説明

蛍光体検査装置

【課題】 RGBの3色の蛍光体が塗布された試料を検査する場合には、R、G、Bそれぞれの単色を検査するための光学系を使用する必要がある。しかし、単色毎に検査すると検査に時間が多くかかった。また3色を同時に検査するためには、3つの光学系が必要となり、検査装置が大きくなる要因となり、製作コストも高かった。本発明は、検査時間の短く、かつ小型の蛍光体検査装置を提供する。
【解決手段】 分散プリズムを通し、分光した光をラインセンサに取込み処理することにより、1つの光学系で、かつ、一度に、R、G、B3色の蛍光体のミクロ検査とマクロ検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン欠陥検査装置及びパターン欠陥検査方法に関し、特に、プラズマディスプレイパネル等に使用するガラス基板に塗布された蛍光体のミクロ検査及びマクロ検査に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以降、PDPと称する)における蛍光体のミクロ検査およびマクロ検査に用いている従来の光学系の概略を図1で説明する。図1は、従来の、蛍光体が塗布されたPDPの検査装置を説明するための概略図である。1は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の蛍光体が、周期的に、ストライプ状又は格子状に、塗布された試料(被検査対象物:PDP)であり、2は紫外線(UV)照明、3は干渉フィルタ、4はマクロレンズ、5はラインセンサカメラ、6は画像処理装置、7は搬送機構である。
【0003】
図1において、試料1上の蛍光体は、UV照明2から照射されるUV光に光励起し、可視光として発光する。発光色は、塗布された蛍光体の種類に応じて、R、G、又は、Bのいずれかの単色で発光する。発光した可視光は、干渉フィルタ3とマクロレンズ4を通ってラインセンサカメラ5に到達する。ラインセンサカメラ5は白黒ラインセンサカメラである。
発光した可視光を白黒のラインセンサカメラ5で撮影し、その映像を画像処理装置6に取込み解析することによりミクロ検査又はマクロ検査を行う。
【0004】
干渉フィルタ3は、R、G、Bいずれか単色の、励起した可視光のみを透過する狭帯域の特性を持ったバンドパスフィルタであり、マクロレンズ4は、高精細のラインセンサカメラ5へ試料1表面を撮影した画像を縮小して取り込むためのものである。
ラインセンサカメラ5では、極小範囲でしか撮像できないため、搬送機構7により試料(ガラス基板)1を移動して試料1の必要な全エリアを検査する。なお、試料1の移動方向は、ラインセンサカメラ5のセンサ素子の画素の並び方向と直交する方向又は平行する方向のいずれかである(特許文献1段落0038、図2、等参照。)。
【0005】
干渉フィルタ3は、発光する可視光のR、G、若しくは、Bのいずれかの単色光を通過させるものである。このため、R、G、Bの3色の蛍光体が塗布された試料1を検査する時には、R、G、Bそれぞれの単色を検査するための光学系(例えば、干渉フィルタ)を実装しなければならなかった。特に、製造の終盤の工程では、R、G、Bすべての蛍光体が塗布されているため、それぞれの色毎の干渉フィルタつけた光学系を用意する必要がある。また、R、G、若しくは、Bの蛍光体を、それぞれ別々に検査するようにすれば、3色すべてについての光学系ではなく、1系統だけ実装し、検査する蛍光体の色毎に干渉フィルタだけを切替えれば良い。しかし、同じ試料を3回検査するために検査工程が長くなる(特許文献1段落0028、図1、等参照。)。
【0006】
なお、蛍光体のミクロ検査は、主に、混色(他色の蛍光体が混在したもの)、や異物の有無の検査であり、マクロ検査は、色ムラの検査である。
【特許文献1】特開2004−245829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術には、R、G、Bの3色の蛍光体が塗布された試料を検査する場合には、R、G、Bそれぞれの単色を検査するための光学系を使用する必要があった。しかし、単色毎に検査すると検査に時間が多くかかった。また3色を同時に検査するためには、3つの光学系が必要となり、検査装置が大きくなる要因となり、製作コストも高かった。
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、検査時間の短く、かつ小型の蛍光体検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の蛍光体検査装置は、分散プリズムを通し、分光した光をラインセンサに取込み処理することにより、1つの光学系で、かつ、一度に、R、G、B3色の蛍光体のミクロ検査とマクロ検査を行うものである。
上記の目的を達成するため、本発明の蛍光体検査装置は、基板上に形成された蛍光体に電磁波又は粒子線を照射する照明部と、照射された電磁波又は粒子線により蛍光体から発光する光を撮像する撮像部と、撮像部からの映像信号を画像処理して基板上の蛍光体の検査を行う画像処理部とからなる蛍光体検査装置において、撮像部は、蛍光体から発光する光を分光する分散プリズムと、分散プリズムで分光された光それぞれ撮像するラインセンサを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に拠れば、1つの光学系で蛍光体のミクロ検査及びマクロ検査を行うことができる。また、本発明の第2の効果として、干渉フィルタを使用しないため、干渉フィルタによる光量の低下を防ぐこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の1実施例を、図2によって説明する。図2は、本発明の蛍光体検査装置の一実施例を示す図である。8はPDP等のガラス基板(試料)、17はガラス基板8の搬送機構、9はガラス基板8上の蛍光体塗布膜を発光させるためのUV照明、20は撮像部、26はUV照明9と撮像部20を支持する支持部材、16はミクロ検査又はマクロ検査を撮像部20で撮影した画像データで検査するための画像処理装置、24は検査結果を表示又は印字するカラーモニタ、プリンタ等の表示部、25は操作部であり、本検査装置の操作を行う部分である。
また、UV照明9は、蛍光体を発光させる光源であればUV発光源に限られるものではなく、電磁波の他、ガンマ線やX線等の粒子線であってもよい。
なお、搬送機構17を駆動するための駆動部や制御部もまた画像処理装置16から指示されるが図2では省略している。
【0011】
次に、図2の撮像部20の詳細を図3によって説明する。図3は、本発明の一実施例であって、分散プリズムにより分光後、ラインセンサで取込むための構造を説明するための図である。8はPDP等のガラス基板(試料)、9はガラス基板8上の蛍光体塗布膜を発光させるためのUV照明、10はマクロレンズ、11はスリット、12は分散プリズム、13はR(赤色蛍光体)検出用ラインセンサ、14はG(緑色蛍光体)検出用ラインセンサ、15はB(青色蛍光体)検出用ラインセンサ、16は画像処理装置、17は搬送機構である。
図2の撮像部20は、マクロレンズ10、スリット11、分散プリズム12、R検出用ラインセンサ13、G検出用ラインセンサ14、及び、B検出用ラインセンサ15で構成される。
【0012】
図3において、試料8のR、G、Bの蛍光体が塗布された部分は、UV照明9から照射されるUV光に光励起し、可視光として発光する。発光色は、塗布された蛍光体の種類に応じて、RあるいはG、Bのいずれかの単色で発光する。発光した光は、マクロレンズ10を通り、分散プリズム12で分光される。
【0013】
しかし、極小範囲の分光が必要であるため、分散プリズム12の手前に、極小範囲の光を通過させるためのスリット11を配置する。
【0014】
分散プリズム12に入射した光は、波長ごとの屈折率の違いにより、R(赤色光)、G(緑色光)、及び、B(青色光)に分光され、それぞれの分光された光を撮像するためのラインセンサ13〜15で電気信号に変換される。
変換後の電気信号(即ち、映像信号)は、ラインセンサ13〜15から画像処理装置16に出力される。画像処理装置16は、入力された映像信号を解析することにより、R、G、Bそれぞれの蛍光体のミクロ検査とマクロ検査を行う。
【0015】
図3において、マクロレンズ10は、高精細のラインセンサカメラ5へ試料8表面を撮影した画像を縮小して取り込むためのものである。
撮像部20では、一度に極小範囲でしか撮像できない。このため、搬送機構17により試料(ガラス基板)8を移動して試料8の必要な全エリアを検査する。
【0016】
図3の実施例に拠れば、従来の干渉フィルタを使用しないため、フィルタによる光量の低下を改善する。
また、図3の実施例に拠れば、分散プリズムを使用することにより、1つの光学系でRGB3色すべての蛍光体のミクロ検査とマクロ検査を行うことができる。
なお、本実施例では、カラーの3色として、RGBの蛍光体で説明したが、他のカラー3原色であっても良いことは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の蛍光体検査装置を説明するための概略図。
【図2】本発明の蛍光体検査装置の一実施例を示すブロック図。
【図3】本発明の蛍光体検査装置の一実施例の詳細を説明するための図。
【符号の説明】
【0018】
1:試料、 2:UV照明、 3:干渉フィルタ、 4:マクロレンズ、 5:ラインセンサカメラ、 6:画像処理装置、 7:搬送機構、 8:ガラス基板(試料)、 9:UV照明、 10:マクロレンズ、 11:スリット、 12:分散プリズム、 13:R検出用ラインセンサ、 14:G検出用ラインセンサ、 15:B検出用ラインセンサ、 16:画像処理装置、 17:搬送機構、 20:撮像部、 24:表示部、 25:操作部 、26:支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された蛍光体に電磁波又は粒子線を照射する照明部と、上記照射された上記電磁波又は粒子線により上記蛍光体から発光する光を撮像する撮像部と、上記撮像部からの映像信号を画像処理して上記基板上の蛍光体の検査を行う画像処理部とからなる蛍光体検査装置において、
上記撮像部は、上記蛍光体から発光する光を分光する分散プリズムと、上記分散プリズムで分光された光それぞれ撮像するラインセンサを備えたことを特徴とする蛍光体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−292184(P2008−292184A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135467(P2007−135467)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】