説明

蛍光体微粒子分散ペースト

【課題】 本発明は、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層の形成する際に、スクリーン印刷性に優れるとともに、所望の形状を有する蛍光体層を形成することが可能な蛍光体微粒子分散ペースト、及び、該蛍光体微粒子分散ペーストを用いて得られるプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【解決手段】 プラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成するために用いられる蛍光体微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び蛍光体微粒子を含有し、前記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、重量平均分子量が5000〜50000のポリメチル(メタ)アクリレートであり、かつ、前記有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤であり、前記混合溶剤のうち少なくとも1種は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤であり、少なくとも1種は、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である蛍光体微粒子分散ペースト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層の形成する際に、スクリーン印刷性に優れるとともに、所望の形状を有する蛍光体層を形成することが可能な蛍光体微粒子分散ペースト、及び、該蛍光体微粒子分散ペーストを用いて得られるプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)は、液晶パネルに比べて応答が早く、かつ、大型化が可能であることから、OA機器や広告表示装置等の分野に適しており、また、高品質テレビジョンの分野等での進展が非常に期待されている。
【0003】
PDPは、前面基板と背面基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノード及びカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発光させることにより、画像を表示することができる。
【0004】
PDPの各セル間には蛍光体層が形成されている。蛍光体層は、側面及び底部の厚みがそれぞれ10〜50μmであり、通常は、スクリーン印刷法やディスペンサー法によって蛍光体ペーストをセル内に充填した後、乾燥工程、焼成工程を経ることで形成される。
【0005】
従来、蛍光体層の形成に使用するペーストのバインダー樹脂としては、スクリーン印刷性に優れることからエチルセルロースが広く用いられてきた。しかしながら、エチルセルロースは熱分解性が悪いため、スクリーン印刷後の焼結プロセスにおいて、より高温で脱脂しなければならず、その結果、バインダー樹脂中に含まれる蛍光体や、バインダー樹脂が印刷された基板が劣化、損傷するという問題があった。一方で、低温で脱脂すると、不純物として焼結残渣が残ってしまうため、PDPの輝度が下がってしまうという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、バインダー樹脂として、熱分解性の高いアクリル樹脂を使用する方法が検討されている。例えば、特許文献1には、重量平均分子量が30万〜500万であるアクリル系樹脂をバインダー樹脂として用いた蛍光体ペーストが提案されている。このような蛍光体ペーストは、バインダー樹脂にポリメチルメタクリレートを用いることで、焼結後に蛍光体層に残留する有機残渣を低減させることが特徴であり、その結果、蛍光体輝度を向上させることが可能となるとしている。
しかしながら、このようなアクリル系樹脂をバインダーとして用いた蛍光体ペーストは、エチルセルロースを使用する場合と比較すると増粘性に劣るため、蛍光体ペースト中に添加されるバインダー樹脂の量が多くなる傾向がある。従って、バインダー樹脂の焼結性が優れていても、樹脂組成比が高くなるために残渣量は依然として多いままであった。
これに対して、アクリル樹脂の分子量を30万〜500万というように高分子量化することで、増粘性を確保し、蛍光体ペースト中の樹脂組成比を低下させることが試みられているが、高分子量のバインダー樹脂を用いた蛍光体ペーストは糸曳性に問題が有るため、印刷工程で取り扱いにくく、PDPの背面板の隔壁内に印刷した後、乾燥中に隔壁内で凝集し、隔壁内で一様な凹型の蛍光体層を形成することができない等、蛍光体層の形状制御の点で問題があった。
【0007】
また、アクリル樹脂を含有する蛍光体ペーストを用いて、隔壁面に凹型形状の蛍光体層を形成する方法についても検討がなされており、例えば、特許文献2及び特許文献3には、光等によってバインダー樹脂に架橋反応を生じさせることによって、凹型形状の蛍光体層を形成する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法で用いられている架橋剤は、何れも熱分解性が非常に悪く、焼成後に有機残渣となるため、アクリル樹脂を用いる場合の利点である高熱分解性による効果が充分に発揮されず、蛍光体の輝度低下を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−329256号公報
【特許文献2】特開1999−054034号公報
【特許文献3】特許第05144375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層の形成する際に、スクリーン印刷性に優れるとともに、所望の形状を有する蛍光体層を形成することが可能な蛍光体微粒子分散ペースト、及び、該蛍光体微粒子分散ペーストを用いて得られるプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成するために用いられる蛍光体微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び蛍光体微粒子を含有し、前記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、重量平均分子量が5000〜50000のポリメチル(メタ)アクリレートであり、かつ、前記有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤であり、前記混合溶剤のうち少なくとも1種は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤であり、少なくとも1種は、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である蛍光体微粒子分散ペーストである。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル樹脂として、分子末端に極性官能基を導入するとともに、重量平均分子量を5000〜50000であるポリメチル(メタ)アクリレートを用い、かつ、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成され、少なくとも1種が常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤であり、少なくとも1種が分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である有機溶剤を用いることにより、高いスクリーン印刷性を発揮することができ、かつ、蛍光体層の形状制御に優れた蛍光体微粒子分散ペーストが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
図1は、蛍光体微粒子分散ペーストをPDPの背面板の隔壁内に印刷、乾燥した後の状態を示す断面図である。図1aはバインダー樹脂としてエチルセルロースを含有する蛍光体微粒子分散ペーストを用いた場合、図1bはバインダー樹脂として従来のアクリル樹脂を含有する蛍光体微粒子分散ペーストを用いた場合、図1cは本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを用いた場合を示す。
【0013】
図1aに示すように、バインダー樹脂としてエチルセルロースを含有する蛍光体微粒子分散ペーストを隔壁1間に充填した場合、隔壁セル中の隔壁1付近における蛍光体微粒子分散ペースト2の形状は膜厚が厚くなるのに対して、底面付近の膜厚は薄くなる。
また、図1bに示すように、従来のアクリル系樹脂を含有する蛍光体微粒子分散ペーストを充填、乾燥した場合は、通常、乾燥時の加熱によって、隔壁1底部に沈み込むように流動するため、隔壁1側面における蛍光体微粒子分散ペースト2の形状は膜厚が薄くなり、特に隔壁1上部の側面に蛍光体微粒子分散ペーストを付着させることが非常に困難である。
一方、図1cに示すように、本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを用いた場合は、乾燥速度を上げることができるため、蛍光体微粒子分散ペーストが流動する前に乾燥させることが可能となり、隔壁1側面の上部にまで蛍光体微粒子分散ペーストを適度な厚みで付着させることが可能となる。
【0014】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストは、バインダー樹脂として(メタ)アクリル樹脂を含有する。なお、本明細書において(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂を意味する。
【0015】
上記(メタ)アクリル樹脂としては、低温脱脂性に優れ、比較的少ない樹脂量でも高い粘度の蛍光体微粒子分散ペーストを得ることができることから、メチル(メタ)アクリレートの重合体であるポリメチル(メタ)アクリレートを用いる。なお、本明細書においてポリメチル(メタ)アクリレートとは、ポリメチルアクリレート又はポリメチルメタクリレートを意味する。
【0016】
また、低温脱脂性や粘度特性に大きく影響しなければ、上記メチル(メタ)アクリレートに加えて、350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーを添加して重合させた(メタ)アクリル樹脂を用いてもよい。
上記350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するモノマー等が挙げられる。
【0017】
上記350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーの添加する場合、添加量の好ましい上限は10重量%である。上記350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーの添加量が10重量%を超えると、得られる(メタ)アクリル樹脂の熱分解性が悪くなったり、焼結後の残留炭素も多くなったり、またスクリーン印刷に適した粘度とすることができなくなることがある。
【0018】
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有する。上記極性官能基が、分子末端にあることで、(メタ)アクリル樹脂と、後述する水酸基を有する溶剤との相互作用により、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘度を適正化することができ、スクリーン印刷性が向上する。上記極性官能基が、(メタ)アクリル樹脂の分子末端以外の部位、例えば側鎖に含有されていると、熱分解性が極端に悪くなり、焼成後の残留炭素も多くなるため、PDPの輝度に悪影響を及ぼすことがある。
【0019】
上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に極性官能基が導入されていることは、例えば、抽出ポリマーの13C−NMRにより確認することができる。即ち、炭素−硫黄間の結合が確認された場合には、分子末端に極性官能基が導入されたと判断することができる。
【0020】
上記極性官能基としては、水素結合性を有する化学骨格を有する官能基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。中でも、焼結時に発生する熱分解化合物を原因とする蛍光体微粒子分散ペースト中の蛍光体微粒子や印刷基板の劣化、損傷等の影響が少ない等の理由から、水酸基、カルボキシル基が好適である。
【0021】
上記(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量が5000〜50000である。
蛍光体層は、蛍光体微粒子分散ペーストを印刷後、有機溶剤を乾燥、焼成することにより形成するが、蛍光体微粒子分散ペーストを乾燥させる場合、気−液界面で樹脂層が固化し、有機溶剤の揮発を阻害する皮張り現象が生じることがある。このような皮張り現象の発生の有無は(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量に依存するが、上記(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量が小さいため、皮張り現象の発生を効果的に防止することができる。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が、5000未満であると、乾燥性は良好であるが、蛍光体微粒子分散ペーストの充分な粘度が確保されないため、スクリーン印刷性が低下する。50000を超えると、乾燥性が悪いだけでなく、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘着力が高くなり、スクリーン脱枠時に糸曳き等が発生することがある。好ましい下限は10000、好ましい上限は35000である。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、例えば、カラムとしてSHOKO社製のLF−804を用い、室温にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により得られる結果を基に、ポリスチレン換算値で求められるものをいう。
【0022】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストにおける上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は特に限定されないが、蛍光体微粒子分散ペースト全体に対する好ましい下限は5重量%、好ましい上限は30重量%である。上記含有量が5重量%未満であると、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘度が低すぎて、後述する有機溶剤との相互作用を持ってしても、乾燥前に蛍光体微粒子分散ペーストが隔壁底部に沈み込んでしまうことがあり、30重量%を超えると、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘着力が高すぎて、スクリーン印刷時に糸曳き、貼り付き等が発生することがある。より好ましい下限は7重量%、好ましい上限は20重量%である。
【0023】
上記(メタ)アクリル樹脂を作製する方法としては、例えば、極性官能基を有する連鎖移動剤の存在下で、メチル(メタ)アクリレートに加え、必要に応じて(メタ)アクリル系モノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法や、極性官能基を有する重合開始剤の存在下で、メチル(メタ)アクリレートに加え、必要に応じて(メタ)アクリル系モノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法が挙げられる。これらの方法は併用してもよい。
【0024】
上記極性官能基を有する連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、水酸基を有するメルカプトプロパンジオール、カルボキシル基を有するチオグリセロール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、アミノ基を有するアミノエタンチオール、リン酸基を有するチオリン酸等が挙げられる。
【0025】
上記極性官能基を有する重合開始剤としては特に限定されず、例えば、P−メンタンヒドロペルオキシド(P−Menthane hydroperoxide)(日油社製:パーメンタH)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(Diisopropylbenzene hydroperoxide)(日油社製:パークミルP)、1,2,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(1,2,3,3−Tetramethylbutyl hydroperoxide)(日油社製:パーオクタH)、クメンヒドロペルオキシド(Cumene hydroperoxide)(日油社製:パークミルH−80)、t−ブチルヒドロペルオキシド(t−Buthyl hydroperoxide(日油社製:パーブチルH−69)、過酸化シクロヘキサノン(Cyclohexanone peroxide)(日油社製:パーヘキサH)、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、Disuccinic acid peroxide(パーロイルSA)等が挙げられる。また、窒素官能基を有する各種アゾ開始剤を用いても良い。
【0026】
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)メクリレート以外の上述した350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーを用いることができる。
また、得られる(メタ)アクリル樹脂の熱分解性を阻害しない量であれば、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを添加してもよい。上記極性基を有する(メタ)アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、イタコン酸が挙げられる。
上記極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの添加量は、好ましい上限が5重量%である。上記極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの添加量が5重量%を超えると、得られる(メタ)アクリル樹脂の熱分解性が極端に悪くなり、焼結後の残留炭素も多くなることがある。
【0027】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを構成する有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤であり、上記混合溶剤のうち少なくとも1種は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤であり、少なくとも1種は、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である。
【0028】
上記有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤である。
また、上記有機溶剤のうち、少なくとも1種は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤である。上記(メタ)アクリル樹脂のように重量平均分子量が低い樹脂と、蒸気圧の高い溶剤とを併用することにより、蛍光体微粒子分散ペーストの乾燥速度を上げることができるので、蛍光体微粒子分散ペーストが流動する前に乾燥させることが可能となり、隔壁側面の上部にまで蛍光体微粒子分散ペーストを付着させることが可能となる。
【0029】
上記有機溶剤は、特に常温における蒸気圧が0.1mmHg以上の溶剤と、常温における蒸気圧が0.01mmHg未満の溶剤との混合溶剤であることが好ましい。
上記常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤を用いると、印刷に適正な粘度が維持できなかったり、スクリーン印刷時に版乾き等が発生したりして、取扱性が低下することがあるが、蒸気圧の低い溶剤を加えることで、乾燥性をコントロールできるため、印刷時には版乾き等の不具合無く、かつ、蛍光体微粒子分散ペーストの乾燥時には隔壁中のペースト流動を抑制し、蛍光体の表面形状を最適化して表面積を大きくすることができる。即ち、2種類以上の蒸気圧の異なる溶剤を用いることで、高蒸気圧の溶剤が乾燥時の蛍光体微粒子分散ペーストの乾燥速度を上げる役割を果たし、低蒸気圧の溶剤でスクリーン印刷時の乾燥性をコントロールできることから、隔壁側面の上部にまで蛍光体微粒子分散ペーストを付着させることが可能となり、蛍光体層の形状を最適化することができる。
【0030】
上記常温における蒸気圧が0.1mmHg以上の溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テルピネオール、ターピニルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、乳酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、オクタノール、等が挙げられる。なかでも、テルピネオール、ターピニルアセテートがより好ましい。なお、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記常温における蒸気圧が0.01mmHg未満の溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールがより好ましい。なお、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記有機溶剤のうち、少なくとも1種は、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である。上記分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤を用いることで、上記分子末端に極性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂とを組み合わせて用いたときに、有機溶剤と(メタ)アクリル樹脂との相互作用により、スクリーン印刷工程において、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘度及び粘着性を好適な状態に保持することができる。
【0033】
上記分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤は、上記常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤と同一であってもよく、異なるものであってもよい。また、上記分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤が、常温における蒸気圧が0.01mmHg未満の溶剤であってもよい。
上記分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、乳酸ブチル、オクタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2‐エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0034】
上記有機溶剤は、スクリーン印刷において非常に重要な役割を果たす。このような有機溶剤に必要とされる役割は大きく分けると3つあり、第1の役割はバインダー樹脂を溶解すること、第2の役割は蛍光体微粒子の分散性を確保すること、第3の役割はスクリーン印刷性に優れることである。上記有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤であるが、これらの3つの役割を効果的に達成するため、適切な有機溶剤を組み合わせて使用することが好ましい。
【0035】
本発明において、重量平均分子量の比較的高いポリメチル(メタ)アクリレートを用いると、テルピネオールやブチルカルビトール等の分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤に溶解しないことがある。しかしながら、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤は、蛍光体微粒子分散ペーストに必須の溶剤であり、PDP隔壁の上部に蛍光体を付着させるためには蒸気圧が高く、蒸発性の良い溶剤を組み合わせる必要がある。従って、第1の役割を達成させるためには、テルピネオールやブチルカルビトール等に、水酸基を有さず、ポリメチル(メタ)アクリレートを良く溶解させる溶剤を少量添加することが好ましい。
【0036】
また、分子中の水酸基の数が多い化合物からなる溶剤は、蛍光体微粒子の分散性が良好であるため、第2の役割を達成することを目的として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等のように、分子中に水酸基を2個有する化合物からなる溶剤を添加することで、蛍光体微粒子の分散性が良好となる。
しかしながら、この場合、有機溶剤の蒸発性が悪くなり、ポリメチル(メタ)アクリレートの溶解性が低下することから、常温における蒸気圧が高い溶剤として、水酸基を有しないターピニルアセテート等の溶剤を用い、分子中に水酸基を2個有する化合物からなる溶剤と組み合わせて使用することが好ましい。
【0037】
更に、PDP背面板の隔壁内に蛍光体微粒子分散ペーストを充填する工程は、通常スクリーン印刷やディスペンサーを用いて行われるが、特にスクリーン印刷では目の細かいステンレスメッシュがスクリーン版に用いられるため、極性の高い溶剤は版抜けが悪く、蛍光体微粒子分散ペーストの充填量が不充分となる可能性がある。そのため、ブチルカルビトールアセテート等のように、水酸基を有さず極性が低い溶剤を添加することが好ましい。なお、極性の大きさについては、溶剤の化学組成中炭素数に対する水酸基の数(炭素/水酸基)や、水に対する溶解度等が目安となる。但し、分子量については高いものを用いることが好ましい。例えば、分子量が162のブチルカルビトール(炭素/水酸基:4)の水への溶解性は∞であるが、分子量が216のテキサノール(炭素/水酸基:12)は水酸基を有するが水への溶解性は0.9%未満であり、溶剤を構成する化合物の分子量を調整することで、上述の第1〜3の役割を両立させることが可能となる。
【0038】
上述のように、第1〜3の役割を達成するためには、性質の異なる2種類以上の溶剤を組み合わせて用いることが好ましいが、常温における蒸気圧が高い溶剤としては、テルピネオール、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテートといったテルペン系溶剤を使用することが好ましい。そして、上記テルペン系溶剤の短所を補う溶剤として、テキサノール(トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等を組み合わせて使用することが好ましい。
【0039】
上記常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤のうち、重量平均分子量の最も低い有機溶剤の重量平均分子量は、130〜230の間にあることが好ましい。上記重量平均分子量が130未満であると、揮発する速度が速すぎて、スクリーン印刷時に版乾き等の不具合が発生することがある。上記重量平均分子量が230を超えると、揮発する速度が遅すぎて、蛍光体微粒子分散ペーストが乾燥する前に隔壁中で流動し、印刷した蛍光体微粒子分散ペーストを所望の形状に形成することができないことがある。
【0040】
上記有機溶剤は、沸点の好ましい下限が150℃、好ましい上限が260℃である。上記有機溶剤の沸点が150℃未満であると、スクリーン印刷中に有機溶剤が揮発してしまい、スクリーン印刷が困難になることがあり、260℃を超えると、本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを低温で焼成することができないことがある。上記有機溶剤の沸点のより好ましい下限は170℃、より好ましい上限は260℃である。
【0041】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストは蛍光体微粒子を含有する。
上記蛍光体微粒子としては、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等の蛍光体微粒子が挙げられる。上記蛍光体微粒子の粒子径としては特に限定されないが、平均粒子径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。上記蛍光体微粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、蛍光体微粒子分散ペースト中における分散性に劣ることがあり、20μmを超えると、保存中に沈降してしまい保存安定性に劣ることがある。
【0042】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストにおける上記蛍光体微粒子の含有量は特に限定されないが、蛍光体微粒子分散ペースト全体から蛍光体微粒子を除いた重量100重量部に対し、好ましい下限は10重量部、好ましい上限は300重量部である。上記蛍光体微粒子の含有量が10重量部未満であると、得られる蛍光体微粒子分散ペーストの粘度が低すぎて、所望の蛍光体層形状を得られないことがあり、300重量部を超えると、蛍光体微粒子分散ペースト中に蛍光体微粒子を高分散させることが困難となることがある。より好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は200重量部である。
【0043】
また、本発明の蛍光体微粒子分散ペーストは、適度な相分離(ミクロ相分離)を安定化させるために、HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。ここで、HLB値とは界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、ノニオン系界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとしたとき、HLB値を20(1−S/A)で定義する。
上記HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたものが好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適である。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると蛍光体微粒子分散ペーストの熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
【0044】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストは、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて他の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0045】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストの作製方法としては特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には例えば、各物質を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。
【0046】
本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを用いることで、隔壁内で一様な凹型の蛍光体層が形成されたプラズマディスプレイパネルを製造することができる。このようなプラズマディスプレイパネルもまた本発明の1つである。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層の形成する際に、スクリーン印刷性に優れるとともに、所望の形状を有する蛍光体層を形成することが可能な蛍光体微粒子分散ペースト、及び、該蛍光体微粒子分散ペーストを用いて得られるプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】バインダー樹脂としてエチルセルロースを用いた場合における充填、乾燥後の蛍光体微粒子分散ペーストの形状を示した断面図である。
【図1b】バインダー樹脂として従来のアクリル樹脂を用いた場合における充填、乾燥後の蛍光体微粒子分散ペーストの形状を示した断面図である。
【図1c】本発明の蛍光体微粒子分散ペーストを用いた場合における充填、乾燥後の蛍光体微粒子分散ペーストの形状を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸4重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部を加えてモノマー混合液を得た。
【0051】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(パーロイル355、日油社製)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中に重合開始剤を含む酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレートのテルピネオール溶液を得た。
【0052】
得られたポリメチルメタクリレートのテルピネオール溶液に対し、表1に記載した組成比となるように、ターピニルアセテートを更に添加し、高速分散機で分散させた。更に、ノニオン系界面活性剤としてBL−9EX(HLB値=14.5、日光ケミカル社製)、蛍光体微粒子としてPDP緑色蛍光体NP200(ZnSiO:Mn、日亜化学工業社製)微粒子(粒子径4μm)を表1に記載した組成比になるよう添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練した後、3本ロールミルにてなめらかになるまで処理を行うことにより、蛍光体微粒子分散ペーストを調製した。
【0053】
(実施例2〜4、比較例1〜5)
表1に記載された組成比となるように各原料を調整したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体微粒子分散ペーストを作製した。
【0054】
<評価>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた蛍光体微粒子分散ペーストについて以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。なお、比較例5については、テルピネオールに不溶であったため、「(1)(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量の測定」以外の評価は行わなかった。
【0055】
(評価用基板の作製)
エチルセルロース(シグマアルドリッチ社製、STD100)をテルピネオール溶液中に溶解させ、ビヒクル組成物を作製した。次いで、軟化点が約550℃のガラスフリットとエチルセルロース含有ビヒクル組成物とをガラスフリットが50重量%、ビヒクル組成物が50重量%となるよう混合した後、高速攪拌機で混練し、3本ロールミルを用いて滑らかになるまで処理することで、ガラスペーストを作製した。
アプリケーターを使用して、得られたガラスペーストを15cm×15cmのソーダガラス基板に5ミルの設定で塗工し、120℃オーブンにて30分乾燥させ、ガラス層が形成された基板Aを作製した。
【0056】
平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを35%、Bを20%、ZnOを18%、Alを12%、BaOを5%、LiOを7%、NaOを2.5%、SnOを0.5%含有)を、エチルセルロースを溶解させたテルピネオール溶液と混合し、高速撹拌装置を用いて充分混練し、3本ロールミルにて滑らかになるまで処理を行いガラスペーストとした。このガラスペーストを、アプリケーターを用い、5ミルの設定で基板A上に塗工し、オーブンにて150℃、60分乾燥させ基板Bを得た。
【0057】
得られた基板Bのガラス層上に、サンドブラスト機(ニューマブラスターSMC−1ADE−401、不二製作所社製)を用い、0.04MPaの圧力下で、研磨剤(PDP用サンドブラストメディアS9#1200、不二製作所社製)を噴射量200g/minで噴射してサンドブラスト処理を行うことにより、隔壁を形成した。隔壁が形成された基板を、最高温度550℃で10分間焼成し、隔壁を有する評価用基板を作製した。
【0058】
(1)(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量の測定
カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行った。重量平均分子量は、ポリスチレン換算により算出した。
【0059】
(2)焼結性
5ミルに設定したアプリケーターを用いて、蛍光体微粒子分散ペーストをガラス基板上に塗工し、150℃の送風オーブンで30分間乾燥させた後、500℃の電気炉で10分間焼成した。堀場製作所製炭素硫黄分析装置により残留炭素(ppm)を測定した。また、焼き色を目視により確認し、以下のように評価した。
○:残留炭素が150ppm未満であった。
×:残留炭素が150ppm以上であった。
【0060】
(3)蛍光体微粒子分散ペーストの粘度の測定
得られた蛍光体微粒子分散ペーストについて、B型粘度計(商品名:DVII+Pro、BROOK FILED社製)を用い、回転数を50rpmとし、23℃にて粘度測定を行った。
【0061】
(4)スクリーン印刷性
得られた蛍光体微粒子分散ペーストを、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」乳剤20μ、スクリーン枠:320mm×320mm)、温度23℃、湿度50%の環境下、以下のスクリーン印刷機の条件にて、隔壁を有する評価用基板上に印刷を行った。
ギャップ :2.0mm
スキージ速度 :50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧 :0.25MPa
スクレッパー圧 :0.17MPa
背圧 :0.10MPa
印刷状態を目視で確認し、以下の基準にてスクリーン印刷性を評価した。
○:隔壁内への蛍光体微粒子分散ペーストの充填量が充分であり、スキージ稼働時に蛍光体微粒子分散ペーストの糸曳き、貼り付き等が観察されなかった。
×:隔壁内への蛍光体微粒子分散ペーストの充填量が不充分であるか、又は、スキージ稼働時に蛍光体微粒子分散ペーストの糸曳き、貼り付き等が観察された。
【0062】
(5)形状制御性
印刷した評価用基板を、150℃のオーブンで1時間乾燥させた後、500℃のオーブンで、10分保持する条件で、脱脂を行った。その後、基板を隔壁に対して直角な方向で割り、断面を実体顕微鏡にて蛍光体層の形状を観察した。蛍光体層が、隔壁上部まで偏りなく厚み10μm以上付着していたものを○、隔壁の側面又は底面いずれか一方への付着が厚み10μm未満以下のものを△、隔壁底部に沈み込んだり、隔壁中の一部に偏っており、一様に付着していなかったものを×とした。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルの蛍光体層の形成する際に、スクリーン印刷性に優れるとともに、所望の形状を有する蛍光体層を形成することが可能な蛍光体微粒子分散ペースト、及び、該蛍光体微粒子分散ペーストを用いて得られるプラズマディスプレイパネルを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成するために用いられる蛍光体微粒子分散ペーストであって、
(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び蛍光体微粒子を含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、重量平均分子量が5000〜50000のポリメチル(メタ)アクリレートであり、かつ、
前記有機溶剤は、常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤であり、前記混合溶剤のうち少なくとも1種は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上である溶剤であり、少なくとも1種は、分子中に水酸基を1以上有する化合物からなる溶剤である
ことを特徴とする蛍光体微粒子分散ペースト。
【請求項2】
有機溶剤は、常温における蒸気圧が0.1mmHg以上の溶剤と、常温における蒸気圧が0.01mmHg未満の溶剤との混合溶剤であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体微粒子分散ペースト。
【請求項3】
常温における蒸気圧が異なる複数の溶剤から構成される混合溶剤のうち、常温における蒸気圧が最も高い溶剤がテルペン系溶剤であることを特徴とする請求項2記載の蛍光体微粒子分散ペースト。
【請求項4】
更に、ノニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の蛍光体微粒子分散ペースト。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の蛍光体微粒子分散ペーストを用いて製造されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。


【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【公開番号】特開2010−257614(P2010−257614A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103364(P2009−103364)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】