したがって、このようなランプが装着される照明装置には、例えば、ランプが直管状をしている場合、ランプの両側に必ず照明装置のソケットが位置することとなる。
【0003】
また、特にフレア状のステムは細管を備えているため、それを覆う両端部の口金の厚さも厚くなる。上記直管状のランプを、例えば、長さ方向に直列に複数本配置した場合(所謂、ライン照明)、隣り合うランプ間に、口金及び当該口金が取り付けられるソケットが介挿することとなり、ランプ間の隙間が大きくなると共に、ランプ間に光を発しない暗部が広い範囲で生じることとなる。
【0004】
そして、このようなライン照明を実現するにあたり、上記暗部の発生を削減するものとして、口金あるいは口金ピンをランプ軸と直交する方向に設けることにより、隣接するランプ間から口金あるいはソケットを除去し、隣接するランプ間の隙間を小さくして、複数のランプがあたかも一本のランプであるようにして点灯させようとするものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
発明者はこのような要望に応えるべく、電極を保持するステムマウントを、フレア状のものから板状のものに変更し、このステムマウントのステムによってバルブの端壁の略中央にある開口を外側から塞ぐ状態で前記ステムを溶着した構成のランプを検討している。
図8は、検討中のランプの端部の構成を示す模式断面図を示す。
同図に示すランプ901では、バルブ903の端部905に、蛍光体907が塗布された端壁909が外観視されるように、端面911の中央のステム913を覆って口金915が設けられている(端壁909は、例えば、図3では、符号12が指す部分に相当する。)。
【0006】
このため、バルブ903の本体部分である筒状部分917からの光の取り出しだけでなく、端壁909から放射される光も照明に利用し、ランプ端部905はもちろんランプ全体の輝度を向上させるとともに、端面911にステム913を備える構成のものにおいて口金915の厚みを薄くでき、ライン照明を実現した際に隣接するランプ901間の暗部の発生を削減することができるものである。
【0007】
口金915は、端面911のステム913を覆う第1の部分919と、バルブ903の端部905の外周上に設けられる第2の部分921とからなり、バルブ903の端部905の外周上に設けられる口金915の第2の部分919にはランプ軸と直交する方向に立設する口金ピン923を有している。
口金915の第1の部分919はできるだけ端壁909からの光を遮断しないような大きさを有しており、口金915は、全体としてL形状を有し、固着剤でバルブ903の端部905に固着されている。なお、固着剤は、口金915の内部に充填されているが、リード線の配線等の様子が分かるように、その図示を省略している。
【特許文献1】実開昭61−48548号公報
【特許文献2】特許3149077号公報
【特許文献3】特開2004−247276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のステムマウントのステム形状をフレア状から板状に変更することにより、口金の厚みを薄くでき隣接するランプ間の隙間を狭くすることができたものの、未だ、バルブ903の端面911がステム913の厚み分だけ突出している(図中の「L1」である。)。この突出している厚みL1が加わる分、ステム913を覆う口金915の部分の突出量(図中の「L2」である。)も多くなっている。
【0009】
本発明は、このような問題の解決を図ろうとなされたものであって、バルブ両端部における口金の突出量を少なくすることのできる蛍光ランプと、この蛍光ランプを用いた照明装置及び蛍光ランプの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成されたバルブとこのバルブの両端部に設けられた口金とからなる蛍光ランプであって、前記バルブは、電極を有する板状のステムの外面と、前記ステムの周囲に設けられた端壁とからなる端面を有し、前記口金は、前記ステムを覆うように設けられ、かつ前記端壁が外観視できる状態で設けられており、前記ステムの内面が、前記バルブ端部の外周縁のなす仮想平面よりも前記バルブの内部側に位置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る蛍光ランプでは、バルブ端部の外周縁のなす仮想平面からの外方への口金の突出量を少なくでき、結果的に、例えば、ライン照明として使用する場合に、隣接する蛍光ランプ間の隙間を小さくでき、蛍光ランプの長さ方向に直列に複数本配置した場合における蛍光ランプ間の暗部の範囲を低減することができる。
また、前記ステムの外面が、前記仮想平面よりも前記バルブの内部側に位置し、前記端壁が前記バルブ端部の外周縁から前記ステムの外縁に向かって傾斜していることを特徴とし、或いは、前記ステムの外面と前記仮想平面とが略面一状であることを特徴としている。
【0012】
前記板状のステムは、円盤形状を有し、前記端壁の中央部に設けられた開口を塞ぎ、前記ステムの外径は、前記開口の外径の1.2倍以上、1.5倍以下の範囲内にあることを特徴し、或いは、前記ステムの肉厚が、前記端壁の肉厚の0.8倍以上、3倍以下の範囲内にあることを特徴としている。
一方、本発明に係る照明装置は、器具本体と、前記器具本体に装着された上記構成の蛍光ランプとを有することを特徴とし、また、前記器具本体は、前記蛍光ランプを長さ方向に複数本配置することを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、本発明に係る照明装置をライン照明として使用する場合に、隣接する蛍光ランプ間の隙間を小さくでき、蛍光ランプの長さ方向に直列に複数本配置した場合における蛍光ランプ間の暗部の範囲を低減することができる。
一方、本発明に係る蛍光ランプの製造方法は、中央部にステム閉塞予定用開口を有する端壁を備えたバルブ用管状体の前記端壁に、前記開口を塞ぐように外部から、電極を有する板状のステムを溶着する溶着工程を含む蛍光ランプの製造方法であって、前記溶着工程は、前記端壁と前記ステムとが重なり合った当接部分及び前記端壁における前記当接部分の周辺部分が加熱により変形可能になると、前記ステムを前記バルブ内に押し込む工程を含むことを特徴としている。
【0014】
上記方法によれば、バルブ端部の外周縁のなす仮想平面からの外方への口金の突出量が少ない蛍光ランプを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、本発明は、その本質的な特徴部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
<実施の形態>
本実施の形態に係る蛍光ランプ(以下、単に「ランプ」とする。)、照明装置の構成について、図を用いて以下説明する。
1.ランプの構成
図1は、本実施の形態に係るランプを示す斜視図であり、端部部分は特に拡大して示している。
【0016】
図2は、ランプ1の端部の構成を示す模式断面図であり、図3は、ランプ1を図1のY方向から見た図である。
ランプ1は、図1および図2に示すように、電極22を備えるステムマウント(19)を管軸方向(図中のY方向である。)の両端に有する長細い円筒形状のバルブ(本発明の「ガラス製のバルブ」に相当する。)と、前記電極22と電気的に接続し、かつバルブ10の端部に取着された口金30とを有する。なお、前記バルブは、換言すると、発光管である。
(1)バルブ
バルブ10は、ガラス管と、ガラス管の内面に形成された蛍光体層14(図2参照)と、このガラス管の端部に取着されたステムマウント19とを備える。つまり、図1に示すように円筒状をしたガラス管の円筒部11と、ガラス管の円筒部11の端の端壁12,12と、円筒部11の端部外周面に設けられた排気等用の細管13と、ガラス管の端壁12に装着されたステムマウント19とを備える。なお、ガラス管の端壁12,12の略中央には開口12aが設けられており(図2参照)、この開口12aを塞ぐようにステムマウント19がガラス管の端壁12の開口12aの周辺部分に装着され、内部に後述の水銀等が封入されてバルブ10が完成すると、ガラス管の円筒部11がバルブの円筒部となり、また同様に、ガラス管の端壁12がバルブの端壁となる。
【0017】
蛍光体層14としては、一般的な三波長型蛍光体が用いられている。
バルブ10は、ガラス管の端壁12の中央の開口12aを、後述のステム20により塞がれることにより密閉状態となる。バルブ10内には、放電物質である水銀(Hg)と、希ガスとしてのアルゴン(Ar)ガス等とが、細管13を介して封入されている(図示を省略)。細管13は、このような所定のガス等を封入した後、公知の技術によって、チップオフ封止され、その後のバルブ10の内部は放電空間15となる。
【0018】
なお、内部に放電空間15が形成されることで、バルブが構成される(完成となる)。
細管13は、放電空間15内に配された電極(フィラメントコイル22)位置よりも、円筒部11の管軸方向であってその中央側に位置している。つまり、細管13とバルブ10の端(端部の外周縁)との距離が、電極22(フィラメントコイルのコイル軸)とバルブ10の端(端部の外周縁)との距離よりも大きくなっている。
(2)ステムマウント
ステムマウント19は、図2および図6の(c)に示すように、ステム20と、ステム20を貫通する一対のリード23と、当該一対のリード23間に支持された電極22とかなる。
【0019】
電極22は、コイル状をしたフィラメントコイルからなり、当該フィラメントコイルの両端が一対のリード23のそれぞれ一端部に支持されて、リード23間に架設されている。
ステム20は、円盤状をしたガラス製の所謂ボタンステム(以下、「ステム」を「ボタンステム」とする。)20である。電極22のボタンステム20への取着は、一対のリード23がボタンステム20をその肉厚方向に挿通した状態で、リード23とボタンステム20とが密着した状態で接合されている。なお、電極22は、所謂、熱陰極タイプのものであり、少なくとも1ターン以上のコイル部分を有する。
【0020】
端壁12の開口形状は、図2に示すように、円形状をしている。ボタンステム20の外径D2は、端壁12の開口12aの直径D1より大きく、ボタンステム20にフィラメントコイルが存在している側の面(以下、「内面」とする。)の一部と、端壁12における開口12aの周辺部分とが重なる状態で、前記ボタンステム20が端壁12に溶着されている。
【0021】
ここで、ガラス管にステムが溶着された状態では、バルブ10の端面は、ボタンステム20の外面と、ガラス管の端壁であって封着されているボタンステム20の周囲(つまり、ガラス管の端壁のうち、ボタンステムと重なり合っていない部分)からなる。
つまり、バルブ10をその管軸方向から見たときに、ガラスバルブ10の見えている部分であり、バルブ10の端壁12には、ボタンステム20と重なった部分と、ボタンステム20の周囲にある部分(この部分は、バルブ10の端面を構成している部分。)とからなる。なお、端壁12とボタンステム20とが重なり合っている部分は溶着されているため円形状の溶着部となっている。
【0022】
ここで、バルブ10の端面は、例えば、ガラス管の端壁におけるボタンステム20と溶着する部分及び周辺がバルブ10の内部側に窪んでおり、ボタンステム20の内面が、バルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面(図中の「P1」であり、バルブ10の端面と同じになる。)よりもバルブ10の内部側に位置している。つまり、ガラス管の端壁12とその開口12aは陥没する状態に窪んでおり、端壁12の前記窪んだ部分(開口12a周辺部分)にボタンステム20が存在し、ボタンステム20の外面が、バルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面P1と略面一になっている。
【0023】
ここで、具体例で説明すると、バルブ10(ガラス管)の外径D0が25.5(mm)、端壁12の開口D1が9.8(mm)、ボタンステム20の外径D2が12.5(mm)である。
なお、ランプ1の発光光束を確保する観点から、バルブ10の内面(ガラス管の内面)だけでなく、ボタンステム20における放電空間15側の面であって、ガラス管の開口12aに対応する部分(つまり、放電空間に露出している部分)にも蛍光体層14aが形成されている。
【0024】
バルブ10の端面(正確には、ステムの外面である。)からは、図1の拡大部分に示すように、一対のリード23が延出され、当該リード23が口金30の口金ピン31に電気的に接続されている。このリード23は、図1の拡大図に示すように、ボタンステム20から外方へと延出した直後に折り曲げられ、ボタンステム20の外面、バルブ10の端壁12および円筒部11であって端壁12に近い部分の周壁11aに沿って配され、口金30により覆われている。
(3)口金
口金30には、バルブ10の端部に固着剤(例えば、シリコーン樹脂である。)を用いて装着される口金本体32と、口金本体32に設けられ、かつ電極22を支持するリード23と接続された口金ピン31,31とを備える。なお、固着剤は、口金30の内部に充填されているが、リード線の配線、端面等の様子が分かるように、その図示を省略している。
【0025】
この口金30は、図1,図3から分かるように、ボタンステム20を覆うように設けられ、かつバルブ10の端壁12が外観視できる状態で設けられている。ここでいう、外観視できる状態とは、口金を不透明な材料で構成したときに、端壁12が外観から見えることをいい、さらに、換言すると、口金30により覆われていない部分が端面を構成する端壁に存在することである。
【0026】
口金本体32は、図1〜図3に示すように、バルブ10の端部の形状に沿った「L」字状をし、バルブ10の端壁12を覆う第1の口金部分と32aと、バルブ10の端部の円筒部11を覆う第2の口金部分32bとを有している。これにより、口金30とバルブ10との接合面積を広くすることができ、口金30を充分な強度でバルブ10に固着することができる。
【0027】
口金本体32、つまり、第1の口金部分32aと第2の口金部分32bは、その内部が空洞であって、バルブ10側が開口している。このため、口金30が、バルブ10の端部に装着された状態では、ボタンステム20から延出して、バルブ10の端壁12および円筒部11の周壁に沿って配されたリード23を内部に格納することとなる。
上述したように、ボタンステム20の内面には蛍光体層14aが形成されており、当該蛍光体層14aで変換された光を、より多くバルブ10の外部に取り出すために、口金本体32を構成する材料として透光性材料(例えば、PBT、PCである。)を用いることが好ましい。
【0028】
口金ピン31は、図1〜図3に示すように、バルブ10の管軸に対して交差する方向(図1のZ方向である。)に立設し、その内部にリード23が挿入されている。即ち、本実施の形態に係るランプ1では、口金ピン31がバルブ10の端面から管軸方向の外方に向けて延出するのではなく、口金ピン31がバルブ10の円筒部11(周壁11a)から管軸に対して直交する方向であって外方に向けて立設されている。なお、拡大図で示していない側の口金、リード等も同様である(図示を省略)。
【0029】
上記構成のランプ1では、口金30の口金ピン31をバルブ10の円筒部11側に配し、ボタンステム20から延出する一対のリード23を当該ボタンステム20、バルブ10の外面に沿って這わせ、この状態で口金30を取着しているため、バルブ10の端部からの張り出し量を少なくできる。
さらに、ボタンステム20を取着するバルブ10の端壁12、特にボタンステム20と重なり合った端壁部分が他方の端側へと陥没、つまり窪んでいるため、ボタンステム20の外面が円筒部11の端と面一状とでき、バルブ10の端部からの張り出しをなくすることできる。
【0030】
このように、本実施の形態に係るランプ1は、バルブ10の管軸方向の寸法において、バルブ10の端部の周縁を含む仮想平面P1と口金30の内面との間に、リード23を格納する空間だけを確保すれば良いので、バルブ10の端壁12を覆う部分の口金30の厚みを薄くでき、高い意匠性を得ることができる。
2.照明装置
上記構成のランプ1を構成要素として有する本実施の形態に係る照明装置について、図4を用い説明する。
【0031】
図4は、ランプ1を備える照明装置を示す図であり、併せて隣り合うランプ間の部分を拡大して示した図である。
照明装置40は、図4に示すように、一例として、2本のランプ1を備え、当該2本のランプ1は、直列配置される。照明装置40には、器具本体42に4つのソケット43が配設されている。器具本体42上における4つのソケット43のそれぞれは、ランプ1の口金ピン31の装着を受け入れる。このため、4つのソケット43は、Y軸方向に直列配置されている。
【0032】
また、実施の形態に係る照明装置40では、器具本体42のソケット43に2本のランプ1の口金ピン31をそれぞれ差し込むことにより、2本のランプ1が直列配置される。この場合、図4の円で囲む部分に示すように、ランプ1とランプ1との長手方向(Y軸方向)における隙間Wは、ランプ1の管軸方向の寸法において口金30の厚みを小さくすることができ、従来の長手方向端部に口金を有するランプに比べて狭くすることができる(3.ランプ及び照明装置の優位性の欄で説明。)。
【0033】
なお、本実施の形態での器具本体42は、天井41に埋設されたタイプであるが、当然、天井41に装着されるタイプであっても良い。
3.ランプ1および照明装置の優位性
本実施の形態に係るランプ1では、図2に示すように、バルブ10の端壁12にある開口12aの周辺部分が放電空間15側に陥没(バルブ10の管軸方向の中央部側へ凹入)し、この陥没している部分にボタンステム20が溶着されている構造を有するため、バルブ10の端面(端壁12及びボタンステム20を含む)の管軸方向の外方への張り出しを少なくできる。
【0034】
このため、バルブ10の端部に装着される口金30は、その内部にリード23を確保することができる空間を確保できれば良く、口金30におけるバルブ10の端面に装着される部分の厚みを薄くできる。これにより、このランプ1を、図4に示すようにライン照明として利用する際に、ランプ間の距離(同図の「W」である。)を小さくでき、結果的に複数のランプが繋がってあたかも一本のランプが光っているようにすることができる。
【0035】
また、口金30を構成する材料に、透光性の材料を利用することにより、バルブ10から発せられる光は口金によって遮られることが無くなるので、外部へと放射される光を増加させることができ、このランプ1をライン照明として使用したときに、隣接するランプ1間を通る光量を増やすことができ、ランプ1の管軸方向の中間部の輝度と、隣接するランプ1間の輝度との差を少なくできる。これにより、より一層、複数のランプがあたかも一本のランプが光っているようにすることができる。
4.ランプの製造方法
本実施の形態に係るランプ1の製造方法について、図5および図6を用い説明する。なお、以下では、ランプ1の製造方法の中でも特徴的な部分のみを説明し、従来技術に係るランプの製造方法と同様の過程については説明を省略する。
【0036】
図5(a)に示すように、円筒状の管状体50を準備する。管状体50は、内面に蛍光体層50aが形成されている。蛍光体層50aは、上記蛍光体材料(Y:Eu3+、LaPO:Ce,Tb、BaMgAl1017:Eu,Mn)を用い形成されている。
次に、図5(b)に示すように、管状体50の管軸を回転軸として管状体50を回転させながら、両端部(矢印Bで指す部分)を加熱バーナー91で加熱しながら、成型ローラー92を用い縮径して行く。成型ローラー92の侵入深さは、縮径後の管状体50の径および予定しているガラス管の開口12aの径に基づいて規定されている。なお、開口12aはボタンステム20によって閉塞される開口(ステム閉塞予定用開口)であるため、ボタンステム20の径によっても開口12aの径は規定される。
【0037】
なお、成型ローラー92については、加熱バーナー91により加熱されている管状体50の該当部分との温度差を小さくするために、ローラー加熱バーナー93により加熱されている。また、管状体50の両開口部分は、グレージングバーナー94により加熱されている。
図5(c)に示すように、所定の径まで縮径することで、両端近傍部分に縮径部分51を有する管状体52が形成される。
【0038】
次に、縮径部分51の底に当たる部分をカットする。これにより、図6(a)に示すように、開口を有する両端部分54,54を有する本体部53と、カットにより生ずるカット端部分55とに分けられる。なお、端部をカットする方法としては、例えば、砥石を用いた砥石カットや、シャープな炎のバーナーを用いたチルカット等を採用することができる。
【0039】
図6(a)に示す工程では、両端部分54がカット時の熱をまだ有しているので、時間の経過とともに表面張力により開口径が縮径されてくる(図6(b)を参照)。図6(b)に示すように、ある程度時間が経過すると、両端壁57にバルブの外径よりも径の小さな開口(12a、図2を参照。)を有する管状体56が形成されるに至る。
この工程を終えた状態では、図6(b)に示すように、管状体56の端壁57は、管状体56の管軸方向であって外方に張り出している。
【0040】
図6(c)に示すように、管状体56の端部にステムマウント19を封着する。具体的には、管状体56における開口(12a)をボタンステム20により塞ぐとともに、ボタンステム20の周縁を開口(12a)の周辺部分に溶着させることで行われる。なお、ボタンステム20を用いた封止に先行して排気等を行うための細管59を接続しておく。
細管59の取り付ける工程では、バーナーにより、管状体56における細管59の取り付け予定位置を加熱して貫通孔を開け(所謂、「吹き破り」である。)、そこに、先端部分を加熱した細管59を押し込むことで行われる。
【0041】
このとき、管状体56の内面に蛍光体層50aが形成されている場合、直接細管59を管状体56に取着しても良いし、細管59を取着する部分の蛍光体層50aを削除してから細管59を管状体56に取着しても良い。直接細管59を管状体56に取着すると、細管59の取着工程の効率化を図ることができ、細管59を取着する部分の蛍光体層50aを削除してから細管59を管状体56に取着すると、接合部分に蛍光体材料が含まれ難くなり、接合部分の信頼性を向上させることができる。
【0042】
ステムマウント19を溶着する工程では、電極(フィラメントコイル)が取着されたボタンステム20を、管状体の56の端壁57(の外面)に管状体56の外部から当接させる。この際、電極は、管状体56の端壁57にある開口から管状体56の内部へと挿入される。
次に、管状体56の端壁57とボタンステム20との当接部分及び端壁57における当接部分周辺を、例えば、バーナーで加熱し、加熱部分のガラスが変形可能な状態になると、ボタンステム20を管状体56の内部へと押し込む。これにより、端壁57とボタンステム20との溶着が行われる。なお、押し込み量は、例えば、ボタンステム20の外面が、管状体56の端縁と略面一状となるまである。
【0043】
最後に、管状体56にステムマウント19が溶着されると、細管59を利用して管状体56の内部を真空(管状体56内の空気等を排気する)の、水銀や希ガス等を封入して、細管59を封止(チップオフ封止)する。これにより、内部に放電空間を有するバルブが製造され、その後、バルブの端部に口金を取り付けて、ランプが完成する。
5.その他の事項
(1)ランプについて
上記実施の形態では、直管形のランプ1を一例として用いたが、円環型のランプに対して本発明を適用することももちろん可能である。円環型のランプに対して本発明を採用する場合にも、管の一方の端部と他方の端部との間隔を小さくできるため意匠性の優れたランプを得ることができ、さらに端部同士の接近箇所間における非発光領域を少なくすることができ、1本のランプが切れ目のない円状に光っているようにすることができる。
(2)蛍光体材料
上記実施の形態では、蛍光体層14の構成材料として上記蛍光体材料を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。一般的にランプの形成において用いられている蛍光体材料に適宜変更することが可能である。
(3)ステムの位置
上記実施の形態では、バルブ10の管軸と直行する方向からバルブの端部を見たとき(つまり、図2である。)に、ボタンステム20の外面と、バルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面P1とが略一致して(略面一状になって)いたが、ボタンステムの外面が、バルブの端部の外周縁のなす仮想平面よりも、バルブの内側(他端側)に位置していても良い。以下、変形例1として説明する。
【0044】
図7は、変形例1に係るランプ端部の拡大図である。
ランプ101は、実施の形態と同様に、バルブ103、電極付のボタンステム105、口金107と有する。口金107は、固着剤でバルブ103の端部に固着され、また、口金ピン115を備え、ボタンステム105から延出するリード117が口金ピン115に接続されている。なお、固着剤は、口金107の内部に充填されているが、リード線の配線や端面の様子が分かるように、その図示を省略している。
【0045】
バルブ103は、ガラス管と、ガラス管の内面に形成された蛍光体層112と、このガラス管の端部に取着されたステムマウント110と、細管113とを備える。
ガラス管は、円筒部109と、両端の2つの端壁111,111を有し、端壁111は中央には開口111aが設けられている。
ここでも、ガラス管にマウントステム110のボタンステム105が装着され、内部に後述の水銀等が封入されてバルブ103が完成すると、ガラス管の円筒部109がバルブの円筒部となり、また同様に、ガラス管の端壁111がバルブの端壁となる。
【0046】
ボタンステム105は、その内面の一部と、端壁111における開口111aの周辺部分とが重なる状態で、端壁111に溶着されている。
ここでも、ガラス管にステムが溶着された状態では、バルブ103の端面は、ボタンステム105の外面と、ガラス管の端壁であって封着されているボタンステム105の周囲(つまり、ガラス管の端壁のうち、ボタンステムと重なり合っていない部分)からなる。
【0047】
バルブ103の端面は、例えば、ガラス管の端壁がバルブ端部の外周縁からボタンステム105の外縁に向かって傾斜する状態で窪んでおり、ボタンステム105の外面が、バルブ103の端部の外周縁のなす仮想平面(図中の「P2」である。)よりもバルブ103の内部側に位置している。
上述のように、ボタンステム105を取着するバルブ103の端壁111が陥没しているため、ボタンステム105の外面がバルブ103の端部の外周縁のなる仮想平面P2よりもバルブ103の内側に位置することとなり、口金107のバルブ103の端部からの張り出しをなくすることできる。
【0048】
ここで、上述のように、バルブ103の端面におけるボタンステム105の突出量を減らせば、その分口金107の突出量を減らすことができるが、例えば、第1の実施の形態のように、ボタンステム20の外面をバルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面P1と略面一にすると、バルブ10と口金30との固着強度が落ちてしまうこととなってしまう。
すなわち、ボタンステム20の外面をバルブ10の端部の外周縁のなす仮想平面P1と略面一にすると、バルブ10の端面と口金30とを固着する固着剤がバルブ10の端面に掛止することができず、結果的にバルブ10と口金30との固着面積が少なくなるので、固着強度が低下してしまうこととなってしまう。
【0049】
これに対して、ボタンステムの外面をバルブの端部の外周縁のなす仮想平面よりも外側に位置させると、口金の突出量が大きくなるが、バルブの端面と口金とを固着する固着剤がバルブの端面であってボタンステムの周縁と端壁との段差に掛止することとなり、結果的にバルブと口金との固着面積を大きく取れるので、固着強度を高めることができる。
本変形例に係るランプ101では、ボタンステム105の外面がバルブ103の端部の外周縁のなす仮想平面P2よりもバルブ103の内側に位置している。このため、口金の突出量を小さくできると共に、バルブ101と口金107との固着強度を高めることができる。
【0050】
つまり、固着強度については、バルブ103の端面と口金107とを固着する固着剤が、ボタンステム105の外面がバルブ103の端部の外周縁のなす仮想平面P2よりもバルブ103の内側に窪んだ部分に入り込むことにより、固着剤がバルブ103の端面に掛止すると共にその固着面積が広くなり、結果的に固着強度が向上する。
このように変形例に係るランプ101では、バルブ103の端面の出っ張りを無くしたため、バルブ103と口金107との掛止箇所が無くなるが、固着剤119が端面の窪みに入り込むので固着強度が問題のない範囲で確保でき、口金107の突出量を低減できるためランプ101間の暗部の範囲の少ないランプ照明を実現することができる。
(4)ステムの大きさ
実施の形態では、バルブの端壁にある開口(ステム溶着前)とステムの大きさとの関係について特に説明しなかったが、ステムの大きさは、開口の大きさの1.2倍以上、1.5倍以下が好ましい。ステムの大きさが開口の大きさの1.2倍より小の場合、溶着時にステムが溶融により収縮して、開口の大きさよりも小さくなることが多くなり、ステムの大きさが開口の大きさの1.5倍より大の場合、ステムが必要以上に大きくなりコスト高になる。
【0051】
なお、上記では、ステムの直径と開口の大きさとの関係を開口の大きさに対する比率で規定したが、ステムと端壁との重なりは、1(mm)以上、2.5(mm)以下の範囲が好ましい。
(5)ステムの厚さ
実施の形態では、バルブの端壁の厚み(ステム溶着前)とステムの厚さとの関係について特に説明しなかったが、ステムの厚さは、開口の厚さの0.8倍以上、3.0倍以下が好ましい。この範囲の場合、溶着時のステムと端壁との溶融進行度が略同等となり、溶着部の熱的、機械的強度を向上させることができる。
【0052】
すなわち、ステムの厚みが端壁の厚さの0.8倍より小の場合、ステムの溶融が端壁の溶融よりも早く進行し、ステムの大きさが、端壁の開口よりも小さくなり、ステムの厚さが端壁の厚さの3.0倍より大の場合、端壁の溶融がステムの溶融よりも早く進行し、開口の大きさが、ステムよりも大きくなる。
ただし、ステムの厚さが1(mm)未満となる場合は、ステムのリード線挿入部より、リークが発生するため、ステムの厚さは、1(mm)以上、開口の厚さの3.0倍以下が好ましい。
また、溶着後もバルブの端壁の厚みとステムの厚さとの関係が上記比率であれば、溶着部の熱的、機械的強度の向上および、リード線挿入部におけるリークを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、バルブから口金の張り出し量を少なくすることができる蛍光ランプ、照明装置及び蛍光ランプの製造方法を提供するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態に係るランプを示す斜視図であり、端部部分は特に拡大して示している。
【図2】ランプの端部の構成を示す模式断面図。
【図3】ランプを図1のY方向から見た図。
【図4】ランプを備える照明装置を示す図。
【図5】ランプの製造過程を示す工程図。
【図6】ランプの製造過程を示す工程図。
【図7】変形例1に係るランプの端部の断面図。
【図8】検討中のランプの端部の構成を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0055】
1 ランプ
10 バルブ
12 端壁
12a 開口
19 ステムマウント
20 ボタンステム
22 電極
30 口金
40 照明装置
43 ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に蛍光体層が形成されたバルブとこのバルブの両端部に設けられた口金とからなる蛍光ランプであって、
前記バルブは、電極を有する板状のステムの外面と、前記ステムの周囲に設けられた端壁とからなる端面を有し、
前記口金は、前記ステムを覆うように設けられ、かつ前記端壁が外観視できる状態で設けられており、
前記ステムの内面が、前記バルブ端部の外周縁のなす仮想平面よりも前記バルブの内部側に位置する
ことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記ステムの外面が、前記仮想平面よりも前記バルブの内部側に位置し、前記端壁が前記バルブ端部の外周縁から前記ステムの外縁に向かって傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記ステムの外面と前記仮想平面とが略面一状である
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記板状のステムは、円盤形状を有し、前記端壁の中央部に設けられた開口を塞ぎ、前記ステムの外径は、前記開口の外径の1.2倍以上、1.5倍以下の範囲内にある
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記ステムの肉厚が、前記端壁の肉厚の0.8倍以上、3倍以下の範囲内にある
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
器具本体と、前記器具本体に装着された請求項1〜5の何れかに記載の蛍光ランプとを有する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記器具本体は、前記蛍光ランプを長さ方向に複数本配置する
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
中央部にステム閉塞予定用開口を有する端壁を備えたバルブ用管状体の前記端壁に、前記開口を塞ぐように外部から、電極を有する板状のステムを溶着する溶着工程を含む蛍光ランプの製造方法であって、
前記溶着工程は、前記端壁と前記ステムとが重なり合った当接部分及び前記端壁における前記当接部分の周辺部分が加熱により変形可能になると、前記ステムを前記バルブ内に押し込む工程を含む
ことを特徴とする蛍光ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−49828(P2010−49828A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210714(P2008−210714)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】